支保変状と内空変位および収束距離に関する考察(地芳トンネル第2工事)
清水建設㈱ 土木事業本部 技術第2部 正会員 ○宮本 健太郎 清水建設㈱ 土木事業本部 技術第2部 正会員 山本 和義 国土交通省 四国整備局 中村工事事務所 正会員 田島 基彦 1.はじめに
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4cm未満 4〜5cm 5〜6cm 6〜7cm 7〜8cm 8〜9cm 9〜10cm 10cm以上 内空変位
計測断面数
吹付けコンクリートにクラック発生 吹付けコンクリートの剥落
高強度鋼繊維補強吹付けコンクリート 通常の吹付けコンクリート
通常の吹付けコンクリート
図‑1 吹付けコンクリートの変状と内空変位の関係 地芳トンネル第 2 工事において、トンネル支保部材に
多くの変状が発生した。支保に変状が見られた位置の地 質は、破砕された粘板岩や輝緑凝灰岩、葉片状〜粘土状 蛇紋岩を含む付加体であった。本稿は、支保部材(ロッ クボルト・吹付けコンクリート)の変状と内空変位の関 係について、従来の関係と実現象の分析を行い、新しい 相関関係を提案する。また、吹付けコンクリートに関し ては、高強度鋼繊維補強の効果と変状についても分析し、
効果の確認を行った。加えて付加体地山に関する収束距 離についても分析したものである。
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3D未満 3〜4D 4〜5D 5〜6D 6〜7D 7〜8D 8〜9D 収束距離
計測断面数
吹付けコンクリートにクラック発生 吹付けコンクリートの剥落 平均収束距離
クラック:4.6D 剥落:4.5D
図‑2 吹付けコンクリートの変状と収束距離の関係 2.吹付けコンクリートの変状
図‑1 に吹付けコンクリートの変状と内空変位の関係 を示す。通常の吹付けコンクリートでは、内空変位が 5cm 程度でクラックが発生し、5〜10cm に達するとクラ ックが発達し、剥落が発生する箇所が見られる。さらに、
内空変位が 10cm 以上になると通常の吹付けコンクリー トの場合、ほぼ確実に剥落が発生していることがわかる。
一方、高強度鋼繊維補強吹付けコンクリートの場合、内 空変位が 5cm 程度ではクラックは発生していない。内空 変位が 10cm 程度でクラックが発生する箇所が一部見ら れたが、10cm 以上になっても剥落までは到っていない。
このことから、内空変位が 10cm 以上と大きい区間でも、
高強度鋼繊維補強吹付けコンクリートの曲げ靭性が有効 に作用し、支保の健全性を保っていることがわかる。
0 2 4 6 8 10 12
4cm未満 4〜5cm 5〜6cm 6〜7cm 7〜8cm 8〜9cm 9〜10cm 10cm以上 内空変位
計測断面数
プレートの変形 ロックボルト破断
図‑3 ロックボルトの変状と内空変位の関係 また、図‑2に吹付けコンクリートの変状と収束距離の
関係を示す。吹付けコンクリートの変状発生位置での平 均収束距離は、クラック発生位置で 4.6D、剥落位置で 4.5D であり、ほぼ等しいと言える。変状発生と収束距離 の関係において特に大きな特徴は見られない。
3.ロックボルトの変状
図‑3にロックボルトの変状と内空変位の関係を示す。内空変位が 4〜5cm 程度から、ロックボルトのプレー トに変形が生じている。プレートに変形が見られた位置における最終内空変位で最も多いのが 6〜7cm である。
このことから、内空変位が 5cm 以上になると、ロックボルトのプレートに変形を生じることがわかる。
キーワード 支保変状,内空変位,収束距離, 高強度鋼繊維補強吹付けコンクリート,付加体 連絡先 〒785‑0601 高知県高岡郡檮原町永野 2050 清水・熊谷共同企業体 TEL0889‑68‑0123
土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)
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3D未満 3〜4D 4〜5D 5〜6D 6〜7D 7〜8D 8〜9D 収束距離
計測断面数
プレートの変形 ロックボルト破断
平均収束距離 プレート変形:5.7D ボルト破断:4.4D
また、図‑4にロックボルトの変状と収束距離の関係を 示す。ロックボルトの変状発生位置での平均収束距離は、
プレート変形位置で 5.7D、ボルト破断位置で 4.4D であ る。破断した位置における収束距離は、プレートの変形 が見られた位置の収束距離と比較して全体的に短いこと から、ボルトの破断は大きな変位が短時間に発生した場 合に起こることがわかる。
4.内空変位と収束距離
図‑5に内空変位と収束距離の関係を示す。
一般に、地山が弾性状態のトンネルにおける収束距離 は、2D以内とされている。しかし、本トンネルにおいて は、F2 断層部以外の区間でも、収束距離は平均で 4.6D と長く、多少のばらつきはあるものの、3〜6Dの範囲で 収束しているものが多い。これは、断層部のみだけでな く、粘板岩を主体とする区間においても後荷が作用して いることを示している。
図‑4 ロックボルトの変状と収束距離の関係
また、上半切羽の収束距離と最終変位の関係は、特に 一定の特徴や傾向は見られない。これはインバート閉合 の時期により、収束距離や収束時間が影響を受けている ことを示している。しかし、F2 断層部における収束距離 は、インバートを早期に閉合したにもかかわらず、平均 で 19.0Dまで達している。F2 断層部の地質は、押出し性
の著しい角礫状〜粘土状蛇紋岩であり、掘削時に湧水は全く無かったが、施工後に吹付けコンクリートやイン バート下部からの湧水が確認されたことから、蛇紋岩が水により劣化し、経時的に荷重が増大したと考えられ る。F2 断層部では、当初スクィージング(押出し性)により変位が発生し、時間経過とともにスウェリング
(膨潤性)が発生し、変位が進行している。これらの現象は、トンネルに大変形を生じさせる膨張性地山の典 型的な特徴であるスクィージングとスウェリングを明確に示すものである。
0 5 10 15 20 25
0 50 100 150 200 250
最終内空変位(mm)
収束までの上半切羽距離(D)
F2断層部以外 F2断層部 Ave(F2)=19.0D
Ave.(F2以外)=4.6D
Ave.+1σ=6.5D
Ave.-1σ=2.7D
図‑5 内空変位と収束距離の関係
5.まとめ
図‑6 に支保部材の変状と内空変位の関係につい て、従来の関係と本トンネルの比較を示す。
吹付けコンクリートは、内空変位が従来と同等 の 40mm でクラックが発生するが、剥落は従来の 300mm に対し 100mm で発生した。高強度鋼繊維補強 の場合、一般的な吹付けでは剥落が発生する内空 変位 100mm 以上でも、ほとんど健全な状態である ことが確認された。ロックボルトは、内空変位が 従来の 60mm に対し 40mm でプレートの変形が発生 し、ボルトの破断は従来の 200mm に対し 80mm で発 生した。従来の関係と比較して、全体的に小さい 内空変位で支保部材の変状が発生する傾向にある。
高 強 度 鋼 繊 維 補 強 の 場 合 、
100mm
以上で も 健 全 か ク ラ ッ ク 発 生 程 度 である 従来の300mm
に対し、100mm
で剥落が発生従来の
200mm
に対し、80mm で ボ ル ト の 破 断が発生従 来 の
60mm
に対し、40mm
で プ レ ー ト の 変形が発生 従来と同等の40mm
でクラ ックが発生80 40 100
40
本報告は,支保部材の変状と内空変位の新しい 相関関係を提案したものである。
図‑6 変状と内空変位の関係(従来と本トンネルの比較)
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