NII-Electronic Library Service 北 陸大 学 紀要 第21号 (1997) pp
.
1〜20
1大 麻
文
化 科 学
考
1−
7)(
そ
の8
)
山
本
郁
男
*A
Study
onthe
Culture
andSciences
ofthe
Cannabis
andMarihuana
VUr
1−
7)lkuo
Yamamo
亡o
* Received October30
,1997
第
8
章
大
麻
の成 分
第
1
節
は じめ
に大 麻 (
Cannabis
sativaL .
,
アサ)の乾 燥 葉 を吸 煙 する とヒ ト は特 異 な 幻 覚に見 舞わ れ , 多 幸 感, 陶 酔 感, 高 揚 感な ど を覚え ること は古 くか ら知 られて い た 8) 。19
世紀
に 入 る と, 阿片(
ケ シ)
よ りモ ル ヒネ(
1805
年)
が単離
さ れ, ま た馬 銭 子よ りス ト リ キニー
ネ (1818
年 ) と ブル シン (1819
年)
,
キ ナ皮
よ りキニー
ネ とシ ン コ ニ ン(
1820年)
, さ らに タバ コ か らニ コ チ ン (1828
年 ) が単 離 結 晶 化さ れ てい る。 こ れ ら は 全て窒 素 原 子を含む塩 基 性 物 質 (ア ル カロ イ ド)で あっ た。 こ の ような時 代を背 景と して, 大 麻 成 分の化 学 的研 究 が 行われた。
大 麻には アル カ ロ イ ドも 少 量 存在
してい るが,
主 成 分 とはい えない 。 興味
あ ること に,
幻 覚 成 分はC ,H ,
O
の み か ら な る 物 質で,
窒素を含
ま ない の で ある。 こ れ ら化 合 物 群を カ ンナ ビノ イ ド (cannabinoids )とい う。 本 章で は, 大 麻の生 理 活 性 成 分の単 離, 構 造 研 究の全 貌 を記
述 するこ と にする。第
2
節
力 ン ナビ
ノ イ ド大
麻 (
Cannabis
sativaL
.
,
ア サ)
の幻覚
成分研 究に,
最 初に手を染め たのは1898
年Dunstan
及 びHenry
であっ た。 彼 ら は樹 脂 状 成 分を得た が , その後Wood
ら,Spivey
ら及 びEsterfield
らは樹脂 状 物
質
の有機溶
媒 抽 出に無水酢酸
を加
えア セチ ル化後
結 晶 状 物質
を得,
カ ンナ ビ ノイ ドの フ ェ ノー
ル性 物 質とい うこ とで カン ナビ ノー
ル (cannabinol ) とい う名 称 を 与 えた。 しか し, こ の段
階で は構
造提
出に は至っ てい ない 。1930
年
代 に 入 っ て,
構 造 研究
に本 腰が入れ ら れ た。1932年
, 英 国のCahn
ら は側鎖
ペ ン チ ル基 とフェ ノー
ル性 水酸
基が その構 造 中に存 在 する こ と *薬 学 部Faculty of Pharmaceutical
Sciences
1
NII-Electronic Library Service
2
山 本 郁 男 を記 し てい る が,未
だ 明確
では なか っ た8−
13)。こ こ で カ ンナ ビノイ ドに対 する
命
名 法 を概 説 する。 種々 の呼 名 が あっ て紛 らわ しい (Fig.
1
)。 カ ン ナ ビ ノ イ ドの代
表 的な ナ ンバー
リン グ に は3
種 ある。 t187 23〜
5Dibenzopyran 5冒
’
4t’
Numbering
usedby
Todd
45 34
’
5’
Diphenyl
65 to 71 423 2’
1
’
グ 8 61ミts 9 5「
34「
Monoterpenes
based
onP・
cymene54 6 32 78 2
’
1’
ク 6匸
ミS 51 34’
1Monoterpene
numbering Fig.
1 種々 の カ ンナ ビノイ ドの命 名 法 (その1
)1
つ は,
Adams ,
Mechoulam ,
Taylor
ら,
有 機 化学
者が用い て い るmonoterpene−
numbering シス テム であ り
,
テル ペ ン部 分の メチ ル基の付 け根
を1
とする。
2
つ 目は,
主にKorte
,Schultz
,Wall
ら, 薬理学 者が用い てい るdibenzopyran
−
numbering シス テ ム で,
フェ ノー
ル性水酸
基の付
け 根 を1
とする呼び名である。3
つ 目は, 生 合 成 研 究 を 行っ てい るNishioka
,
Shoyama
らが 提 唱 使 用 してい るbiosynthetic
−
numbering シス テム である。 これ は,
テ ル ペ ン部 分 とフェ ニ ル基の結
合 部 を1
とする命 名 法である。 (Fig.
2
)。 本 総 説で は , 薬理学 者 が 用い てい る2
)のdibenzo
pyran−
numbe.
ringシ ス テム に従う
ことにする。2
NII-Electronic Library Service 大 麻 文化科学 考 (その
8
) 3 )1
THC
t° 5’
CBD
)2
8 7丶
,直
c
}3
THC 5冒
CBG
Fig.
2カンナビノイ ドの命 名 法8} 4
CBC
5’
3’
4’
カ ンナビ ノ イ ドの 単 離 及び構 造 研
究
は,Mechoulam
やTodd
ら は長 時 間経っ た乾 燥 葉か らの 分 離,
Shoyama
らは新 鮮 な生大 麻を用い てお り, 以下の方 法で単 離, 精 製 を行っ てい る。 後 述 する よう
に,大麻
成 分 は光 ・
熱に よっ て酸
化分解 を受け やすい ので ,乾燥葉
よ り も生大麻
を用 い て の研 究の方が真の成 分 研 究とい える。 すな わ ち,
乾 燥 葉 末をベ ン ゼ ンで浸 漬, ベ ン ゼ ン抽 出物 をア セ ト ン で 処 理, さちにヘ キ サ ンで抽 出 する。 ヘ キ サ ン溶 液 を5
%NaOH
及 び5
% 亜硫 酸 ナ ト リ ウム 液で 抽 出 , ア ル カ リ層
と ヘ キ サ ン層に分別。
アル カリ層 を0
℃で10
%H2SO4
で酸
性 と して再 度ヘ キ サ ン抽 出, ヘ キ サ ン抽 出 物をシリ カ ゲルクロ マ トに付 し,
ヘ キ サ ンー
酢エ ス で溶 出 を行 う
と,
tetrahydrocannabinolic acid (THCA )
及 びcannabidiolic acid(
CBDA
)
を得
る こ と がで きる。すなわち,
Shoyama
ら は新 鮮 なア サか らカ ルボン 酸体
を得
てい る。1967
年
まで に, カ ンナ ビノ イ ドと して
THC
(tetrahydrocannabinol ),CBN
(cannabinol ),
CBD
(cannabidiol ),CBC
(
cannnabichromene>
,
CBG
(
cannabigerol)
,CBDA
(
cannabidiolic acid)
,CBP
(cannabiripsol)
,CBL
(cannabicycloD は単
離さ れてい たが,
こ の時点
で は大 麻の幻 覚
成 分の分 離が 目的で あったの で無理か らぬ こ とで あっ た。
Shoyama
らの 研 究によっ て殆どの カ ンナ ビノイ ドは生 薬 中で3
NII-Electronic Library Service 4 山 本 郁 男 は
2
位に一
COOH
(
あるい は4
位に)
を有 する カル ボ ン酸
体である こ とが判 明 し た。 す なわち, 大麻
は採集後,
乾燥
し た り,貯蔵
中に光
あるい は熱に よ り二次
的に変化 ,脱炭酸
を起こ し て中性
体になる こ とが証 明さ れ た。 (Fig.
3
)。CO2
⊥
熱THCA
THC
Fig.
3THCA か らTHC の生成
カ ンナ ビノイ ドの 生 合 成につ い ては
後
述 する が, 既述の よう
にカ ン ナ ビノイ ドは大 部 分,
大 麻 (アサ) 葉 あるい は樹 脂 中で はフ ェ ノー
ル カル ボ ン酸 体と して存 在 する。 フェ ノー
ル骨 格に 存 在 する ア ル キ ル側 鎖はC21−polyketide
に由 来 する もの で ,多
くはペ ン チ ル基であるが大麻
の植 生 地 域によっ てプロ ピル基で あっ た りメ チ ル基で あっ た りする。
10
年 程 前に,Harvey
ら は イ ン ドか ら 入手
した樹
脂(
1800
年
代)
か らエ チ ル基 側鎖
も確
認 し てい る12) 。 し か し,
メチル,
エ チル基は現 在の と こ ろ単 離で は なく,GC
!MS
に のみによ る検 出で あること を断っ てお く。 いず れ に せ よ,
既 述の ように, 大 麻の生 植 物 体 中に存 在 する カ ルボ ン酸 体は熱, 光,
空気
によっ て 容易
に脱 炭酸
さ れ る。 これ らフェ ノー
ル カル ボン酸
体は,
cannabinoid acid,
一
方 脱 炭酸
体はフ ェ ノ
ー
ル体にな るの で neutral cannabinoid と呼んでい る。THC
アナロ グで は,−COOH
は オルトとパ ラ位にある こ とか ら
各
々A
酸,B
酸と呼ぶ。1
〆ゾル シ ン部を持つCBD
は回転
してい る の で,
オル ト, パ ラ位の カ ル ボン酸 体は同一
物 質で ある。
他の カ ンナ ビノ イ ドは量 的に少 ない が,植
物体内
で はこれ らカ ル ボ ン酸体
を 形 成し てい る 可能性
は強い 。 以下 に今
日まで に単 離あ るい は確 認 さ れてい る カン ナビノイ ドの化 学 構 造をペ ン チル側 鎖 (C5Hll
),
プロ ピル側 鎖 (C3H7
), エ チ ル側 鎖 (C2H5
), メ チ ル側 鎖 (CH3
)に分 けて 示し た。一
般 的に は, カ ンナ ビノイ ドの分 類は既述 の 側 鎖に よる場 合とカル ボ キシ ル基の有無
に大 別。 後 者は さ ら にカ ン ナ ビ ノ イ ド酸
(
original とsecondaly)
と 中性カ ン ナ ビノイ ド(
脱炭酸
体)
に分 けら れ る。 △9−THC
は さ らに異 性 化を起こ し,9
,10
位の 二重 結 合 が8
,9
位 に移 動し, △ s−THC
となる 。 △ 8−THC
は△9−THC
よ り も安定
なため,代
謝実
験に よ く用 い られる。
4
N工 工一
Eleotronio LibraryNII-Electronic Library Service 大麻文化科 学考 (その 8 )
5
〔
1〕3
位ペ ン チ ル側鎖
を有
する カ ンナ ビノイ ド1
)THC
(テ トラ ヒ ドロ カンナビノー
ル)アナロ グCH3
CH3
’
X
.。 。H
⊥
’丿
H
>
廴
。KJ
>
廴
。 ・・1
△9
−
THCA (オル ト)or A酸△9
・
THC (△9・
テ ト ラ ヒ ドロ カン ナビノー
ル )・・2
1
・’c
…△9
・
THCA
(パ ラ)orB
酸△8
−THC
(△8一
テ ト ラ ヒ ドロ カ ン ナ ビ ノー
ル)2
)CBL
(カンナ ビシ クロー
ル )ア ナロ グOH
CO2
0H
ク
IC
°°H
.
」
L
71
0
ミs
O
ミ丶
CBLA
(カンナ ビ シ クロー
ル 酸・
オル ト)CBL
(カン ナ ビシ ク ロー
ル )CO2
0H
0
、 ’ ク 丶COOH
CBLA
(カンナビシ クロー
ル 酸・
パ ラ) N工 工一
Eleotronio5Library
NII-Electronic Library Service
6
山 本 郁 男3 )
CBC
(
カンナ ビ クロ メ ン)
アナロ グOH
CO2
0H
グ グ ク
IC
°°H
⊥
O
ミS
CBCA
(カ ン ナ ビクロ メ ン酸・
オル ト>CBC
(カ ン ナビクロ メ ン)CO2
0H
COOH
CBCA
(カンナ ビ クロ メ ン酸・
パ ラ)4)
CBD
(
カ ンナ ビ ジオー
ル)
アナロ グ,
CH3
_
Σ
CBDA
(カ ン ナビ ジオー
ル酸・
オ ル ト)CBD
(カ ン ナビ ジオー
ル)ll
.
COOH
CBDA
(カンナビジ オー
ル酸・
パ ラ )CBDM
(カンナビジ オー
ル モ ノ メ チル エー
テル> 6CBND
(カ ン ナビノジオー
ル) N工 工一
Eleotronio LibraryNII-Electronic Library Service 大 麻文 化科 学 考 (その
8
)7
5)
CBG
(カン ナ ビゲロー
ル)
アナロ グー
1
CO2
⊥
CBG
(カンナビ ゲロー
ル)COOH
CBGA
(カンナ ビ ゲロー
ル 酸)COOH
CBGAM
(カンナ ビ ゲロー
ル酸モノ メ チル エー
テル )CO2
⊥
CBGM
(カンナ ビ ゲロー
ル モ ノメ チル エー
テル )6>CBN
(カンナ ビノー
ル)
ア ナ ログCBNA
(カン ナ ビノー
ル 酸・
オル ト)CO2
⊥
CBN (カ ンナ ビノー
ル )CO2
HO
COOH
CBNA
(カ ンナビノー
ル酸・
パ ラ )6・
Hydroxy
CBN
(6一
ヒ ドロ キ シカンナ ビノー
ル ) 7 N工 工一
Eleotronio LibraryNII-Electronic Library Service
8
山 本 郁 男〔
2
〕3
位プ
ロ ピル側鎖
を有
する カ ン ナビノイ ド1)
THCV
(
テ トラ ヒ ドロカ ン ナ ビバ リン)
ア ナロ グCH3
CH3
_
乞
△9
−THCVA
(テ トラ ヒ ド ロ カ ン ナ ビバ リ ン酸 )△9
−THCV
(テ ト ラ ヒ ドロカン ナ ビバ リ ン)OH
tHA
クl
O
ミts △7
.
c■
i
.
THCV
(△7
−1
,6−
cis一
イソ テ ト ラ ヒ ドロ カ ン ナ ビバ リ ン)(△7
−t,
6−
ci&lsotetrahydrocannabivarin
)2
)CBDV
(カンナビジバ リン)アナログCH3
CH3
_
乞
CBDVA
(カンナ ビ ジバリン酸 )CBDV
(カンナビジバ リン)3)CBV
(カンナ ビバ リン)
アナ ログCH3
。_ 検 。、れず
⊥
ζ
略
o
ミ丶
CBV
(カ ン ナ ビバ リ ン)8
N工 工一
Eleotronio LibraryNII-Electronic Library Service 大 麻 文 化科学考 (そ の
8
)9
4
)CBCR
(
カンナ ビクマ ロ ノ ン)アナロ グCBCR
(カ ン ナ ビクマ ロ ノ ン) (Cannabicoumaronon
)〔
3 〕3
位エ チル側 鎖 を 有 する カ ン ナ ビノ イ ドCH3
〔
4
〕3
位メ チ ル 側鎖
を有
する カ ンナ ビノイ ドCH3
△9
.
THCO
(△9・
テ ト ラ ヒ ドロ カ ン ナ ビ オル シン)(△9
・
Tetrahydrocannabiorcin
)CBDO
(カン ナビ ジオル シン) (Cannabidiorcin
)CH3
CH3
CBO
(カンナ ビ オル シン) (Cannabiorcin
)CH3
9
N工 工一
Eleotronio LibraryNII-Electronic Library Service
10
』
山 本 郁 男
〔
5 〕
その他
の カンナ ビノイ ド・ °
VOH
OH
OH
♂彡
ク
.
1彡
ク
・
。
KJ
otUl
△4
・
c・
THC
(△4隅
c魯・
THC
)THCT
(Tetrahydrocannabitriol
)’ °
VD
・ 。H
.
’
H
H
。ζ
1
COOH
CBP
(Cannabirips
◎1
)CBEA 『
A
(Cannabielsoic
acid )ク
l
o
ミtS
COOH
CBT
(Cannabicitran
)CBF
(Cannabifuran
)O
OH
t彡
ク
tUl
O
COOH
6・
Oxo ・
△4・
THC
DCBF
(Dehydrocannabifuran
)人工 的 産 物か も知 れ ない が, カ ンナ ビジオ
ー
ル酸
とテ ト ラヒ ドロ カ ンナ ビノー
ル ジ オー
ル との脱 水 化 合 物, エ ス テ ル 体 も報 告さ れてい る 8) 。
oissOHoH
ζ
1
0
エ ス テ ル体10
N工 工一
Eleotronio LibraryNII-Electronic Library Service 大 麻 文 化 科 学 考 (その
8
) 1 カ ンナビ ノ イ ドの名
称と略 号をTable
l
に示 し た 。Table
1 カンナビ ノイ ドの 名 称と略 号 Pentyl CannabinoidI − 1
Cannabinoid
Acid
I
−
1
− 1
0riginal
Cannabinoid
Acidi
)Tetrahydrocannabinolic
Acid (THGA−A
)オル ト ま た はA酸 ii)Tetrahydrocannabinelic
ActCl
(THCA −B
)パ ラま たはB
酸iii
)Cannabidiolic
Acid
(CBDA
)
iv
>Cannabichromenic
Acid (CBCA
>v )
Cannabigerolic
Acid
(CBGA
)vi )Cannabigerolic Acid Monomethy ]ether (CBGAM ) 工
一1− 2
Secondabr
Cannabinoid
Acid
i
)Cannabinolic Acid (CBNA >
ii
)Gannabicyclelic Acid (CBLA
)iii
)Cannabielsoic
Acid
(CBEA
)1
− 2
Neutral
Cannabinoid
))
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
) )
)
)
)
)
i
”
11 血゜
WV.
M 面 軸゜
凱 X.
湘 血 煩 珈 W,
馴 漁…
皿 Tetrahydrocannabinol (THC ) △ Y−
and △ s−
THC Cannabidio](CBD )Cannabichromene
(CBC
)Cannabigero1
(CBG
) Cannabigerol Monomethylether (CBGM
)Cannabidiol
Monomethylether
(CBDM
>Cannabinol
(CBN
) Tetrahydrocannabitrio1(THCT ) △ 4−
cis−
Tetrahydrocannabinol (△ 4−
c−THC
)Cannabiripsol
(CBP
)6−Oxo−
△4−Tetrahydrocannabinol
(6
−
Oxo−
△4−
THC )Cannabicitran
(GBT
)Cannabinodiol
(CBND
>Cannabifuran
(CBF ) Dehydrocannabifuran (DCBF )Cannabicyclol
(CBL > Cannabichromanon (
CBGN
)Cannabicoumaronon
(CBCR
) 11 11 N工 工一
Eleotronio LibraryNII-Electronic Library Service
12 山 本 郁 男
I
Propyl
Cannabinoid
H − l
OriginaiCannabinoid
Acid
i
>Tetrahydrocannabivarinic Acid (THCVA )ii
)Canabidivarinic
Acid (CBDVA
)
iii
)Cannabichrr〕mevarihic Acid 〔GBCVA )iv
)Cannabigerovarinic
Acid
(CBGVA
)H
− 2
Neutral Cannabirユoidi
)Tetrahydrocannabivarin(THCV )
ii
)Canabidivarin (CBDV
)
iii
)Cannabichromevarin
(CBCV
)iv
)Cannabigerova
回n (CBGV ) v )Cannabivarin
(CBV
)vi)
△7
−1,
6−
cis−lsotetrahydrocannabivar2n
(ムア
ー
1,
6−
cis−iso−THGV
)vii) Cannabicyclovarin (CBLV )
皿
Ethyl
Cannabinoid
N
Methyt
Carlrlabinoid
i
)Tetrahydrocannabiorcin(THCO >
ii
)Cannabidiorcin
(CBDO
)iii>
Cannabiorcin
(CBO
)これまで報 告 さ れ た カン ナビ ノ イ ド は,
61
種。 この中で 幻覚作
用を発 現す
る成 分は代謝物
を除 けば
,THCA
,THC
,THCVA ,
THCV
の 種の みで ある こ と は興 味のある と ころ で ある。 こ れらの
作
用 を簡単
に比較
する とTHC
を100
%とするとTHCA
は0
.
01
%,
THCV
は0
,
05
%とい う比率
に な り,
極端
に低い 。 しか し,CBN
の よう
にそれ自体
は活 性 は持た ない が,代謝物 (
11
−
OH
−
CBN
)
になると15
%に作 用 が 強 くなる もの もある。 活 性 代 謝 物につ い て は, 次 章 以 下に詳 述 する。これ らカン ナ ビノ イド以
外
で は,
一
連の ス ピラ ン化合物 (
spiranic compounds )cannabispirone ,cannabispirenone
,
cannabispirol が単離
さ れ てい る。 ま た,
さらに明 ら かにさ れ た もの とし て,
amorphastilbol がある。 これは,
生 合 成プロ セス で の スチ ルベ ン由 来で あり,
カ ン ナビ ゲロー
ル によ く類 似 してい る。グ 弋
OH emorphastilbolOHb
cannabigerol (CBG ) ク12
N工 工一
Eleotronio LibraryNII-Electronic Library Service 大 麻文 化科 学考 (その
8
)13
こ こ で
,
これ ら6
種
に及ぶ カ ン ナ ビノイドの 生合
成経
路につ い て述べ る。カンナ ビノイ ドの
生合成
]4)カン ナ ビノ イ ドの 生 合 成に関 する仮
説
とし て,古
く はTodd ,
Schultz
,Mechoulam
らの経
路が提 唱さ れてい た が (
Fig.
4
,
5
), こ れ らに決
着を付 けたの はShoyama
,Nishioka
である。 彼 らは
Mechoulam
らの仮
説 をさ ら に発展
させ た。 カ ン ナ ビノイ ド は その構造
か ら見て,
Cl
。一
部 分 とフェ ノ
ー
ル カ ル ボ ン酸 部 に分 け られ る。Clor
部 分はメバ ロ ン酸 (MVA
) 経 路, フェ ノー
ル カ ルボン
酸
部は酢酸
一
マ ロ ン酸 (
AA
−MA )経
路の複 合 経 路に よ る と考 えら れ る。 そ こ でShoyama
らは
,
Ca
−
MA
−
2
−
1℃ をメ キ シ カ ン種のアサのcutting にcotton−
wick 法で投 与6
日間 培 養 し,
THC
及び
CBC
中の取 り込み を検 討。 さ らに,Na −MVA −
2
−
i4Cを同様
に投 与,
取 り込み率
を算 出し,
カ ン ナ ビノイ ドの生 合 成 経 路はAA −
MA
−
MVA
複 合 経 路である こ とを確
かめ た。メ バ ロ ン酸は
,
3
,
5
一
ジ ヒ ドロ キシー
3
一
メチル吉 草酸
。 生体 内で は3
分 子の ア セチルCoA
か ら合 成 さ れ る。 これ より,一
般に リン酸 化 , 縮 合, 環 化を受
けて ス ク ワ レン , ス テ m イ ド, ト リテ ル ベ ノイ ドの 他, 種々 の イソ プレ ノイ ド (モ ノー
, ジー,
セス キテ ルペ ン など) が 生 合 成 さ れる。 こ の経 路をメ バ ロ ン酸 (
MVA )
経 路という
。Metadlene Oil》etolicacid
一
↓
CH3 CBDA↓
CBD 一 CH3 THCA↓
CH3 N ミ OHヌ
。ζ
1
τHC CH3ク
1
_■
_闇
_
レ ミ』 0 OH ク1
丶 CBNFig.
4カンナ ビ ノ イ ドの生合 成 経 路 (
Schultz
>15) 13 N工 工一
Eleotronio LibraryNII-Electronic Library Service 14 山 本 郁 男 酢 酸
一
マ ロン酸↓
OH COOHζ
l
H…
一輯
一主
。
ゑ
_ _ OliYe電oI一一一一■
レ C日GA …i
…
l
l
i
N 。. 1
__一曽_鼎
嘱1
、 。ζ
l
CBG→ CBDA
■
膊
開馴
伽FTHCA → C8NA卩
,
卩
1
.
l
I
.
1
.
.
,
■
I
I
d
,
,
d
\
i
i
i
C8CA : l l8
陰
,
1
,
.
,
1
■
1
,
1
,
1
,
■
■
1
,
■
.
1
駐
卩
■
,
‘
,
ロ
,
ロ
ウ l l : c日cl
l
i
/1
;i
!’
i
i
i
’,
’
ウ ウ ウー一一
レ CBD−一
→9卩
THC−一
一
Pp OBN一
呷
一
一一
一
司レ
[A ]経 路 (各化 合 物を指す 場合はA系列)一一一一一
ウ [B] 経 路 (各 化 合物 を指す場 含 は日系 列)一
一一一一
一
一
一
レ [C】 経 路 (脱 炭 酸 経 路 )Fig.
5 カンナビノ イ ドの生合 成 経 路 (Mechoulam )16〕幽
・ _N
〜 HOOC HOOC メ バ ロ ン酸 〔MVA》 0 0眺
_
L
。_μ
_
。.:
口
:
>y
s
・8
・ イソペンテニルビロリン酸楚
ゲ ラニ オー
ル また,
側 鎖のプm ピル及びペ ンチル基は次の様に生 合 成 される。 AA・
MA−一
■
一闇
一
レ森
罪
s
OH COOH HO C嵐 OtlvetollC ecld CHeCOSCoA 一燃
↓
COSCoA CHSOSCoA − (2C} CH3 ク CQOH HQ tSl
CHt Diverinolic acid 0 COSCoA
↓
OH ク COOHKJHO
OIivetolic acid CH: CHI14
N工 工一
Eleotronio LibraryNII-Electronic Library Service
大麻文化 科学考 (そ の
8
>15
プロ ピル基を持っ た
divarinolic
acid とMVA
の縮 合によ りGBGVA
,
CBDVA
及 びTHCVA
, 後 者の ペ ン チル 基 を
持
っ たolivetolic acid とMVA
の縮合
に より
,既述
のCBGA
,CBDA
及 びTHCA
が各
々生 合 成 され る (Fig.
6
)。 MVA l l OHグ
lc
°OHOC日LA ÷
i
加 OH グク
グ
lcoo
岡OCBCA
↓
!
ご
GeranioI {orNerel ) AA−
MA l l↓
t W
。。 − POIykedde OH COOHfl 転 HO CH: OllvetOtic自¢id
,
OHジ
。 。1
。、
謡
1
°H一
CHe CH3 ys OH ys OCH。
←一 『
。.ζ
IC
°°H → ,。」
COOH CBGA OBGAM 一[
7
.?。
:、、、。te]
疇
一
↓
02 一 島;一
CBNA THCA rHC … ウ
「
甼 CBN 丶 τHC τFig.6
カンナビノイドの生 合 成 経 路 (Shoyama ,
Nishioka
)10・
17
・
]8
・
19}
15 N工 工
一
Eleotronio LibraryNII-Electronic Library Service 16 山 本 郁 男
第
3
節
ア ル カ ロイ ドとそ
の他
の成 分
大麻 (
ア サ)
に は,
カンナ ビノイ ド以外
にも多
くの成 分 が少
量で はあるが含
まれてい る。 そ れ ら を列 挙 する と,
ま ず 窒 素 (N
> 含 有 化 合 物 として3
あるい は4
級ア ミン (ア ルカロ イ ド)が ある。Cannabisativine
及 びanhydrocannabisatiVine(
ス ペ ル ミジン ア ル カロ イ ド)
が知ら れ てい る (Fig.
7
)。H H
olH℃
H
−
lH
C−●
OHl
C5H
¶書 Cannabisativine即
〜
昨轍
,CH
l
C:= Ol
C5Hlt
Anhydrocannabisativine CH3.
l
CH2 = CH− N−
CH ,I
CH3Neurine
CH3蝿
3
〕
贓
Muscarine
Q
C
° °さ
。,Trigonelline
Q
APiperidine
奄
= °11
》
へひ
臆P・
CTCP
−Coumaroyltyramine
} o H・驫
《
}
… 醐払
OCH3
Hordenine
FT
{Feruloyltyramine
)trans and cis
Fig.
7大 麻 中に含ま れ る各種 含 窒 素化合 物の構造
16
NII-Electronic Library Service
大 麻 文 化 科 学 考 (その
8
)17
ま た, ム ス カ リン
,
ト リゴ ネリン,N − (
p−
hydroxy
一
β一
phenylethyl )−p −
hydrQxy
−
trans−
cinnamide
(
p−
coumaroyltyramine)
及び筆者
らが 最 近 見 出し たferulQyltyramine
がある20・
21)。さ らに, ア ミ ノ
酸18種
,脂
肪酸12種
, ス テ ロ イ ド11
種
, テ ル ペ ン 類103
種 (
内モ ノ テ ルペ ン58
種,
セス キテ ル ペ ン38
種, ジテ ルペ ン1
種, トリテ ルペ ン2
種 を 含む), 非カ ン ナ ビノ イ ドフ ェ ノー
ル16
種,
フ ラ ボノ イ ド19
種な ど が見 出さ れてい る(
Fig.
8
)
。 従っ て現 在 まで,
合計
421
種
の化 合物
が単離
されて い る (Table
2
)
。
CgHig CloH21CgHt7
HO 丶 カ ム ベ ステロー
ル HO 丶 β一
シ トス テ ロー
ル HtUl
エ ル ゴス テ ロー
ル oH H ・ 9、
H フ リー
デ リン ⊂Friedelin, ’ s HOH H6、
● エ ピフリー
デラノー
ル {Epitriedelanol} ’、
H HO 丶CloHl9
ス チ グマ ステロー
ルH3CCH3
HhCH
・ H H2C カ リ オフ ィ レ ン (Caruophyllene
} セ スキテ ルペ ン Fig.
8 大 麻 中に含ま れ るス テロ イ ド,
セスキテ ルペ ン類の構 造 17 N工 工一
Eleotronio LibraryNII-Electronic Library Service
18
山 本 郁 男Table
2
Classes
orcompounds f(〕undin
Cannabis13
〕第
4
節
ア サ の生
理種
大麻 (
ア サ)
は一
属一
種で あるが,
そ れは形 態 的に差 異はない とい うこ とである。 し か しその成 分
,
カン ナ ビノ イ ド は60
種余
り,植物
の個体
に よっ て大 き くその成分
は変
わる。 こ の よう
に代 謝 系 (成 分 ) が 異 なるこ とを生 理 種 を 異にする とい う。 大 麻は今の とこ ろ
4
種の生 理 種に分 けら れる。 そ れ は
CBDA
種
とTHCA 種 (
ペ ン チル側鎖),
CBDVA
種
及 びTHCVA
種(
プロ ピル側 鎖 )である。
CBDA 種
はTHCA
を含 まず, 主カ ン ナ ビノイ ド と してCBDA
を 副カン ナ ビノ イ ドとして
CBGAM
を含 む,Shoyama
らの 種々 の交 配 実 験 か らTHCA
種よ り もCBDA
種の方 が 劣 性である。 すな わ ち
,
CBDA
種
の中にTHCA
種
を植
えると次第
にTHCA
種
と なる1°) 。
第
5
節
ア サ の分
布
と移
動
22) アサの分 布 と移 動に関 して , 西 岡 教 授の見 解は納 得で きる もの で あ るので紹
介 する。 西 岡 は, 日本
の ア サ は本来
CBDA
種
であっ たとい う。従
っ て, 日本で は アサ を 薬 物 とする風18
N工 工一
Eleotronio LibraryNII-Electronic Library Service 大 麻 文 化 科 学 考 (その
8
)19
習は育た な か っ た。 お隣の韓 国の アサ を調べ る と, 我が国 もの と同 じで あっ た。 これ は,
昭 和10
年
頃に 日本で品 種 改 良された種
子 が 当 時の統 治下 にあっ た 朝鮮
に持
ち 込 まれる とい う農 業 政 策の結 果であろうと して い る。 中 国の アサ も殆と℃BDA
種で あっ た。 ヨー
ロ ッパ の アサ も, 北米大
陸 北 部の ア サ もCBDA
種
の 出現 頻度
が高
い 。 イ ギ リス,
フ ランス の大
陸移
民時
に繊 維や種
子 を採る た め に, 自 国の種 子 を携 えた と思っ て良い 。 従っ て, 中 央ア ジア を原 産 地とするアサ は,
その後
北半球温帯,
亜寒帯
に広
まっ た もの で あり,
全てCBDA
種
である。THCA
種の原 型は メキシ コ種であ り, これ は原 産 地 中 央アジアか らア ル タ イ地 方へ さ らに ア ラ ビア に伝播,
サ ラセ ン文
化,
そ してイス ラム の イン ド侵攻,
北 アフ リカ西進に伴
っ て移 動 し た。 従っ て, 大 麻 喫 煙の風 習 もイベ リア半 島を経て, スペ イン人に よ るメキ シコ 開 拓によっ て,THCA
種
の原 型が メキシコ にあることが説
明 される。プロ ピル側 鎖は
,
タ イ国 北 部の メ オ部 落で西 岡に よっ て発 見 さ れ た。 中 国 南 西 部か ら ヒマ ラ ヤ山系
に多
い 。 イン ド大 麻の産 地であるパ キス タン, ネパー
ルに もかな りの頻 度で検 出 さ れて い る。 ま た 面白
い こ とに,
南ア フ リカ連 邦など旧英 領であ る各
地 に見ら れ るの は,印度
大 麻が 世 界各
地で薬 用 とさ れ た こ と か ら,印
度, パ キス タ ンの アサの種
子が7
つ の海 を支
配し た かつ ての 大 英 帝 国 時 代, 旧 英 領に持 ち込 まれ 栽 培 さ れたの ではない かと推 測 して い る。 これにつ い て は, (
その1
>
1)で述べ た 。第
6
節
お わ り
に 大 麻 (ア サ)に含 有 する物 質は何と421
種,
中で も61
種を占め る カン ナ ビ ノ イ ドは,
一
属一
種の ア サ の成 分 と して は特異
的で ある。 窒 素 (N
)を含ま ないC
,H
,0
か ら な る化 合物
で, 特 異 な 幻 覚 作 用 を有 する ことも また科 学 する者に とっ て興 味 が 尽 き ない とこ ろ である。 植 物 体 内 に お け るこれ らの カ ンナ ビノ イドの生 合 成の経 路にも,
こ の植 物の持
つ 理路 整 然 とし た自 然の 妙を感ぜ ざる を得ない 。 例 えそ れ が 遣伝 支 配であっ た と して も。 謝 辞本 研 究は
,
渡 辺 和 人 助 教授 ,
松永
民 秀 講 師,
木 村 敏 行 助 手,
宇 佐 見 則 行 助 手並 び に恩 師 吉 村 英 敏 教 授 (九 州 大 学 名 誉 教 授,
現 中 村 学 園 大 学 教 授 )ほか多
くの協 力 者 に よっ て遂 行 さ れ,
ま た現 在 も な お続 行中の もので あ る。 こ こに深
謝 する。 参 考 文 献1
> 山 本郁 男,
「大麻 文化科 学 考 (その1
)」大麻の文化,
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北 陸 大 学紀 要,
」Sl
−20
(1991
)、
3
) 山 本郁 男,
「大麻 文 化 科 学 考 (その3
)」 大 麻と法 律,
北 陸 大 学紀 要,
述,
1−20
(1992
).
4
> 山 本郁 男,
「大麻 文 化 科 学 考 (その4
)」 漢 方 薬と しての大麻,
北 陸大 学 紀 要,
皿,
1−15
(1993
>,
5
) 山 本 郁 男,
「大 麻 文 化 科 学 考 (その5
)」 日 本 薬 局 方と大 麻,
北 陸 大 学 紀 要,
追,
1−13
(1994
).
6
) 山 本郁 男,
「大麻 文 化 科 学 考 (その6
)」 大 麻の植 物 学,
北 陸 大 学紀 要,
R1 −11
(1995).
7
> 山本郁 男,
「大 麻 文 化 科 学 考 (その7
)」 大 麻の栽 培,
育 種,
北 陸 大 学 紀 要,
2
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9−25
(1996
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Ω,
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(