‑ 論 文 ‑ 高 岡 短 期 大 学 紀 要 第
7
巻 平 成8
年3
月B u l l.T a k a o k a N a t i o n a l C o ll e g e, V o l.7
, M a r c h 1 9 9 6
V o l.7
, M a r c h 1 9 9 6
学 内L A N に おけるシ ス テ ム運営の効率化と
ユ ー ザ サ ー ビス 向上の 試み
近 藤 潔 ・ 藤 田 徹 也 ・ 米 川 覚
( 平 成7 年10月3 0 日受 理)
要 旨
高 岡 短 期 大 学
で
は平 成6 年 度に
ネッ
トワ
ー ク環 境を整 備し, 平 成7 年 度か ら教 育用 に積 極 的に
活 用 を 始め た。 本 学の
規 模は, 学生約4 5 0名, 教 職 員 約90名の
小 規 模で
あ りな が ら, 学 内に メ
ール
, W W W ,デ ー タ
ベ
ース
等の
U N I X/ W in
do w s
N T サ ーバ
と,1
0 0台以 上の
Ma c
, D O S/W in
do w s の パ ソ コ ン
が L A N で
接 続さ れて い
る。 教 育の
た めの
環 境の
整 備は シス テ ム
運営 業 務の
増 大を招 き,シ ス
テム
運 営の
効 率 化が重 要な問 題と なっ て い
る。ユ
ー ザ自 身に
よ るセ ル フ
サ ー ビス
がで
きる環 境の
整 備と処理の
自 動 化を徹 底的
に
追 求 するこ
とで
,こ の
間 題の
解 決を計 りつ つ
, さ らに
サ ー ビス の
向上を目指し た。キ ー ワ ー ド
シ ス テ ム
管理,ユ
ー ザ サ ー ビス
, 教 育用ネッ
トワ
ー クtユ
ー ザ情 報, Pe r l, E x p e c t, W W W , C GI ス
ク リ プ ト
I ス
ク リ プ ト1 システムの概 要と課 題
最 近, イ
ン
タ ー ネッ
トを 教 育に利用 し よう とする試み が各 処で始め ら れてい
る。 それに伴
い
, シ ス テ ム管 理の負 荷 増 大につ い て の問
題 点が指 摘さ れてい
る1 3 )
。 高 岡 短 期 大 学で
は, シ ス テム
運 営の問 題が イ ン
タ ー ネッ
トを
教 育 現 場へ
適用する際の キ ー ポ イ ン
トである
と して解 決に取 り 組んできた。
図1 に示 すように, 高岡短 期大 学の
コ ンピュ
ー
タ ・ ネ
ッ
トワ ー ク シス
テム
は, イ ー サネッ
ト か ら な る TC P/I Pネッ
トワ ー ク上に 5 台の UN I X サ ー
バ
, 1 台の W in
do w s
N T サ ーバ
, 4 7 台の教 育用 Ma c
in t o s
h , 3 0台の教 育用 PC 9 8 (W in
do w s
3 .1) が接 続さ れ, さ らに, 研 究及び図 書 館の図 書 検 索用に U N I X W S , X 端 末, M
a c
in
to s
h , PC 9 8, D O S/V 機が接 続さ れてい
る。また, ネ
ッ
トワ ー ク 上で利 用できる サ ー ビス
は電 子メ ー ル,ニ ュ
ース
, W W W , デ ー タベ
ー ス等であ り, これ らのサ ー ビスを 継 続さ せ, さ らには向上 さ せ る た め に, シ ス テ ム運 営 ・ 管 理の業 務が必 要となる。一 方, 本 学の規 模か ら して, シ ス テ ム運営 ・ 管 理に割 ける 工数は大 変限 ら れて
い
る。 し か ち,コ ン ピュ
ー タ を教 育に本 格 的に活 用 する
た めには, 学生 と教 官の双 方にとっ
て, 使い
やす く, 信 頼 性の高い
シス
テ ム であること が
必須の条 件と なっ
て い
る。
産 業 情 報 学 科
図1 高 岡 短 期 大 学 ネ
ッ
トワ
ー クの
概 要表1
シ ス テ ム
運 営の
主な項目分 類 優 先 度 内 容
ユ
ー ザ 情 報 ㊨ア
カ ウン
ト 登録 変 更,ユ
ー ザ情 報の
変 更や 公 開,ユ
ー ザ情 報サ ーバ の
運用 等電 子
メ
ール
◎ .ノ ール
サ ーバ の
運用,メ
J )ン
グ1
)ス
ト管理,メ
ール ソ フ
ト 更新 等ニ ュ
ース △ ニ ュ ー ス
サ ー バ の
運 用, ニ ュ
ー ス 1) ‑ ダの
更 新 等
w w w 等 ○ w w w
サ ー バ の
運 用, W W
W ブ ラ ウ ザの
更 新 等.
の
更 新 等 w w w 等 ○ ww w
サ ーバ の
運 用,W W
W ブ ラ ウ ザの
更 新 等.サ ポ ー ト
△ マ ニ ュ ア ル
整 備, Q /A サ ポ ー トサ ー
バ
管 理 ○ サ ーバ
/ ネッ
トワ
ー ク監 視,バ ックア
、ノ
ブ等
緊急 時/ 故 障 対 処 ※
緊 急 処 理, 故 障 判 断, メ
ー カ対 応 等
◎ 最 優 先
で
実 施△
次の
課 題と して
実 施○ できる だけ 早
い
時 期に実 施※
現 在の
テ ーマ の外に
ある問 題なの で
除 外
2 . シス テム運 営の構 想
2 .1 方 針
シ
ス
テム
運 営の効 率 化 を 追 求 する だけでな く, さ らにユ
ー ザの使い
やすさを 向上 さ せ ることを目的と し, 以 下
の
方 針 をたて た。1 . 処理の自 動 化の追 求
コ ン ピュ
ー タに できること は最 大限に
コ ン ピュ
ー タを 活 用し, 自 動 処 理 を 追
求 する。
2 . セ ル
フ
サ ー ビス
化の推 進従 来はシ ス テ ム管 理 者が行な
っ
てい
た よう な 処 理でも,ユ
ー ザ が自 分で 自 由に できる環 境を整 備 する。 こ の結 果,
学 内
L N に お
ける シ ス テ ム運 営の
効 率 化と ユ ー ザサ
ー ビ ス向上 の試み
サ
ービ ス向上 の試み
み
シ
ス
テ ム管 理 者の作 業が効 率 化さ れ る だけでな く,ユ
ー ザの自 由 度が増 大 す る 。 但し,ユ
ー ザ が通 常 用い
る ,M
a c
in
to s
h, D O S/W iⅢ
do w s
のパ
ソコ ン か ら容 易に操 作できること が 必要 条 件となる。
さ らに, 少 な
い
人 数で シス
テ ムをス
タ ー ト さ せ る た めに優 先 順 位 をつ
けて計 画し た。 教 育 用の シ ス テム
に的 を 絞っ
て シ ス テム
運 営の 主 な 項目を 表1 のように整 理 し,ユ
ー ザ情 報 と電 子メ ー ル に関 する処 理の効 率 化とユ
ー ザ の使い
勝 手の向上を 最 初の 目標と し た。2 .2 サ ー バ の設 計
以 上の構 想 を 実 現 する た め, 現 在の W S の
台 数にと ら わ れずに, サ ー
バ
機 能 を 表2 のよ うに設 計し た。 従っ
て, 各サ ーバ
は 必ずしも実 際の W S と1 対1 にはな
っ
てい
ない
。表2 サ ー
バ の設 計
<
新 設>
ユ
ー ザ情 報サ ーバ ユ
ー ザ情 報D B を管理W W
W サ ーバ
学 内W W W サ ーバ
Pr o x y サ ー バ
漢 字コ
ー ド変 換
<
計 画>
ニ ュ
ース
サ ーバ
r
t p
サ ーバ
<
既 設>
学 内/ 学 外
ニ ュ
ース
学 内ft p
サ ー ビス
N IS サ ー
バ
D N S サ ーバ メール
サ ー バ
SQL サ ー バ
図書 館サ ー
バ
学 内
の
N I S 管理 ネ ーム
サ ー ビス
学 内 全 体
の メ
ール
W in
do w s
か ら利 用 図書 D B/W
W W サ ー ビス
2 .3 システム実 装の方 針
シ ス テ
ム
の実 装にあたっ
ては, シス
テム
保 守の作 業 を 最 小 化 すること と,パ ソ コ ン ユ ー
ザか らの シ ス テ
ム ヘ の アクセス
を 容 易にする
ことを目的と し, 以 下の方 針を実 施し た。
1 . プ
ロ
グラム
開 発は , シェ
ル, P
e r
14 )
,
E
x
pe c
t5 )
とい っ た ス
ク リ プ ト言 語 を
3 l
用
い
て, 保 守 性と移 植 性 を 確 保し, C 言 語によ る プロ
グラ ム開 発は極 力 行わ ない
。2 .
パ
ソコ ン ユ ー ザ が本 学 ネ ッ
トワ ー ク ヘ
アクセス
する手 段と しては, W W W の
ブラウ ザを 用い
, G U I は H T M L で
構 築 する。
3 . ユ ー ザ情 報の処 理
3.1
ユ
ー ザ情 報の処 理の概 要本 学の総 人 数は540 名 程 度の小 規 模と は
い
え,ユ
ー ザア カ ウン
トの登 録や変 更とい っ た
ユ
ー ザ情 報につ いて の処理を人手で行 な うの
は大 変であ り, かつ
, 間 違い
も生 じ やすい
。
特に, 学生 は毎 年, 卒 業と入 学によ る変 更が あ りt その度に
ユ
ー ザア カ ウン
ト, ホ ーム
ディ
レク ト リ とい っ た情 報 を 更 新 する作 業の量は
大 きい
。 また, 学生 が自 分で パ
ス ワ ー ドを 変
更し たりt 他人の メ ー ル ア ドレス
等の ユ
ー ザ
情 報 を 自 由に参 照できる ようにすることで,
シ
ス
テム
管 理の効 率 化と使い
勝 手の向上の 一石二鳥 を目指し た。
3 .2 処 理の流れ
図2 に示 すように,
ユ
ー ザ情 報に関 する処 理の流れ は 以 下のス
テッ
プで行な わ れる。1 . 学生課で作 成し た
ユ
ー ザ情 報の元フ ァ
イルを
ユ
ー ザ情 報サ ーバ
に転 送 する。((1))。
2 . 送ら れてきた
ユ
ー ザ情 報 を 変換し,ユ
ーザ情 報 D B に追 加 また は変 更 を 加 える ((2))。
3 . N IS サ ー
バ
に アカ ウン
トを登 録し, ホ ーム
ディ
レク ト リを 作る ((3
))。4 .
ユ
ー ザ はパ ソ コ ン
か らW W W ブラウ ザ を介して , 好 きな時に,パ ス
ワ ー ドの変 更と
ユ
ー ザ情 報の検 索 ・ 参 照を行 な える ((4
), (5))。な お,
ユ
ー ザ情 報サ ーバ
の構 築 等, 主な処 理 はPe r
l で記 述 し, N IS の登 録 変 更 等のイ図2
ユ
ー ザ情 報とメ
ー リン
グ リス
ト に関する処理の
流 れ半 角カ タ カ ナ字 氏 名
囲 3
ユ
ー ザア カ ウ ン トの
生成
ン
タ ラ クテ ィ ブ処理 が 必要 となる部 分 にE
x
pe c
t を 利 用し た。3 .3 実 装の概 要
ユ
ー ザ情 報 D B学生課で作 成 する学 生 情 報は学 籍 番 号, 漢 字 氏 宅, 半 角カ タ カ ナの読み, 性 別か ら構 成
さ れて
い
る。 半 角カ タカナの氏 名 をロ
ーマ
字に変 換し, アカ ウント名 を 作 成 するまで の手 順 を 図3 に示 す。 アカ ウ
ン
ト名はユ
ー ザ の「 姓」 の
ロ
ーマ
字 名 を 基 準と し, 既 存の ア カ ウン
ト名の中に同 じものがあるか どうかのユ
ニ
ー クチェ ッ
ク を行ない
, 同 じア カ ウン
ト名 がある場 合は 「 名」 の文 字 を 先 頭に加 えて再学 内
L N に お け る シ ス テ ム 運
営の
効 率 化と ユーザ サ
ー ビ ス向上 の試み
上 の試み
度チ
ェ ッ
ク してユ ニ ー クになるまで繰 り 返 す。
その際, ア カ ウ
ン
ト名の長さ はロ
ーマ
字で8 文 字以内とする。 こ のように して得ら れ たユ
ニ
ー ク なア カウン
ト名 をア カウン
トD B に 追加 する。
デ ー タ の形 式は, P
e r
l で の扱い
やすさを 優 先し, 下記の例のようにフ
ィ ー ル ドをコ ロ
ン
で区 切るテキス ト形 式 を 採 用し た。 現 在の とこ ろ, 各フ
ィ ー ル ド は, 学 籍 番 号, 性 別, 氏 名, ア カウン
ト名, 学 生/ 教 職 員の別,ユ
ーザI D , グル ー プI D か ら構 成さ れて
い
る。( 例)
9 5
‑1 1 0 0 1 : 1 : T O Y A 旺A T A R O
:t t o y a 皿 a : S T U D E N T :
\6 0 0 1 : 6 0 0 0
ユ
ー ザ情 報サ ー バク ライア
ン
ト か らの要 求に応じてユ
ー ザ情 報D B の デ ー タを活用 し た 以 下のサ ー ビス
を 提 供 する。1 .
ユ
ー ザ情 報D B の検 索ユ
ー ザ情 報の中か ら指 定さ れ た1 項目 をキ ー と してユ
ー ザ情 報 を 検 索 する。検 索
エ ン ジン
にはPe r
l の パ
タ ー ン マ ッ
チ機 能を使用。 2 .
ユ
ー ザ環 境の構 築ユ
ー ザ情 報 D B に登 録さ れてい
るユ
ーザア カウ
ン
ト,ユ
ー ザI D , グル ー プ I D 等の デ ー タを 使い
, N IS サ ーバ
に対して以 下の手 順で
ユ
ー ザ環 境 を 設 定 する。・
ユ
ー ザ登 録 (アカ ウン
ト名,ユ
ーザI D , グル ー プI D)
ユ
ー ザア カウン
ト及び ホ ーム
ディレク ト リを 作 成 する。
・ 初 期
パ ス
ワ ー ド登茅哀暫 定 的 な 初 期
パ ス
ワ ー ドを 設 定 す る。・ N IS の更 新
33
4 . 電 子メ ー ル管 理
4 .1 目 標
電 子メ ー ル の管 理 を 効 率 化し, 学 生の使
い
勝 手 を 向上 さ せ る た め に, 以 下の目標 を 設 定し た。
1 . 自 分斥Ⅰの
コ ン ピュ
ー タを 所 有しない
学
生 が, どのマ
シ ン
を 使っ
てもメ ー ル の
授受を 行 な える。
2 . メ ー ル スプ ー ルを 大 量に消 費しな
い
。3 .
s e n
dⅢ1 a
il の設 定 を 効 率 化 する。4 . メ ー リ
ン
グ リス
トの管 理 を 効 率 化 する と ともに,ユ
ー ザの自 由 度を向上 さ せ る。4.2 メ ー ル1f ‑ バ
メ ー ルサ ー
バ
は1 台の みと し, 学 内 外‑
のメ ー ルは全て同 一 の メ ー ルサ ー
バ
を経 由さ せ る。 さ らに, メ ー ルサ ーバ
と クライアン
ト と の メ ー ル の授 受 をPO P サ ーバ
のみ に行わ せ ることで, 学生 が どこか らでもメ ー ルを 使 うこと が容 易になる と ともに, メ ー ル
ス
プ ー ル の大 量 消 費 を防 げる。 また,s e n
dm a
il は Ve r s
io n
8 を 採用 し,マ
クロ
でs e n
dm a
il.c
fを管理する
6 )
04.3 メー リングリ
ス
トの開 設と管王里特 定の利用者グル ー プ ( 講 師と受 講生, ク ラ
ス
, クラブ員 等) に メ ー ルを 同 時 配 送 する メ ー リン
グ リス
ト は, グル ー プ内で連 絡 を 行 なう 有 効 な 手 段と して利用 さ れてい
る が, そ の 開 設と管 理はすべ
て シス
テ ム管 理 者が行 な うこと とな り 負 担が大 きい
。 そこ で, メ ー リン
グ リス
ト管 理ツ ー ル のm a
jo r
do m o 7 )
を 導入 し, 更に後 述 する ように
ユ
ー ザ がW W W ブ ラ ウザ を使っ
て自 分で メ ー リン
グ リス
トの開 設や名 簿の管 理 を 行 な える ように し た。 これ により, シ ス テム
管 理 者の負 担軽 減と ともに,メ ー リ
ン
グ リス トを利用 し たコ
ミュ ニ
ケ ー ショ
ン
の 活 性 化が期 待できる。J l
‑
ス
ワ ‑ F 変 更図 4 W W W サ ー
バ の構 成
ユ
ー ザ ー 佑 報境垂あ な
た の パ ス ワ
ード
を 変 更し
ま す あ な たの 7 カウン ト :
現 在
の パ ス ワ ー ド :
斯
L い バ ス ワ
‑ド :
確喜空の
ため も
う一 度二
し堅̲〕
C 8 n.‥ e l
̲」
図5
パ ス
ワー ド変 更 画 面M
a
jo r
do m o
では, メ ー リン
グ リス ト管理 者は利 用 者の追 加 ・ 削 除 等の簡 単 なコ マ ン ド
をメ ー ル に記 述して, 仮 想ユ
ー ザ (ア カ ウ ン
ト名
m a
jo r
do m o
) に送 信 する。 Ma
jo r
do m o
は その メ ー ルを 解 釈して各メ ー リ
ン
グ リス
ト の管理 を実 行 する。模 索
キ
ーを
入 力し て 下 さ い
亡二 1千
‑の
種 別を
選ん で 下 さ い 1
̲ ㊥ 番 号 (e x 9 X ‑ X X X 〉 くX
)
2
‑ 0 年;
kま 1 t CI
所 属5
. O 氏 宅(e x
TO Y 人 目 Å ‖1
R O U)4
̲ 07 カ ウ ン ト名
図 6
ユ
ー ザ情 報の
検 索 画 面5 . W W W ブラウザ に よ るユ ー ザ環 境の 整 備
5 .1 W W W ブラウ ザの役 割
最 近のイ
ン
タ ー ネッ
トの急 速な普 及の最 大の推 進 役はW W W である と言
っ
ても 過 言では ない
程, W W W 関 連の技 術が発 展し, 多くのア ブ