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はじめに

平成23年3月11日に発生した東日本大震災につ いて、地方税に関しては、地方税法、条例等によ り期限の延長や減免などの枠組みが用意されてい ることから、これに基づき、申告・納期限の延長 が直ちに行われるなど、現行制度に則った措置が 発動されたところです(資料1、2)。 しかしながら、今回の震災は、その被害が甚大 かつ広範な地域にわたるものであり、通常の枠組 みでは対処しきれないほどの規模・性格を有する ものであったため、既存の枠組みを超える税制上 の対応について検討が必要となり、地方税法の一 部改正により対応することとなりました。 平成23年4月12日及び13日に民主党税制改正 PT・財務金融部門会議・総務部門会議合同部会 が開催され、国税・地方税それぞれの東日本大震 災への税制上の対応について議論がなされ、震災 に係る特例等の創設については了承されました。 ここでは、平成22年度税制改正において導入され た揮発油税、地方揮発油税及び軽油引取税に係る いわゆるトリガー税制について廃止するという案 に対し、廃止に反対するという意見や、廃止でな くて凍結すべきであるなどの意見が出されました。 その結果、合同部会としては結論を出さず、税制 調査会及び与野党協議に一任されることとなりま した。 税制調査会は、平成23年4月13日に開催され、 東日本大震災への国税及び地方税上の対応につい て議論がなされました。トリガー税制以外の取り 扱いについては原案の通り決定がなされましたが、 トリガー税制については、取扱いが決定されるに 至りませんでした。トリガー税制については会長 及び会長代行に一任される旨、また国税及び地方 税ともに早急に国会に法案を提出する必要がある 旨、野田税制調査会長から発言があり、締めくく られました。 最終的にトリガー税制については、一時凍結す るという結論となり、同月19日に「地方税法の一 部を改正する法律案」が閣議決定され、同日国会 に提出が行われました。 この法律案については、衆議院の総務委員会に おいて同月22日に審議・可決の上、同日中に衆議 院本会議に緊急上程され、可決されました。 また、参議院の総務委員会において同月26日に 審議・可決の上、同月27日に参議院本会議にて可 決・成立しました。同法律は同日中に公布・施行 されました。「地方税法の一部を改正する法律案」 の概要は資料3のとおりです。 以下、地方税法の一部改正による特例等の内容 について、解説します。

東日本大震災の被災者等に係る地方税

関係の臨時特例      

目    次 一 個人住民税……… 850 二 地方法人課税……… 857 三 個人事業税……… 858 四 不動産取得税……… 860 五 自動車取得税及び自動車税……… 861 六 軽自動車税……… 864 七 地方消費税……… 866 八 軽油引取税……… 867 九 固定資産税及び都市計画税……… 867

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東日本大震災を受けた税制上の取扱いに関する主な通知の概要 (資料1) 3月14日に発出した通知 「平成 23 年東北地方太平洋沖地震による被災者に対する地方税、使用料、手数料等の減免措置等について」        (平成 23 年3月 14 日総務省自治財政局長・自治税務局長通知)  ○ 地方税等の減免等についての適切な運営を依頼。  ○ 激甚災害への指定に伴い、減免額が歳入欠かん債の対象となる旨を通知。  ○ 国税に関する期限の延長に係る地域指定について通知。 3月25日に発出した通知 「平成23年東北地方太平洋沖地震に係る義援金等に係る「ふるさと寄附金」の取扱いについて」    (平成23年3月25日総務省自治税務局市町村税課長通知)  ○ 被災者又は被災団体の救援を目的として募金活動を行う団体に対する義援金等について、「ふるさと 寄附金」に係る控除の適用を受ける場合の取扱いについて通知。 3月28日に発出した通知 「平成23年東北地方太平洋沖地震による被災者に対する地方税の減免措置等の取扱いについて」   (平成23年3月28日総務省自治税務局長通知)  ○ 地方税における期限の延長の取扱い   ・ 当面は、少なくとも5月末まで延長することが適当であること。   ・ 地方団体の判断により、被害状況等に応じて、以下の取扱いも可能。     ・ 都道府県・市町村の一部の地域のみを対象とすること。     ・ 一部の地域について異なる期限を定めること。  ○ 地方税の減免について被災地域の納税義務者の状況等に配慮するために取りうる対応例     (税額通知を延期した上で、減免の手続きをとり、納税通知書の交付と同時に減免を行う。)  ○ 減免を行った場合の財政措置   ・ 今回の災害について地方税の減免を行う場合については歳入欠かん債の対象となること。   ・ 歳入欠かん債を充てることができる税目について、普通税に加え、事業所税・都市計画税を追加。 <主な内容> Ⅰ 共通事項 1 法人住民税・法人事業税    ○ 法人住民税・法人事業税について、減免が法令上可能であること。 2 軽油引取税  ○ 特別徴収義務者が軽油引取税を受け取れなかった場合について、適切な対応を依頼。 3 自動車税    ○ 震災により滅失した自動車は課税客体から除外されること。 Ⅱ 道府県税関係 1 個人住民税  ○ 納期限延長にあたり、納期限の延長に係る給与からの特別徴収は当面、実施する必要がない旨特別徴 収義務者に周知することが適切と考えられること。  ○ 平成23年4月に支払われる公的年金からの特別徴収はシステム上停止できないが、平成23年6月以 降に支払われる公的年金からの特別徴収を、市町村内のすべての特別徴収対象者について、一括して停 止することが可能となること。       2 固定資産税・都市計画税  ○ 地震による被害が特に甚大な地域における、平成23年度分の固定資産税等の取扱いや平成24年度の 評価替えの取扱いについては、現在検討中であり、今後あらためて通知すること。 3 軽自動車税    ○ 震災により滅失した軽自動車等は課税客体から除外されること。 Ⅲ 市町村税関係

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(資料2) 1 .平成23年東北地方太平洋沖地震による被災者に対する地方税、使用料、手数料等の減免措置等について(平 成23年3月14日付け総財財第22号・総税企第32号) 2 .平成23年東北地方太平洋沖地震により被災した国民健康保険被保険者に係る国民健康保険税の取扱いにつ いて(平成23年3月15日付け事務連絡) 3 .軽油周辺油種への識別剤の添加実施について(平成23年3月18日付け事務連絡) 4 .平成23年東北地方太平洋沖地震に係る義援金等に係る「ふるさと寄附金」の取扱いについて(平成23年3 月25日付け総税市第16号) 5 .平成23年東北地方太平洋沖地震による被災者に対する地方税の減免措置等の取扱いについて(平成23年3 月28日付け総税企第36号) 6.自動車の処理等に係る法的問題の取扱い等について(その1)(平成23年3月29日付け事務連絡) 7 .平成23年東北地方太平洋沖地震による被災者についての各種保険料・個人住民税等の公的年金からの特別 徴収を中止する事務処理について(平成23年3月31日付け事務連絡) 8 .東日本大震災により軽自動車税納税証明書の交付ができない場合の取扱いについて(平成23年4月7日付 け総税市第20号) 9 .各種保険料・個人住民税等の公的年金からの特別徴収を一括中止する市町村について(平成23年4月15日 付け事務連絡) 10.地方税法、同法施行令、同法施行規則の改正について(平成23年4月27日付け総税企第46号) 11.東日本大震災に係る地方税の取扱い等について(平成23年4月27日付け総税企第48号) 12.東日本大震災に係る税制上の措置等の広報等について(平成23年4月27日付け総税企第49号) 13.市(町・村)税条例(例)等の一部改正について(平成23年4月27日付け総税市第23号) 14 .東日本大震災の被災者に対する勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄の不適格払出しに係る還付の取り扱いに ついて(平成23年4月27日付け総税市第24号) 15.地方税関係Q&A<東日本大震災関連>(平成23年4月27日付け) 16 .東日本大震災で自動車が被害に遭われた方へ(普通自動車、バス、トラック等(軽自動車以外の自動車)編) (平成23年4月27日付け) 17. 東日本大震災で軽自動車が被害に遭われた方へ(軽自動車編)(平成23年4月27日付け) 18 .地方税法附則第55条に基づく平成23年度分の固定資産税等の課税免除に係る対象区域の指定方法等について (平成23年5月12日付け総税固第27号) 19 .保険料等及び個人住民税の特別徴収の一括中止に係る事務処理結果通知について(平成23年5月13日付け 事務連絡) 20 .代替自動車の県域を越える転出情報の伝達等について(平成23年5月17日付け総税都第15号) 21 .抹消登録等のために名義変更された場合における申請書に添付される書類の取扱いについて(平成23年5 月17日付け総税市第25号) 22 .東日本大震災により被災した被保険者に係る国民健康保険料(税)の減免に対する財政支援の基準等につ いて(平成23年6月1日付け事務連絡) 23 .自動車の処理等に係る法的問題の取扱い等について(その2)(平成23年6月6日付け事務連絡) 24 .東日本大震災による被災者に対する期限の延長について(平成23年6月6日付け総税企第62号) 東日本大震災を受けた税制上の取扱いに関する通知等の発出状況

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(資料3) ◎は阪神・淡路大震災時にはなかったもの ○は阪神・淡路大震災時の対応を拡充したもの  今般の東日本大震災による被害が未曾有のものであることに鑑み、現行税制をそのまま適用することが被災 納税者の実態等に照らして適当でないと考えられるもの等について、緊急の対応として、以下の措置を講ずる。  なお、以下の緊急対応に加え、全体の復興支援策の中で税制で対応すべき施策等については、後日とりまと める。   【個人住民税】 ○ 1.雑損控除の特例    ① 住宅や家財等に係る損失の雑損控除について、平成23年度住民税での適用を可能とする。    ② 繰越し可能期間を5年とする(現行3年)。 ○ 2.被災事業用資産の損失の特例    ① 22年分所得の計算上、被災事業用資産の損失の必要経費への算入を可能とする。 (※所得税の措置の自動影響・個人事業税も同様に自動影響)    ② 被災事業用資産の損失による純損失について、繰越し可能期間を5年とする(現行3年)。保有資産 に占める被災事業用資産の割合が1割以上である場合には、被災事業用資産以外の損失を含めて、現 行3年の繰越しが可能な純損失について、繰越期間を5年とする。 (※個人事業税も同様に措置) ◎ 3.住宅ローン減税の適用の特例     住宅ローン控除の適用住宅が、大震災により滅失等しても、平成25年度分住民税以降の残存期間の継 続適用を可能とする。   4.財形住宅・年金貯蓄の非課税     平成23年3月11日から平成24年3月10日までに行われた財形住宅・年金貯蓄の大震災による目的外 の払戻しについて、利子等に対する遡及課税を行わないこととする。 (※所得税の措置の自動影響。既に課税されたものについては還付する規定を整備) 【法人事業税・法人住民税】 ◎ 1.法人事業税及び法人住民税における減免措置     阪神・淡路大震災時には実施しなかった法人事業税及び法人住民税の災害減免について、地方税法の 規定に基づき条例の定めるところにより、適切に対応。   2.申告の期限延長における法人事業税の中間申告納付の省略     法人事業税の中間申告納付に係る期限と当該中間申告納付に係る事業年度の確定申告納付に係る期限 とが同一の日となる場合には、中間申告書の提出を不要とする。   <法人税における措置がなされれば自動影響するもの> ○  ・被災代替資産等の特別償却    ・特定の資産の買換えの場合の課税の特例    ・買換え特例に係る買換資産の取得期間等の延長 【固定資産税・都市計画税】 ◎ 1.津波により甚大な被害を受けた区域内の土地及び家屋に対する平成23年度分の課税免除     津波により甚大な被害を受けた区域として市町村長が指定する区域内に所在する土地及び家屋につい て、平成23年度分の課税を免除する。 ○ 2.被災住宅用地の特例     大震災による災害により滅失・損壊した住宅(被災住宅)の敷地の用に供されていた土地(被災住宅 用地)を被災後10年度分については、当該土地を住宅用地とみなす(※)。     ※住宅用地とみなされた場合には、固定資産税・都市計画税が軽減される。 ◎ 3.被災代替住宅用地の特例     被災住宅用地の所有者等が当該被災住宅用地に代わる土地(被災代替土地)を平成33年3月31日まで の間に取得した場合には、当該被災代替土地のうち被災住宅用地に相当する分について、取得後3年度分、 東日本大震災への税制上の対応(地方税・第一弾)

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当該土地を住宅用地とみなす(※)。     ※住宅用地とみなされた場合には、固定資産税・都市計画税が軽減される。 ○ 4.被災代替家屋の特例     大震災による災害により滅失・損壊した家屋(被災家屋)の所有者等が当該被災家屋に代わる家屋(被 災代替家屋)を平成33年3月31日までの間に取得し、又は改築した場合には、当該被災代替家屋に係る 税額のうち当該被災家屋の床面積相当分について、4年度分2分の1、その後の2年度分3分の1を減 額する。 ○ 5.被災代替償却資産の特例     大震災による災害により滅失・損壊した償却資産の所有者等が当該償却資産に代わる償却資産を平成 28年3月31日までの間に、被災地域において取得し、又は改良した場合には、課税標準を4年度分2分 の1とする。 【不動産取得税】 ○ 1.被災代替家屋の取得に係る特例     被災家屋の所有者等が当該被災家屋に代わる家屋(被災代替家屋)を平成33年3月31日までの間に取 得した場合には、被災家屋の床面積相当分には不動産取得税が課されないようにする特例を講じる。 ◎ 2.被災代替家屋の敷地の用に供する土地の取得に係る特例     被災代替家屋の敷地の用に供する土地で、被災家屋の敷地の用に供されていた土地(従前の土地)に 代わるものを平成33年3月31日までの間に取得した場合には、従前の土地の面積相当分には不動産取得 税が課されないようにする特例を講じる。 【自動車取得税】 ◎ 1.被災代替自動車の取得の非課税     大震災による災害により滅失・損壊した自動車に代わる自動車(被災代替自動車)を平成26年3月31 日までの間に取得した場合には、自動車取得税を非課税とする。 【自動車税・軽自動車税】 ◎ 1.被災代替自動車に係る自動車税・軽自動車税の非課税     大震災による災害により滅失・損壊した自動車に代わる自動車(被災代替自動車)に係る平成23年度 から平成25年度までの各年度分の自動車税・軽自動車税を非課税とする。   【地方消費税】  <消費税における措置がなされれば自動影響するもの>   1.消費税の課税事業者選択届出書等の提出に係る特例   2.消費税の中間申告書の提出に係る特例  <通知関係>   ① 地方団体に対し、地方税法及び条例等に基づき、地方税に係る期限の延長、減免措置等について適切 な取扱いを図るよう通知(3月14日発出) ◎ ② 被災者又は被災団体の救援を目的として募金活動を行う団体に対する義援金等について、「ふるさと寄 附金」に係る控除の適用を受ける場合の取扱いについて通知(3月25日発出) ◎ ③ 地方税における期限の延長や減免措置等の具体的取扱いについて通知(3月28日発出)    ・期限の延長を行う場合、当面は少なくとも5月31日まで行うことが適当であること    ・期限の延長、減免措置等を行うにあたっての個別税目に関する留意点     (例)      ・固定資産税の減免      ・自動車税・軽自動車税の減免等 <その他> ◎  ・軽油引取税の「トリガー条項」の一時凍結(適用停止)     軽油引取税に係る「トリガー条項」は、大震災の復旧及び復興の状況等を勘案し別に法律で定める日 までの間、その適用を停止する。

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一 個人住民税

個人住民税については、地震等の災害があった 場合、現行制度上、次のような措置が講じられて います。 災害により住宅又は家財につき損害を受けた場 合には、災害を受けた年分の所得について雑損控 除の適用を受けることができることとされていま す。したがって、現行制度上、平成23年3月11日 に発生した東日本大震災による被災者については、 平成24年度分の個人住民税(平成23年分の所得) から雑損控除が適用されることとなります(地法 34①一、314の2①一)。また、災害発生年分の総 所得金額等から控除しても控除しきれない雑損失 の金額については、翌年以後3年間に繰越し、翌 年以降の総所得金額等から控除することができる こととされています(地法32⑨、313⑨)。 災害により事業用の固定資産等について損失 (被災事業用資産の損失)が生じた場合には、そ の損失の金額を災害発生年(東日本大震災の場合 は平成23年)の事業所得等の金額の計算上、必要 経費に算入することができることとされています (所法51①)。また、青色申告者については、被災 事業用資産の損失による純損失を含む災害発生年 分の純損失の金額を、翌年以後3年間に繰越し、 翌年以後の総所得金額等から控除することができ ることとされています(地法32⑧、313⑧)。白色 申告者については、被災事業用資産の損失による 純損失の金額を、翌年以後3年間に繰越し、翌年 以後の総所得金額等から控除することができるこ ととされています(地法32⑨、313⑨)。 このように災害による損失については、現行制 度においても一定の措置がなされているところで すが、東日本大震災による被害は、甚大かつ広域 的なものであること、津波によりいくつかの市町 村は壊滅的な被害を受けていることといった状況 に鑑み、阪神・淡路大震災の際と同様の特例措置 を講じることとしたほか、今回の震災への緊急の 対応として、阪神・淡路大震災の際に講じられな かった措置も講じることとしています。 (阪神・淡路大震災の際にも講じられた措置) ・雑損控除の特例(前年適用) ・被災事業用資産の損失の特例(前年適用) ・財産形成住宅貯蓄契約等の要件に該当しない 事実が生じた場合の課税の特例 (阪神・淡路大震災の際には講じられなかった 措置) ・雑損控除の特例(繰越期間) ・被災事業用資産の損失の特例(繰越期間) ・住宅借入金等特別税額控除の適用期間に係る 特例

1 雑損控除の特例(前年適用)

東日本大震災の被災者の負担の軽減を図るため、 東日本大震災によりその者又はその者と生計を一 にする配偶者その他の一定の親族の有する資産に ついて受けた損失の金額については、所得割の納 税義務者の選択により(具体的には、当該納税義 務者が提出する平成23年度分の個人住民税の申告 書(平成22年分の所得税の確定申告書を含みま す。)に特例の適用を受けようとする旨の記載が ある場合)、平成22年において生じた損失の金額 として、平成23年度以後の年度分の個人住民税の 雑損控除額の控除及び雑損失の金額の控除の特例 を適用することができることとされました(地法 附則42、地令附則24、25)。 この特例措置は、東日本大震災による被害が甚 大かつ広域的なものであること等の事情を踏まえ、 所得税における取扱いとあわせて、納税者が被っ た損失を、平成22年分の所得(平成23年度分個人 住民税)から前倒しで適用することができるよう 措置されたものです。 なお、平成23年度分の個人住民税について、そ の特例による雑損控除の適用を受けたときは、今 回の震災により住宅・家財等について生じた損失

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の金額については、平成24年度以後の年度分の個 人住民税に関する規定の適用については、平成23 年において生じなかったものとみなされます。 ⑴ 適用対象者 この雑損控除の特例の適用対象者は、東日本 大震災により住宅・家財等に損害を受けた個人 住民税所得割の納税義務者です。 個人住民税の賦課期日は各年1月1日であり、 納税義務者は、賦課期日現在の住所地所在の地 方団体に納税義務を負うこととされています。 したがって、平成23年1月1日現在において被 災地以外の地域に住所を有していた者であって も、今回の大震災によりその有する資産等に損 害を受けた場合には、平成23年度分の個人住民 税について、雑損控除の特例の適用対象となり 得るものです。 また、所得税の場合、災害減免法に基づく減 免と雑損控除とは選択適用とされているため、 災害減免法に基づく減免措置が講じられた場合 には、雑損控除は適用されません。これは、平 成22年分の所得について前倒しの特例の適用を 受けた場合も同様です。これに対し、個人住民 税においては、これまでも、災害のあった年分 の所得税において災害減免法の規定に基づく減 免措置が講じられた場合でも、翌年度分につい て雑損控除を適用できることとされています。 また、地方税法第323条の規定に基づく個人住 民税の減免措置と雑損控除とは選択適用とはさ れていません。したがって、平成23年度分の個 人住民税については地方税法第323条の規定に 基づく減免措置が講じられ、平成24年度分の個 人住民税については雑損控除が適用されること もあり得るものです。 ⑵ 適用対象資産 この特例の適用対象となる資産は、納税義務 者又はその納税義務者と生計を一にする配偶者 その他の一定の親族の有する資産で、今回の東 日本大震災により損失を受けたものです。ただ し、生活に通常必要でない資産や棚卸資産、事 業用の固定資産(これに準ずる一定の資産を含 みます。)、山林は除くものとされています。例 えば、書画、骨とう品、貴金属の類で1個又は 1組が30万円を超えるものや別荘などについて は「生活に通常必要でない資産」として、雑損 控除の対象にならないものとされます(ただし、 これらの資産に係る損失の金額については、そ の損失を受けた年において譲渡所得があった場 合には、その譲渡所得の計算上差し引くことが 認められています。)。 また、災害により損壊した住宅、家財などの 取壊し費用、除去費用など災害に関連したやむ を得ない支出(災害関連支出)についても、雑 損控除の対象となる損害金額に含まれます。 ⑶ 雑損控除額の計算 雑損控除額は、次のaとbのいずれか多い方 の金額です。 a 差引損失額−前年の総所得金額等の10分の 1 b 差引損失額のうち災害関連支出の金額− 5万円 ※ 差引損失額:損害金額−保険金などによっ て補てんされる金額 ⑷ 適用要件等 この雑損控除の特例措置の適用を受ける場合 には、平成23年度分の個人住民税の申告書(平 成22年分の所得税の確定申告書を含みます。)に、 この特例措置の適用を受けようとする旨の記載 をしなければならないとされています(地法附 則42②④)。 通常、ある年分の所得税について確定申告を した場合には、その翌年度分の個人住民税につ いては申告をする必要がなく、所得税の確定申 告書に記載された事項は個人住民税の申告書に 記載されたものとみなされることとされていま す(地法45の3①②、317の3①②)。今回の特 例措置についても、所得税において、東日本大

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震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例 に関する法律(震災税特法)第4条の規定に基 づいて所得税につき雑損控除の特例の適用を受 けようとする旨の記載をした場合には、個人住 民税について申告書の提出がない場合であって も、平成23年度分の個人住民税について雑損控 除の特例措置の適用があるものです。所得税に おける雑損控除の特例措置と個人住民税におけ る雑損控除の特例措置の適用関係について示す と、以下のとおりとなります。 所得税においては、雑損控除の適用と災害減 免法による減免の適用とは選択適用であるため、 両方の措置を適用することはできませんが、個 人住民税については、市町村の判断により、条 例に基づく減免措置と雑損控除とを併用するこ とも可能です。したがって、平成22年分の所得 税の確定申告において雑損控除の特例措置の適 用を受ける者について、平成23年度分の個人住 民税について条例に基づく減免を行い、平成24 年度分の個人住民税から雑損控除を適用するこ とも可能です。この場合には、平成24年度の個 人住民税の申告書に雑損控除を適用することを 申告することが必要です。

2 雑損控除の特例(繰越期間)

雑損控除を適用して前年分の総所得金額等から 控除しても控除しきれない損失額についての繰越 期間を3年から5年に延長することとされました (地法附則43、地令附則26)。 東日本大震災は、その被害が同時・大量・集中 的に発生した極めて甚大なものであり、広範な地 域の生活基盤が根こそぎ失われ、生活の再建には 相当な期間を要する場合も多いと考えられます。 このような場合に、雑損控除について、繰越控除 期間を現行の3年のままとすれば、繰越しの実質 的な効果が減殺されることから、今回の震災によ る雑損失の繰越控除期間を特例的に5年に延長す ることとされたものです。 〈所得税と個人住民税における雑損控除の適用関係〉 所得税の取扱い 個人住民税の取扱い 平成22年分 所得におい て適用 雑損控除 平成23年度分について雑損控除(住民税申告不要) 平成24年度分について雑損控除(住民税申告必要) 平成23年度分について条例減免 平成24年度分について雑損控除(住民税申告必要) 災害減免法 の減免 平成23年度分について雑損控除(住民税申告必要) 平成24年度分について雑損控除(住民税申告必要) 平成23年度分について条例減免 平成24年度分について雑損控除(住民税申告必要) 平成23年分 所得におい て適用 雑損控除 平成23年度分について雑損控除(住民税申告必要) 平成24年度分について雑損控除(住民税申告不要) 平成23年度分について条例減免 平成24年度分について雑損控除(住民税申告不要) 災害減免法 の減免 平成23年度分について雑損控除(住民税申告必要) 平成24年度分について雑損控除(住民税申告必要) 平成23年度分について条例減免 平成24年度分について雑損控除(住民税申告必要) ※下線部の措置は、東日本大震災において認められた特例措置

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⑴ 適用要件等 この雑損控除の特例措置の適用を受ける場合 には、平成24年度分の個人住民税(地方税法附 則第42条の規定に基づき、雑損控除の前年適用 の特例措置を適用した場合には、平成23年度分 の個人住民税)についてその雑損失の金額に関 する事項を記載した申告書を提出し、その後も 連続して申告書を提出している場合に限り、適 用することとされています。 ⑵ 雑損失の金額の繰越控除の順序等 雑損控除によって控除しきれなかった金額に ついては、翌年度以降に繰り越すことができま すが、東日本大震災に係る雑損失の金額とそれ 以外の雑損失の金額とでは繰越期間が異なるた め、損害金額のうちに東日本大震災により受け た損失の金額(特例損失金額)とそれ以外の損 失の金額がある場合には、どちらの損害に係る ものから雑損失の金額に成るかが問題となりま す。また、雑損失の金額のうちに特例損失金額 に係るもの(特定雑損失金額)とそれ以外の損 失の金額に係るものがあるときは、どちらから 控除するかが問題となります。 この点に関しては、損害金額のうちに、特例 損失金額とそれ以外の損失の金額がある場合に は、特例損失金額から雑損失の金額に成ること とされています(地令附則24⑤⑪)。また、こ の場合において、雑損失の金額のうちに特定雑 損失金額と特定雑損失金額以外のものがあると きは、雑損控除については、特定雑損失金額以 外の雑損失の金額から控除することとされてい ます(地令附則24⑥⑫)。 また、特例の適用がある場合の雑損失の繰越 控除の順序については、特定雑損失金額以外の 雑損失の金額の生じた年が、特定雑損失金額の 生じた年又はその翌年であるときは、特定雑損 失金額以外の雑損失の金額の生じた年は、特定 雑損失金額よりも前の年に生じたものとするこ ととされています(地令附則26②⑥)。したが って、特定雑損失金額の生じた年又はその翌年 に生じた特定雑損失金額以外の雑損失の金額に ついては、特定雑損失金額より先に控除される こととなります。 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失又は 特定居住用財産の譲渡損失に係る通算後譲渡損 失の金額の生じた年が、特定雑損失金額の生じ た年又はその翌年であるときは、通算後譲渡損 失の金額の生じた年は、特定雑損失金額よりも 前の年に生じたものとすることとされています (地令附則26④⑧)。したがって、特定雑損失金 額の生じた年又はその翌年に生じた通算後譲渡 損失の金額については、特定雑損失金額より先 に控除されることとなります。

3 被災事業用資産の損失の特例(前年適

用)

東日本大震災により事業用の固定資産等につい て損失を受けたときは、その損失の金額を平成22 年中の事業所得等の金額(平成23年度分の個人住 民税課税)の計算上、必要経費に算入することが できることとされました(震災税特法6)。 住宅や家財等の資産に係る損失については、雑 損控除の特例の適用を受けることができることと の均衡を考慮し、事業用の固定資産等に係る損失 についても、平成22年分事業所得等の計算上、必 要経費に算入することができることとされました。 なお、この特例は、所得の計算に関する事項で あるため、地方税法上特段の措置を講じることな く、その効果が生じます。

4 被災事業用資産の損失の特例(繰越期

間)

損益通算によってもなお引ききれなかった損失 の金額(純損失の金額)がある場合には、青色申 告者については、被災事業用資産の損失による純 損失を含む災害発生年分の純損失の金額を、翌年 以後3年間に繰越し、翌年以後の総所得金額等か ら控除することができることとされています(地 法32⑧、313⑧)。また、白色申告者については、 被災事業用資産の損失による純損失の金額を、翌

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年以後3年間に繰越し、翌年以後の総所得金額等 から控除することができることとされています (地法32⑨、313⑨)。 東日本大震災は、その被害が同時・大量・集中 的に発生した極めて甚大なものであり、広範な地 域の経済活動の基盤が根こそぎ失われ、事業活動 等の再建には相当な期間を要する場合も多いと考 えられます。このような場合に、被災事業用資産 の損失について、繰越控除期間を3年のままとす れば、繰越しの実質的な効果が減殺されることか ら、特例的に繰越控除期間を5年に延長すること とされました(地法附則44、地令附則27)。 ⑴ 青色申告者でその有する事業用資産等のうちに 被災事業用資産の占める割合が一定以上の場合 青色申告者で、その有する事業用固定資産等 (土地及び土地の上に存する権利を除きます。) のうちに被災事業用資産の占める割合が10分の 1以上である者については、被災事業用資産以 外の損失も含めた純損失について、繰越控除期 間を現行の3年から5年に延長することとされ ました(地法附則44①④)。 保有する資産に占める被災した資産の割合が 一定以上の事業所得者にあっては、事業を再建 し、収益性を回復するまでに相当の期間を要す ると考えられるため、被災事業用資産以外の損 失も含めたすべての純損失について、繰越控除 期間を延長しているものです。 ⑵ 白色申告者でその有する事業用資産等のうちに 被災事業用資産の占める割合が一定以上の場合 白色申告者で、その有する事業用固定資産等 (土地及び土地の上に存する権利を除きます。) のうちに被災事業用資産の占める割合が10分の 1以上である者については、被災事業用資産の 損失(東日本大震災以外の他の災害によるもの も含みます。)による純損失と変動所得に係る 損失による純損失の合計額について、繰越控除 期間を現行の3年から5年に延長することとさ れました(地法附則44②⑤)。 ⑴同様に、保有する資産に占める被災した資 産の割合が一定以上の事業所得者にあっては、 事業を再建し、収益性を回復するまでに相当の 期間を要すると考えられるため、このような事 情にある白色申告者については、東日本大震災 による被災事業用資産の損失のほか、他の災害 による事業用資産の損失及び変動所得の損失に よる純損失も含めて、繰越控除期間を延長して いるものです。 ⑶ ⑴及び⑵以外の場合 ⑴及び⑵以外の者については、被災事業用資 産の損失による純損失の金額について、繰越控 除期間を現行の3年から5年に延長することと されました(地法附則44③⑥)。 ⑷ 被災事業用資産の損失を平成22年分の必要 経費に算入した場合 被災事業用資産の損失の特例(前年適用)に より、被災事業用資産の損失を平成22年分の必 要経費に算入した場合には、平成22年において 生じた被災事業用資産の損失による純損失の金 額について、繰越期間を3年から5年に延長す ることとされています。 なお、この場合に、繰越期間が5年に延長さ れるのは、被災事業用資産の損失による純損失 の金額のみであり、平成22年分の純損失の総額 又は平成22年分の変動所得に係る損失による純 損失の金額については、繰越期間が延長されて いません。 ⑸ 適用対象資産 この特例の適用対象となる被災事業用資産の 損失の金額とは、たな卸資産、固定資産、固定 資産に準ずる繰延資産、又は山林の災害による 損失の金額(その災害に関連するやむを得ない 支出で一定のものを含み、保険金、損害賠償金 等によって補てんされる部分の金額を除きま す。)で、変動所得の金額の計算上生じた損失 の金額に該当しないものです(地法32⑩、313⑩)。

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⑹ 適用要件 純損失の繰越控除を行うためには、純損失の 発生の年とそれ以降の各年分の所得金額が正確 に記録されていることが前提とされるので、純 損失の繰越控除は、その純損失が生じた年分の 所得税について期限内に青色申告書を提出(税 務署長がやむを得ない事情があると認める場合 には、期限後の青色申告書の提出を含みます。) するとともに、その後の各年分について連続し て個人住民税の申告書を提出することが必要で す(地法32⑧、313⑧)。 変動所得の損失及び被災事業用資産の損失の 繰越控除を行うためには、これらの損失の生じ た年の末日の属する年度の翌年度の個人住民税 についてこれらの損失の金額に関する事項を記 載した申告書を期限内に提出(市町村長がやむ を得ない事情があると認める場合には、期限後 の申告書の提出を含みます。)するとともに、 その後の各年度分の個人住民税について連続し て申告書を提出することが必要です(地法32⑨、 313⑨)。 ⑺ 純損失の金額の繰越控除の順序等 控除しきれなかった純損失の金額については、 翌年度以降に繰り越すことができますが、被災 事業用資産の損失の特例(繰越期間)の適用を 受ける純損失の金額(特例対象純損失金額)と それ以外の純損失の金額とでは繰越期間が異な るため、純損失の金額のうちに特例対象純損失 金額とそれ以外の純損失の金額がある場合には、 どちらから控除するかが問題となります。 この点に関しては、特例対象純損失金額以外 の純損失の金額の生じた年が、特例対象純損失 金額の生じた年又はその翌年であるときは、特 例対象純損失金額以外の純損失の金額の生じた 年は、特例対象純損失金額よりも前の年に生じ たものとすることとされました(地令附則27③ ⑧)。したがって、特例対象純損失金額の生じ た年又はその翌年に生じた特例対象純損失金額 以外の純損失の金額については、特例対象純損 〈被災事業用資産の損失の取扱い〉 【現行制度】 特例対象者 繰越控除の対象資産及び繰越期間 白色申告者 被災事業用資産の損失及び変動所得の損失:3年 青色申告者 すべての純損失:3年 【特例措置】 特例対象者 繰越控除の対象資産及び繰越期間 白色申告者 事業用資産等のうちに被災事業用資産 の占める割合が10%以上 すべての被災事業用資産の損失及び変動所得の損失:5年 その他 震災関連の被災事業用資産の 損失:5年 変動所得の損失:3年 青色申告者 事業用資産等のうちに被災事業用資産 の占める割合が10%以上 すべての純損失:5年 その他 震災関連の被災事業用資産の 損失:5年 その他の純損失:3年 ※下線部が現行に比べて拡充されている部分

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失金額より先に控除されることとなります。 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失又は 特定居住用財産の譲渡損失に係る通算後譲渡損 失の金額の生じた年が、特例対象純損失金額の 生じた年又はその翌年であるときは、通算後譲 渡損失の金額の生じた年は、特例対象純損失金 額よりも前の年に生じたものとすることとされ ました(地令附則27④⑤⑨⑩)。したがって、 特例対象純損失金額の生じた年又はその翌年に 生じた通算後譲渡損失の金額については、特例 対象純損失金額より先に控除されることとなり ます。 ⑻ その他 所得税においては、青色申告者については、 純損失の繰越控除のほかに繰戻し還付が認めら れており、今回、東日本大震災への対応として、 平成22年分所得で被災事業用資産の損失が生じ た場合には、さらに平成21年分への繰戻還付を 可能とすることとされています。 個人住民税については、個人住民税の「地域 社会の会費」的性格や、繰戻還付を実施したこ とによる当該地方団体の財政運営への影響等を 勘案して、繰戻還付の制度は認められていませ ん。 繰越控除の対象となる純損失の金額は、その 純損失の発生した年においては、通常、所得税 と個人住民税との間で異なることはありません が、所得税において繰戻還付を行った場合には、 繰越控除の対象となる額に差異が生じることと なります。

5 住宅借入金等特別税額控除の適用期間

に係る特例

個人住民税所得割の納税義務者が、所得税にお いて住宅借入金等特別税額控除の適用を受けた場 合において、所得税から控除しきれない額につい て、個人住民税から控除できることとされていま す(地法附則5の4、5の4の2)。 この住宅借入金等特別税額控除の特例は、原則 として、特例の適用を受ける年の12月31日まで引 き続き居住の用に供していることが要件とされて います。したがって、年の中途で居住の用に供し ないこととなった場合には、その年以後の各年に ついては、住宅借入金等特別税額控除は適用され ないこととなります。 今回の東日本大震災により多くの住宅が滅失又 は損壊し、居住の用に供することができなくなっ ていますが、このような場合にまで、控除の残存 期間について、住宅借入金等特別税額控除の適用 を認めないことは不適当です。このため、住宅借 入金等特別税額控除の適用を受けていた住宅が、 東日本大震災によって被害を受けたことにより居 住の用に供することができなくなった場合におい て、その居住の用に供することができなかった日 の属する年の翌年以後の各年においてその住宅に 係る住宅借入金等の金額を有するときは、その各 年において、引き続き住宅借入金等特別税額控除 を適用することができることとされました(地法 附則45)。 なお、阪神・淡路大震災の際には、個人住民税 において、住宅借入金等特別税額控除の特例が存 在しなかったことから、本特例措置は講じられな かったところです。

6 財産形成住宅貯蓄契約等の要件に該当

しない事実が生じた場合の課税の特例等

勤労者が、東日本大震災により被害を受けたこ とにより、平成23年3月11日から平成24年3月10 日までの間に、勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄 の不適格払出しを行う場合には、その貯蓄に係る 利子等に対する遡及課税は行わないこととされま した。 具体的には、震災税特法により、勤労者財産形 成住宅貯蓄等に係る契約の要件に該当しないこと となる事実が東日本大震災によって被害を受けた ことにより平成23年3月11日から平成24年3月10 日までの間に生じたものであることについて税務 署長の確認を受け、当該税務署長から交付を受け た当該確認をした旨の記載のある書面を、当該勤

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労者財産形成貯蓄等に係る契約に係る利子等の支 払い又はその取扱いをする者の営業所等の長に提 出されたものについては、当該利子等が非課税と されました(震災税特法10①②)。利子割につい ては、震災税特法による自動影響により、非課税 となっています。また、平成23年3月11日から震 災税特法の施行の日の前日(平成23年4月26日) までの間に、東日本大震災による被害を受けたこ とにより勤労者財産形成住宅貯蓄等の不適格払出 しをし、当該不適格払出しに係る利子割の額があ る場合において、勤労者が、平成24年3月10日ま でに、当該徴収された利子割に係る営業所等所在 地の道府県知事に対し、当該徴収された利子割の 額の還付を請求したときは、当該営業所等所在地 の道府県は、当該徴収された利子割の額を還付等 しなければならないこととされました(地法附則 46)。 通常、勤労者が、財産形成住宅貯蓄等の目的外 払出しをした場合には、その事実が生じた日前5 年以内に支払われた利子等については、租税特別 措置法第4条の3第1項の規定(非課税措置)の 適用がなかったものとし、かつ、その事実が生じ た日において当該利子等の支払いがあったものと みなして課税することとされています。しかしな がら、東日本大震災の被災者が、生活資金等に充 てるため、やむを得ず勤労者財産形成住宅貯蓄等 の不適格払出しをしたような場合についてまで課 税することは酷であることから非課税とされたも のです。

二 地方法人課税

法人住民税及び法人事業税においては、法人税 における税制上の対応を踏まえ、東日本大震災に 係る繰越欠損金に関する法人の道府県民税及び市 町村民税の規定整備(地法附則48)を行うととも に、東日本大震災に伴う申告等の期限の延長に係 る法人事業税の中間申告納付の特例(地法附則 49)を設けることとされました。

1 法人税における特例措置の内容

法人税においては、東日本大震災による被災者 等に係る緊急対応として、以下の特例を設けるこ ととしています。 ⑴ 震災損失の繰戻しによる法人税額の還付(震 災税特法15、23) ⑵ 中間申告の特例(震災税特法17、25) ⑶ 法人の利子・配当等に係る源泉所得税額の還 付(震災税特法16、24) ⑷ 被災代替資産等の特別償却(震災税特法11、 18、26) ⑸ 特定の資産の買換えの場合等の課税の特例 (震災税特法12、19〜21、27〜29) ⑹ 代替資産の取得期間等の延長の特例(震災税 特法22、30) ⑴及び⑵の措置について地方法人課税において も対応する措置を講じています。 ⑶の法人の利子・配当等に係る源泉所得税額の 還付については、地方税においては法人住民税(法 人税割)において確定申告時に利子割との調整措 置が講じられ、各事業年度において利子割相当額 を控除の上、控除不足額を即時還付することとさ れています(地法53)。今回の特例により国税に おいては仮決算による中間申告時においても行う ことができることとするものですが、地方税は国 税と異なり、控除・還付の対象は利子額のみであ り還付額は僅少であること等から特段の措置を講 ずる必要はないものと考えられます。 また、⑷から⑹の措置については、いずれも法 人税の所得計算の内容に関するものであり、法人 住民税及び法人事業税の課税標準にそのまま反映 することとなります。

2 法人住民税及び法人事業税における特

例措置の内容

法人住民税及び法人事業税においては、上記1

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の法人税における特例措置のうち⑴及び⑵につい て対応する措置を講じることとされています。 ⑴ 法人税における震災損失の繰戻しによる法人 税額の還付措置に対応した規定整備 法人税の繰戻し還付は、現下の国の厳しい財 政状況等から、中小法人を除き原則として適用 が停止されているところです(措法66の13)が、 今般の大震災の緊急対応として欠損金額のうち の震災損失金額の全額について2年間まで遡っ て繰戻し還付を可能とすることとしています (震災税特法15、23)。具体的には、法人の平成 23年3月11日から平成24年3月10日までの間に 終了する事業年度又は平成23年3月11日から同 年9月10日までの間に終了する中間期間におい て生じた繰戻対象震災損失金額がある場合には、 繰戻対象損失金額に係る事業年度又は中間期間 開始の日前2年間以内に開始した事業年度の法 人税額のうちその繰戻対象損失金額に対応する 部分の金額を還付することとされました。 地方法人課税については、既に収納された前 年度の税額を遡って還付することは行政サービ スとの受益関係に基づき課税する税の基本的な 性格になじまないことや、地方団体の財政規模 が国に比べて小さく財政運営への支障をきたす おそれがあること等から、従前より欠損金の繰 戻しによる還付の制度は設けておらず、平成7 年の阪神・淡路大震災時においても欠損金の繰 越控除の制度により措置したところです。した がって、法人住民税、法人事業税においては、 今般の震災税特法の規定による法人税の繰戻し 還付の対象となる震災損失について繰越控除の 制度により措置することとし、そのための所要 の規定の整備を行うこととされました(地法附 則48、地令附則29)。 ⑵ 東日本大震災に伴う申告等の期限の延長に係 る中間申告納付の特例 国税においては、東日本大震災に係る国税通 則法第11条の規定による申告等に関する期限の 延長により、法人税の中間申告書の提出期限と 当該中間申告書に係る事業年度の確定申告書の 提出期限とが同一の日となる場合は、当該中間 申告書の提出を要しないこととされました(震 災税特法17、25)。これを踏まえ、法人事業税 においても、同様の趣旨から、地方税法第20条 の5の2の規定に基づく条例の定めるところに より申告及び納付に関する期限が延長されたこ とにより、地方税法第72条の26第1項の規定に よる中間申告納付に係る期限と当該中間申告納 付に係る事業年度の確定申告納付に係る期限と が同一の日となる場合は、当該中間申告納付を することを要しないこととされました(地法附 則49)。 なお、法人住民税については、法人税法第71 条等の規定によって法人税に係る申告書を提出 する義務がある法人は、当該申告書の提出期限 までに必要な事項を記載した申告書を提出し、 及びその申告した住民税額を納付しなければな らないこととされていることから(地法53①、 321①)、震災税特法の規定の適用を受けて中間 申告書の提出を要しない法人については、法人 住民税の中間申告納付を要しないこととなりま す。 個人事業税の課税標準は、前年中における個人 の事業の所得によることとされ(地法72の49の7 ①)、法令で特別の定めをする場合を除くほか、 所得税の課税標準である所得につき適用される所 得税法に規定する不動産所得及び事業所得の計算 の例によって算定することとされています(地法 72の49の8①)。東日本大震災の被災者等の負担 の軽減のため、所得税における税制上の対応を踏 まえ、今般の地方税法改正においては個人住民税 と同様に損失の繰越控除の特例を設けることとさ

三 個人事業税

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れました(地法附則50)。

1 所得税における特例措置の内容

所得税においては、東日本大震災による被災者 等に係る緊急対応として、事業所得者等の有する 棚卸資産や事業用資産等につき大震災により生じ た損失(被災事業用資産の損失)について以下の 特例を設けることとしています(震災税特法6、 7)。 ⑴ 被災事業用資産の損失の必要経費算入に関す る特例 事業所得者等の有する棚卸資産や事業用資産 等につき東日本大震災により生じた損失(被災 事業用資産の損失)についてその損失額を平成 22年度分の事業所得の金額等の計算上、必要経 費に算入することができることとされています。 この場合において、青色申告者について平成22 年分の所得において純損失が生じたときは、被 災事業用資産の損失も含めて、平成21年分の所 得への繰戻し還付ができることとされています (震災税特法6)。 ⑵ 被災事業用資産の損失を有する者の純損失の 繰越控除の特例 被災事業用資産の損失を有する者の平成23年 において生じた純損失のうち、次に掲げるもの の繰越期間を3年から5年に延長することとさ れています(震災税特法7)。 ① 青色申告者でその有する事業用資産等(土 地等を除きます。)のうちに被災事業用資産 の占める割合が10分の1以上である者は、被 災事業用資産の損失による純損失を含む平成 23年分の純損失の総額 ② 白色申告者でその有する事業用資産等(土 地等を除きます。)のうちに被災事業用資産 の占める割合が10分の1以上である者は、被 災事業用資産の損失による純損失と変動所得 に係る損失による純損失の合計額 ③ 上記以外の者は、被災事業用資産の損失に よる純損失の金額

2 個人事業税における特例措置の内容

個人事業税においては、上記の所得税における 税制上の措置に対応して、上記1⑴の被災事業用 資産の損失の平成22年分所得の必要経費算入につ いては、個人事業税の課税標準である事業所得の 計算においてもその例によるべき所得計算に係る 事項として認めることとし、平成23年の個人事業 税額に反映させることとされました。 また、上記1⑵の被災事業用資産の損失を有す る者の繰越期間の延長についても、対応する同様 の措置を講じることとされています。現行制度に おいては、被災事業用資産の損失について、前年 前3年間における事業の所得の計算上生じた被災 事業用資産の損失の金額で前年前に控除されなか った部分の金額の繰越控除を行うこととされてい るところです(地法72の49の8⑦)。今回新たに 地方税法附則第50条に東日本大震災に係る個人の 事業税の損失の繰越控除の特例を設け、個人事業 税の課税標準の算定方法を規定する同法第72条の 49の8の読替を行い、事業を行う個人で被災事業 用資産の損失を有する者の被災事業用資産の損失 による損失額及び平成23年において生じた損失金 額のうち次に掲げるものの繰越期間を3年から5 年に延長することとされています。 ⑴ 青色申告者でその有する事業用資産等(土地 等を除きます。)のうちに被災事業用資産の占 める割合が10分の1以上である者は、被災事業 用資産の損失を含む平成23年分の損失の総額 ⑵ 白色申告者でその有する事業用資産等(土地 等を除きます。)のうちに被災事業用資産の占 める割合が10分の1以上である者は、被災事業 用資産の損失の合計額 なお、所得税においては、青色申告者につい て平成22年分の所得において純損失が生じたと きは、被災事業用資産の損失も含めて、平成21 年分の所得への繰戻し還付をできることとして いますが、個人事業税については繰戻し還付は 行わないこととされています。繰戻し還付は、

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既に提供された行政サービスの対価として収納 された前年度税額を遡って還付するものであり、 行政サービスの受益関係に基づき課税する事業 税の応益的な性格になじまないこと等から阪 神・淡路大震災における対応と同様に繰越控除 の制度により対応することとされました。

四 不動産取得税

1 東日本大震災により滅失、損壊した家

屋に代わる家屋(被災代替家屋)の取得

に係る不動産取得税の課税標準の特例

今回の東日本大震災においては、家屋の滅失等 をはじめとして、甚大な被害が広範囲に及んでお り、不動産の取得等を通じた本格的な復興には相 当の期間を要することが見込まれるところです。 こうした点を踏まえ、東日本大震災により滅失、 損壊した家屋(以下「被災家屋」といいます。) の所有者等が、当該被災家屋に代わるものと道府 県知事が認める家屋(以下「被災代替家屋」とい います。)を、平成33年3月31日までの間に取得 した場合には、被災家屋の床面積相当分には不動 産取得税が課されないようにする特例を講じるこ ととされました(地法附則51①)(資料4)。

2 東日本大震災により滅失、損壊した家

屋に代わる家屋の敷地の用に供する土地

の取得に係る不動産取得税の課税標準の

特例

今回の東日本大震災では、大規模な津波により、 被災家屋の敷地が水没するなどの被害が生じた結 果、当該敷地において家屋を建築することが困難 であり、被災していない別の地域等において、代 替家屋の用に供する土地を取得することなどが想 定されたところです。 こうした点を踏まえ、今回の大震災においては、 代替家屋の敷地の用に供する土地の取得について、 特例措置を設けることとされました。 その内容については、被災代替家屋の敷地の用 に供する土地(以下「被災代替土地」といいます。) で、被災家屋の敷地の用に供されていた土地(以 下「従前の土地」といいます。)に代わる土地を、 平成33年3月31日までの間に取得した場合には、 従前の土地の面積相当分には不動産取得税が課さ れないようにする特例を講じることとされました (地法附則51②)。

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1 東日本大震災により滅失、損壊した自動

車に代わる自動車(被災代替自動車)に対

する自動車取得税の非課税措置の創設

⑴ 被災代替自動車に対する自動車取得税の非課 税措置の創設理由 今回の東日本大震災においては、多数の自動 車が津波等により被害を受け、使用困難になっ たところです。自動車は、とりわけ東北地方な どの地方においては、日常生活や事業活動等に 欠かすことのできないものと考えられます。 こうした点を踏まえれば、被災者の方々は、 今回の震災により、やむを得ず、代替自動車を 取得せざるを得なくなることが想定されるとこ ろであり、この場合に税負担を課すのは適当で ないと考えられます。 そこで、震災により滅失、損壊した自動車に 代わる自動車を、平成23年3月11日から平成26 年3月31日までの間に取得した場合に、当該自 動車に係る自動車取得税を非課税とする措置を 設けることとされました。 ⑵ 措置の内容 ① 東日本大震災により滅失、損壊した自動車 (以下、「被災自動車」といいます。)に代わ るものと道府県知事が認める自動車を、平成 23年3月11日から平成26年3月31日までの間 に取得した場合に、当該自動車(以下、「被 災代替自動車」といいます。)に係る自動車 取得税を非課税とする措置を設けることとさ れました(地法附則52①)(資料5)。

五 自動車取得税及び自動車税

被災代替家屋の取得に係る特例及び被災代替家屋の敷地の用に 供する土地の取得に係る特例 (資料4) ①被災代替家屋の取得に係る特例  被災家屋の所有者等が、当該被災家屋に代わる家屋(被災代替家屋)を、平成33年3月31日までの間 に取得した場合には、被災家屋の床面積相当分には不動産取得税が課されないようにする特例を講じる。 ②被災代替家屋の敷地の用に供する土地の取得に係る特例  被災代替家屋の敷地の用に供する土地(代替土地)で、被災家屋の敷地の用に供されていた土地(従前 の土地)に代わる土地を、平成33年3月31日までの間に取得した場合には、従前の土地の面積相当分に は不動産取得税が課されないようにする特例を講じる。 特例の概要 震災により滅失・損壊 ①被災代替家屋の取得 被災家屋の床面積相当分を控除 ※なお、被災代替家屋と代替土地をともに取得した場合は、上記①及び②の特例がいずれも適用される。 ※控除額 = 被災代替家屋の価格 × 被災家屋の床面積 代替家屋の床面積 (被災代替家屋) ②代替土地の取得 (被災代替家屋) (代替土地) 従前の土地の面積相当分を控除 ※控除額 = 代替土地の価格 × 従前の土地の面積 代替土地の面積

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被災代替自動車の取得期間を、平成26年3 月31日までのおよそ3年間とする理由につい ては、以下の通りです。 自動車は、住宅等の不動産に比べて安価で あり、とりわけ東北地方などの地方において は、日常生活や事業活動等に欠かすことので きないものであることに鑑みれば、滅失、損 壊した自動車に代わる自動車については、比 較的早期に取得される可能性が大きいものと 考えられます。 一方、取得の期間(本特例の適用期間)を 長期とすることは、長期間にわたって代替自 動車を取得する必要のないと考えられるケー スについてまで代替自動車と認定することと なり、適当であると考えられません。 これらの点を踏まえ、平成23年3月11日か ら平成26年3月31日までの約3年間に被災代 替自動車を取得した場合に、自動車取得税の 特例措置を講じることとされました。 ② 被災自動車については、以下の取扱いとさ れました。 イ  被災自動車とされる自動車は、東日本大 震災により「滅失し、又は損壊した」自動 車です。 ロ  被災自動車の範囲については、自動車取 得税の課税客体である地方税法第113条第 1項の自動車であり、普通自動車のほか、 小型自動車(三輪以上)及び軽自動車(三 輪以上)も含まれます(資料6)。 ハ  地方税法附則第52条第1項に規定する 「第114条第1項に規定する場合」とは、自 動車の売買契約において、売主が当該自動 車の所有権を留保している場合のことであ り、この場合には当該売買契約の買主を所 有者とするものです。 ニ  地方税法附則第52条第1項に規定する 「政令で定める者」には、所有者が亡くな っている場合にはその者の相続人(その相 続人も含みます。)及び所有者が消滅した 法人である場合には当該法人の合併法人又 被災代替自動車の取得に係る自動車取得税の非課税措置及び 被災代替自動車に係る自動車税・軽自動車税の非課税措置 (資料5) ○ 未曾有の津波被害等により、多くの自動車が被災したため、地域の生活必需品である自動車の買換えが  必要となる。 4月1日時点で使用不能となった自動 車は、平成23年度分の自動車税・軽 自動車税の課税客体でなくなる。 ○自動車取得税を非課税  (H23.3.11∼H26.3.31) ○自動車税・軽自動車税を非課税  (H23∼H25年度) (被災自動車) (代替自動車) 買換え 背 景 ⇒ 大震災による災害により滅失・損壊した自動車に代わる自動車(被災代替自動車)を平成23年3月11日 から平成26年3月31日までの間に取得した場合には、自動車取得税を非課税とする。 ⇒ 大震災による災害により滅失・損壊した自動車に代わる自動車(被災代替自動車)に係る平成23年度 から平成25年度までの各年度分の自動車税・軽自動車税を非課税とする。

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は分割承継法人(その合併法人又は分割承 継法人も含みます。)が含まれます(地令 附則32①二、三)。 ③ 次に、被災代替自動車については、自動車 取得税の課税客体である地方税法第113条第 1項の自動車です。 また、被災自動車の範囲については、②の ロに記載している通りであることから、被災 自動車である軽自動車(三輪以上)から普通 自動車又は小型自動車(三輪以上)に買い換 える場合、非課税措置の対象となります。 これ以外の場合として、例えば、被災自動 車が軽自動車(二輪)である場合で、被災代 替自動車が普通自動車の場合は、本特例の対 象とはなりません。 なお、今回の特例では非課税措置の対象と はならない場合であっても、事案によっては 代替性が認定できる場合があると想定されま す。この場合には、地方税法第128条の規定 に基づき、条例で定めるところにより、必要 に応じ減免されることがあります。 ④ 非課税の特例措置の適用を受けようとする 場合には、新たに取得された自動車の主たる 定置場所在地の道府県知事に対し、地方税法 施行規則附則第23条第1号に掲げる事項が記 載された申請書のほか、滅失し、又は損壊し た自動車が被災自動車であることを証する書 類の提出が必要です(地令附則32②、地規附 則23)。 また、申請者が被災自動車の所有者の相続 人の場合には、戸籍謄本等の相続人である旨 を証するための書類の提出が必要であり、申 請者が被災自動車の所有者の合併法人又は分 割承継法人である場合には、登記事項証明書 等の合併法人等である旨を証するための書類 の提出が必要です(地令附則32①、地規附則 23四)。 ⑤ なお、地方税法附則第52条の規定は、平成 23年3月11日以後の被災代替自動車の取得に ついて適用されるものであるため、地方税法 の一部改正法の施行日(平成23年4月27日) の時点で既に新たな自動車が取得され自動車 取得税が申告納付されている場合に、当該自 動車について必要な書類が提出され非課税と なったときは、当該既に申告納付されていた 自動車取得税について、地方税法第17条に規 定する過誤納金として還付されます。 (資料6) 代替自動車にかかる自動車関係税 滅失等した車種 代替車種 自動車取得税 自動車税及び軽自動車税 自動車 ・ 軽自動車(3輪以上) 自動車・軽自動車(3輪以上) 非課税(自家用→自家用、営業用→営業用のみ対象) 非課税(自家用→自家用、営業用→営業用のみ対象) 小型自動車(2輪)・軽自動 車(2輪)・原動機付自転車 − 課税(※) 小型特殊自動車 − 課税(※) 小型自動車(2輪) ・ 軽自動車(2輪) ・ 原動機付自転車 自動車・軽自動車(3輪以上) 課税(※) 課税(※) 小型自動車(2輪)・軽自動 車(2輪)・原動機付自転車 − 非課税 小型特殊自動車 − 課税(※) 小型特殊自動車 自動車・軽自動車(3輪以上) 課税(※) 課税(※) 小型自動車(2輪)・軽自動 車(2輪)・原動機付自転車 − 課税(※) 小型特殊自動車 − 非課税 (※)例外的に代替性が認められる場合には、課税団体において減免。

参照

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