著者 脇田 里子
雑誌名 コミュニカーレ
号 1
ページ 87‑123
発行年 2012‑03
権利 同志社大学グローバル・コミュニケーション学会
URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000013133
脇 田 里 子
1.はじめに
近年、日本語教育学の分野において、「アカデミック・ジャパニーズ
(Academic Japanese)」の研究が盛んである。アカデミック・ジャパニーズと いう言葉は、2000 年に日本の大学への留学希望者に対する「日本留学試験」
の試験導入にあたり、「日本の大学での勉学に対応できる日本語力」として 広まった。アカデミック・ジャパニーズは、一般的に、留学生が高等教育機 関において日本語の講義を聞き理解する力、日本語の図書や資料を読む力、
必要な資料を集める情報収集力、レポートや論文を作成する力、口頭発表す る力、クラス内でのディスカッションに参加するコミュニケーション力など の総合的な日本語力を指す。
こうしたアカデミック・ジャパニーズの領域の中に、大学でのレポート作 成 や 論 文 作 成 な ど を 扱 う「 ア カ デ ミ ッ ク・ ラ イ テ ィ ン グ(Academic
Writing)」がある。日本語教育におけるアカデミック・ライティングに関す
る研究としては、留学生の書いた文章を主に、文法、語彙、表現、表記など の言語表現面から分析する研究(佐藤 1993、宮原 1998 など)がある。そして、近年、専門分野の論文や社説などの論理的な日本語文章を文章構造の観点か ら分析する基礎研究が活発である。そこでは、ライティングにおける言語表 現面からの指摘ではなく、思考表現技術面から、客観的表現の問題、段落構 成の問題、論証の問題、剽窃の問題などが指摘されている。管見の限り、思 考表現技術面の先行研究においては、専門分野の論文や学部日本人学生のレ ポートにおける「緒言」や「結論」など文章の一部に関する構造分析が進ん でいるが、論文全体やレポート全体の構造分析にはほとんど至っていない(村
『コミュニカーレ』1(2012)87-123
©₂₀₁₂ 同志社大学グローバル・コミュニケーション学会
岡他 2004、村岡他 2005、村上 2005a、村上 2005bなど)。ただし、新聞の社 説といった短い論説文全体の分析は見られる(劉 2007)。
本研究は、共通教育科目の日本語ライティング・クラスの中で、日本語の レポートを書く初心者の留学生に対して、レポート構成という思考表現の面 からの支援を行うことを最終的な目的にしている。レポートを書くためには、
日本語の文法、語彙、表現、表記、レポートに相応しい文体などの言語表現 の指導も重要である。しかし、それ以上に、レポートの構成であるレポート の「問い」(序論における問題提起)、「答え」(結論における主張)、「答えの 理由」(本論における論拠の提示)の3部構成の指導も重要である。そこで、
学部留学生の課題レポートの構造分析を行い、レポートの文章構造面の特徴 を明らかにする。理想的なレポートの構造と比較し、構造面の特徴を明らか にする。最後に、評価の低いレポートの問題点を指摘し、レポート構成指導 における提案を行う。
以下の章構成を述べる。まず、第 2 章では文章の構造分析に関する先行研 究に言及し、本研究を位置づける。次に、第 3 章では調査対象にした課題レ ポートの詳細とその課題レポートの分析の枠組みを述べる。第 4 章にて、本 研究で設定した構成要素、理想的なレポートの構成要素、レポートの分析例 について論じる。そして、第 5 章にて課題レポートの分析結果とレポートの 構成指導に言及する。最後に、第 6 章にて全体のまとめと今後の課題を述べ る。
2.日本語教育のための文章構造分析に関する先行研究
本章では日本語教育のための文章構造分析の先行研究をあげ、本研究との 位置づけを述べる。日本語のアカデミック・ライティング教育に応用するこ とを最終的な目的に、さまざまな日本語文章を対象にした構造分析の基礎研 究が行われている。これらの基礎研究では文章の分析単位として、主として 文章論の「段」からのアプローチ(村上 2005a, 2005bなど)と、語学教育の 観点から特定の専門分野の学術論文を対象にした「構成要素」からのアプロー チ(杉田 1997、村岡他 2005、劉 2007 など)がある。
2. 1 「段」を単位とした文章構造研究
まず、文章論の分野における「段」という言語単位について述べる。佐久 間(1993)はそれまでの文章論の研究を発展させ、文章成分として「段」と いう言語単位を設定した。「段」は内容上のまとまりを言語形態上の指標に よって規定し、一個以上の中心文と、それによって統括される複数の文群か らなるとしている。なお、文章の中で改行一字下げする「段落」は、文章の 意味内容のまとまりの一区分を表すが、表記上の分量面を配慮する場合もあ り、必ずしも意味的・論理的なまとまりとしては認識されていない。そのた め、文章論においては「段落」ではなく「段」の言語単位が用いられている。
また、文章論の枠組みでは、主題文の位置がその文章の中でどこに現れる のかを分析することが特徴である。つまり、主題文が文章全体の初めに現れ れば「頭括型」、最後に現れれば「尾括型」のように分析する。
この「段」の単位に基づいて、村上(2005a, 2005b)では、理工系学部日 本人学生の課題レポートの序論と結論の分析を行っており、次のような結論 を述べている。課題レポートの序論においては「問題発見」+「課題設定」
が構成の典型であり、序論の最後の部分に筆者の最も言いたいことが述べら れるという「尾括型」の文章構造が多数を占める。一方、結論は序論に比べ て、パターン化が小さく、「結果の表明」が結論の必須要素であり、「結論」
の文章構造は「頭括型」が最も多く、次いで「尾括型」が多いという。
2. 2 「構成要素」を分析単位とした文章構造研究
「構成要素」を分析単位とした文章構造の研究は、語学教育における専門 分野の学術論文を対象にしたものが多い。村岡他(2005)によれば、「構成 要素」とは、言及内容のまとまりを指し、必ずしも 1 文単位ではなく、複数 の文が1つの構成要素を形成する場合もあると論じている。以下に、「構成 要素」を分析単位とした文章構造の先行研究から、杉田(1997)と村岡他(2005)
を取り上げる。
杉田(1997)は研究論文の文章構造の分析の枠組みとして「ジャンル分析
(Genre analysis)」を発展させた
Swales
(1990)の「研究領域創造モデル (Creata Research Space Model: CARS
モデル)」を紹介している。CARSモデルは「文章のある箇所で書き手が何をしようとしているのかというコミュニケーショ ン上の意図を考慮した単位」(杉田 1997:51)であり、「文段注1」や「段落」
による文章研究の分類とは性格を異にすると述べている。杉田は日本史学分 野の歴史学専門誌の論文 30 編の序論を分析した。序論において書き手がど のようなコミュニケーション上の意図を伝えようとしたのかを文ごとに検討 し、4 つの構造的要素とその下位項目 16 の分類を提案した。
筆者は杉田(1997)が今後の課題として指摘した「構造的要素を手掛かり に、ある内容が文章化された結果として形式段落を分析する」という構造的 要素から形式段落へというアプローチは日本語学習者の文章分析に有効と考 えている。そこで、本研究では、日本語学習者のレポートを分析する際に、
学習者の意図した内容が必ずしも適切な日本語表現として表現されていない 場合があるため、学習者の言わんとしている意図を推測注2しながら、構成 要素を決定する。
杉田(1997)の文章構造分析研究の影響は大きく、この後、日本語教育の ライティング研究において、専門ジャンルによる学術論文の序論などの構造 分析の研究が続く(村岡他 2005、村上 2005a、大島他 2010 など)。
村岡他(2005)では、農学系・工学系日本語論文の「緒言」における 4 種 類の構成要素の出現傾向を分析しながら論理展開分析を行っている。分析の 結果、緒言文章は「領域提示」「研究動向提示」「課題設定」「論文概要紹介」
の 4 構成要素が各々特定の段落に配置されやすいことを究明した。そして、
論文作成が必要な学習者の論文読解にあたっては、段落、構成要素、論理展 開を支える特徴的な表現を関連づけ、内容読解を行いつつ論理展開を学ぶこ とが効果的であると結論づけている。また、論文作成にあたっては、論理展 開の全体像を把握する重要性を強調している。すなわち、書くべき内容を厳 選し、論理的な飛躍や矛盾がなく 4 構成要素を認定し、内容と構造の関係が 意識化されれば、効果的な習得が期待されるとしている。
本研究では学部留学生を対象とした日本語科目における課題レポートの分 析において、村岡他が述べている「内容と構造の関係の意識化」がどのくら いできているのか考察する。つまり、書くべき内容と実際に表現された言語 表現、そして、それらの構成がどのように展開しているのかを分析する。
3.分析の枠組み
3. 1 調査対象とした課題レポート
今回、調査対象としたのは、大学でのレポートを書き始めた留学生による 課題レポート 15 編(1 編の文字数は約 2,000 字程度)である。これまでに述 べたように、文章構造分析の研究は、序論や結論の分析は進められているが、
論文全体やレポート全体の分析研究はあまり見られない。そこで、文章全体 の構造分析をするにあたり、1編が 2,000 字程度の短いレポートを対象とし た。
今回、調査対象としたレポートは、2010 年度春学期に実施した同志社大 学における学部留学生対象の日本語科目「日本語1(文章表現Ⅷ)」の 2 ク ラスで執筆したものである。「文章表現Ⅷ」の 2 クラスを受講した学生は 19 名であった。分析の対象にしたのは、大学院生 1 名を除き、課題レポートの 研究利用に承諾した 16 名のレポートである。ただし、1 つのレポートは序 論がなく、他の文献からの直接引用が占める割合が 3 分の 2 近くを占めたの で分析の対象外とした。ここでは教師が学習者の書いた文章にフィードバッ クをする前の第一稿 15 編を分析対象とする。
15 名の学習者の所属内訳は、学部 1 年生 7 名、2 年生 1 名、留学生別科生 3 名、交換留学生 4 名である。学習者の国籍は、中国 8 名、韓国 4 名、台湾 2 名、日本 1 名である。学部の日本語レベルは、主に日本語能力試験 1 級合 格レベルで、Ⅶレベル(上級前半)とⅧレベル(上級後半)の 2 つを設定し ている。今回の分析対象にしたⅧレベルの学生は、文法・語彙を中心にした プレースメント・テストでⅦレベルよりも高い得点を得ている。しかし、書 く力については同テストでは評価していないため、留学生のレポートを書く 力は、学生によって異なる。
授業開始時に実施したアンケートによると、今までに小論文やレポートの 書き方の授業をうけたことがない学生は 15 名のうち 4 名であった。ただし、
この 4 名のうち 2 名はレポートを書いた経験がある。次に、今までにレポー トの書き方に関する授業を受けたことがあり、2000 字程度のレポートを書 いたことがある学生は 7 名、作文の授業で 800 字程度の小論文や感想文を書 いたことはあるが、レポートは書いたことがない学生が 4 名であった。
「文章表現Ⅷ」の授業では、説明型レポートと論証型レポート注3を書くこ とを通して、レポートの書き方を身につけることを目的にしている。1 回目 の授業では、授業の目的を説明し、留学生の書く力を見るために、「スポー ツ立国」に関する資料を読ませ、それについて、30 分で賛否の意見を書か せた。それについて、次の回に、学生同士や教師から個別にフィードバック を与えた後、全体ディスカッションを行い、意見文を再提出させた。
その後、説明型レポートを扱い、教師が指定した3つのテーマから 1 つの テーマを選択する課題レポートに 5 回分の授業を費やした。残りの授業は論 証型レポートの指導を行ったが、ここでは説明を割愛する。次に、課題レポー トの趣旨を述べる。主として初年次の学生を対象にしているため、最初から 長いレポートを書くことは難しい。そこで、2,000 字程度のレポートを書き、
基本的なレポートの書き方に慣れることを目的にしている。以下、課題レポー トに関する 5 回の授業内容を示す。
1 回目の授業は、教師が準備した新聞記事のいくつかを読み、その内容を 確認し、3つの海洋動物に関するニュースから 1 つの課題テーマを選択する こととした。課題テーマは次の 3 つである。1「日本の調査捕鯨船に対する シー・シェパードの攻撃問題」、2「映画『コーヴ』と和歌山県太地町のイル カ漁問題」、3「大西洋クロマグロの輸入禁輸の動きに関する問題」である。
クジラに関する新聞記事は 12(ニュース解説 2、社説 4、ニュース記事 5、
オピニオン 1)、イルカに関する新聞記事は 5 つ(ニュース記事 4、オピニオ ン 1)、クロマグロに関する新聞記事は 9 つ(ニュース解説 2、社説 1、ニュー ス記事 3、オピニオン 3)を「文章表現」の授業ページ注4から受講生が自由 に閲覧できるように提示した。
課題レポートの 2 回目の授業では、主として、レポートを書くための基礎 知識として、引用表現や参考文献の書き方を指導した。3 回目の授業では、
レポートの骨子として「1 テーマ選択の理由、2 テーマの現状(5 W 1 H)、
3 テーマに関する問題点の指摘、4 自分の意見」について、各項目を 2 ~ 3 文でまとめさせた。受講生のレポートのテーマ選択は次の通りである。捕鯨 問題 3 名、イルカ漁問題 8 名、クロマグロ問題 4 名であった。
4 回目の授業ではレポートを執筆させた。レポートの執筆にあたり、教師
はレポートの基本的な構成と各章で書くべき内容を提示した。それは初めて 日本語のレポートの書き方について授業を受ける学生が 15 名のうち 8 名で あったためである。レポートの構成は「序論(1 はじめに)、本論(2 テー マの現状、3 テーマの問題点)、結論(4 まとめ)」の 4 章構成と「参考文献」
の構成を基本とし、各章の章見出しについては、各自の判断に任せることと した。そして、第 1 章では「テーマについての背景、問題提起、テーマ選択 の動機、テーマに対する賛否の立場、または、意見の表明、レポートの目的、
レポートの構成」を、第 2 章では「テーマについての時間的経緯などの現状」
を述べ、文献から正しく引用するように注意を促した。第 3 章では「テーマ に関する問題が生じた原因やその分析、異なる立場による現状認識の違い」、
第 4 章では「本論のまとめ、結論(自分の意見とその理由)」を書くべき内 容として示した。
5 回目の授業では、第一稿に対するフィードバックと修正を行い、第二稿 を提出させた。
3. 2 課題レポートの分析の枠組み
本研究における構成要素とは、レポートの各構成部分において、日本語学 習者が最も伝えたい意味内容を述べている要素とする。この構成要素の単位 は、意味内容によって判断するため、その長さはまちまちである。つまり、
1 つの構成要素は 1 つの形式段落の場合、複数の文の場合、単文の場合であ る場合がある。
表1 論文作成参考書の構成項目と課題レポートの構成要素の一覧表 浜田他(1997)による論文の構成項
目(A~H)とその下位要素(a~o)
説明型課題レポートの構成要素
(Ⅰ~Ⅶ)とその下位要素(a~s)
序 論
A 背景説明
a
事物の説明b
先行研究の紹介 B 問題提起c
問題点の指摘d
疑問の提示 C 方向付けe
目的の提示f
問題解決の方法 D 全体の予告g
全体の予告Ⅰ
テーマの背景提示a
テーマの提示b
事物/用語の提示Ⅱ
問題提起c
問題点の指摘Ⅲ
研究行動の概略d
テーマ選択の動機e
立場/意見の表明f
研究目的の提示g
文章構成の提示本 論
E 論拠の提示
h
データ提示h-1
事柄データh-2
数量データh-3
文章データi
意見提示i-1
データ解釈i-2
考察 F 結論の提示j
結論の提示*G 行動の提示
k
部分の予告l
部分のまとめⅣ
データの提示h
テーマの説明i
争点の提示j
事物/用語の説明k
具体例の提示Ⅴ
意見の提示L
立場説明/意見提示m
解釈n
考察Ⅵ
研究行動の提示o
要素の分類結 論
H 結びの提示
m
全体のまとめn
評価o
展望提示Ⅶ
結論の提示p
本論のまとめq
結論*r
提言/要望s
所感(注 1) 表1の右列は学生のレポートを分析した結果、今回の課題レポートに出現した 構成要素を示している。「所感」(Ⅶ -s)はレポートに必要ない構成要素である が、多数のレポートに見られたため、構成要素として設定した。
(注 2) 表中の*は「結論の提示」要素が現れる位置を示す。浜田他(1997)では「本 論」の最後に提示されているが、AJ 研究会(2002)と二通他(2010)では「結 論」において提示される。本研究は「結論」に「結論の提示」を置く。
(注 3) 右枠の「Ⅴ意見の提示」の「L 立場説明/意見提示」において、"l " を "L" と 表記しているのは、"l " は "i, j" と字形が似ているためである。明確に区別する ために "l " を "L" と表記する。
本研究では、学生のレポートを分析した結果、意味内容の面から説明型課 題レポートの構成要素として、表1の右列に示す 7 つの構成要素とその下位 要素である
a
~s
の 19 項目を設定する。レポートの大きな構成としては、論理的な文章の展開である序論、本論、結論の 3 部構成を前提とする。7 つ の構成要素のうち、序論の要素は「Ⅰ テーマの背景提示」、「Ⅱ 問題提起」、「Ⅲ 研究行動の概略」の 3 つ、本論の要素は「Ⅳ データの提示」、「Ⅴ 意見の提示」、
「Ⅵ 研究行動の提示」の 3 つ、結論の要素は「Ⅶ 結論の提示」である。
説明型課題レポートの構成要素を設定するにあたり、一般的なレポート・
論文作成の参考書である浜田他(1997)、アカデミック・ジャパニーズ(AJ)
研究会(2002)、二通他(2010)を参考にした。これらの参考書では、序論 や結論で取り上げている構成項目の名称は必ずしも一致していないが、そこ で取り上げている構成要素の意味内容や文型表現はほぼ共通している。しか し、本論における構成要素や本論で取り上げる文型表現に関して、上掲した 参考書はそれぞれ異なっており、序論や結論ほど共通していない。そこで、
本論の構成要素が最も簡素で、明解な浜田他(1997)の構成項目注5を元に、
課題レポートを分析し、説明型課題レポートの構成要素の項目を設定した(表 1)。
これらの参考書はレポート作成というより論文作成を主眼においているた め、序論と結論における構成要素の下位要素、および、その文型表現はレポー トで使用するものより豊富に提示している。例えば、序論における「先行研 究の問題点の指摘」「研究の必要性/重要性の提示」、結論における「研究の 評価」などの構成要素は論文には必要な構成要素であるが、説明や報告を中 心にするレポートではそうした構成要素は必ずしも必要ではない。
本論における構成要素や本論で取り上げる文型表現に関して、浜田他
(1997)、AJ研究会(2002)、二通他(2010)はそれぞれ異なった要素を挙げ ており、序論や結論ほど構成要素は共通していない。例えば、浜田他(2010)
における本論の構成要素は、「論拠の提示」「結論の提示」「行動の提示」の 3 つに絞り込んでいる。そして、AJ研究会(2002)の本論の構成要素は「定 義と分類」「図表の表示」「対比と比較」「原因の考察」などが挙げられ、本 論でよく使われる文型表現を構成要素として提示している。また、二通他
(2010)では、レポートや論文の種類ごとに、つまり、実験・調査型レポート、
論証型レポート、検証型論文などの種類によって、構成要素が異なることを 示している。
文章の構造分析の先行研究においても、序論や結論の構造分析は進められて いるが、本論の分析研究はあまり見られない。このことからも本論の構成要素 をどのような基準で分析するかは難しく、これからの研究が期待されている。
4.課題レポートの分析方法 4. 1 構成要素の設定
この章では、今回のレポートを分析した結果から得られた 7 つの構成要素 と理想とする説明型課題レポートの構成要素について論じ、最後に、レポー トの分析例を示す。序論の構成要素は「Ⅰ テーマの背景提示」、「Ⅱ 問題提起」、
「Ⅲ 研究行動の概略」の 3 つ、本論は「Ⅳ データの提示」、「Ⅴ 意見の提示」、
「Ⅵ 研究行動の提示」の 3 つ、結論は「Ⅶ 結論の提示」の 1 つである。これ らの構成要素とそれらの下位要素(Ⅰ
-a)から(Ⅶ -s)を説明する。そして、
理想的な説明型課題レポートの構成要素を述べる。最後に、学生のレポート の分析例を提示する。
4. 1. 1 序論の構成要素
序論の構成要素は「Ⅰ テーマの背景提示」、「Ⅱ 問題提起」、「Ⅲ 研究行動 の概略」の 3 つとする。
「Ⅰ テーマの背景提示」では「課題レポートのテーマそのものを提示」(例:
イルカ漁であれば、イルカ漁について)(Ⅰ
-a)、あるいは、「テーマの中心
的な事物や用語を提示」(例:イルカという動物について)(Ⅰ-b)し、読
み手にテーマを導入する。次に、「Ⅱ 問題提起」では「テーマに関する問題 点を指摘」(例:なぜイルカ漁をするのかなど)(Ⅱ-c)を下位要素に置く。
最後に、「Ⅲ 研究行動の概略」は、書き手がこのレポートで何をしようとす るのかについて概説する過程である。そこでは、「なぜこのテーマを選択し たのかという動機」(Ⅲ
-d)を述べ、「そのテーマに対する賛成、あるいは、
反対の立場を表明」し、または、「書き手の意見や主張を表明」(Ⅲ
-e)する。
そして、このレポートで「何を明らかにしたいのかという目的」(Ⅲ
-f)を
述べ、「本論以下の章構成を言及」(Ⅲ-g)する行為が見られる。
以上、序論の各構成要素の下位要素として、「テーマの提示」(Ⅰ
-a)、「事
物/用語の提示」(Ⅰ-b)、
「問題点の指摘」(Ⅱ-c)、
「テーマ選択の動機」(Ⅲ-d)、「立場/意見の表明」(Ⅲ -e)、「研究目的の提示」(Ⅲ -f)、「文章構成の
提示(Ⅲ
-g)」を設定する。
4. 1. 2 本論の構成要素
本論の構成要素は「Ⅳ データの提示」、「Ⅴ 意見の提示」、「Ⅵ 研究行動の 提示」の 3 つとする。
まず、意見の根拠を示すテーマの説明やテーマに関する争点を提示する「Ⅳ データの提示」を置く。すなわち、そのテーマに関する歴史的な経緯や世界 のどこで何がどうしているのかという現状の「テーマの説明」(Ⅳ
-h)や、
対立する立場から見たテーマの争点や対立している原因を指摘する「争点の 提示」(Ⅳ
-i)を行う。そして、
「テーマの説明」(Ⅳ-h)や「争点の提示」(Ⅳ
-i)に対して読み手の理解を深めるために「具体例を提示」(Ⅳ -k)する行
動がみられる。
次に、「Ⅳ データの提示」からどのような意見を表出するのかという「Ⅴ 意見の提示」を設定する。「Ⅳ データの提示」における事実を元に書き手が どのように「解釈」(Ⅴ
-m)し、その解釈をもとに「考察」(Ⅴ -n)をしたか、
その結果、どのような「立場を表明」(Ⅴ
-L)
注6する、あるいは「意見を提示」(Ⅴ
-L)するに至ったのかを述べる。「Ⅴ 意見の提示」の具体的な表現
例を以下に挙げる。「ここから~ということがわかる(解釈)。そして、それ は~と考えることができる(考察)。よって、私は~に賛成する(立場表明)。」
最後に、「Ⅵ 研究行動の提示」に言及する。これは主として形式段落の始め に位置し、これから述べようとする「内容をいくつかに分類」(Ⅵ
-o)すると
いう書き手の行動を示すものである。なお、「要素の分類」(Ⅵ-o)や「文章
構成の提示」(Ⅲ-g)は書き手自身の行動について述べるメタ言語であり、読
み手にとって今後の展開を明示することによって、理解を助ける働きがある。以上、本論の各構成要素の下位要素として、「テーマの説明」(Ⅳ
-h)、「争
点の提示」(Ⅳ
-i)、
「事物/用語の説明」(Ⅳ-j)、
「具体例の提示」(Ⅳ-k)、
「立 場説明/意見提示」(Ⅴ-L)、
「解釈」(Ⅴ-m)、
「考察」(Ⅴ-n)、
「要素の分類」(Ⅵ
-o)を挙げる。
4. 1. 3 結論の構成要素
結論の構成要素は「Ⅶ 結論の提示」のみである。「Ⅶ 結論の提示」は、「本 論で論じてきた議論をまとめ」(Ⅶ
-p)、そして「結論」(Ⅶ -q)を中心に述
べる過程である。「結論」の後に、「そのテーマに関する未解決の問題などに 対する提言や要望」(Ⅶ-r)に及ぶ場合もある。また、書き手によっては「デー
タ提示のない個人的な感想や所感」(Ⅶ-s)が述べられる場合も見られる。
以上、結論の各構成要素の下位要素として、「本論のまとめ」(Ⅶ
-p)、「結
論」(Ⅶ
-q)、「提言/要望」(Ⅶ -r)、「所感」(Ⅶ -s)を挙げる。
4. 2 理想的なレポートの構成要素
4.1 節において、本分析で取り上げる課題レポートの構成要素について概 説した。ここでは、筆者の考える今回の課題レポートにおける理想的な構成 要素とはどのようなものかについて述べる。
今回の課題レポートは、与えられた課題について学生が自由に書くもので はなく、文章の内容や構成について条件を課している。その条件は 3.1 節に おいて述べているが、再度、確認する。レポートの章構成は「序論(1 は じめに)、本論(2 テーマの現状、3 テーマの問題点)、結論(4 まとめ)、参 考文献」の 4 章構成を基本とし、各章の章見出しについては、各自の判断に 任せた。そして、第 1 章では「テーマについての背景、問題提起、テーマ選 択の動機、テーマに対する賛否の立場、または、意見の表明、レポートの目 的、レポートの構成」を、第 2 章では「テーマについての時間的経緯などの 現状」を述べる。第 3 章では「テーマに関する問題が生じた原因やその分析、
異なる立場による現状認識の違い」、第 4 章では「本論のまとめ、結論(自 分の意見とその理由)」を書くべき内容として示した。よって、3.2 節の表1 の課題レポートの構成要素では、上記の条件を反映した構成要素(「テーマ 選択の動機、Ⅲ
-d」など)も反映している。
今回の分析における理想的なレポートの構成要素の一覧を表 2 に示す。表 2 はレポートの第 1 章から第 4 章において、表1に示した構成要素のうち、
どれが必要な要素であるのか(必要度は「○」表示)、内容や文脈によって 必要となる要素であるのか(必要度は「△」表示)、不要な要素であるのか(必 要度は「×」表示)を示したものである。
序論の第1章では、序論で書くべき内容として指定したものは、序論に必 要な要素と考えている。つまり、「テーマの提示」(Ⅰ
-a)、
「問題点の指摘」(Ⅱ-c)、「テーマ選択の動機」(Ⅲ -d)、「立場/意見の表明」(Ⅲ -e)、「研究目的
の提示」(Ⅲ
-f)、
「文章構成の提示(Ⅲ-g)」は必要な要素である。また、
「事 物/用語の提示」(Ⅰ-b)は必ずしも必要ではないがレポートの内容や文脈
によっては必要となる。本論の第 2 章で書くべき内容は、テーマについての現状説明であるため
「テーマの説明」(Ⅳ
-h)とその現状についてどのように書き手が「解釈」(Ⅴ -m)しているのかを必要な構成要素とした。単に、テーマについての説明
をするだけでなく、書き手はその事実を解釈しているのかを示すのは論理の 展開上、必要である。「争点の提示」(Ⅳ-i)は第 3 章で書くべき内容である
ので、第 2 章では不要である。それ以外の本論の要素については、レポート の内容や文脈によって必要であるとした。本論の第 3 章で書くべき内容は、テーマについての争点であるため「争点 の提示」(Ⅳ
-j)と、本論の中での議論をまとめ、自分の立場や意見を提示す
る「立場説明/意見提示」(Ⅴ-L)を必要な構成要素とした。「テーマの説明」
(Ⅳ
-h)は第 2 章で書くべき内容であるので、第 3 章では不要である。それ以
外の本論の要素については、レポートの文脈によって必要であるとした。そ れ以外の本論の要素については、レポートの文脈によって必要であるとした。
結論の第4章で書くべき内容は、「本論のまとめ」(Ⅶ
-p)と「結論」(Ⅶ
-q)であるので、それらを必要な要素とした。「提言/要望」(Ⅶ -r)について
はレポートの文脈によって必要であるとしたが、「所感」(Ⅶ
-s)は根拠のない
感想に近いものであるため、レポートには必要ではない構成要素と判断した。細川他(2011:95)では、いいレポートの条件として、①「オリジナリティ のある主張」、②「主張を裏付ける根拠」、③「わかりやすい構成」の3つを
挙げている。さらに、③のわかりやすいレポートの構成に関して、①「問題 提起(問い)」、②「本論(証拠の内容)」、③「結論」(答え)の3つをわか りやすく構成することを指摘している。すなわち、「問い」(序論における問 題提起)とそれに対する「答え」(結論における意見)、さらに、その「答え の根拠」(本論における論拠の提示)がレポートの中で明示されているもの がレポートとして高く評価されると言える。
そこで、構造面から上記の「問い」「答え」「答えの根拠」の要素に着目し、
理想的なレポートにおける必要な構成要素の中で、レポートの論理展開上、
より重要な構成要素を認定する。
表2 各章における理想的なレポートの構成要素の一覧表
必要度 序 Ⅰ‐a テーマの提示 ○ 論 Ⅰ‐b 事物/用語の提示 △
Ⅱ‐c 問題点の指摘 ○ 第 Ⅲ‐d テーマ選択の動機 ○
1
章 Ⅲ‐f 研究目的の提示 ○
Ⅲ‐g 文章構成の提示 ○ 本 Ⅳ-h テーマの説明 ○ 論 Ⅳ-i 争点の提示 ×
Ⅳ-j 事物/用語の説明 △ 第 Ⅴ-L 立場説明/意見提示 △
2 △
章 Ⅴ-m 解釈 ○
Ⅴ-n 考察 △
Ⅵ-o 要素の分類 △ 本 Ⅳ-h テーマの説明 × 論 Ⅳ-i 争点の提示 ○
Ⅳ-j 事物/用語の説明 △ 第 Ⅳ-k 具体例の提示 △
3
章 Ⅴ-m 解釈 △
Ⅴ-n 考察 △
Ⅵ-o 要素の分類 △ 結 Ⅶ-p 本論のまとめ ○
第 論 Ⅶ-q 結論 ○
4
Ⅲ‐e 立場/意見の表明 ○
Ⅳ-k 具体例の提示
Ⅴ-L 立場説明/意見提示 ○
Ⅶ-r 提言/要望 △
章 Ⅶ-s 所感 ×
構成要素の下位要素
(注1) 「必要度」欄の記号の意味は下記の通りである。
「○」…必要な要素。「△」…内容や文脈によって必要となる要素。「×」…不 要な要素。
(注2) 着色した構成要素はレポートの論理展開上、より重要な構成要素である。
序論における「問い」として、テーマについての「問題点の指摘」(Ⅱ
-c)
とその問いを含め、テーマの何を明らかにしようとするのかといった「研究 目的の提示」(Ⅲ
-f)をより重要な構成要素とする。次に、本論における「答
えの根拠」に関して述べる。本論の中ではテーマやテーマに関する争点につ いてのデータ提示が数多く提示されている。厳密に言えば、それらのデータ を一つ一つ根拠として提示するものであるが、ここではそれらの根拠を書き 手はどのような意見(サブ・メッセージ)に反映したのかという観点から「立 場説明/意見提示」(Ⅴ-L)をより重要な構成要素とみなす。最後に、結論
における「答え」については、本論における複数の意見(サブ・メッセージ)をまとめたメイン・メッセージである「結論」(Ⅶ
-q)をより重要な構成要
素とみなす。よって、レポートの論理展開上、より重要な構成要素として、「問題点の 指摘」(Ⅱ
-c)、
「研究目的の提示」(Ⅲ-f)、
「立場説明/意見提示」(Ⅴ-L)、
「結論」(Ⅶ
-q)の4つの構成要素とする。これらは書き手のテーマに対する「問
い」と「答え」(結論、メイン・メッセージ)と「答えの根拠」としての意 見(本論における各サブ・テーマに対するサブ・メッセージとしての意見)
を表し、レポートの重要な要素を凝縮したものと言えよう。これらは次節以 降の具体的なレポート分析においても着目する。なお、序論の「問題点の指
摘」(Ⅱ
-c)と「研究目的の提示」(Ⅲ -f)については、双方の要素があるこ
とがより望ましいが、レポートの「問い」が述べられていれば、どちらか1 つであってもいいと判断する。
4. 3 課題レポートの分析例
課題レポートの分析例として、「マグロと日本の未来」と題したレポート
(5.1 節の表 3 のレポート 1)を図 1 に示す。レポートの原文は、序論(第 1 章)
が 1 段落、本論(第 2 章と第 3 章がそれぞれ 2 段落)が 4 段落、結論(第 4 章)
が 1 段落である。
このレポートの構成要素の下位要素を図 1 の右枠に示す。構成要素という 視点から見た場合、レポートの序論は①~④の 4 つの構成要素、本論は⑤~
⑭の 10 の構成要素、結論は⑮~⑰の 3 つの構成要素から成ると判断した。
レポート本文中の下線部は各構成要素を決定する手掛かりとした表現であ る。なお、4.2 節で示したより重要な構成要素である「問題点の指摘」(Ⅱ
-c)、「研究目的の提示」(Ⅲ -f)、「立場説明/意見提示」(Ⅴ -L)、「結論」(Ⅶ
-q)に関して、その原文箇所を太字で示した。そして、同構成要素について
は、その構成要素を着色表示した。次に、表 2 の理想的なレポートの構成要素と比較した結果、12 構成要素 のうち 10 構成要素がレポート 1 に見られた。レポート 1 には理想的なレポー トの構成要素の「立場/意見の表明」(Ⅲ
-e)と「文章構成の提示」(Ⅲ -g)
がなく、「所感」(Ⅶ
-s)が不要であった。
このレポートのより重要な構成要素の本文をそのまま提示すると次のよう になる。(引用文の「②」などの数字は、レポートの構成要素の通し番号で ある。引用文中の日本語の誤りは訂正せず、そのまま引用している。)
・クロマグロは全世界的に絶滅危機に置かれている。こんな状況で日本が今までの 消費量をずっと維持するとしたら、絶滅は時間問題であるのだ。(② Ⅱ
-
c 問題 点の指摘)・今後の課題提示を通じて、マグロの絶滅危機による日本の未来に対しても考えた いと思う。(④ Ⅲ
-f 研究目的の提示)
・日本はこの問題に対してもう少し深刻に認識する必要がある。穀物と畜産物に比 べて、水産物は天然資源に対する依存が大きいという現実を直視しなければなら ない。よって、世界中で捕えてるマグロの半分以上を日本が消費する現状況は改 善するべきなのだ。その解決策として、一番先に考えられることは養殖だ。(⑫
Ⅴ
-L 意見表明)
・この問題については養殖を含め、いろいろな解決策を探すように努力するべきだ。
(⑭ Ⅴ
-L 意見表明)
・ここで私も養殖クロマグロに期待をかけたい。(⑮ Ⅶ
-q
結論)上記をさらに短くまとめると、次のようになる。「クロマグロの絶滅危機 状況は問題だ(②)。このレポートの目的はマグロの絶滅危機に関して日本 はどのように行動すべきか考えることだ(④)。日本は世界の海で捕れるマ グロの半分以上を消費していることを改め、マグロの養殖を第一の解決策と して提案する(⑫)。養殖以外の解決策も探すべきだ(⑭)。(クロマグロの
図1 課題レポートの構成要素分析例
① (テーマの提示)
② (問題点の指摘)
③ (テーマ選択動機)
④ (研究目的の提示)
⑤ (用語の説明)
⑥ (テーマの説明1)
⑦ (解釈)
⑧ (テーマの説明2)
⑨ (解釈)
⑩ (テーマの説明3)
⑪ (争点の提示)
⑫ (意見表明)
⑬ (用語の説明)
⑭ (意見表明)
⑮ (結論)
⑯ (本論のまとめ)
⑰ (所感)
1 はじめに
①最近国際社会では、クロマグロの規制について議論が活発に行われている。そしてその真 ん中には日本がいる。日本は世界中のクロマグロ消費量の80%を占めている世界一のマグロ 消費国家であるからだ。日本は島国で、昔から魚の消費量が高かった。その中でもクロマグロ は最高級すしなどの材料であるため、 消費せずにはいられない状況と言う。②しかし、クロマグ ロは全世界的に絶滅危機に置かれている。こんな状況で日本が今までの消費量をずっと維持 するとしたら、絶滅は時間問題であるのだ。③今回このテーマを選んだ理由は、日本のマグロ 消費現況とそれによる問題点、そしてマグロ絶滅を阻むための国際次元の努力などを明確にさ せるためだ。④また、今後の課題提示を通じて、マグロの絶滅危機による日本の未来に対して も考えたいと思う。
2 クロマグロの問題の現状
⑤クロマグロはマグロの中でも一番大きい。長さ4m、重さ400kgで、大西洋と地中海、 日本 近海でよく取れている。日本では魚の中でもっとも最高級と思われていて、黒いダイアモンドと も呼ばれる。 ⑥EUは3月10日、 ブリュッセルで大使級会議を開いて、モナコが提案した“大西 洋·地中海のクロマグロ国際取り引き禁止案”を支持するという方針を決めた。大西洋と地中海 のクロマグロに対しては国際取り引きを禁止することで3月13〜25日カタールで開かれるワシン トン条約締結国会議で扱った。 ⑦EUの決定に先立ってアメリ カでもうすでにモナコ提案に対し ての支持を表明した事があって、反対意思を明らかにしている日本としては非常に困った立場 であった。
⑧しかし「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(CITES)会議の結 果、クロマグロ輸出禁止案件に対して賛成20票、反対68票、棄権30票で、結果は否決された。
⑨これによって日本は、当分の間はマグロ料理を楽しむことができるようになったのだ。問題は 一段落されたように見えたが、これをきっかけに世界中が日本のマグロ消費量に注目するよう になった。 ⑩現在、マグロを輸出する国々と世界一のマグロ消費国の日本の利害関係を乗り 越えるには環境保護論者達の影響力はあまりにも弱い。モナコを初めとする規制賛成国やグ リーンピースなどの団体では、ある生物が絶滅の危機にさらされていて保護するため積極的に 活動しているが、ひたすら自国の利益をためにこれを防ごうとしている日本に対して遺憾の意 を表している。
3 クロマグロ問題の問題点
⑪これに対して日本は、野生動植物のための団体である CITESが食糧の一つであるマグロ 仲裁に出るということは越権行為であり、極端過ぎる反応だと反論する。クロマグロの国際取引 を防ぐことがCITESの役目であることは確かだが、誰もマグロを捕獲しないように捕獲禁止令を 宣言するわけではない。したがって、規制が成立しても輸出ができないだけで、日本ではない 他やヨーロッパの国々のマグロ捕獲については拘束力を発揮することができないという点で、
CITESは合理的な管理機構にはなれないと憂慮は表明している。一方ではクロマグロはま だ 500万~600万匹も残っていて、絶滅するわけがないという意見も出ている。
⑫しかし、日本はこの問題に対してもう少し深刻に認識する必要がある。穀物と畜産物に比 べて、 水産物は天然資源に対する依存が大きいという現実を直視しなければならない。よって、
世界中で捕えてるマグロの半分以上を日本が消費する現状況は改善するべきなのだ。その解 決策として、一番先に考えられることは養殖だ。⑬日本はすでに2002年6月、近畿大学の水 産研究所でマグロ養殖に成功している。少数の人々は自然産ではない養殖クロマグロの質に 対して疑問を抱いているが、30年間研究をしての数多い試行錯誤を重ねた結果作られたクロ マグロは、デパートでも大きい売り上げを占めるほどの人気食品だ。⑭したがって、この問題に ついては養殖を含め、いろいろな解決策を探すように努力するべきだ。
4 まとめ
⑮ここで私も養殖クロマグロに期待をかけたい。⑯自然産クロマグロのみを求めるには、日 本はあまりにも多い消費量のため再び国際的問題に広がる可能性もあるし、だとしてマグロを 諦めるには少し誇張して言うと日本人の未来がかかっている問題だからだ。⑰私個人的にもま ぐろは好きだが、 絶対マグロを捕獲してはいけないということが答ではないし、まずは食べよう ということも答ではない。すべての資源は合理的に管理しながら利用しなければならない。今回 の事件で、日本はクロマグロとそれに従う食生活の未来について一度振り返って見る良いきっ かけになったのだろうと考える。
(注1) 下線部は構成要素を決定する手掛かりとした表現である。
(注2) 太字体は「問題点の指摘」「研究目的」「意見表明」「結論」の箇所で、レポートの論理展 開上、より重要な構成要素である。
(注3) 右枠の着色した構成要素は、レポートの論理展開上、より重要な構成要素である。
Ⅲ-d
Ⅳ-h
Ⅴ-m
Ⅰ-a
Ⅳ-j
Ⅳ-h
Ⅴ-m
Ⅳ-h
Ⅳ-j
Ⅳ- i
Ⅶ-p
Ⅶ-s
Ⅲ-f
Ⅴ-L
Ⅴ-L
Ⅶ-q
Ⅱ-c
絶滅危機を回避するには)私も養殖クロマグロに期待している(⑮)。」この レポートでは、「問い」(②④)と「答え」(⑮)、「答えの根拠」としての意 見(⑫⑭)が存在し、そしてその内容が伴っている。また、これはレポート の要旨としても理解できる。このように、理想的なレポートの構成要素と一 致する要素が多く、レポートの中により重要な構成要素があり、そして、そ の内容が伴っていることが、よいレポートと言えるのではないだろうか。次 章では、残り 14 編のレポートを分析し、理想的なレポートとその構成要素 を比較する。
5.分析結果とレポート構成指導の提案
この章では課題レポートの分析結果と、その結果を受けたレポート構成指 導について述べる。まず、筆者が 15 編のレポートを評価し、評価順にレポー トを並べ、理想的なレポートの構成要素と比較する。そして、4.2 節の表 2 で示した理想的なレポートの構成要素が各レポートの中でどの程度出現した かについて触れる。次に、評価の低いレポートの特徴を構成面と内容面から 述べ、最後に、いいレポートを書くために構成面と内容面の繋がりをどのよ うに意識させることが望ましいのかを提案する。
5. 1 レポートの評価
表 3 は 4.3 節で例示したレポート(図1)と同様の手法で 15 編のレポー トの構成要素を分析し、その結果を一覧表にまとめたものである。
15 編のレポートの中で、評価の高いレポートとそうではないレポートを 比較し、その構成要素の特徴を見るために、まず、筆者はそれぞれのレポー トを内容面と表現面から評価した。レポートの評価は次の 3 つの項目で、①
「明確な主張があるか」(内容面、0 ~ 3 点)、②「根拠がはっきりしているか」
(内容面、0 ~ 3 点)、③「日本語表現は適切か(文法・語彙・表記・文体な どを含む)」(表現面、0 ~ 3 点)について、合計 9 点満点で算出した(表 3 の上から 3 行目の「得点」)。
表3 課題レポートの構成要素(a ~ s)の展開一覧表
レポート 理想 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15
テーマ B B D D W D B D D D W D B W D
得点 9 8 7 7 7 6 6 5 4 4 2 2 2 1 1
<序論( 第1章) > 要素の
異なり数6以上 4 4 3 4 2 2 3 2 2 3 1 3 3 3 2 文字数 340 183 319 234 325 408 232 348 145 282 285 336 236 216 144 構 1 a a a b a a a a a a a a a b a b 成 2 (b) c e c d c *m c d e d d d c d
要 3 c d d d f f f e f g
素 4 d f f g 展 5 e
開 6 f 順序 7 g
要素の
異なり数2以上 3 4 1 3 1 3 5 4 1 1 2 3 3 4 1 文字数 637 328 375 1027 712 576 918 1229 693 628 965 1108 952 1108 386 構 1 (o) j j h h h h o h h h h h h h h 成 2 h h h h h m h m h h h m j j h 要 3 (j) m m h h k m n h m h j h
素 4 (k) h o m j L h h h m j
展 5 (L) m n m h L h k
開 6 m h h n m h
順 7 (n) m m
序 8 h
要素の
異なり数2以上 3 5 5 3 2 4 4 4 4 5 1 4 3 4 1 文字数 599 1388 886 384 487 879 501 279 742 735 297 681 360 491 343 構 1 (o) i i L o i i j o i o n i i o i 成 2 i L m m i k n m i m i n m i i 要 3 (j) j i n m k L n i k n i n i i 素 4 (k) L m i i k L i m i k i L
展 5 L i L m L L i i L m i
開 6 (m) m k i k L i m
順 7 (n) o m m m
序 8 i i L L
9 (j) j k
10 (k) L
11 L i
12 (m) L
13 (n) L
要素の
異なり数2以上 3 2 3 2 2 2 3 2 2 3 2 1 3 2 4 文字数 265 129 433 369 392 239 255 349 342 485 327 112 484 386 929 構 1 p q q p q q p *k q p q p q q q *L 成 2 q p r q q p q q p q p q s q *k
要 3 (r) s r s q r q s q r q *k
素 4 p q q *L
展 5 q q *L
開 6 *k
順 7 *L
序 8 *k
9 *m
10 s
<本論( 第2章) >
<本論( 第3章) >
<結論( 第4章) >
(注1)テーマの文字は " D "= イルカ、" B " =クロマグロ、" W " =クジラを示す。
(注2)"i, j" と明確に区別するため、"l " は "L" と表記する。
(注3)「*」の要素は序論や結論における本論の構成要素を示す。
(注4)「理想」のレポート列中の( )は、内容や文脈によって必要となる要素を表す。
(注5)着色した構成要素は論理展開上、より重要な構成要素。(表2参照)
この評価項目については、細川他(2011:95)がいいレポートとする3つ の条件、①「オリジナリティのある主張」、②「主張を裏付ける根拠」、③「わ かりやすい構成」を参考に決定した。ただ、今回の分析はレポートの構成の 観点からレポート分析しているため、レポートの全体評価には③「わかりや すい構成」は評価せず、代わりに③「日本語表現は適切か」を評価項目に入 れた。これはレポート評価において取り上げられる評価項目であるためであ る。その結果、各レポートの評価は 9 点から 1 点まで幅広く分散した。表 3 ではレポートの得点が高いものから低いものを順に並べ、レポート番号を得 点の高いものから振った。
また、表 3 のレポート 1 の左側の列に、理想的なレポートの構成要素の展 開について記述した。これは表 2 で示した理想的なレポートの構成要素を反 映している。序論と結論の構成要素の展開順序はある程度、展開の型が決まっ ている(AJ研究会 2002)。本研究のレポートの構成要素を決定するにあたり、
複数の論文やレポートの書き方の参考書をもとに設定したが、その際に、序 論と本論については論理展開の順序も考慮して構成要素を決定した。そこで、
序論と結論の構成要素の展開順序については、表 2 に示した構成要素の順序 と同じものを理想とする。一方、本論の展開順序は論の流れによって異なる ため、構成要素の展開順序や特定の構成要素がどれだけ必要かは特定しがた い。そこで、本論の構成要素については、本論の各章に必要な構成要素が出 現しているかを重視する。なお、表 3 の「理想」列中の( )は、内容や文 脈によって必要となる要素を表している。
レポートのテーマ(表 3 の上から 2 行目)と評価の関連を述べる。学生が 選択したテーマに関しては、「クロマグロ(Bluefin tuna:B)」4 編、「イルカ
(Dolphin:D)」8 編、「クジラ(Whale:W)」3 編である。表 3 から「クロマ グロ」をテーマに選んだレポートは高い評価(レポート 1 は 9 点、レポート 2 は 8 点)を得ているものも、中程度の評価(レポート 7 は 6 点)のものも、
低い評価(レポート 13 は 2 点)のものもある。また、「イルカ」や「クジラ」
をテーマに選んだレポートの評価においても、高い評価から低い評価まで見 られる。よって、特定のレポートのテーマによるレポート評価の偏りは見ら れないと判断している。
5. 2 必要な構成要素の有無
各章に必要な構成要素があるのかどうかという点からレポート全体の特徴 を見ていく。図 2 ~図 5 は序論、本論(第 2 章と第 3 章)、結論の構成要素 の出現率を示している。出現率とは 15 編のレポート中で当該の構成要素が 1 回以上出現したかどうかという異なり数を示す。
5. 2. 1 序論(第 1 章)
図 2 は序論の構成要素の出現率を示している。序論の「事物/用語の提示」
(Ⅰ
-b)以外の 6 つの構成要素は、授業中に書くべき項目と指導したので今
回のレポートにおいてレポートの構成要素として必要と考えている。しかし、
6 つの構成要素が現れたレポートはなかった。序論の構成要素の出現につい て、4 つの構成要素から成るのはレポート 1、2、4 の 3 編、3 つの構成要素 から成るのはレポート 3、7、10、12、13、14 の 5 編である。このようにレポー ト 1 から 4 までの評価が上位のレポートは構成要素の数が多い。
図 2 から最も多く出現した構成要素は「テーマの提示」(Ⅰ
-a)の 12 編で、
次に「テーマ選択の動機」(Ⅰ
-d)が 9 編、
「研究目的の提示」(Ⅲ-f)が 6 編、
「問題点の指摘」(Ⅱ
-c)が 5 編と続くことがわかる。表 3 において、より重
要な構成要素(表 3 の着色した要素)に着目して、序論を見ると、レポート 1~ 6、7、10、13、14 に「問題点の指摘」(Ⅱ-c)あるいは「研究目的の提
示」(Ⅲ
-f)が存在する。
序論
(第1章) 構成要素の下位要素 必要
度 レポー
ト数
(全15)
出現率
(%)
Ⅰ‐a テーマの提示 ○ 12 80
Ⅰ‐b 事物/用語の提示 △ 3 7
Ⅱ‐c * 問題点の指摘 ○ 5 33
Ⅲ‐d テーマ選択の動機 ○ 9 60
Ⅲ‐e 立場/意見の表明 ○ 4 27
Ⅲ‐f* 研究目的の提示 ○ 6 40
Ⅲ‐g 文章構成の提示 ○ 2 13 その他 (本論の構成要素) × 1 7
12
3 5
9
4 6
2 1 0
2 4 6 8 10 12 14 16
Ⅰ-a Ⅰ-b Ⅱ-c* Ⅲ-d Ⅲ-e Ⅲ-f* Ⅲ-g その他
図2 序論(第 1 章)の構成要素の出現率
(注1) 「*」の要素はより重要な構成要素である。
(注2) 右のグラフでは必要度が「○」の要素を最も濃く、「△」を次に濃く、「×」を 薄く示している。
ただし、「問題点の指摘」(Ⅱ
-c)や「研究目的の提示」(Ⅲ -f)が存在し
ても、その日本語表現はその表現意図を明確に伝えていない印象を受ける。「自分の意見を述べる」といったものでなく、どのような意見を述べるつも りなのか、より具体的な目的を提示することが望ましい。以下に「問題点の 指摘」(Ⅱ
-c)と「研究目的の提示」(Ⅲ -f)の例を示す。
・その賢いイルカを我々は食料にしようとしている。そのようなことがあってよい のだろうか。(レポート 3 c)
・捕鯨について、なぜそんなに大きな差が存在しているのだろうかと不思議に思っ ている。(レポート 5 c)
・鯨を食としてのことにおいて、善悪はともかく、このような伝統的な食文化と人 間性から生じされる矛盾を考えなければならない。(レポート 14 c)
・今後の課題を通じて、マグロの絶滅危機による日本の将来に対しても考えたいと 思う。(レポート 1 f)
・今回の事件に対するいろいろな方面から分析してから、自分の意見を出したい。
(レポート 2 f)
・この問題の現状、問題点、それに対する意見について説明する。(レポート 4 f)
・まずマグロをめぐった一連の問題を後にしてここではその国際機構と日本側の立 場について述べたい。(レポート 7 f)
・今回はイルカ漁の現状と問題点を明らかに述べたい。(レポート 10 f)
・私のキッチンが危ないと思った私はクロマグロ禁輸について調べて、正確に問題 を把握し、自分なりの意見を述べたいと思う。(レポート 13 f)
なお、序論に書くべきではない構成要素も見られた。レポート 6 の 2 つ目 の構成要素(m)は提示されたテーマに関する書き手の解釈が書かれており、
そこから自分の立場や意見の表明、あるいは、テーマ選択の動機、または、
研究目的につながる記述がみられなかった。序論を書いている途中で書き忘 れたのか、序論で何を書くべきなのか理解が足りなかったのかのいずれかで あろう。
5. 2. 2 本論(第 2 章)
本論の第 2 章では「テーマの説明」を行う。必要な構成要素としては 4.2
節で述べたように「テーマの説明」(Ⅳ
-h)とその説明に対する「解釈」(Ⅴ -m)である。図 3 は第2章の構成要素の出現率を示しているが、「テーマの
説明」(Ⅳ-h)は全レポートに見られ、その「解釈」(Ⅴ -m)も 10 編にあり、
出現率は 67%である。また、この章で書くべきではないテーマに関する「争 点の提示」(Ⅳ
-i)も現れておらず、第 2 章は必要な構成要素の出現という
点から見ると、全体的にできている。図3 本論(第 2 章)の構成要素の出現率
(注1) 右のグラフでは必要度が「○」の要素を最も濃く、「△」を次に濃く、「×」を 薄く示している。
本論
(第2章) 構成要素の下位要素 必要
度 レポー
ト数
(全15)
出現率
(%)
Ⅳ-h テーマの説明 ○ 15 100
Ⅳ-i 争点の提示 × 0 0
Ⅳ-j 事物/用語の説明 △ 5 33
Ⅳ-k 具体例の提示 △ 2 13
Ⅴ-L 立場説明/意見提示 △ 2 13
Ⅴ-m 解釈 ○ 10 67
Ⅴ-n 考察 △ 3 20
Ⅵ-o 要素の分類 △ 2 13
15
0 5
2 2
10
3 2
0 2 4 6 8 10 12 14 16
Ⅳ-h Ⅳ-i Ⅳ-j Ⅳ-k Ⅴ-L Ⅴ-m Ⅴ-n Ⅵ-o
なお、構成要素が「テーマの説明」(Ⅳ
-h)だけのものは 5 編見られる。
例えば、レポート 5 は「商業捕鯨について」と題するレポートであるが、第 2 章には「テーマの説明」(Ⅳ
-h)が 3 回現れる。はじめは「日本の鯨肉食
文化の歴史」、次に「日本の最近の商業捕鯨の現状」、最後に「最近のシー・シェ パードの行動」についてまとめたものである。事実のみをまとめており、書 き手の解釈は見られない。レポート 5 では、結論のみに書き手の意見を書い ている。本論の中でこれらの事実から自分の意見に結びつける段階として、解釈、さらには、考察がなされていると読み手には書き手の考えがわかりや すくなるだろう。
5. 2. 3 本論(第 3 章)
本論の第 3 章ではテーマの争点を述べる。必要な構成要素としては 4.2 節 で述べたように「争点の提示」(Ⅳ
-i)とその争点をふまえた書き手の「立
場説明/意見表示」(Ⅴ
-L)である。図 4 は第 3 章の構成要素の出現率を示
しているが、「争点の提示」(Ⅳ-i)は 14 編にあり、その出現率は 94%である。
一方、「争点の提示」(Ⅳ
-i)を示していないレポート 11 は、客観的な事実
としての争点を提示するというよりも、テーマに関する事実を自分なりに理 解し考察したことを述べている。図4 本論(第 3 章)の構成要素の出現率
(注1) 「*」の要素はより重要な構成要素である。
(注2) 右のグラフでは必要度が「○」の要素を最も濃く、「△」を次に濃く、「×」を 薄く示している。
本論
(第3章) 構成要素の下位要素 必要
度 レポー
ト数
(全15)
出現率
(%)
Ⅳ-h テーマの説明 × 0 0
Ⅳ-i 争点の提示 ○ 14 93
Ⅳ-j 事物/用語の説明 △ 3 20
Ⅳ-k 具体例の提示 △ 6 40
Ⅴ-L* 立場説明/意見提示 ○ 10 67
Ⅴ-m 解釈 △ 8 53
Ⅴ-n 考察 △ 5 33
Ⅵ-o 要素の分類 △ 5 33
0 14
3 6
10 8
5 5
0 2 4 6 8 10 12 14 16
Ⅳ-h Ⅳ-i Ⅳ-j Ⅳ-k Ⅴ-L* Ⅴ-m Ⅴ-n Ⅵ-o
また、より重要な構成要素である「立場説明/意見表示」(Ⅴ
-L)は 10
編に含まれ、その出現率は 67%である。「立場説明/意見表示」(Ⅴ-L)に
至る前の段階である「考察」(Ⅴ-n)は 5 編あり、その出現率は 33%である。
表 3 からは「立場説明/意見表示」(Ⅴ
-L)も「考察」(Ⅴ -n)もないレポー
トは 2 編(レポート 5、15)であることがわかる。これに「考察」のみで構 成されるレポート 11 を除き、残り 12 編のレポートではテーマに関して「争 点を提示」(Ⅳ-i)し、「立場説明/意見表示」(Ⅴ -L)または「考察」(Ⅴ -n)をしている。また、この章で書くべきではないテーマに関する「テーマ
の説明」(Ⅳ-h)も現れておらず、第 3 章は必要な構成要素の出現という点
から見ると、全体的によくできている。さらに、表 3 から、「立場説明/意見表示」(Ⅴ