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プリント配線基板内蔵用高容量薄膜コンデンサの開発

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Academic year: 2021

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(1)

*1 化学繊維研究所

プリント配線基板内蔵用高容量薄膜コンデンサの開発

チタン酸バリウムナノ粒子凝集体の解砕方法の検討

藤吉 国孝

*1

有村 雅司

*1

牧野 晃久

*1

山下 洋子

*1

Development of a Film Capacitor Embedded Print Wiring Board with a High Capacitance Density

Study on the Method of Disaggregation of Nano-Sized Particles of Barium Titanate Kunitaka Fujiyoshi, Masashi Arimura, Teruhisa Makino, Yoko Yamashita

高濃度ゾルゲル法

1)

によって調製したゲル状のチタン酸バリウムナノ粒子凝集体を,大量にかつ早く解砕・分散 可能な方法を見出すことを目的に,種々の微粒化方法について検討した。コロイダーでは約130nm,超音波ホモジ ナイザーでは約40nmまでしか解砕されなかったが,湿式衝突型粉砕器では15nmまで,超音波照射器では10nmまで解 砕できた。また,超音波ホモジナイザー,超音波照射器を用いた方法では大容量化が難しく,湿式衝突型粉砕器で は大粒径粒子からの解砕は難しいことから,チタン酸バリウムナノ粒子の分散性の良い溶液を大量に調製するには,

コロイダー等である程度解砕してから湿式衝突型粉砕器で解砕・分散処理するのが好ましいと考えられる。

1 はじめに

近年のナノテク技術の進展に伴い,ナノサイズの粒 子を製造する手法が非常に重要となってきている。

一般に超微粒子を製造するためには,媒体(メディ ア)を利用し原料である粗粒子を機械的な力で押しつ ぶす方法が用いられている。しかしこの方法では,メ ディアの摩耗粉(不純物)の混入,処理時間が長い等 の問題がある。一方で,これらの問題を解決し,大量 にかつ早く解砕・分散可能な新たな方法が種々検討さ れている。

ところで著者らは,チタン酸バリウム(BaTiO

3

)ナ ノ粒子が分散したナノ粒子分散溶液を基板上に塗布す ることで,薄膜コンデンサの作製を行っている

1)

。分 散溶 液 の作 製 は, 高 濃度 ゾ ルゲ ル 法に よ り調 製 した BaTiO

3

ナノ粒子凝集ゲルを分散媒中に投入し,超音波 によってこれを解砕および分散することによって行っ ている

1)

。薄膜コンデンサの特性向上のためには,分 散溶液中のBaTiO

3

ナノ粒子の分散性が高い必要性があ り,また,分散溶液の量産化を考慮する上では,解砕 および分散速度の向上が必要不可欠である。

よって本研究では,高濃度ゾルゲル法によって調製 したゲル状のBaTiO

3

ナノ粒子凝集体を,大量にかつ早 く解砕・分散可能な方法を見出すことを目的に,種々 の微粒化方法について検討した。

2 研究,実験方法

2-1 チタン酸バリウム(BaTiO

3

)ナノ粒子凝集体の調製 図1にBaTiO

3

ナノ粒子ゲルの調製のフローチャート を示す。まず,等モルのバリウムジエトキシド(高純 度化 学 研究 所 製) と チタ ン テト ラ イソ プ ロポ キ シド

(キシダ化学製)を,乾燥窒素雰囲気中においてメタ ノールと2-メトキシエタノールの混合溶媒へ溶解させ て , 1.0mol/Lの 前 駆 体 溶 液 を 調 製 し た 。 前 駆 体 溶 液 を-30℃まで冷却した後,撹拌しながら水/メタノー ル混合溶媒(体積比1:1)を滴下し加水分解を行った。

水/メタノール混合溶液の滴下量は,水の添加量が前

CH3OH + CH3OC2H4OH (3:2)

乾燥窒素雰囲気

加水分解

エージング

30 ℃まで加熱

-30℃

30 ℃,数日間

Ba(OC2H5)2 Ti(O-isoPro)4 BaTiO3前駆体溶液

BaTiO3ナノ粒子凝集ゲル

H2O/MeOH (1:1(vol) ) CH3OH + CH3OC2H4OH (3:2)

乾燥窒素雰囲気

加水分解

エージング

30 ℃まで加熱

-30℃

30 ℃,数日間

Ba(OC2H5)2 Ti(O-isoPro)4 BaTiO3前駆体溶液

BaTiO3ナノ粒子凝集ゲル

H2O/MeOH (1:1(vol) )

図1 BaTiO

3

ナノ粒子凝集体ゲルの調製プロセス

(2)

駆体溶液中のTiに対して10モル倍となるようにした。

加水分解終了後,30℃で数日間の熟成(エージング)

処理を行うことで,結晶子径(一次粒径)が約10nmの BaTiO

3

ナノ粒子から構成されるゲル体(BaTiO

3

ナノ粒 子ゲル)を調製した。なお,このBaTiO

3

ナノ粒子ゲル の粒径(凝集径)は数mm程度である。

分散媒である2-メトキシエタノール中にBaTiO

3

ナノ 粒子凝集体ゲルを投入し,2-2~2-5の方法にてBaTiO

3

ナノ粒子凝集体の解砕を行った。

2-2 超音波ホモジナイザーを用いたチタン酸バリウム

(BaTiO

3

)ナノ粒子凝集体の解砕

ガラス製の容器に2-メトキシエタノールとBaTiO

3

ナ ノ粒子凝集体ゲルを濃度0.2mol/L,液量5mLとなるよ うに投入し,(株)トミー精工製の超音波発生機UD-201 のプローブを溶液中に入れ,超音波を所定時間照射し てナノ粒子凝集体ゲルの解砕を行った。

2-3 超音波照射器を用いたチタン酸バリウム(BaTiO

3

)ナ ノ粒子凝集体の解砕

ガラス製の容器に2-メトキシエタノールとBaTiO

3

ナ ノ粒子凝集体ゲルを濃度0.2 mol/Lとなるように投入 し,超音波を所定時間照射してナノ粒子凝集体ゲルの 解砕を行った。超音波の照射は,分散液容器を超音波 振動子が入った水槽中へ図2に示すように配置して間 接的に行った。なお,超音波発生装置には,投込型の 発 振 子 を 有 す る 超 音 波 発 生 器 ( カ イ ジ ョ ー 製 , TA- 4021)を使用し,超音波の発振周波数は19.5kHzとし た。また,超音波照射時には,恒温水循環装置によっ て水槽中の温度を20℃とした。

図2 超音波照射系の概略図

2-4 湿式衝突型粉砕器(アルティマイザー)を用いたチタ ン酸バリウム(BaTiO

3

)ナノ粒子凝集体の解砕

ガラス製の容器に2-メトキシエタノールとBaTiO

3

ナ ノ粒子凝集体ゲルを濃度0.25mol/L,液量1Lとなるよ

うに投入し,2-2で記述した方法でナノ粒子凝集体ゲ ルを約60nmまで解砕した。この液を(株)スギノマシン 製のアルティマイザーHJP-25005を用いて,噴射圧力 245MPaで液を対向衝突させ,ナノ粒子凝集体ゲルの解 砕を行った。

2-5 コロイダーを用いたチタン酸バリウム(BaTiO

3

)ナノ粒 子凝集体の解砕

(株)エスエムテー製のミニコロイダーMC-1に,2-メ トキシエタノールとBaTiO

3

ナノ粒子凝集体ゲルを濃度 0.2mol/L,液量1Lとなるように投入し,8000rpmで所 定時間処理し,ナノ粒子凝集体ゲルの解砕を行った。

2-6 ナノ粒子解砕状態の評価

ナノ粒子凝集体の解砕状態の評価は,凝集径の変化 を測定することで行った。凝集径の測定は,動的光散 乱方 式 によ る 粒度 分 布測 定 装置 ( マル バ ーン 社 製,

Nano-ZS)に よって行 い, キュムラ ント 法

2)

により 算 出された平均粒径を凝集径と定義した。

3 結果と考察

3-1 超音波ホモジナイザー処理による平均粒径の変化 5mLのBaTiO

3

ナノ粒子凝集体を含むサンプル溶液に 超音波処理し,所定時間おきに凝集体の平均粒径を測 定した。その結果(図3),処理時間と共に凝集径は減 少していき,当初数mm程度の大きさのBaTiO

3

ナノ粒子 凝集体が,10分後に約40nmにまで解砕できた。しかし,

一次粒子の粒径である10nmまでは解砕・分散できなか ったことから,次に超音波照射を検討した。

0 20 40 60 80 100 120 140

0 10 20 30 40

処理時間(min)

平均粒径(nm)

図3 超音波ホモジナイザー処理によるBaTiO

3

ナノ粒 子凝集体の平均粒径の変化

3-2 超音波照射による平均粒径の変化

5mLのBaTiO

3

ナノ粒子凝集体を含むサンプル溶液に 超音波振動子

BaTiO3

分散液 水温:20℃

水槽 超音波振動子

BaTiO3

分散液 水温:20℃

水槽

(3)

超音波処理し,所定時間おきに凝集体の平均粒径を測 定した。その結果,処理時間と共に凝集径は減少して いき,20分後に約20nm,120分後に12nmまで解砕され,

ほぼ一次粒子にまで解砕・分散するのに120分の時間 を要した。

一方,本手法では,処理する液量を数百mL程度まで にしか増やせず,また液量を数百mL程度にするとほぼ 一次粒子にまで解砕・分散するのに24時間程度の時間 が必 要 であ っ た。 そ こで , 多く の 液量 を 短時 間 で解 砕・分散する装置として湿式衝突型粉砕器に着目し,

次に検討した。

3-3 湿式衝突型粉砕器(アルティマイザー)処理による凝 集径の変化

アルティマイザーの装置模式図を図4に示す。装置 に入れられた溶液に超高圧をかけて互いに衝突させ微 粒化する装置である。短時間で微粒化が可能,粉砕媒 体を使用していないためコンタミネーションが少ない,

均一でシャープな粒度分布が得られる,連続処理が可 能で大容量化も容易であるといった特徴がある。

図4 湿式衝突型粉砕器(アルティマイザー)の 装置模式図

1LのBaTiO

3

ナノ粒子凝集体(平均粒径約60nm)を含 むサンプル溶液をアルティマイザーで処理し,所定時 間おきにサンプリングして凝集体の平均粒径を測定し た。その結果(図5),パス回数5回で約15nmのほぼ一 次粒子にすることができた。ここでパス回数とは,衝 突回数であり,パス回数5回に要する時間は約10分間 であった。

このように,10分間という短時間で1Lの溶液を処理 することができた。しかし,アルティマイザーでは,

ノズル径の大きさの関係から,BaTiO

3

ナノ粒子凝集体 の大きさを,当初の数mmから数十μm以下に予め解砕 しておく必要がある。そこで次に,多くの液量を短時

間で数十μm以下に解砕・分散する装置としてコロイ ダーに着目し,次に検討した。

図5 湿式衝突型粉砕器(アルティマイザー)処理 による平均粒径の変化

3-4 コロイダー処理による凝集径の変化

ミニコロイダーの装置模式図を図6に示す。ホッパ ーから供給された溶液サンプルは,高速回転するロー ターとその周囲の固定されたステーターの間を通過す ることにより,非常に強力な衝撃,剪断,圧縮,摩擦 等の力が与えられる。さらにこの時,高速回転による キャビテーション作用によっても粒子が微粒化される。

図6 ミニコロイダーのフロー模式図

1LのBaTiO

3

ナノ粒子凝集体(凝集体径数mm)を含む サンプル溶液をミニコロイダーで処理し,所定時間お きにサンプリングして凝集体の平均粒径を測定した。

そ の 結 果 ( 図 7), 処 理 時 間 5分 で 数 mm の 凝 集 体 が 約 180nmまで解砕され,その後,徐々に解砕されて420分 で134nmとなった。

よって,5分間程度ミニコロイダー処理により粗粉 砕した後,湿式衝突型粉砕器(アルティマイザー)で

0 10 20 30 40 50 60 70

0 5 10 15 20

パス回数

平均粒径(nm)

OUT IN

OUT IN

(4)

処理することで,1L程度のBaTiO

3

ナノ粒子分散溶液を 数十分で調製可能であると考えられる。

図7 ミニコロイダー処理による平均粒径の変化

4 まとめ

本研究では,高濃度ゾルゲル法によって調製したゲ ル状のチタン酸バリウムナノ粒子凝集体(凝集径数mm 程度)を,大量にかつ早く解砕・分散可能な方法を見 出すことを目的に,種々の微粒化方法について検討し た。その結果,コロイダーで粗粉砕した後,湿式衝突 型粉砕器で処理することで,1L程度のチタン酸バリウ ムナノ粒子分散溶液を数十分で調製可能なことが明ら かとなった。

5 謝辞

本研究は,NEDO技術開発機構平成17年度産業技術研 究助成事業の助成を受け実施しております。

6 参考文献

1) 桑 原 誠 ら : セ ラ ミ ッ ク ス , Vol.36, No.6, p.415- 416(2001)

2)日本工業規格:JISZ8826, P.8-P.9(2005) 100

110 120 130 140 150 160 170 180 190 200

0 60 120 180 240 300 360 420 処理時間(min)

平均粒径(nm)

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