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鳴門教育大学学術研究コレクション

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Academic year: 2021

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中国人大学生における「し¥じめ」構造の分析

人間教育専攻 人間形成コース 貌 静 問題と目的 中国では近年P インターネットの発達とネッ ト社会の発展につれて,判交における「し1じめ」 が次第に認知されるようになった。判交におけ る「し冗じめ」の増加は回避できない現実問題に なり,対策をこうしなければならない段階にき ている。ただし,中国は「し、じめjに対する認 識の不足と「し九じめ」に対する研究量が少ない 状況に加え3 中国の最高教育機関からの定義は 見当たらない現状にある。しかも3中国人の“し、 じめ"問題に対する認識はごく最近のことで3 長い間,多くの中国人は子どものいじめは避け られないと考え,判交におけるいじめは深刻な “問題"として受け取られてこなかった(表, 2011)0 Iし、じめ」の把握と瑚卒を深めることは 重要の課題であり,研究の必要性が伺えた。大 学生は一定の世界観,人生観と価値観をある程 度形成した年齢であるが,一方で完全に成熟し た状態とは言い難い年齢でもある。もうすぐ社 会に出る環境下の人間関係への対応方法はまだ 課題も多く,大学機関においても,彼らへのア ブローチは小中高等学ヰ交に比べ,相対的規制は 少ない。このような環境下の大学において「い じめ」が発生する可能性があった。以上のこと から本研究では,現在中国の大学生がし、じめの 形態やその実態についてどれほどの理解を示し ているのかを明らかにするうえで,中国人大学 生における「いじめ」構造の検討を行った。そ 指 導 教 員 内 田 香 奈 子 して,大学1, 2年生の時のいじめ状態が大学 3, 4年生の時のいじめへの認識,そして健康や適 応にどのような影響を与えるのかあわせて検討 した。 研究I 目的:中国の大学生においていじめを多角的に 捉えるための質問紙を新たに作成する。 調査協力者:中国の大学学部 3,4年生 388名(男 性178名,女性200名)を調査対象とした。 使用尺度と手続き:予備調査を経て作成された, 大学 1,2年生時のいじめ加害経験,あるいは被 害経験を問うもの9 そして現在のいじめへの認 識を問う 3種類から構成されるいじめ尺度の 原版を使用した。加害者側と被害者側の経験の 有無を問う質問紙の回答形式は「よくあった」 から「全くなかったJ,し、じめに関する認識を問 う質問紙の回答形式は「とてもそう思う」から 「全く思わなしリのそれぞ、れ四件法で、あった。 なお,調査は無言略式で実施された他,研究の 主旨に同意出来ない場合や回答の途中でも回答 を拒否できる旨を伝え3 調査の参加に同意を得 た。 結果と考察:因子分析により最終項目の選定を 行った。検討の結果,いじめ加害経験,いじめ 被害経験,そしていじめへの認識,いずれの領 域も直接的あるいはネットによる 2因子から 構成され,各尺度 23項目,全 69項目から構成 -

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23-される尺度が抽出され9 その因子的妥当性が確 認された。また3 いじめ加害経験といじめ被害 経験はすべて共通項目から構成される尺度とな った。次に,内的整合性の観点から信頼性の検 討を行い9 十分な値が宿忍された。また9 得点 分布は正規分布からの歪みが小さいことが石信志 された。いじめ加害,被害9 そしていじめへの 認識について検証が可能な尺度が作成された。 研究H 目的:大学1,2年生の時のいじめ状態が大学 3, 4年生の時の健康や週志にどのような影響を与 えるのかを検討する。 調査協力者:研究Iと同様に,中国の大学学部 3, 4年生 388名を調査対象とした。欠損値回 答に不備があるものを除いた有効回答数は 361 (男性171,女性190)名で、あった。 使用尺度と手続き:①中国語版いじめ尺度研 究Iで作成された 3尺度②人生満足感尺度 SWLS (Satisfaction Wi th Life Scale)。哀(2002) によって翻訳された中国語版人生満足感尺度を 用いた。 結果と考察:まず,過去のいじめ加害経験と被 害経験について双方の因果関係を検証した。そ の結果,ネットによるいじめ加害経験は直接あ るいはネットによるいじめ被害経験に正の影響 をもたらすことが示唆された。また,直接ある いはネットによるいじめ被害経験は,直接ある いはネットによる加害経験に正の影響をもたら すことが臨忍された。これらの結果は,いじめ 加害といじめ被害の両経験は双方に影響をもた らす可能性があることを示している。 次に,いじめ加害あるいは被害と,いじめの 認識,そして人生満足感の三者関係を検言ける ため,共分樹毒造分析を行った。その結果,し1 じめ加害(ネット)からいじめへの認識(ネット) への負の有意な影響が見られ,大学1, 2年時 のネットのいじめ加害経験の多さが現在(大学 3, 4年生)のネットし1じめの認識の低さをもた らす可能性を示唆するデータを得ることが出来 た。その他の因果関系について確認することは で、きなかった。しかし3 各変数間の関連を確認 すると,いじめ被害(ネット)といじめへの認識 (ネット)との間で負の関連が,人生満足感とい じめ被害(直協の間で負の相関が,人生満足感 といじめへの認識(ネット)の間で正の相聞が確 認されている。このことは,双方が何らかの関 係を持つ可能性を示唆するものであり9 今後も 追検証が必要となるだろう。本研究においてい じめ加害P いじめ被害そしていじめへの認識の 構造を 3側面から組み合わせ行う検証方法は, 新たな知見を提供するものとし1えよう。 総合考察 このように3 今回の結果は中国人大学生のい じめ尺度として新たなツールの作成と中国人大 学生の人生満足感にどの関連を検証しし1くつか の闘系性を見出した。このような検証は中国に おいて研究例はなく,今後のいじめ防止につな がる可能性も持っているO しかし,説断的調査 の考慮,身体的暴力などの直接的ないじめの確 認中国全国の文化の差異の考慮、,詳細にネット いじめの研究を深めて行く必要性3 アンケート 対象の絞りといじめへの対策の検討など,今後 検討すーベき課題を残している。 今後は,本研究で作成した中国人大学生にお けるいじめ尺度による検証を重ね,大学生のい じめ構造のより詳細な検証を行い,大学生の生 活の充実につながる知見を提供していくことが 期待される。 24

参照

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