軍縮条約における「管轄又は管理」の用法
著者名(日)
江藤 淳一
雑誌名
東洋法学
巻
44
号
1
ページ
115-159
発行年
2000-09-01
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00000425/
軍縮条約における﹁管轄又は管理﹂の用法
江
藤
淳
一
目 次 はじめに 一 禁止・防止義務 二 国家の実施措置 三 検証措置四廃棄義務
おわりに東洋法学
はじめに
﹁管轄又は管理﹂の語は、一九六三年の部分的核実験禁止条約以来、軍縮及び国際環境保護に関する国際文書 のなかで繰り返し用いられてきた。それは、軍縮条約上の一定の義務が、締約国の﹁管轄又は管理﹂下の活動に軍縮条約における「管轄又は管理」の用法 及ぶこと、また、環境保護に関して、国家は自国の﹁管轄又は管理﹂下の活動に対して責任を負うことを示すも のである。いずれの場合も、領域を越える活動に関し国家に一定の義務・責任を負わせることにより、実効的な パエ 軍縮及び国際環境保護の制度を設定するためにこの語を使用している。 しかし、﹁管轄又は管理﹂の語は取り扱いがきわめて厄介でもある。﹁管轄﹂と﹁管理﹂は、古くから﹁管轄及 パこ び管理﹂という組み合わせで使用されてきたが、それは、国家が自国の領域外で一般的・包括的な権限を行使で きる場合を示すためのものである。この限りでは、﹁管轄﹂と﹁管理﹂がそれぞれ何を意味するかはあまり問題 とはならない。他方、﹁管轄又は管理﹂という組み合わせは、国家の義務・責任の範囲を拡げるために使用され るものであり、したがって、﹁管轄﹂と﹁管理﹂がいかなる意味で使われるかが重要となる。一般には﹁管轄権﹂ パニ は、﹁国家がその国内法を一定範囲の人、財産または事実に対して適用し行使する国際法上の権能﹂と理解され パゑ るが、これに対し、﹁管理﹂の語は、国家による事実上の権限の行使という意味も含みうる多義的な用語である。 そのため﹁管轄又は管理﹂の語はきわめて広い射程範囲をもつ可能性がある。これは、多国籍企業のように、 ﹁管轄﹂や﹁管理﹂の所在に関し多様な判断基準をもつものが対象となる場合には難しい問題を引き起こす。 軍縮条約の交渉過程では、﹁管轄又は管理﹂の語をめぐって試行錯誤が続けられてきた。とくに申告や査察な ど詳細な検証規定を設けた化学兵器禁止条約の交渉では、この語の用法が重要な検討事項となった。そこでとく に問題となったのは、一国の領域内に他国の軍事基地が存在する場合、そこに保有される化学兵器の廃棄や申告・ 査察に関して領域国と基地保有国の義務をどのように設定するかである。こうしたなかで、化学兵器禁止条約は、
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本論で述べるように、﹁管轄又は管理﹂の統一的用法の確立に努めた。すなわち、﹁管轄又は管理﹂の語は、従来、 ﹁場所﹂﹁人﹂﹁活動﹂﹁兵器﹂などの語とともに使用されてきたが、化学兵器禁止条約は、一貫して﹁管轄又は管 理﹂下の﹁場所﹂という組み合わせで使用している。また、﹁管轄﹂を単独で使用する規定に関しては、﹁国際法 によって認められる自国の管轄﹂という表現を用い、﹁管理﹂との違いを明らかにした。さらに、 一般的な規定 では処理できない問題については、別途詳細な規定を設けることによって解決をはかった。こうした取り組みに より、従来の軍縮条約では曖昧であった点が、完全とはいえないまでも、かなりの程度改善をみることとなった。 しかし、その後の軍縮条約において﹁管轄又は管理﹂の語をめぐる混乱が一掃されたわけではない。対人地雷 禁止条約は、化学兵器禁止条約の用法には従わず、従来から解釈上問題のあった規定ぶりを踏襲している。その うえ、きわめて短期間のうちに作成されたこともあり、規定に多くの不備が見受けられる。とくに、締約国が自 国の領域内にある他国︵非締約国︶の軍事基地に存在する対人地雷に関して廃棄義務や報告義務を負うのか、と いう重要な問題に関して規定が明確ではない。他方、生物兵器禁止条約に関して履行確保の制度を設けるための ハ レ 議定書交渉においても、﹁管轄又は管理﹂の用法をめぐって意見の一致がなかなか得られていない。化学兵器禁 止条約における用法が必ずしも一般に理解されていないのが混乱の理由となっている。こうした状況をみると、 ﹁管轄又は管理﹂の語が条約義務の範囲を画定するうえではたして本当に適切であるか、についてあらためて考 えてみる必要があろう。 本稿では、以上のような経緯に鑑み、軍縮条約における﹁管轄又は管理﹂の用法に関する問題点を明らかにし軍縮条約における「管轄又は管理」の用法 たい。主として取り上げる条約は、部分的核実験禁止条約、核不拡散条約︵一九六八年︶、生物兵器禁止条約︵一 九七二年︶、化学兵器禁止条約︵一九九三年︶、対人地雷禁止条約︵一九九七年︶である。これらの条約によって、 ﹁管轄又は管理﹂の用法に関する問題点は網羅されている。この語が使用されるのは、兵器の生産・開発等の禁 止・防止義務、条約義務に関する国家の実施措置、履行確保のための検証措置、禁止兵器に関する廃棄義務、に 関してである。本稿では、この四つの類型の規定に分けて関連条約の検討を行う。 ︵1︶ ︵2︶ ︵3︶ もっともすべての軍縮条約・環境保護条約において﹁管轄又は管理﹂の語が使用されているわけではない。例え ば、﹁ラテン・アメリカにおける核兵器の禁止に関する条約︵トラテロルコ条約︶﹂では、﹁領域﹂と﹁管轄﹂の語 により締約国の義務を定め︵第一条︶、﹁有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約﹂ では、﹁管轄﹂の語により締約国の義務を定めている︵第四条︶。後者では、コ国の管轄の下にある地域﹂を﹁人 の健康又は環境の保護に関し、国際法に従って一の国が行政上及び規制上の責任を遂行する陸地、海域又は空間を いう﹂︵第二条九項︶と定義している。なお、国際環境保護の分野における﹁管轄又は管理﹂の用法に関して、村 瀬信也﹁国際環境法における国家の管理責任 多国籍企業の活動とその管理をめぐって ﹂﹃国際法外交雑 誌﹄第九三巻第三・四号合併号︵一九九四年︶、一五一ー五二頁。また、米国の宇宙法制に関する﹁管轄又は管理﹂ の問題に関して、村瀬信也・奥脇直也﹁宇宙関係諸条約の履行と国内法整備ー民間宇宙活動をめぐる米国の法 制﹂﹃立教法学﹄三六号︵一九九一年︶、八三∼八六頁。 例えば、一九〇三年のグアンタナモの海軍基地に関するアメリカ・キューバ間の協定︵第三条︶。勺巽曼”ρ ︵Φ阜ン↓冨Ooおo一こ象a↓吋Φm昌ωRδρ<o口8も’窃。.このほか、一九五八年公海条約︵第五条一項︶、 一九六六 年宇宙条約︵第八条︶など参照。 山本草二﹁管轄権﹂国際法学会編﹃国際関係法辞典﹄︵三省堂、一九九五年︶、一五五頁。ただし、それぞれの条
︵4︶ ︵5︶ 約で﹁管轄﹂の語をいかなる意味で使用するかはその条約が決める問題である。バーゼル条約の﹁管轄﹂の定義に ついては註︵1︶を参照。また、人権条約では、﹁管轄﹂の概念は﹁現実の権力及び責任﹂と同視されており、﹁人権 条約における﹃管轄下の個人﹄の保護とは、締約国が、条約で規定された権利に関して国家権力を事実上行使する すべての場合に、条約規定に従い人権保障を行うこと﹂と解されているという。申恵キ﹁人権条約の人的・領域的 適用範囲ー﹁管轄下﹂にある個人の人権保護 ﹂﹃青山法学論集﹄第三八巻第三・四合併号︵一九九七年︶、 五一五頁。 ﹁管轄又は管理﹂の用法とは直接関係しないが、核不拡散条約では、第一条や第二条で禁止されている核兵器の 管理の移譲とは何かに関連して、﹁管理﹂の意味が問題となり、米ソ間で見解が対立したことはよく知られている。 この点に関しては、藤田久一﹃軍縮の国際法﹄︵日本評論社、一九八五年︶、二六頁参照。 現時点︵二〇〇〇年五月︶で、生物兵器禁止条約の履行確保のための制度としては、調査と訪問の二つの制度が 予定されているが、この調査団又は訪問団の受入国の定義に関して、﹁管轄又は管理﹂の用法が問題となっており、 いまのところ交渉テキスト︵第二条八項︶に関し意見の一致をみていない。ωゑO\>∪国OOO国OOb\弩︵勺巽ニン >ロ昌Φ図ンP一P 禁止・防止義務
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軍縮条約の中心となる規定は、締約国による一定の兵器の開発・実験・生産・取得・貯蔵・移譲・使用等を制 限・禁止する規定である。軍縮条約のなかには、一定の国、地域または空間に限って軍備の制限・禁止を定める パ ロ ものがある。この場合には、もちろんこれらの基本的義務が適用される場所の範囲が条約のなかに明記される。 しかし、一般的な軍縮条約の場合には、その基本的義務は、場所を問題とすることなく、締約国に対して課され軍縮条約における「管轄又は管理」の用法 る。したがって、兵器の制限・禁止に関する規定では、一般には、場所的範囲を指示する文言が用いられること ハヱ はない。 これに対し、部分的核実験禁止条約第一条は、以下において明らかにする理由から、核実験禁止の範囲につい て次のように場所的範囲を定めている。 この条約の締約国は、その管轄又は管理の下にあるいかなる場所においても、次の環境における核兵器の 実験的爆発及び核爆発を禁止すること、防止すること及び実施しないことを約束する。 @ 大気圏内、宇宙区間を含む大気圏外並びに領水及び公海を含む水中 ㈲ そのような爆発がその管轄又は管理の下でその爆発が行われた国の領域外において放射性残渣が存 在するという結果をもたらすときは、その他の環境。 ・︵以下略︶⋮⋮︵傍点は筆者。以下、条文中の傍点はすべて筆者。︶ この規定は、締約国の﹁管轄又は管理﹂の下にある﹁場所﹂における核爆発の禁止という考え方に立ったうえ で、核爆発が禁止される環境を指定することにより、他国に放射能汚染をもらたす場合を除いて、締約国が行う 地下核実験を条約の禁止対象から除外するという形をとっている。 これが軍縮条約のなかで﹁管轄又は管理﹂の語を使用した最初の規定である。ここではまず、なぜこの規定が
場所的範囲の限定を必要としたのかを考えてみる必要がある。 手がかりとなる。それは次のように規定している。 これに関しては、包括的核実験禁止条約第一条が 締約国は、核兵器の実験的爆発又は他の核爆発を実施せず並びに自国の管轄若しくは管理の下にあるいか なる場所においても核兵器の実験的爆発又は他の核爆発を禁止し及び防止することを約束する。
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この規定では、締約国による核実験の実施に関してはなんら場所的限定を付けていない。一般的な軍縮条約と 同様、場所のいかんを問わず、締約国に対して核実験の実施を禁止している。これに対し、核実験の禁止・防止 に関しては場所的範囲の限定が付けられている。締約国の﹁管轄又は管理﹂が及んでいない場所における核実験 の禁止・防止を義務づけることはできないからである。つまり、﹁管轄又は管理﹂の語は、締約国が自ら実施す るもの以外の核実験の禁止・防止にかかわるものといえる。 部分的核実験禁止条約では、締約国自身による実施とそれ以外の場合を同列に並べて規定したため、両者につ いて場所的範囲の限定が及ぶことになる。この結果、締約国が実施する核実験の禁止についても、締約国の﹁管 轄または管理﹂下の場所に限定されてしまうおそれが生じた。この問題を解決するため、第一条aは、核実験の 禁止される環境を明示する方法をとった。米国国務省の法律顧問は、部分的核実験禁止条約の批准にあたって、 ﹁領水及び公海を含む﹂という例示について次のように議会に説明している。すなわち、﹁この文言がないと、公軍縮条約における「管轄又は管理」の用法 海での核実験は、第一条の意味における締約国の﹃管轄又は管理﹄の下にはなく、従って、禁止されないという ら 主張がなされる可能性があった﹂というのである。すなわち、この例示はたんなる例示ではなく、みなし規定と しての性格をもつものといえる。公海での核実験は、その実態からみて締約国の﹁管轄又は管理﹂下の場所で行 われたとはいえない場合であっても、禁止の対象となるという趣旨である。同じことは、宇宙空間の例示にもあ すレ てはまるであろう。こうした方法により、締約国による核実験の実施に﹁管轄又は管理﹂の語を使用したため生 じた不都合を解消したのである。 部分的核実験禁止条約第一条に関してもう一つ考えておかなければならないのは、場所的範囲を限定する文言 としてなぜ﹁管轄又は管理﹂の語を使用したかという問題である。ゴールドブラット教授によれば、﹁この文言 パど は、核実験の禁止を締約国によって施政が行われている非自治地域及び軍事占領下の地域に拡げるもの﹂であっ パユ た。確かに﹁管轄又は管理﹂の語により条約の適用範囲がこれらの地域に及ぶことは間違いない。しかし、他方、 締約国が施政を行っている地域へ規定を拡げるだけならば、施政を行うには﹁管轄﹂が前提であるから、それが 非自治地域であれ、軍事占領下の地域であれ、﹁管轄﹂の語だけで十分とも考えられる。この規定において﹁管 ゑマ 轄﹂と﹁管理﹂のそれぞれの語が、いかなる場合を想定しているかを知る手がかりはない。ただ、両方の語の使 用から、できる限り広い範囲の場所を禁止の対象に含めようとの意図があったことがうかがわれるだけである。 部分的核実験禁止条約第一条のなかで、﹁管轄又は管理﹂の語が使用された事情は、以上のとおりである。締 約国による核実験の実施を禁止するだけであれば、場所を指定する語は不要であったが、それ以外の核実験の禁
止・防止を規定するには場所を限定する必要があったということである。ただし、場所を限定する用語として ﹁管轄又は管理﹂が採用された理由は必ずしも明らかではなく、また、﹁管轄﹂と﹁管理﹂の語がそれぞれいかな る意昧をもつかも明確にされてはいない。それにもかかわらず、この﹁管轄又は管理﹂の語は、その後の軍縮条 約の諸規定のなかで定着していくことになる。ただし、禁止・防止義務の問題は、次に検討するように、包括的 核実験禁止条約を除けば、国家の実施措置のなかで取り上げられるようになっている。
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︵6︶ ︵7︶ この種の条約の例として、ドイツのライン川東岸地域の要塞の非武装化・撤去を定めたヴェルサイユ条約第五部 ︵一八○条︶︵一九一九年︶、ノルウェーに対しスピッツベルゲン島における海軍基地及び要塞の建設を禁止したス ピッツベルゲン条約︵九条︶︵一九二〇年︶、オーランド島における軍事基地その他の戦争目的の施設の維持・設置 や軍隊の派遣を禁止したオーランド島条約︵一九二一年︶、南極の平和的利用を目的として特に軍事基地の設置、 軍事演習の実施および兵器の実験を禁止した南極条約︵一条︶︵一九五九年︶、大量破壊兵器の地球周回軌道への打 ち上げ・宇宙空間への配置等を禁止し、また、天体上での軍事基地・軍事施設・兵器実験・軍事演習を禁止した宇 宙条約︵四条︶︵一九六七年︶、沿岸から一二海里の水域をこえる海底への大量破壊兵器の設置を禁止した海底非核 化条約︵一条︶︵一九七一年︶、トラテロルコ条約︵四条︶︵一九六七年︶等の非核兵器地帯を設定する条約がある。 第二次大戦前のこの種の条約には、︵イ︶締約国の保有する軍備の制限を規定する条約として、ドイツの軍備制 限に関するヴェルサイユ条約︵一九一九年︶第五部の諸規定︵陸軍の規模の制限︵一五九−六三条︶、陸軍の武器・ 弾薬等の制限︵一六四−六七条︶海軍保有軍艦の制限︵一八一−八八条︶、軍艦建造の禁止︵一九〇条︶、空軍の禁 止︵一九八条︶等︶、海軍の軍縮に関するワシントン条約︵一九二二年︶・ロンドン条約︵一九三〇年︶︵軍艦の保 有トン数の制限、最大トン数の限度、備砲の口径の限度等︶があり、︵ロ︶締約国に対し特定兵器の使用を禁止す る条約として、軽量の炸裂弾の使用を禁止したセント・ピータースブルグ宣言︵一八六八年︶、ダムダム弾禁止宣軍縮条約における「管轄又は管理」の用法 ︵8︶ ︵9︶ ︵10︶ ︵11︶ ︵12︶ 言︵一八九九年︶、毒ガスの禁止に関する宣言︵一八九九年︶、毒ガス等の使用禁止に関するジュネーヴ議定書︵一 九二五年︶がある。 ○且巨go眺浮Φ一Φの巴>α≦ωRo眺9ΦqψU8巽什日Φ旨o眺ω什象Φ営国8ユ鑛ω8跨oZ8一①胃↓Φωけ︼Wき ↓吋899けa営﹄ミミ賊ミミ﹄§ミミ魚﹄ミ鳴ミ&帖§ミト績ミ︵﹄誉︶︸<○一ひo 。︵一〇①“︶−署’一誤−お■ 宇宙空間や公海での核実験に関しては、それが自国の宇宙物体や船舶上で行われた場合には、それを﹁管轄﹂ま たは﹁管理﹂下の﹁場所﹂とみることができる。また、実験にあたって危険区域のようなものが設定され、各国に 対してその区域に近づかないように警告が行われるような場合を考えると、それは﹁管轄﹂下とはいえなくても、 事実上の﹁管理﹂下の﹁場所﹂とみることは可能かもしれない。しかし、たんに宇宙空間や公海にミサイルを発射 し、それを核爆発させたような場合、それが国家の﹁管轄又は管理﹂下の﹁場所﹂で行われたとみることは難しい。 第一条が宇宙空間や公海を例示したのは、このような懸念にこたえるものであったといえる。 OO匡江舞い>\ミの9ミミ卵﹄Oミ魯む≧轟ミミ融誤§駄﹄晦蕊鳴ミ§尉︵お潔︶も。亀︵浅田正彦訳﹃軍縮条約ハン ドブッタ﹄︵日本評論社、一九九九年︶、一四頁y シュウェルブ教授は、明らかに﹁管轄又は管理﹂の下にある﹁場所﹂の例として、締約国が施政を行っている信 託統治地域及び非自治地域、ベルリンのような、交戦国その他による軍事占領下の地域をあげている。ω号類Φ一げ” 中︸.“↓箒Z仁o一Φ巽↓Φ雪ω鋤昌↓﹃8蔓きαH昌器ヨ響一8巴いmヨ、、﹄誉”<○一ひ○ 。︵這窪︶もマ①ミ底o 。層①㎝o 。。このほかに、 ω什蝕P国‘.、同旨℃四90︷ZΦ毛薫$唱○房↓8げ昌○一〇ひq<o昌一耳Φヨ簿一〇昌巴一鋤名”ω①一8け&︾8Φ9ρ、、肉鳴ミ魁N魯のらミ薦 く○口器︵お配−ヨもすω謡−零なお、西ドイツは、部分的核実験禁止条約の批准にあたって、﹁連合国当局の権利及 び責任並びに軍縮及び非軍事化の分野で連合国当局が有する権限を考慮しつつ﹂、この条約が西ベルリンにも適用 されるとの宣言を行った︵dこ叶aZ魯一8ρω$貫ω9霞巳艶簿R巴︾﹃Bω勾Φ鵬巳簿一8きα9ω胃B四B窪什 ︾鴨8BΦ旨ω﹂跨Φ負くo一μ︵お旨ンP畠︶。この宣言の当否は、一般国際法および関連協定の解釈に照らして西ベ ルリンが西ドイツの﹁管轄又は管理﹂下の﹁場所﹂といえるかによって決まる問題である。西ドイツは、核不拡散 条約の批准書寄託に際しても同様の宣言を行ったが、これに対し、ソ連は異議を表明した︵§3PにH︶。 なお、国際連盟では、﹁自国ノ監理︵8昌時○一︶二属スル地域内ノ土着住民二対シ、公正ナル待遇ヲ確保スルコト
ヲ約ス﹂と定めた連盟規約第二三条ロの規定にみられるように、非自治地域に関して り、この規定がそうした用法を考慮に入れたという推測はできる。 ﹁管理﹂の語が用いられてお
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二 国家の実施措置 ハる 軍縮条約は、締約国に対し一定の兵器の開発・生産・貯蔵・使用等の制限・禁止を義務づける。これに従って、 締約国は、その義務を実施するためになんらかの適切な措置をとるよう求められる。核不拡散条約は、これに関 する明示の規定を有していないが、生物兵器禁止条約は、この国家の実施措置に関する義務の範囲を定めるに際 して、﹁管轄又は管理﹂の語を使用した。しかしながら、この語は、この義務の範囲を正確に画定するのに必ず しも適したものとはいえず、条約の解釈適用に混乱をもたらすおそれがあった。このため、化学兵器禁止条約は、 ﹁管轄又は管理﹂の語の使用を避け、﹁管轄﹂と﹁管理﹂を別々に用い、さらに、自国民に関し別個の規定を設け るという方法をとっている。これに対し、対人地雷禁止条約では、﹁管轄又は管理﹂の語を使用しており、これ は解釈適用上の問題をはらんでいる。 ︵一︶核不拡散条約 核不拡散条約は、第一条で核兵器国に対し、第二条で非核兵器国に対し、それぞれ核兵器の不拡散に関する義軍縮条約における「管轄又は管理」の用法 務を課しているが、条約の起草過程ではこうした義務が締約国の私企業の活動に対しても及ぶかが問題となった。 第一条は、核兵器国に対し、核兵器その他の核爆発装置︵又はその管理︶を移譲しないこと、及び、核兵器そ の他の核爆発装置︵又はその管理︶の取得について非核兵器国を援助、奨励又は勧誘しないことを求めている。 この規定に関し、アラブ連合は、この文言をそのまま読む限りでは、この規定の適用は政府の活動に限定されて パど おり、私企業には及ばないため、義務の抜け穴が生ずるとの問題を指摘した。そのうえで、これを封ずるため、 ﹁核兵器国は、その管轄に服する、原子力活動に係わる私的、公的又は半公的な個人、団体、企業又は機関が第 パを 一条によって禁止された行為に参加しないよう確保するため適当な措置をとる﹂旨の規定の挿入を提案した。 この提案に対し、カナダ、ソ連、米国は、核兵器国の私企業による核開発の問題は、第一条の対象に含まれて おり、新たな規定の追加は必要ないと反論した。米国は、核兵器国では核兵器に関する計画は政府によって管理 されており、政府が約束すれば、核兵器国から非核兵器国に対し援助が行われるいっさいの可能性を有効に断ち パど 切ることができる旨述べている。結局、エジプトの修正案は採択されずに終わったが、こうした経緯からすれば、 核兵器国が自国の管轄下の私企業に対し第一条の行為を禁止するために適当な措置をとるのは当然との見方が承 パど 認されたものといえる。ただし、明文の規定がないため、例えば、他国の領域で活動する自国の企業についても 責任を負うかなど、締約国がいかなる範囲で個人、団体の活動の規制を義務づけられるのかが明確でないという 問題が残った。 パお 国家の実施措置の問題は、非核兵器国の義務を定めた第二条についても議論された。第二条は、非核兵器国に
対し、核兵器その他の核爆発装置︵又はその管理︶の受領、製造又はその他の取得、及び、製造の援助の要求等、 を禁止している。この規定に関しても、第一条と同様、非核兵器国における私企業による活動の規制が問題とな る。しかし、ここでも、とくにそのための国家の実施措置の規定は設けられなかった。他方、非核兵器国につい ては、第三条一項で、平和的な原子力活動に関する保障措置が規定されており、締約国の私企業の活動に対して も、一定の国際的管理が及ぶ仕組みとなっている。この国際的管理は、非核兵器国における国家の実施措置を前 提としていることは明らかである。 ︵二︶ 生物兵器禁止条約 生物兵器禁止条約は、はじめて国家の実施措置に関する義務を明記した パお ︵第四条︶。
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締約国は、自国の憲法上の手続に従い、その領域内及びその管轄又は管理の下にあるいかなる場所におい ても︵≦凶些冒匪Φ冨霞一8曙9雲畠即碧ρ⋮8二富冒ユω象9一9自§αR房8昌霞o一曽昌≦箒お︶、⋮⋮開 発、生産、貯蔵、取得又は保有を禁止し及び防止するために必要な措置をとる。 この規定は、社会主義国が一九七一年三月三〇日に提出した条約案の第四条および第五条に由来するが、 パ はそれぞれ次のように規定していた。 これ軍縮条約における「管轄又は管理」の用法 第四条 この条約の各締約国は、自国の法人又は自然人によるこの条約の規定の遵守に関し国際的に責任を 負う。 第五条 この条約の各締約国は、自国の憲法上の手続に従い、できる限り速やかに、第一条に規定する開発、 生産及び貯蔵を禁止するために必要な立法及び行政上の措置をとることを約束する。 ソ連の説明によれば、この第四条の提案は、核不拡散条約第三条と同様の前提に立つもので、自国民に対する む 締約国の責任を明確にするための規定である。しかし、この規定に対しては、何ら条件を付けず自国民に対する 締約国の責任を定めているため、その適用は不合理な結果をもたらすとの懸念が表明された。例えば、アルゼン チンは、この規定をそのまま適用すると、A国の国民がB国の要求によってB国の領域において生物兵器の生産 を行った場合、たとえそれをA国の政府が知らなかった場合でも、A国に責任が生じ、反対に、B国はその領域 内で生物兵器の生産を要求したにもかかわらず、それが他国の国民によって行われたものであるため責任を問わ パ れないことになると指摘した。同様に、オランダも、自国の国民であったとしても、国家から権限を与えられた わけではない個人が自国の領域外で行った行為につき、国家が責任を負うとする理由がわからないとの疑問を提 パお 起している。 その後、検討が重ねられた結果、社会主義国提案の第四条と第五条とをあわせ、現行の第四条と同じ内容の新 パお たな条文が提案された。これによって、締約国は、自国の領域内、及び、自国の﹁管轄又は管理﹂下の﹁場所﹂
にある個人に対して必要な措置をとる義務を負うことになった︵いかなる措置かは特定されておらず、締約国の パ 裁量に委ねられる︶。ただし、日本語の公定訳では、﹁管轄又は管理﹂の語が明確に﹁場所﹂にかかっているが、 この部分の英語正文は、﹁どこであれ管轄又は管理の下で﹂という意味にもとれる。このように解すれば、この 第四条は、締約国が施政を行う非自治地域や軍事占領下の地域の場合はもちろん、締約国が﹁管轄又は管理﹂を 及ぼしている自然人・法人についても、場所のいかんにかかわりなく、必要な措置をとるよう義務づけたものと なる。しかし、社会主義国提案第四条に対し右のような懸念の表明があったにもかかわらず、さらに義務の範囲 を拡げて、自国民による場合に限らず、場所に限定されず、﹁管轄又は管理﹂下のすべての活動に対し締約国の 措置を義務づける規定が設けられたとは考えにくい. この第四条の解釈に関しては、条約の再検討会議における最終文書が参考となる。第三回再検討会議︵一九九 パ レ 一年︶の最終文書は、第四条が定める国家の措置の重要性を指摘した後、次のような要請を行っている。
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各締約国は、憲法上可能であれば、国際法に従って、自国の国籍を有する自然人によって行われた行為に ついて、いかなる場所であれ、こうした[条約に反する行為の禁止・防止に必要な]措置の適用を検討する ことを要請する。 この要請は、条約の実効性を高めるために、 自国民が自国の領域外で行う活動に関して必要な措置をとるよう軍縮条約における「管轄又は管理」の用法 求めるものである。ただし、﹁憲法上可能であれば﹂という条件が付されており、また、適用の検討の要請にと どまっている。また、対象も﹁自然人﹂に限定されている。かりに第四条が﹁場所のいかんを問わず﹂﹁管轄又 は管理﹂下の活動につき締約国の措置を義務づけているとしたら、このような限定的な要請が行われることはな いはずである。第四回再検討会議︵一九九六年︶の最終文書では、第四条の措置は、﹁締約国の領域内、管轄又 は管理の下にあるいかなる場所においても︵き鴇≦箒お惹浮冒跨①畔8旨一8曙︸§亀R9Φ騨甘鼠ω象o江9雲 目αR浮o畔8日8一︶﹂、第一条に定められた行為の禁止及び防止を確保することであると記したうえで、右と同 パど じ要請を行っている。 以上のことから、第四条が、締約国の﹁管轄又は管理﹂下の活動につき場所のいかんを問わず措置をとるよう 義務づけたとみることは困難である。日本語公定訳のように、当該文言を﹁その管轄又は管理の下にあるいかな パ る場所においても﹂と解するのが妥当であろう。ただし、自国民︵自然人︶の活動に関しては場所のいかんを問 わず締約国が必要な措置を講ずるべきだとする意見が有力になっている点には注意する必要がある。 ︵三︶ 化学兵器禁止条約 化学兵器禁止条約は、条約の実施措置に関し、 七条一項︶を設けている。 生物兵器禁止条約の問題点をふまえたうえで、綿密な規定︵第
締約国は、自国の憲法上の手続に従い、この条約に基づく自国の義務を履行するために必要な措置をとる。 締約国は、特に、次のことを行う。 @ 自国の領域内のいかなる場所又は国際法によって認められる自国の管轄の下にあるその他のいかな る場所においても、自然人及び法人がこの条約によって締約国に対して禁止されている活動を行うこ とを禁止すること︵当該活動に対する罰則を規定する法令を制定することを含む。︶。 ㈲ 自国の管理の下にあるいかなる場所においても、この条約によって締約国に対して禁止されている 活動を認めないこと。 ◎ 自国の国籍を有する自然人が行った活動︵場所のいかんを問わない。︶であってこの条約によって 締約国に対して禁止されているものに対し、国際法に従い、@の規定に従って制定する罰則を規定す る法令を適用すること。
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第一項@で注目されるのは、﹁管轄﹂を﹁管理﹂から切り離した点である。しかも、国際法上の根拠なく、あ るいは、国際法上の根拠について争いがあるなかで事実上法令を制定・適用しているような場合と区別するため、 ﹁国際法によって認められる⋮⋮管轄﹂に限定している。これは、国際法上の根拠をもって法令を制定する権限 を有している場合とそれ以外の場合では事情が異なるという認識に基づくものである。また、ここでは﹁管轄﹂ の語を﹁場所﹂に限定して使用し、属人的な管轄の問題は⑥で別に規定することにより、規定の明確化をはかっ軍縮条約における「管轄又は管理」の用法 パ ている。さらに、生物兵器禁止条約では、締約国に対し、生物兵器の取得等の活動を﹁禁止及び防止するために 必要な措置をとる﹂よう規定していたが、この規定では﹁防止﹂の語を避けている。このような限定のうえで、 自然人と法人の両方につき罰則の制定も含めた措置を求めている。 これに対し、第一項㈲では、﹁自国の管理﹂下の﹁場所﹂で、﹁禁止されている活動を認めないこと﹂と規定し た。これは、@で定められた義務を締約国の﹁管理﹂下の﹁場所﹂にも実質的に拡げるための規定であり、﹁認 めない︵8けもR目ε﹂との語は、法令の制定のような特定の行動を指示するのではなく、なんらかの形で禁止 ハ されている活動の防止をはかるよう求めたものと解される。⑥では、締約国が法令を制定・適用する国際法上の 根拠を有することが前提となっており、罰則を含む立法を義務づけることができるが、ある場所に対し事実上権 限を行使しているだけの﹁管理﹂の場合には、そのような義務を設定することには問題がある。このため、㈲で は、﹁認めない﹂という語を用い、罰則の制定を含む措置をとるかわりに、それに相当する何らかの必要な措置 をとることを義務づけたと解すのが妥当であろう。ただし、その後の実行をみると、﹁認めない﹂という語を用 いることにより、﹁管轄﹂の場合と﹁管理﹂の場合で義務に差異を設けるという考え方が定着しているようには パむ みえない。 第一項◎では、﹁自国の国籍を有する自然人﹂の活動について、場所のいかんを問わず、つまり属人的管轄に 基づいて、﹁罰則を規定する法令を適用する﹂ことを義務づけている。これは、生物兵器禁止条約にはない規定 であるが、すでにみたように生物兵器禁止条約の第三回再検討会議︵一九九一年︶の最終文書では、刑事立法と
明示してはいないものの、このような属人主義に基づく措置についての要請が行われている。この規定は、@と は異なり、自然人に限られており、法人は対象とされていない。法人の活動に関しては、属地的管轄権に基づき パ 規制するとの立場をとっている。 以上のとおり、化学兵器禁止条約は、国家の実施措置に関して、﹁管轄﹂の場合と﹁管理﹂の場合では、とる べき措置に違いがあるという考え方を示した。また、﹁場所﹂についての措置を基本としつつ、属人主義に基づ く措置を別に規定し、より実効的な実施措置をめざしている。こうして、化学兵器禁止条約は、生物兵器禁止条 約のいくつかの問題点の改善に成功したといえる。
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︵四︶ 対人地雷禁止条約 対人地雷禁止条約は、国家の実施措置に関して次のように規定している ︵第九条︶。 締約国は、この条約によって締約国に対して禁止されている活動であって、自国の管轄若しくは管理の下 にある者によるもの又は自国の管轄若しくは管理の下にある領域におけるものを防止し及び抑止するため、 立法上、行政上その他のあらゆる適当な措置︵罰則を設けることを含む。︶をとる。 この規定は、特定通常兵器禁止条約改正議定書Hにおける規定︵第一四条第一項︶にならったものであるが、軍縮条約における「管轄又は管理」の用法 ﹁管轄又は管理﹂の文言が明確に﹁者﹂と﹁領域﹂の双方に使われており、それぞれに解釈上の問題点が含まれ ている。 ﹁者﹂に関しては、この規定が、﹁管轄又は管理﹂下の﹁者﹂を一括して対象としている点が問題である。この ﹁者﹂のなかには﹁自然人﹂ばかりでなく、﹁法人﹂も含まれると解釈される。したがって、多国籍企業のような 場合、いずれの国がそれに対し﹁管轄又は管理﹂を有するかという厄介な問題が生じる可能性がある。また、生 物兵器禁止条約以来問題とされてきた、他国の領域で活動を行う自国の企業に対して、いったいいかなる措置を とるよう求められるのかという問題が残っている。この点に関連して、この規定は、化学兵器禁止条約では使用 を避けた﹁防止﹂の語を使用し、それに加え、﹁抑止﹂のための措置を義務づけている。自国の企業が他国の領 域で行う活動に対してとらなければならない﹁防止﹂及び﹁抑止﹂のための措置とは何かという問題も考えなけ ハ ればならない。 他方、﹁管轄又は管理﹂下の﹁領域﹂における措置に関しては、とくに自国領域内で外国軍隊が対人地雷を保 有、貯蔵、使用する場合が問題となる。外国軍隊が締約国の﹁領域﹂にある以上、そこには締約国の﹁管轄﹂が 及んでおり、したがって、締約国は外国軍隊の対人地雷の保有、貯蔵、使用等に対して﹁防止﹂及び﹁抑止﹂の ための﹁あらゆる適当な措置﹂をとる義務を負うという解釈がありうる。これに対し、兵器の廃棄義務に関して 検討するように︵第四節︶、自国領域内の外国軍隊による対人地雷の保有・貯蔵は禁止されていないという解釈 をとれば、外国軍隊のそれらの行為については罰則等を設ける義務はないと考えられる。いずれにせよ、領域国
が外国軍隊の兵器に関してとりうる措置には限界があり、﹁防止﹂及び﹁抑止﹂のため﹁あらゆる適当な措置﹂ をとる義務の履行は困難である。 以上のように、対人地雷禁止条約は、国家の実施措置に関して、化学兵器禁止条約とはまったく異なる規定を 採用した。これは、この条約が害敵手段の制限・禁止を目的とする人道法条約の系列に属することに起因してい む るが、これにより、軍縮の面に関する国家の実施措置に関して不透明な部分を残したことは確かである。この点 に関する締約国の義務の範囲・内容に関しては、各締約国が条約を運用していくなかで確定するほかはない。
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︵13︶161514
︵17︶ 2120 19 18 轟ぎ轟=日巳Φ日撃$賦9ヨ8霊おωは、通常は国内措置または国内の実施措置と訳されるが、言うまでもなく、 締約国による措置の適用は国家領域内にのみ限定されるわけではないので、ここでは国家の実施措置と呼ぶ。 十八力国軍縮委員会文書国ZUO\勺く。認ρPρ国ZUO\勺く。ま8署中9 国ZUO\HOS 国ZUO\勺く。零ρPミ●カナダとソ連の発言に関しては、国ZUO\℃く’認o 。”P㎝︵カナダ︶、国ZUO\男く.零ρマ8 ︵ソ連︶。 この点に関しては、国零訂さ04、.一四き亭RO年財葺一2αΦω貰ヨ窃壼o慰鉱お9、.﹄§§§受鳴、ミミ&防魯b馨母 』 ミ恥§&賊 §ミ︵﹄e∼y<○一レω︵HO雪ンも●㎝。 。900昌αo話一出ト‘..同ヨも暮簿一〇昌卿H、国$けα、仁昌貯津一耳Φヨ曽賦g巴日Φ算 一=一。一けΦ”ω。一旨gω。一四ωωδ器ω①言。衰①一一8けΦ昌αき89、”葬ミミ魯ω8ミ貸<・一.一。 。。︵一。。 。“−くH︶︸℃巳ωω−ω“・ エジプト提案︵国ZUO\一零︶に対する米国の見解︵国ZUO\勺く・鴇。もP旨面。 。︶。 これと同様の規定は、環境改変技術禁止条約︵一九七七年︶第四条にもみられる。 軍縮委員会会議文書OOU\ω謡\勾薯・一 〇〇∪\勺く臼一もμ。・このほか、ハンガリーの説明参照。OOU竜く。弩ωも。謹。軍縮条約における「管轄又は管理」の用法 2524 23 22
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︵29︶ ︵30︶ OOU\悶<。㎝旨もPHo 。肖P OOU\℃く’合。 。もμ①. ○OU\ωω8ωωo 。。 この点に関して、藤田久一﹁細菌︵生物︶・毒素禁止条約﹂﹃金沢法学﹄一七巻二号︵一九七二年︶、 一〇ー一一 頁。 ↓げΦd巳けΦαZ無一〇拐U一脇﹃日鋤ヨ①暮KΦ費びOo犀一8どO●N露−Oω● ↓げodp詳oαZ緯一〇霧U一ω餌目ヨ蝉ヨΦ算肖①巽びoo屏一8ρ℃,旨O 男一ωoげ①さO‘.、一9 000昌<Φ9一〇昌ωξ一.営什R島o江○昌αΦ一曽B一ωΦ鋤仁℃o営戸αΦ一四貯びユo曽賦○昌9q仁ω80犀蝉鵬Φα①ω 凶§Φωげ8騨一。一・笹ρ器ω︵画。一〇讐∈①ω︶。ρ普・嵐昌Φω魯ω巽歪乙Φω霞8岳・p、、>国S<。一。嵩︵一。芭もo●一一一島, 因歪訂ω魯と↓轟薯によれば、﹁管轄﹂の語を﹁場所﹂とともに使用したのは、締約国の領域内に他国が管轄権 を主張する企業がある場合に、当該企業について締約国の義務が免除されてしまうという抜け穴を防ぐためであっ た。他方、これによって、外国にいる自国民が対象からはずれてしまうため、それについては@に別途の規定を設 けたと説明されている。毛’訳凄言ω昌きα菊↓声暑︶﹄9ミミ鳴ミ縄ミ§導鳴Oぎミ魯ミミ鳴愚§的9ミ§織§ ︵一〇逡︶も。嵩︵p一N︶薗 愚母署’一嵩肖①・この点に関して、﹁認めない﹂との語は、禁止された活動を生じさせないよう﹁防止﹂するとい う、たんなる﹁禁止﹂よりも強い意味をもつという解釈がある。ω一ヨω”客︾︸、.︾匿讐簿一89Z象一自巴 一Φ讐ω一蝕o昌89Φ富巳Φ日窪富賦g殉8鼠﹃o日o算ω○眺3Φ9Φ巨o巴≦Φ碧○霧08<Φ昌賦8るo日ヨg一鋤≦ ω矯ωけΦヨρ.、U●園曽鼠o目2︵aンS壽O§ミミ賊§§導鳴、ミミ魎趣§貸ミ駄肉鳶§賊§職§黛G蒔ミ魯ミミ恥愚§の、﹄ 山ミ寒妹ミミ讐きミミミ§鳴ミNb傍ミミ貸ミ§斜ミo薄。つ壽愚︵お3︶も。器。 。薗この解釈は、まず⑥の規定により、﹁領域﹂ および﹁管轄﹂下の﹁場所﹂における﹁禁止﹂を義務づけ、さらに、㈲の規定により、そこに締約国の﹁管理﹂が 及んでいる場合には、﹁防止﹂をも義務づけたものと理解している。しかし、本文で指摘したとおり、㈲の規定は、 ﹁領域﹂および﹁管轄﹂下の場所で義務づけられている措置を、実質的に﹁管理﹂下の﹁場所﹂にも拡げる趣旨の 規定と解すべきである。︵31︶ ︵3 2︶ ︵33︶
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露 化学兵器禁止機関︵○℃O譲︶が作成したモデル実施法︵第六条三項︶においては、締約国の﹁管理﹂の﹁場所﹂ に関しても、刑事立法が適用されると説明されており、この点では﹁管轄﹂と﹁管理﹂の間に区別がされていな い。ZO叶Φげ図浮Φ国図①O暮貯①ωΦRΦ貫﹃囑﹂≦Oα巴昌暮δ昌巴一員も一ΦヨΦ昌試昌磯田笹ω冨餓OP︾PPΦ×︵︾P昌①×8勺O−図ぐ刈 \勾Φ<.一ンO励Ωモ、S壽卜㊧ミ§這︵8ヨ風一&きαa詳aび矯い’薫■↓筈曽隆︶︵ピ8︶もpG 。屋−置.包括的核実験禁止 条約︵第三条一項︶は、自国の﹁管理﹂下の﹁場所﹂に関しても、﹁管理﹂下の﹁場所﹂に関しても、﹁禁止﹂の語 を使用している。ただし、いずれの規定においても、罰則には言及していない。生物兵器禁止条約の議定書交渉で は、現在のところ、﹁禁止する﹂と﹁認めない﹂の語が括弧付きで並記されている︵第一〇条一項㈲︶。 ω≦O\︾U国OOO勾Od勺\曾︵勺餌旨H︶︾>目Φ図ンもμG 。ド これに対し、化学兵器禁止の実効性を高めるために、法人に対する立法も含め、積極的に各国法の域外適用をは かるべきとの立場もないわけではない。因o巳○ヨUこ.、い9鵬>HヨωきαO箒目一〇巴︾﹃ヨ曾国答醤冨霞一8﹃壁一一蔓四Pα 浮①U轟津9Φ昌8一妻Φ8。口ωOg<Φ呂・p、、§や智ミミミ黛﹄ミ鳴ミ駐§ミト§”くo口㎝︵一8。︶もp﹃。譜, 国際赤十字委員会では、刑事立法のほかに、違反が生じないよう確保するために、軍事ドクトリン及び作戦手続 の変更並びに武器の開発、生産及び移譲にかかわる団体の通報を含む、行政措置も必要になるかもしれないと説明 している。OO邑諦ぎ8旨讐一9巴号㌶90冥力○罐P即諄強8江9℃8ぎけまH浮Φ這SO9<窪試自9けげΦ 甲o匡げ三99︾旨ぎΦ同ω○目巴題汐8きα2浮Φ冒U8嘗8賦9︵お零yわが国の﹁対人地雷の製造の禁止及び所 持の規制等に関する法律﹂では、対人地雷の製造と所持に関しては、国民の国外犯を処罰する旨定めている︵第二 四条︶。他方、﹁法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関 し﹂、製造または所持の違反行為を行った場合には、その法人または人に対しても罰金刑が課される︵両罰規定︶ ︵第二七条︶。これにより、日本の国民が法人の代表者等として法人の業務に関し国外で対人地雷の製造・所持の違 反行為を行った場合、その法人に罰金を課すことができると解される。こうした罰則規定のほかに、所持の許可制 ︵第五条︶、輸入の承認︵第一〇条︶、許可所持者・承認輸入者・廃棄義務者の報告徴収︵第一七条︶、立入検査︵第 一八条︶などを定めている。 オーストリアが提出した最初の条文草案︵第六条二項︶では、この条約の重大な違反に関しては、一九四九年ジュ軍縮条約における「管轄又は管理」の用法 ネーヴ条約と同様に、普遍的管轄権が適用されるとの規定が盛り込まれており、人道法条約としての性質が明瞭に 現れていたが、改訂草案では削除されている。この点に関しては、家器一ΦPω﹄&コ①暑ざコ..︾コ目富3器9巴 ︼Wき9︾呂も霞ω。巨Φ一冨且峯器ω田ω8蔓きαZ畠&呂999Φ、○量薫mギ8蔓.︶..﹄ミ鳴§§§ミ肉ミ§ 黛味ミ肉&98ωもo.o 。謡︵一8。 。︶も’さPオーストリアの条文草案については、カナダ外務貿易省が開設している対 人地雷に関するウェッブサイト︵ω鉱Φ冨器︶より入手︵二〇〇〇年五月二日現在︶。最初の草案と改訂草案のア ドレスはそれぞれ次のとおり。馨8”\\名妻多目冒8西ρ8\Φp旭一落\α08日9房\丘窪旨q叶ぴけ目一”耳6”\\巧名揖B営8西 。、8\①鑛一酵\α。8B窪叶ω\σ・巨1①Rε象
三 検証措置
軍縮条約の実効性を確保するうえで、申告・査察等の検証措置がきわめて重要であることは言うまでもない。 その検証措置を有効なものとするには、締約国の関連する兵器、施設、活動に対しできる限り広く検証措置を適 用することが必要となる。このため、検証措置を有する軍縮条約では、検証措置の及ぶ範囲に関して﹁管轄又は 管理﹂の語が使用されてきた。他方、この語の使用と関連して、自国領域内において外国軍隊が保有する兵器や 施設に対する検証の問題が生じている。領域国が現実に外国軍隊の兵器や施設に対し﹁管理﹂を行っていない場 合、それに対し検証義務の履行を求めるのは難しい。しかし、外国軍隊の兵器や施設をそのまま放置すれば、条 約義務に抜け穴が生じることになりかねない。この問題をいかに処理するかがここでの大きな課題となる。︵︻︶核不拡散条約 第三条一項は、非核兵器国の原子力が平和利用から核兵器その他の核爆発装置に転用されるのを防止するため、 次のように保障措置︵計量、在庫報告、査察等︶の適用を定めている。 ⋮保障措置は、当該非核兵器国の領域内若しくはその管轄下で又は場所のいかんを問わずその管理の下 で行われるすべての平和的な原子力活動︵邑冨碧俄巳⋮9の舘碧け一く置8蔑跨冒跨①8員一8曙9雲昌 ωけ簿ρ茸αR房甘ユω99δP興8三809⋮αR駐8再8一蝉昌薫冨お︶に係わるすべての原料物質及 び特殊核分裂性物質につき、適用される。
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ここでは、対象となる平和的な原子力活動を、非核兵器国の﹁領域内﹂の活動、﹁その管轄下﹂の活動、﹁場所 のいかんを問わずその管理の下で行われる﹂活動、に分けている。すでに述べたように、核不拡散条約の交渉過 程では、非核兵器国の管轄に服する私企業によって行われる原子力活動に対する国内措置の問題が議論された。 そこでは、これらの活動が核兵器開発につながることのないように保障措置を適用することが不可欠であると理 解されていた。第三条一項は、このような私企業の活動に対するものも含めて、非核兵器国の原子力活動に対し 保障措置の適用を義務づけたものである。 この規定は、﹁管轄又は管理﹂ではなく、﹁管轄﹂と﹁管理﹂の語を切り離して使用している。日本語の公定訳軍縮条約における「管轄又は管理」の用法 では﹁若しくは﹂の語を使って、﹁領域内﹂と﹁管轄下﹂をひとつのまとまりとして扱っているが、これは両者 が場所にかかわるという理解に基づくものであろう。これに対して、﹁管理﹂は、場所にかかわりなく、非核兵 器国の権限が及ぶ活動を含めるために使用されている。何がそれぞれに該当するかはここでは明らかにされては いないが、いずれにせよ、この規定の下で広い範囲の活動が保障措置の適用を受けることは間違いない。非核兵 器国が管轄権を行使している非自治地域・占領地域での活動や非核兵器国の船舶・航空機による活動がここに含 まれるのはもちろん、非核兵器国の﹁管轄又は管理﹂に服する個人、団体、企業が他国の領域で行う活動も対象 になるとの見解がある。 この第三条一項は、国際原子力機関と非核兵器国の間で締結される協定に従って実施される。この協定に関す る国際原子力機関の作成したモデル協定は、保障措置の開始・終了、保障措置の免除、保障措置の内容、対象物 質の国際的な移転等について詳細な規定を設けている。これに従って、非核兵器国の原子力活動は、実効的な国 パ 際的管理の下に置かれてきた。原子力活動は、人体・環境の保護や安全保障上の理由から、いずれの国において も国家の厳しい規制の下で行われている。そのため、化学兵器や生物兵器の場合と比べると、国際的管理の実施 も容易であり、﹁管轄﹂や﹁管理﹂という語の解釈についてもとくに問題は生じていない。 ︵二︶ 化学兵器禁止条約 化学兵器禁止条約は、化学兵器の完全な廃絶を目的とし、 そのために化学兵器や化学兵器生産施設の申告や査
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察等、詳細な検証規定を設けたが、その際に問題となったのは、自国領域内において外国軍隊が化学兵器又は化 パ 学兵器生産施設を保有している場合に申告や査察の義務をどのように取り扱うかであった。 申告に関しては、まず第三条一項に一般的な規定がおかれている。同条一項@は、締約国に対し、締約国が化 学兵器を所有若しくは占有するか否か、または、締約国の﹁管轄若しくは管理の下にある場所﹂に化学兵器が存 在するか否かを申告するよう求めω、存在する場合には、﹁その正確な所在地、総量及び詳細な目録を明示する﹂ ことを義務づけているGD。また、同条一項◎ωと㈹では、化学兵器生産施設に関して、同様の義務が設定され ている。これらの規定に関しては、締約国の領域は締約国の﹁管轄又は管理の下にある場所﹂であると解釈すれ ば、締約国領域内の外国軍隊の保有する化学兵器又は化学兵器生産施設について当該締約国の申告義務が生ずる ことになる。しかし、自国領域内の外国軍隊の保有する化学兵器又は化学兵器生産施設に何ら管理の権限を有し ない締約国の場合、現実に管理する当該外国の協力が得られなければ、申告の義務を履行することは困難である。 このため、こうした場合に借えて特別の規定が設けられた。まず、第三条一項@㈹は、自国領域内にある ﹁他の国が所有し及び占有し、かつ、他の国の管轄又は管理の下にある場所に存在する化学兵器﹂に関しては、 締約国は検証附属書第四部Aに従って報告を行うよう規定する。これを受けて、同A四項では、このような化学 兵器に関して、締約国に対し通常と同様の情報を含む申告を行うよう義務づける一方、締約国は﹁申告が行われ ることを確保するために他の国と適当な措置をとる責任を有する﹂と規定した。ただし、同規定は、この義務を 履行できない場合には、﹁その理由を表明する﹂よう求めるにとどめている。こうして、自国領域内にある﹁他軍縮条約における「管轄又は管理」の用法 の国が所有し及び占有し、かつ、他の国の管轄又は管理の下にある場所に存在する化学兵器﹂に関しては、締約 国の管理が実際に及んでいないという事情を考慮して、一定の条件のもとで締約国は申告義務の履行を免除され パ ることになったのである。化学兵器生産施設に関しても、第三条一項⑥㈹及び附属書第五部二項に同様の規定 がある︵化学兵器生産施設に関しては過去の施設の報告も含む︶。 なお、次節で検討する化学兵器の廃棄の規定と異なり、第三条一項@㈹および⑥㈹の規定は﹁他の国が所有 し及び占有し﹂と定め、さらに、所有・占有の条件と﹁管轄又は管理﹂の条件を﹁かつ﹂で結んでいるため、申 告義務が免除される場合は狭くなっている。 次に、査察に関しては、ここでの議論との関連でとくに問題となるのは申立て査察である。これに関して第九 条八項は次のように定めている。 締約国は、この条約の違反の可能性についての問題を明らかにし及び解決することのみを目的として他の 締約国の領域内又は他の締約国の管曹蒼レ↑ほ管理0下にわ勘その他の易所におけるいかなる施設又は区域 に対しても申立てによる現地査察を要請する権利⋮⋮を有する。 この規定に従えば、ある国の領域内に他国の﹁管轄又は管理﹂ の施設又は区域がある場合、厄介な問題が生じるおそれがある。 下の場所があり、そこに査察の対象となる他国 領域国も施設保有国もともに締約国である場合
には、両方とも査察を受け入れる義務を負うため問題は少ない。困難が生じるのは、そのうちのいずれか一方が 締約国でない場合、すなわち、︵イ︶領域国は締約国ではないが、査察の対象となる施設又は区域を有する国が締 約国である場合、︵ロ︶領域国は締約国であるが、査察の対象となる施設又は区域を保有する国が締約国でない場 合、である。︵イ︶の場合、施設保有国が査察を受け入れたくても、領域国が査察団の入国を認めない場合には、 査察の実施は困難になる。︵ロ︶の場合、領域国が査察団の入国を認めても、施設保有国が査察団の施設への立ち 入りを拒めば査察はできない。これらの点に関して、検証附属書第二部﹁検証の一般規則﹂の二〇項及び二一項 はそれぞれ次のように規定している︵なお、検証附属書では、こうした場合の領域国を﹁接受国﹂︵第一部八項︶、 自国の施設又は区域が査察の対象となる締約国を﹁被査察締約国﹂︵同一二項︶と呼んでいる︶。
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20. 被査察締約国の施設若しくは区域がこの条約の締約国でない国の領域内に存在する場合には、当該被査 察締約国は、これらの施設又は区域の査察がこの附属書に従って行われることを確保するために必要なすべ ての措置をとる。⋮⋮︵第二文省略︶⋮⋮。被査察締約国がアクセスを確保できない場合には、当該被査察 締約国は、アクセスを確保するため必要なすべての措置をとったことを証明する。 21. 査察の対象となる施設又は区域が、締約国の領域内であり、かつ、この条約の締約国でない国の管轄又 は管理の下にある場所に存在する場合には、当該締約国は、これらの施設又は区域の査察がこの附属書に従っ て行われることを確保するため、被査察締約国及び接受締約国に対して求められることとなる必要なすべて軍縮条約における「管轄又は管理」の用法 の措置をとる。当該締約国は、これらの施設又は区域へのアクセスを確保できない場合には、アクセスを確 保するために必要なすべての措置をとったことを証明する。この2 1の規定は、当該査察の対象となる施設又 は区域が当該締約国の施設又は区域である場合には、適用しない。 いずれも締約国に対し、査察実施の確保のため必要なすべての措置をとるよう義務づけている。これは、査察 実施が条約の履行確保においてきわめて重要であるとの認識に基づくとともに、査察団のアクセスのためには関 係国が具体的な措置をとる必要があることを反映した規定である。このため、締約国は、まず当該非締約国が査 ハゆ 察団を受け入れるよう要請する義務を負う。しかし、現実には、査察実施に必要な措置について非締約国の同意 が得られない場合もあろう。この場合、締約国は必要なすべての措置をとったことを証明したときは、義務違反 も を問われることはない︵ただし、二一項に関しては、当該施設が締約国の施設又は区域である場合には義務を免 れない︶。 以上のように、化学兵器禁止条約は、申告や査察に関して﹁管轄又は管理﹂の語によってその適用範囲を一般 的に定めたうえで、これによって現実の履行に困難な状況が生じる場合には、検証制度の実効性確保という要請 お に十分な配慮を行いつつ、締約国の義務を調整する規定を設けたのである。
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︵三︶ 対人地雷禁止条約 対人地雷禁止条約には、核不拡散条約や化学兵器禁止条約のような申告・査察制度はない。これに代わり、第 七条一項㈲及び◎は、貯蔵地雷や地雷敷設地域に関する報告を規定し、また、第八条八項以下は、事実調査使節 団の設置・派遣に関する規定を設けている。これらの規定においては、化学兵器禁止条約の場合とは異なる﹁管 轄又は管理﹂の用法がみられる。 第七条一項㈲は、﹁自国が所有し若しくは占有する又は自国の管轄若しくは管理の下にある﹂すべての貯蔵対 人地雷について、一定の報告を義務づけている。この規定の前半部分は化学兵器禁止条約第三条一項と同じ文言 であるが、後半部分は﹁場所﹂や﹁領域﹂といった文言を用いていない点で同規定とは異なっている。この後半 部分の解釈に関しては、やはり自国領域内で外国軍隊が保有する対人地雷が問題となるが、ここには﹁場所﹂や ﹁領域﹂の文言がないため、外国軍隊の対人地雷に﹁管轄﹂も﹁管理﹂も及ばない締約国の場合、それに関し報 告義務は生じないという解釈が可能となる。化学兵器禁止条約では、このような場合、申告を確保するため締約 パお 国は他の国と適当な措置をとるよう求められているが、この条約にはそのような規定は存在しない。 これに対し、同条一項◎は、﹁自国の管轄又は管理の下﹂の地雷敷設地域に関し、その位置や敷設されている 対人地雷に関する詳細を報告するよう求めている。これは﹁管轄又は管理﹂を﹁地域﹂を修飾する形で用いてお り、締約国の領域内にある対人地雷敷設地域はすべて報告の対象になると解される。しかし、この場合に問題と なるのは、当該地域が他国や反乱団体の支配下にあるときの報告義務である。自国の管理下にない以上、これら軍縮条約における「管轄又は管理」の用法 の地雷敷設地域に関して領域国が報告を行うことは実際には不可能である。この点を考慮し、この規定は﹁可能 な場合には﹂という条件のもとで報告義務を規定している。これにより、当該地域が自国の管理下にない場合に は報告義務が猶予されると考えられる。 第八条一四項は、﹁締約国は、事実調査使節団に対し自国の管理の下にあるすべての地域及び施設⋮⋮へのア クセスを認める﹂よう求めている。第八条八項の規定は、事実調査使節団が﹁管轄又は管理の下にある場所﹂で 情報収集を行う旨定めているのに対し、ここでは﹁管理﹂の語のみを用い、﹁管轄﹂の語の使用を避けている。 これにより、自国領域内の外国軍隊の基地・施設のように、自国の﹁管理﹂下にないものにはアクセスを認める 義務はないと解すことができる。化学兵器禁止条約では、このように自国の﹁管理﹂下にない施設・区域に関し ても領域国に対し査察団のアクセスに関し一定の義務を課しているが、対人地雷禁止条約にはそのような特別の パお 規定はない。 他方、これとは反対に、締約国の施設が他国の領域内にある場合には、当該締約国は﹁管理﹂国として使節団 を受け入れる義務を負わなければならない。しかし、かりにその領域国が非締約国で、使節団のアクセスに関す る協力を得られない場合には、当該締約国は実際には義務の履行ができなくなる。化学兵器禁止条約では、こう した場合には締約国に対しアクセスを確保するため必要なすべての措置をとったことを証明するよう求めている が、対人地雷禁止条約にはそのような特別の規定はない。このため、﹁管理﹂国は使節団のアタセスを確保する ためどのような措置を尽くせば良いかが明らかではない。
以上のように、第七条一項㈲や第八条一四項に関しては、その義務の範囲または程度をめぐって規定に不備が 残されている。これは、対人地雷禁止条約が人道法的なアプローチのもとで対人地雷の禁止に重点を置き、でき る限り早期に普遍的な参加の得られる条約をめざしたため、詳細な検証規定を設けることを断念したことに関係 している。したがって、これらの規定の不備は、実効的な検証制度の整備とともに、今後の条約実施のなかで解 決をはかるほかはない。