Tokyo University of Science
NII-Electronic Library Service
Tokyo Unlverslty of Solenoe
TIMSS
と
TIMSS
−
R
の
分析
に よ
る
数
学
教
育
の
国
際
比
較
理
数教育 専
攻
石
井 弘 幸
指導教 員
澤
田 利
夫
【
研
究
の
目
的】
日
本
は
,
13
歳 児の生
徒
を 対 象
≒
した
IEA
の
数学教育
調
査
に関し て ,
1964
年実 施
の
FIMS
,
1981
年
実
施
の
SIMS
で は,
世界
で トッ
プ
ク ラス の
学力水準
で
あ
っ た。 し かし
.1995 年
に
実
施 され た
TIMSS
で は
,初参
加のシン
ガポー
ルに
95
%信 頼 区 間 (危 険 率
5
%)で
有意
な 差 をつ
け
られて トッ
プ
を 奪 わ れ
,
日本 は 韓 国
・
香 港 と 並 んで
2
番
手 グ ル
ー
プに
甘
ん じる
結果
と な っ た。 さ らに
,
1999
年
に
実施
され た
TIMSS
−
R
で は, 日
本
は, シ ンガ
ポ
ー
ルだ
け で な く
韓
国 との 間に も
95
%信 頼区
間 で
有意
な
差
が
生 ま
れ る
結
果 と なっ た。 ま た
.
2002
年 に 小 中 学 校, そ して
2003
年
に高
等 学校
の
新
しい
学習指
導
要領
の
施行
を
目前
に して
,昨今 ,数学
にお
け
る
学 力低下論争が 大
き
な
話
題
となっ
て い る。 そこ で本 研 究 は, 変 わ りつ つあ る 日本の数
学
学 力 傾
向
の
中
で,
TIMSS
と
TIMSS
−
R
両
調 査の同
一
問
題
の
分析
によ り,日
本
を
含
め た 両 調
査
に参 加 した
世
界
25
ヶ
国
/
地域
の
第
8
学年数学
学
力の
特徴
を 調 査
・考察す
る こ とを 目
的
と し
た
。
【
研
究
の
方 法 】
ISC
国 際
本部
(ボス トンカレッジ
)
よ り 入
手
し た
第
8
学年
の
TIMSS
と
TIMSS
−
R
の国 別 各 問
正
答率デー
タ を 用いて
,
そ れ
ぞ
れの調
査
ご と に
,
5
つ の
分
野 (分 数
・数 感覚 ,
測 定 な ど ) と
同
一
問 題 全 体の
平
均正答 率 や 標 準 偏 差
・
標 準 誤 差
・
正 答 率 分 布 を
分
析 した
。
ま た,
25
ヶ国 / 地
域
全て
の各 問正
答率
の区 間
推定
を
行
っ た
。次
に
,
それ ぞ れの調 査 ごと に国
/地
域 間の
相
関 係 数 を
求
め
,
更 に, 両 調 査 問 で 各 国
/地
域 別の
相
関 係
数
を
求
め た。 こ こでt これ らの分 析 を 踏 ま え, そ れ ぞ れ
の調 査 ご とにグル
ープ分
けの手
法
で
あ
るク ラスタ
ー
分
析 を 用いて
,
25
ヶ
国
/
地域
の
各
問 正
答率
か ら見 た
グ
ル
ー
プ分 け
を
行
った。 そして
,得
ら れ た
2
つの
デ
ン ドロ
グ
ラム か ら
共
通の特 徴 を 見 出
し
,
その共 通
す
る ク ラス タ
ー
を 構 成 す る 要 素 や 背 景 を 考 察 し た。
ま た
,
日本 に おいて, 近 年 盛 ん に 強 調 さ れて いる も う
一
つ の学 力 観 「
関 心 ・
意 欲 ・
態度
」 とい
う
情意的学
力
(
数学
の
好
き
嫌
い) につ い て も
分
析 し
,数
学の
好
き
嫌
いと
得点
の
関連性
を調べ た。
【
研
究
の
結果
と
考察】
両 調
査
それ
ぞ
れ の
各
問 正
答率
によ る ク ラス タ
ー
分
析
か ら得 られ た
2
つ の
デ
ン ドログ ラム を 比 較
し た 結 果
,
3
つ の グ ル
ー プ
に分 け られ た。 そ れ は,
日
本
・
シ ンガ ポー
ル ・
韓
国 ・
香港
など
の漢
字
圏
北
米
・
ヨ
ー
ロッパ
諸
国 な どの
英語
圏
その
他
で ある。 そして
,
ク ラス タ
ー
を構
成 す
る
背
景と し て は
,東洋
と西 洋そ れぞれの
数
学
教
育の特 徴とい うものが影 響 し てい る と考 え られ た。
ま た
,
TIMSS
ビ
デ
オ テ
ーブ
スタ
デ
ィ の結 果 か ら
,
日 本の授 業 とアメ リカの 授 業 に はそれ ぞ れ 異 な
っ た 特 徴 が あ り
,
そ れ
ぞ
れの国 / 地 域の
授
業 に 在る 「文 化 的スク リプ ト (
典 型的
に
見
ら れる授
業
構造
)亅 も 各 問正
答
率 に
影響
を
及
ぼ して い る と
考
えられ た。
ま
た,情意的
な
面
の
学力
の
分析
か ら
,数
学の好 き 嫌いと 得 点の 関 係 は, 各 国 / 地 域 内 に おいて
は
,
両 調 査 と もに
,
数 学が好 き で あ れ ば
好
きで あるほ ど 比
較 的
正
答率
は
高
い。 ま
た
,
各国/地域
の
数学
が
大好
き な 生
徒
の割
合
と
大好
き な
生徒
の
集
団の
得
点 との間には,
両
調 査 とも に,
負
の
相
関
が ある (つ ま り
数
学 が 大 好 きな 生
徒
が
多
い国 は
,
比
較的
得
点
が低い )ことが明 らか に なっ た
。
一
160
一
N工 工
一
Eleotronlo
Llbrary