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かんがい用貯水池の堆砂に関する研究 VII 貯水池の密度流について(その3)-香川大学学術情報リポジトリ

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(1)

弟9巻第3号〈1958) エフ1

かんがい用貯水池の堆砂に関する研究

Ⅶ 貯水池の密度流について(その3)

良 八 郎

Studies on the sedimentationinirrigationalreservoirs.

Ⅶ On the density currIentin reservoirs(3)

Hacbir・6 ⅩIRA (Laboratry of AgriculturalEngineering) Ⅳ 神内上池に関する実測(続) (2)調査結果および考察(続) (C)第3回(195フ年7月1日)調査結果について(第フ,8表および第2フ,22,29,30,31,32,33図参照)小 第3回顧測としては,第6報第4,5,6図における測点No.1,No.2,No.4,No.6,Nolフに.ついて,それ ぞれ水流,濁度,pH,アルカリ度,透明度などの各水質調査,測点No.⊥,No.2,Noい4に.ついては,沈澱箱によ るSediment調査,また測点No。3、No5について ほ透明度のみの観測を行った1この際各測点におけ ほ1mごと行い,また本日より川添鼠水堰において る採水観測流入水の水温並びに濁度の9時観測を 追加開始した いま調査日の水文事項をみると(第27,34図参 帽),貯水池流入拐は3,フ87m8/dayで前回(6月4 日)とひとしく,これほ過去2カ年平均流入塩8,1 47m8/dayの約抜弱となり少く,貯水位ほ満水面下 2・73血で,6月下旬ゆる抜き(取水)したため6月 上旬より約ユ.m下降しており,6月11日入植後,台 風5号の接近と梅雨前線活動により6月26∼2フ日に. わたり大雨があり,このPeak flow(max‖35,4フ2 m8/day)が減水し,7月に入り迫ぐまた連続的強 雨によりⅠiseが始まったその谷にあたるい 気温は9時22▲30C,最高2800C,汲低18.50Cで, 勧測時(11∼15時)260∼28.00Cであり,かんがい の為の取水あり,流入水質をみると,水温ほ24.10C で気温(2300C)より相当低く,濁度は3.5ppm, pHほ7・3,アルカリ皮は25‖Oppmであった.、 水質観潮並び龍儲周雁沌結果を示すと,罪7表の ようになり,これから各水質の等値分布図を作製し たのが,それぞれ罪23図(水温分布図),第29図(濁 度分布図),第3〇図(pH分布図),第31図(アルカリ 度分布図),第32図(密度分布周),東33図(限界選 良;勾配分布図)となる 4 5 10 11 15 20 1957年6月 第27図 神内上地水文調査(3)

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香川大学農学部学術報告 1フ2 免ず水温分布(第フ表,軍28図参照)についてみると,大体典型的な夏季成層状態を呈していることが知れる・流入 水混ほ気温より冷く24.lOCであるが,池内表層水温ほ前回(6月4日)よりも高く,上流側に向つて24けe∼26・フOC の範囲(観測を測点No1から上流に伺って11∼15時にわたって行った時間的ズレに・よる強い太陽幅射にもとづく) であり,気温に近.づいている.また堰墳付近最深部で90C以下にさがり,この間約20mの深さにわたり夏二季型の正列 成層をなしている.いまその各測点における鉛喧面内max.minの水温較差をみると,測点Nol(161OOC),No2 (15い80C),No.4(820C),No.6(2いフOC)となり,前回(6月4日)に比較して下流側No1,No・2でほ較差 の増大仁上流側聞04,No 6では較差の減少がみられる 第フ表 神内上飽水質調査並びに計算表(3) (1957年フ月1.日,豊後暗,気温26り○∼28小00C,貯水位満水面下2173m) 限界速度勾配 Gc=/lgE/p 鉛直安定度 密 度 ′ ノ【\ /)ー?T 備 考 E=dp/dz 透 …;:二喜讐莞5ニ − −一二 ̄ 0。0フ15 O 0413 0.0349 003フ6 0.0691 0り034フ 0.0393 0小0622 C.044フ ○い0394 0.0390 0.0433 0034フ 0,0220 004プ○ ー0“00005208 −0.00022フ98 −0.00012369 −0.00014408 −○り0004∈593 −0.00012285 −0い00015フ38 −00〇0393e5 −00C)020400 −0。00015e61 −○…00015530 −0000190∈;○ −○‖00012273 −000004914 −0OCO〇2251 −000000011 −0000〇2029 −0。000〇1116 −000001フフ8 気 泣; 26.ぴC 4 4 ︹∠ 2 ︵∠ 1﹂ l ﹁ノ 7▲ ﹁ノ 7 ﹁ノ ﹁ノ ﹁ノ 2 2 つム つム ︵∠ 2 っム 6 ﹁ノ 5 ︻b 5 5 っノ 0 0 5 ︻b n︶ 0 0 0 5 4 3 1 0 9 1 −︷ 1 1⊥ l 5 4 2 ︻h︶ 2 6 0 0 ︵U O O 0 0 0 3 5 5 4 3 4 4 5 ︵J 3 ︵J 3 3 3 3 3 O 99932333 09994フ913 O 99966993 O 99919266

0999841eO Ol999e6431

4E 44 45 5.0 4.0 ︵U O n︶ 0 9 93】 2いフ 0 0 0 0 1 1 0 0 ∩︶ 0 1⊥ 5 1山 4 0

0999e6442 0,999384フ1

∴一二二l: 181 891 6..91 09998958フ 185弓 8・8i 317 09999]4フ6 …;:3r 透明度: 2 eom 260】気 温: …三二二三】2フい5CC

..・至

25 O 26.0 2フ0

6=9132C

6い9 33け0 6‖9 34=5 6日9 35け0 6日9133=0

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罪9巻第3号(19∬) 173

∴1−・ こ − − ・・−‥ ∴ニ

1 ∴ 1 1 − ニ また水温の鉛宙傾度からその鉛直分布をみると,表水屑の存在が深さ○∼3m範囲にみられるようで,なお水深約 13m付近から深水屑になる傾向がみられる‖ この間(3∼13m)において,前回(6月4日)とおなじく第1次躍層 (水深約3∼9m)および第2次作間(水深約u∼13m)の存在が認めらわるいま変水屑すなわち第1次躍眉の上 限3mから第2次躍層の下限13mまでの水温傾度をみると,測点Noり1で0け6∼22(平均1り訪)OC,Noリ2で0小1∼

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香川大学農学部学術報告 174 2.9(平均1,28)OC,No.4でユ..0∼ユ.9(平均1.44)OCとなる… この際第1次雌層内では,測点Nol1で0・6′・・■2・2(平

均l21)OC,No.、2で0.6∼2,9(平均l.53)OC,No.4でIl0∼l9(平均l′44)OCとなり,変曲点inflexionlayer

は,測点No..1で水深フ∼em,No2でフ∼8m,No・4で6∼フmの屑に・みられるいまた第2次躍層内でほ,水温傾度が 測点No.Hlで1.3∼l…7(平均l.5つ)OC,No∴2で1、0∼2”l(平均l・55)OCと・なり,inflexionlayeりま・,測点No‖1およ びNo,.2で水深11∼12mの層にみられるい これら躍層の水温傾度も,前回(6月4日)より一般に・増大しており (max…値2..9。C),その池内全域にわたる平均値は,4月30日(Ol・9lOC),6月4日(l・・2フOC)に対して,今回 1い45。Cとなり,春季から夏季にかけ水温躍屈強化の傾向がうかがえるが,まだ自然湖沼の平均約2・00Cにはおよばな いい以上水注成層からみると,観測当日の流入水ほ,強い安定度を示す第ユ次躍屑の極上同温度屑をStI■atifiedflow として流下していることが推察される 濁度分布(第フ表,第29図参照)につ㌧、てみると,もほや水温躍屑の存在とほとんど関係なく,濁度ほ全域にわた りmin.2フ∼maX、14.9ppmの範囲で,前2回観測(4月30日,6月4日)の場合より幾分池水が潤濁している状況 がわかるすなわち欝2フ図に示すように,前述6月26∼2フ日の大雨による出水(6月2フ日peakflow:35,472m3/ day)が高濁高速水をもたらしたものと.考えられ,地底および堰凝内法面に・沿った付近において,前2匝l(4月30日,6 月4日)よりやや高濁度(約8∼15ppm)の濁度成層が認められる。ここで注目すべきことは,6月2フ日のpeakflow がもたらした流入潤濁水が,潤濁潜行流として池底をほいながら流下して堰礎に突き当り,堰堤内法面に沿って乱れ ながら表層まではい上り,池内に泊った逆向流として上流側に向って清澄池水と混合拡撤しながら池内全域に氾濫し ている実態がつかめたことである.この際観測当日の流入濁度は,6月27日のpeakflowが減水して再びriseが始ま る谷に.あたるので3.5ppmで潜没となり,その濁度分布からみると肇1次躍屑上部を流下し,測点No・5付近から池 底勾配に沿う下膵流と.して池内濁賀の混合拡撒に役立っていることが推察でき,demarcationlineの位置は測点No 5付近にあることが考えられる‖また潤濁潜行流は,Stabilityの高い第1次躍層により混合作用,運動豊交換,物質 交換などが弱められ,次いで滞2次躍眉により妨げられている傾向がみられ,傍2次躍層上流側の地底巴那付近に, 今観測で最大値を示す傾度大なる濁度成層がみられ,地底に近づくはど濁度大なることから,すでに濁肇が沈濾過程 に.移行してこいることが推察できる 第29図 神内上池濁度分布図(3)

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第9巻第3号(1958) 1フ5 以上のような渦濁潜行流にもとづく貯水池縦断面内の大循環は,後述第4回(8月フ日)および欝5回(8月24日, 豆台風9号墟後)観測においても明瞭に.認められたことであり,この点,一般に湖沼でほとくに循環期にさいし,貯 留水の鉛通商内の循環混合により水底や側岸の濁讐を湖沼内一・様に.撒布して,全水域を濁らせると考えられているの に対して,こ.の際枠内上池での観測でほ,合田く4)が千苅貯水池で認めたように,密度流や流入水の影響がむしろ支 配的であり,通常の湖沼と.ほ大いに趣を異にするこ.とが考えられる。 pH分布(第フ求,第30図参照)に.ついてみると,流入水はpH:7.3であるが,池内においてほ全域にわたり 68 一−74の範囲で,上層高く下層低いpHの成層化がみられるりなおpH分布からも,棚測当日流入水ほ第1次躍屑直上 同温度周付近.を流 ̄Fし,測点No小5(demarcationline)付近からやや潜行している傾向がうかがえる‖ p主i(3) 測 点 番 弓

01

解30図 神内上狛p甘分布図(3) アルカリ度分布(第フ衷,第31図参照)についてみると,流入水ほ25.0ppm程度であるが,池内においてほ25(− 36ppmの範囲で,大繰上屑低く下層高い,pH成.屑と逆のアルカリ度成層化が遊民している傾向がみられ,とくに水 注第1次躍層下限付近(水深フ∼9m)において,アルカリ度の躍屑がみられ,この躍眉でほ深さ2mについてアル カリ庶が6ppm高くなっている カリ度(3) 洲 串 番 号 第31図 神内上旭アルカリ度分布図(31

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1フ6 香川大学農学部学術報告 次に密度分布(欝フ表,欝32図参照)であるが,前述濁度分布では,潤濁質流入の影響に.より地底および堰堀内法 面に沿った付近常やや高濁度成層が認められるが,それでも池水全域にわたり約3∼15ppm程度であるから,密度ほ 専ら温度差にもとづくことになり,前述の水淀分布とおなじく典型的な成層状態を示しでおり,この分布からも第1 次躇屑(水深3′−9m)および第2次躍眉(水深11∼13m)の存在が明瞭になってくる.その鉛直分布状態をみる と,表層がminで約099630から堰堤付近最深欝でmax約0“99990にわたっており,その密度勾配dp/dzをみると, 探さ1m当り測点No1(01∼394)×10−6,No2(15∼499)×10鵬6,No4(27∼3フ8)×10−6,No6(169∼311)× ユ○ ̄6であるが,躍層部分の平均値すなわち平均鉛適安定度Emほ,第1次躍眉で測点No1(251×10−¢),No2(28 6×10 ̄6),No4(307×10−6)となり,また第2次躍屑で測点Nol.(15フ×10−6),No2(1フ0×10−8)となり,前回 (6月4日)とおなじように,第2次躍屑のStabilityより第1次躍屈のStabilityが約2倍近く強大であり,上流側は ど各推眉の平均安定度が大となっている傾向がうかがえる“第フ表および第32図(密度分布図)には,第6報で誘導

し醐,(18聞から求めた棚P∂cおよび鉛盾安定度』鴬㌢が記されてあり,この際第3凋にほ感度0・99以下の数

値を3桁まで表示してあることほ,前2回(4月30日,6月4El)とおなじで以後このように表示する。 度(3) 灘寿命弓 No6No5No4 o lOO 200 300m 第32図 神内上池密度分布図(3)

次にRICHARDSON number Riを用いて躍層の流動に対する抵抗を考察してみよう1前報(19)式Gc=/gE/pによ り各観測値に対する限界速度勾配Gcを・計算したのが第フ表に示してあり,また第33図(限界速変勾配分布図)では, 各測点での討辞値GcにユC4sec−1を乗じた値を記入してある.これらをみるとGcの傭は,測点No.lで0。00l∼ 00フ2sec ̄l,No2で0012∼00フOsec ̄1,Nor4でOO16∼0・061sec−1,No6で0”041∼0055sec−1の載掬である が,前述密殿勾配サーなわち鉛通安定度Eとおなじく,躍層部分において相当高い値を示し,各柁層の平均限界速度勾 配は,第1次摺層で軌点No。l(004フ9sec,1),No2(C).0520sec−1),No4(0,0546sec ̄1),第2次躍暦で測点Noり l(0”039Csec ̄1),No2(00399sec,1)となり,第2次碓屑より第1次柁層の方が強大なGc値を示すことが知れ るこれら矧冒部分ほ,この程魔の速度勾配をもつ乱流の交換作用を消滅させる安定度をもって−いることになり,相 当大きな乱れのener’gyを・もってしても,混合ほ行われがたいわけである 以上今回の流動状態に.ついて考えてみるに,名水督分布図でわかるように,観測当日の流入水ほ,主としてStabi・ 1ityの高い第1次碓層の上部同温安岡密度層をStratifiedflowとして流rFし,測点No5付近より若干潜行流として

下降し混合拡撤しており,瓢点No5付近にdemarcationlineの存在があるように思われる‖ またPeak flowを示

した6月27E】以降の高濁高速流入水は,Stabilityの高い第1次据層の抗既により,若干混合作用,運動五言交換,物質 交換などが弱められ,再び第2次躍屑により妨げられて,浮流物質中比較的祖毅郎分が欝ユ次柁層下部付近から第2 次躇同上流側において沈降を始めており,また第l,第2次躍屑を突破したdensity underflowほ,池偲勾配に沿っ て流 ̄Fし堰堰濫突き当って−内法軌こ治って若干乱れ乍ら池表面までほい上り,逆向流として上流側に向い,清泣流入 水や清澄池水と.の混合拡接が行われつつある現象が一席考えられる以 後降雨に.よる潤希書流入がなく,しかも取水 や余水吐からの0Ve工nOWによる放出がなければ,このほい上った瀾濁或回流ほ,BELl(22ノの示したように池内全域に

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第9巻第3号(1959) 1プア 拡放され,池水ほ静止状態の沈澱過程に移り渦濁質が沈済堆積していわゆる浮流物質層やdensitycurrentbedsを形成 するに至るであろう‖透明度に・ついてみると(肇フ表参照),測息No1(2.45m),No2(280m),No3(2.85m), No4(290m),No・5(2・・30m),No6(150m)で,前回(6月4日)より池水が相当濁って来た傾向がうかがえる. 速度勾配(3) 測点番号 常33図 神内上池限界速度勾配分布図(3) 最後に6月5日∼フ月1日にわたるSediment調査結果を示したのが第8表であり,平均日沈澱鼻は,上流側から 測点No4(53〇8g/mゴ/day),No2(19フ5g/m2/day),Noい1(1・51eg/m望/day)であり,前回(5月1日∼6月4 日)より上流側No4において約2g/m2/day少いが,下流側No.2,No・・1においてほ,それぞれ若干多くなってい る.これほ降雨並びに流入嵐が,5月(第2〇図参照)に比較して6月が少かったこと.,あるいは6月末における大雨に よるpeak董lowが高褐水をもたらしたが,前述のように,観測当日にまだ貯水池中流部以下に潤濁潜行流の残存がみ られ,と.くに測点No4池民付近における濁度成層から,濁質が沈降途上にあること.が認められるわけで,このpeak 董lowに.よる高濁流入水の濁腰部分の沈減がまだ終了しておらないために.よるものであろうその他前回(5月ユ.日 ∼6月4日)とおなじく∴下流側はど沈澱厚さや沈澱還が若干減じている現象がみられる 第8表 沈 澱 堆 積:鼠(2) (195フ年6月5日∼7月1日,27日間) 全 沈 澱 量 (g/m2)

∴∴ト・ ●;二、−、、・

概測点 (d)罪4匡l(195フ年8月フ日)調査結果に.ついて(罪9表および第34,35,36,3フ,38,39,40,41図参照卜 第4匡働測としてほ,第6報の第4,5,6図に.おける測点No・ユ.,No.2,No・4,No6,Noいフについて,水温,濁 度,pH,アルカリ度などの各水質調査,No。3,No..5に.ついては表面水温のみの調査を行い,透明度ほ潮点No.1, No2,No3,No4,No.5,No6,について測定し,Sedjment調査では,貯水位上昇のため沈澱箱連結の針金の位 置が水没したので測点No1,No2についてのみ採取した(フ月以降のSedimentについては,次回まとめて報告する). また水文事項としては,フ月1日より川添流入点において,流入水の水温並びに濁度について9特徴測を追加した. いま調査日の水文事項をみると(第34図,第42図参照),貯水池流入詠ま,3,フ8フm8/dayで前2回(6月4日,フ月 1日)観測日とおなじで少い貯水位はほとんど満水状態で満水面下○り13mとなり,前回(L7月1日)より約2em 上昇しておるが,フ月の連続的大雨に.より貯水イ立上昇してばとんど全月余水吐より0VeIflowしていたが,e月に入 り取水や降雨条件に.よりやや下降途上にあたる.気温ほ川添流ノ\点で,9時25い30C,最高32.COC,最低2二250C,また 堰堤郡取水点で9時3l00C,最高32.OOC,最低20.OOCであり,観測時(14∼1フ時)ほ265∼27。00Cで,天候は褒後 雨(15時頃より小雨となり雨中観測を行った)である.流入水賀をみると,水温25.50Cで気温(26.5◇C)より低く, 濁度は2Oppmで泣んでおり,pHほ7”4ア)L/カリ度は40.Cppmで大であった。

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香川大学農学部学術報告 今回ほ先ず梅雨前線が浦濫に張出して 強雨をもたらし,異常な流出に伴う堆砂 硯象が,貯水池寿命の短縮というトラブ ルを助長したフ月の特異な水文事項に.つ いて一枚討してみよう(第34,35図参照) フ月ほ気温上昇し,川添流入点における その平均をみると,9時2400C,最高30 ,.40C,最低206◇Cとなり,また平均9時 流入水温ほ,気温よりやや低く2230C となった。降雨状況をみると,フ月13日 頃一・_計時雨が明けたが,フ月1フ日頃より オホ−・ツク梅の高気圧が棍強く北日本に. 張′出したため,梅雨前線ほ寒冷前線式に・ 南下して西日本に.停滞したため,強い雷 と強い俄雨を伴う梅雨末期虻大雨が障 り,たとえば長崎県でほ,7月25日早朝 から26日朝にかけて蒙雨,すなわち説早 市フ08mm,大村市830mmなる記録破り の雨崖を示し家雨禍を起したこと.ほ,ま だ吾々の記憶にあたらしいところであ る.よりて当地にぉいても降雨多く,降 雨日数19日で月雨還23フフmmとなり,流 出崖すなわち貯水池流入環も50,00Cm8/ day以上のpeak flowを示すこと.3回, したがって土砂や濁賀の流入多く,月流 入水篇990,3フ4m8/montb,平均流入水 毘31,94フm3/day,平均9時流入濁度51小 2ppmなどのごとく,4月観測開始以来最 高値を示して,貯水位もほとんど毎日満 水面上を示し余水吐より 0Ver flow す るに至ったそのうち当地で特肇すべき ことほ,フ月18日早朝の家雨によるpea寧 董lowである.その内容を記述すると,前 述のようにフ月13日頃−・旦梅雨明けとな ったが,オホ−・ツク海の高気圧が北日本 に張出したため,梅雨前線が南下して四 国東部に近づき雷を伴った家雨があった わけで,その時の状況ほ,18日3時2C分 頓に高松で観測された雷が北東カから高 松上空に近づくにつれ強くなり6時40分 頃消滅したが,これと前後レて3時55分 短から弓飢\雨が降り始め,はとんどおな じ強さで6時25分頃まで約3時間競いた・ とくに強かったのは4時∼6時頃までで 1時間雨屈高松で42mm,当地で24mmを ユ78 月流入袋:990374が 月降水日放:18巳 偲度︵㌧︶亜 35 30 25 20 ほ 10 5 0 1957年7月 第3く二図 神内上地水文調査 値)

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第9巻常3骨(1958〉 1フ9 記録したその後雨勢弱まり8時3〇分壇で全く止み,1フ日の日雨露高低で926mm,当川添観測点で390mmとなつ た.この約3時間続いた豪雨加硫曲線と,神内上他流域からの流出水盈,すなわち神内上他流入鼠変化を示す川添量 水塔水位酎1線の関係を,自記雨還討および自記水位計記録をもとにして表示したのが第35図である小 この関係をみる と,降雨強度の高い連続時雨という降雨灸件に.より水位曲線が盾線的に急増し,雨塁のpeakよりおくれること約1時 間後にpeak f−low(概測以来の最大値で,5時30分水位0フ4m,流品154629m8/sec)を示し,以後水位が漸減し ている傾向が知れる,.この家雨により,18日の流入水置ほ33ユ,ユ32m8/day(貯水客鼠の約兢)となり,これまでの最 高佃を示し,余水吐をOVer・flowすること約2m,流入淘庶も9時観測でl,200ppmなる高濁度を示し,Sediment 問題に関して重大なトラブルがあった 24 12 24 12 24 12 24 12 24 12 24(、時) 7月 (17日) (18日) (19日) (20日) (21E王) 第35図195フ年フ月ユ8日早朝の変雨による雨量加積曲線と水位曲線の関係(川添観測所) 次に,観測当日における池内水質観測立転びに計算値の結果を示したのが第9表であり,これから各水質の縦断面内 等値分布図を作製したのが,そ・れぞれ欝36図(水温分布図),第3フ図(濁度分布図),第38図(p‡‡分布図),第39図 (アルカリ度分布図),第40図(密度分布図),第41区l(限男速度勾配分布図)となる 先ず水温分布(第9表および欝36図参照)であるが,FoREl(2)(ユ,8巳6)ほ,−・般湖沼を表面水温の変化から,(1) 熱帯欄TropischeISee(年中水温40c以上の湖水),(2偏滞湖Gem畠ssigter’OdertemperierterSee(最高40C以上, 最低40C以下の湖水),(3)寒嵩:湖Polarer・See(年中40CL2J下の湖水)に分頬しており,また故ま村博士(2)ほ,湖沼の 主に.風,湖魚形態,気温により夏季水温を仰熱笛湖,(2)亜熟罵:湖,(3魔笛湖に分類した」それで神内上池の水温変動 並びに成剛犬態が湖沼に.おける亜熱昔ほり探聞のそれと類似したものと考えると,夏季(フ,8月頃)ほ,一偲漸召に おける停滞期Stagnation periodに.あたるわけで,典型的な夏季における正列成層状態を示している流入水温ほ 温より約lOC冷く25」50Cであったが仁貯水池衷層水温は28・3∼2950Cにわたり前回(7月1日)より高く,しかも それぞれ気温r265→2フり00C)より約2.00C高くなっている・また貯水位が上昇したため堰港付近最深部で8CC以下 にさがり.この間約23mにわたって典型的な水温正列成層をなしていることがうかがえる・いま各測点における鉛直 面内最高,最低の水温較差をみると,測点Nolで2010C,No2で192ウC,No4でIl20C,No6でづ60Cとなり, 前3回(4月30日,6月4日,フ月1日)観渕のいずれよりも各測点において増高し,水温較差のmax・値を示して いるこれほ主として気温の上界あるいほ貯水僅上昇による水深の増加によるものと考えられる

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香川大学農学部学術報普 欝9表 神内上池永賀詞査並びに計算表(4) (195フ年8月フ日,曇後雨,気温26,5(一2フ.00C,貯水位満水面下0・13m) 180

冊。悪

鉛直安定度 ′ 一 ̄\ ヽ Eニdp/dz 限界速度勾配 Gc=/一面

。Hl号蒜カー備 考

密 、 ‥・− ∴ Pβ了 透明度: 2,15m 気 温: 2650C O 99626435 0.99629389 O 99629513 0。99フ14030 0.99フ509フ0 0い99フフ0392 099フ84586 82 S.1 8.0 フ.4 フ0 69 O1 283 −0.00002954 −0、00000ユ.24 −000084567 一0.00036890 −0CO〇19422 −0.0(〕014194 −○け0001372〔〉 −○。00011〔54 −000008フ3フ ー000024907 −0..00〔)59565 −0..000212フ1 −000028フ93 −〇000〔)5フ13 −000C)09フ26 −000016B69 −000004491 −0.00000745 −000〇04フ67 −0000〇10〇〇 −0000つ3892 0 5 ︵∠ 2 ﹁ノ 3 フ▲ 9 つJ 5 5 ﹁ノ 1 6 ︵ごーノ 0 0 6 Q︺ 5 ﹁ノ 3一1⊥ 0 3 ﹁ノ 6 2 9 9 6 5 ︵J 3 0 0 1﹂ ﹁ノ 1⊥ 9 9 1 0 9 6 4 3 3 3 つん 4 ﹁ノ 4 5 2 3 4 つJ つム 2 0 1▲ 0 ∩︶ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 ∩ノ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 ∩︶ 0 ∩︶ 0 0 ▲U O O O n︶ 0 0 0 0 0 0 ∩︶ 0 28、2 28 2 25 3 23∈ 23 C 22.4 21…e

21.3 20。9 19いL7

164 150

12小8 12.3 114

95 819 88 ・

て ∴

45】 0..9991809フ

一  ̄ 099343004

0.99902569 099923840

O 93952633 O 99955346 0。999690フ2 099934901 0√99989392 2.9 2.6 5フ 2。8 33 4.1 0.9999〇13フ 83 30“7 O 999349341 O 999359341 099999フ96 − __ __ 235透明度‥ 23・5L 2乃m 2 0 4 0 0 9 9 ∩︶ 9 9 9 9 9 9 9 9 9 ︵U CC 8 8 ︵0 っノ 7▲ ︻ノ 6 6 7一 6 6 6 6 6 6 6 6 6 7 6 6 0199620198 0.996292フ0 45】 O 39635343 2 1 4 ︵J 3 3 5 4 9 5 5 5 4 1 ︵∠ 4 5 ︵J 3 3 3 4 ︻b 2 3 3 2 3 3 9 0日99フ89094 0日99S掴4 0小9990フ142 0け99820239 6 8 5 つJ ︹∠ ︵∠ 2 4 4 5 ︻.〇 ︵U 8 ︵∠ 3 4 4 5 7 9 ∩︶ 2 2 2 ︵∠ 2 つム ︵∠ 3 3 ︵J 3 3 3 ︵J 4 mrJ謝﹁dq︼良¶﹂mrJuqll八川州u﹁打︺﹂可qrJ甘<u 23.0 22 2 21フ 21 4 ﹁ノ ︵0 9 0 1 1 1⊥ 0 9 6 2 1 1 OU O 5 0.99856フ92 09990090フ 0‖99928155

14.フ 131

12 O 11 6 099949083 1 O 99961635 0け99965908 0い999フ6518 ︹、﹁ご 〇〇 1− 1 9・416・7 9.3 296 −000C056〔∋8 透明度: 2.65m

(11)

181 第9巻革3号(1958)

謝備 考

L 密 , 【 /」凰_\ PβⅠ 鉛直安定度 ノーーーーー−−−→、、−+ E=dp/dz 限界速度勾配 Gc=/†盲豆司 鞋竺」冬草

28.6≡ 29

O 996170411

透明度: 3.30m 気 温: 26.フOC −000009140 −0.00023953 −000050932 −0。00C39537 −000029654 −000009552 −00000〕806 −○。000153フフ ー00∝).10;98 −00003024フ ー0“00059Sフ8 28」3l 0.99626181 09965013∠呈 0..99フ01066 0.99740603 0.99フフ025フ 0,99フフ98〇9 0.99800615 0.99815992 0け99326390 0.9985フ13フ 0.99e85926 25 3.4 2り6 3.1 2い9 38 61 5.4 10,0

王≡∴≡ト三三二喜

透明度: 2,60m 透明度: 2い80m 安も 温: 26.50C 0.995∈;890 0.9963533 O 9965016 099プ0659 2 0U 5 へ∠ 2 1 1 8 ﹁ノ ﹁ノ フ フ ﹁ノ 7 2フ.C 25.5 2フ.0 28 5 一0.00046425 【0..00014829 −00005643フ ・−00()046629 −0000405フ0 嶋000002528 006フ6 C 0384 0.0フ45 0.C6フフ 0.0631 0‖0158 0.99フ5L322フ 0…99フ93フ9フ 0.99フ96325 0 0 0 ︵rJ .↓■ ﹂▲ 2 3 ︵J

4。1・。l気2碧5三c

また水温の鈴眉傾度からその鉛億分布状態を検討してみるに.,表水屑は探さ0∼2mの範囲に明瞭にみられ,その深 さIm当り平均水温傾度を示すと,測点Noい1(0050C),No2(025◇C),No4(0.550C),No6(ユ川OOC)と上流側 はど高くなって−いるが,これほ主として観測が上流側から下流別に向って14∼1フ時にわたり行われ,その時間的ズレ によるものであり,表水屑において太陽幅射や蒸発,対流,渦動の影響が活発であったことが了解される.また表水 屑以下水深約2∼14mの範囲に.おいて,変水屑の存在が認められ,それ以下深水屑の形態を示している,この際変水 屑をみると,6月4日観測以来認められた第1次躇屑(2∼4m)の厚さがやや縮少し,その代り第2次躍屑(10∼14 m)の厚さが拡大してきている.いま変水屑,すなわち第1次躍層上限2mから第2次躍層下限14m範囲内における 水温鉛直傾度をみると,凱曳No1,0い4∼33(平均1り33)OC,No2,03∼2小5(平均1…33)OC,No4,0.4∼3.2(平 均130)OC,No.6,0.2∼2.0く平均1‖4つ)OCとなるこの際第1次躍屑では,測点No.1,15∼2い9(平均2」2)OC, No.2,l8∼2.4(平均2l.)OC,No4,l.5∼18(平均lフ)OC,Nol6,l.8−20(平均1.9)OC となり,inflexion layerは測点No.1(2.90C),No2(2”40C),No4(18OC),No6(210OC)を通じて水深2∼3mのZOneにみられ る.また第2次碓府内では,水温鉛直傾度が,軌点No1,05∼3」3(平均1.9)OC,No2,1.1∼2.5(平均18)OC, No4,3,20Cとなり,inflexionlayerほ,測点No1(33OC),No2(250C),No4(3.2OC)を通じて水輝10∼ll mのZOneにろれら,第1次,肇2次躍層とも相当大なる水温傾度が認められた,これら躍層内平均水温傾度も,これ までの前3匝l(4月3〔)日,6月4日,フ月⊥日)観測憫より増高しており,maX.値として3,.30C,池水全域にわたる 平均値として1“960Cなる一・駄湖沼のそれ(平均的200C)iこ匹敵する値を示しているこのように神内上池でほ, 8月盛夏に入ると躇層の水温傾変が自然湖沼に類似した高い値を示すが,この際自然湖沼とおなじように,躍層内の 対流や摂動があまり活濁でないことを暗示して−おり,湖沼でいう夏季完全停滞期Summer COmplete stagnation period h深層水温の年度化についてFoREL(l,895)ほ4期に分け,PFENNIGER(l,902)ほ6分し,さらに政吉村博士 は8分している(2)〕にあたるわけである.さて額測時の流入水温ほ気温よりやや低い(2550C)が,池内表層水温ほ 全域にわたり気温より高く28∼29CCであるので,この際流入水ほ水温成層中同混同密度屑付近をStratified flowとし

(12)

香川大学農学部学術報告 182 て流下するものとすると,それほ第1次躇層下限付近であるが,また流入水が少いので,日中流入後惑ちに酎、太陽 の幅紳こより温められながら第1次躍層乱ヒ表水屑を表層流として緩慢に流下混合する部分もあることが,後述限界 速度勾配分布図(男41図)に.より一応考えられるいこむように,前回(フ月1日)頼渕後当相渕日までフ月∼8月上 旬にわたる高温流入水ほ,表層流あるいほ第1次躍屑の同温同密度層を流下する成層流として流入し,またフ月梅雨 ・前線がもたらした高速高麗流入水が,第1次躍屑内を突破して流下し,混合,熱交換によりて第1次躍層の厚みを締 少したものと考えられる 水温(4) 測 点 番 号

No.6 No.5 No..4 No..3

一山− −−■■■■−■ .ニー 、 ︵川添鼻水療︶ ■■■ 一−− −−−■ 斗■−  ̄ ■■■ ̄■■■■ −23−・−・ _−‥2ニトー 水凍︵m︶ ーー ー・・2l −−− −2(〉

天候 7す夜雨

ヒ一日℃ q8与Ma.x M盲− ノ コ5.3;!2.0:!つ.】

観剖日 】qち7年8月7F 涜<畳 3,78ワ!‰ 7K面高 −0.I3 Ⅶ

■■■− −−− 一・■・−l・■■l l⊃ l 一■2「−・÷ 水温:D℃ 0 100 200 300m − − ■ ▲ 1 ・ J 第36図 神内上池水温分布図(射 次に.濁度分布(第9表,第3咽参照)であるが,ここで注屈すペきことは,前回(7月1日)とおなしく水温成層 とははとんど関係なく,過去フ月一−8月上旬にかけての梅雨並びに雷雨を伴う豪雨がもたらした高速高濁流入水の拶 響が,まだ池填灘よび堰堤付近に顕著に残存しており,明僚な高濁度成層カミ認められることであるすなわち,当日 流入濁度は約2ppmで澄んでおり,また池内表層水ほ上流から軌点Nolフ∼No」6では約2ppm,No6∼No‖3付近・でほ約 3ppm,Noい3∼No..2月近までほ約4ppm,No2∼No・1までほ約5一一フ卯m程紛であるが,Nollから堰堤内法面ま でに淘度傾度の著しい約フ∼30ppmなる下流別はど高濁変の水平的成層がみられ,また鉛直面をみると,測点No2よ り上流側に,おいては地表minh2ppm−地底max130ppmの範踵の池底勾配に沿った顕著な濁度成層がみられるとく に瓢点No小6以下の池酷lはにおいて池底をほう高濁度(6【〉3Cppm)の濁度正列成層が存在し,軌東No・2より下流に

至りてこの成層はやや水平に移行し,それ以下呟堤内法尻まで約4mの深さにおいて約30∼110ppmにわたる濁度傾炭

の極めて馴、典型的な高濁度止列成層がみられ,なお堰堤に突キ当った瀾濁酒石流が内法面に沿rって割れながらほい 上り,瑞斐6∼・40ppmなる水平的濁度成層をなし,上流側溝漫地水と混合拡撒されている状況がうかがえる・この際 今迄みられなかった池庶および内法酎こ沿う高濁度成層の残存ほ,那4,35凶に示されているように・はとんど異兼 高濁水をもたらしたところのフ月l引∃および7月2引ヨのpeakflowにこよるものと考えられるlこのような.摘高速 入水が油断こ沿って潜行流下し,堰矧こ達してほい上りむ生ずる流動状態ほ,崩回(ブ月1日)および後述の次回 (8月24日)観測においても認められたことであるが,今回の場合とくに考えうることほ,7月1引ヨ早朝の蒙雨ほ約

3時間に39mmで,異滴な流入塩および流入濁度を示し,余水吐からの0V・e工flowほ約2mJオ上に・なったことを考え

合せると,内法動こ沿ってはい上った滴濁成層流の大部分はそのまま余水吐より放出されたことが推察され,このこ

とは流入滴濁賀の微粒部分の大部が,そのまま放出されたことによる阻止率trapefficiencyの低下,したがつこ貯水

(13)

欝9巻罪3号(1958) 183

客筋減少損失なるトラブル軽減の方向に役立っ1たものと考えられる‖また測点Nol2から下流側堰堀内法までにわたる 水深約19m以下の濁度傾度極めて高い高濁度正列成層は,主として潤濁潜行密度流に.より流送されたコロイト状徽粗

子が,流動停止して停滞状態の沈澱過程にあることを示しており,フ月の梅雨前線にもとづく家雨によ

たpeak:Howが,高尚をもたらし,測点No。2下流部から堰堤付近にわたり相当多鼠のdensity current bedsを形成

したものと考えられる 皮(4) 次にp‡I分布(第9表,第3∋図参照)であるが,流入水のpHほフ‖4であり,池内ほ.表層max..8い4から下層min.6.8 に.わたり(測点No.2より下流側でほpH7.C∼69範囲に.おいて.L多少惣乱された傾向があるが),大体水温成層とおなじ ように,はば水平なpHの成層をなしているこの成層でとくに表層深さ0∼3m符囲(pH9.1∼フ2)に相当強いpH の傾度(pK傾度・1m当り平均約11)がみられるが,これほ水温成層と関連があるようにみえ,前報でのぺたように, 流入水のpI壬フ4に.対して第1次躍眉上部すなわち表水屑高温部に.おいてフ.4∼81のように上層はどpHがとくに高く なっているのほ,高温による池水菜発作用と,Co2の溶解度に関連しているものと考えられるまた水温成層のとと (2〉(4) く割合顕著な成刷大使をなすことほ,主と.してCo2とCo8〝と.の平衡関係 により説明できるだろう (4) 測 点 番 号 No5 No..4 10 罪3≡図 神内上池pH分布図(4)

(14)

香川大学農学部学術報告 184 アルカリ度分布(罪9表,第39図参照)をみると,流入水40‖Cppmで相当高く,池内においては全域にわたりmin・ 18∼maX.40ppmの範囲で,表水屑中第1次躍層と第2次躍屑の中間付近に.おいて多少割れて1部成層の逆転がある が,大体池底勾配に.沿った上層はど低く下層はど高いアルカ.り度の成層が認められ,とくに下流例の測点No・2∼No・ 1の池環吊近でほ高アルカリ度40ppmを示している. アルカリ度(4) ■▼ ′/」・■i \■Tノ 測 点 番 号

α1

匹 J 田 田 0

ヽノ 面 満 水洗︵m︶ /\ 第39図 神内上池アルカリ度分布図(4) 次に密度分楯(欝9表,第40図参照)であるが,今回は池底周よび堰堀内法面に沿う付近に・おいて,今迄にみられ なかった高濁度成層(10∼110ppm)が存在したので,そのうちとくに高濁度部分において濁度の影響あったが,埠 水大部の密度は温度差にもとづくことになり,前述の水温分布とおなじように典型的な密度の正列成層を示してお り,この分布状態からも第1次躍層が水深2∼4m,第2次躍眉が水深10∼14m付近濫存在することが明瞭となる−・ その密度分布の内容をみると,密度ほ表層min∴で約099590から堰堤付近最深部でmax約0l99999にわたっており, その密度勾配dβ/dzをみると,深さ1甲当り軌点No1(1∼e46)×10■ ̄6,No・2(ユ○∼685)×10 ̄6,No4椅∼596)× 10−¢,No,6(25∼564)×10−6なる範囲であるが,躍層部分の平均鉛臆安定度Emほ,第ユ・次躍屑で測点No1(60フ ×10−6),No2(582×10−6),No4(452×10−6),No・6(515×10 ̄6)であり,第2次躍屑でほ測点No1(2e8× 10−6),No.2(262×10−6)となり,これまでの観測値と同様に第1次躍層のStabilityが第2次躍層のそれの約2 倍以上高い値を示しているuまた前回(フ月1日)のStabilityと比較すると,第1次,第2次躇屑においてそれぞれ 約2倍の安定度を示し,躍層のStabilityがますます高まっていわゆる完全停滞期にあるといえるであろうtr したがっ て,このように水温や密度成層の発達が寂着であると,−L般に流水ほqtratified flowとなり,鉛直安定度Eが大き いはど,その部分の流動ene柑yは減耗するから,流入水は専ら池内の密度のほぼひとしい部分を縫うことになる‖

(15)

第9巻繋3号(1953) 1∈5

(4)

測点 番 号

Noい6 No5 No一・4

東條1愚才灸両

i等密度‥ 流入引 ヲワgr塊, 一・0tち闇

0100200 l

l 第40図 神内上池密度分布図(4) 限界速度勾配Gc(第9表,第41図参媚)の分布をみると,軌点No1(0004∼C)”09lsec−1),No2(0.O10∼C)小082 SeC ̄1),No.4(C。009∼〕.077sec ̄1),No.6(0D16∼00フ5sec ̄1)の範囲であるが,前述密度勾配すなわち鉛直安 定度Eとおなじように,躇屑部分において前回(7月1日)よりもなお高い値を示した∴すなわち各躍層の平均限 界速度勾配は,第1次躍眉で測点Noユ(0“0フ5プsec−1),No”2(C).0フ54sec ̄l),No4(0.06e6sec−1),No.6(0Cフ lユsec ̄1)で,常2次雄層でほ測点Nohl(○0497sec ̄1),No.2(00495sec ̄1)と.なり,前回とおなじように第2 次躍周より第1次躍層の方が強大な限界速度勾配を示すことがうかがえる..この際の限界速度勾配Gc=/前の値 は地中にある任思の部局で・乱流交換が可能か否かの判断に役立つわけで,たとえば開水路乱流(4)に・ついてみるとこ適

度分納数法肛若=A十三・旦logu憬エが成立する場合には,意=旦碧であり,hl≦z≦毎の平棚轟音 /「 1■

についてほ,盲=そ孟㌢log

b2 后

)であり,u・九に比例する鼠であることが知れる・・このu北=/㍍万(To‥粘性に

もとづく努断応力,P:密度)は,速蟹のdimensionをもつ摩擦速壁friction velocityあるいほ.常断応力速度Schu・ bspannungesch・Windigkeitであるから,一・般に乱流でGcが大きくなるためには,それだけ大きい勢力を生ずる必 要があることを意味すること.になる‖ よりて以上のような強大な限界速度勾配Gcを示す躍屑部分でほ,この程度の 速度匂配をもつ乱流の交換作用を消滅さゼるStabilityをもつことに.なり,相当大きい乱れのenergyもってしても混 合ほ行われがたいから,高速高濁流入水は別として,鶴渕当日程度の流入水は第1次躍層の上層あるいほ同混同密層 を成層流として流下することになろう. 以上に.より今回の流動状態について考察してみると,各水質分布図からわかるように,観測当日の流入水ほ少くし かも成層の発達が著しいので,流入後同混同密度層を成層流と.として流下し,第1次躇層と第2次躍層の間のStabil・

ity低い部分をほぼ水平にStratified flow として流下し,またl部ほEやGcの高い第l次躍層に達して流動の

energyが減耗し,熱交換や稀釈によって第1次躍暦の上部を流下する傾向が考えられるまた過去フ月にわたる高 速高濁流入水ほ.,相当強大な乱れのenergyをもつので,第1次および第2次躍層でも乱流の交換作用が消滅せず, 地底をはうdensity underflowとして流下し,堰堤に,達して内法面に泊ったはい上り状態の流動を示したことが推

できる.

(16)

香川大学農学部学術報告

01PO」空一⊥㌘m

(満水面) 第4二1図 神内上池眼界速度勾配分布図(4) Nol(215m)であり,前回(7月1日)と大体おなし程度で弛水が大分濁つている傾向がうかがえるが,それでも 上流側および下流側より中流部において若干地水が澄んでいる傾向がみられる なおSediment調査は1部実俺しなかったので,次報でまとめて一報告する、 (e)第5回(195フ年8月23∼24日,豆台風9号)調査結果について(第10表,第42,43,44,45,46,47,4e,4 9,50図参照) 今回の観測ほ,特別としで台風直後に.おける貯水池水理水質に.ついて検討するため,豆台風9一号発生により,フ月 23日四国各県に風雨注意報が発表された機会に,フ月23日から貯水池付近に泊りがけで24日にわたる枠内上他流域流 出率調査を兼ねて行われたものであるすなわち,この豆台風は風の影響あまりなくむしろ雨の影響の方が大きく, 24日朝までの雨景は,四国南東部で25Cmmに.達し,また当香川県東部でも13Cmmにおよんだ。またこの台風ほ24日 3時局知す弓近に達して中心気圧1000ミリバノールに衰弱し,挿磨溌に.達した頃ほ四国南東部の雨ほ全般に.弱くなり,注 意報も24日には解除されたので,川添観測鳩常.おける降雨(23日35mm)および流出(最高水位○い24m,流出鼠24日 23,10≡m8/day)ほ,7月頻発した豪雨に.よるpeak董lowに比較してさはど大でなかつたが,・一応台風迫後における 渦濁流入水の流動に関して員藍な観測ができた. 今回の観測は,主として8月23日1e時から望24日13時紅わたり川添墨水埴において自記雨鼠封および自記水イ立討に よるものと平行的に.,ユ時間ごと気温,流入水位,流入水温,流入淘度などの徹夜寝相けを行い,また24日13時より15 時30分まで,上流側から下流側にかけて通前の池内各水貿棚測を行ってその流動状態を追跡したこの際測点No1, No.2,No4,No6,No フについては水温,濁蟹,pH,アルカリ度などの各水質観測を時間の都合で深さ3mごと 実施,透明度については上流側背水点付近から堰堤イ弓近まで胤点No1∼No6を含めて計18点について測定し,渦濁 水流入畠後の池水の帝りかたについて検討した いま8月における帖添観測点の水文事項についてみると(第42図参帽)気温ほ上昇して8月平均値は9時26フOC, 最高33い50C,良低2440Cで年間巌も岩くなり,平均9時流入水温は気温よりもやや低く24.2◇Cと.なるが,フ月のそ れより約20C上昇しており,本格的の夏型の天気となる.この間台風フ号ほ九州西方海上を北上して野砲にほ蘭暦な かったが,前述のように今回の台風9号をこより若干雨をもたらしたわけである降水日数は13日で月雨鼠91フmm程 度で少く,したがって流入鼻ほ台風9号により約2方m8/dayの peak flowを示した程度で一・般に少く,月流入量 144,26em8/month,平均流入景4,654m8/dayで流入濁貿も少く,平均9時流入濁度は僅か3.2ppmとなり,平均貯水

(17)

第9巻第3号(1958) ユ87 位ほ満水而7047mとなった さて次に調査当日の水文事項(第42,43図参照)をみると前述のように豆台風9号が24日朝までに35mmの雨をも たらし,流入水位ほ川添崖水曜でmax.値約024m(23日23持と24日8∼9時頃)なる2っのpeak flowを示して24 EI貯水池流入遠は23,lC8m8/dayとなり,これまでの5回にわたる観測日を通じてmax。ilowを示した(これは過去 2カ年平均流入鼠の約3倍近い侶となる)…貯水位ほ満水南下10フmで前回(8月フ日)より約1m下って−いるが,今 回のpeak董lowに二.より前日より若干上昇した傾向がみられるL.また池内水質観測日(24日)の水文事項をみると, 気温ほ川添流入点で9時25lOC,最高32一OCC最低23。6OC,堰堤取水点で9時24OOC,最高32OOC,最低20OOCで あり,拗音馴寺(13時∼⊥5時30分)では28,2∼2890Cで天候ほ台風9一写による降雨が止み桑後略となる..13時流入水 貿をみると,水湿245OCで気温より約3。フOC低く,濁度ほ台風による Peak flowに,伴う濁度のPeakが低下し7::5小4 ppm,pHほフhOで中性,アルカリ度33ppmであった (mm)(m8/day) さて台風9号の影響 による8月23日∼24日 にかけての気泣,降雨, 流入水僅,流入水混, 流入濁度などの観潮 dataなまとめて示した のが罪48図となるこ れによると流入眉の気 湿ほ23日ユe時約260C から夜間紅なり20時約 250Cに下ったが,台風 の影響で軍24日朝まで あまり変化がなく8時 頃より上昇の傾向をた どり,流入水昔は気瀾 より伯いが大体同様な 傾向を示した.これに 対して降雨雷,流入罷 を示す水位および流入 濁度を示す各曲線で闇 台風時の変異を示して おり,その雨農加積曲 線をみると,23日12時 頃降雨が始まり,ユ9時 ∼20時にわたり降雨恩

の peak(max90

mm/hr,25mm/10 min)があり22時頃か ら24日2時頃まで一旦 小雨となり,再び2暗 から降雨が弓重くなって 6時頃まで続いて止 み,23日日雨鼠として 35mmを示したこれ に対して流域からの流 10 15 20 2425 聖旦 1957年8月 第42図 神内上他水文調査(5)

(18)

香川大学農学部学術報告 .188 出藍すなわち貯水池流入鼠を示す川添崖水堰の水位変異曲線をみると,1フ時頃から水位上昇が始まり,雨還のpeak よりおくれること約3時間後すなわち23時頃水位曲線のpeak(max,0い24m)があらわれている… また降雨が22時 ∼24時にわたりはとんと止んだ影響によりて水位曲線ほ次第に降下し,24日5時頃min値 ○い1・55mまで下り,24日2 時以後の雨により水位ほ鞘び上昇して8∼9時頃第2次のpeak(max0。24m)を示し,以後水億は漸次低下の傾 向をたどった.また濁度の変異曲線をみると,大体水佗曲線と同様な変化を示し,第1次,第2次の濁度のpeakを 生じて以後漸減したが,この際濁度変異曲線の各Peakほ,それぞれ水位変異曲線のpeakより約l時間おくれて出 現していることほ興味あることである. さて貯水池について引続いて行われた水質観測並びに言十昇値の結果を示したのが第10衣であり‖ これら各水質の等 値分布図を作製したのがそれぞれ第44図(水温分布図),第45図(濁度分布図),第46図(pH分布図),節4フ図(アル カリ度分布図),滞48図(密度分布図),肇49区i(限男運度勾配分布図)である‖また貯水池内流心部において概渕し た透明度の縦断面内水平分布を示したのが第5C閤となる… 先ず水温分布 (第10表,第44図 参照)をみ.ると, 流入水温は13時 24.50Cで気温 より3.フOCはど 低いが,池内表 層水温ほ28・・2∼ 28.90Cでそれ ぞれ勧測時刻の 気温にひとしく, 前回(8月7巨り より気温や池両 水温が低くなっ ている、また堰 堤付近最深部で 8。50C以】■Fにさ がり,この聞約 22mにまったりて 水温の正列成層 がみられるい 針各測点におけ る鉛直面内最高, 蚊低の水温較差 をみると,測点 Nol1で204CC, No2で18フOC, No.4でフ小20C, No6で2.フ〇Cと なり,4月硯渕 開始以来maxl 12 24 12 24 12 偶′ 他を示したとこ 8月23日 24日 25日 ろの前回(8月 欝43図 豆台風9号による降雨と貯水池流入水に関する変異曲線(195フ年8月23∼24日) フ日)よf)測点

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第9巻罪3号(1958) No.1を除いて’水温較差の減少がみられる 第10表 神内上飽水票調査並.びに言†辞表(5) (195フ年8月24日,黍後咄,気温28.2∼2890C.貯水位満水面 ̄FLOフm) 189 限界速度勾配

Gc=/衝

蜜一〈、遁 P♂T

鉛直安定度 ′ ノ、−

E=dp/dz 濁 度 r(ppm)

099607862!

ー0000〇9288 −00003662フ --O 00024943 ○り99635フ26 099フ456C8 099820439 O 99916618 O 99952962 0、999フ9331 0。99992468 −000032C60 O 0561 −O C0012115 −0い00008フ69 −0.000043フ9 臣 21

No2∈ ○

透明度: 2 い55m 透明度: 2..32m 気 濠: −・二・二‥ 0.99629416 0.99664フ2フ 0.99フ821フフ 0.998161e6 −0.00011フフ0 −0.00039150 −0,.00011336

−一 十‥ ∴

2フ6r 2820C 2 8 2 No 5 1 O 透明度: 2 25m

0.99629395r

O・99644402】 099フ0フ025言

No62

28.21 5。9 3 3 3 9 0 1⊥ 透明度: 2 25m 気 温: 2∈).20C

ーー○“0000フ504 −0.OCO3131一〕_

C ︰ 2 湿81 2 気 0 3 3 ﹁ノ Or 24.5 099フ09336 水混の鉛値の傾度から池内の成層状態をみると,今回もなお第1次および第2次躍固が存在しておるが,堰堤近く において両躍屑が併合する傾向がみられることは注目すべきことである(主として第2次躍屑が上昇)い 表水屑は水 深○∼3m確聞にみられ,その平均水湿傾度ほ1m当りに換算して測点No1(0.300C),No.2(○り1フOC),No4(0. 40C),Ⅸ0・6(0250C)となり,また水深約3′−15mが変水屑でそれ以下深水屑の形態を示している.変水屑におけ る第1次膵層および第2次躍屑の分布をみると,測点No2より上流側においてほ大体第1次躍屑が水深約3∼フmの 策臥第2次躍屑は水深約12∼15mの椎田に・みられるが,観点No2付近からNoユ,堰堤内法面にかけて,水深9m付 近な中心に併合(主として第2次躍屑が上昇している)するような分布状態を示しているが,このことについてほ後 述密野分布について儲明する・躇屑内における水温鉛感慨度をみると.沸点牒01でほ両躍層が併合したものとして 1m当り平均値13ユOC,測点No2から上流部でほ第1次躇同の1m当り平均値ほ測点No2(1。630C),No.4(ユ50C) となり第2次躍屑でほ測点No2(2300C)となる・今回は第2次躍閻の水温傾度が若干大きくなった感じであるが, 池水全域にわたる平均値としてほ1・}6l〇Cがえられ,この値ほ前回(3月フ日)l.960Cをpeakとして躍屑の池内平均 水温傾鑑が漸減する傾向がみられるい この際流入水ほ同温度層を流下すると第1次躍層内であり,しかも台風直後の

(20)

香川大学農学批学術報薯 190 水温(5) 測 点 番 号 恥6 No..5No4

p..100 2PLjOm

\一 面 満 ′l\ 0 2 4 6 水深︵m︶ 00 0−2 4 6 8 0 2 1 1 1▲ l 1 2 ワン 第44図 神内上抽水温分布図(5) 高濁高速水なるため相当の割れene柑yを・もっておるので第1次躍層内部に流入,これを突破して地底勾配に沿う潜 行潤濁密度流として流下し,なお第2次躍屈も突破して堰堤に達してほい上り状態を呈していることば,後述濁度分 売で明瞭になる小 さて濁度分布(第10家,第43,45図参照)であるが,今回観測で注眉すべきことほ,豆台風ながら台風惑後の高濁 高速水の流入後における流動状態が,はとんど水温成層と関係なく地底をほう酎]流として堰堤に達した後,内法面 にそうほい止り状態になることが確認されたことで,これで前2回(フ月ユ日,8月フ日)顧測の際ふれたところの 考察が芸当なものとなる.すなわち,第43図紅示サ流入濁度曲線ほ2つのpeakを示し,池内観滋銅こ移った頃ほ 5小4ppmに下り斬測中やや断減の傾向をたどったが,池内における濁度分布をみると全域紅わたり濁度2∼12ppmな る範匪の明瞭な濁度成層がみられる しかも池水の大都ほ約2′−6ppm程度の濁度であるのに対して,背水点イヨ近 から池底に沿う約2mの厚さのやや高濁度(約フ∼12ppm)を示す濁度正列成層がみられ,この蘭酎吏そのまま堰堤 内法尻付近まで達して多少凹凸を示しながら内法面に泊って池両度でほい上っている状況が明瞭にみられる・この際 池庶をほ.っている濁度の正列正層ほ,随伴流として渦濁潜行流に.随伴している比較的清遼な池水との接触点におけ’る 若干の稀釈混合,あるいほ淘濁票中比較的租粒部分が沈降しながら流 ̄Fしていることによるものと考えられる‖ また 測点No“5から上流側池庶付近凹部において∴ とくに高濁度(10∼12ppm)の成層がみられるが,これほstabilityの 高い第1次躍屑でunde三flowが妨げられて地底凹部に.てすでに沈澱過程に移っていることを示すものといえよう. また堰堤に達した溜濁成層流が,そのまま内法面に沿った上向成層流として若干凸凹を示しながらはい上っている が,これほ内法尻付近に達して急に流動方向が変ったため,その成層僅さが締められ,次に深水屑のStabilityの低 い部分で若干拡撒混合が行われてその成層厚さが拡がり凸となり,再びstabilityの高い第2次躍屑で混合拡散が妨 げられて−軋次にまた第1次および第2次躍屑の中間の比較的Stabilityの低い部分で第2次の凸を示し,またSta− bilityの高い第1次躍捌こより乱れのeneヱgyが減耗して凹となり,最後に」Stabilityの低い衰水屑に.至りて甫び邦 3次の凸を示しているものと考えられ,この部分にほい上りで最高の濁度成層がみられる.このほ/い上りの水平的な 濁度蚊屈は1.成層を維持する流速が保たれていること・あるいほ清澄池水と混合鉱撤が行われ乍らほい上っているこ とを意味するものと考えられる.

(21)

第9巻第3号(1958) 191

濁度(5)

測 点 番 号

Noい6 No・・5 No・4 No…2 No‖1

B

東條ト最後碕

等う娘:

7K画商一l07刑

010 n

第45図 神内上池濁度分布図(5) 次に.pH分布(罪10表,第46図参照)であるが,観測開始13時において流入水のpHほフ」・○で中性であるのに対し, 池内に.おいてほ,表層max.74∼下層min.6.9にわたり,観測開始以来最も顕著な水温成層とおなじようなpH の正列成層がみられる.これほ主として8月表層水混が高湿になることに.より,Co2の損失が多くしたがってpH価高 く,深層でほ深くなるはと水圧が大で夏と.はいえ水温正列成層により低温となるので,Co2の保持力増大し,したが ってpH価が低くなり,主として水温によりpH成層が発達したことになろう pH(5) 番 号 N。絹 N 。..4 N。“3 N。..2 No…1 ■lJ 一′ ■_ごミニ__ ▼乙&■ 一■一 一′ J…′ 1∠ −■■−■一一 ヽイ 一一7ユ 1:J 一 ●一一一一一一一 ■■一 一一 ←−一一● ■( ーl ;■l ∴ミ1:

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流入引2引0き悩

ヾヽ .二=2

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第46図 神内上池pH分布図(5)

(22)

192 香川大学農学部学術報告 アルカリ度分布(筋10表,第4咽参照)では流入水13時33ppmに対し,池内においてほ大体地表minh29ppmから 地底max3∈ppmにわたり,水温成層とおなじよう紅アルカリ度の成層を示し,水温躍屑の出甥した付近すなわち 水深約3∼5mおよび9∼12mO2カ所に傾度の高いアルカリ庶の躍層がみられる.この際測点No5付近から上流側 においてほ流入水の影響により,また水温で量る深水屑,第ユ次と第2次躇層の中間部あるいは堰堤付近の表水屑な どの岬・般にStabilityの低い部分においてほ,前述高濁度潜行流の流下,ほい上りの影響をうけて,アルカリ度正列 成層が乱されている傾向がうかがえ,前述濁度分祐でのべた流動状態の考察の妥当性が認められる カリ度(5) 第4フ図 神内上他アルカリ度分布図(5) 密度分布(第10表,第48図参照)をみると,今回は台風直後の観測で,梱濁潜行流ならびにほい上りの濁度成層流 が認められたが,それでも前回(8月7日)はどの高濁度でなくこの渦濁流ほ約フ∼12ppm程度のものであり,L.た がって密度もはとんど水溢差にもとづいて前述水温正列成層とおなじく,典型的な変挙塑の密度成層をなしている. この密度分布からも大体軍ユ次躍層(水深約3∼フm)および第2次躍層(水約約12∼15m)の存在が明瞭になって くる・また水温躇層とおなじく観点No・2より下流側堰堤に至るにしたがい,とくに密度の第2次躍屑が上昇して−い る傾向が認められるが,これは相当大きい流速をもつ潤濁潜行流が堰掟に達して急にはい上り,混合稀釈に.よりこの 躍闇を押し上げた状態を示すものといえよう・いまその内容をみると,密度ほ表層min‖ で約0.99608から堰堤付近 最深部でmaxり値を示し約0.99992に・わたった正列成層であるが,その密度勾配E=dp/dzをみると,深さ1m当り 測点No1(44∼366)×10■■6,No2(51∼446)×10 ̄¢,Noり4(113∼392)×10−6の範囲であるが,躍同部分の平 均鉛壇安定斐Emほ,第ユ次躍層で測点No・1(水深3∼6m,平均366×10−6),No。2(水深3′・・6m,平均446× 〕・0 ̄6),No4(水深3∼6m,平均392×10 ̄8),No6(水深2∼4m仁平均313×1C・−¢)となり,第2次躍層でほ測点 Noい1(水深9∼12m,平均321×10 ̄6)No2(水深12∼15m平均352×10−¢)となり,第1次躍層と第2次躍屑の Stabilityが大体おなじ程度となり,前回(8月フ日)に比較してこ第1次躍層のそれは低下し,第2次躍屑のそれほや や増高の傾向がみられる.

(23)

滞9巻第3号(1958) 193

触口l仰句g吋獅

水深︵m︶ 第4e図 神内上地密度分布図(5) 限界速度勾配Gcの分布(第10表,第49図参照)をみると.,今回の潤濁高速流入水の影響により,池底および内法 面伺近に.おいて若干乱れがみられるが濁度を除く各水質の成層分布と似たところの割合明瞭なGcの成鳳状態がみら

れる.Gcの値は,測点No1(002l∼0.C6dsec−1),No.2(0022∼0066sec−1),No,4(0033∼0.C62sec−1),

No.6(002フ∼0.056sec・−1)の範囲であるが,前述密度勾配Eとおじように躍屑部分において高い値を示した。す なわち平均限界速度勾配は第1次躍屑で測点Noりユ.(水深3∼6m,平均C).059フsec−1),No2(水深3∼6m,平均 0“0662sec−1),No4(水深3∼6m,平均OlC620sec−1),No6(水深2∼4m,平均0‖0555sec−1)で前回より 低下し,第2次躍層では軌魚No1(水深9∼12m,平均○巾056lsec−1),No.2(水深12∼15m,平均0‖C538sec■ ̄1) で前回よりやや増高の傾向がみられる. 藍皮勾配(5) ■− 罪49図 神内上池眼界遷延勾配分布図(5)

(24)

194 香川大学農学部学術報告 以上により今回台風直後の溜濁水流入流下状態を検討すると,前述した各水質の成層状態や躍層の存在とはあまり 関係なく,流入後塵ちに地底をはう潜行流として流下し,堰堤に達してほい上りの成層流として内法面に泊ってSta・ biユityの高い躍層の影響を受けながら若干凹凸分布状態を示しながら地面まで達していることがわかる.この事実に よると,もし満水状態の場合では,流入土砂のうら堰境付近まで流速されほい上ったところの浮流物質ほ,はとんど 余水吐より放出され,またdensity under flowとして堰堤内法尻付近に,達した瀾濁成層流をそのまま底樋あるいほ 緋砂孔を通じて放出すれば,trap efficiencyが軽減され,貯水池堆妙による貯水容患減少というトラブルの解決に 役立つこと虹なろう 第50図 神内上池透明度水平分布(ユ95フ日8月24日,ユ3時∼ユ5時30分,塵後備,貯水位満水面下1ノノ○フm) 最後に透明度分布(欝10表,常50凰参昭)であるが,今回ほ上流側から各観測点を含めて18カ所の測定をしたが, ・その分禰区懐・示したのが罪50図である,.これによると上流側min,1115mから下流側測点No.1でmax∴3い05mを示 しこの間大体漸減の傾向をたどり,堰堤近ぐで再び250mのようにノ」\さくなっている,.この傾向はもちろん水深とも 関係するが,大体濁既分布に密接な関係をもっておることがわかり,背水点付近から上流側No.6付近までは約2。Om 以下で流入瀾濁質の存在を示し,以下表層の濁度分布紅比例するごとく漸増し,堰堤近ぐで再び潤濁成層流のほい上 りにより低下しているい(未完)

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