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伊丹菜菜瀬 学位論文審査要旨

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Academic year: 2021

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令和 2年 3月

伊丹菜菜瀬 学位論文審査要旨

主 査 景 山 誠 二 副主査 尾 﨑 米 厚 同 林 眞 一

主論文

Alternative activation of macrophages in mice peritoneal cavities and diaphragms by newborn larvae of Trichinella spiralis

(旋毛虫の新生幼虫によるマウス腹腔と横隔膜のマクロファージの代替的活性化)

(著者:伊丹菜菜瀬、近藤陽子、蓼本早百合、伊藤大輔、福本宗嗣、大槻均)

令和2年 Yonago Acta Medica 63巻 34頁~41頁

参考論文

1. Molecular cloning and characterization of plerocercoid-immunosuppressive factor from Spirometra erinaceieuropaei

(マンソン裂頭条虫由来のプレロセルコイド免疫抑制因子の分子クローニングと特性)

(著者:近藤陽子、伊藤大輔、蓼本早百合、伊丹菜菜瀬、西方修馬、高島英造、

坪井敬文、福本宗嗣、大槻均)

令和2年 Parasitology International 掲載予定

(2)

学 位 論 文 要 旨

Alternative activation of macrophages in mice peritoneal cavities and diaphragms by newborn larvae of Trichinella spiralis

(旋毛虫の新生幼虫によるマウス腹腔と横隔膜のマクロファージの代替的活性化)

旋毛虫症は世界的に分布する人獣共通感染症である。筋肉内幼虫を経口摂取した宿主の 腸上皮細胞内において成虫に発育し、新生幼虫を産生する。新生幼虫は主に宿主循環系を 経て横紋筋に侵入し、感染幼虫に発育する。マクロファージはヘルパーT細胞1型(Th1)と2 型(Th2)の環境下では異なった活性化を呈する。Th1が分泌するIFN-γやLipopolysaccharide (LPS)刺激によりマクロファージは古典的な活性化をし、Th2から分泌されるIL-4やIL-13 によって代替的活性化をする。旋毛虫感染マウスの腹腔と横隔膜でマクロファージの代替 的活性化について確認し、新生幼虫の役割について検討した。

方 法

C57BL/6マウスに筋肉内幼虫500隻を経口感染させ、感染初期のマウス腹腔マクロファー ジ数をカウントし、腹腔マクロファージおよび横隔膜の全RNAを抽出した。生きた新生幼虫 と凍結処理し死滅した新生幼虫をマウスの腹腔にそれぞれ10,000隻を投与し、投与後3~30 日の腹腔マクロファージを回収した。また、10,000隻の新生幼虫と1×106の腹腔マクロフ ァージをin vitroで3日間または6日間共培養した後、マクロファージを回収した。これら のマクロファージの全RNAを回収し、半定量RT-PCR法によって、古典的活性化を示すTNFα、

IP-10、iNOSの遺伝子発現と代替的活性化を示すYm1、Arg1の遺伝子発現について検討した。

結 果

チオグリコレート誘導腹腔マクロファージをLPS刺激するとTNFα、IP-10、iNOSの遺伝子 が発現し、IL-4刺激ではYm1とArg1の遺伝子が発現し代替的活性化することを確認した。

旋毛虫感染マウス腹腔マクロファージは感染15日と18日に有意に増加していた。感染後6 から18日目の腹腔マクロファージにおいて、Ym1とArg1の遺伝子発現が確認された。この代 替的活性化は15日目ごろがピークであった。これらのマクロファージでは、TNFα、IP-10、

iNOSの遺伝子発現は認められなかった。生きた新生幼虫の腹腔内投与によってマウス腹腔 マクロファージは投与9日目にYm1の遺伝子発現がみとめられ、投与6日目と9日目にArg1の

(3)

遺伝子発現が認められたが、死滅新生幼虫投与マウスではこれらの代替的活性化遺伝子の 発現は認められなかった。また未感染のマウス腹腔マクロファージと新生幼虫の共培養で は、マクロファージの代替的活性化は認められなかった。また、横隔膜においても感染15 日目に代替的活性化を示すYm1とArg1の遺伝子発現が確認され、その後これらの遺伝子発現 は低下した。

考 察

マウスに経口感染した筋肉内幼虫は、腸上皮細胞内で5日目頃に成虫になり、雌成虫が新 生幼虫を産出する期間は感染後5日から9日でピークは感染7日目と報告されている。今回、

旋毛虫感染マウスの腹腔マクロファージの有意な増加とYm1とArg1の遺伝子発現が確認さ れた。

本研究では、生きた新生幼虫をマウスの腹腔に投与すると腹腔マクロファージのYm1と Arg1の遺伝子発現を誘導したが、死滅した新生幼虫の投与ではこれらの遺伝子発現は認め られなかった。一方、生きた新生幼虫と腹腔マクロファージのin vitroでの共培養では、

腹腔マクロファージの代替的活性化は認められなかった。これらの結果から、新生幼虫投 与による腹腔マクロファージの代替的活性化は新生幼虫の直接的作用や排泄・分泌物質に よるものではなく宿主細胞が分泌するIL-4やIL-13による可能性が高いと考えられた。

横隔膜では感染15日頃にYm1とArg1の遺伝子発現が確認され、その後低下した。代替的活 性化したマクロファージが、旋毛虫が横隔膜に侵入する際に生じた組織の損傷の修復や再 生の機能を果たしていると考えられた。旋毛虫の新生幼虫が寄生したNurse cellを覆うコ ラーゲンの皮膜が、幼虫を保護するため、代替的活性化をしたマクロファージの役割が減 少したと考えられた。今後、遺伝子発現をより正確に評価するためには、real-time PCR 法を用いて定量する必要がある。旋毛虫感染によるTh2優位な免疫応答とマクロファージの 代替的活性化は、Th1優位の病態への新しいアプローチの可能性が期待される。

結 論

旋毛虫感染マウス腹腔および横隔膜のマクロファージのYm1やArg1の遺伝子発現を確認 し、代替的活性化が認められた。生きた新生幼虫をマウス腹腔内に投与するとマクロファ ージの代替的活性化が認められ、in vitroで新生幼虫と共培養したマクロファージでは代 替的活性化は認められず、新生幼虫は宿主の細胞応答を介して代替的活性化をしているこ とが示唆された。

参照

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