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地域実習レポート

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Academic year: 2021

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商店街の現状と活性化への取り組み

古江 護 Ⅰ はじめに 近年、交通網が未発達な地方では自動車で買い物に行く生活スタイルが定着してきた。これに より公共交通機関離れが進んだことで、地方では駅やバスターミナルのまわりで発展してきた商 店街が衰退してきている。さらに、2000 年には大規模小売店舗立地法が改正され、全国各地の郊 外に大型のショッピングセンターが建設されるようになり、従来のスーパーマーケットとしての 枠を超え、百貨店などそれまで商店街で提供してきた機能をすべて取り揃え、しかも大型無料駐 車場を用意した大型のショッピングセンターは大きな集客能力を持ち、それにより、十分な駐車 場を持たず、商品の品揃えや価格で劣った商店街からは客が流出していき、一気に衰退するよう になった。このように、商店街では郊外への大型店の進出や消費者のニーズの変化、過疎化など の影響を受け空き店舗が増えるなど空洞化が進んでおり、シャッター通りといわれるように地方 の商店街は衰退している。 そこで本稿では、安芸高田市の向原駅前商店街を調査の対象とし、商店街の現状はどのように なっているのか、また、その状況からどのように活性化へ取り組めばよいかを調査目的とした。 Ⅱ 旧向原町の概要 1. 向原町について 向原町は総面積の約 8 割は山林で、そのほとんどは天然の赤松林で占められている。2004 年 3 月 1 日に吉田町、八千代町、美土里町、高宮町、甲田町、と合併して安芸高田市になった。人口 は 1990 年で 5,303 人、2000 年では 4,733 人と 10 年の間で約 600 人減少しており、人口比率では 65 歳以上の比率が 2000 年で 31.9%と高齢化が進んでいる。 向原駅前商店街では1987 年には町制施行 50 周年を祝い、向原町を象徴する町の花として花し ょうぶが一般公募により選定され、花の見ごろである 6 月中旬から下旬には花しょうぶ祭りが開 催され観光客で賑わっている。 向原駅前商店街は向原駅のすぐ前にある細い路地にある商店街で、戦前には飲み屋がたち並び 賑わっていた。商店街として店ができ始めたのは80 年ほど前からで現在店を開いているのはそ の2~3 代目の人である。

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第1図 向原駅前商店街 (2008 年 10 月撮影) 向原町に隣接している吉田町では 1992 年にゆめタウンができ、それ以降もデオデオやウォン ツなど大型店が進出しており、2009 年の 3 月には新たに大型スーパーの万惣ができる予定になっ ている。向原町は国道 54 号線沿いに吉田町にゆめタウンやジュンテンドーなどの大型店舗があり、 広島市へは電車を使えば広島駅まで 1 時間 10 分(急行で 45 分)、自動車で約 1 時間で行けると いう交通条件から人が大型店舗のほうに集まりやすく、商店街は人が少なくなっていると思われ る。 2. 現在の取り組み 取り組みとしては、商店街で祭りを開くなどして商店街に足を運んでもらうきっかけ作りなど をしている。 具体的には、夏には土曜夜市を開き、ステージでバンド演奏や歩行者天国となった商店街には 輪投げや金魚すくい、サッカーゲームなどの店を出したり、浴衣姿で訪れたら花火をプレゼント したりという企画もあり、子供向けにアピールしている。

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第2図 土曜夜市 11 月上旬に行っている「きてみん祭」では歩行者天国にして多くの屋台や出店でにぎわう。ま た、ステージに学生や子供をあげて、そのつながりで親や友達に祭りに来てもらうようにして、 地域の人に多く来てもらえるようにしている。 第3図 きてみん祭 12 月には向原駅前や商店街をイルミネーションでライトアップし、町内外の人や通勤・通学 をする人に足を止めてもらえるようにしている。 Ⅲ 経営者へのアンケート調査 向原駅前商店街の経営者に対してお店に伺い、いくつかの項目に口答でその場で答えてもらい、 9 の経営者から回答を得た。

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第4図 イルミネーション 1. 向原駅前商店街の経営者について 経営者の年齢は 60 代の人が一番多く、60 歳以上の割合が半分以上を占めている。経営人数と してはパートを雇っている店もあったが、ほとんどの店は夫婦や親子での少人数での経営となっ ていた。 経営が衰退してきたと感じるか、またそれはいつごろからというと問いには、すべての経営者 が経営は衰退してきていると答え、時期については 10 年ほど前からという答えが多かった。こ れはまず、バブルがはじけ日本中が不景気になったときに経営が少し苦しくなったことと、その 後、近くに大型店ができ始めたことで客を大型店にとられたことが合わさって経営が苦しくなっ たことが大きな要因であると思われる。 1 1 1 5 0 1 0 1 2 3 4 5 6 30代 40代 50代 60代 70代 80代 第5図 経営者の年齢

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2 3 3 1 0 1 2 3 4 1人 2人 3人 4人 第6図 経営の人数 1 2 5 1 0 1 2 3 4 5 6 約1,2年前 約5年前 約10年前 約20年前 第7図 経営が衰退したのは何年前からか 2. 向原駅前商店街のお客について 向原駅前商店街に来るお客の年齢層については、写真店は写真の現像や七五三や成人式などの 写真撮影があるため客の年齢層は広いが、それ以外の業種では年齢層は 60 代前後のひとが多く、 若い人はあまり来ない。 3. 経営者の意見 ・時計店 大型店がまわりに増えたことで、大型店では時計はどこでも安く売っており、若い人は車を使

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ない。 ・写真店 デジタルカメラやカメラ携帯が普及したことで売り上げが下がっていった。景気が悪くなると 客足もさらに減ってしまうので、これ以上景気は悪くなってほしくない。 ・花屋 今の高齢者の人は車を使えない人も多いため、そのような人が歩いて近くの商店街に買いに来 てくれているが、若い人は車を使って大型店に行くから来ない。今後は高齢になっても車に乗れ る人が多くなり、商店街を離れていってしまうことが心配。 ・クリーニング店 昔はクリーニング店も何軒かあったが、どんどん潰れていって今は一軒だけになった。売りは ドライを行わず水洗いを行っていることで、ドライは早く仕事ができ仕事が簡単であるが、臭い が残ったり、しみが取れなかったり、カビがわいたりすることもあるので、それがない水洗いを 行っている。そのぶん、技術と根気が必要なので料金も高くなってしまう。しかし、技術に自信 があるので今後に不安はない。 ・工務店 日本様式の家が減ったことで大工の職人が減り、売り上げが減った。また、最近の家はわりあ い簡単に作ることができるようになっているので、大工の人も道具にこだわらず、ホームセンタ ーなどで買う人が増えたことが衰退していった原因。対策としては、ほかの店にはないものをお くことで、ホームセンターなどとの差別化をはかり、道具にこだわって買いに来る人を狙う。最 近の若い大工はまた道具にこだわる人も増えてきているので、そのような人が買いに来ている。 また、日本様式の家も最近増え始めたので売り上げが上がることを期待している。 ・靴屋 大型店ができたことで大型店で靴を買う人が増えたことと、地域の高齢化により靴をあまり使 わなくなったことが衰退していった原因。昔は旅行に行くときはこの靴をというような需要があ ったが、今はそのようなことがなくなった。今後は今ある在庫をどうやって売り切ってやめるか だけ。 ・小売店 大型店には価格や品揃えでは勝てない。対策としては、進物を常に置いている店が向原にはな かったので昔は酒をメインとして売ってきたが今は進物をメインに売り、食料品は昔ながらのお 客さんに対しておいているようなもので利益にはあまりなっていない。配達もしていて、昔は注 文も多くてまとめて配達できていたが、最近は注文も少なくまとめて送ることができないので、 利益を上げるためというよりはボランティアでやっているようなものになっている。 ・衣服店 昔は大型店をたてられないような規制があったのでそれに守られていたが、規制が緩和された ことで大型店ができ、客が大型店に集まっていったことと、人口が減少したことが衰退していっ た原因。対策として配達のサービスをしている。

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・化粧品店 お客さんの高齢化と、車を使って大型店に行く人が増えたことが衰退していった原因。しかし、 お客さんはみんな顔なじみであるという強みはある。 Ⅳ 今後の課題 今回の調査では向原商店街を主に調査したが、商店街は駅前にあるが客としてくる人はほとん どがそのまわりの地域の人たちで電車に乗ってわざわざ来る人はいないとのことだった。若い人 たちは少しの買い物であれば商店街に来ることもあるが、まとめ買いをするときはどうしても車 を使っての買い物になるので、いろんな商品があり駐車場もある大型店に行ってしまう。 祭りでは多くの人が来るが、祭りで出している出店はグループで出しており、商店街にある店 そのものをアピールするものにはなっておらず、来た人もその場限りになり売り上げの向上には つながっていない。イルミネーションでも商店街でのイルミネーションは店によって点灯時間な どがバラバラになっている。これを統一させれば、よりきれいなイルミネーションになり商店街 の印象が上がることにつながるはずである。 一番の問題は経営者の間での意識の違いで、まだ若く子供もいて、子供を育てるためにあと20 ~30 年は今の仕事で働いて生活をしていきたい人たちと、子供も社会に出ていて、今の仕事を続 けていかなくても生活していけてあと 2、3 年でやめてもかまわない人たちとがいて、なにか新 しい取り組みを始めようとするときに、それに対して投資したい人としたくない人が出てきて、 新しいことに取り組みにくい環境になっている。 Ⅴ おわりに 商店街の衰退は人口減少も大きな要因となっており、人通りの減少が売上の落ち込みにつなが り、それにより閉店・空き店舗が増加し更に人通りが減少するといった悪循環がうまれている。再 び活性化させるためには、そこに住む人を増やすと共に外部から来る人の流れを作ることも必要 である。 商店街は昔ながらの営業形態を続け、消費者のニーズの多様化に対応できなかったため衰退し ていった。 商店街の個々の店舗では、それぞれが置かれている状況が異なっているため、活性化 に対して商店街として意識の統一をすることが難しい状況になっている。しかし、個々の店の経 営努力だけでは限界があり、商店街全体を活性化させていくためにはまず、商店街としての意識 を統一させることが重要で、その上で行政などとも力をあわせて商店街の魅力をアピールし人を 呼び込んでいくことが必要だと感じた。 大型店にはない商店街の魅力としては、住民にとって身近な存在であり、人と人とのつながり が深いということがあるが、これから商店街が生き残っていくためにはそれだけではなく、それ 以外の大型店にはない魅力をだしていき、大型店との差別化をはかっていくことが重要であると

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参考文献

安芸高田市HP http://www.akitakata.jp/ (2009 年2月 18 日検索)

広島県灯り景観87選 http://www.pref.hiroshima.lg.jp/eco/h/h1/akari/index.htm (2008 年 12 月 15 日検索)

参照

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