香 川 大 学 経 済 論 議 第72巻 第 2号 1999年 9月 183-281
経営戦略における時間の風景
一時間軸をトリガーにした企業経営
原 田
保
松 岡 輝 美 *
は じ め に
現在,いよいよ時代は新世紀の気配が濃厚になり,各企業においても次世代 に生き残るべく準備に余念がないような状況である。すなわち,これは日本を 取り巻く環境は短期的にも長期的にも楽観を許されない厳しい状況にあること を意味している。このような状況下で,企業経営においても革新を志向するな らば,まさに従来の考え方から完全に脱却することが不可欠である。したがっ て,今後においては新たな経営戦略パラダイムの確立が強く望まれ始めている。 従来,企業において時間とは結果であり,時間を基軸にした戦略構築につい てはそれほど力点を注がれてなかった。しかし,昨今先進的な情報システムが 社会を規定するデジタル社会の到来により,にわかに経営における時間軸の重 要性が問われている。このような問題意識に立脚して,ここでは未来の経営を 示唆すべき戦略コンセプトとして時聞を基軸にした経営戦略についての提言を 試みる。 ここでは,この時間軸を企業経営に適用するにあたり,まずもって大きく 4 点のアプローチを行いながら,それぞれについて戦略面の特徴と優位性につい ての提示を試みる(図表-1)。*
松岡輝美は岡山商科大学商学部専任講師。なお,本稿は原因と松岡の共同研究の成果であ る。492 香川大学経済論首長ー -184-情 報 通 信 技 術 経営戦略における時間軸の基本体系 図 表 -1 ナレッジマネジメント これは まず,第
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は時間をベースにして戦略を構築する観点からの言及で, 言い換えればタイムベースの経営戦略についての考察である。 続いて,第2は時間を短縮するマネジメントやマーケティングを展開するも スピード経営, アジル経営,速度の経営という概 念から説明が可能である。 そして,第3は時聞をマルチに捉え同時平行的なプログラムを策定すること これはいわば複数の時間の流れを統合的にマネ これは言い換えれば, ので, で時間の短縮を図ったもので, v '-することを狙っている。 またはエンジニアリングしたり, ジメントしたり, れこそが,実はコンカレントエンジニアリングやコンカレントマネジメントで 語られる領域なのである。 (1) なお,本稿においては,原則としてスピード経営に表現を統ーすることを心がけたつも りである。493 経営戦略における時間の風景 185-さらに,第4は時間の流れを同期化させようという考え方で,特にインタラ クションを追求することでコミュニケーションの密度の増大を狙った対応であ る。これが,すなわちリアルタイムマネジメントやリアルタイムマーケティン グがカバーすべき領域である。 以上のような観点、に立脚して,企業経営における時間の重要性の認識を深め るとともに,これに対する戦略対応の方法論につい、て事例を織り交ぜながら考 察を加えてみる。なお,本稿においては,全体では本節の問題提起に基づいて, 2節から 11節の 10節を使って経営戦略における時間の風景を詳細に語り,こ れらから新世紀経営における時間意識の展望を試みる。このような考察によっ て,いわば時間をトリガーにした企業経営における戦略転換のパースペクティ フもの提示を行ってみる。 なお 2節から 11節で論じる 10項目の内容については概ね以下のとおりで ある。すなわち,それらは,第1は企業経営のスピード経済への対応,第2は スピード経営へのアプローチ方法,第3はスピード経営によるイノベーション, 第4はスピード経営の戦略的実現手法,第 5はアジJレなナレッジクリエーショ ン,第6はグローパル志向のスピード経営,第 7はコンカレントエンジニアリ ングへの挑戦,第8はエレクトロニックコマースの経営への影響,第9はバ リューチェーンイニシアチブの戦略構図,第10は時間を基軸にしたタイムベー ス競争についての論述である。
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企業経営のスピード経済への対応
時代はスピード経済の様相を見せているが,それでは企業経営においては一 体どのような対応を行えばよいのだろうか。従来のパラダイムに立脚していて はいけないことは十分理解できるが,実際に戦略的な対応方法が未だ確立して いないのが実体なのである。そこで,このような問題点を捉えながら,今後の 経営戦略の実際におけるスピード経済への対応についての概括的な考察を試み る。具体的には,第1はスピード経営の問題意識,第 2は 21世紀へのパワーシ-186:ー 香川大学経済論叢 494 フト,第3はスピード経済を誕生させた要因,第 4は適地生産と適地処理,第
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はスピード経済によるインフレの死という5
点についての論述である。2
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スピード企業の時間意識 昨今のデジタノレ時代の本格的な到来により,特にスピードを軸にした経営が 重視され始めている。しかし,このスピード経営を行っている企業,すなわち スピード企業の経営戦略とは一体どんな特性を持っているか。確かに,現代は スピードの時代といわれるが,このスピードの時代というのは一体どんなもの であり,またそれへ対応するためには各企業がどんなことを行わなければなら ないのか。そこで,このような観点に立脚して,まずスピード経営とはいわば 時間を軸にした経営であることを認識した上で,この時間が実際の企業経営に おいてどんな影響を与えるかについて日経ビジネスの記事などを参考にして考 察を試みる。 現実に,多様なメーカーが製品を製造し,そして小売業が消費者に向けて商 品を販売しているが,昨今では非常にマーケットが冷えこんでいることもあり, これらのビジネス活動は概ねたいへんな苦戦を強いられている。そのような状 況において,ある一定程度のマーケットの支持を得ることで売り上げを伸ばし ているものとしては,時間を捉えた商品や時間を捉えたサービスの提供をあげ ることができる。もちろん,商品の価値を構成している要素としては,品質や 価格,耐久性,そして使いやすさ,デザインのよさや手ざわりのよさなどが必 要不可欠な条件であることに間違いない。しかし,最も重要なことは,1
日2
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時間という時間のなかにおいて,消費者からいかに貴重な,そして少しでも多 くの時聞を手に入れるかを戦略的に考えた商品やサービスを提供している企業 が成功をしているという事実である。 すなわち,このことは消費者に対して今後は商品そのものをいかに提供する かというよりも,彼らのライフタイムのなかでどのように彼らの時聞を入手し ていくかということに立脚したマーケティングの方が成功を勝ち得ることを示 している。また,消費者や顧客の立場から見るならば,このことは自分のニー495 経営戦略における時間の風景 -187 -ズを充足させてくれる密度の高い時聞を提供できるサービスや商品は一体何な のかという視点の重要性を意味する。このように,今後においては消費する側 の商品の判断も,商品を提供する側の製品開発やデリパリーの判断も,共に時 間の価値をいかに高められるかという視点が大切になる。 そこで,ここでは時間を捉えた代表的なビジネス事例をあげてみる。例えば, それは今までの時間の単位とは異なる時間の単位,すなわちより短い時間で サービスを提供するビジネスがあげられる。これらは,例えばプリンジ的なサー ビスをまったく除いた10分間理髪庖や,特にビジネスマンやOL向けの10分 間マッサージである。もちろん,これらも最終的にはもっと長い時間での高価 なビジネスを目的とするが,そのためのイントロダクションとしてまず10分聞 から入るシステムが採用されている。 このように, 10分間マッサージや10分間理髪庖のコンセプトは,一人ひとり の時間というものを非常に短い単位で捉えたビジネス形成に特徴がある。こう して,我々は次第に細かい時間の単位のなかで仕事をしていくが,いよいよそ の細かい時間の単位のなかで大きな価値を生み出すビジネスが多数誕生しつつ ある。 もちろん,現在では時間を消費することは最大の賛沢であり,このことから も時間消費の価値について何点かの視点を見いだせる。すなわち,例えば最大 のエンタテイメントビジネスとは実は時間消費型のビジネス体験であり,また コンビニエンスという軸では可能なかぎり短時間で家事を終わらせたり商品開 発などが時間節約型のビジネスと考えられる。特に,後者の著名な事例として は松下旬電器が行った食器洗い器の開発をあげることができる。松下電器がこの 食器洗い器を開発した際には,まず家事を 10分間ですませたいというニーズを 充分に理解したうえで,なぜ洗濯や炊事や炊飯という家事が10分台でできない のかを開発課題に設定することで,この新製品開発に成功したわけである。 今後は,このような時間を捉えたビジネスがおおいに期待されるが,そこに おける最も重要な観点は,このように時間の単位がきわめて短縮したことであ る。例えば,大昔の人聞は一ヵ月単位で生活していただろうし,最近でも人間
188- 香川大学経済論議 496 は1日の単位で仕事を行っており,そのため1日のうちの何時なのかというこ とには関心を示さなかった。しかし,現代社会では既に 1時間を単位にした生 活を行うまでに時間感覚が変化している。そして,さらにデジタル時代ではま さにドッグイヤーというように,この時聞に対する感覚が10分を単位にするこ とが現実化している。ゆえに,そこにおけるビジネス展開の方法論についても 転換が予見され,そのため次第にそれに対する戦略的な対応が不可欠になる。
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世紀へのパワーシフト このように,今後は時聞を軸としていかに新しいビジネスを展開していくか が大切なことについて,アルビン・トフラーは既に 10年も以前に『パワー・シ フト』のなかで示唆している。トアラーは,まさに21世紀とは知識をベースに した担会になると予見したが,その知識をベースにした社会における代表的な 側面として,特に時聞を重視した考え方とそれをベースにした戦略の重要性に ついての論述を行っていた。ここで特に参考とすべき観点は, トアラーがいわ ば高速と緩慢という両軸から,すなわち一方ではきわめてスピードがあり他方 では時間が非常に緩慢であるという両極性を捉えた社会の認識を行っているこ とである。 このきたるべき 21世紀の特徴を鮮明にするには一体何に比較して考察すれ ば明確になるのだろうか。我々が,今日の情報化社会を経験するまでの社会に おいては,すなわち産業社会では,例えば富裕国であるとか貧困国であるとい う分類,また先進国であるとか発展途上国であるという分類,すなわち持つも の持たないものという分類による二項対立的考え方がベースに存在していた。 しかし,これからの時代は単に持つ持たないということではなく,スピードや 時間というものを軸にして,例えば国でいえば高速の国家なのか緩慢な国家な のか,あるいは産業でいえば高速な産業なのか緩慢な産業なのか,また企業で いえば高速の企業なのか緩慢な企業なのかというこ項対立の考え方が要請され ている。 このように富裕国か貧困閣かといった捉え方から高速か緩慢かといった捉え497 経営戦略における時間の風景 -18少ー 方に変わるならば,企業や国家における富を創出する仕組みも当然ながら転換 することになる。トアラーは,特に社会を高速か緩慢かという具合に時間を軸 にして捉えるならば,きわめて大きな富を創出するキーポイントはリアルタイ ムであると述べている。これは,リアルタイムを追求することで可能なかぎり 多くの富が追求され創出されることを意味する。そして,この加速効果を高め ることで,向時に時間の生産性が高められていくということを提言したもので ある。 このような新しい富の創出システムとは,即時に相互通信でき,そして膨大 なデータや情報や知識の流れを定常的に交換する市場や銀行や生産センターが 拡大するグローパノレなネットワークから構成されている。そして,この富の創 出システムは,いわば高速か緩慢かというメジャーのなかで構築されている。 また,そのキーポイントこそがまさにリアルタイムの経済への対応能力である し,そこにおけるメジャーは加速効果があるかないかなのである。 2. 3 スピード経済を誕生させた要因 我々は,現在このように時間を軸にしたスピードの経済下にあり,そこでの 富の創出メカニズムというものを新しいものに再構築しなければならないこと が理解できる。そこで,まず、以下において伊藤洋一のいうスピード経済とは一 体どんなものであるかについて考察を加えてみる。 昨今ではいわゆるドッグイヤーという言葉が喧伝されている。例えば,犬の 寿命が人間の寿命に比べてきわめて短いことを考えてみると,この言葉は我々 が今まさに犬が経験しているようなめまぐるしい速度を経験していることを意 味している。もしもドッグイヤーの速度を約4倍と考えてみると,我々はじつ に
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倍の速さで変化を感じ取らなければならないわけで,これこそが情報通信 産業時代の新しい時間感覚と考えられる。 例えば,普通の製品の場合では新製品のモデルチェンジは2年に1回である と仮定すると,パソコンの場合には3カ月毎に新製品が出てくるため,そのス ピードは8倍であると考えられる。すなわち,昨今では情報通信産業に散見で-19(}- 香川大学経済論叢 498 きるように時間のサイクルが7倍, 8倍の速さで変化が起きる状況のなかで, 我々の生活が営まれそしてビジネスが展開されている。そういう意味では,ま さに我々はドッグイヤーのなかで生活を営んでいるといえる。そして,これこ そがまさにスピードの経済というものなのである。 さて,このスピードを軸にした経済を生み出した背景としては,以下のよう な1990年代に顕在化した二つの大きな環境変化があげられる。それらは,まず 全世界への市場経済の拡大,そして経済の基幹的テクノロジーの進歩とそれに 乗る情報の値段と流れの変化である。このようなスピードの経済が誕生した背 景を具体的に考察したものが以下に述べる8点である。このなかで,特に第1 と第2は体制や制度の変更による,政治的なものであり,第3から第8はデジ タル技術が急展開して道筋を作ることで,すなわちネットワーク化したことに より現出したものである。 第
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は最も多大な体制や制度の変更であるが,ベルリンの壁が崩壊して以来 社会主義が根本的に崩れ,市場社会への参加者や競争者が著しく増加したこと である。すなわち,世界が市場主義社会という単一のルールで運営されること になったという点にある。 第2は単一化しつつあることと密接な関係があるが,世界中の各国における 多様な規制の撤廃や緩和の動きである。例えば,既にヨーロッパではEU(欧州 連合)が形成されあたかも lつの国家のような状況になりつつあり,南北アメ リカにおいてもまたアジアにおいても,政治的な国境という枠組みとは異なる レベルにおける広いエリアで経済的なネットワークを開放していく動きが急展 開している。いずれにしても,全体としては規制緩和の方向にあり,この規制 緩和の方向性というのが世界中にスピードというものを要請していると考える ことができる。 第3は技術そのものが情報処理のデジタル化を拡大したことである。すなわ ち,紙ベースで仕事をするのではなしすべてデジタルで情報処理を行うとい うこと,これがスピードの経済を早めることになった。 第4はネットワーク化により世界中がつながり時間と空間の壁を超えること499 経営戦略における時間の風景 191ー ができたことである。 第5はネットワーク化された情報処理がインタラクティブに行われるように なったことである。 第6はネットワークのなかで発信されるコンテンツが,今までのクローズド な扱いではなく可能な限り公開され,あるいは公聞をさせようという圧力のな かで情報が流れ,そして組織の意志決定に対して影響を与えてきたことである。 このオープンでインタラクティブな方向性の延長線上に,今や世界における ビッグビジネスの競争戦略の軸は完全に移ってきている。 第7は世界のビッグビジネスがデファクトスタン夕、ードを軸にした主導権争 いを行ニっていることでトある。 第8は世界中でこのデファクトスタンダードに向けて決定的な主導権争いを 行っている状況下で,これに参加するすべてのプレーヤー,すなわち企業のビ ジネスマンたちの情報検索や情報比較にかかわる能力が次第に向上してきたこ とである。 このような要因により,スピードの経済というものが急速に実現されてきた わけである。そういう意味では,デジタル化の影響が本稿で論述するスピード の経済を押し進めるのにきわめて有効であると考えられる。
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4 適地生産と適地処理 それでは以下において,このスピードの経済のもとでの企業の動きを具体的 に分析してみる。その代表的なものとして,例えばメーカーとは,従来のイメー ジでは広大な敷地に非常に大きな工場を持ち,多くの従業員がそこで働いてい るものであった。実際に,企業城下町といわれるような大きな工場がある場所 には,ある特定の企業の人たちによるコミュニティが構築されている。こうい う状況にあるのが今までの製造業の姿であったが,例えばコンピュータネット ワークの世界では,既にデータのやりとりについては物理的距離を越えた適地 生産や適地処理が原則になっている。このような現象は単にコンビュータ産業 だけではなく多くの企業は既に世界中に生産基地を展開しているし,それも昨-192- 香川大学経済論叢 500 今では自らでは工場をまったく持たないファプレスメーカーまでも続々誕生す るまでの進化をとげている。 こうなると,メーカーは製造するにあたり必ずしも自ら工場を持つことなし 最適生産,適地生産,適地情報処理を行うべき工場ネットワークを世界中に張 り巡らせばよいことになる。それは,すべて OEMなり,またアウトソーシング なり,あるいは多様な形態での業務委託という形態で,言い換えれば外部の企 業との契約に基づいて製品を製造していくことを意味している。 こうなると,このファプレスメーカーで働くワーカーはデジタル化が可能な コンビュータという武器を与えられることで,ある特定工場や本社や営業所と いう固定的な場所から完全に開放され,自在に世界中のビジネスパートナーと デジタノレ的に連結するという仕事のやり方が可能になる。 すなわち今後は,どこにいても,いつでも,世界中のだれとでも,仕事がで きるような関係が成立する。したがって,ファプレスメーカーの時代は,例え ばホワイトカラーのオフィスワークについてはいわゆる SOHO・テレワークの 時代であり,そこで働くワーカーはまさにデジタル遊牧民,すなわちデジタル ノマドといわれる段階に突入する。このようなことが,まさにスピードの時代 の大きな特徴であるといえる。 スピード経営の代表的な事例としては,日米のアパレノレ業界における速い流 通や速い生産を志向する QR (Quick Response ::クイックレスポンス)の導入 があげられる。このことにより,在庫を大幅に減少させたり売上げ機会を増大 させることが実現した。ゆえに,このQRとは,まさに製造業の観点からも, また小売業の観点からも,ともにきわめて重要な課題である。それは,すなわ ち小売業にとって負担を少なくして売上高を増やすという観点から重要な課題 であり,製造業にとってはマーケットの状況を的確に掌握しマーケットに支持 される商品を的確に開発して供給するという観点から重要な課題である。 (2 ) ファプレスメーカー:自社に工場を持たない製造業である。したがって,自社において は主に製品開発と工場アウトソーサーの管理を中心とした業務を担っている。今後は,特 にグローパルソーシングが期待されるため,世界中に適地生産を求めていくにはファプ レスでの展開の方が機動力に優れている。
501 経営戦略における時間の風景 -193 この
QR
における成功は,じつは具体的には消費者の視点やパートナーシツ プや情報通信技術の利用に支えられている。すなわち,このQR
の成功とはま さに製販合同によるスピードへの対応というものが,業種や業態の壁を超えて 実際に行われていることの証明である。そして,これこそが現在の製造業,あ るいは小売業との聞で行われているスピード変化への対応へ向けたコラボレー ションなのである。 また,前述したように製造業がファプレスメーカーという従来とは違った形 態になっていることは,言い換えれば製造業がバーチャル化したことを意味し ている。すなわち,リアルな目に見える工場ではなく,ネットワークで連結さ れたファクトリーになることでバーチャノレ化される。このように製造業のバー チャル化の意義については概ね以下のようなことがあげられる。 第1は製造業のバーチャル化の必要性についてである。このことは,製造業 は高度化し,グローパル化し,ソフトウエア化し,ブレーン化する方向になり, 製造業の転換が行われることを意味している。そこでは,従来のハードウエア ではなくソフトウエアの開発が中心になる。そして,新しい素材,製品,そし て生産,加工法の開発が行われてくる。産業自体としては,モノづくり(製造) にかかわるソフトウエア産業やブレーン産業がつくられてくる。また,モノづ くりの技術や技能の継承や発展が重視され,そのためグローパルな規模でのア ウトソーシングが行われる。こうして,次第にバーチャルエコノミーあるいは サイバーエコノミーが登場し,そのための対応が製造業のバーチヤJレ化に向け た課題になっている。 第 2は製造業のバーチャノレ化による効果についてである。これは以下のよう に概ね5
つに整理できるが,逆にいうならば,この5
つを目標としてバーチャ ル化というものが展開されていると考えられる。すなわち,第1
には開発期間 の短縮,第2には開発コストの削減,第3には高品質な製品開発,第4には製 品化の早期実現,第5
には熟年者の活用とハンディキャップの克服,という5
点である。このように,多様な成果や効果が期待されているが,これらがすべ て実は時間を捉え時聞からいかに生産性を高めていけるのかということを狙っ-194ー 香川大学経済論叢 502 ていることは十分に理解できる。 第3は製造業のバーチャル化によるインパクトについてである。これは以下 のように概ね
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つに整理できる。第1は製造業が創造業へと次第に転換してい くようになる。第2
は工場においては遠隔運営や遠隔生産が行われていく。第 3は顧客がこの製造システムのなかに参加することが可能になる。第4はバー チャルとリアノレの相互互換型の生産システムが構築されていく。第5は日本に おいては非常に弱い領域であるモノづくりのソフトウ、ヱア産業やフやレーン産業 が創造される。そして,これにより以下のようなことも可能になってくる。す なわち,第6は中小企業の活性化,第7は地域経済の空洞化の阻止,第8は製 造業の空洞化の阻止というような8点が可能になり,これらによって必ずや我 が国産業の競争力の復権が図られていく。 このように,製造業のバーチャル化とは,現在では我々の目前の課題である スピードへの対応を実現させるために効果的な方法である。また,このζとは ノTーチャルコーポレーションにとってはスピードへの戦略的対応こそがまさに 最大の眼目であることを意味している。2
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5 スピード経済によるインフレの死 世界経済全体のピック、パンを背景とするスピードの経済進捗のなかで,最も 顕著で,かつ重要な経済現象としてはいわばインフレの死と呼ばれる物価の超 安定的状況があげられる。このことは,まさに世界的な現象でありスピード経 済における特徴の1つなのである。 ここで大切なことは,こうした状況が景気の善し悪しにかかわらず長奇│く可 能性が強いことである。なぜ、ならば,市場経済拡大とデジタルネットワーク革 命という大きな2つの変化が持つ力は継続的であり,またきわめて強いからで ある。日本を例にするならば,土地や株神話や終身雇用制神話や成長神話など の行き詰まりは,特にここでいうインフレの死とは密接な関係を持っている。 また,ここで大切なことは,この2つの要国が日本経済のみならず世界経済全 体の形や金融市場の常識を変えたことにある。こうして,まずインフレの死は503 経営戦略における時間の風景 -195 価格破壊の形態で顕在化していった。すなわち,スピードの経済の誕生とは実 はインフレの沈静化をきわめて息の長いものにしていると考えられる。 3 ス ピ ー ド 経 営 に よ る イ ノ ベ ー シ ョ ン スピード経済においてはスピード経営での対応が期待されるが,それはこれ が企業経営におけるイノベーションをダイナミックに現出させているからであ る。そこで,ここではスピード経営を導入する際の方法論についてゴールドマ ン,ネーゲノレ,プライスのアジルコンペティションをベースにして考察を加え てみる。それは具体的には,第1は経営におけるスピードの必要性,第2はス ピード経済における競争能力,第3はスピード経営の主要特性,第4はスピー ド経営へのアプローチ方法という 4点についてである。 3. 1 経営におけるスピードの必要性 バーチャノレ化が我々の目差すべきスピード経営に有効であることは既に述べ たが,ここではこのバーチャノレ化を軸にしたスピードの経営によってもたらさ れる多大な成果を企業全体や企業の戦略全体に普遍化することを試みる。 この代表的なコンセプトとして,ゴールドマン,ネーゲル,プライスによるア ジルコンペテイションがある。ここでは,アジルとは迅速なという意味であり, アジルコンペティションは速い競争のことである。そして,我々は今まさにこ の速い競争の時代に存在している。そして,彼らはその速いいわばアジルな時代 に生きそして大きな成果を生む企業のことをアジノレカンパニーと呼んでいる。 このアジルカンパニーは急激な変化や非常にスピードの速い変化に満ちた今 日の経営環境に適した俊敏かつ機敏な企業である。アジ、ルカンパニーは何より も俊敏,機敏であることにより,高い価値の製品やサービスを迅速,かつ持続 的にマーケットに送り出し,それによって結果的に顧客を豊かにすることを第 1の目的とする組織である。すなわち,迅速さをレーゾンデートルとして持っ た企業運営を行う会社がアジルカンパニーなのである。それでは,この俊敏性
196ー 香川大学経済論議ー 504 というものは一体いかなることを意味するのかについて考察を行ってみる。 ここでいうところの,スピードや迅速さまた俊敏性とは従来いわれていた俊 敏性の必要とは意味が少し違っている。従来では,スピードが要求されるのは まさに例外的な場合であった。常態と例外という場面を設定してみるならば, 常態においては普通にやっていればよいが,突発的な事件が起こったり,緊急 に何かやらなければいけない時にのみ通常以上のスピードが要求されることが 常なのであった。 しかし,今日求められているのは例外時ではなく常態における俊敏性なので ある。しかも,それは従来行ってきたことをタイムベtースで短縮したり,限定 された場の中で単に阜く動くという機械的な機動性ではなく,情報と知識を駆 使して時空間を超えて有機的に動く知的機動力とも呼ぶ俊敏性なのである。換 言すれば,市場と組織の知識を資源として,急速に吸収し,変換し,組織化し 競争優位につなげていく能力が日常的に求められていることを意味している。 このような変化は,例えば競争の激化や,近代の量産システムの限界,そして 知識社会の到来という大きな変化が要因になっている。すなわち,このことは 製品の本質がハードウエアの機能や品質価格から,それによって提供される知 識にシフトしていっていることを意味している。 例えば,製品中心もしくは顧客中心から,機会中心あるいは顧客機会中心の 競争へと変化するにつれ,企業は瞬間瞬間の利益機会を捉え発展させる能力が 必要になる。すなわち,知的な機動力を結集し顧客の事業機会をどのように作 り上げていくかが重要なのである。そして,それに伴って企業は組織の柔軟性 や知識や企業能力を新しい資質として備えなければならなくなる。そのために は,まさにコアコンピタンスさえも固定的である必要はなく,環境や機会の変 化に応じて絶えず変化していくことになる。言い換えれば,継続的にコアコン ピタンスを生み出したり,組み合わせられる潜在的な企業能力が必要になるわ けである。そのことは,基本的には組織的知識の変換能力であると規定するこ とができる。 こういう方向性のなかにおいて,企業はアジルコンペティションを闘ってい
505 経営戦略における時間の風景 -197-くために多様な戦略を打ちだしている。例えば,ダイレクトにスピードと関連し てテーマを打ちだしているものもあれば,またスピードを打ちだしてはいない が結果的にスピードと深い関係にあるという戦略なども多数提示されている。 例えば, トヨタの生産に代表されるリーンマニュファクチャリングやコンカ レントエンジニアリングなどの戦略やまた機能横断チームなどは,結果的にス ピード経営を可能にしている。また,昨今話題のネットワーク組織,
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,マスカスタマイゼーションやコアコンピタン (3) ス, ベンチマーキング,バーチャルオーガニゼーション, などの概念からのア ブローチは,企業が闘うべき中核的な能力を考えるにあたって世界-的に一番す ぐれた方法論は何なのかを追求していこうという方向性のなかから生まれたも のである。 もちろん, これらには個別には差異があるが, いずれにしても根幹 では時間への対応やスピード時代への対応, そして全体としてのマーケットに 対する対応力をいかに迅速にしていくかという関係のなかから生まれたと考え られる。 こうなると,知識経営とスピード経営というのは相互に触発されながら展開 される必要があることが理解できるはずである。すなわち,経営のスピードと 知識経営はいわば表裏の関係として捉えるべきもので, そこから企業の能力を 高めることを追求することが企業経営にとって有効な方法である。ゆえに,今 後においてはそのような方法論を企業のいわば知識として蓄積していくことも おおいに期待されてくる。その意味では,今後においてはいかに組織的な知識を 次から次へと転換させていくことができるかという変換能力が必要とされる。 3. 2 スピード経済における競争能力 それでは,スピード経済下におけるアジルコンペティションのなかにおいて, いわゆる勝つために必要な能力とは一体いかなるものであろうか。言い換えれ (3 ) ベンチマーキング:コンピュータのハードウエアやソフトウエアの処理性能を評価す ることとそのテストのことである。典型的な一連の処理を設定笑行時間の計測を行い評 価する。この考え方は,昨今広範にビジネス全般にまで適用され競争戦略や企業革新のた めの中心的な位置を占めている。-198ー 香川大学経済論叢 506 ば,これはスピード競争または知的機動力を持った企業となるためには一体い かなる条件が必要なのかという聞いへの解答を考えることである。それは,例 えば有機的集中という視点、から導きだすことが可能である。なお,ここでいう 有機的集中とは,組織に課せられた使命や直面している機会に向けて,その中 心機能を基盤として資源をダイナミツクに集中することを意味する。なぜなら ば,強い組織の根本とはそうした資源や機能の創出や配置,すなわち資源のデ ザインと変換能力だからである。 ここでは,このような問題意識に立脚して,以下においてスピード経営を確 立するための条件を
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項目に要約してみる。 第1
にはビジョンとしての機会中心主義が貫かれることである。これは,ス ピード経営においては機会を中心として全員がそれに対して完全な責任を持つ べきであることを意味している。 第2には柔軟な仮想的組織としてのバーチヤノレオーガニゼーションが確立す ることである。これは,スピード経営においては企業が時空間の制約を超えて 事実上の組織として動くからである。ここでは,内部構造においても,例えば 内外において完全に解放されたヒエラルキーのないプロジェクトチーム層,よ りフラットな階層をもちながら機能的に動くビジネスシステム層,そして組織 内に十分な知識を蓄積させる知識ベース層,のような複数の組織的レイヤーを 自在に組み合わせられるハイパーテキスト構造が強く求められている。 第3
には組織の行動と一体化した情報通信基盤を整備することである。これ は,スピード経営においては情報基盤のなかには常に人員を知的に高めること のできる知識ベースが埋め込まれなければならないことを意味する。そこで, 今後においてはハードウエアやソフトウエア製品の選択に偏ることなく情報や 知識を活用できることが大きな課題になる。 第4には臨機応変に俊敏に動くための組織的な知識が重要になる。すなわち, ここでいう知識は形式知中心の知識だけでなく,活動的な志向の原型となるよ うな暗黙知の領域まで含めた知識を意味している。スピード経営を志向するに は,単にクローズドに知識を囲い込んで差別化するというアプローチでは組織507 経営戦略における時間の風景 199-ー 聞の連携は効果的に機能しえない。その意味では,オープンな経営を目指すこ とにより,組織間連携や組織聞での知の共有化を実現することが望まれている。 第5にはミドルアップダウンを志向することである。これは,スピード経営 においても, トップが前線から組織を指揮して,ミドJレがその手段を考えて, そして現場の人々が主導権を担うのをサポートする,という日本型モデルが効 果的であることを示唆している。 第6には人的価値としての信頼の獲得を重視することである。特に,顧客と の聞に生まれる信頼感については顧客に安心を与え長期の関係を生みだすため に不可欠な条件である。すなわち,スピード経営を実現するには,顧客を維持 し,闘い込み,サポートする,すなわち顧客のロイヤルティによって企業が成 立する関係を企業と顧客の聞で持つことが必要なのである。 このような6つの条件が満たされるならば,アジルコンペティション時代の なかにおいてスピード企業として生き抜いていくことが可能である。その意味 では,スピード企業としてのアジルコーポレーション,そしてアジルコーポレー ン企業やアジル会社などは,すべてこのような戦略的な対応を行うことでス ピード経済への対応ができると考えられる。
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スピード経営の主要特性 近代の産業企業の競争力は技術や組織的な構造や従業員の才能の搾取から生 じたものでもない。それは人々,組織,技術が相互に新しい種類の事業体とし て体系的に整合されたそのあり方から生じている。すなわち,要素のすべてが正 しい場所にあって,相互に整合されているシステムが完備されている企業のみ がスピード経済下におけるアジルコンペティターの資格を有するわけである。 ( 4) ロイヤルティ:忠誠心のことである。昨今,企業経営において優れた業綴を実現してい る企業にはロイヤルティが見いだされることに特徴がある。このロイヤルティには,第1 は株主,第2は顧客,第3は従業員,という 3つのロイヤルティの同時実現が望ましい。 株主のロイヤlレティにはIR(Investor Relationship),顧客のロイヤルティにはデータ ベースマーケテイング,従業員のロイヤルティにはエンパワーメントが,それぞれ重要な 対応策である。-20β一 香川大学経済論叢 508 アジルコンペティションの達人となるには,実は普遍的な公式や模範にすれ ば成功が保証される方法などはなく,すべての企業は自社でP独自に市場に特有 のダイナミックなプログラムを形成しなくてはならない。すなわち,企業がとる べき決定的なステップは,企業のスピードに対する考え方と具体的な企業の目 標や目標達成に向けた戦略上のイニシアチブを直接に結びつけることである。 ところで,このようなスピード企業には共通した戦略的な特徴を見いだすこ とができる。ここで,スピード経済下のアジルコンペティションにおける競争 側面からスピード経営の本質について考察を加えてみる。それは,以下のよう な4つに整理できる。すなわち,第1は顧客との関係,第2は何のために協力 するか,第3は組織の作り方の問題,第4は人と情報という資源の問題という
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点である。 第1
はスピード企業が顧客を豊かにさせている点である。しかも,単に顧客 を豊かにするということではなし顧客を意義ある方法で豊かにしている。こ の意義ある方法とは,マスマーケティングやマスプロダクションを行うのでは なく,個別の問題を解決してくれる製品を顧客に供給することである。そして, 顧客はその見返りとして対価を支払うのである。これこそが顧客を豊かにする 関係形態である。その関係形態を追求するのがこのスピード経営の大きな狙い なのである。それは,それによって新しいマーケティング競争や戦略というも のが生まれ,同時に企業の製品が本当は何であるのかについて考え直させてく れるからである。 第2はスピード企業が競争力強化のためには他社と協力を行う点である。こ の競争力を強化するための協力とは,企業の内部での協力や,他の企業との協 力によってスピード経営を行うということである。ここでは,可能な限り速し そして可能な限り高い費用効果を実現できるような協力,すなわちコラボレー ションを追求する必要がある。そのための戦略として,例えば機能横断的チー ム,または権限委譲,ビジネスプロセスリエンジニアリング,バーチャ1レな企 業,あるいは直接の競合企業とのパートナーシツプということまで含めて,多 面的な協力関係すなわちコラボレーション経営が追求されていく。509 経営戦略における時間の風景 201-第3はスピード企業が変化と不確実性を自在に操るため組織化を志向する点 である。すなわち,スピード企業は変化と不確実性によって繁栄するために組 織化されるが,この変化と不確実性を的確に捉え,これに自在に対応すること で利益をあげうる組織をつくることが重要である。そこでは,時聞が重要な課 題であって,そういう意味ではコンセプトを策定する段階から,最終的なキャッ シュを生みだすまでの期間をいかに短縮するかが大問題である。そして,その ためにはどんな柔軟な組織構造を作りあげていけばよいのかが戦略課題にな る。そして,スピード企業においては,一人ひとりの社員がいかにやる気満々 で十分な知識を持つ人たちで編成され,企業の成長に彼らの能力をコミットさ せていくかが組織運営上での重要な鍵になる。 第
4
はスピード企業が人と情報の影響を最大限に活用することを志向する点 である。すなわち,スピード企業は起業家的企業文化を養成し,結果的に人と 情報が事業に与える影響を向上させている。したがって,人と情報を唯一の重 要な資源として捉えることで競争戦略上の差異を生みだす発想から仕事を行な うことが大切である。 3. 4 スピード経営へのアプローチ方法 前述したようにスピード企業には4つの戦略的な特徴というものが導きださ れるが,ここではスピード経営を具体化のためのアプローチについて考察を行 フ。 (1 ) ソリューションの提供 第lのアプローチは顧客を豊かにするためのソリューションの提供である。 これは,製品とは一体何であるか,またそれらはどのように製造され売られる べきか,そして誰が買うのか,そして買う側はいかなる対価を支払うべきか, などということの再考が必要なことを意味する。また,その戦略的な目的は企 業における顧客との戦略的な関係の構築である。すなわち,絶え間ない市場変 化のなかで生き抜くための長期にわたる関係の構築を意味する。そして,企業 がこれを達成する手段は,個々の顧客の要望にしたがって変化する要求事項に-202 香川大学経済論叢 510 適応する物理的製品と情報とサービスを多元的にソリューションとして提供す ることである。 このソリューションの提供は長期にわたって持続可能な関係を生みだすこと を可能にする。これらの関係は,実はそれに不可欠な相互依存と対話に基づい ている。同時に,継続的な解決型ソリューションへと進化する可能性が生まれ る。こうして,顧客を生産プロセスに取り込むことや,個々の顧客に最適の価 値を持つ商品やサービスや情報の配合を対話しながら決めることが可能にな る。このように,製品の再定義を駆り立てる市場の現実の注文に応じることで, 初めてあらゆる生産単位で多量の生産を行える能力がもたらされる。この生産 の能力はマス市場におけるそれぞれの顧客を個として扱える情報処理能力によ り可能になる。これは,多くの企業にとっては個々の顧客データを深く取り込 むことを意味している。 顧客にとっては,彼らの進化する必要を満たせる新しい世代の製品が何かを 明らかにするために,顧客に有効な売り手とコラボレーションすることに強く 号
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かれていく。他方では,個々の顧客についての情報を組み込み,ますます生 産能力の柔軟性を獲得しつつある。このことは,企業にとっても単に解決型の 製品だけでなく実際の解決を提供することが大切であることを意味している。 すなわち,企業は解決を売ることで顧客価値に基づいた価格設定やマーケティ ング戦略を採用している。 さて,商品とサービスは別々の製品カテゴリーでトはない。アジルコンペティ ション時代には常に顧客にとって最も価値のある物理的製品や情報やサービス の組み合わせが最適の提供方法になる。また,企業が現実に顧客に提供しなけ ればいけないことは,個々の顧客のニーズと問題に対する知識や専門技能や情 報の応用である。そこで,スピード企業においては真の生産資源はそれが有す る中核能力の集合体であり,それはまたじつは社員としての形態や技術として の形態をとっている。 たとえばユニシスでは,顧客に価値を付加する最良の機会がコンピュータを 売ることではなく,経営と業務に関する情報やデータ処理そして情報処理サー511 経営戦略における時間の風景 203ー ビスを売ることから入手できることに着目している。また, IBMでは企業を再 編成し,地理的にではなく産業によってサービスを行えるようにした。もはや, かつてのコンピュータメーカーにとってはハードウエアは顧客に最も価値を与 える製品を意味しない。もはや競争の価値の中心は物理的製品から情報とサー ビスに移行しており,そこでの製品はプラットフォームの役目を果たしている。 これが意味するのは,生産者にとっての要諦が工場や設備や機会から人へと移 行することである。 スピード企業を決定するのは,社員のもつ知識と専門技能,そして企業が有 していてアクセスできる情報である。制約になるのは個々の顧客の必要に合わ せて商品やサービスや情報の組み合わせをコーディネートするための社員の能 力,そしてそのために必要な資源の調達力である。スピード企業の真の生産資 源がその企業のもつコアコンピタンスであることが明らかになれば企業を組織 するための理論的な根拠が浮かびあがり,ソリューション志向の製品の創出に 向けてそれらの能力を可能な限り素早く効率的に集中させることができる。 ソリューション志向の製品は生産者と顧客が共同で生み出すが,その創出の 際に行われるべきことはデザインの再定義である。アジルコンペティションに おいては,デザ、インは全生産プロセスの一部を担っている。ハードであっても, ソフトであっても,製品は顧客の要求とともに発展できる。もしも,新たな構 成部品が最初に購入したものに付け加えられるならば,新しい性能を生みだす ことが可能である。 そのためには,製品は始めから現在,未来に予想される幅広い能力向上を受 け入れるプラットフォームとしてデザインされなければならない。顧客ごとの 広範な仕様オプションがあり,ユーザー自身が設定を変更できたりグレード (5 ) プラットフォーム:アプリケーションより下位の
o
s
やハードの組み合わせがプラッ トフォームである。情報システムの土台になるコンピュータをプラットフォームと呼ぶ。 通常は,コンビュータで動作するo
s
もプラットフォームに含まれる。昨今では,このよ うな考え方を,事業戦略に適用し,多くの領域でビジネスの展開の拠り所としてのビジネ スプラットフォームが散見できる。そして,このプラットフォームをめぐって,デファク トスタンダードを巡る織烈な競争が展開される。204- 香川大学経済論叢 512 アップが可能なこと,そして古くなるに連れて新しい機能性を獲得し製品の世 代交代により進化することが不可欠であり,そのため,このような情報とサー ビスに富んだ製品の発展余地が最初から製品にビルトインされていなければな らない。 多くのポータブノレコンピュータは顧客によるグレードアップや再定義が可能 になり,特別なツールや技術的な専門知識もほとんど必要としていなしh。顧客 は,当初買った製品を陳腐化により廃棄するのではなしまた買い換えるより も安いコストでパージョンアップができる。物理的な製品の耐久性が長期化し ながらも,製品の市場での寿命は性能イノベーションのペースが加速するに連 れて一層短くなっている。ゆえに,こうしたデザ、イン戦略は競争の優位性の確 保には重要な要素になる。また,アジルコンペティターはけっして情報の価値 を見失うことはない。それは,今後の製品においては情報が物理的製品やサー ビスのなかに製品として埋め込まれるからである。
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コラボレーションの追求 第2のアプローチは競争力強化のためにコラボレーションを志向することで ある。アジルコンペティションを行うためにはコラボレーションが不可欠であ る。アジルコンペティションに備えて製品サイクルを短くするには,コンセプ トからキャッシュ化までの時間を短くしなければならない。そのためには,そ の製品の開発から販売にいたる全体プロセスのなかにおける個々のプロセスに おけるコラボレーションが不可欠である。また,スピード企業を他の企業と区 別するものは,これが育む企業内および,企業間の協力関係の集中度,そして 彼らが生み出す仮想的な組織関係なのである。 実際に,敵対的で管理的な関係はコラボレーションを特質とする組織ではほ とんど機能していなしユ。定常的な企業間および企業内のコラボレーションが要 求するものは,実は信頼の論理への心からの献身を行うことである。それは共 通の成功,あるいは共有する失敗に対するパートナーの相互依存を反映してい る。コラボレーティブに協力しあう企業が高潔さをもって相互にオープンに接 するのは道徳的な理由ではなく,明らかに実践的な理由からである。またさら513 経営戦略における時間の風景 -205ー に,コラボレーションを企業の内部や企業同士の関係との規範とすることは技 術移転を加速化し,問題解決のために入手できる資源の拡大を意味する。 前述したように,企業同士のコラボレーションを第
1
にあげたソリューショ ンの提供とし,社員がそれを活用できるようにすることは新しい効果的な競争 の可能性をもたらす。しかし,そのためには以下のような革新的な経営方針と 手続きを形成し実行することが必要である。具体的には,企業聞をまたぐ機能 横断的チームのマネジメントに挑戦すること,チームの構成員を評価し報酬を 与えること,知的所有権と企業の安全を守りながらコラボレーティブなプロ ジェクトに適したオープンに情報交換できる環境を創造すること,他の企業と 組むための明文化された基準を形成すること,企業同士の倫理規則を守り強調 している企業と参加している社員の高潔さを保証すること,企業の法的および 財産的利益を保護することなどが必要とされる。 さて,バーチャルな組織は企業聞や企業内でのコラボレーションを実体化す るための数ある組織形態のほんの1つにすぎない。それは,すなわち特別な利 害に基づく組織であり,コラボレーティブな生産を達成するための相互協力を 最大要求として企業に求める組織である。もしも,プロジェクトのためにバー チャルな組織構造を創る選択肢が常にあれば,その企業にはスピード経営を展 開するためのすべての要素が存在し機能している可能性が高いと判断できる。 バーチャルな組織というのは,言い換えれば機会中心主義に基づくコアコン ピタンスの提携である。バーチャノレな組織構造は商品とサービスを創りだすた めに必要なすべての資源をできる限り損なうことなく結束した業務単位へと統 合する。バーチャ1レな組織におけるメンバーは関係する人々と企業同士が一つ の企業体において平等な参加者であるという相互の認識に基づいており,その 企業体では,そのなかの誰もが完全に所有せず,しかし誰もがその企業体に所 有されてもいなしユ。 そこでは,企業内の伝統的な階級に縛られることなし専門知識と資源の強 固な境界を超えた業績を達成できる。米国においては多くの小企業のネット ワークが形成されており,あるネットワークはそのメンバーに水平統合の機会-206ー 香川大学経済論叢 514 を提供していたり,またあるものは企業が限定された期間で垂直統合する枠組 みを提供している。すなわち,それは一時的な機会に応じたバーチャルな企業 である。そこでは,相互補完的なコアコンピタンスを明らかにし,それらを特 定顧客の機会満足のために意図された完全な生産能力へと低コストで統合する ことで強力な競争の武器にしている。 このようなことが,昨今のコンピュータネットワークの普及によりあらゆる 規模の企業にとって急速に現実的なものになった。そして,バーチャノレな企業 を活用する際には,評価の基準,経営面での設立や解消に伴う問題のサポート 方法,また参加企業の参入と撤退の際の雇用と保証方法などを十分考慮するこ とが重要である。 ノTーチャノレな企業がつくられる理由は戦略的な要請によるところが大きい。 そこで,従来のパートナーシップやジョイントベンチャーのようなアプローチ に変わってバーチャノレな組織アプローチを採用する際の戦略的なポイントを示 すならば,概ね以下のとおりである。 それらは,第
1
に新製品の市場のためにパ}チャノレな組織を形成することで 会柾の基盤となる資源の研究開発成果やコストやリスクを共有するかどうか, 第2
に自社内のコアコンピタンスを他社のそれと結びつけることでバーチャノレ な組織は自社に大きな製品開発の機会をもたらすかどうか,第3に企業の境界 線を超えて知識と専門技能を統合し同時平行的な業務を行うことでコンセプト からキャッシュ化までの時聞を減らせるかどうか,第4
に実際の業務の規模や スケールの大きさを明確に増大させるかどうか,第5に仮想組織はそれが形成 する協力関係を通じて自社へ新しい市場へのアクセスをもたらせるかどうか, 第6にその新製品を通じて他社の顧客に付加価値を与えその顧客ロイヤルティ 基盤を共有できるかどうか,第7に仮想組織は製品を売ることから解決を売る ことに転換することを早められるかどうかなどである。 最も重要なことは,経営における価値や組織構造や企業文化に踏み込んだパ ラダイムに変化が求められることである。すなわち,適切な技術への投資や全 社的な情報統合,同時平行的な業務遂行,そして従業員を企業の中心的資産と515 経営戦略における時間の風景 -207二一 して位置づけることは,実はアジノレな競争能力の獲得のためにバーチャル企業 体をつくるための必要条件の定義を意味する。 昨今,アジルコンペティションの出現がバーチャlレな組織構造への関心を高 めているのは,迅速な新製品の開発や高付加価値市場への新製品の導入に大き な価値がおかれるようになり,そして新しい市場機会や顧客からの要求が増大 したため,いかなる企業であっても生産の価値連鎖の始めから終わりまでを自 前で維持するのが不可能であるからである。それは逆に,自社のもつ世界一流 の能力を明確化し,それらを他の企業が持つ補完的能力の連結を行うことで成 功がもたらされることを意味する。 さて,バーチャル化を志向する組織統合は人的物的資源を所有する負担を減 らし,新たな事業機会の収益性の最低線を低下させることができる。この電子 的な統合は他企業との相互に有益なコラボレーションのネットワークを拡大す る。すなわち,パ!ーチャルな組織構造の企業では情報の単位を効果的に活用し ている。そして,これによって,特定の製品開発努力で求められる適正な資源 と能力が適正な度合いで水平かっ垂直に統合される。これらの資源を物理的に 残したまま,しかし一方では電子的に結びつけて仮想的に統合することで,施 設の建設や新製品専門の社員の雇用への必要性が削減される。 アジルコンペティションは施設や専門知識が存在する地理的場所に依存しな くなるという意味で,真にグローパノレな競争概念なのである。このことは,企 業は顧客の存在を確認できる場所であればどこでも簡単により少ないコストで 市場参入できる,またいかなる地域のいかなる企業でもその触手を伸ばせる遠 隔地のスピード企業との競争により攻撃を受けやすい,ということを意味する。 このように,急速に変化する高付加価値市場では,例えば新製品のデザ、インや 配送やサービスに必要なある種の専門知識を素早くもたらす能力が決定的な競 争優位を約束する。これか、意味するのは,今後においては特定の性能仕様や多 様な会の顧客の好みに応じて世界製品をカスタマイズする必要があることであ ( 6 ) カスタマイズ:顧客のニーズに基づいて使用を変えることで満足を獲得しようという 製品戦略である。昨今では,自動車や住宅などの大型製品のカスタマイズが好評である。
208 香川大学経済論叢 516 る。
(
3
)
変化と不確実性への対応 第3のアプローチは組織をつくるために変化と不確実性に対応することであ る。スピード企業の組織構造は大量生産時代の企業においてよく見られる階層 型の組織とは異なる原理に基づいている。こうした企業は思いがけずに変化す る情報とサービスに富んだ高付加価値で短命な製品の市場において,その機会 を逃さないようにするために能力を最大限に活かせるようにデザインされてい る。 スピード企業の経営では,第1
に豊かな熟練技能と知識をもっ人々で全従業 員を維持すること,第2
にそして変化する市場機会とそれぞれの顧客の要求に こたえるためにそれらの人々に必要な資源を供給すること,第3に組織の壁を 変えられるようにすること,などが特に重要である。そこでは,まさに共通の 目標を達成するための能力を結集するためのメカニズムが必要である。 スピード企業の組織構造は経営者が顧客機会に応じて最良の組織形態を創り だし,市場機会に対応するのである。また,俊敏な企業の競争力を引き起こす 原動力となるのは,コンセプトからキャッシュ化までの時聞を最短化する要請 であり,それが顧客機会を生みだし顧客を獲得することである。そのためには, 明らかに以下のような4つの特有な状態が生じてくる。それらは,変化を自由 に操れる企業の組織化の方法にかんするもので,経営機能の最適化から新たな 顧客機会の利用の最適化にまでも及んでいる。 第1
はスピード企業では専門知識や主導権や権力が可能な限り分散させられ ている。また,この戦略の有効性を支えるためには,社員は地域で行動してい たとしてもグローパルに思考できるように訓練されなければならない。 第2はスピード企業では組織構造を転換することによって意志決定が加速化 されている。それは,すなわち堅固で重層的で機能別に分断された組織構造を 次第に企業のコアコンピタンスに柔軟に集中できる組織構造に転換するからで ある。 第3はスピード企業ではコアコンピタンスの進化に柔軟に集中できるよう同517 経営戦略における時間の風景 -209-時平行的で柔軟性の高い複数の組織構造を支持する傾向が強まっている。この 理由は,実は多様な開発や生産や顧客サポートの活動において,顧客ごとにそ の要求がそれぞれ異なるからである。 第
4
はスピード企業ではリーダーシップや動機づけ,そして信頼が経営の支 配的モチーフとしての命令と統制に取って代わるようになる。 このように,スピード経営においては戦略的な意図に基づく計画のモデルが 必要になっている。それは,ゲリー・ハメノレと C Kプラハードによれば,第1 は明確な企業理念と公約のビジョン形成をして全社員に伝えること,第2
は大 胆な目標を設定し,ミクロな経営を避けて必要とする物理的かつ考えるための 道具を社員に与え,それから彼らに目標を達成させ進捗状況をレビューし,必 要に応じて目標を調整すること,第3に企業目標に向けた全社的支持と目標を 達成するための責任を社員から勝ち取るために努力し,一部では全社員を戦略 プロセスに巻き込むことというような3点である。 また,スピード企業の組織化と経営の最良の方法はデザイン問題の解決にき わめて近いと考えられる。スピード企業の組織構造が特有のものだとするなら ば,その組織文化もまた特有なものである。その理由は,スピード企業が自ら を,変化を包み込み利益と成長のための新たな機会の源泉とするからである。(
4
)
個客対応への変換能力 第4
のアプローチは人と情報の影響を最大限に活用することである。それは, アジルコンペティションの世界においては人材と情報によって競争する企業聞 に格差が生じるからである。企業が獲得すべきものは社員に体化された知識や 専門技能や情報を個々の顧客のための解決製品に転換する変換能力である。 この変換能力こそが顧客価値に基づく競争においては成功への最大の鍵であ る。すなわち,価格や技術のみではもはや差別化要因とはならず,情報に富み 顧客を豊かにすることに基づいた製品とサービスが差別化の要因になる。ス ピード企業の中核的な生産資源は人間であり,技術や工場や設備のいずれでも ない。顧客が本当に対価を支払う対象は人々へのアクセスである。それは,顧 客を豊かにする有益な製品は自分のもつ知識と企業が活用できるようにした情210ー 香川大学経済論叢 518 報や技術により合成できるからである。 人材と情報はスピード企業にとっては真に重要な資産である。それらの資産 がもたらす影響を最大限に活用し,付加価値や収益を生みだす持続的な活動を 促すことが企業の組織構造や経営哲学の目的になる。それは,原材料や生産設 備や製品のスタイル,マーケティングテクニックなどは競争企業もすぐに入手 できるが,知識や専門技能やイニシアティブや動機づけなどは容易に入手でき ないからである。よって,スピード企業は人材と情報の影響が最大限に活かさ れる企業環境をつくることが必要になる。 スピーディな従業員は,まさに知識に富み情報に通じそして柔軟で権限を与 えられた人材で構成されている。それらは,企業の成功のための責任を分かち あい,そして目標達成への責務を担い,いわば自分自身の問題と同じように企 業の問題を共有し,全社的な顧客サービスの役割を進んで受け入れる人々であ る。また,このようなスピーディな従業員を生みだす努力によって経営の責任 とは一体何であるかが明確になる。それは,すなわち社員に生産や通信や情報 にかかわる技術や変化する情報や経営資源へのアクセスを与えることである。 もしも企業が俊敏な事業環境で競争力を持とうとするのであれば,それらはま ずもって不可欠なものである。 さて,企業経営に求められている挑戦目標としては概ね以下のものがあげら れる。第lは競争を行っている市場と製品に適した企業規模の維持である。第 2はオープンな情報環境を創出する。第 3は従業員の動機付けや雇用保障の目 的と常に変化する顧客機会の需要のバランスをとる。第4は継続的学習を職場 での活動や期待される業績のなかに折り込む。第5は企業の未来への反映の投 資として継続的教育訓練を支援する。第6は現行の中核能力の在庫管理を行い 新しい市場機会の創造に必要な新しい専門技能や知識や技術に投資する。第7 は包括的な全従業員コミュニケーションに献身し投資する。高水準の日常業務 を追求する。第8は高レベルの献身と専念そしてオ}ナーのように考える従業 員への努力を支持していることへの表現としてまた権限委譲と信頼の証しとし て適切な報酬メカニズムをもちいる。