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1 はじめに
新学習指導要領に示される主体的・対話的で深い学びの実現のために,アクティブラーニング(以
下AL)型の学習活動が推奨され,ALは知識習得において講義よりもはるかに効果的と考えられてい
る。しかし,ALの活動には時間がかかり,知識伝達に使える時間が減るために現場の教員たちの不 安は大きい。このことは筆者の勤務校でも言えることではあったが,生徒が1人1台iPadを持つ環 境を整備して以来,ALを授業に取り入れる教員が増えてきた。本発表ではALを中心に行う授業(以 下AL型授業)の本校の実践を2つ取り上げ,それらの手法と学習効果を明らかにした。
2 授業実践事例 1:学び合いと e ポートフォリオを利用した授業(中学 1 年 英語 授業者 横木竣弥教諭)
中学1年の英語では4学級それぞれを2分割し,週7時間実施している。そのうち4時間が日本人 教員,3時間がネイティブスピーカー教員の担当である。日本人教員担当の時間において,3つのグ ループでAL型授業,他のグループでは講義と練習中心の授業を実施した。AL型授業では一斉授業 はほとんど行わず,グループで課題について自分たちで学び合いながら学習することを中心とした。
教員はグループ学習のサポートや理解に不安のある生徒に説明やミニ講義,面談等を行った。授業の まとめとしてeポートフォリオに振り返りを入力させた。2017年度第2・3学期に実施したが,その 間の定期考査の平均点を比較すると,AL型授業グループが講義型授業グループより高い場合は第2 学期中間考査で5点の差であり,低い場合は期末考査で1.2点,第3学期の学年末考査で0.7点の差 にとどまった。
3 授業実践事例 2:ジグソー法とルーブリックを利用した授業(高校 1 年 生物基礎 授業者 上野裕之教諭)
2017年度1年間を通じて一斉授業は極力抑え,グループワークでiPadを利用して調べ活動や発表 活動を行うことを授業の中心とした。知識構成型ジグソー法や,ルーブリックを利用した生徒同士に よる相互評価も行った。この授業の担当教諭は2015年に同じ高校1年の生物基礎を担当し,講義中 心の授業をおこなっていた。これら2つの年の定期考査の平均点を比較したところ,2015年の講義 型授業より2017年のAL型授業の方が高い場合は最大6.6点の差であり,逆にAL型授業の方が低い 場合は最大で5.1点の差にとどまった。
4 成果と課題
二つの実践授業事例を通じて,AL型授業で教員が教え込まなくても,定期考査の平均点は講義型 とほとんど変わらず,進度を緩めないままでも知識習得には影響しないという示唆が得られた。しか し,ただ単にALで教え込まずにやらせておけばよいのではなく,教員がどのような声掛けやサポー
アクティブラーニング型授業と評価
~ e ポートフォリオ,ルーブリック,定期考査~
簗 瀬 誠
発表要旨88
ト指導をし,どのようにeポートフォリオやルーブリックによる相互評価を利用させるかなどをこれ らの実践から学び,さらに研究・実践することが教員の役割であることが,発表後の質疑応答を通じ て,これからの課題として改めて認識させられることになった。
1 校内研修実施の経緯と校内研修の概要報告
平成29年度から「主体的,対話的で深い学び」の視点に立った授業改善のための校内研修を行 っている。第1回「アクティブ・ラーニング実施にあたっての問題点の共有」,第2回「先進校視 察の成果共有」,第3回「パフォーマンス課題の評価方法の構築」をテーマに開催した。
2 校内研修第 3 回「パフォーマンス課題の評価方法の構築」に関する報告
教科等の専門性にとらわれることなく研究や意見交換を行った。その結果,ペーパーテストのみで は評価しにくい力の育成を図るのにふさわしい授業のあり方や評価方法についての研修が必要である との結論に至った。
校内研修ではまず,田中博之氏よりパフォーマンス課題の有効な評価方法についての講演を受け,
理論的整理を行った。総合的な力が必要とされる課題に対して知識を活用,探究したことを総括的に 評価するためには,規準を示し複合的な課題達成度を段階的に示す「ルーブリック」が有効であるこ とを確認した。次に,ルーブリック作成のためのワークショップを行った。検討対象は第3学年によ る探究活動である。教員を7グループに分けルーブリック作成に取り組んだ。
3 本報告についての意見交換を踏まえた考察
生徒の変容についての質疑を受けた。平成29年度と平成30年度に実施したアンケート調査から生 徒の変容について報告をする。「自分の考えや意見を発表すること」が好きではないと答えた生徒は
69%から65%に減った。「自分の考えを人に説明することは好きか」と答えた生徒は52%から56%
へと増えた。「課題を立て,情報を集め,話し合いを通して発表するなどの学習活動に取り組めたか」
という問いでは,「取り組めた」または「どちらかといえば取り組めた」と答えた生徒が65%から 70%に伸びた。校内研修を通じて授業改善が図られていると考える。