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グローカル化時代の言語教育 -韓国の外国語教育政策を中心として-

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Academic year: 2021

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指 導 教 員 太 田 直 也 序 章 日 本 の 国 際 戦 略 化は言語においても進んでいる。言語の多様化を 今日の日本の経済成長は、アジア全体の成長と 推進するには、日本の言語政策を積極的に再考す は切り離せない関係にある。国を越えた人の移動 ることが必要であり、その際、海外の政策を参考 が促進されることで、外国語を駆使する人材の育 にすることには意義がある。 成の必要性が益々高まってきているが、日本の外 例えば、外国語教育に積極的な

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では、多様 国語教育の在り方には課題が多い。日本は言語政 な言語・文化の共存と交流が豊かな財産であると 策を見直すべき時期を迎えているのである。 考えられ、複言語主義に基づいた外国語教育が進 められている。グローバル言語としての英語の教 第 一 章 問 題 の 所 在 これまで中等教育段階に関しては英語以外の 外国語教育には注目が集まりにくかった。日本は 多様な外国語教育の必要性は認めながらも、実際 に学校教育に導入するにあたっては世界的に見 れば後進国の状態であると言える。 文科省による外国語政策は矛盾が多い。例えば、 小学校の 「外国語活動」は、事実上の英語教育と 言っても過言ではないが、これは、中学校以降の 外国語科では英語を扱うことが原則!となってい るためである。学校教育における 「外国語」は英 語一辺倒となってしまっている。 多様な外国語を駆使できる人材を求める世論 に応えるためには、大学入試制度の改革や中等教 育段階における第 2外国語教育環境を改善する必 要がある。 第二章世界の言語をとりまく現状と言語政策 グローカル化とは、グローバル化とローカル化 が同時に進行する動きのことである。グローカル 育だけでなく、地域言語の教育にも積極的に取り 組んでいることから、言語教育におけるグローカ ル化が進んでいる典型的な例とも言えよう。 近年、アジアにおいても共同体成立の気運が高 まってきているが、その中心的な役割を担うであ ろう日本、中園、韓国の聞には、まだ真の信頼関 係ができていない。相互理解を図るためには、互 いの言語や文化も学びあう姿勢が重要となって くると考えられる。 第 三 章 韓 国 の 言 語 政 策 韓国は、日本と同様に単一民族。言語の国とみ られがちであったが、実際今日では、英語への傾 斜が日本以上に進んでいる。韓国の経済は、外国 語を武器に成長してきた。また、20世紀末からの 多文化政策の影響もあり、国内の多文化・多言語 化が急激に進展している。 韓国の教育制度や風潮は日本と非常に似てお り、いわゆる学歴社会や受験戦争、経済的教育格 差などの社会問題が起こっている。いまや世界ト 月i q u

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ップレベルの学力を誇るようになった韓国だが、 反面では日本と同様に学力インフレ状態にある。 韓国では、第7次教育課程より、中学校におけ る第2外国語教育が開始された。扱う言語は高等 学校における外国語科と同じ(ドイツ語、フラン ス語、スペイン語、中国語、日本語、ロシア語、 アラビア語)である。韓国の教育課程は学校の種 類に合わせて用意され、それぞれ言語ごとにカリ キュラムが作成されているのが特徴と言える。 韓国の高等学校は、

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年代以降 「平準化政策」 によって教育機会や学力水準の平等が図られ、教 育課程が画一化されていた。しかし、 90年代にな ると平準化緩和政策がとられ、特殊目的高等学校 をはじめとするエリート校が復活するようにな った。これらの名門校では英語をはじめとする外 国語教育が徹底しており、世界的に優秀な人材を 多く輩出している。韓国の高校の多様化 ・国際化 は今後も進むものと予想、されている。 外国語教育課程に関しては、今後第

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外国語に ベトナム語が追加されるなど、グローカル化時代 に対応した政策が推進されている。中高連携の問 題や、学習機会の制限、外国語能力の有無による 社会的格差の広がりなど、韓国の外国語教育にも まだ、課題は残っているが、総じて日本が韓国の外 国語教育政策に学ぶ点は多い。 第四章 日本の言語環境と新たな言語政策の必 要性 日本もまた、多文化国家への過渡期にある。圏 内でも多様な外国語のニーズが高まり、英語以外 の外国語教育の重要性に着眼した声が高まって きている。日本の国際戦略は、韓国とほぼ同様で あり、外国語教育が目指す方向性も一致している。 しかし、日本が本格的に外国語教育を学校に導入 しようという積極的な動きはまだ見られない。こ の点で、世界の動向に敏感に対応する韓国の外国 語政策は参考になる。 外国語習得の成功には、学習開始年齢や外国語 学習適性、動機づけの高さなど様々な要因が関わ っている。外国語学習成功の可能性が高い子ども を早い段階で見出し、外国語に特化した指導をお こなっていくことで、外国語エリートを養成する ことができると考えられる。外国語学習適性が低 い学習者の場合は、言語聞の距離が小さい言語を 選択して学習できるようにするなどの整備をす ることで、教養としての外国語を身につけること につながるであろう。 今日、全国の高等学校で行われている国際交流 等の状況をまとめると、21世紀に入ってから英語 以外の外国語開設校が3倍以上増加していること が分かった。外国語教育以外にも、修学旅行や留 学生の受け入れなどを通し、 世界の多様な国々と の国際交流が活発化してきでいる。交流を促進し 相互理解を図るためには、相手の文化や言語を直 接学ぶ姿勢をより積極的に持つことが重要であ る。 終章 日本の外国語教育への提言 英語が世界の共通語と しての地位を確立した 今日、英語教育はますます強化されることが予想 される。しかし、言語のグローカル化によって英 語以外の外国語のニーズも高まっている ことも また事実である。学校に多様な外国語教育を導入 するためには、扱う言語や他教科との兼ね合いな ど慎重に考慮、すべき点が多いが、今後は韓国の政 策のように多様な学校づくり を積極的に推進し ていくことが求められると考える。 言語、そして言語政策においても、グローカル な視点をもって検討していぐ ことが、日本の未来 のためになるのである。

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