鈴 木 功 眞 漢和辞書 の 部首排列史 に 就 いて ︿研究ノート﹀

13  Download (0)

Full text

(1)

一︑はじめに

本稿筆者は︑﹃倭玉篇﹄を中心とした漢和辞書史を見ている︒

漢和辞書の構造は部首分類が主となっており︑部首排列がどの

ようであるかも言及されている︒部首数がいくつなのか︑部首

排列は何から始まるのか︑それぞれの部首の中心にどのような

漢字が分類されるのかが述べられるのである︒その中で︑部首

排列

の点で︑﹁

意義分類

﹂による

排列順序

というものがある

意義分類が先行書の何を参考に行われたか︑排列順序の中から

見出される法則はどのようなものであるかと言った形で論じら

れることが多いが︑なぜ︑﹁意義分類﹂の方式を採用したのか

に就いての議論は少ないように思われる︒

そこで本稿では︑漢和辞書の部首排列史を漢籍字書

のそれと 1

対比した上で︑現段階では漢籍字書と漢和辞書の差が認められ

ることを記そうとするものである︒ キーワード古辞書・漢籍字書・意義分類

要  旨

古辞書のうち漢和辞書は漢籍字書﹃説文解字

﹄ ﹃

玉篇﹄等を参

照しているにもかかわらず︑漢籍字書とは異なる部首排列を採

用するものが多い︒漢籍字書

は﹃

説文解字

﹄ ﹃

玉篇﹄等のように

﹁一・上・示・三⁝⁝﹂という﹁一﹂から始まるものや︑﹃龍龕

手鑑

﹄ ﹃

五音篇海﹄のように字音や︑字様書﹃五経文字﹄のよう

に字形による部首排列を採用するのに対して︑漢和辞書は﹃新

撰字鏡﹄のように﹁天・日・月・肉⁝⁝﹂等と実質語を示す字

の部首から排列するという状況である︒また︑部首排列の末尾

に漢籍字書にはあまり見られない﹁雑﹂部を立てるものが多い︒

その状況を具体的に漢籍字書︑漢和辞書の諸本で示した︒

鈴 木 功 眞 漢和辞書部首排列史 いて

︿研究ノート﹀

(2)

は﹁

天・日・月・肉⁝⁝﹂で始まり︑﹃類聚名義抄

﹄は

人・彳・

辵・匸⁝⁝﹂で始まる︒ところが︑近世前後に漢籍字書︑漢和

辞書双方で画数順排列が採り入れられたところで︑画数が最少

の﹁

一﹂

始まるものに収斂するのである︒

この漢和辞書の側での多様な排列に就いては︑排列の典拠や

排列の仕組みを考察したものが見られる︒︵乾﹇一九九八

﹈ ︑

井﹇

一九六七

﹈ ︑ 山田

一九九七

﹈ ︑ 村井

﹇二

〇〇

﹈ ︑ 鈴木

﹇一九九九﹈など︶

ここで︹表一︺として主要漢籍字書︑漢和辞書の略年表を︑︹表

二︺として﹃倭玉篇﹄主要諸本一覧を︑そして︑︹表三︺として

漢籍字書︑漢和辞書

︑ ﹃

倭玉篇﹄諸本の部首排列を一覧した︒

︹表一︺の漢籍字書︑漢和辞書略年表では︑主要の字書に就

いて右から左へと年表形式に示し︑上段は漢籍字書︑下段は漢

和辞書に分け︑成立年号︑資料名︑編者名を記した︒

︹表二

︺は

倭玉篇

﹄の

主要諸本を一覧にしたものである︒上

段に部首排列の系統を示し︑その下に部首排列の冒頭︑資料名︑

成立年︑成立や参照関係の備考を示している︒諸本の排列順序

は部首排列の系統を中心にしており︑成立の前後関係は考慮し

ていない部分がある︒

︹表三

︺の

部首排列の一覧は︑右より①漢籍字書︑②漢和辞書︑

③﹃倭玉篇﹄と分け︑上段より資料名︑部首排列の冒頭︑また

部首排列より七曜五行を抜き出して順序がどのようであるか︑

﹁邑﹂︵オオザト︶部

︑ ﹁

阜﹂︵コザト︶部の前後関係

︑ ﹁

白﹂部の

前後︑そして︑最下段に部首排列の末尾︑つまり巻末の﹁雑﹂

部の有無を記した︒資料によっては該当部分を䟌くこともある 二︑部首排列史の概要

字書に於いてどのような部首を立てるかや︑漢字をどの部首

に所属させるかという部首分類の意識︑部首をどう排列するか

という部首排列の方法は︑各字書によって異なる︒字書の中で

部首

画数

排列 させるようになったのは

一六一五年

の﹃字

彙﹄が初めてである︒また︑漢字の画数順排列の概念は部分的

には約四百年さかのぼる一二〇八年の﹃五音篇海﹄から採り入

れられている︒︵福田﹇一九七九﹈︶このように見ると︑画数の

概念は比較的歴史が浅いと言えよう︒

しかし︑画数の概念は︑その後︑一七一六年の﹃康煕字典﹄

に引き継がれ︑現在に至るまでの多くの漢和辞書でも採用され

ている︒さて︑日本の古辞書の歴史の中で︑部首分類体の漢和辞書は︑

現存するもので挙げれば︑﹃篆隷万象名義

﹄ ・﹃

新撰字鏡

﹄ ・﹃

聚名義抄

﹄ ・﹃

字鏡

﹄ ・﹃

字鏡集

﹄ ・﹃

倭玉篇﹄など︑そして︑近世

画引き字書群へと続く︒これらは︑いずれも編纂過程で漢籍字

書を

参照 していたことが

︑ 内容

関連性

から

じられている

が︑部首排列の順序は︑漢籍字書とは根本的なところで差異が

ある︒その差異とは︑漢籍字書

は﹃

説文解字﹄のように﹁一・上・

示・三⁝⁝﹂とする﹁一﹂で始まる部首排列のものが中心であ

るのに対して︑漢和辞書

は﹁

﹂で

始まるものが少数に留まり︑

それ以外のものが︑しかも多様な排列が行なわれるのである︒

また︑漢籍字書とは異なり漢和辞書は部首排列の末尾に﹁雑﹂

部を置くことも多い︒詳細は後述するが︑例えば﹃新撰字鏡﹄

(3)

なお︑﹃倭玉篇﹄諸本は系統の同じものは同様の排列である

ので省略している︒ が︑その場合は﹁䟌﹂と記し︑また︑七曜五行や﹁邑

﹂ ﹁

阜﹂な

どは途中に別部首が入る場合は﹁︱﹂で示している︒

漢籍字書

121までに成立説文解字後漢許慎

543年成立玉篇

﹄ ︵

原本顧野王

  

720までに成立干禄字書顔元孫

(字様書)

776年成立五経文字張参

  

833年成立九経字様玄度

997年成立龍龕手鑑行均

1013年成立大広益会玉篇

﹄ ︵ 会玉篇陳彭年

1069年成立類篇司馬光

1208年成立五音篇海韓道昭

1615年成立字彙梅膺祚部首画数順排列

1670年成立正字通張自烈

1716年成立康煕字典康煕帝勅命 漢和辞書

   682 天武十一新字境部連石積佚書

  827 天長四以降篆隷万象名義空海

    892 寛平四新撰字鏡昌住

   1100 年頃までに成立類聚名義抄

﹄ ︵ 原撰本

1178治承二までに成立類聚名義抄

﹄ ︵ 改編本観智院本等

鎌倉初期成立      世尊寺本字鏡

﹄ ︵ 仮称

     1233 天福元法華経音義

﹄ ︵ 篇立︿部首分類

﹀ ︶

1245寛元三までに成立字鏡集

菅原為長

    1408 応永十四天台三大部難字記心宝

1489長享三までに成立倭玉篇

    1590 天正十八浄土三部経音義珠光

1943昭和十八

大漢和辞典諸橋轍次 ︹表一︺漢籍字書・漢和辞書略年表

(4)

︹表二

︺ ﹃

倭玉篇﹄主要諸本一覧

部首排列系統部首排列冒頭資料名         成立年備考

大広益会玉篇

系統 ⁝⁝ 延徳本        延徳三

1491年写

部首排列

掲出字排列

内閣文庫蔵元版十二行本

会玉篇

増補部分和訓等

音訓篇立

﹄ ・

︒︵

〇〇b﹈

永禄本類字韻     永禄六

1563年写

松井本類字韻       慶長年間写

慶長十五年版        

1610

慶長十五年陰刻刊記版     ︵〃︶

覆慶長十五年版        ︵〃︶

慶長十八年版        

1613 部首排列会玉篇依拠

︑ ﹃

永禄本掲出字排

韻書等

四声排列

との 関連性

められる

松井本以下五本永禄本基礎とし︑増補

部分は﹃音訓篇立

﹄ ・

夢梅本﹄との関連性めら

れる︒︵鈴木〇〇a・﹈︶また古活字版

四段本による増補められる鈴木〇〇

﹈ ︶

日大本新編訓点略玉篇

天理本新編訓点略玉篇

京女本新編訓点略玉篇 部首排列は﹃会玉篇﹄に依拠内容は﹃新編訓点略

玉篇弘治本関連性められる︒鈴木

一九九九〇〇a・〇〇a﹈

弘治本部首排列会玉篇部首より主要部

抄出したもの︒鈴木一九九九

﹈ ︶

⁝⁝弘治本        弘治二

1556年写

世尊寺本字鏡

系統⁝⁝ 音訓篇立

賢秀写本       慶長十

1605年写 山田一九六七により世尊寺本字鏡

抄出であ

らかになっている︒

(5)

意義分類系統 ⁝⁝拾篇目集 川瀬一九五五﹈により部首排列独自分類であ

らかになっている︒

⁝⁝ キリシタン版落葉集附載

小玉篇

       慶長三

1598年刊 川瀬一九五五﹈により部首排列独自分類であ

らかになっている︒︑キリシタン版資料

としての考察められている︒

⁝⁝第四類本︵イ︶    全十一本部首排列冒頭独自意義分類によるが︑後半部

は﹃

︒︵

〇〇〇b﹈ ⁝⁝第四類本︵ロ︶    全十五本

⁝⁝第四類本玉篇略系全四本

⁝⁝夢梅本        慶長十

1605年刊 高橋一九八九により夢梅本

掲出字排列

内庁蔵宋版会玉篇﹄に依拠しているらかに

なっている︒

⁝⁝円乗本        慶長二

1597年写第四類本

改編したもの︒鈴木〇〇b﹈

⁝⁝篇目次第 川瀬一九五五﹈により部首排列独自意義分類

であるらかになっている︒﹃篇目次第﹄の

体意識鈴木〇〇〇a・〇〇b﹈にて考察

した︒

龍龕手鑑

系統⁝⁝ 古活字版四段本      慶長年間刊

古活字版五段甲本     慶長年間刊

古活字版五段乙本     慶長年間刊 菊田一九八八a﹈により掲出字排列等は﹃篇目次

一九五五﹈は五段乙本初版本五段稿本再版

四段本第三版としたが鈴木〇〇a﹈

順序である考察した︒

字鏡集

系統 門別分類

天象地儀⁝⁝ 玉篇要略集      大永四

1524年写

京大残缺本 川瀬一九五五により字鏡集

系統である

らかになっている︒﹃倭玉篇諸本部首排

天象地儀⁝⁝とった門別分類されている

特殊形式

(6)

︹表三︺漢籍字書︑漢和辞書

︑ ﹃

倭玉篇﹄諸本の部首排列

  

注ハイフンは間に別の部首が排列されていることを示す

漢籍字書諸本部首排列冒頭七曜五行排列

﹂ ﹁

排列排列巻末有無

説文解字一上示三王玉气士屮艸

自白鼻ナシ

五経文字木手才牛爿羊米采人彳

日曰白ナシ

九経字様木手牛人彳宀穴目罒貝肉

ナシ

龍龕手鑑朝鮮版金人言心山車長門刀衣示牛

水土

目日白玉石

会玉篇宋版宮内庁本一上示二三王玉⦚⺶

白日旦ナシ

類篇一上示三王玉气士屮艸

自白鼻ナシ

五音篇海金斤高戈交弓干瓜巾亀甘冂未調査未調査未調査ナシ

漢和辞書諸本

篆隷万象名義一上示二三王玉⦚⺶

白日旦ナシ

新撰字鏡天日月肉雨气風火日月

黒白寸

類聚名義抄観智院本人彳匸走麦一十身耳女

日白是田肉

法華経音義永和本女水草糸广品竹一我耳日人

−︵

ナシ︶

ナシ

法華経音義応永本木火土金水日月星雲風山川木火土金水日月未調査未調査未調査

(7)

字鏡鈔 天文本 天部雨日月雲風夕旦山石阜邑日月

色白黒赤丹

天台三大部難字記日乃受月骨其革火色母虍水

水木金

糸白尸

浄土三部経音義人言木火土金水日月肉山石木火土金水日月色白勹

倭玉篇主要諸本

一上示二三王玉⦚⺶以降缺

−︵

以降缺

一上示二三王玉⦚⺶

白日ナシ

日大本略玉篇       ⦚⺶

白日ナシ?

示玉土田邑人女頁有鼻月見

ナシ

日月肉火水木金土毛酉隹日月

水木金土皿白自鼻舟耳

日月火水木金土人彳耳鼻日月火水木金土赤白黒

日月人女目耳舌口言心日月

土水

方立白寸力類少字

日月肉人言木火土金水白風日月

木火土金水水白風雨ナシ

日月人言木火土金水白風雨日月

木火土金水水白風雨ナシ

日月木火土金水白風雨斗竹日月木火土金水水白風雨

土里田谷水冫川泉異

青黒

古活字版五甲金人言心山車長門刀衣示牛

水土

目日白玉石

天象風日月土山邑水冫石門宀日月

白赤丹青玄 光彩部

(8)

字﹄ ︵

永元十二〜建光元年︵一〇〇〜一二一︶成立

︶が

漢字を部

首分類

するのである

︒ 本書

部首排列

は︑﹁一・上・示・三﹂

〜﹁酉・酋・戌・亥﹂の全五四〇部首である︒この部首排列は

漢字の意義が込められているものと考えられている︒つまり︑

万物

は﹁

一﹂

か ら

始まること︑そして子を宿す象徴としての﹁亥﹂

︵この字

は﹁

男子女

﹂と

解される︶を部首分類の末尾とし︑﹁亥﹂

からまた子である﹁一﹂を誕生させるという卜占に基付く排列

である︒︵大島﹇一九九七﹈による︶

そして︑﹃説文解字

﹄に

続く漢籍字書として梁の顧野王編﹃原

本玉篇﹄がある︒本書の部首排列は︵ただし﹃会玉篇﹄による推

定︶ ︑

一・上・示・二﹂〜﹁酉・酋・戌・亥﹂の全五四二部首

という︑﹃説文解字

﹄と

近似した排列であるが︑部首の概念

は﹃

文 解 字

﹄ と

な る こ と が 指 摘 さ れ て い

る︒︵

山 田 健 三

﹇二〇〇四

﹈ ︶

その次は字様書が三種続く︒唐の顔元孫編﹃干禄字書﹄は部

首分類ではなく四声分類である︒

その次の唐の張参編﹃五経文字﹄は部首排列である︒その排

列は︑﹁木・手・才・牛

﹂〜

骨・

・危・爨

﹂の

全一六〇部首

である︒この排列は偏から始まるものであり︑字体規範を意識

する字様書らしい排列と評することができる︒

唐の玄度編﹃九経字様

﹄は

五経文字

﹄の

主要部首を抄出した

構成で︑その部首排列は︑﹁木・手・牛・人

﹂〜

日・

・虍・韋﹂

の全七十五部首と巻末

の﹁

雑弁部﹂である︒

漢籍字書に戻り︑遼の行均編﹃龍龕手鑑

﹄ ︵

龍龕手鏡

︶は

部首

四声

字音方式

分類 し

︑その

排列

は︑﹁金・人・言・心﹂ 三︑漢籍字書の部首排列

漢籍字書史を略述すると︑次の通りである︒

まず漢籍字書以前として﹁類書﹂で現存最古の辞書︑意義分

類体を採

る﹃

爾雅

﹄が

挙げられる︒本書の成立年代は明確になっ

ていないが︑紀元前二世紀頃かと推定されている︒本書は︑語

彙を意義分類し︑各語彙に就いて漢文注︵義注

︶を

記している︒

意義分類の順序は次の通りである︒

  巻上   一釈古  二釈言  三釈訓  四釈親

  巻中   五釈宮  六釈器  七釈楽  八釈天  九釈地   十釈丘  十一釈山  十二釈水

  巻下   十三釈草  十四釈木  十五釈虫  十六釈魚   十七釈鳥  十八釈獣  十九釈畜

本書の本文は漢籍に多く見られるように注釈が含まれた本文

が伝存している

2

そして︑︹表一

︺に

示したように﹃説文解字

﹄ ︑﹃

玉篇

﹄ ︵

以下︑

原本玉篇とする︶が続き︑唐代の字体整理を反映して字様書の

﹃干禄字書

﹄ ︑﹃

五経文字

﹄ ︑﹃

九経字様﹄が成立し︑その後また

漢籍字書として﹃龍龕手鑑﹄︵もとの書名は龍龕手鏡である︶︑

﹃大広益会玉篇

﹄ ︵

原本玉篇の改訂版︒以下︑会玉篇とする︶︑﹃類

篇﹄が続き︑その後︑金代の﹃五音篇海

﹄ ︑

明代の﹃字彙

﹄ ︑

代の﹃康煕字典﹄になると画引きが採用される︒これらのうち

︹表三︺の①に示した﹃説文解字﹄から﹃五音篇海﹄までを略述

すると次の通りである︒

現存最古の部首分類体漢籍字書として後漢の許慎編﹃説文解

(9)

空海編﹃篆隷万象名義

﹄は

漢籍字書﹃原本玉篇

﹄の

抄出と見な

されており︑﹃原本玉篇

﹄と

同じ部首排列である︒

次の昌住編﹃新撰字鏡

﹄の

部首排列は︑﹁天・日・月・肉

﹂〜

﹁辨・匸・麦・自﹂の全一五五部首と巻末に﹁数字

﹂ ︵

掲出字は

な い

︶や

雑字

﹂ ︵

本稿ではこの﹁雑字

﹂を

巻末﹁雑﹂部と判断し

た︶﹁重点

﹂ ﹁

連字

﹂ ﹁

臨時雑要字﹂などをまとめている︒

一一〇〇年までに成立

の﹃

類聚名義抄

﹄ ︵

原撰本

︶は

零本のた

め︑一一七八年までに成立

の﹃

類聚名義抄

﹄ ︵

改編本・観智院本

等︶

全体像を知ることになるが︑その部首排列は︑﹁人・彳・

辵・匸

﹂〜

亀・鬼・風・酉

﹂の

全一一九部首と巻末

の﹁

雑﹂部

である︒

鎌倉初期成立の﹃世尊寺本字鏡﹄は仮称の零本であって︑そ

の全体像

は﹃

倭玉篇

﹄の

一つである﹃音訓篇立﹄および同系統の

﹃賢秀写本﹄により全体像がわかるが︑その部首排列は︑﹁日・

月・肉・火

﹂〜

欠・寸・勹・斗

﹂の

全二一五部首と巻末

の﹁

雑﹂

篇である︒

﹃法華経音義

﹄は

法華経

﹄の

字句の注釈書であり︑その諸本

の中で︑部首分類に改編されたものが編纂された︒その一つに

﹃永和四年本﹄下巻︵一三七八︶があり︑その部首排列は︑﹁女・

水・草・糸

﹂〜

北・骨・气・厈

﹂の

全一九三部首と巻末

の﹁

雑﹂

部である︒この部首排列は﹁妙法蓮華経﹂の漢字の出現順部首

排列﹁女・水・草・糸﹂である点で興味深い︒なお︑﹃永和四年

本﹄

上巻は字音韻尾による分類である︒

そして︑別の一つに﹃応永本

﹄ ︵

応永三七年︵一四二七

︶ ︶が

り︑その部首排列は五行などによる排列で︑﹁木・火・土・金・

〜 ﹁

聿・束・必・不

﹂の

全二四一部首と巻末

の﹁

雑部﹂である︒︵宋

版による︒朝鮮版もほぼ同じ︒︶

宋の陳彭年編﹃会玉篇

﹄は

原本玉篇

﹄の

改訂版

で﹃

原本玉篇﹄

同様

︑ ﹃ 説文解字

全五四

部首

改編 した 部首排列

である

その部首排列は︑﹁一・上・示・二

﹂〜

酉・酋・戌・亥

﹂の

五四二部首である︒

その次の宋の司馬光編﹃類篇

﹄は

中国韻書﹃集韻

﹄の

掲出字や

内容を﹃説文解字﹄の部首排列によって分類したもの︵小川環

樹﹇一九六二﹈︶であり︑その部首排列は︑﹁一・上・示・三﹂

〜﹁

酉・酋・戌・亥

﹂の

全五四〇部首である︒

そして︑金の韓道昭篇﹃五音篇海﹄は部首を五音四声の字音

方式で分類し︑その排列は︑﹁金・斤・高・戈

﹂〜

入・肉・勽・

日﹂

全四四四部首である︒

﹃龍龕手鑑

﹄と

五音篇海

﹄が

部首を四声や五音四声といった

字音で排列する点は︑﹃説文解字﹄からの大きな転換点である

と評価される︒︵小川﹇一九六二

﹈ ︶

ここまでの漢籍字書を概観すると︑﹃説文解字﹄方式の﹁一﹂

から始まる部首排列か︑四声や五音四声によるものであり︑字

様書では﹁木・手・才・牛﹂︵いずれも偏である︶のような字形

排列になっている︒そして︑巻末に﹁雑部﹂を置くのは﹃龍龕

手鑑

﹄と

九経字様﹄のみということになる︒

四︑漢和辞書の部首排列

漢和辞書の部首排列に就いて︑︹表三︺の②と③に示したと

ころを略述すると次の通りである︒

(10)

系があるものの︑それぞれで独自に排列していることが多いと

言える︒また︑巻末﹁雑﹂部を有する傾向も指摘できる︒

五︑まとめ

以上の漢籍字書︑漢和辞書の一覧は︑採り上げられなかった

資料もまだあるものと予想される︒また︑部首排列史を考える

上では︑佚書に就いては漢和辞書

の﹃

新字﹄︵にいな︶以外は資

料名すら出しておらず︑推測もしていない点で不十分であるこ

とを承知している︒

しかし︑この範囲で述べるならば︑次の傾向が指摘できるの

ではないかと考える︒

漢籍字書

は﹃

説文解字

﹄ ﹃

玉篇﹄系か︑字音分類︑字形分類を

採る︒これに対して︑漢和辞書は﹃玉篇﹄系か︑もしくは独自

の意義分類を採り︑かつ巻末﹁雑﹂部を有することが多

4

いとい

うことである︒

つまり漢和辞書は︑序文で漢籍字書を参照していることを述

べていたり︑実際に内容を引用していることからも︑漢籍字書

の部首排列の方式を把握していたことがわかるのであるが︑部

首排列の点では漢籍字書とは異なる方式を採っているというこ

とである︒

しかし︑その傾向がなぜ生ずるのかに就いては︑漢和辞書内

の調査では︑現段階では未解明のままだと言わざるを得ない

5

注︵

1

︶字書や辞書に就いて︑本稿では以降︑区別が必要なときは 水・日・月・星・雲・風・山・川⁝⁝﹂となっている

3

﹃字鏡集﹄は諸本があるが︑部首排列はほぼ同じ形式である

から︑﹃字鏡鈔天文本

﹄ ︵

天文一六年︵一五四七

︶ ︶で

示すと︑﹁天・

雨・日・月

﹂〜

飛・亡・凵・爿

﹂の

全一九〇部首と巻末

の﹁

字﹂部である︒

一四〇八年の心宝編﹃天台三大部難字記﹄は︑冒頭に部首番

号がない漢数字の一覧があり︑以降の部首排列は︑﹁日・乃・受・

月﹂

〜﹁

鼻・

・韋・黒

﹂の

全一七二部首と巻末﹁雑﹂部である︒

﹃倭玉篇﹄は諸本が多く略述するに留めるが︑漢籍字書﹃会玉

篇﹄系統の部首排列のもの︑﹃世尊寺本字鏡﹄系統のもの︑それ

ぞれ独自の意義分類排列のもの︑漢籍字書﹃龍龕手鑑﹄系統の

部首排列のもの︑漢和辞書﹃字鏡集﹄系統の部首排列のものと

分けることができる︒

﹃倭玉篇﹄諸本の巻末﹁雑﹂部の有無は﹃会玉篇﹄系統のもの

は少ない方だが﹃弘治二年本

﹄ ︵

一五五六︶は巻末﹁雑﹂部があ

る︒一方で︑意義分類系統のうち﹃第四類本﹄諸本

と﹃

夢梅本﹄

は巻末﹁雑﹂部がなく︑﹃第四類本﹄を改編した﹃円乗本﹄は巻

末﹁雑﹂部があるなどと言う状況であり︑一定ではない︒その

ような状況を全体として捉えるならば︑﹃倭玉篇﹄諸本は巻末

﹁雑﹂部を有する傾向にあるということは指摘できそうである︒

一五九〇年の珠光編﹃浄土三部経音義

﹄の

部首排列は︑﹁人・

言・木・火

﹂〜

工・舟・乙・巾

﹂の

全一四二部首と巻末﹁雑﹂

部である︒

ここまでの漢和辞書を概観すると︑部首排列の典拠が何であ

るかと言った点

で﹃

玉篇

﹄ ︵

原本系・会玉篇系とも︶︑﹃龍龕手鑑﹄

(11)

就いて﹂﹃語文

﹄ ︵

日本大学︶一〇三

鈴木功眞﹇二〇〇〇a﹈﹁篇目次第

の﹁

古文﹂考︱上巻を中心に︱﹂︵小

久保崇明編﹃国語国文学論考﹄笠間書院︶

鈴木功眞﹇二〇〇〇b﹈﹁第四類本倭玉篇と大広益会玉篇との関係に

就いて﹂﹃語文

﹄ ︵

日本大学︶一〇八

鈴木功眞﹇二〇〇一a﹈﹁新編訓点略玉篇と弘治二年本倭玉篇との関

係に就いて﹂﹃訓点語と訓点資料

﹄ ︵

訓点語学会︶一〇六

鈴木功眞﹇二〇〇一b﹈﹁篇目次第の﹁古文﹂考其の二︱中巻・下巻

場合

︱﹂﹃

研究紀要

﹄ ︵ 日本大学文理学部人文科学研究所

六二

鈴木功眞﹇二〇〇二a﹈﹁慶長十五年版倭玉篇と類字韻・音訓篇立と

の関係に就いて︱歯部を中心に︱﹂﹃語文

﹄ ︵ 日本大学︶一一二

鈴木功眞﹇二〇〇二b﹈﹁慶長十五年版倭玉篇と夢梅本との関係に就

いて︱力部・雨部を中心に︱﹂﹃桜文論叢

﹄ ︵ 日本大学︶五五

鈴木功眞﹇二〇〇四a﹈﹁古活字版倭玉篇諸本の系譜に就いて﹂﹃訓点

語と訓点資料

﹄ ︵

訓点語学会︶一一二

鈴木功眞﹇二〇〇四b﹈﹁延徳本倭玉篇と大広益会玉篇・音訓篇立・

第四類本との関係に就いて﹂﹃国語学

﹄ ︵

日本語学会︶五五︱二

鈴木功眞﹇二〇〇五a﹈﹁京都女子大学蔵新編訓点略玉篇に就いて﹂

︵木村晟編﹃日本語辞書研究﹄第三輯下︶

鈴木功眞﹇二〇〇五b﹈﹁円乗本倭玉篇と第四類本との関係に就いて﹂

﹃語文

﹄ ︵

日本大学︶一二一

鈴木功眞﹇二〇〇六

﹈ ﹁慶長十五年版倭玉篇と古活字版との関係に就

いて﹂﹃国語語彙史の研究﹄二五

鈴木功眞﹇二〇一七

﹈ ﹁日本語文字体系の中での漢字の機能に就いて

︱付︑部首排列史との対照︱﹂﹃文学・語学﹄二一八号︵刊行

予定︶ 中国のものは漢籍字書︑日本のものは漢和辞書と呼ぶ︒

2

︶﹃爾雅﹄の内容は大陸文化を当然のこととして反映している

点で興味深く思われる︒例えば十六﹁魚﹂部であれば冒頭字︵冒

頭語

︶は

海水魚ではなく湖沼魚﹁鯉﹂である点などである︒

3

︶﹃応永本﹄は未見であり︑本稿では築島﹇一九六七﹈により

示した︒

4

︶巻末雑部に就いては︑﹃新撰字鏡

﹄ ﹃

類聚名義抄

﹄ ﹃

倭玉篇弘

治二年本

﹄ ﹃

落葉集

﹄ ﹁

小玉篇

﹂ ︵

倭玉篇の一種︶等では先行研究

に言及が見られる︒

5

︶この点に就いては︑一つの推論として日本語文字体系との

関連性を鈴木﹇二〇一七

﹈に て

述べた︒

﹇参考文献﹈

乾  善彦﹇一九九八

﹈ ﹁

辞書の編纂と部首分類

﹂ ﹃

日本語学﹄一七︱

一二

大島正二﹇一九九七

﹈ ﹃

中国言語学史

﹄ ︵

一九九八年︑増訂版︑汲古書

院︶

小川環樹﹇一九六二

﹈ ﹁

宋・遼・金時代の字書

﹂ ︵

小川環樹﹃中国語学

研究﹄所収︑一九七七年︑創文社︶

川瀬一馬

一九五五

﹈ ﹃ 古辞書

研究

﹄ ﹁ 倭玉篇

﹂ ︵ 初版

増訂版

一九八六年雄松堂出版︶

菊田紀郎﹇一九八八

﹈ ﹁

古活字版﹃和玉篇

﹄と

篇目次第

﹄︱

金部

﹂の

構成を中心に︱﹂﹃米沢国語国文

﹄ ︵

山形県立米沢女子短期大

学︶十六

酒井憲二﹇一九六七

﹈ ﹁

類聚名義抄の字順と部首排列﹂山田忠雄編﹃本

邦辞書史論叢

﹄ ︵ 三省堂︶

鈴木功眞﹇一九九九

﹈ ﹁

弘治二年本倭玉篇と大広益会玉篇との関係に

(12)

館吉沢文庫蔵本︒紙焼きを使用

︒ ﹃

弘治本

﹄ ︑

弘治二年写︑大東急記

念文庫蔵本は︑﹃原装影印版古辞書叢刊倭玉篇蔵版大東急記念文

庫﹄を使用

︒ ﹃音訓篇立

﹄ ︑

東京大学文学部国語研究室蔵本は︑﹃古辞

書音義集成音訓篇立︵上・下

︶﹄ を

使用

︒ ﹃

賢秀写本

﹄ ︑

慶長十年写︑

宮内庁書陵部蔵本︒紙焼きを使用

︒ ﹃

拾篇目集

﹄ ︑

国立国会図書館蔵

本は北恭昭編﹃倭玉篇五本和訓集成本文篇﹄を使用

︒ ﹃

小玉篇﹄は小

島幸枝編﹃耶蘇会板落葉集総索引﹄を使用

︒ ﹃第四類本﹄は複製の有

るものを中心に使用し︑適宜入手した紙焼き・マイクロ複写・筆者

書写記録を使用した︒尚︑複製の刊行されているものは次の四本で

ある︒﹃米沢本

﹄ ・﹃

玉篇略享禄

﹄ ︵

享禄五年写

︶は

北恭昭編﹃倭玉篇五

本和訓集成本文篇﹄を使用

︒ ﹃伝紹益本

﹄ ・﹃

静嘉堂本﹄は共に﹃マイ

クロフィルム版静嘉堂文庫蔵古辞書集成

﹄ ︵ 雄松堂︶を使用︒断らず

に﹃

第四類本﹄とした場合には﹃静嘉堂本

﹄で

代表させた︒

﹃夢梅本﹄は中田祝夫・北恭昭著﹃倭玉篇夢梅本篇目次第研究並びに

総合索引﹄を使用

︒ ﹃

円乗本

﹄ ︑

慶長二年写︑天理大学附属天理図書

館蔵本︒紙焼きを使用

︒ ﹃

篇目次第

﹄ ︑

内閣文庫蔵本は︑中田祝夫・

北恭昭著﹃倭玉篇夢梅本篇目次第研究並びに総合索引﹄を使用

︒ ﹃

活字版四段本﹄は天理図書館蔵

813 -

25

︵春翠文庫旧蔵本︶の紙焼き

を使用︒同

813 -

57

︵岡田真旧蔵本

︶の

紙焼きも使用した︒﹃古活字版

五段甲本﹄は国立国会図書館蔵

WA 7-13

のマイクロ複写を使用

︒ ﹃

活字版五段乙本

﹄は

日本古典全集和玉篇

﹄を

使用

︒ ﹃

玉篇要略集

﹄ ︵

永四年写︶は北恭昭編﹃倭玉篇五本和訓集成本文篇﹄を使用

︒ ﹃

京大

残缺本

﹄ ︑

京都大学文学部図書室蔵本︒紙焼きを使用︒

﹃説文解字﹄一行一篆本︵中華書局

︶を

使用

︒ ﹃

五経文字

﹄ ・ ﹃

九経字様﹄

は杉本つとむ編﹃異体字研究資料集成

﹄ ︵

雄山閣出版

︶を

使用︒

﹃龍龕手鑑﹄宋版は﹃日本古典全集﹄を︑朝鮮版は内閣文庫蔵本︵別

四一︱六︶の紙焼きを使用

︒ ﹃会玉篇﹄は宋版宮内庁書陵部蔵本︑宋 高橋︵大熊︶久子﹇一九八九

﹈ ﹁

夢梅本倭玉篇と宋版大広益会玉篇︱夢

梅本の基礎的編纂資料に就いて︱﹂﹃国学院雑誌﹄九十︱五

築島  裕﹇一九六七

﹈ ﹁

法華経音義について﹂山田忠雄編﹃本邦辞書史

論叢

﹄ ︵

三省堂︶

福田襄之介﹇一九七九

﹈ ﹃

中国字書史の研究

﹄ ︵ 明治書院︶

村井宏栄﹇二〇〇三

﹈ ﹁ ﹃

落葉集﹄小玉篇の部首立て﹂﹃日本語学文学﹄

︵三重大学︶十四

山田健三﹇一九九七

﹈ ﹁

名義抄の部首検索システム構築について﹂﹃愛

知学院大学教養部紀要﹄四四︱四

山田健三﹇二〇〇四

﹈ ﹁

説文部首システムから玉篇部首システムへ﹂

﹃訓点語と訓点資料﹄一一三

山田忠雄﹇一九六七

﹈ ﹁

延徳本倭玉篇と音訓篇立・世尊寺本字鏡︵編

輯者注

︶﹂

山田忠雄編﹃本邦辞書史論叢

﹄ ︵

三省堂︶

﹇使用諸本一覧︵倭玉篇は表二の排列順に示す︶﹈

﹃延徳本

﹄ ︑

延徳三年写︑東北大学図書館蔵本︒マイクロ複写を使用︒

﹃永禄本類字韻

﹄ ︑

永禄六年写︑東京大学文学部国語研究室蔵本︒マ

イクロ複写を使用

︒ ﹃

松井本類字韻

﹄ ︑

慶長年間写︑静嘉堂文庫蔵松

井簡治旧蔵本︒﹃マイクロフィルム版静嘉堂文庫蔵古辞書集成

﹄ ︵

松堂︶を使用

︒ ﹃慶長十五年版︵=慶長版

︶﹄ は

中田祝夫・北恭昭共

編﹃倭玉篇慶長十五年版研究並びに索引﹄を使用

︒ ﹃

慶長十五年版陰

刻刊記版﹄は国立国会図書館亀田文庫蔵

WA 7-68

のマイクロ複写を使

用︒ ﹃

覆慶長十五年版

﹄は

内閣文庫蔵浅草文庫本の紙焼きを使用

︒ ﹃

長十八年版

﹄は

国立国会図書館蔵

WA 7-11

のマイクロ複写を使用

︒ ﹃日

大本新編訓点略玉篇

﹄ ︑

日本大学総合学術情報センター蔵本︒マイク

ロ複写を使用

︒ ﹃

天理本新編訓点略玉篇

﹄ ︑

天理大学附属天理図書館

蔵本︒紙焼きを使用

︒ ﹃

京女本新編訓点略玉篇

﹄ ︑

京都女子大学図書

(13)

版内閣文庫蔵十一行本︑元版内閣文庫蔵十二行本は紙焼きを使用

︑ ︑

元版建安鄭氏本

は﹃

国字整理小組﹄複製を使用︒

﹃新撰字鏡

﹄ ︑﹃

類聚名義抄

﹄ ︑﹃

世尊寺本字鏡

﹄ ︑﹃

法華経音義永和本

﹄ ︑

﹃字鏡鈔

﹄ ︑﹃

字鏡集寛元本・白河本

﹄ ︑﹃

天台三大部難字記

﹄ ︑﹃

浄土三

部 経 音 義

﹄ は 複 製

使 用 し た

︒﹃

法 華 経 音 義 応 永 本

﹄ は 築 島 裕

﹇一九六七

﹈よ

り内容を復元した︒

︹付記︺本稿は︑もと﹁倭玉篇の部首排列に就いて﹂︵二〇〇六年七月︑

日本大学国文学会︶として発表し︑改めて﹁日本語文字体系の

中での漢字の機能と部首排列史に就いて﹂︵二〇一六年五月︑

第三十五回表記研究会︶として発表したものの一部である︒

いずれの席上でも多くの御教示を頂いた︒そして︑投稿に際

し査読者より貴重な御教示も頂いた︒十分に反映させられて

いないのではないかと恐れているが︑この場を借りて御礼申

し上げたい︒

︵すずき  のりまさ︑本学教授︶

Figure

Updating...

References

Related subjects :