愛知工業大学研究報告 第19号 B 昭和59年
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ソフトウェア保護の基礎的研究
工 藤 市 兵 衛 ・ 鈴 木 達 夫 ・ 近 藤 高 司
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Tatsuo SUZUKI and Takashi KONDO
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1.緒 言 今日, コンビュータは社会のありとあらゆる分野で使 用され, コンビュータ技術の進歩は社会に大きな影響を 与えている。その反面新たな問題が発生しつつあり,そ のーっとしてソフトウエアの法的保護のあり方が議論さ れている。我が国の汎用コンビュータ設置数は昭和5
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年6
月には1
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万台を超え1) 産業界においてOA
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と叫 ばれる合理化のため汎用大型コンピュータからマイクロ コンビュータまで広範聞に利用され,将来とも増加する 傾向にある。コンビュータのハードウェアは半導体技術 の飛躍的進歩により,その経済性は年々改善されて,よ り高性能になって来ている。その, コンビュータの持つ 能力を有効に引き出すソフトウエアは,そのほとんどを 人間の知的労働により生み出されている。そしてオンラ インシステム等の高度なシステムになればなるほど複雑 化,高度化したソフトウエアを必要としている。高度な 機能は大規模なソフトウエア,例えば,IBM
の汎用コン ビ ュ ー タ に 使 用 さ れ る 基 本 ソ フ ト ウ エ ア で あ るOS/
MVS
は約5
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万ステップの大きさ2)であり,多数の人が その作成に従事し高額な投資を要している。しかし今日 の法律制度においてはコンビュータ・ソフトウエアの法 的保護の明確なる条文はなし、。急速に増加するソフトウ エアは新しい時代の新しい社会秩序を維持するため,よ り合理性のある保護のあり方について,新たな理論を如 何に構成するかという問題に直面している。知的所有権 であろうソフトウエアは今,著作権法や工業所有権法で その思想を拡大解釈し適用せんと努力がなされている が, ソフトウエア保護とし、う課題の基本的問題について 展望することにした。2
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法工学的アプローチ コンビュータに係わるソフトウエアの問題が社会科 学,自然科学的な研究対象となることから法律学の各分 野における共同研究は勿論,経済学,社会学,会計学な ど社会科学分野ばかりでなく,自然科学的解明をも不可 欠とするものであり,自然科学の各専門領域との研究, 所謂学際的研究が強調される針。ソフトウエアの保護とい う問題はその対象が自然科学理論により成立しているコ ンビュータの構成要素の一部分であり,その実能に合致 する法律的な社会秩序が形成されなければならない。つ まり,法律学自体の学問的,内在的な枠組を脱却し,対 象を自然科学的アプローチに広げ,本来的な法律学の守 備範囲の追求を見直す必要のある点を強調したい。法工 学とは社会秩序の維持を目的とした「法学」と物的生活 向上を目的とする「工学」を融合せしめた概念で、あり, 将来において発生するであろう紛争問題を解決する補助 として工学の力を貸し,更に法工学により規制された法律,その他の諸規定と共に企業経営のための意思決定を 援助する学であるとみたい。
3
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保護される権利 科学技術が急速に進む中でソフトウエアの重要性は高 くなり様々な分野で利用される今日,企業経営の観点か らいかなる法秩序が必要であるか,その基礎をなす権利 について考える。営利を目的とする企業においてその存 続 。 発 展 す る た め 経 済 的 価 値 を 有 す る 営 業 財 産 を 断 続 的e集団的に活用している。我国において,その社会体 制は資本主義的体制であり, 日本国憲法において財産権 の不可侵について「財産権は, これを侵してはならない」(
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条1
項)と規定している。この規定は私有財産制を 保障したものであり,財産権には物権,債権,無体物財 産権その他いっさいの財産的権利をさしている。そこで 計画的・継続的に経済行為を営む企業にその経済的欲望 の目的を満足させるため有形・無形の諸手段である権利 のうち物権は目的物を直接支配でき,その所有する権利 者は誰に向かっても権利を主張できる物権法定主義(民 法1
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条〉を有する。これは社会秩序の維持のため望まし いと認め,人(法人)がある行為をし,その利益を受け ること,そして支配しうる利益を適当に配分ずることが できるとして法律で保護される法秩序である。有史以前 から,牛馬など動産,土地などの不動産に対し,その経 済的な価値は社会から認められ財産権が自然に発生して いた。しかし近代になってから,有形ではない直接的に 支配不可能な無体物あるいは知的な創作物が出現して来 た。物的生産を高める発明や芸術的表現による創作物が 社会的に経済価値を持ち重要となって来ている。現在の ように科学技術の発達する産業界においては,人の知的 創作による無体財産としての工業所有権と著作権が認め られ社会秩序として確立されている。しかし,1
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年代 から実用化して来たコンビュ タとしづ電子装置は有体 物であり直接に支配できたが,コンピュ タ技術の発達 は 新 規 の 概 念 を 持 つ ソ フ ト ウ エ ア と い う 無 体 物 を 産 ん だ。コンピュータが社会で使用されはじめた頃は,装置 の付随物であり,その社会的認識は低かったけれど,高 度なコンビュータシステムの利用を望む社会はその貴重 な経済価値を持つ対象として独立して取引される様にな って来ている。なぜなら, ソフトウエアの開発作成に大 きな資本の投入が必要で,そこで支払われた代価の回収 が必要である。ソフトウエアのほとんどの部分は人の知 的労働の成果であり,これを売買取引することにより科 益を受けるであろう商品となりうる経済的価値を持つ財 産であることは社会に認められている。無体物としての ソフトウエアはその特殊で取り扱い困難な点から現在法 的にはほとんど認められておらず,いかなる権利により 保護するのかは明確ではなレが,先行開発者の投下資本 に対するソフトウエアの所有権を有するのは明白ではな かろうか。 4.コンビュータ・ソフトウエア 公正なコンビュータ社会の発展と秩序の維持のため法 的保護の対象となるソフトウエアという言葉の定義を考 えてみる。ランダムハウス英和辞典によれば「①コンビ ュ タに関係するプログラム,手順,規則およびそれに 関連する文書類の総称,②機械,商品などの付加価値を 高めるための手段,方法」とあり, 日本工業規格情報処 理用語に「データ処理システムの運用に関係「る計算機 プログラム,手11頂,規則及びそれらに関連Fる文書」と 定義されている。この用語はハードウエア〔デ タ処理 ンステムを構成する装置の総称)としづ用語に対応して 作られたもので,昭和3
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年代になってからソフトウエア とし寸用語が確立した九ソフトウエアを広義の意味とす る利用技術と訳される場合があるが以下については狭義 の意味と解する。米国のコンビュ←タ産業では, この言 葉をプログラムとデータベース(両力とも情報)を意味 するものとし他方では磁気テープ,磁気ディスクそして 印刷されたドキュメンテ ションという情報を含む物理 的媒体を意味するものとし無差別に使用されてレる5)。ソ フトウエアという用語は狭義に解しでも大変抽象的な概 念であり,知的な無体物財産と考えて法的保護の権利が いかなる対象範囲に及び,社会的に認識するか考えるこ とは重要であると思う。そこで, コンビュ タシステム の具体例を用いて考えてみる。コンピュ←タの構成をハ ートウエアとソフトウェアに分けると表lの様になる。 ここでは, ソフトウエアを狭義に解し,プログラム類と ドキメント類と大別することとした。図Iは,銀行で運 表 l コンピュータ@システムの構成要素 ハードウェア 中央処理装置 入力装置 カードリ ダ タ ミナノレ 出力装置 fリンター ターミナノレ 補助記憶装置 磁気ディスク装置,磁気テープ装置 通信装置 ソフトウェア 7'ログラム 基本プログラム 適用業務プログラム ドキュメント マニュアノレ類 システム仕様書 フロ チャ←卜図ソフトウェア保護の基礎的研究
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オンライン処理系 ブロタラム致50本 アセンフリ語 12kステッブ 一 一 ぅ 営 諜 居 へγ
オンラインヘ 図l 適用業務処理システムの概要 用される適用業務処理システムのー処理(取5
1
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の情報 の流れを簡略に示した図て、ある。処理はオンライン処理 系とオフライン処理系から構成されて,銀行の営業応に 設置してある端末から取引の情報を入力し元帳ファイノレ の内容と照合しつつ追加ノレァイノレの中と磁気テ フcへ情 報を書き,そのテーフeの情報を読み込み元帳ファイノレの 内容を変更したり各業務に必要な情報と磁気テーフ。へ書 き,営業広に対して報告書の印刷を行う。このシステム は現在, コンピュータで処理されている業務へ新しく追 加する機能であり,その開発に15カ月を要し,投入され たコンビュータ要員は2
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人月であった。新しい業務を追 加するにあたり,新業務を分析するシステム設計が行な われた。表2は当システム開発に必要とした開発日数と 開発工数割合を示す。設計は銀行の新業務の方法や企業 経営のノウハウが導入され,業務知識やコンピュータの 知識に基くシステム設計書(基本と詳細設計〕が作成さ 表2 システム開発の工程別日数と工数 開発日数 開発工数割合 シ ス ァ ム 基本設計1
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設 計 詳 細 設 計1
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フ ロ グ ラ ム フローチャート 開 発 コーテイング9
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単体テスト ア ス ト 結合テスト9
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総合テスト4
5
日16%
れる。この書類には業務の内容が充分に盛り込まれてお り貴重な情報が含まれるドキュメントとなる。次の工程 はプログラム開発又はプログラミングと呼ばれ,前工程 で作成された設計書に基き, コンピュータのプログラム 言語の知識を用いてフロ チャ ト図を作成する。その フロ チャ ト図に忠実に従いプログラム言語に書きな おし,コ ディング用紙に書く,用紙に書かれたプログ ラ ム を コ ン ビ ュ ー タ に 入 力 し 誤 り が な い か テ ス ト を 行 い,操作説明書,利用者マニュアノレ(書類)を作成し完 成する。この様に適応業務処理システムを開発するため には,その各工程から知的労働により,多種類のトキュ メントが作られ,磁気テープ等の磁気記憶媒体の中には 完成したプログラム(情報)が納まっている。表3はソ フトウエア開発の標準工程と作成されるプロクラム, ト キュメン卜類を示している。当開発で発生した費用は約 1億円で,大部分は開発に従事した要員の人件費であっ た。現実的に発生した費用は当企業の無形財産であろう。 今日のコンビュータ技術は迅速な処理能力を有しており 磁気的記録〔磁気テーフ。媒体等)である無体財産の複製 は非常に容易であり,他の企業が不法手段で入手し使用 すれば上述の開発コストの大部分が不要であることは明 白である。しかしコンピュータのプログラムは複製が容 易であり先行開発者のプログラムがなくなる,つまりそ の経済的価値が無になる損害が起きることではない特徴 がある。そして, ↑キュメント類に関しては著作権法2 条1項「著作物,思想又は感情を創作的に表現したもの であって文芸,学術,美術又は音楽の範聞に属するもの をいう。」とあり,言語の著作物,図表の著作物に該当す ることは明白であると考えられる。しかし,その内容(情 報)までを保護する権利を受けるのではなく,高度な技 術的情報までは保護されない。この様にしてコンピュー タを利用する企業は各業種業務の目的に合致する適用業 務処理システムを作成,開発している。しかしコンビュ ータには基本ソフトウエアと言うコンピュータのハートー ウエアと共にコンビュータメ カから供給されるオベレ ーティングシステムが存在している。オベレーテインク システムとは「計算機プログラムの実行を制御するソフ トウエアであって,スケ、ノュ りング,テノミッキング, 入出力制御,課金処理, コンパイノレ,記憶割振り,デー タ ー 管 理 , 及 び こ れ ら に 関 連 し た 諸 サ ー ビ ス を 行 う も の。」とJ
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では定義されている。基本的な役割りは, コ ンヒュータの資源を利用者が共有して仕事をする様に資 源を適正に配分しコンビュ←タの処理能力を最高に維持 することである。それは制御プログラムと処理プログラ ムからなり図2,図3で示す機能を持つプログラムの集 合である。オベレーテイングシステムの重要な機能のー表3 ソ フ ト ウ エ ア 開 発 に お け る 標 準 工 程 と ト キ ュ メ ン ト , プ ロ グ ラ ム 類 標 準 工 程 作 業 範 囲 ア ウ ト ブ ツ ト 調 査 分 析 現 状 分 析 調 査 報 告 書 予 備 設 計 開 発 計 画 技 術 計 算 の 場 合 の 理 論 解 析 理 論 解 析 説 明 書 シ ス ァ ム 設 計 基 本 設 計 機 能 設 計 シ ス テ ム 基 本 設 計 書 シ ス テ ム 構 成 と サ ブ シ ス テ ム 分 析 ファイノレ設計 入出力帳票と基本ファイノレの設計 シ ス テ ム 評 価 方 法 の 設 定 テ ス ト 仕 様 の 計 画 ・ 内 容 詳 細 設 計 プ ロ グ ラ ム 構 成 の 設 定 詳 細 設 計 書 プ 口 グ ラ ム 基 本 設 計 プ ロ グ ラ ム 構 能 仕 様 の 作 成 共 通 エ リ ア , メッセ←シ,詳細ファイノレ, 内 部 コ ー ド 等 の 定 義 技 術 計 算 の 場 合 の 数 値 解 析 数 値 解 析 説 明 書 フロロクラミンク プ ロ グ ラ ム 設 計 プ ロ グ ラ ム 仕 様 の 作 成 プ ロ グ ラ ム 設 計 書 メ ッ セ ー ジ 覧 , エ リ ア の 定 義 含 む 単 体 テ ス ト 仕 様 の 作 成 プ ロ グ ラ ム テ ス ト 仕 様 書 プ ロ グ ラ ム 作 成 プ ロ グ ラ ム 。 フ ロ ー チ ャ ー ト の 作 成 プ ロ グ ラ ム aフ ロ ー チ ャ ー ト コーデインタ 机上デハツグ, アセンフノレ, コンパイ フ。ログラムリスト ノ レ (媒体含む〉 単 体 テ ス ト デ ー タ の 作 成 テ ス ト 結 果 単 体 テ ス ト ( = デ バ ッ タ 〕 総 合 テ ス ト サ ブ シ ス テ ム 総 合 テ ス ト 総 合 テ ス ト 結 果 報 告 書 シ ス テ ム テ ス ト テ ス ト ラ ン プログラム(完成品〕 総 合 テ ス ト デ ー タ 作 成 マニュアノレの作成 操作説明書,利用者マニュアノレの作成 操 作 説 明 書 納 品 物 件 整 理 を 含 む (出典 ソフトウェア産業振興協会〉 制 御 プ ロ グ ラ ム ス パ パ イ ザ ジ ョ ブ 管 理 デ ー タ 管 理
VSAM
通 信 管 理 回 復 管 理TSS
AIM
〔出典FACOM OSIV
/F4
解説書〉 図2
制 御 プ ロ グ ラ ム の 構 成 っ と し て ジ ョ ブ 管 理 が あ る 。 図4に そ の 機 能 の 流 れ を 示 ' す 。 シ ス テ ム の 総 合 的 処 理 能 力 の 向 上 は こ の 機 能 に 依 存 し て い る 。 ジ ョ ブ は , カ ー ド リ ー タ , 磁 気 テ プ , 大 記 利用者マニュアノレ 憶 装 置 や り モ ー ト 端 末 機 か ら 入 力 さ れ る 。 シ ス テ ム 入 力 制 御 部 は , 入 力 ジ ョ ブ ス ト リ ← ム を シ ス テ ム デ ー タ セ ッ ト に 書 き 込 み , 利 用 者 の 指 示 し た ジ ョ ブ 制 御 の 情 報 は シ ヨフキューデータセットにま~,[意さ;hる。イニシエータの 解 釈 部 は ス プ ー ノ レ デ ー タ セ ッ ト よ り 入 力 を 読 み 込 み な が ら, ジ ョ フ 制 御 情 報 を 必 要 に 応 じ 取 り 出 し コ ン ビ ュ ー タ 資 源 の 割 当 て な ど 行 う 。 利 用 者 の ジ ョ フ は イ ニ シ エ ー タ が 持 つ 仮 想 空 間 て 、 処 理 さ れ , 処 理 さ れ た 結 果 情 報 は ス プ ノレデ タセット(SYSOUT)
へ ー 詩 的 に 記 憶 さ れ , プ リ ン タ ー , 磁 気 テ ー プ 装 置 へ 情 報 が 出 力 さ れ る 。 こ の よ う な 複 雑 な 操 作 機 能 の 全 体 を 制 御 プ ロ グ ラ ム が 持 ち , ハ ド ウ エ ア と 一 体 と な っ て 機 能 し て い る 。 初 期 の コ ン ビ ュ タ は オ ベ レ ー タ の 子 操 作 時 間 を で き る だ け 減 ら し , コ ン ビ ュ ー タ の 異 常 に よ り 停 止 さ せ な い 目 的 で 開 発 さ れソフトウェア保護の基礎的研究
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2
3
処理プログラムー「言語処理プログラムJ
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COBOL
コンパイラFORTRAN N GE
コンパイラFORTRAN N HE
コ、ノパイラpν1
コンパイラALGOL
コンパイラS
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1
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0
コンノミイラ アセγブラBASIC
LISP
サービスプログラム ソート/マージ リンケージエディタ/ローダ データセットユティリティ システムユーティリティ システムゼネレーション 独立ユティりティ サーピスエイド (出典FACOM OSN
/F4
解説書〉 図3 処理プログラムの構成 ていた。しかし, より高い処理能力が要求されマノレチプ ログラミング,仮想記憶,仮想計算機等の新しい概念に 基ずく技術の開発により今日は大規模なプログラムとな ってしまっている。IBM
が1
9
6
4
年発表したIBM360
のオ ベレーティングシステムOSj360
は1
5
0
万 ス テ ッ プ の 規 模で,システム設計,プログラミング, ドキュメント作 成等の作業を含むものであったとしているヘ莫大な費用 の発生はオベレーティングシステムを初めとするコンビ ュータのソフトウエアの有償化であり,1
9
6
9
年IBM
は, ハードウエアとソフトウエアの価格分離の営業方針すな わちアンパンドリングを発表し社会に独立した経済的価 値を有する商品として認識されるようになり今日に至っ ている。ところが,この莫大な基本ソフトウエアの開発 投 資 を 充 分 に 行 わ ず し てIBM
の ソ フ ト が 利 用 で き るIBM
コンパチフソレコンビュータが1
9
7
0
年 代 米 国 で 出 現 し始めた。わが国でも1
9
7
1
年3
月特定電子工業及び特定 機械工業振興臨時措置法を制定し,国産コンピュータ6
社を 3グノレープ化し,そのうちの富士通と日立製作所は,IBM
のコンパチフツレ路線を進みIBM
に急追した。それ に対抗する技術的手段としてIBM
はオベレーティング システムのファームウエア化である。従来オベレーティ ングシステムのソースコード等を公開してきた。従って, 分析すれば同じコンビュータを製造することが可能であ った。しかし,オベレーティングシステムの重要な機能 をもっプログラム(基本ソフトウエア)をマイクロコー ドと言われる電子回路の一部品とすることができた。こ の機能を分析することは容易ではなく相当な時聞を必要 とする。IBM
の大型コンピュ-.93081K
で約1
0
0
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語程度 から3081K
で8
0
0
0
語程度がマイクロコード化されている ようである。但し,これは,一見ハードウエアとソフト ウエアの中間領域の概念に考えられるが,内容(情報) はソフトウエアであり,電子回路の部品(ハードウエア) とし、う媒体の中に記憶されていると考えれば中間領域の 概念はなくなるものと考えられよう。次のソフトウエア の保護という観点からどの範閤までをその権利を認める かという問題点として, ソースプログラムとオブジェク トプログラムという分類がある。通常,一般のコンビュ ータ利用者は,基本ソフトウエアに含まれる言語処理プ ログラムを使いソースプログラムをオブジェクトプログ ラムに変換(コンパイノレ, アセンフツレする作業を行って いる。開発の工程からシステム設計書がより詳細に,そ のシステムの仕様を決定し,変換で使用されるプログラ ミング言語の諸機能を充分に考慮してフローチャート図 が作られる。場合によって,より詳細な仕様を表現した ディテイノレフローチャート図が作られる場合もある。こ れらのフローチャート図からプログラミング言語に合わ せて文字,記号の組合ぜであるソースプログラムがコー ディング用紙の上に書かれる。図 5はマイクロコンピュ -.9で使用されているオベレーテイングシステムCPj
M-80
上で作動するプログラミング言語であるPLjI
の ソースプログラムのコンビュータで,印刷したリストで ある。ソースプログラムはコンビュータの利用者が, コ ンビュータの機能を使う場合に,その機能を人間の言語 にできるだけ近ずけるように表現している。例えば,デ ータを入力する場合,GET
と書き,ファイノレの中へデー タを書く場合,WRITEFILE
と表現する。しかし,コン ビュータはそのハードウエア自身,その内部は電子回路 により構成されてデジタノレ回路による, 0か lという 2 進数表現を根本的に取り扱うようになっている。2
進数 表現はコンピュータの最も得意とする情報表現の最小単 位であり,デジタノレ論理演算回路が経済的に製造で、きる。 それ由に,コンビュータの最も基本となるプログラム又 はコードは2進数で表現し扱われている,当然,オブジ エクトプログラム一一コンビュータが直接理解できる ーーは,機械語(マシン・コード)であり 2進数表現で ある。今日のコンビュータはバイトをl
単位とする表現 で,1
6
進数の2
桁により表現される形式て、人間に表示す ることができる。図6
には,前述のオベレーティングシ ステムの下で動作する,アセンブラーの形式表現による 記号語のソースプログラム(右側)とアセンフソレ(変換) により作成された機械語が1
6
進数表現で示されている。ライタ町出力曲作伽 l 閤 イニシエータの終了
E
三
~T"
レ
タコマンド出っす システムフ ル デタセット システムフ ノレテータセット コマンド文 コマンド文 〔出典 FACOM OSN /F4 解説書〕 オベレーテインク・システムのジョブ管理 図 4ソフトウェア保護の基礎的研究 GRADIN臼z F'F(口C OF'TI ONS 111 向 II~)= DCL A CHAR (10) V向F:YIN日z DCL B CHAR(20) VARYIN白: DCL C CHAR(50) V向Ri'IN日z DCL 1 RECORD STATIC剛
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進 数 表 示 の 例 例 え はLDA
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と書かれているソースプログ ラムは,3
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番地の情報(lノζ イト〉をアキュームレータへ転送せよJとしづ機能を, この1行 が 表 現 し て い る 。 図5,6からソースプログラ ム は 比 較 的 , 人 間 の 言 葉 に 近 い ( 英 語 的 表 現 〉 の 取 り 扱 し、が容易でそのプログラムの有する機能の情報の基本的 部 分 は 第3者でも理解しやすいて、あろう。通常, コンビ ュ タ を 利 用 す る 場 合 , オ ブ ジ ェ ク 卜 プ ロ グ ラ ム 又 は 機 械 語 プ ロ グ ラ ム だ け あ れ ば コ ン ビ ュ ー タ を 稼 動 す る こ と ができ,最近のビデオゲーム機のプログラムの盗用では, 前 述 の フ ァ ー ム ウ エ ア(ROM)
に 書 き 込 ま れ て い る 機 械 語を複製している点(不当に)に問題がある。EDP
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るコンビュータのプログラムは, ソースプログラ ム を 販 売 又 は 公 開 し な い で , オ ブ ジ ェ ク ト プ ロ グ ラ ム だ け を 売 る 営 業 方 針 がIBM
な ど で 多 く 見 ら れ る 。 ソ ス プ ロ グ ラ ム を 見 て そ の 機 能 の 詳 細 な 情 報 又 は ア イ デ ア の 秘密を保護する一対策である。図7は,前述のCPjM-80
に 付 属 す る ユ ー テ ィ リ テ ィ @ プ ロ グ ラ ム のDDTCOM
(デハツグ@ツーノレ〕の最初の内容を左から,番地,1
6
進 数2
桁 で 表 示 し た 機 械 語06
バ イ ト 分 を 一 行 と し て い る ) と そ の 値に対応するアスキ コ ドを示す。このり ス ト を 見 て も 容 易 に 機 能 情 報 を 知 る こ と は 困 難 と 考 え ら れ る 。 ア ス キ コ ドによる表示ではプログラムに含ま れ る 熟 語 を 読 む こ と が 可 能 で あ り 著 作 権 の 表 示 が 含 ま れ て い る 。 米 国 製 の プ ロ グ ラ ム で あ り 米 の 著 作 権 法 で そ の 表 示 を 義 務 づ け て い る の で オ ブ ジ エ ク ト プ ロ グ ラ ム の 中 にまで表示させである。このように, ソ スプログラム と オ フ ジ エ グ ト プ ロ グ ラ ム は 性 質 が 大 き く 異 な り 個 別 に 保護の理論を考える必要がある様に曹、われる。5
.
ソ フ ト ウ エ ア 保 護 のあり方 現在の法律制度の下でコンビュータ, ソフトウエアの 主 た る 保 護 方 法 は , ① 著 作 権 法 に よ る 保 護 , ② 特 許 法 に よ る 保 護 , ③ 契 約 に よ る 保 護 , ④ 刑 法 に よ る 保 護 , ⑤ 不 正 競 争 防 止 法 に よ る 保 護 などが考えられよう。どのよう な 方 法 が 適 切 で あ ろ う か , 高 名 氏 は こ の 問 題 に対し3つ の視点を総合して決すへきことを述べている。①ソフト ウ エ ア 権 者 に 対 し , 出 来 る 限 り 容 易 , 迅 速且つ経済的な 保 護 が 与 え ら れ る も の で あ る こ と 。 ② ソ フ ト ウ エ ア 権 者 の 保 護 と 同 時 に そ の ユ ー ザ ー ( 社 会 ) の 利 益 と の 調 和 が 保 た れ る こ と 。 ③ ソ フ ト ウ エ ア の 国 際 的 保 護 が 十 分 で あ る こ と 九 中 山 氏 は ソ フ ト ウ エ ア の 保 護 の 理 由 と し て , ① 先 行 投 資 者 の 保 護 , ② 重 複 投 資 の 防 止 , ③ 流 通 の 促 進 を 主 張8)さ れ て い る 。 両 者 共 に ソ フ ト ウ エ ア の 持 つ 特 徴 か ら,その開発に必要とされるアイデアを保護するのか, プ ロ グ ラ ム自体を保護するのかにより方法が異なると考 え ら れ る 。 著 作 権 法 で 保 護する場合,開発者が作成した ソ フ ト ウ エアを他人が無許諾で複製使用することは禁止 で き る が す 他 人 が 独 自 に 作 成 し た ソ フ ト ウ エ ア の 実 施 す る こ と は 差 し っ か え な い とするか,特許権で保護されるソフトウェア保護の基礎的研究
1
2
7
場合,先行開発者の排他的な独占的実施権を認めるとい う態様がある。ソフト開発に必要とされるアイデアを保 護するならば特許権を主張すべきであるが前述の様にソ フトウエアの開発に莫大な投下資本を要するのでその回 収を確保するとしづ立場から, ソフトウエアを保護の目 的物と考え,先行開発者以外の他人が不正に使用したり, 盗用,複製することを禁止すれば現実的によL、。しかし, アイデアの保護も将来的には必要であろう。国際的には, 国連の世界知的所有権機関(WIPO)
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日までがユネ ブの本部で専門会議を開きソフトウ エア法的保護に関して保護条約草案が出された。それに は防止すべき権利侵害を,①未公開のソフトウエアを権 利者に無断で公開したり公開の手助けなどをすること, ②未公開のソフトウエアを権利者に無断で保有したり, 複製すること, もしくはその手助けなとをすること,③ どのような形態手段にかかわらず,権利者に無断でソフ トをコピーすること,④権利者に無断で,あるプログラ ムを作ったり,プログラム・りス卜を作成すること,⑤ 権利者に無断でプログラム@リストなどを利用して,同 じか同様のプログラムやプログラム・リストを作ること, ⑥権利者に無断でコピー,盗用,まねなどによるプログ ラムをマシン上で使用したり複製したり蓄積すること, ⑦コンピュ タ,ソフトやコピ 盗用,まねによるソフ トウエアを権利者に無断でレンタノレ,販売,輸入,輸出, リ ス,ライセンシングしたり,営業目的でソフトを保 有すること,⑧権利者に無断で賃金,販売,輸入,輸出, リ ス,ライセンスされた, ソフトウエアもしくはコピ 盗用,まねなどによるソフトウエアを保有したり複製 すること。以上の8
点であるとしている9)。そこではコン ビュータソフトウエアにおける知的創作の結果に直接関 係する特許法,著作権法及びその他秘密保護法等を個別 に検討している。そして基本目的はコンビュ タ,ソフ トウエアの創作及び開示に対する報酬として権利者に排 他的権利の期間から生ずる利益を認めることではなく, 単にコンビュータ,ソフトウエアの創作と拡布を促進し, 他人の価値ある労作の成果の盗用を防ぎ,コンビュ タ, ソフトウエアの取引の促進と権利者による一層の活用を 促すための法的安定性を導入することに在る10)とされて いる。ソフトウエアの法的保護の必要性が高まるなか, 昭和5
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日,テレビゲーム機の不正行為事件を審 理していた東京地方裁判所民事部2
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部は,我国初の,プ ロ グ ラ ム の 著 作 物 性 と そ の 保 護 を 認 知 す る 判 決 を 下 し 7こ11)。この裁判は閥タイトーが昭和53年 8月中旬以降,販 売していたマイクロコンピューターシステムを組み込ん だゲームマシン「スベ スーインヘ ダ 。パート IIJ のROM化したオブジェクト・プログラムを側アイ eエ ヌ。ジ eエンタ プライゼスが顧客の注文により,タイ トーに無断で顧客の手持ちのゲーム機のROMに収納, 改造を行っていたとして著作権侵害の不法行為による損 害賠償を請求した事件である1九 裁 判 所 は 原 告 の 主 張 を 全面的に認め,被告が改造したゲーム機1台あたりの利 益2
万円に改造数2
7
を乗じた5
4
万円が著作権の侵害行為 により被告が得た利益の額とし,これと同額の損害を原 告が受けたと推定されるとして損害賠償を命じた。原告 の主張は次のとおりである。本件機械のコンビュータ e システムのROMiこ収納されている本件オブシェクト・ プログラムは,本件プログラムに用いられている記号語 (アッセンブり言語)を,開発用コンビュータ等を用い て, コンビュータが理解できる機械語〔本件の場合2個 の1
6
進数を単位として表現される。〉に変換した上,これ を電気信号の形で本件機械のROMの記J慮素子に固定し て収納されていること,右記号語から機械語への変換は 右両言語がI
対1
の対応関係にあるため機械的な置き換 えによって可能であり,そこに何ら別個の著作物たるプ ログラムを創作する行為は介在しないこと,このROM に電気信号り形で固定して収納されている本件オブジェ タ卜 aプログラムは, ロムライタ一等の複製用具を用い て,他のROMに電気信号の形で収納することができる ものであり,訴外電商サ ビスらは,右の手段で本件オ フジエクト・プログラムを他のゲ ムマゾンのROMに 収納したこと,そしてROMは,プログラムを収納する と,一定の操作によってこれを消去しない限り,プログ ラムを記憶し続け,右ROM内の情報(プログラム)は コンビュ タ.:/ステムの電源スイッチが入ると中央演 算装置(CPU)
によって読みとられ,CPU
が順次その命 令を実行し,ゲ ムマシンの受像機面上本件ゲームの内 容を映し出すものであることが認められる。右事実によ れば,本件オフジエク卜 aプログラムは本件プログラム の複製物に当たり,訴外電商サ ビスらの本件オブジエ ク卜@プログラムを他のROMに収納した行為は,本件 プログラムの複製物から更に複製物を作出したことに当 たるから著作物である本件プログラムを有形的に再製す るものとして複製に該当する。この様な主張に対し,裁 判所は,①原告のゲ←ムが独自の新規なものであり, ソ ースプロクラムも従前のものとは別個独立に,新たに作 成されたものであること,笹川士事の分析,解法の発明の 積み重ねによる仕事の設計及びプログラミングという, 本件プログラム作成の一連の過程であること,③記号語 はその理解にある程度の専門知識と経験を必要とすると しても作成者の表現内容を第三者に伝達する機能を有す るものであることを認定し,解法の発見及び命令の組合 せの方法においてプログラム作成者の論理的思考が必要とされ,メ最終的に完成されたプログラムは,その作成 者によって個人的な相違が生じるものであることは明ら かであるから,本件プロクラムはその作成者の独自の学 術的思相の創作的表現であり著作権法と保護される著作 物に当たると,判断を下した。ソ スプログラムに著作 権 を 認 め , 本 件 プ ロ グ ラ ム を 機 械 語 に 変 換 し 記 憶 素 子 に固定しているオブシェア卜・プログラムは「何ら別個 の著作物を創作する行為は介在していない