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医薬品作物、医療用素材等の開発(プロジェクト研究成果シ リーズ561)

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(1)

医薬品作物、医療用素材等の開発(プロジェクト研究成果シ リーズ561)

誌名

誌名 医薬品作物、医療用素材等の開発 = Research for agri-health translational research project

巻/号

巻/号 561号

掲載ページ

掲載ページ p. 1-386 発行年月

発行年月 2016年3月

農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター

Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat

(2)

農林水産技術会議事務局

561

研究成果  医薬品作物︑医療用素材等の開発

医薬品作物、医療用素材等の開発

Research for Agri-Health Translational Research Project

(3)

医薬品作物、医療用素材等の開発

Research for Agri-Health Translational Research Project

2 0 1 6 年 3 月

(4)

序   文

 研究成果シリーズは、農林水産省農林水産技術会議が研究機関に委託して推進した研究の成果を、総合的 かつ体系的にとりまとめ、研究機関及び行政機関等に報告することにより、今後の研究及び行政の効率的な 推進に資することを目的として刊行するものである。

 この第 561 集「医薬品作物、医療用素材等の開発」は、農林水産省農林水産技術会議の委託プロジェクト 研究として、2010 年度から 2014 年度までの 5 年間にわたり、独立行政法人農業生物資源研究所を中心に実 施した研究成果をとりまとめたものである(2010 年度から 2012 年度は「アグリ・ヘルス実用化研究促進プ ロジェクト」、2013 年度から 2014 年度は「農林水産資源を活用した新需要創出プロジェクト」として実施、

6 課題のうち、1 課題は 2013 年度までの 4 年間で終了)。

 今後、少子高齢化の一層の進行が見込まれる中、国内の農業・食料関連産業の市場規模の維持・拡大を図 るためには、新たな需要を開拓していくことが重要となっており、農林水産物の機能性成分が有する疾病予 防機能などを活用していくことも有効な手段である。この実践のためには、農林水産物が有する機能性成分 の有効性や、それらを含む農林水産物の個人に適した効果的な摂取条件等を科学的に明らかにすることが課 題とされている。

 本研究では、「スギ花粉症治療薬候補となるコメの開発」、「スギ花粉症以外の疾患治療薬候補となるコメ の開発」、「絹糸タンパク質を用いた小口径人工血管の開発」、「絹糸タンパク質を用いた創傷被覆材、角膜再 生材料等新素材の開発」、「カイコによるヒト ・ 動物用医薬品の開発」、「牛等の動物由来の原料を用いた医療 用新素材の開発」を実施しており、医薬品作物の開発及び医療用新素材等の開発等を通じて、農業の潜在力 の発揮による新産業 ・ 市場の創出及び高齢化社会に向けた国民の QOL の向上に資することを目的とした。

 この研究の成果は、新たな医薬品・医療用素材の実用化の推進に貢献するとともに、今後の農林水産関係 の研究開発及び行政を推進する上で有益な知見を与えるものと考え、関係機関に供する次第である。

最後に、本研究を担当し、推進された方々の労に対し、深く感謝の意を表する。

 2016 年 3 月

農林水産省農林水産技術会議事務局長    西郷 正道  

(5)

目   次

第1編 スギ花粉症治療薬候補となるコメの開発

研究の要約……… 1

第1章 スギ花粉症治療米の治験薬としての製造技術の開発……… 9

  1 スギ花粉症治療米の栽培管理技術と大量安定供給の確立……… 9

  2 治験薬 GMP に準拠したスギ花粉症治療米の加工プロセスの開発………28

第2章 スギ花粉症治療米の治験薬としての有効性及び安全性の評価………54

  1 モデル動物を用いたスギ花粉症治療米の有効性・安全性の評価………54

  2 スギ花粉症治療米の医薬品としての安全性評価及び治験………74

    第2編 スギ花粉症以外の疾病治療薬候補となる農作物の開発 研究の要約………92

第1章 アレルギー性疾患(喘息・皮膚炎・食物)と炎症性腸炎疾患治療のための     遺伝子組換え米の開発……… 105

  1 アレルギー性疾患(皮膚炎)のための遺伝子組換え米の開発……… 105

  2 アレルギー性疾患(喘息)のための遺伝子組換え米の開発……… 108

  3 アレルギー性疾患(炎症性腸炎)のための遺伝子組換え米の開発……… 117

第2章 食物アレルギー治療のための遺伝子組換え米の開発……… 123

  1 OVA23-3 マウス、DO11.10 マウスモデルを用いた治療法開発……… 123

  2 Th2 細胞の移入などによる食物アレルギーモデルの構築と治療法開発……… 132

第3章 関節リウマチ治療のための遺伝子組換え米の開発……… 136

第4章 各種アレルギーや自己免疫疾患治療における遺伝子組換え米の作出……… 143

第3編 絹糸タンパク質を用いた小口径人工血管の開発 研究の要約……… 152

第1章 絹人工血管の動物実験評価……… 157

第2章 絹人工血管の作製……… 163

第3章 人工血管用 TG 絹の作製……… 167

第4編 絹糸タンパク質を用いた創傷被覆材、角膜再生材料等新素材の開発 研究の要約……… 175

第1章 絹タンパク質を用いた軟骨再生材料の開発……… 184

  1 フィブロインを用いた軟骨再生用担体の開発……… 184

  2 フィブロインによる cell-delivery の最適化設計……… 188

第2章 絹タンパク質を用いた角膜再生材料の開発……… 194

  1 絹材料を基盤とした角膜再生材料の研究開発……… 194

第3章 絹タンパク質を利用する脊髄損傷保護・神経再生材料開発……… 218

  1 絹タンパク質を用いた神経再生材料の開発……… 218

  2 絹タンパク質を利用する脊髄損傷被覆・再生治療材料の開発と評価……… 221

第4章 再生医療用材料のための絹タンパク質材料の高度化……… 224

  1 フィブロイン多孔質体の高度化の研究……… 224

(6)

  2 遺伝子組換えフィブロインによる絹タンパク質材料の高度化に関する研究……… 230

  3 絹タンパク質の機能性・安全性に関する研究……… 239

第5編 カイコによるヒト・動物用医薬品の開発 研究の要約……… 247

第1章 ヒトリソソーム病に対する高機能型治療薬の開発……… 257

  1 高機能型ヒト酵素を量産する遺伝子組換えカイコ系統の開発……… 257

  2 糖鎖付加修飾法の開発とネオグライコ酵素の作製……… 261

  3 治療用の高機能型ヒト酵素および酵素増強化合物の開発と評価……… 267

第2章 ヒト糖尿病治療薬、ガン治療薬、鎮痛薬等の開発……… 276

  1 各種ヒト病態モデルカイコの開発と時期特異的遺伝子発現系の確立……… 276

  2 ヒト型遺伝子発現病態モデルカイコを利用した慢性疾患治療薬の開発……… 279

  3 ヒト型Gタンパク質共役受容体発現カイコを利用した治療薬の開発……… 281

  4 組換えカイコを利用した医薬品シーズスクリーニング系の開発……… 285

第3章 ウシ用抗ウイルス薬および乳房炎治療薬の開発……… 288

  1 ウシ由来 IFN および GM-CSF 発現カイコ系統の開発と効率的抽出・精製法の構築……… 288

  2 抗ウイルス薬・ワクチンアジュバンド・乳房炎治療薬としての有効性の評価と     利用法の開発……… 292

  3 高感度 ELISA 測定システムの開発……… 303

第6編 牛等の動物由来の原料を用いた医薬用新素材の開発… 研究の要約……… 306

第1章 コラーゲンビトリゲル新素材の開発……… 315

  1 コラーゲンビトリゲル新素材に関する研究開発……… 315

  (1) 再生医療用のコラーゲンビトリゲル膜乾燥体の高度化に関する研究……… 315

  (2) 培養モデル再構築用コラーゲンビトリゲル膜チャンバーの高度化に関する研究……… 322

  (3) 一定の品質を有するコラーゲンビトリゲルの生産に関する研究……… 333

  (4) マグロ由来コラーゲンビトリゲルの開発に関する研究……… 340

第2章 再生医療技術の開発……… 343

  1 コラーゲンビトリゲルを用いた新規創部傷被覆材に関する研究開発……… 343

  2 コラーゲンビトリゲルを用いた角膜再生に関する研究開発……… 355

  3 コラーゲンビトリゲルを用いた人工気管に関する研究開発……… 360

  4 コラーゲンビトリゲルを用いた関節軟骨再生に関する研究開発……… 365

  5 コラーゲンビトリゲルを用いた人工鼓膜に関する研究開発……… 369

第3章 動物実験代替培養システムの開発……… 372

  1 動物皮膚感作性試験代替モデルに関する研究開発……… 372

  2 動物眼刺激性試験代替モデルに関する研究開発……… 377

(7)

Ⅰ 研究年次・予算区分

研究年次:2010 年度~ 2014 年度

予算区分:農林水産省農林水産技術会議 委託プ ロジェクト研究

「医薬品作物、医療用素材等の開発」

Ⅱ 主任研究者

業務執行組合員:(独)農業生物資源研究所 理事長

石毛 光雄(2010 ~ 2012 年度)

廣近 洋彦(2013 ~ 2014 年度)

推進リーダー:(独)農業生物資源研究所  遺伝子組換え研究センター 機能性作 物研究開発ユニット長

髙岩 文雄(2010 ~ 2012 年度)

遺伝子組換え研究センター 特任上級 研究員

髙岩 文雄(2013 ~ 2014 年度)

サブリーダー(1 スギ花粉症治療米の治験薬とし ての製造技術の開発):

(独)農業生物資源研究所

遺伝子組換え研究センター 機能性作 物研究開発ユニット長

髙岩 文雄(2010 ~ 2012 年度)

遺伝子組換え研究センター 特任上級 研究員

髙岩 文雄(2013 ~ 2014 年度)

サブリーダー(2 スギ花粉症知慮米の治験薬とし ての有効性及び安全性の評価):

(独)農業生物資源研究所

遺伝子組換え研究センター 機能性作 物研究開発ユニット長

髙岩 文雄(2010 ~ 2012 年度)

遺伝子組換え研究センター 特任上級 研究員

髙岩 文雄(2013 ~ 2014 年度)

Ⅲ 研究担当機関

独立行政法人農業生物資源研究所

(委託先)日本製紙株式会社

(委託先)株式会社サタケ

(委託先)株式会社プリベンテック

(委託先)公益財団法人東京都医学総合研究所

(委託先)国立大学法人島根大学

(委託先)学校法人慈恵大学東京慈恵会医科大学

(委託先)株式会社新日本科学

(委託先)独立行政法人国立病院機構相模原病院

Ⅳ 研究目的

1 スギ花粉症治療米の治験薬としての製造技 術の開発

 日本ではこれまで医薬品用組換え植物の栽培に治 験薬の製造品質管理基準(GMP)を適用した経験 がないため、イネの栽培を治験薬 GMP に準拠させ るために工程管理に必要な要素について調査 ・ 研究 を進め、前臨床試験のガイドラインや医薬品原材料 としての規格基準を策定する。同時に、日本製紙

(株)が有する大型特定網室にて、遺伝子組換えイ ネの水耕栽培を進め、治験薬製造及び医薬品原材料 としての品質管理に対応するための栽培管理技術を 確立する。

 スギ花粉症治療米を原材料とした治験薬を製造す る際の工程管理のために、製造段階における有効成 分量を管理する必要がある。そこで、有効成分が検 出できるモノクローナル抗体を作成し、ELISA 法 により有効成分を正確に定量する方法を開発する。

また、非臨床毒性試験ではスギ花粉症治療米を投与 した動物の血液中の有効成分量を測定する必要があ る。これらの測定は試験実施適正基準(GLP)に準 じた信頼性基準によって行う必要がある。

 精白米、パック米飯、精白米粉末の製造工程にお いて、治験薬 GMP に準拠した製造工程及び管理体 制の構築を図り、臨床用に使用可能な治験薬若しく は中間体の製造が可能な設備を構築する。

 また、スギ花粉症治療米の有効成分を多く残した 加工方法を確立するため、精密精米方式の開発、

パック米飯加工条件の見直し、精白米粉末加工によ る有効成分への影響の検討といった内容の検証を行 い、最も適した治験薬の製造方法を確立する。

第1編 研究の要約

(8)

2 スギ花粉症治療米の治験薬としての有効性 及び安全性の評価

 スギ花粉症治療米の導入したスギ花粉抗原タンパ ク質が断片化やシャッフル化による立体構造の改変 により免疫グロブリン(IgE)結合活性が失われて おり、安全であることを証明する。スギ花粉症治療 米粉末や有効成分を含む PB 分画をマウスに経口や 舌下投与し、スギ花粉抗原特異的により免疫寛容が 誘導されることを明らかにする。臨床症状がヒトに 近い、ニホンザルにスギ花粉症治療米を投与して、

安全性や治療効果があることを示す。コメを剤形に した経口免疫寛容剤の有効性を実証するため、スギ 花粉抗原由来の T 細胞エピトープを蓄積させたス ギ花粉症治療米を健常者やスギ花粉症患者に経口投 与して、副作用がなく安全であること、免疫寛容を 誘導できることを示す。

 医薬品の品質・規格・試験方法を決定するため

「医薬品としてのコメの考え方」及び「有効成分の 規格基準」に関しての医薬品戦略相談を実施し、遺 伝子組換えイネを栽培して得られたコメの医薬品に 関した規制当局の考え方を明らかにする。剤形を決 定し、原料、原薬、治験薬の品質・規格・試験方法 に関した医薬品戦略相談を実施する。非臨床試験の 実施内容について医薬品戦略相談を行い決定し、毒 性試験、薬物動態など必要とされるデータを収集 し、対面助言により了承を得る。

Ⅴ 研究方法

1 スギ花粉症治療米の治験薬としての製造技 術の開発

 日本製紙(株)の大型特定網室で、イネの栽培条 件の最適化の検討のため夏季と冬季で栽培試験を実 施する。大型特定網室内での栽培場所、冬季と夏季 での変動について比較し、品質の安定性について検 証する。

 治験薬 GMP に準拠した栽培技術を開発するため の各種要素技術を確立し、全ての手順を文書化し、

これを実行するための体制を明文化する。構築した 生産技術を検証するための栽培試験を行う。品質に 重要な影響を与える機器についてバリデーションを 行う等、治験薬 GMP・自主基準に対応した体制を 確立する。治験薬として、臨床試験にコメサンプル を供与するために、管轄省庁である厚生労働省に第

二種産業使用の申請を行う。

 治験薬 GMP・自主基準の各手順書に則って、製 造(栽培)を行う。品質検査を行い、検査結果が規 格内であることを確認し、治験薬原料を(株)サタ ケに出荷する。

 モノクローナル抗体の作製には、市販の天然ス ギ花粉から精製されたスギ花粉抗原 Cry…j…1 タンパ ク質(ペクテートリアーゼ)と Cry…j…2 タンパク質

(ポリメチルガラクツロナーゼ)、大腸菌で作った F1 と F3 タンパク質などを用いる。スギ花粉症治 療米からの有効成分の抽出にはバッファー+NaCl

+還元剤+界面活性剤を基本としてバッファーの種 類、pH、塩濃度、還元剤の種類と濃度、界面活性 剤の種類と濃度を検討する。

 ELISA は基本的にはサンプルを直接 ELISA プ レートに貼り付ける直接法で行い、ブロッキング を行った後、抗体を反応させる。発色はアルカリ フォスファターゼコンジュゲート二次抗体を用い て、ホスファターゼ活性測定キット発色試薬で p-Nitrophenyl…Phosphate(pNPP)を基質として用 い、405 nm の吸光度をマイクロプレートリーダー で定量する。

 スギ花粉症治療米を投与した動物の血清中の有効 成分の検出法の開発では、血清から血清アルブミン IgG をカラムにより除去したサンプルを、ウエスタ ンブロッティングにより検出する。

 信頼性基準組織を立ち上げ、標準作業手順書

(SOP)等を整備し、上記の試験を信頼性基準で行 うためバリデーションを行う。

 治験薬 GMP に準拠した管理体制を構築するため に、製造設備内と外部との隔離、空調の制御、室内 のクリーン度の管理等の整備を実施し、第二種使用 等拡散防止措置確認申請書の申請をする。また、治 験薬製造に関する各種基準書及び手順書の作成、各 種バリデーションの実施を行い、治験薬 GMP に準 拠した管理体制を構築する。

 精密精米方式の開発のため、精米機の仕様及び加 工条件について検討する。また、炭酸ガス処理によ る精米効率の向上及び熱処理による不活性化促進効 果についても検証する。

 パック米飯においては、加圧ムラや噴きこぼれの 発生を防ぐため、蒸気加圧方式について検討する。

また、抗原タンパクの分解を抑制する加工条件につ

(9)

いて検討し、加工したパック米飯中の有効成分量に ついて解析する。

 精白米粉末加工において、後工程である抽出工程 に影響を与えない品質の精白米粉末が加工でき、な おかつ分解清掃が可能な小型粉砕機を選定し、それ を用いて加工した精白米粉末に、十分な有効成分が 残っているかどうか検証する。

2 スギ花粉症治療米の治験薬としての有効性 及び安全性の評価

 スギ花粉抗原タンパク質の立体構造を断片化や シャッフル化することで改変すると副作用の要因と なる IgE 結合活性がなくなることを検証する。さ らに、スギ花粉症治療米及び有効成分を含有するタ ンパク顆粒濃縮物(PB 分画)をマウスやニホンザ ルに経口投与することで、免疫寛容が誘導され花粉 症症状が抑制され薬効・薬理作用があることを検証 する。さらに、スギ花粉抗原由来の主要な 7 個の

T 細胞エピトープを連結した 7Crp ペプチド(7Crp ペプチド)を蓄積させたスギ花粉症緩和米を健常者 やスギ花粉症患者に経口投与して、安全性や有効性 を検証し、抗原の投与経路として経口投与が有効で あることを示す。

 経口免疫療法薬としてのスギ花粉症治療米の安全 性試験の実施に先立ち、PMDA と医薬品戦略相談 を実施し、試験方法や試験項目について検討する。

策定された条件に基づいて安全性試験(拡張型単回 投与試験、4 週間投与試験、胚・胎児試験)や薬物 動態試験を実施する。また治験薬の品質・規格・製 造方法に関しても同様に相談を実施する。また、治 験薬の投与期間と投与量、被験者の選定(健常者、

未発症時期の患者)、治療効果の診断基準等の治験 実施条件を立案し治験実施を検討する。決定した 品質・規格試験法、栽培自主基準、治験薬 GMP に 従って治験薬を製造し、全工程を検証する。

研究計画表(研究室別年次計画)

研究課題 研究年度 担当研究機関・研究室

10 11 12 13 14 機関 研究室

1 スギ花粉症治療薬候補となるコメの開発

(1)… スギ花粉症治療米の治験薬としての製造 技術の開発

1)… スギ花粉症治療米の栽培管理技術と大 量安定供給の確立

2)… 治験薬 GMP に準拠したスギ花粉症治 療米の加工プロセスの開発

(2)… スギ花粉症治療米の治験薬としての有効 性及び安全性の評価

1)… モデル動物を用いたスギ花粉症治療米 の有効性・安全性の評価

独立行政法人農業 生物資源研究所

日本製紙株式会社 株式会社サタケ

株式会社プリベン テック

公益財団法人東京 都医学総合研究所

遺伝子組換え研究 センター機能性作 物研究開発ユニッ ト

アグリバイオ研究 所

技術本部

(10)

2)… スギ花粉症治療米の医薬品としての安 全性評価及び治験

国立大学法人島根 大学

学校法人慈恵大学 東京慈恵会医科大 学

独立行政法人農業 生物資源研究所

株式会社新日本科 学

独立行政法人国立 病院機構相模原病 院

遺伝子組換え研究 センター機能性作 物研究開発ユニッ ト

安全性研究所 臨床研究センター

注)文中の図、表、写真に付した番号は、上記研究課題番号とその中の一連番号を組合せて表示してある。(例:

1–(1)…–1)の課題の 1 番目の図の場合は、図 111-1 と表示)

Ⅵ 研究結果

1 スギ花粉症治療米の治験薬としての製造技 術の開発

 日本製紙(株)の大型特定網室で夏季と冬季の 栽培試験(2010 年 4 月~ 10 月:第 1 回栽培試験、

2010 年 12 月 ~ 2011 年 4 月: 第 2 回 栽 培 試 験、

2011 年 4 ~ 9 月:第 3 回栽培試験)を実施し、イ ネの栽培方法の標準化と品質の安定性について評価 した。夏季と比較して冬季において収穫量が少ない 傾向にある一方で、冬季と比較して夏季の方が籾重 量が小さい傾向にあったが、有効成分(シャッフル

(SH)-Cry…j…2)の米重量当たりの含量は安定してお り、大型特定網室でスギ花粉症治療米を一定の品質 で製造できることが確認された。

 効率的な発芽誘導方法、人工環境下における育苗 技術の開発を行った。栽培方法についても、天候な どの環境影響等を考慮した現実的な管理幅での栽培 方法の手順化を行った。また、治験薬 GMP で適切 な管理ができる稲刈り・脱穀・籾摺り工程の手順 を策定した。確立した手順は、それぞれ SOP を行 い、「治験薬の製造管理、品質管理等に関する基準」

(2008 年 7 月 9 日付け薬発第 0709002 号厚生省薬務 局長通知)に基づき体系化した治験薬 GMP 管理体

制に組込んだ。また、治験薬として、臨床試験にコ メサンプルを供与するために、管轄省庁である厚生 労働省に第二種産業使用の申請を行い 2012 年 7 月 18 日に同省による大臣確認を受けた。

 構築した栽培手順をさらに検討し、冬季栽培(第 6 回栽培試験:2011 年 12 月~ 2012 年 4 月)と夏季 栽培(第 9 回栽培試験:2012 年 5 ~ 9 月)におい て、水温を 20 ~ 30℃の範囲に調整することで収量 が上昇することを確認した。また、スギ花粉症治療 米は一般の玄米と比較して、厚みがなく、砕けやす いことが課題であった為、品質の良好な系統(#81)

の選定を行った。大型特定網室で第 10 回栽培試験

(2012 年 12 月~ 2013 年 4 月)を実施し、系統 #81 を種籾として増殖した。

 治験薬 GMP 体制の試験運用し、品質に重要な影 響を与える機器についてバリデーションを行った。

また、第 11 回栽培試験(2013 年 6 ~ 11 月)を実 施し、治験薬 GMP 文書の実情に合わない部分に関 しては順次改訂を行った。また、PMDA の助言に より、播種から脱穀までの 5 工程については自主基 準による非 GMP 管理となった。それを受けて、総 則や各種基準書にその旨記載し、治験薬 GMP・自 主基準体制とした。

(11)

 構築した治験薬 GMP・自主基準体制を本格運用 し、治験薬原料(玄米)の製造(第 13 回栽培試験:

2014 年 6 月~ 11 月)を実施した。収穫した玄米の 品質検査を行い、検査結果が規格内であることを確 認し、治験薬原料 15 kg を(株)サタケに出荷した。

 ELISA で 使 用 で き る Cry…j…1-F1,…F2,…F3 と SH- Cry…j…2 に対するモノクローナル抗体を作成した。

 スギ花粉症治療米(玄米・精白米)の抽出条件を 検討したところ、還元剤は必須であり、界面活性剤 は SDS のみが抽出に成功した。PB 分画の場合は、

氷中でウレアを用いた抽出液が効率よく有効成分を 抽出できることが分かった。抽出物はエタノール沈 殿しグアニジンを含むバッファーで溶解し、抗原を 直接 ELISA プレートに貼付け、モノクロ抗体と二 次抗体を反応させ測定を行った。

 治療米を投与した動物血清中の有効成分量の測定 では、血清アルブミンと IgG をカラムで除いて抗 Cry…j…2 抗体を用いてウエスタンブロッティングを 行うことにより、測定ができるようになった。

 ELISA では玄米、炊飯米、濃縮物それぞれに関 してバリデーションを行い、ウエスタンブロッティ ングについてもバリデーションを行い、基準内に収 まるデータが得られ測定方法の妥当性が示された。

 非臨床毒性試験(拡張型単回投与試験、4 週反復 試験等)に於ける投与試料中の有効成分量測定試験 を信頼性基準下で ELISA 法により行い、投与前の 試料懸濁物の安定性と均一性が確認された。また試 料を投与された動物血清から有効成分は検出されな かった。

 製造設備と外部との隔離、入退室や衛生管理等の 基準化、マニュアル作成を行い、第二種使用等拡散 防止措置確認申請を厚生労働省へ行い、確認を受 けた。また、玄米から精白米粉末製造までの治験 薬 GMP 体制を構築した。パック米飯製造設備にお いては、室内の陽圧化及び拡散防止措置を施し、無 菌化包装米飯製造のためのクリーンブースを設置し た。

 炭酸ガス処理効果の検証の結果、処理による脱芽 性の向上が確認でき、軽い負荷で精米可能な精密精 米方法を確立した。また、炭酸ガス処理後の熱処理 による不活性化促進効果を検証したところ、熱処理 による発芽率の低下が確認された。

 パック米飯加工装置の見直しを行い、部品の一部

をテフロン化し、加圧ムラや容器の破損、加工時の 容器外への米飛散を抑制した。また、加工の安定化 のために、温度センサ及びマイクロ波漏洩センサを 取り付け、自動制御による加工を確立した。加工条 件としては、抗原タンパクの分解が抑制される、蒸 気加圧マイクロ波 14 秒 + レトルト殺菌処理 100℃

× 10 分の条件を見つけ出し、スギ花粉症治療米に おける、最適なパック米飯製造方法を確立した。

 精白米粉末においては、必要な性能を有し、分解 清掃が可能な小型製粉機(SRG05C サタケ社製)

を選定した。これを用いて、精白米粉末を製造し、

各品質項目における現時点での設定規格値を全てク リアし、有効成分についても十分残存している事を 解明し、精白米粉末製造方法を確立した。

2 スギ花粉症治療米の治験薬としての有効性 及び安全性の評価

 スギ花粉症治療米の薬効・薬理として、スギ花粉 症治療米をマウスに経口や舌下を介して投与後、ス ギ花粉抗原を腹腔投与すると、非組換え米を投与し たマウスに比較して、抗原特異的 T 細胞反応性が 抑制され、2 型ヘルパー T 細胞(Th2 型)のアレ ルギー免疫反応性が低下し、くしゃみや鼻かき数な ど症状緩和が観察された。さらに健常なニホンザル や自然発症ニホンザルに経口投与したところ、体重 変化や T 細胞エピトープや IgE 抗体値の増加は見 られない。一方、スギ花粉症ニホンザルへの経口投 与では、抗原特異的 T 細胞反応性が抑制されてい た。

 経口免疫寛容剤としての安全性・有効性を実証す るため、すでにカニクイザルによる 26 週長期反復 毒性試験を実施して安全性の実証済みの 7Crp ペプ チドを蓄積させたスギ花粉症緩和米を用いて、健 常人やスギ花粉症患者への経口投与による臨床研 究を慈恵医科大学で実施した。まず健常人に、精 米 20 g、40 g、80 g を含むパック米を段階的に、そ れぞれ 1 か月間の経口投与して安全性を確かめた。

次に、80 g のスギ花粉症緩和米の 20 週間連続投与 試験をスギ花粉症患者を対象に、12 月上旬より実 施した。その結果、プラセボの非組換え米を食べた 患者では、スギ花粉飛散時に抗原特異的な T 細胞 反応性が上昇するのに対し、スギ花粉症緩和米を食 べた患者では T 細胞反応性は上昇せず抑制されて

(12)

おり、スギ花粉症緩和米を経口摂取することで、抗 原特異的免疫寛容が誘導されていることが確認され た。遮断抗体の IgG4 の上昇、IgE の低下、制御性 T 細胞から産生される(インターロイキン 10)(IL- 10)の産生の増加は見られなかった。症状の緩和と して鼻閉の改善が見られた。

 PMDA との医薬品戦略相談を実施し、対面助言 で遺伝子組換えイネを用いて製造する未精製なコメ 成分を含む剤形の治験薬の品質・規格試験方法を 確定した。また、抽出物(PB 分画)を原薬する場 合、栽培は治験薬 GMP 適応範囲外であり、収穫後 工程から治験薬 GMP 適応範囲である事を明確にし た。この結果、薬事法に従ってスギ花粉症治療米を 原料とする治験薬製造体制を確立することが可能と なった。PMDA 意見及び日米 EU 医薬品規制調和 国際会議(ICH)ガイドラインに従い以下の試験を 信頼性基準または治験薬 GMP 基準で実施した。① スギ花粉症治療米の特性解析。②スギ花粉症治療米 の玄米、PB 分画、カプセル剤の規格及び試験方法 の設定根拠データ。③設定した規格項目の規格値を 決定するための複数の玄米、PB 分画サンプルの分 析の実施と暫定規格値の決定。④非臨床における安 全性評価の実施。⑤第Ⅰ相臨床試験までに必要な薬 効薬理、薬物動態、安全性薬理試験。得られたデー タを整理し、治験薬概要書、治験実施計画書を作成 し、第Ⅰ相臨床試験実施のための PMDA 事前相談 を実施し、医薬品戦略相談にむけたアドバイスを得 た。

Ⅶ 今後の課題

 PMDA との相談により、今回構築した治験薬 GMP・自主基準体制は概ね PMDA より了解を得て いるが、医療用組換え植物栽培における国内での初 めての事例であることもあり、今後検討が進むに つれて、現管理方法の変更もありうるとされてい る。治験薬 GMP 体制は PMDA から承認を受ける ものではなく、実施機関による自己承認であるが、

最終的に医薬品としての承認を得る際には、治験 薬 GMP 体制の記録は重要となる。治験を進める上 で、治験薬 GMP 体制については今後も PMDA や 厚労省と交渉し、適正化していく必要がある。

 ELISA は度重なる改良により精度が上がり、同 一実験内の同サンプルのばらつきは減ったが、異な

る実験間ではまだばらつきがある。この原因を究明 し対策を考える必要がある。

  血 清 中 の 有 効 成 分 量 検 出 で は グ ル テ リ ン と Cry…j…1 断片の融合タンパク質(GluAF1,…GluBF2,…

GluCF3)の検出はできていない。また血清のカラ ム精製で Cry…j…2 がカラムに吸着していない証拠は 得られなかった。これらの解決には、現行の方法か ら離れ、全く異なる測定方法を検討する必要がある と考えられた。

 スギ花粉症治療米製造方法における炭酸ガス処理 について、現状、精白米粉末の製造であることか ら、処理の必要性について検討する必要がある。

 スギ花粉症治療米の栽培に関しては、有効成分の 品質を安定化する自主基準での栽培管理マニュアル 等の修正を図ると共に、申請医薬品の規格値を決定 するため、複数年、複数場所で栽培試験を実施し、

栽培条件の異なるスギ花粉症治療米の品質データを 蓄積し(有効成分の変動範囲データの蓄積)、栽培 時の製造過程の規格値を決定していく必要がある。

 臨床試験実施前までに、全製造工程の検証を実施 し、薬事法に従った治験薬の供給体制を確立してお く必要がある。さらに開発の進捗状況考慮しなが ら、安定したスギ花粉症治療米の供給体制を確立し ていく必要がある。このためには治験に用いる原料 となる玄米を必要量確保するため、ほ場で栽培した 組換え米が利用できるように、医薬品生産用組換え 植物のほ場における栽培規定を策定しなければなら ない。さらに治験に使用できる組換え米を確保する ために、第一種使用の認可を所轄省庁(農林水産 省)から得る必要がある。最終的な実用化段階に は、必要量の組換え米を生産できる大規模なほ場の 確保が必要となることから、スギ花粉症治療米栽培 に対する社会的受容を得る必要がある。

 まずは製薬企業等とのアライアンスを確立し、ス ギ花粉症治療米を用いた臨床試験を実施し、大規模 なスギ花粉症患者を用いた有効性・安全性の評価を 行う必要がある。

Ⅷ 研究発表

… 1)…Fukuda… K,… Ishida… W,… Harada… Y,… Wakasa… Y,…

Takagi… H,… Takaiwa… F,… Fukushima… A…(2015)…

Prevention…of…allergic…conjunctivitis…in…mice…by…

a…rice-based…edible…vaccine…containing…modified…

(13)

Japanese…cedar…pollen…allergens.…British…Journal…of…

Ophthalmology…(Published…Online…First).

… 2)…Kawakatsu…T,…Kawahara…Y,…Itoh…T,…Takaiwa…F…

(2013)…A…whole-genome…analysis…of…a…transgenic…

rice… seed-based… edible… vaccine… against… cedar…

pollen…allergy.…DNA…Research…20(6):…623-631.

… 3)…Nishimura…T,…Saeki…M,…Kaminuma…O,…Takaiwa…

F,…Hiroi…T…(2014)…Transgenic…plants…for…allergen- specific… immunotherapy.… World… Journal… of…

Immunology…4(3):…141-148.

… 4)…Takaiwa… F.…(2013)…Update… on… the… use… of…

transgenic… rice… seeds… in… oral… immunotherapy.…

Immunotherapy…5:…301-312.

… 5)…Takaiwa…F.…and…Hiroi…T.…(2014)…Rice…seed-based…

allergy… vaccines:… Induction… of… allergen-specific…

oral… tolerance… against… cedar… pollen… and… house…

dust…mite…allergies.…In……Giese…M.…(ed.)…Molecular…

Vaccines…from…prophylaxis…to…Therapy…Volume…2…

Springer…pp.…503-516.…

… 6)…Takaiwa…F.…(2014)…Plant-based…vaccines…against…

pollen… allergy.… In… Rosales-Mendoza… S.…(ed.)…

Genetically… engineered… plants… as… a… source… of…

vaccines…against…wild…spread…diseases.…Springer…

pp.…243-246.

… 7)…Takaiwa…F.…and…Yang…L.…(2014)…Development…of…

a…rice-based…peptide…vaccine…for…Japanese…cedar…

and…cypress…pollen…allergies.…Transgenic…Res.…23:…

573-584.

… 8)…Wakasa…Y.,…Takag,…H.,…Hirose…S.…Yang…L.,…Saeki…

M.,… Nishimura… T.,… Kaminuma… O.,… Hiroi… T.… and…

Takaiwa… F.…(2013)…Oral… immunotherapy… with…

transgenic… rice… seed… containing… structurally…

disrupted…Japanese…cedar…pollen…allergens,…Cry…j…

1…and…Cry…j…2,…against…Japanese…cedar…pollinosis.…

Plant…Biotechnol.…J.…11:…66-76.

… 9)…Wakasa,…Y.…and…Takaiwa,…F.…(2013)…The…use…of…

rice…seeds…to…produce…human…pharmaceuticals…for…

oral…therapy.…Biotechnol…J.…8:…1133-1143.…

10)…Wakasa…Y.,…Takagi…H.,…Watanabe…N.,…Kitamura…

N.,… Fujiwara… Y.,… Ogo… Y.,… Hayashi… S.,… Yang… L.,…

Ohta… M.,… Wai… Wai,… T.,… Sekikawa… K.,… Takano…

M.,…Ozawa…K.,…Hiroi…T.…and…Takaiwa…F.…(2015)…

Concentrated…protein…body…product…derived…from…

rice…endosperm…as…an…oral…tolerogen…for…allergen- specific…immunotherapy…-…a…new…mucosal…vaccine…

formulation…against…Japanese…cedar…pollen…allergy.…

PLoS…ONE…10:…e0120209.

Ⅸ 研究担当者

1 スギ花粉症治療米の治験薬としての製造技 術の開発

独立行政法人農業生物資源研究所 髙岩文雄、小沢憲二郎、高木英典 日本製紙株式会社

河岡明義、藤井裕二、南藤和也、大島玲子 株式会社サタケ

室井佑介、水野英則、川相直樹、梶原信三、

原本正文、孫 慧先 株式会社プリベンテック

藤原義博、関川賢二

2 スギ花粉症治療米の治験薬としての有効性 及び安全性の評価

公益財団法人東京都医学研究所 廣井隆親

国立大学法人島根大学 川内秀之

学校法人慈恵大学東京慈恵会医科大学 斎藤三郎

独立行政法人農業生物資源研究所 髙岩文雄、小沢憲二郎、高木英典 株式会社新日本科学

高橋義博

独立行政法人国立病院機構相模原病院 森 晶夫

執筆者)

Ⅹ 取りまとめ責任者あとがき

 コメや PB 分画といった未精製品を剤形とする新 規生物医薬品の開発を進めるにあたり、PMDA と の薬事戦略相談を通じて、治験実施する前に必要な 非臨床の安全性試験を明確化し、GLP や信頼性基 準の体制下で毒性試験や薬物動態や薬効・薬理の データを集め、PMDA に提示し、対面助言により 了解を得た。さらに、遺伝子組換え体の栽培に関 して、治験薬 GMP 適用範囲を明確化してきた。コ

(14)

メやコメ粉を原薬とする場合は、栽培過程が治験 薬 GMP の適用範囲にあたり、抽出物を原薬とする 場合は治験薬 GMP 適応は適用せずに、自主基準で の管理で良いことが示された。そこで、臨床試験に 使用可能な未精製治験薬を製造できるようにするた め、一連の製造工程にあたる播種から玄米、精米、

コメ粉、PB 分画調製、カプセル化の各工程につい て規格・試験方法を設定し、治療薬 GMP 体制を構 築した。本プロジェクトでは、スギ花粉症治療米を 大型特定網室で治験薬 GMP に準じた自主基準で栽 培し、収穫後、玄米からコメ粉まで治験薬 GMP で 製造した。また、組換え体の大型特定網室での栽培

に関し、治験を行うために必要な第二種産業利用の 承認も受けた。他方、スギ花粉症緩和米を用いた臨 床研究を行い、スギ花粉症に対して経口免疫寛容剤 の有効性についてスギ花粉症患者を用いて実証し、

製薬企業の懸念を払しょくした。本プロジェクトを 通じて、臨床試験を開始するために必要な安全性の データや治験薬を製造するための規格・基準条件、

試験法、治療薬 GMP 体制が整ってきたことから、

今後共同でスギ花粉症治療米の医薬品開発をめざす 製薬企業が見つかれば、実用化は一気に進むと期待 している。

(推進リーダー:髙岩 文雄)

(15)

1 スギ花粉症治療米の栽培管理技術と大量安 定供給の確立

 ア 研究目的

 日本ではこれまで医薬品用組換え植物の栽培に治 験薬の製造管理及び品質管理基準及び治験薬の製造 施設の構造設備基準(治験薬 GMP)を適用した経 験がないため、イネの栽培を治験薬 GMP に準拠さ せるために医薬品医療機器総合機構(PMDA)と 相談しながら工程管理に必要な要素について調査 ・ 研究を進め、前臨床試験のガイドラインや医薬品原 材料としての規格基準を策定する。同時に、日本製 紙(株)が有する大型特定網室にて周年安定栽培の 経験を活かし、遺伝子組換えイネの水耕栽培を進 め、治験薬製造及び医薬品原材料としての品質管理 に対応するための栽培管理技術を確立する。

 イ 研究方法

 (ア) 大型特定網室での周年・安定栽培技術の開 発

  a 植栽密度の最適化の検討

 日本製紙(株)の大型特定網室で、イネの植栽密 度の最適化の検討のため、植栽密度を 14 ~ 98 株 / m2で変更し、夏季栽培(2010 年 4 月~ 10 月:第 1 回栽培試験)と冬季栽培(2010 年 12 月~ 2011 年 4 月:第 2 回栽培試験)を実施した。

  b 品質安定性の評価

 大型特定網室内での栽培場所による影響を調査 し、冬季栽培と夏季栽培での変動について比較し た。冬季栽培(2010 年 12 月~ 2011 年 4 月:第 2 回栽培試験)、夏季栽培(2011 年 4 ~ 9 月:第 3 回 栽培試験)の各ベッドの南北端の栽培区から収穫さ れたコメの玄米重量、タンパク質含有率、シャッフ ル Cry…j…2(SH-Cry…j…2)の蓄積量の測定を行った。

 (イ) 治験薬 GMP に準拠した栽培技術の開発  本課題では臨床用の治験薬の原体となるコメの作 成を目指しているが、そのためには治験薬 GMP に 対応する必要がある。治験薬 GMP とは、「医薬品

の臨床試験の実施と基準に関する省令」(1997 年厚 生省令 28 号。以下「GCP 省令」という。)第 17 号 第 1 項及び第 26 条の 3 に規定される治験薬を製造 する際に遵守すべき適切な製造管理及び品質管理の 方法並びに必要な構造設備に係る事項として定めら れた「治験薬の製造管理、品質管理等に関する基 準」(2008 年 7 月 9 日付け薬発第 0709002 号厚生省 薬務局長通知)に基づき、治験薬を製造するための 作業手順を明文化し、これを実行するための責任と 権限を明確にする体制を構築することである。本課 題ではコメを製造するための各種要素技術を確立 し、手順化を行った。また、全ての手順を文書化 し、これを実行するための体制を明文化した。

  a 播種・育苗技術の確立

 組換え種子は、量の確保が難しく、カルタヘナ法 の観点からも厳密な管理が必要となる。また、発芽 や育苗に必要な栄養成分を含む胚乳に、導入遺伝子 由来の有用成分を蓄積しているため、発芽や苗の生 育を困難にしている可能性が考えられる。そのた め、組換え種子に特化した効率的な発芽誘導方法を 開発した。発芽誘導条件として、温度や殺菌方法な どを検討し、最適な発芽誘導方法を確立した。さら に、人工環境下(育苗室)における育苗技術の開発 を行った。

  b 栽培管理方法の確立

 治験薬に用いるためのコメを得るためには、その 栽培方法も明確に手順化されていなければならな い。しかし、イネは生物であり、天候などの環境影 響により生育状況が変化することから、工業製品の 様な手順化を行っては対応できない事態が考えられ る。そこで、一定の基準に則った、現実的な栽培管 理方法の手順化を行った。

  c 稲刈り・脱穀・もみ摺り方法の確立  治験薬 GMP に準じた適切な管理が可能な稲刈 り・脱穀・もみ摺り工程の手順を策定した。

  d 治験薬 GMP 体制の構築と各要素技術に関 する文書化

第1編  スギ花粉症治療薬候補となるコメの開発

第1章  スギ花粉症治療米の治験薬としての製造技術の開発

(16)

 厚生省薬務局長通知によると、治験薬の製造のた めには、治験薬 GMP 体制として、製造施設に製造 に関る部門と品質管理に関る部門を設置する必要が ある。また、品質を保証するための各手順書と責任 者をおく必要がある。そのための組織図と最上位規 則である総則、その下位文書である製造管理、品質 管理等に関わる各手順書を作成した。また、コメ を製造するための各種要素技術(項目 a ~ c)につ いて手順を標準作業手順書(SOP)として文書化し た。また、治験薬 GMP 体制では、製造管理、品質 管理、衛生管理等の全ての工程に関し、指図及び記 録をとることが求められており、それら記録書類も 整備した。

 (ウ) 生産方法の検証

  a 構築した栽培技術の検証   (a) 冬季栽培の検討

 冬季栽培では、単位面積当たりの収穫量が 20 g/

m2、1 棟当たりの収穫量が 3 kg と非常に低く、改 善することが課題であり、第 6 回栽培試験(2011 年 12 月~ 2012 年 4 月)では室温に着目し、4 月以 降も暖房を稼働させることで、室温が 20℃以下に 低下しないよう管理して栽培を行った。

  (b) 夏季栽培の検討 

 夏季栽培では、大型特定網室内の高温が原因と考 えられる品質低下が課題であった。第 9 回栽培試験

(2012 年 5 ~ 9 月)では、温度調整に関係する環境 調整機器(空調、排気扇、カーテン、循環扇)の設 定変更による室内温度の安定した低温維持、チラー 稼動による水耕水温度の低温維持による、収量改善 効果について検討した。

  (c) 系統の選定と増殖

 スギ花粉症治療米は一般の玄米と比較して、厚み がなく、砕けやすいことが課題であった。そこで、

農業生物資源研究所(以下、「生物研」という)に て、品質の良好な系統(重量が重く、厚みのある系 統:#81)の選定を行った。臨床試験に用いる玄米 栽培用の種籾を増殖するため、大型特定網室で冬季 栽培(第 10 回栽培試験:2012 年 12 月~ 2013 年 4 月)を実施し、系統 #81 を増殖した。

  b 治験薬 GMP 対応と運用   (a) 治験薬 GMP 対応

 課題(イ)にて構築してきた治験薬 GMP 体制の 試験運用を 2013 年 5 月より開始した。治験薬 GMP

体制では、製造部門と品質部門を独立して設置する 必要がある。大型特定網室のある徳島県小松島市の 日本製紙(株)アグリ・バイオ研究所・小松島分室 内に製造部門を、原料や製造物の品質管理を行う品 質部門を東京の日本製紙(株)アグリ・バイオ研究 所内に設置した。また、品質に重要な影響を与える 機器についてバリデーションを実施した。

  (b) 治験薬 GMP 体制での試験運用栽培  設置した治験薬 GMP 体制の運用を目的に第 11 回栽培試験(2013 年 6 ~ 11 月)を実施した。治験 薬 GMP の各手順書に則った製造(栽培)を実施し、

製造工程の SOP11 項目について、実情に合わない 部分に関しては順次改訂した。

  (c) 治験薬原料(玄米)の製造体制の構築  計画変更により、大型特定網室での治験薬 GMP による製造物が治験薬出発原料(種もみ)から治験 薬原料(玄米)と変更になったことを受けて、構築 してきた種もみ製造用の治験薬 GMP 体制を、玄米 を製造するために、総則や各基準書を改訂し、SOP を追加した。また、PMDA の助言により、播種か らもみ摺りまでの工程は自主基準(実施機関の基準 で、非 GMP)で管理することとなったので、総則 や製造管理基準書をそれに応じてその旨明記した。

  (d) 治験薬 GMP・自主基準体制での治験薬 原料(玄米)の製造

 構築した治験薬 GMP・自主基準体制を本格運用 し、治験薬原料(玄米)の製造(第 13 回栽培試験:

2014 年 6 月~ 11 月)を実施した。治験薬 GMP・

自主基準の各手順書に則って、製造(栽培)を行っ た。品質検査を行い、検査結果が規格内であること を確認し、治験薬原料(玄米)15 kg を(株)サタ ケに出荷した。

 (エ) 第二種産業使用申請 

 治験薬として、臨床試験にコメサンプルを供与す るために、管轄省庁である厚生労働省に第二種産業 使用の申請を行った。第二種産業使用に必要となる スギ花粉症治療米に関するデータを収集すると共 に、文献などの調査を行い、必要となる拡散防止措 置を行った。また、各作業区域や設備、生産工程、

緊急対応などの必要事項に関して、施策を決定し た。

 (オ) 生物多様性影響評価

 スギ花粉症治療イネを研究対象として、まず、閉

(17)

鎖系温室・特定網室において、競合における優位 性、有害物質産生性、交雑性などに起因する生物多 様性影響の有無を調査し、隔離ほ場での栽培を実施 するための第一種使用規程の承認を文部科学大臣・

環境大臣に申請して、承認を受けた。次に、隔離ほ 場においてスギ花粉症治療イネを栽培し、競合にお ける優位性、有害物質産生性、交雑性などに起因す る生物多様性影響の有無を調査した。また、医薬品 としての産業利用へ向け、治験薬…GMP…に準じた栽 培自主基準(NIAS-GMFP)を規定し、この基準に 従った栽培の管理、品質の管理、文書及び記録の管 理等を実施した。

 ウ 研究結果

 (ア) 大型特定網室での周年・安定栽培技術の開 発

  a 植栽密度の最適化の検討

 日本製紙(株)の大型特定網室(図 111-1)で、

植栽密度の検討を実施した。夏季栽培(2010 年 4 月~ 10 月:第 1 回栽培試験)と冬季栽培(2010 年 12 月~ 2011 年 4 月:第 2 回栽培試験)との比較を 行った。夏季栽培では、植栽密度 98 株 /m2で定植 した条件の収量が高かったのに対し(表 111-1)、冬

季栽培では 49 株 /m2で最も高くなることが明らか となった(表 111-2)。稔実率は夏季栽培の 63.9%に 対して、冬季栽培では 42.7%と低い傾向であり、最 適植栽密度での収量も、夏季の 200 g/m2に対し、

冬季では 30 g/m2と低下傾向にあった。

  b 品質安定性の評価

 冬季栽培(2010 年 12 月~ 2011 年 4 月:第 2 回 栽培試験)、夏季栽培(2011 年 4 ~ 9 月:第 3 回栽 培試験)の各ベッドの南北端水耕パネルで栽培した イネより、もみをサンプリングした(図 111-2)。A

~ H の同一植栽密度(98 本 /m2)の栽培区から収 穫されたコメの玄米重量、タンパク質含有率、SH- Cry…j…2 蓄積量の測定を行った(図 111-2、111-3)。

その結果、玄米重量は栽培場所で大きな差は見られ なかった。一方、タンパク質含有率、SH-Cry…j…2 蓄 積量ついては第 2 回栽培、第 3 回栽培ともに西側パ ネルが若干多くなる傾向があったが大きな差異は認 められなかった。

 第 2 回栽培試験と第 3 回栽培試験を比較したと ころ、玄米重量は第 3 回栽培試験の方が高かった が、タンパク質含有率は第 2 回栽培が 11.6 ± 0.6%、

第 3 回 栽 培 が 11.4 ± 2.5 %、SH-Cry…j…2 蓄 積 量 は 第 2 回栽培が 5.2 ± 0.6 mg/g、第 3 回栽培が 5.1 ±

図 111-1 大型特定網室

(18)

植栽条件 植栽株数

(株/m2

測定数

(株)

草丈

(cm)

稈長

(cm) 穂数/株 米数/穂 籾数/穂 稔実率

(%)

収穫量

(g/m2

標準 98 8 104±2 72.6±2.5 5.6±0.6 31±3 40±3 63.9±3.9 200

疎植-1 49 8 109±2 78.4±2.2 8.5±0.8 34±3 44±3 68.3±2.9 150 疎植-2 14 8 109±2 72.4±1.7 13.0±0.7 27±3 49±3 45.4±2.8 50 疎植-3 18 8 108±2 79.2±1.6 13.4±0.8 37±2 44±3 69.4±2.0 100 疎植-4 18 8 115±2 81.3±1.5 15.4±1.6 31±2 41±2 68.6±2.0 150 疎植-5 18 8 119±2 82.5±1.2 23.0±1.3 36±2 54±2 61.7±1.7 100 コシヒカリ 98 12 111±1 91.8±1.4 6.1±0.5 51±3 54±3 94.3±0.6 630

植栽条件 植栽株数

(株/m2

測定数

(株)

草丈

(cm)

稈長

(cm) 穂数/株 米数/穂 籾数/穂 稔実率

(%)

収穫量

(g/m2

標準 98 8 106±2 75.4±2.2 4.3±1.0 24±4 52±3 42.7±5.3 20

疎植-1 49 8 100± 63.3±2.3 5.4±0.9 12±2 45±3 24.6±2.3 30

疎植-2 14 8 96±3 47.7±2.0 13.5±0.9 3±1 41±2 4.7±0.5 <10 疎植-3 18 8 95±1 61.3±1.2 7.6±1.0 6±1 45±2 13.2±0.8 <10 疎植-4 18 8 101±2 63.9±1.1 10.5±0.7 5±1 42±1 12.0±0.8 <10 疎植-5 18 8 96±3 64.8±1.3 10.6±1.0 4±1 52±2 6.1±0.9 <10 コシヒカリ 98 12 94±3 69.2±2.1 5.0±0.7 32±3 36±3 88.1±3.7 210

表 111-1 夏季栽培(第 1 回栽培試験)の成長量調査結果

表 111-2 冬季栽培(第 2 回栽培試験)の成長量調査結果

A B

C D

E F

G H

東 西

(a)

(b) (c)

図 111-2 栽培ベッドとサンプリング場所

図 111-3 米品質の評価結果 1)…(a): コメ重量、(b):タンパク質含有率、(c):SH-Cry…j…2 蓄積量

2)棒グラフ上の記号(A,…B,…C…,、a,…b,…c…)は、Duncan の方法により同一記号間には 5%

水準での有意差はないことを示す

(19)

0.7 mg/g であり、ともに大きな差異は認められな かった。また、収穫されたスギ花粉症治療薬米の玄 米重量と、同施設にて同時期に栽培した a123 との 玄米重量の比較を実施したところ、スギ花粉症治療 薬米は a123 よりも軽いことが分かった。

 この結果から、栽培場所や栽培時期で玄米重量、

タンパク質含有率、SH-Cry…j…2 の蓄積量に大きな差 異は認められないことが分かった。

 (イ)…治験薬 GMP に準拠した栽培技術の開発   a 播種・育苗技術の確立

 農薬による殺菌方法や播種方法を検討し、工程を 構築した(図 111-4)。テクリード C フロアブルで 種子を消毒し、25 ~ 28℃で 5 日間発芽処理する。

ダコレート水和剤で処理したウレタンシートに発芽 種子を播種し、5 ~ 8 日間育苗する。育苗期間中に タチガレエース液剤で処理し、第 2 葉が展開した ら、定植に用いる。以上の構築した工程について、

3 回の栽培試験(2010 年 4 月~ 10 月:第 1 回栽培 試験、2010 年 12 月~ 2011 年 4 月:第 2 回栽培試 験、2011 年 4 ~ 9 月:第 3 回栽培試験)で再現性 を確認した。各栽培で、15000 本の苗を栽培するこ とができた。

  b 栽培管理方法の確立

 温度管理については、大型特定網室の栽培棟の 一日当たりの平均温度が、20 ~ 35℃の範囲に収ま るように設定することとした。水耕水は pH が約 5.0 ~ 6.0 となるよう管理することとした。肥料管

理に関しては、肥料元素 N・P・K の肥料中の濃度 が一般水田の汎用肥料と同様になるように、水耕 用肥料(M 式水耕研究所)を調合し、栽培面積に 必要とされる施肥量を算出し使用した。また、定 植 14 日後には追肥を行い、出穂後には定期的に窒 素濃度を測定して、穂肥を与えた。短日処理は、草 丈が 75 cm に達した時点で行った。定植から短日 処理、出穂、収穫までの時期について図 111-5 に示 す。以上の手順で 3 回の栽培試験(2010 年 4 月~

10 月:第 1 回栽培試験、2010 年 12 月~ 2011 年 4 月:第 2 回栽培試験、2011 年 4 ~ 9 月:第 3 回栽 培試験)を実施し、スギ花粉症治療米が稔実し、安 定した品質で収穫できることを確認した(同章イ b  品質安定性の評価を参照)。

 しかし、冬季栽培では、非組換え米(コシヒカ リ)と比較して花粉症治療米の低稔実率の改善、一 方、夏季栽培では、非組換え米と比較して低収量で あることの改善が課題となった。そこで、冬季栽培 及び夏季栽培において開花から収穫までの室温と水 耕水温度に着目し、稔実率の向上及び収穫量の増 加を目的に栽培を行った。冬季栽培(第 6 回栽培 試験:2011 年 12 月~ 2012 年 5 月)において、開 花から収穫までの室温を 25℃以上になるように管 理したところ、収量が大幅に上昇した(課題(ウ)

参照)。また、夏季栽培(第 8 回栽培試験:2012 年 5 ~ 10 月)で、低室温度に加え、水耕水の水温を 25 ~ 27℃に調整したところ、収量の増加が達成さ

図 111-4 播種・育苗工程

図 111-5 栽培工程

1日 5日 2~3日 5~8日 2日

短 日 処 理 75〜80cm草 丈

出 穂 収 穫

定 植

溶液コントローラー稼動

温室環境複合制御システム稼動 空調装置稼動

(出穂後14日間)

3040日間 25~30日間 30日間

(20)

れた(課題(ウ)参照)。

  c 稲刈り・脱穀・もみ摺り方法の確立  稲刈りは、はさみで刈る方法を用いていたが、株 を引き抜いて干すことで、手間を省き効率的な手順 を構築した。脱穀については、飛散物が多く、遺伝 子組換え体のより適切な管理や衛生管理の上からも 改善が必要であった。そこで、脱穀機をクリーン ブースで囲うことで、飛散を防止した。また、脱穀 機を集塵機と直結することで、埃や残渣の飛散を無 くした(図 111-6)。

  d 治験薬 GMP 体制の構築と各要素技術に関 する文書化

 治験薬 GMP 体制の最上位規則として総則を、治 験薬の基本情報をまとめた書類として、治験薬製品 標準書、治験薬 GMP 体制の 3 基準書(製造管理、

品質管理、衛生管理)を作成した。その下位文書と して各種手順書を作成した。製造施設に製造に関る 部門、品質管理に関る部門を設置し、責任者をおく 体制とした。また、項目 a ~ c で手順化した各種要 素技術について SOP として文書化し、治験薬 GMP 文書体系に組込んだ(図 111-7)。また、品質管理や

衛生管理、教育訓練や文書管理等に関わる各種記録 書も整備した。

 (ウ) 生産方法の検証

  a 構築した栽培技術の検証

 構築した栽培技術(課題(イ)参照)を用いて、

栽培を実施した。第 6 回栽培試験(冬季;2011 年 11 月~ 2012 年 4 月)と、第 9 回栽培試験(夏季;

2012 年 6 ~ 11 月)の 2 回の栽培を行った。なお、

第 9 回栽培試験は 3 棟での栽培を行った。

  (a) 冬季栽培の検討

 冬季栽培(第 2 回栽培試験 :…2010 年 12 月~ 2011 年 4 月)では、単位面積当たりの収穫量が 20 g/

m2、1 棟当たりの収穫量が 20 g/m2と非常に低く

(表 111-2)、改善が必要であった。第 2 回栽培では 比較的気温の上昇してくる春先(4 月 1 日以降)は 暖房を止めていたが、夜間の気温が下がり、コメの 登熟に影響を与えていた可能性が考えられた。そこ で、第 6 回栽培試験(2011 年 12 月~ 2012 年 4 月)

では 4 月以降も暖房を稼働させ、室温が 20℃以下 に低下しないように栽培を行った。

 その結果、第 6 回栽培試験では、収穫量が単位面

治験薬GMP総則 治験薬製品標準書

製造管理基準書 品質管理基準書

衛生管理基準書

特定網室標準作業手順書 構造設備点検整備手順書

各工程のSOP (11項目)

・播種、育苗、定植・・・・・・

各工程の記録書 (26項目)

・播種、育苗、定植・・・・・・

品質管理手順書 試験検査設備点検手順書 出荷判定手順書 品質不良処理の手順書 衛生管理手順書 清掃手順書

各検査のSOP (12項目)

・試験、採取、送付・・・・・・

各検査の記録書 (18項目)

・試験、採取、送付・・・・・・

各管理の記録書 (9項目)

・衛生、清掃、防虫・・・・・・

バリデーション手順書 変更管理手順書 逸脱管理手順書 回収処理手順書 自己点検手順書 教育訓練手順書 文書及び記録管理手順書

各管理の記録書 (40項目)

・バリデーション、教育、文書・・

図 111-6 脱穀工程

図 111-7 治験薬 GMP の文書管理図

図 121-18A スギ花粉症治療薬の経口摂取による安全性の評価
図 121-21B スギ花粉アレルゲン特異的 IgE 及び IgG4 のレベル
図 122-2 サザンブロット解析による導入遺伝子構成の確認  導入遺伝子構成の上部に制限酵素による切断部位とサザンブロットで検出されるバンドを、下部にサザンブロットに用いた プローブ領域を示す。導入遺伝子 5’末端の塩基位置を 0 とする。下段はサザンブロットによって検出されたバンドパターン。 上段バンドのサイズ横のアルファベットは、下段サザンブロットの検出のアルファベットと対応している。* は内在性 ALS 遺 伝子を示す。Tg:…本組換えイネ、C:…非組換えイネ。 図 122-3 mRNA-seq に
表 122-8 玄米微生物限度試験結果0.0000.2000.4000.6000.8001.0001.200F1F2F3J2 141118-01141118-02141118-03141118-04141118-05141118-06 図 122-5 生物研隔離ほ場各面における OsCr11 中の有効成分量(2014 年生物研隔離ほ場)  縦軸単位は mg/g 玄米、F1;Cry…j…1…F1,…F2;…Cry…j…1…F2,…F3;Cry…j…1…F3,…J2;SH…Cry…j…2(2014 年生物研隔離
+7

参照

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