目 次
はじめに
1.ベトナム概観
(1)豊富な人口と若い平均年齢
(2)戦争による経済成長の遅れ
(3)社会主義国としての政治体制
(4)中所得国の仲間入りと好調な経済発展 2.ベトナム経済概観
(1)好調なベトナム経済
(2)足元のベトナム経済指標
(3)好調なベトナム経済の主因と遠因
(4)ベトナム経済の課題の一つとしての国営企 業改革
3.ベトナムの投資環境と外国直接投資
(1)整備が進むベトナムの投資環境
(2)直近のベトナムへの外資流入
(3)ベトナム投資の魅力度
(4)ベトナムへの日本からの投資
(5)投資先としてのベトナムの優位性
(6)ベトナム投資の課題(技術移転と投資留意点)
おわりに
はじめに
ベトナムの変貌が著しい。ASEAN10か国の中で、
ベトナムは人口で第3位、名目GDPでは第6位に 位置し、国際協力銀行(JBIC)が日本企業を対象 に毎年実施している海外投資アンケート調査にお いても、同国は「中期的な事業展開先」国として「現 地マーケットの今後の成長性」、「安価な労働力」、
「優秀な人材」を理由に常に上位にランクしている。
全体的に成長が鈍化傾向にあるアジア諸国・地 域を横目に、ベトナムは高い経済成長を続けてい る。2018年通年の同国の経済成長率(GDP成長率)
は7.08%となり(ベトナム統計総局)、2008年の 世界経済危機(リーマンショック)直前(2007 年7.13%)に次ぎ高い結果となった。直近10年
要旨
ベトナムは9,600万人の人口を擁し、平均年齢も31歳と若く、ポテンシャルの高い国である。
成長が鈍化傾向にあるアジア諸国・地域の中で高い経済成長を続けている。またその地理的な 優位性と魅力ある投資環境から、世界各国・地域の有力企業が豊富な労働力と安価な人件費を 求めて生産拠点をベトナムにシフトさせている。ベトナム経済の好調要因は、このような豊か で若い労働力と活況な国内消費、TPP加盟や全方位外交による外国資本の呼び込み、理数系教 育施策等に求められる。一方、同国国営企業の改革は実質的に進んでおらず、TPP発効を受け 喫緊の課題となっている。他方、ベトナムの投資環境の魅力度の高さは企業アンケート調査か らも明らかで、現地マーケットの今後の成長性や安価な労働力、優秀な人材等に有望理由が求 められる。投資インセンティブとして税制優遇措置等も導入されており、大型案件を含め外国 からの投資は着実に増加している。更なる外国投資誘因に向けた課題として、労働コストの上 昇、法制運用の不透明性、管理職クラスの人材確保難、インフラ未整備等が挙げられ、今後こ れらの改善が望まれる。
キーワード
:ベトナム経済、ベトナム投資環境、FDI、TPP、CPTPP、ベトナム国営企業改革アジア経済分析~ベトナム経済と外国直接投資
Asian Economic Analysis – Vietnam’s Economy and Foreign Direct Investment 星野 三喜夫
Mikio HOSHINO
間のベトナムの経済成長率は6%を超え(2009 年~2018年の10年間平均6.15%)で、2018年は 前年2017年の6.80%を上回り7%台を付けた。
GDP成長率だけでもベトナム経済の好調さが窺 い知れるが、実際「ポテンシャルのある国」(オ バマ米前大統領)としての注目度の高さから、世 界各国・地域から有力企業が豊富な労働力と安価 な人件費を求めて生産拠点を中国からベトナムに シフトさせている。
本稿は、まず経済に関連する分野を中心にベト ナムを外観し、次に同国の足元の経済データ(GDP 成長率、物価、貿易)を確認しながら、好調な同 国経済の主因と遠因、同国経済の課題について分 析する。後半では、同国の魅力的な投資環境と主 要国・地域から流入して止まない外国直接投資の 状況をデータを踏まえて確認する。
1.ベトナム概観
(1)豊富な人口と若い平均年齢
ベトナムは2018年に人口が9,600万人を超え、
今なお増加の最中にある。ASEAN10か国の中では、
インドネシア、フィリピンに次いで3番目に人口 の多い国であり、2026年には人口が1億人を超 えると予想される。同国は、人口が増えることに よる「人口ボーナス」期にあり、そのことが同国 経済成長の要因の一つでもある。
ベトナム人の平均年齢は31歳で他国と比較し
ても若い。この平均年齢の低さもベトナム経済成 長のもう一つの要因である。一方、同国民の平均 寿命も伸び続けており、既に女性81歳、男性72 歳となっていることから、今後少しずつ人口の高 齢化が進むと予想される。
(2)戦争による経済成長の遅れ
ベトナムはかつて経済成長が遅れた国であった。
その原因は長く続いた戦争である。第2次世界大 戦前にフランスの植民地であったベトナムは、第 2次大戦後も領土支配をめぐってフランスや米国 との戦争に突入し、その結果、国が南北に分裂し た。1975年まで続いたベトナム戦争(米越戦争)
を経て南北統一を果たしたものの、その後も陸続 きのカンボジアや中国との紛争が絶えず、本来の 終戦を迎えたのは1981年になってからである。
ここに至り初めて、北のハノイを首都とし、南の ホーチミンを商業都市とするベトナムの経済成長 が緒に就いた。
そのような事情から他国に比べて大きく経済 成長に出遅れたベトナムは、1980年代までは世 界の最貧国の一つに数えられていた。しかし、
1986年に「ドイモイ」(
Đổi Mới
:刷新)と呼ば れる経済政策を導入した以降は、徐々に様相を変 えてきた。ドイモイは、国主導の社会主義経済を 一新し「市場経済」を取り入れたものである1。 ドイモイ政策の下、外資系企業のベトナム進出を 受け入れ(対外開放政策の導入)、部分的に資本 主義経済(市場メカニズム)を取り入れたことで、90年代に入ると経済が成長し始め、1995年から 1996年にかけては年率9%台の高い経済成長率 を達成するまでになった。
1997年に発生したアジア通貨危機の影響で、
周辺のアジアの国・地域と同様にベトナムも一 時的にGDP成長率が低迷したが、その影響をい ち早く脱却し、特に2007年にWTO(世界貿易機 関)への加盟が認められた以降は、海外との貿易 と国外からの投資(外国直接投資=Foreign Direct Investment=FDI)を加速させ、最貧国から低中所 得国へと経済は順調に発展してきた。その結果、
2000年~2010年の平均GDP成長率は7%を超え るようになった。
図表1 ベトナムの人口ピラミッド
出典:「世界の人口ピラミッド」
https://www.populationpyramid.net/ja/ベトナム/2018/
(3)社会主義国としての政治体制
ベトナムの正式国名は「ベトナム社会主義共和 国」=Socialist Republic of Vietnamで、その名が 示す通り、現代社会では数少ない社会主義国の一 つである2。他の社会主義国と同様、ベトナムも 資本主義経済を導入し、外資系企業を多く受け入 れているため、経済活動上は自由民主主義国家と 大きな違いはない。
ベトナムは中国と同様に共産党による一党支配 の政治体制を取っている。(a)ベトナム共産党の 最高職である党中央委員会書記長(最高指導者)、
(b)国家元首である国家主席、(c)政府の長であ る首相(PM)、(d)立法府(国会)の議長は国の「四 柱」と呼ばれている。中国のように党と国家のトッ プを同一人物が兼ねることはなく、四柱を中心と した集団指導体制を取っている 。一党支配の政 治体制であるため、意思決定のプロセスが分かり にくく、また国民に伝わりにくいために権力集中 が進み易く、汚職が多い政治体制だとも言われて いるが、他方で、共産党一党支配であるために意 思決定に時間がかからず、政策の実行がし易いと いう側面がある。
国の政策は共産党大会で5年毎に決定され、年 に2回開催される中央委員会全体会議で調整され る。憲法の規定により国家元首(大統領)が内政 及び外交におけるベトナム社会主義共和国を代表 し、人民委員会(省、県(区)及び村)は、自ら の管轄地域内の管理事務を所管し、地方国家機関 の日常的な活動を運営、指導すると共に、人民議 会及び書記と共に上部国家機関の政策を執行する。
このようにベトナムは社会主義国であるが、
地域的及びグローバルな経済的連携に積極的に コミットしている。1995年に欧州との経済・貿 易協力協定を締結し、同年ASEANに加盟した。
1996年にCEPT/ AFTA協定を締結し、1998年に はAPEC(アジア太平洋経済協力会議)に参加し ている。また2007年にWTOの150番目の加盟国 となった。2015年には、TPP(環太平洋経済連 携協定)の大筋合意に他の11か国と共に加わっ た。同年年末にはAEC(ASEAN経済共同体)が発 効し、ASEAN域内関税撤廃が加速している。また、
WTOと協力し、商品(関税、輸出入枠及び農業 補助金の上限)及び役務(外国役務提供者に対す るアクセス規定及び関連条件)の輸出の市場アク
セスを向上させるとともに、知的財産権(TRIPS)、
投資措置(TRIMS)、税関評価、貿易の技術的障壁、
衛生・植物検疫措置、輸入ライセンス条項、アン チ・ダンピング及び相殺措置、原産地規則に関す る諸協定を遵守することで貿易規制の透明性を確 保し、ベトナム企業と外国企業間のより公平な競 争環境の確保に努めてきた。
ベトナムは全方位外交を目指し、現在、170を 超える国・地域と外交関係を確立し、50を超え る二国間投資協定や二重課税協定を締結してい る。また160か国・地域と経済・貿易関係を有し ており、国際関係における「多国間主義と多様化」
政策により、世界中の国々との貿易・投資関係を 深め、ビジネス環境の改善に注力している。
(4)中所得国の仲間入りと好調な経済発展 ベトナムは1990年代終わりから2000年以降、
経済成長を遂げ、2008年に中所得国入りしたこ とで、世界銀行や主要国政府からの低金利や返済 期間の長い緩やかな譲許的条件での援助は減少 し、民間資金の活用が促進されつつある。2007 年のWTO加盟や地域的・国際的経済統合枠組み への参加によって対外開放度が高まり、国による 規制や経済への介入の縮減等国際的ルールに沿っ た政策の是正も進んでいる。
現在、ベトナムは「ポスト中国」とも言える好 調な経済発展を遂げているが、これを牽引するの が同国GDPの半分以上を稼ぐ最大商業都市のホー チミンである。ホーチミンは「東洋のパリ」と呼 ばれ、古くか同国経済の中心地として発展した。
街はフランス統治時代の影響が今でも残る。路地 写真1 バイクが溢れるホーチミンの街中
(夕刻のラッシュアワー)
出所:筆者撮影
裏には貧困街が散在するが、急成長と経済発展が 同居しているかのように、高級ホテルや高層ビル が林立し、若者がスマホを駆使しバイクで疾走す る発展都市の光景が広がっている(写真1)。ベ トナム戦争後40年以上を経て、800万人以上が 住むベトナム最大の都市であるホーチミンでは、
都市開発やインフラ整備が今なお続いている。
2.ベトナム経済概観
(1)好調なベトナム経済
以下では好調なベトナム経済の直近のデータを 確認しながら、同国経済好調の主因や遠因と課題 について分析する。
上に記したように、ベトナムは1986年にドイ モイ(刷新)政策を導入したが、その後20年を 経て2007 年にWTOに加盟し、2015年には12か 国によるTPP締約国の一つに加わるまでになっ た。米国が抜けた所謂TPP11はベトナムにおい て2019年1月14日に批准され、発効した。諸外 国・地域から同国への投資や貿易も年々増加し、
ベトナム経済はアジア及びグローバル経済との結 び付きを増々深めている。過去十数年間に、アジ ア太平洋地域でも上位クラスとなるGDP平均成長 率6.25%を記録し(2006年~2018年の13年間平 均)、外国からの投資では、2015年発効の企業法 と投資法に基づいて、国内企業と同じ条件を付 与することを可能とした。因みに、同国では外 資51%以上が外資企業と規定されており、外資 51%未満の企業は国内企業として扱われる。
また、国営企業セクターの経営効率の向上を目 指し、ベトナム政府は株式化を通じた同セクター 再編のための政策を進めた。この結果、数の上で は多くの国営企業が株式化・民営化されることに なった。同国の国営企業改革については後述する。
(2)足元のベトナム経済指標
以下では、足元のデータによりベトナム経済を チェックする。
①GDPと経済成長率
ベトナム統計総局(GSO)3が発表したデータで は、同国のGDP(実質)成長率は2016年6.21%、
2017年6.80%、2018年7.08%と順調に推移し、
特に2018年の7.08%は2008年の世界経済危機以 降の10年間で最も高い数字となった(図表2)。
2018年の四半期別では、第1四半期(1~3月)
7.38 %、 第 2 四 半 期( 4 ~ 6 月 )6.73 %、 第 3四半期(7~9月)6.82%、第4四半期(10
~12月)7.31%と、政府の目標値として設定し ていた6.5~6.7%をいずれの期においても上回る 結果となった。
ベトナムのGDPは製造業、サービス業、農業の 3部門で半数近くを占める。2018年の同国GDP
(名目)は2,372億米ドルで、そのうちの約1/4が ベトナムで大規模工場を操業する韓国のサムスン 電子とLG電子のスマートフォンやテレビ、エア コン、洗濯機、冷蔵庫等の家電の製造と輸出に 依るものである。ベトナムのGDPはこの韓国の外 資系企業2社に依存する割合が高い。ベトナムの 2018年輸出総額の1/4がサムスン電子によるも のである4。サムスン電子は2009年にベトナムで 本格生産を始め、現在同国において総合家電メー カーの色彩を強めている。サムスン電子は脱中国 を進める中(2017年に中国・深圳工場を、また 2018年末には天津工場を相次いで閉鎖しベトナ ムに移転した)、ベトナムの生産拠点を軸に再編 を急いでいる。
2018年GDP成長率を分野別に見ると、農林水 産業(GDPに占める割合は15%)が前年比3.76%、
鉱工業・建設業(同34%)が同8.85%、サービス 業(同41%)が同7.03%の伸びとなった(図表3)。
0 1 2 3 4 5 6 7 8
2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018
GDP成長率
GDP成長率
図表2 ベトナムの経済成長率推移
資料:ベトナム統計総局(GSO)データより作成、実質 GDPベース
(単位:%)
年 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 成長率 6.98 7.13 5.66 5.40 6.42 6.24 5.25GDP
年 2013 2014 2015 2016 2017 2018 成長率 5.42 5.98 6.68 6.21 6.80 7.08GDP
中でも鉱工業・建設業は引き続き高い成長を記録 し、特に製造業は12.98%の伸びを示し、経済全 体の成長に大きく寄与している。
農林水産業も2012年以降、過去6年間で最も 高い伸び率となっている。2018年は好天に恵ま れ、品種改良も進んだこと等を受け、コメや果樹 をはじめとする農産物の収穫量が増えた。今後は、
農林水産業の高付加価値化を目指し、農産物の加 工分野へのさらなる外国直接投資も期待される。
政 府 は2019年 のGDP成 長 率 の 目 標 を6.6~
6.8%に定めている。2019年第1四半期(1月~
3月)の実質GDP成長率は前年同期比6.82%、第 2四半期(4~6月)は同6.71%と発表されている。
2019年第1四半期の6.82%は前年の7.38%を下 回り、また第2四半期の6.71%は前年の6.73%を 若干下回るものの、2009年以降で2番目に高い 成長率であり、いずれも政府目標値の範囲内であ る。
なお、ベトナムの2018年の1人当たりGDPは 2,587米ドルであり、前年の2017年から198米ド ル増加している。
②物価の動向
消費者物価指数(CPI)上昇率は前年と同様の 3.54%となり、政府が目標としていた4%以下に 収まった(図表4)。項目別に見ると,医療費の 個人負担の増加で「医療品・保健医療」が10.8%
と最も大きく上昇した。また、ガソリンの値上が りを受けて「交通」も6.4%上昇した。この他、「教 育」が6.3%、家計支出の4割前後を占める食品・
食品サービスが天候不順で3.2%上昇した。政府 は2019年の物価上昇率も年平均で4%以下に抑 制することを目標としているが、電気料金の引き 上げ計画があり、CPI上昇への影響が懸念される。
政府はCPIへの影響を考慮し、引き上げ計画を慎 重に策定するよう事業者に指示し、目標の範囲内 にインフレを抑制したい意向である。
なお、2019年第1四半期のCPI上昇率は前年同 期比2.6%(0.2%ポイント低下)と発表され、こ こ3年間で最も低い上昇率だった。2019年3月 20日の電気料金引き上げ5や3月18日のガソリン 価格上昇を受け、2019年上半期(1月~6月)
のCPIの上昇が予想されたが、結果は2.64%と、
これも過去3年間で最も低い上昇率となった。
③貿易動向
2018年の輸出は前年比13.8%増の2,447億2,300 万米ドル、輸入は同11.5%増の2,375億1,200万 米ドルで、貿易収支は72億1,100万米ドルの黒字 となった(図表5)。貿易黒字は3年連続、 貿易 額は2年連続で4,000億米ドルを超えている。
【輸出】
国・地域別輸出先は,米国が前年比14.2%増の 475億米ドルで1位である。以下、EUが11.0%
増の425億米ドル、中国が18.5%増の419億米ド ル、ASEANが13.7%増の247億米ドル、以下、日 本189億米ドル、韓国183億米ドルと続いた。
輸出の品目別では、「電話・電話関連部品」が 10.5%増の500億300万米ドルで最大で、「繊維・
縫製品」が16.6%増の304億4,700万米ドル、「電 子・電子部品」が13.4%増の294億4,600万米ド ルと続く。
【輸入】
一方、輸入は国・地域別輸入元では、中国が 12.3%増の658億米ドルで最大で、以下、韓国 2.0%増の479億米ドル、ASEANが13.0%増の320 億米ドル、日本が13.4%増の190億米ドル、EUが 13.1%増の138億米ドルと続いた。
輸入の品目別では、「電話・電話関連部品」が 10.5%増の500億300万米ドルで最大であり、「繊 維・縫製品」は16.6%増の304億4,700万米ドル、
「電子・電子部品」は13.4%増の294億4,600万米
(単位:%) 項 目 2016年 2017年 2018年 実質GDP成長率 6.2 6.81 7.08 農林水産業 1.4 2.90 3.76 鉱工業・建設業 7.6 8.00 8.85 サービス業 7.0 7.44 7.03
図表3 ベトナムの実質GDP成長率 (分野別3年間の推移)
資料:ベトナム統計総局(GSO)データより作成
(単位:%)
年 2010 2011 2012 2013 2014 上昇率物価 9.20 18.60 9.20 6.60 4.09
年 2015 2016 2017 2018 上昇率物価 0.63 2.66 3.58 3.54 資料:ベトナム統計総局(GSO)データより作成
図表4 ベトナムの物価上昇率推移
ドルであった。
(3)好調なベトナム経済の主因と遠因
上に述べたように、ベトナムは経済発展が遅れ た後発発展国であるがゆえに現在経済発展が著し いという局面はあるが、発展途上の他国以上の大 きな経済成長を遂げている。上で明らかにしたよ うに2018年のベトナムの実質GDP成長率は7.08%
であり、政府の当初目標の6.7%を上回り、世界 経済危機の2007年~2008年以降最大の伸びと なった。また、いわゆる米中貿易戦争(貿易摩擦)
の影響で、中国から同国への生産シフトが進むと いう意味で同国経済には現在フォローの風が吹い ている。ベトナムは外資系製造業が経済成長をけ ん引しており、現在、中国等からベトナムに生産 拠点のシフトが進んでいる。みずほ総合研究所は、
米中貿易戦争の影響でベトナムのGDPが0.5%程 度増加し、アジアの主要国で「最もプラスの影響 を受ける」と分析している6。
最近時の好調なベトナム経済の要因(主因と遠 因)は、既に述べたことも踏まえて以下の様に整 理できる。
①豊富な労働力と活況な消費意欲
既述のように、同国の平均年齢は31歳と若く、
かつ現在も人口が急増している。ベトナムの人口 数は世界14位で、それが恵まれた内需市場となる。
また、経済成長中で平均年齢が若いベトナム国民 は、「これからも給料は上がる」「明日は明るい」
という考え方が強く、そのため貯蓄をして将来に 備えるというよりも、稼いだ分を消費に回そうと いう意向が国民の間に強い。結果、消費は旺盛で、
比較的高額な住居であっても建築後直ぐに完売す る状況が続いている。これは、見方によってはバ ブル経済に突入する前の1980年代の日本のよう な状況を呈しているのかも知れない。
②全方位外交による外国資本の呼び込み
ベトナムの外資誘致窓口機関であるベトナム計 画投資省(MPI)傘下の外国投資庁(FIA)7は、他国・
地域からベトナムへの直接投資に関してのアドバ イスに加え、直接投資促進に向けた戦略を構築し 実行する機能を持つ。計画投資省は、地方、省市 で部局や事務所を有し、各地域の投資を管轄して いる。在外公館においてもベトナム外務省が対ベ トナム投資について支援等を行っている。
ベトナムへの投資は投資誘致政策を基本方針と して、内資・外資の別を問わず投資促進・優遇策 導入等の投資インセンティブの枠組みが導入され ている。この中には、裾野産業発展のための優遇
(法人税優遇、固定資産の輸入税等免除)、工業団 地の整備8、外資の意見を聞く組織(官民共同の フォーラムやワーキンググループ等)の設置とそ こでの対話等が含まれ、外資企業とベトナム政府 関係当局との協議を通して投資環境改善が成果を 上げている。
因みに、日本からの投資に関しては、日本企業 の進出に対するサポート体制として、外国投資庁 や北部・中部・南部それぞれに投資促進センター にジャパンデスクが設けられ、また、外国投資庁 には、日本企業のベトナム進出円滑化を目的に、
JICA によるODA技術協力に関連したJICA専門家 が派遣されている。さらに、日本の各地域・団体、
金融機関等も外国投資庁内に日本企業サポートデ スクを設置し、各投資促進センターと業務提携を 結ぶ等、積極的に活動している。
③高等教育と理数系教育
ベトナムの教育は5‒4‒3‒4制をとっている。
義務教育は小学校から中学校課程終了の第1~9 学年までであるが、都市部では生徒数の増加に伴 い学校が不足しており、地方部では教員が不足し ている。高等教育機関としては、四年制大学、短 期大学、高等専門学校がある。学校不足は大学で
(単位:億米ドル)
中国 韓国 米国 ASEAN EU 日本 その他 計
貿易額 1,077.0 662.0 603.0 567.0 563.0 379.0 971.4 4,822.4 輸 出 419.0 183.0 475.0 247.0 425.0 189.0 509.2 2,447.2 輸 入 658.0 479.0 128.0 320.0 138.0 190.0 462.1 2,375.1 貿易収支 △239.0 △296.0 347.0 △73.0 287.0 △1.0 47.1 72.1
図表5 ベトナムの主要国・地域別貿易と貿易収支
資料:ベトナム統計総局(GSO)データより作成、速報値
も生じており、午前、午後、夜間の3部制をとる 大学もある。ベトナムは、近年理数系の教育に力 を入れており、高校生を対象として毎年開かれる 国際数学オリンピックの物理や化学の部では、日 本を上回る好成績を残す年もある。ベトナムの子 供の憧れの職業の1位は「ITエンジニア」であり、
IT立国を目指すベトナム政府の方針通りSE等のIT エンジニアを目指す若者が多い。現在多くの国で ITエンジニアが不足する傾向にあり、力点を置く 理数系教育は今後のベトナムの経済成長を支える 上で大きなプラス要因になると考えられる。
ベトナムの大学進学率は28%前後で他のアジア 諸国・地域と比較しても低く、優秀な人材の輩出 という意味ではまだ不足である。理数系教育は政 府として取り組んでいるものの、未だベトナム全 地域に広く行き渡っていない。ベトナム経済の更 なる発展のためにはこの点を含め、今後更なる教 育改革が必要である。
因みに、在ベトナム大使館と教育訓練省の取り 組みとして、2016年9月以降、小学校3年生か ら第一外国語として日本語教育が導入されている。
まずハノイ市、ホーチミン市の5校で試験的に行 い、その後順次ベトナム各地での導入が始まって いる。初等教育における日本語教育導入は、東南 アジアで初の取り組みでもある。
④TPP発効と発展可能性
上に書いた通り、ベトナムはTPP締約国(加盟国)
である。トランプ大統領が2017年1月にTPP12 か国からの離脱の大統領令に署名し、米国のTPP 離脱が確定した。その結果、米国を除くTPP11か 国によるCPTPP9(通称TPP11)が、2018年12 月30日、日本、メキシコ、シンガポール、ニュー ジーランド、カナダ、オーストラリアの6か国(元 締約国)で先行して発効し、ベトナムは7か国目 の批准国として2019年1月14日に発効させた。
ベトナムはTPP締約国の中で最も大きな恩恵を受 けるとされている。2016年1月に世銀により公表 された“Global Economic Prospects January2016”
において、世銀はTPP締約国のGDPを2030年ま で平均1.1%引き上げると試算しているが、その 中でベトナムのGDPが同期間で10%も上がると 試算、分析する10。
TPP11の発効により、関税撤廃による輸出増が 期待される。既に2国間で自由貿易協定(FTA)
を締結している国とは大幅な輸出増は期待できな いが11、ベトナムとFTAがないカナダ、メキシコ、
ペルーに対しては、関税削減による輸出増加の可 能性がある。また、TPP11は関税撤廃だけでなく、
労働、環境、政府調達、国営企業といった分野の ルール形成も対象としており、ベトナムがこれら の分野の規制改革に取り組むことで、ビジネス環 境の改善に繋げられる。
(4)ベトナム経済の課題の一つとしての国営企 業改革
以上、今後のベトナム経済の発展を展望する上 で好ましい要因を4点挙げた。一方で、同国が中 国と同様に依然として共産党一党の独裁的な政治 体制を敷いており、競争原理を働かせる市場経済 化は十分に進んでいるとは言い難く、それが経済 発展のネックとなる可能性があることは忘れては ならない。中でも、同国の国営企業(国有企業)
は財政的負荷が大きく、現在の高い経済成長率を 持続する上で障害となる惧れがある。ドイモイ政 策の導入に伴い、その一環として1992 年にベト ナム政府は国営企業改革(株式の民間への売却 による民営化)に着手した。2007年に実現した WTO加盟のために同国国営企業を国際基準に合 わせた企業とする政策的必要性もあった。この間、
政府は30年近くに亘り国営企業改革に取り組ん できたが、実際には目に見える成果が得られたと は言い難い。
ベトナムの国営企業は改革開始前の1990 年に 12,000社あったとされ、30年間で確かに600社 未満12まで削減されてはいる。しかし、削減され た国営企業の大半は、利益を生む可能性がほとん どないか事業規模が小さい企業であり、それら企 業の解散や再編は比較的容易であった。一方、ベ トナムの年間GDPにおける国営企業の割合は足元 でも約3割もある。1990年代はこれが4割であり、
割合的には企業数に比べて大きく減っていない。
つまり国営企業の存在感は企業数の大幅減にも拘 わらず依然として大きい。重要産業を担う国営企 業やそのコングロマリットグループは数多く残っ ている。ベトナムの企業規模の平均からすると、
国営企業は従業員数が多く資本も売上高も多い。
他方、株式の民間売却と言っても、海外の投資家 からすれば非居住者による株式取得等の手続きが
煩雑であることに加え、財務を含め企業情報の開 示が十分でないため、投資に積極的になれないと いう側面がある。加えて、国営企業は競争環境に 晒されてこなかったため、利益率が外資系企業に 比べて低く、また負債率も高い。従って海外投資 家がリスクを取るにはリターンを得にくい。
ここ数年、ベトナム政府は国営企業改革を進め るためのロードマップを制定し、改革の進捗管理 を徹底しようとはしている。TTP発効により国営 企業改革は待ったなしであり、同国の今後の持続 的な経済発展を考えれば同改革を見ぬ振りにはで きない。国営企業の不透明な財務や経営の手法を 正すための各種規制、制度を導入するとともに、
政府による不用意な介入を止めること、また海外 投資家にとっても分かり易くリスクの少ない規制、
制度を作り上げていくことが肝要である。同国に とり喫緊の課題である国営企業改革については別 の機会に詳しく検証したい。
3.ベトナムの投資環境と外国直接投資
(1)整備が進むベトナムの投資環境
上に述べたように、1986年のドイモイ政策導 入以降、市場開放と世界経済との協調を進めてき たベトナムは、投資環境の整備も進めてきた。社 会主義下ではあるが、安定した政治運営が維持さ れており、外国投資を受け入れる体制も着実に進 んでいる。
同国は中央アジアのほぼ中央に位置するという 地理的な優位性もあり、多くの外国企業が投資を 行い易い。この好立地により、ベトナムから世界 の主要経済圏へのアクセスが容易である。シンガ ポール、クアラルンプール、バンコク、マニラ、
香港、台湾等のほとんどの東南アジア地域の首都 へホーチミン空港とハノイ空港から3時間以内で アクセスできる。同様に、北京、上海、東京、ソ ウル、ジャカルタ、ニューデリー、ムンバイへも 飛行機で6時間以内のアクセスである。また、同
国は南のシンガポール、西のインド、北の中国ま で広がるアジア全域の物流網の中央部に位置して いると見ることもできる。北部は中国南部の雲南 省広西チワン自治区と隣接しているため、投資ポー トフォリオの分散を望む投資家に選択され易い。
このような地理的優位性により、ベトナムは東南 アジアで急成長している製造業サプライチェーン の重要なハブの一つとなっており、日本企業をは じめ、インテル、サムスン、ノキアといった世界 的企業を含む多数の企業がベトナムに進出(投資)
している。
さらに、国土が南北に長く、内陸の高地から海 岸の低地まで豊かな自然に恵まれ、農・海産物、
エネルギー資源(石油・天然ガス、石炭、水力、
地熱、バイオエネルギー、太陽エネルギー等)、
観光資源等も豊富である。加えて、人材的にも知 識集約型産業への移行を進めるため、既に述べた ように政府は高等教育、とりわけ理数教育の充実 に力を入れている。「S」字形に南北に伸びる地理 的特性を活かした交通網と輸送路(道路、鉄道、
内陸水運、港湾、国内21の空港)も着々と整備 が進んでいる。
そのようなベトナムではあるが、一方で未だ裾 野産業(supporting industry)が脆弱であり、当 面は、諸外国からのODA(政府開発援助)と外資 進出(外国投資)、「越僑」と呼ばれる在外ベトナ ム人からの外貨送金が、同国経済発展には欠かせ ない謂わば「三種の神器」でもある。外資進出で は、ドイモイ政策導入以降、その効果を最大限に 享受している同国随一の南部商業都市ホーチミン が、首都であるハノイを大きく凌いでいる。
図表6の通り、2009年以降、諸外国・地域か らのベトナム投資は着実に増加している。政府は、
外資を受け入れるためのインセンティブとして、
新規産業への投資や工業団地や経済特区入居等に ついて細かく法人税率の優遇を定める他、様々な 措置を設けている。また、2015年11に施行した
(単位:件)
2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 1,163 1,639 1,589 1,837 2,120 2,592 3,038 3,862 3,975 4,342 (946) (1,237) (1,186) (1,287) (1,530) (1,843) (2,120) (2,613) (2,741) (3,147)
図表6 世界の対ベトナム直接投資件数(2009年以降、認可ベース)
注:( )は新規件数。認可取消案件を含むため、他の図表と件数が一致しない。
出所:ジェトロ資料より作成、データ:ベトナム計画投資省
新投資法により投資承認や投資登録の申請を簡易 にした。
外国企業の生産拠点としてベトナムへの注目度 は、米中貿易戦争(貿易摩擦)を一つの要因とし ても増しており、2018年は生産委託先を中国か らベトナムに代える動きが見られた。2018年の 新規投資の認可額ベースでは、目立った案件は未 だ見受けられなかったが、中国からの投資認可件 数は前年比31.6%増と大きく伸びた(認可額は 同5.0%増にとどまった)。一方、2019年に入っ てからは状況が変化しており、中国からの新規投 資で大型の製造案件が増加している13。今後は生 産委託だけでなく、直接投資の面でも米中の貿易 戦争を受けたベトナム投資が加速していくと思わ れる。
(2)直近のベトナムへの外資流入
ベトナム外国投資庁によると、2018年の同国 への外国投資は、認可額で前年比1.2%減の354.7 億米ドルになったものの、実行額ベースでは前年 比9.1%増の191億米ドルとなった。2018年実績 は6年連続で過去最高を更新し、好調である。国・
地域別の直接投資認可額では、日本が2年連続で 1位であり(86.0億米ドル)、2位韓国(72.1億 米ドル)、3位シンガポール(50.7億米ドル)、以下、
香港(32.3億米ドル)、中国(24.6億米ドル)の 順である(図表7)。韓国は件数では日本をはる かに超えるが小口投資が多い。2019年に入って も対ベトナム投資の勢いは衰えていない。
2018年外国投資の業種別では、加工・製造業 が165.9億米ドルで全体の47%を占める。次いで、
不動産業が66.2億米ドルで全体の19%、卸・小売 業が36.7億米ドルで全体の10%を占めた(図表8)。
2018年の大型投資案件として、日本の住友商 事等が手掛けるハノイのスマートシティー計画
(41.4億米ドル)、韓国・暁星(ヒョースン)グルー プによるバリアブンタウ省の石油化学施設(12.0 億米ドル)、トゥアティエン(フエ省)でシンガ ポール企業が進めるリゾート開発事業への追加投 資(11.2億米ドル)、韓国LGグループによるハイフォ ンでのカメラ製造(5.1億米ドル)とディスプレ イ製造(5.0億米ドル)工場への追加投資等がある。
国・地域別の累積外国投資額は,韓国(7,459件、
625.7億米ドル)、日本(3,996件、570.2億米ドル)、
シンガポール(2,159件、466.2億米ドル)、台湾
(2,589件、314.4億米ドル)、英領バージン諸島
(793件、207.9億米ドル)の順である(図表9)。
これらから分かる通り、対ベトナム投資では韓国 と日本の割合が大きい。
ベトナムは東南アジア主要国では最高水準の
(単位:件、金額=億米ドル)
順位 国・地域 新規投資 追加投資 株式投資 件数 金額 件数 金額 件数 金額 金額計
1 日本 429 65.9 201 14.0 585 6.1 86.0
2 韓国 1,043 36.6 403 22.7 1,899 12.8 72.1
3 シンガポール 226 14.2 69 18.5 464 18.0 50.7
4 香港 159 11.3 83 8.1 127 12.9 32.3
5 中国 389 12.2 90 4.5 1,029 8.0 24.6
6 英領バージン諸島 42 2.9 28 2.4 81 13.3 18.7
7 台湾 133 4.9 71 1.9 506 3.9 10.7
8 タイ 40 9.0 22 -3.1 108 1.8 7.6
9 オーストラリア 43 0.3 9 単位以下 137 5.7 6.1
10 フランス 41 5.2 12 0.1 98 0.5 5.9
その他 501 17.2 181 6.9 1,462 15.8 39.9
合 計 3,046 179.8 1,169 76.0 6,496 98.9 354.7
図表7 2018年の対ベトナム外国投資(国・地域別)
出所:ベトナム外国投資庁(FIA)データより作成、認可額ベース
GDP成長率を続け(既述、2018年7.08%)、外資 を吸引している。現下の米中貿易戦争(貿易摩擦)
が長引けば、中国生産拠点の国外への移転が一段 と進むことが予想されるが、その点においても、
投資環境の良さや中国との距離的至近性から、ベ トナムがアジアで最大の経済的「恩恵」を受ける と考えられる。その恩恵について、同国の実質成 長率を0.5%程度引き上げる効果があるとの日系 研究所(みずほ総合研究所)の分析があることは 既に記した通りである。
(3)ベトナム投資の魅力度
米朝首脳会談のハノイ開催(2019年2月)や 米中貿易戦争(貿易摩擦)の激化を受けて、ベト ナムに対する国際的な注目度が高まっている。日 系企業のベトナムに対する関心も高い。
国際協力銀行(JBIC)は日本の製造業企業に対 し、海外事業展開の動向に関するアンケート調査 を過去30年に亘り毎年実施しているが、同調査 における「中期的(今後3年程度)有望な事業展 開先」国・地域と「長期的(今後10年程度)有 望な事業展開先」国・地域を、2008年以降の国・
地域別順位で追うと、それぞれ図表10、図表12 の通りである。
①「中期的」に有望な事業展開先としてのベトナム 直近の2018年度調査(第30回調査。2018年 6月~9月実施。対象企業数1,012社、有効回答 数605社、有効回答率59.8%)の結果では、ベト ナムは前年2017年の3位(得票率38.1%)から 順位を一つ下げて4位(同33.9%)であった。
4位への下落は、同国が2018年1月に導入した 新たな非関税障壁(同国への完成車の輸入に外国 政府が発行する認可証取得を義務付けた)が影響 したとみられている。
ベトナムについて、「事業強化・拡大姿勢」と 回答した企業は64.0%(2017年調査では66.4%)
で、引き続き日本企業の同国への投資意欲は強い。
(単位:件、金額=億米ドル)
順位 国・地域 件数 金額
1 韓国 7,459 625.7
2 日本 3,996 570.2
3 シンガポール 2,159 466.2
4 台湾 2,589 314.4
5 英領バージン諸島 793 207.9
6 香港 1,422 198.3
7 中国 2,149 133.5
8 マレーシア 586 124.8
9 タイ 528 104.4
10 オランダ 318 93.6
その他 5,354 562.6
合 計 27,353 3,401.6
図表9 対ベトナム累積投資額(国・地域別)
出所:ベトナム外国投資庁(FIA)データより作成、順位 は金額ベース
(単位:件、金額=億米ドル)
産業分野 新規投資 追加投資 株式投資
件数 金額 件数 金額 件数 金額 金額計
加工・製造 1,065 90.7 743 50.9 1,528 24.3 165.9 不動産 92 52.2 31 7.3 147 6.7 66.2 卸売・小売 757 7.0 119 1.1 2,829 28.6 36.7
TPS 386 1.8 88 1.4 584 18.2 21.5
電気・ガス・水道 19 16.3 2 単位以下 0 0.0 16.3 建設 114 2.2 38 0.3 255 9.4 11.8 芸術・娯楽 7 0.1 1 11.2 9 単位以下 11.3 ホテル・飲食サービス 102 0.3 21 0.6 311 4.9 5.8 情報通信 243 2.7 47 0.9 321 2.0 5.6 運輸・倉庫 73 2.1 24 0.5 131 1.5 4.1 合計(その他を含む) 3,046 179.8 1,169 76.0 6,496 98.9 354.7
図表8 2018年の対ベトナム外国投資(産業分野別)
出所:ベトナム外国投資庁(FIA)データより作成、認可額ベース TPS=Technical Professional Service
「有望理由」は、「現地マーケットの今後の成長 性」(70.1%)が前年調査に続き第1位となって いる。第2位の「安価な労働力」の回答率は低 下傾向にあるものの、こちらも前年調査に続き 52.1%となり、上位10か国の中ではミャンマー、
フィリピンに次いで高い数字である。「安価な労 働力」が「優秀な人材」(25.0%)と合わせて評 価されている点がベトナムの特徴である。また、
図表にはないが、「政治・社会情勢が安定している」
も16.0%と高く、上位10か国の中で同回答率が 2桁台となっているのはベトナムの他に米国とマ レーシアのみである。
②「長期的」に有望な事業展開先としてのベトナム 「長期的」に有望な事業展開先国としてのベト ナムは、2008年以降、5位(2008年、2009年、
2011年、2012年)乃至4位(2010年、2014年
~2016年)を付けていたが、2017年に3位に浮 上し、2018年も3位(インドネシアと同率)をキー プしている長期的に有望な投資先国である(図表 12)。
(4)ベトナムへの日本からの投資
日本からベトナムへの2018年の新規投資の 業種別件数とその割合は図表13の通りである。
製造業(108件、25%)と小売・卸売(95件、
22%)の割合が大きく、コンサル関連(82件、
19%)が続く。
2018年の日本からベトナムへの製造業の新規 投資は16億7千6百万米ドルであった。認可額 は2013年以降減少が続いていたが6年ぶりに大 きく増加した(図表14)。認可件数も前年に続き 増加となり(106件、取消案件を除く)、製造業 の投資が再び活気を帯びている。
ベトナムにおける日本の製造業の拡大を支えて
有望理由(回答社数計:144社) 社数 比率
①現地マーケットの今後の成長性 101 70.1%
②安価な労働力 75 52.1%
③優秀な人材 36 25.0%
④現地マーケットの現状規模 33 22.9%
⑤第三国輸出拠点として 24 16.7%
図表11 中期的な有望国・地域としてのベトナムの有望理由
出所: 国際協力銀行(JBIC)「わが国製造業企業の海外事 業展開に関する調査報告-2018年度海外直接投資 アンケート結果(第30回)-」
2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年
順位 国・地域 国・地域 国・地域 国・地域 国・地域 国・地域 国・地域 国・地域 国・地域 国・地域 国・地域 1位
2位 3位 4位 5位 6位 7位 8位 9位 10位
中国 インド ベトナム ロシア タイ ブラジル 米国 ネシア 韓国 台湾
中国 インド ベトナム タイ ロシア ブラジル 米国 ネシア 韓国 マレーシア
中国 インド ベトナム タイ ブラジル ネシア ロシア 米国 韓国 台湾
中国 インド タイ ベトナム ブラジル ネシア ロシア 米国 マレーシア 台湾
中国 インド ネシア タイ ベトナム ブラジル メキシコ ロシア 米国 ミャンマー
ネシア インド タイ 中国 ベトナム ブラジル メキシコ ミャンマー ロシア 米国
インド ネシア 中国 タイ ベトナム メキシコ ブラジル 米国 ロシア ミャンマー
インド ネシア 中国 タイ ベトナム メキシコ 米国 フィリピン ブラジル ミャンマー
インド 中国 ネシア ベトナム タイ メキシコ 米国 フィリピン ミャンマー ブラジル
中国 インド ベトナム タイ ネシア 米国 メキシコ フィリピン ミャンマー
ブラジル、韓国
中国 インド タイ ベトナム ネシア 米国 メキシコ フィリピン ミャンマー マレーシア
図表10 国際協力銀行の「海外直接投資アンケート」における「中期的(今後3年程度)有望な事業展開先」
出所:国際協力銀行(JBIC)「わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告(海外直接投資アンケート)」2008年~
2018年より筆者作成 ネシア=インドネシア
2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年
順位 国・地域 国・地域 国・地域 国・地域 国・地域 国・地域 国・地域 国・地域 国・地域 国・地域 国・地域 1位
2位 3位 4位 5位 6位 7位 8位 9位 10位
インド 中国 ロシア ブラジル ベトナム タイ 米国 ネシア 南アフリカ メキシコ
中国 インド ロシア ブラジル ベトナム タイ ネシア 米国 南アフリカ マレーシア
インド 中国 ブラジル ベトナム ロシア ネシア タイ 米国 マレーシア 台湾
インド 中国 ブラジル ネシア ベトナム タイ ロシア 米国 メキシコ マレーシア
インド 中国 ネシア ブラジル ベトナム タイ ロシア ミャンマー メキシコ 米国
インド 中国 ネシア ブラジル タイ ベトナム ミャンマー ロシア メキシコ 米国
インド ネシア 中国 ベトナム タイ ブラジル ミャンマー ロシア メキシコ 米国
インド ネシア 中国 ベトナム タイ ブラジル ミャンマー メキシコ 米国 ロシア
インド 中国 ネシア ベトナム タイ メキシコ ミャンマー 米国 ブラジル フィリピン
インド 中国 ベトナム ネシア タイ 米国 ミャンマー メキシコ ブラジル フィリピン
インド 中国
ベトナム、ネシア
- タイ 米国 ミャンマー、
(同)メキシコ
(同)ブラジル フィリピン
図表12 国際協力銀行の「海外直接投資アンケート」における「長期的(今後10年程度)有望な事業展開先」
出所:国際協力銀行(JBIC)「わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告(海外直接投資アンケート)」2008年~
2018年より筆者作成 ネシア=インドネシア
いるのが、既にベトナムに拠点を構える日系企業 による追加投資である。前に書いた通り、国際協 力銀行の2018年調査で、ベトナムについて「事 業強化・拡大姿勢」と回答した企業は64.0%(2017 年調査では66.4%)であり、引き続き日本企業の 同国への投資意欲は強く、追加投資拡大を裏付け ている。
(5)投資先としてのベトナムの優位性
ベトナムは東南アジア主要国で最高水準の実質 成長率を続け、外資を呼び込んでいる。既に書い たように、米中貿易戦争(貿易摩擦)が長引けば、
中国から生産拠点の移転が一段と増えることが予 想されるが、ベトナムが投資環境の良さや中国と
の至近性、東南アジアの中心に位置する地理的優 位性から、アジアでは最大の経済的「恩恵」を受 けると考えられる。その恩恵は同国の実質成長率 を0.5%程度引き上げる効果があるとの日系研究 所(みずほ総合研究所)の分析があることは上に 述べた通りである。
既に書いたことに敷衍しながら、対ベトナム投 資の優位性をあらためて整理する。
①成長する国内市場
ASEAN加盟10か国の中でインドネシアとフィ リピンに次ぐ9,600万人を超える人口を有するベ トナムは、まず国内消費マーケットとして魅力的 である。1人あたり所得・支出も年々増加し、小 売・サービスの総売上高は2,057兆ドン(2016年)
に達している。また、ベトナムは平均年齢も31 歳と非常に若く、伸び盛りの国である点も国内市 場としての魅力を高めている。今後、労働力確保 や土地価格の上昇等から、既に散見される外資企 業の地方への進出が加速すると想定される。地方 への外資企業の進出に伴い、地方部の所得水準の 向上が見込まれ、都市部が牽引してきている消費 の底上げも期待される。
国内小売・卸(流通)では、2009年の規制 緩和により100%外資での企業設立と参入が可 能となった点もプラスである。但し、外資の小 売・卸売企業が2店舗目以降の店舗を出す場合に Economic Needs Test(経済的ニーズ考査、ENT)
と呼ばれる当局の審査を経る必要がある。現状、
この審査基準の詳細規程が明確にされていない14 等、未だ「参入障壁」が高い分野もある点は留意 を要する。また、ベトナムは国土が南北に細長く、
都市部が離れていることもあり、地方部でのマー ケット開拓は地場企業のネットワーク活用がカギ となる等、販路の構築には現地ベトナム企業との 連携が求められる。
②若くて優秀な人材
前述したように、ベトナム人の平均年齢は31 歳と若く、かつUNESCO(国際連合教育科学文 化機関)の統計では、15歳以上の人口の識字率
(2009年時点)は93.5%であり、ほとんどのベト ナム人が字を読める。また休日が少なく、実働は 300日以上で遅刻や無断欠勤がほとんどない等、
統計データから読み取れるベトナム人像は若く優 秀で真面目である。上述の国際協力銀行の調査に 図表13 日本の対ベトナム2018年新規投資の業種別
比較(件数・割合。認可ベース)
認可取消案件を含む。
出所:ジェトロ、データ:ベトナム計画投資省。
図表14 日本の製造業の対ベトナム新規投資推移
(認可ベース)
出所: ジェトロ、ベトナム計画投資省データ(取消案件 を除く)
おいても、ベトナムを有望視する理由の上位に「優 秀な人材」が挙げられており、一般的なベトナム 人の特徴として、勤勉で、言われたことをしっか りやるといった特質を挙げる日本人は多い。実際、
向学心が高い労働者は、夕方仕事が終わってから 語学学校や専門学校等に通う者も多い。「性格は 概して温和で、ほとんど口論はしない」というの が現地駐在日本人による平均的ベトナム人評であ る。
③政治・社会の安定性
ベトナムは社会主義体制を維持しているため、
政策運営に大きな振れがなく政治的に安定感があ る。また、治安は良く、仏教(大乗仏教)精神が 広く行き渡り、憲法で信教の自由が国民に保証さ れ、宗教的対立もない等から、社会的にも安定し、
また親日度も高い。
④自由貿易の拡大
2000年以降、米越通商協定の発効(2001年 12月)やWTO加盟(2007年1月)を契機にベト ナム政府はインフラや法令等の整備を急ピッチで 進めてきた。近年では、日本との経済連携協定
(EPA)の発効(2009年10月)や、韓国、ユーラ シア経済連合(EEU)、EU との自由貿易協定(FTA)
の合意・発効により、繊維・縫製品や、近年輸出 主要品目となった携帯電話等の輸出増加が期待さ れている。先に述べたように、ベトナムはTPPの 締約国として、TPP11の発効により同協定の恩恵 を最も受ける国と評価されている。さらに今後、
東アジア域内の16か国の広域的自由貿易協定で あるRCEP(東アジア地域包括的経済連携)が締 結され発効した場合も、ベトナムが最も恩恵を受 ける国の一つになると推測される。
⑤投資先として絶好の位置
ベトナムは国土が南北に細長く、北は中国、西 はラオス、南西はカンボジアと国境を接している。
東と南は南シナ海に面し、フィリピンやボルネオ 島(マレーシアやブルネイ、インドネシア)やマ レー半島(マレーシアおよびタイ)と相対する。
同国はASEANのほぼ中央に位置し、ASEAN諸国 の主要都市への距離は、ハノイあるいはホーチミ ンから2,000km以内にある。また、ハノイから 中国国境までは200km弱で、陸路での所要時間 はわずか2時間強で、中国華南地域の産業集積や 中国南西部市場へのアクセスが良いことから、特
にベトナム北部を中心に関心が高まっている。ま た、ASEAN加盟国の一員として、発展を続ける ASEAN・中国華南の中央に位置するベトナムは、
投資先として地理的にも絶好の位置にある。
(6)ベトナム投資の課題(技術移転と投資留意点)
①国内企業への技術移転
ベトナムは1986年のドイモイ政策導入以降、
社会主義国でありながら市場経済原理を取り入れ ることにより経済改革を行い、経済発展を目指 してきた。ドイモイ導入の2年後の1988年には 外国投資法を施行しFDIを受け入れ始めた。それ から2018年で30年目を迎え、同国が受け入れる FDIはGDPの20%近くを占めるまでになった。
同国のグエン・スアン・フック首相は2018年 10月4日のハノイでの外国直接投資30周年を記 念した計画投資省主催カンファレンス「ベトナム への外国投資誘致30周年を振り返って」の講演 で、「FDI企業の取り組みがGDP平均成長率6.5%
の安定成長に寄与し、国内雇用や輸出の増加等、
ベトナム経済に多大な貢献をしている」と評価した。
一方、フック首相は講演の中で、FDI企業から国 内企業への技術移転が不十分であり、国内で人材 育成や高付加価値品の製造が促進されていない点 を指摘している。ベトナム政府は、2018年7月 1日に新技術移転法を施行し、技術移転を推進し ている。ベトナムで生産できない製品の技術移転 に対して、税制面での優遇措置を設けるとともに、
ベトナムへの技術移転の登録が義務化され、科学 技術省により技術移転内容や移転価格の検証が行 われるようになった。今後のFDIの方針として、
ハイテク産業の誘致による国内産業と人材の育成、
地場企業とFDI企業の合弁企業設立を奨励し、ベ トナムへの技術移転を促すとともに移転価格の監 視体制を強化すること等が打ち出されている。
②課題と留意点
ここまでベトナム投資の魅力を見てきたが、留 意すべき点もある。同国への投資に当たっての留 意点として、(1)賃金(上昇傾向にある)、(2)
法務・税務処理の難しさ・不透明性、(3)イン フラの未整備、(4) 高度(管理職クラス)人材 の確保難、(5)裾野産業の未発達等、がある。
上掲の国際協力銀行の2018年度投資アンケート によれば、日本企業が抱いているベトナムへの中
期的な投資の「課題」として以下が挙げられてい る(図表15)。
ベトナム投資の課題の第1位は「労働コストの 上昇」(34.6%)である。中国に比べると人件費 は未だ全体的に安価であるが、ここにきて上昇率 が高まっており、いつまで比較優位であり続けら れるかといった点が課題の首位にある。課題の第 2位は「法制の運用が不透明」(32.3%)である。
法制運用の不透明さについては、時に政府の政策 や方針に一貫性や統一性の無さが見受けられ、そ のために突然法律が変更され、あるいは一旦承認 されていたものが新しい法規制によりひっくり返 されるといったことがある。中には朝令暮改的な 法改正もあり、これに振り回されたりする、とい うものである。また、法律やその施行細則が、制 定後に担当者レベルに浸透するまで時間がかかり、
そのため運用面で不要なトラブルとなったりする ケースも見られるようである。
課題の第3位は「他社との厳しい競争」と「管 理職クラスの人材確保が困難」(同順位31.5%)
である。過去の戦争により中高年齢層の人口が多 くないことから、人材難は管理職に留まらず、技 術者、熟練労働者の慢性的不足に及んでいる。課 題の第5位の「インフラが未整備」は、前年調査 に比べ1.8ポイント減少したものの25.2%と引き 続き高い水準にある。ベトナム政府は外資を呼び 込むための一丁目一番地ともいえるインフラ(電 気・ガス、上下水道、道路、鉄道、内陸水運、港 湾、空港等)の整備を鋭意進めてきてはいるが、
現状は未だ不十分であるとの評価である。物流コ ストも高めで電力、通信料金も引上げられること もあり、これらについても改善が望まれる。
ベトナム進出に当たっては、全体的に以上のよ うな諸課題に留意が必要である。
おわりに
本稿では、前半で、まず経済に関連する分野を 中心にベトナムを外観し、次に同国の足元の経済 データ(GDP成長率、物価、貿易)を確認しなが ら、同国経済好調の要因と同国経済の課題につい て分析した。後半では、同国の魅力的な投資環境 と主要国・地域から流入して止まない外国直接投 資の状況をデータを踏まえて確認した。
ベトナムは人口9,600万人を擁し、平均年齢も 31歳と若くポテンシャルの高い国であり、成長 に鈍化傾向が見えるアジア諸国・地域の中で高い 経済成長を続けている。またその地理的優位性と 魅力ある投資環境から、世界各国・地域の有力企 業が豊富な労働力と安価な人件費を求めて生産拠 点をベトナムにシフトさせている。ベトナム経済 の好調要因は、豊富で若い労働力と活況な国内消 費、TPP加盟や全方位外交による外国資本の呼び 込み、理数系教育に力点を置く政策等に求められ る。一方、長年に亘り取り組まれてきた国営企業 の改革は道半ばであり、TPP発効を受けて喫緊の 課題となっている。
ベトナムの投資環境の高い魅力度は企業アン ケート調査からも明らかで、現地マーケットの今 後の成長性や安価な労働力、優秀な人材等に有望 理由が求められる。投資インセンティブとして税 制優遇措置も導入されており、結果、大型案件を 含め外国からの投資は着実に増加している。更な る外国投資誘因に向けた課題として、労働コスト の上昇、法制運用の不透明性、管理職クラスの人 材確保困難、インフラ未整備等が挙げられ、今後 これらの改善が望まれる。
ベトナムはTPP(CPTPP)の締約国であること からも分かるように、社会主義国であるにも関わ らず経済の開放度合いが高い国である。そのこと は世界経済の動向に対し様々な影響を受けること も意味する。従って、ベトナムがEUとFTAを結ぶ 等、保護主義に対抗する政策を取ることや全方位 外交的な政策、国際関係における「多国間主義と 多様化」により世界の国々との協調や貿易・投資 関係深化政策を取るのは望ましいことである。
収束の道筋が見えない米中貿易戦争(貿易摩擦)
が激化すると、「漁夫の利」の経済的メリットを ベトナムが得ることになるとの指摘はその通りで あろう。米中貿易戦争により中国から米国への輸
順位 課 題(回答社数計:127社) 社数 比率 1 労働コストの上昇 44 34.6%
2 法制の運用が不透明 41 32.3%
3 他社との厳しい競争 40 31.5%
4 管理職クラスの人材確保が困難 40 31.5%
5 インフラが未整備 32 25.2%
図表15 ベトナムの中期的有望国としての「課題」
出所:国際協力銀行(JBIC)「わが国製造業企業の海外 事業展開に関する調査報告-2018年度海外直接投資アン ケート結果(第30回)-」