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調査研究ジャーナル 2018 Vol.7 No.2 図 1 モデル事業の検診方式 図 2 年齢階級別検診人数 ~年齢階級 24 表 1 年齢階級別細胞診結果 25 ~30 ~35 ~40 ~45 ~50 ~55 ~60 ~65 ~70 ~75 ~

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(1)

原著

併用検診により子宮頸がん検診の受診間隔は延ばせるか

立花美津子

1

、柳堀朗子

1

、永井秀昭

1

、河西十九三

1

、藤澤武彦

1

High-risk HPV-DNA Testing and Cytology can Justify

Prolonging Cervical Cancer Screening Intervals

Mitsuko Tachibana1, Ryoko Yanagibori1, Hideaki Nagai1,

Tokuzou Kasai1 and Takehiko Fujisawa1

【目的】子宮頸がん検診において細胞検査と高リスク型ヒトパピローマウイルス(HPV)検査を同時に行う併用検 診で両者陰性群の受診間隔延長の可能性等を検討した。 【方法】2012年度から2014年度の3年間にA市子宮頸がん集団検診を受診し、併用検診への協力に同意を 得られた延べ11,521人を対象とした。細胞診は液状化検体法で行い同時にHPV検査を実施した。 【結果】両者陰性群は合わせて10,753人だった。そのうち1年後受診者数は3,060人で3,037人(99.2%)が精 検不要、2年後受診者数は4,397人で精検不要は4,361人(99.2%)同じく3年後受診者数3,014人精検不要 は2,991人(99.2%)であった。 【結論】両者陰性群の99.2%が3年後も精検不要であり、この群においては検診間隔を2年から3年に延長でき る可能性が示唆された。 (調査研究ジャーナル2018;7(2):121-127) キーワード:子宮頸がん集団検診、液状化検体細胞診、HPV-DNA検査、併用検診、受診間隔 1.はじめに わが国の子宮頸がんは年間約17,000人に発症(上 皮内がんを含む)し、約2,500人が死亡していると 報告されている。特に近年、若年層で頸がんの罹 患・死亡が増加する傾向にあり、若年女性にとって は重大な問題である1)。しかし、子宮頸がん検診受 診率を見ると米国の85%に対し、日本では37.7%と 非常に低率であり、若年者の受診率は特に低いと言 われている2) 子宮頸がんの発生にはヒトパピローマウイルス (Human papilloma virus;HPV)の感染が関与して いることが明らかになり3)、100種類以上あるサブ タイプのうち少なくとも15種類は子宮頸がんの発症 に関与する高リスクHPVタイプとされている。した 1公益財団法人ちば県民保健予防財団 連絡先:〒261-0002 千葉市美浜区新港32-14 公益財団法人ちば県民保健予防財団 立花美津子 (E-mail:[email protected]

(Received 18 Jun 2018 / Accepted 24 Jul 2018)

がって、高リスクHPVに感染していると子宮頸がん 発症リスクは高く、感染していなければ低いと考え られる。欧米ではHPV検査と細胞診を組み合わせた 検診を実施しており、日本においても2011年度に日 本産婦人科医会が子宮頸がん検診リコメンデーショ ンを発表し、細胞診とHPV検査を併用する検診の運 用方法について提言した4)。また、厚生労働省の研 究班においても細胞診とHPV検査を併用した検診に ついてのデータ収集に取り組んでいる。2013年2月 に出された「がん検診のあり方に関する検討会中間 報告書~子宮頸がん検診の検診項目等について~」 では、調査研究等の結果を検証し、HPV検査を含む 子宮頸がん検診の最適な実施方法を検討すると結論 している1) こ の よ う な 状 況 を 踏 ま え 、 当 財 団 に お い て も HPV-DNA検査と細胞診を同時に行う併用検診を実 施し、その精度、検診間隔等の検討を行っている。

(2)

図 1 モデル事業の検診方式 表 1 年齢階級別細胞診結果 年齢 階級 24 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 合 計 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ 29 34 39 44 49 54 59 64 69 74 79 人数 69 229 1,133 1,467 1,634 870 593 611 1,247 1,540 1,289 660 179 11,521 NILM 人数 56 209 1,072 1,391 1,558 825 566 598 1,222 1,512 1,265 654 178 11,106 % 81.2 91.3 94.6 94.8 95.3 94.8 95.4 97.9 98.0 98.2 98.1 99.1 99.4 96.4 ASC -US 以上 人数 13 20 61 76 76 45 27 13 25 28 24 6 1 415 要精 18.8 8.7 5.4 5.2 4.7 5.2 4.6 2.1 2.0 1.8 1.9 0.9 0.6 3.6 図 2 年齢階級別検診人数 ~ ~

(3)

2.対象及び方法 2-1.対象 2012年度から2014年度の3年間にA市の子宮頸が ん 集 団 検 診 を 受 診 し 、 併 用 検 診 へ の 同 意 を 得 た 11,521人を対象とした。 2-2.方法 細胞診は、サーベックスブラシで細胞を採取し、 Sure Pathバイアルの中にブラシの先端を落とし、攪 拌した細胞懸濁液を用いて標本を作製する液状化検 体法(Liquid Based cytology:LBC法)で行った。判 定にはベセスダシステムを用いた。 HPV-DNA検査は、細胞診標本作製後残った細胞 懸濁液を用いてハイブリッドキャプチャーⅡ法で実 施した。 併用検診に基づく判定は、日本産婦人科医会の子 宮頸がん検診リコメンデーションとほぼ同様の検診 方式(図1)を用いた。 併用検診は2012年から2014年の3年間実施したが、 2015年度は2013年度または2014年度に1年後に集団 検診となった群のみにHPV検査を実施した。2015年 度以降は細胞診検査のみ行った。 本研究の実施に際しては公益財団法人ちば県民保 健予防財団疫学・臨床倫理審査委員会の承認を得て 実施した(承認番号048:2015年5月27日承認)。 3.結果 3-1.年齢階級別受診状況不適正標本 年度・年齢階級別受診者数を図2に示した。2012 年度・2013年度に比べて2014年度の受診者数が大き く減少しているのは、2013年度より市が子宮頸がん 検診を隔年検診としたためである。 受診者の年齢構成をみると、20代は2.6%、30代 22.6%、40代21.7%、50代10.5%、60代24.2%、70 代16.9%、80代1.6%であり、60代が最も多く、30 ~60代の中では50代の受診者が他の年代に比べて少 なかった。 3-2.一次検診における細胞診結果(表1)

細胞診結果ではNILM(negative for intraepithelial lesion or malignancy)が全体の96.4%であった。年 齢 階 級 別 に 見 る と 要 精 検 率 は 20 代 11.1 % 、 30 代 5.3%、40代4.8%、50代3.3%、60代1.9%、70代 1.5%、80代以降0.6%であった。20代はNILMの割合 が他の年齢より低く、年齢が高くなるとNILMの該 当率は高くなった。20代を除くと、30~50歳前半で は 要 精 検 に 該 当 す る ASC-US ( atypical squamous cells of undetermined significance)以上の要精検率が 5.0%であり、その後は年代が高くなると低下した。

(4)

3-3.一次検診におけるHPV検査結果(図3) HPV検査の結果を見ると3年間の陽性率は5.3%で、 全体の約95%は陰性であった。年齢階級別にHPV検 査 陽 性 率 を み る と 20 代 14.1% 、 30 代 7.7% 、 40 代 5.1%、50代3.7%と年齢が高くなると低下した。 図 4 併用検診結果 図 5 NILM・HPV(+)群 n:353 人 表 2 初回精検結果

1 年後 n:147 2 年後 n:98 3 年後 n:120

(5)

3-4.併用検診結果 併用検診のフローチャートに当てはめてみると、 両者陰性群は10,753人(93.3%)であった。細胞診 NILM・HPV陽性群は353人(3.1%)、細胞診ASC-US・HPV陰性群は120人(1.04%)で合わせて473人 (4.1%)となった。要精検者は295人(2.6%)で あった(図4)。 3-5.NILM・HPV(+)群 NILM・HPV(+)群353人のうち1年後受診者数は147 人で精検不要123人83.7%、要精密検査対象者24人 16.3%であった。2年後受診者数は98人で精検不要 84人85.7%、要精密検査対象者が14人14.3%、また 3年後受診者数は120人で精検不要109人90.8%、要 精密検査対象者11人9.2%であった(図5)。 要精密検査対象者49人のうち不明を除く40人の初 回精密検査結果は表2に示す。2年後受診者にCIN2 が1例(1.0%)認められた。 3-6.細胞診・HPV検査共に陰性群の追跡結果 10,753人の両者陰性群のうち2年後に4,397人が受 診し精検不要は4,361人(99.2%)、要精密検査対象者 は36人(0.8%)であった。また3年後では3,014人が受 診し精検不要は2,991人(99.2%)、精密検査対象 者は23人(0.8%)であった(図6)。 不明を除く初回精検結果を表3に示した。2年後3 表 3 初回精検結果 図 6 NILM・HPV(-)群(10,753 人)

2年後(4,397人受診) 3年後(3,014人受診)

(6)

年後ともにCIN2が1例ずつ認められた。 4.考察 現在、子宮頸がん検診は2004年4月に厚生労働省 の「がん予防重点健康教育およびがん検診実施のた めの指針」が一部改正され、検診開始年齢を30歳か ら20歳として受診間隔を2年に1度の隔年検診とし た5)。子宮頸がんの原因が、HPVウイルスであるこ とが明確になることによって3)HPV-DNA検査と細 胞診を合わせた併用検診の有効性について多くの報 告がされるようになった6~9) 細胞診NILM・HPVテスト陽性群からは、岩成ら も3年間で15.9%のCIN2・3への進展がみられ、速い ものは1年でCIN3に進展したので1年後の検診が妥 当だと言っている6)。私共の報告でもこの群からは 1年後にCIN3を認め、2年後までにCIN2・3は3.6% 発見した9)。今回のA市における検診でも2年後には 14.3%が、3年後には9.2%が要精密検査となってい るのでハイリスク者としての管理が必要であること が明らかとなった。 両者陰性群における検診間隔についての検討では 岩成らによると、この群からの3年後のCIN2・3へ の進展率が0.2%(2/880)であったので、3年後検 診というトリアージが日本女性においても適応でき ることを確認している10)。私共も2年後までにCIN2 への進展率は0.02%9)としている。今回、2年後3年 後において99.2%が精検不要で要精密検査対象が 0.8%であったことから、A市の子宮頸がん検診につ いても、この群における検診間隔は3年に延長可能 であることが示唆され、日本産婦人科医会のリコメ ンデーションの正当性が検証されたと言える。また、 海外ではオランダ・フィンランドなどのように検診 間隔が5年の国もみられ11)、米国では表4に示す方 法で行われている12)。今回、この調査は2020年度 まで追跡調査が成されるので今後の結果次第では5 年延長検診も妥当となる可能性があると考えられる。 5.利益相反 開示すべき利益相反はない。 表 4 USPSTF,ACS/ASCCP/ASCP ガイドラインと日本産婦人科医会リコメンデーションとの比較

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文献 1)厚生労働省:がん検診のあり方に関する検討会中間報 告書~子宮頸がん検診の検診項目等について~平成25 年2月 〈http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002x6jv-att /2r9852000002x6nj.pdf〉(2018/06/01アクセス) 2)OECD,OECD Health Data 2013,June 2013:20-69歳女性

の子宮頸がん検診受診割合(2013年)

3)Nobbenhuis MA,Walboomers JM,Helmerhorst TJ,et al. Relation of human papillomavirus status to cervical le₋ sions and consequences for cervical-cancer screening: a prospective study. Lancet1999;354:20-5.

4)日本産婦人科医会がん対策委員会編.子宮頸がん検診 リコメンデーション―HPV-DNA検査併用検診にむけて ― 〈www.jaog.or.jp/sep2012/know/kisyakon/47_110914.pdf〉 (2018/06/01アクセス) 5)厚生労働省:「がん予防重点教育及びがん検診実施の ための指針」の一部改正について 〈http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/04/s0427-2.html〉 (2018/06/01アクセス) 6)岩成治.細胞診・HPV-DNA検査併用検診の効用-高 精 度 化 ・ 効 率 化 ・ 受 診 率 向 上 - . 産 婦 人 科 治 療 2011;102:937-46. 7) 本郷淳司.ハイリスクHPV検査の意義とその解釈.日産 婦誌2012;64(9):295-9. 8) 桑久保修,阿部千鶴子,益子和規,他.子宮頸がん検診にお ける液状検体法とHPV併用検診導入の効果.予防医学ジ ャーナル2016;489:20-3. 9) 河西十九三,立花美津子,黒川祐子,他.子宮頸がん集団検 診における併用検診の有効性.調査研究ジャーナル 2017;6:29-36. 10) 岩成治.子宮頸がん検診受診率向上への取り組み―日 本初の細胞診・HPV-DNA検査併用検診で受診率向上・ 高精度化・効率化達成―.臨床婦人科産科2010;64:288-97. 11) 林由梨,大丸貴子,松井伴衣,他.子宮頸がんスクリーニ ングシステムの国際比較.産婦の実際2008;57:1341-9. 12) 今野 良. 婦人 科 がん -最新 の 研究 動向- .日 本臨 牀 2018;76:234-41.

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Original Article

High-risk HPV-DNA Testing and Cytology can Justify

Prolonging Cervical Cancer Screening Intervals

Mitsuko Tachibana

1

, Ryoko Yanagibori

1

, Hideaki Nagai

1

,

Tokuzou Kasai

1

and Takehiko Fujisawa

1 -Abstract -

Objectives: The aim of this study is to assess if cervical cancer screening intervals can be prolonged in women who tested negative for both high-risk HPV-DNA test and cytology.

Methods: Overall, 11,521 women who visited a cervical cancer screening center in city A be-tween April 2012 and March 2014 were enrolled. Among these, women who tested negative for both cytology and high-risk HPV-DNA tests were followed up for 3 years.

Results: Of the 11,521 women enrolled, 10,753 tested negative for both high-risk HPV-DNA test and cytology at enrollment. The number of women who tested negative for both high-risk HPV-DNA test and cytology after 1, 2, and 3 years were 3,037 of 3,060 (99.2%), 4,361 of 4,397 (99.2%), and 2,991 of 3,014 (99.2%), respectively.

Conclusions: Our results indicate that the cervical cancer screening interval can be pro-longed to 3 years among women who tested negative for both high-risk HPV-DNA test and cytology.

(Chiba Survey Res J 2018;7(2):121-127) Keywords: Cervical cancer mass screening, Liquid-based cytology, High-risk HPV test, Combination screening, Cervical cancer screening interval

図 1  モデル事業の検診方式  表 1  年齢階級別細胞診結果  年齢  階級  24  25  30  35  40  45 50 55 60  65  70  75  80  合 計 ~~~~~~~~~~~ 29  34  39  44  49 54 59 64  69  74  79  人数  69  229  1,133 1,467  1,634 870 593 611 1,247 1,540 1,289  660  179  11,521 NILM  人数  56  209  1,072 1,3
図 3  年齢階級別併用検診結果

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