Title
Phosphatidylinositol-specific-phospholipase C cleaves urokinase
plasminogen activator receptor from the cell surface and leads to
inhibition of pemphigus-IgG-induced acantholysis in DJM-1
cells, a squamous cell carcinoma line( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
浅野, 史歩
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)乙 第1304号
Issue Date
2002-03-20
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/14968
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氏名 (本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 浅 野 史 歩(岐阜県) 博 士(医学) 乙第 1304 号 平成14
年
3月
20 日学位規則第4条第2項該当
Phosphatidylinositoトspecific-PhosphoJipase C cleaves urokinas PJasminogen activator receptor from t、he ce=surface andJeads toinhibition of pemphigus-1gG-induced acantholysisin DJM-1ce11s,
a squamous ce=carcinomaIine (主査)教授 北
島 康
雄 (副査)教授 岡 野 幸 雄 教授 清 島 満 論文内容の要旨 尋常性天痘瘡(pemphigusvulgaris以下PV)はdesmoglein3(D密3)に対する自己抗体が存在し,この抗体 (PV-IgG)がデスモソーム分子に結合することによって細胞離開が生じること(辣融解)を特徴とする疾患である。これまでにヒト培養細胞においてPV-IgGはDsg3に結合するとufokinase plasminogen activator(uPA)
の活性化と合成を,またⅦPAレセプター(uPAR)の発現を著しく垣由させる土とが明らかになっている。今回
PV-IgGが細胞表面に結合した後,水痘形成過程でuPAがuPARと結合するこ.とによって活性化するplasmin (plasminogen→plasmin)が実際に関与しているか明らかに■す'る`ために, 亡卜扁平上皮癌であるDJM_1細胞を 用いて各種のplasmin形成に関する阻害剤(phosphatidylinositol-SpeCific-Phospholipase C[PI-PLC], tranexamicacid,aPrOtinin,P-aminobenzonic acid[PAMβA],dexamethasone)を用いて免疫プロットで uPARの発現を,また,蛍光抗体法で細胞離開を検討した。 1.研究方法(1)細胞‥DJM-1細胞を1.8mMCa2+含有培養液で31℃で培養した。
(2)血清:3人のPV患者と,皮膚疾患のない3人め健常者の血清を用いて,血清よりIgGを分離精製し,最終濃 度1血g/mlになるよう培地に添加した。 (3)uPARの免疫プロット:1×105/dishにDJM-1細胞を植え,phosphatidylinositol-SpeCific-Phospholipase C (PI-PLC,1,2,10,100pg/ml),traneXamic,aCid(1.5,15,150mM),aprOtinin、(0.1,1,5TIU),P-aminobenzonicacid(PAMBA,10,50FLg/ml)を加え1時間,またはdexamethasone(0.1,1,5mM)を 加え24時間処理した。その後最終濃度で1mg/mlになるようにPV-IgGまたは正常IgGを添加し,24時間以 上インキュベー卜した。超音波処理後,細胞を100,000gで60分遠心分離し,上澄を細胞質画分とした。沈 痘に0・5%TritonXlOOを加え,再び100,000gで60分遠心分離し,その上澄を膜関連画分▲とし,R沈痘を細胞 骨格画分とした。膜画分をSDS-PAGE(50FLg/1ane)で分離して,1次抗体に抗human■urokinase receptor モノクロナール抗体(3936)を用いて免疫プロットを行った。量解析はデンシトメーターで行い,コントロー ルと比較しnPARの発現を検討した。 (4)蛍光抗体法:1・8mM Ca2+含有培養液で92時間培養したDJM-1細胞を,PI-PLC(10pg/ml), tranexamicacid(15mM),aPrOtinin(0.1■,1TIU),PAMBA(10,50FLg/ml)を加え30分,dexamethasone (0・1,1mM)を加え24時阻 またはphosphate-bufferedsaline(PBS)で24時間処理した。その後1mg/ mlPV-IgG,正常IgGまたはPBSを添加し37℃で96時間インキエペー卜した。一次抗体にdesmoplakinに対 するモノクロナール抗体(11-5F)とヒトcytokeratin18と6に対するモノクロナール抗体(LP32)を剛、ー141-た。2次抗体には蛍光抗マウスIgGを使用し,蛍光顕微鏡下で観察した。 2.研究結果 免疫プロット:24時間PV-IgGで刺激すると正常ヒトIgG刺激より著しく膜画分でuPARの発現が増加した。 uPARの発熟ま細胞質画分でわずかに検出されたが,細胞骨格画分と培養液では全く検出されなかった。PV-IgGによるuPARの発現はPI-PLC(1,2,10,100pg/ml)で濃度依存性に有意差をもって減弱した。PV-IgGで刺 激した場合と比較すると極わずかであるが,正常IgGでもPI-PLCでuPARの発現は減弱した。traneXamic acid (1・5,15,150mM),aPrOtinin(0・1,1,5TIU),PAMBA(10,50fLg/ml)で30分,dexamethasone(0.1,1, 5mM)はuPARの発現に影響を及ぼさなかった。 蛍光抗体法:24時間正常IgGとPBSで刺激した時には見られないが,PV-IgGで刺激した場合細胞離開が観察され る。desmoplakinとkeratinに対する抗体を用いた場合,PI-PLC(10FLg/ml)で処理すると細胞離開が阻害され た。traneXamic acid(15mM)もPV-IgGが引き起こす細胞離開を阻害した。一方,aPrOtinin(0.1,1TIU), PAMBA(10,50FLg/ml),dexamethasone(0.1,1mM)では阻害しなかった。 3.考察 PI-PLCはC-terminalglycosylphosphatidylinositol(GPI-anChor)の加水分解作用によって細胞表面から uPARを分解遊離して失活する。traneXamicacidは細胞表面のレセプターに対するplasminogenおよびplasmin の結合を阻害する。aPrOtininは直接pla声minの活性を抑制し,PAMBAはplasminogenからplasminへの変換を 阻害する。dexamethasonはuPARレベルでphorbolesterの効果を阻害すると推測されている。今回の研究で PI-PLCは細胞膜画分においてPV-IgGによって引き起こされるuPARの膜表面での発現量の減少と最終的反応で ある細胞離開を阻害することが明らかになり,PVの水痘形成には細胞膜におけるuPARの発現が著しく関与し ていることが推測された。また,traneXamicacidはPV-IgGの引き起こす細胞離開を阻害したため,水痘形成 過程においてplasminogenとplasminが関係していることが示唆された。 論文審査の結果の要旨 申請者 浅野史歩は,PVの水痘形成には細胞膜におけるuPARの発現が著しく関与し,また水痘形成過程に おいてplasminogenとplasminが関係している可能性を示した。本研究の結果は皮膚科学の水病症分野の研究の 進歩,発展に少なからず寄与するものと認められる。 [主論文公表誌] Phosphatidylinositol-SPeCific-PhospholipaseCcleavesurOkinaseplasminogenactivatorreceptorfrom
the cellsurfaceandleads toinhibition ofpemphigus-IgG-induced acantholysisin DJM-1cells,
a squamous cellcarcinomaline
Clinicaland ExperimentalDermatology 2001;26:289∼295.