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リアクタンスキャンセル機能を有する 電力変換器を用いた非接触給電システムの低損失化 日下佳祐 2016 年 2 月

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リアクタンスキャンセル機能を有する

電力変換器を用いた非接触給電システムの低損失化

日下 佳祐

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目次

目次 ... i 図目次... vi 表目次... xi 第 1 章 序論 ... 1 1.1 研究背景 ... 1 1.2 研究目的 ... 12 1.3 論文概要 ... 17 参考文献 ... 22 第 2 章 非接触給電システム向け電力変換器の構成 ... 28 2.1 緒言 ... 28 2.2 非接触給電の基本原理... 30 2.2.1 電磁誘導現象による非接触給電システム... 30 2.2.2 補償回路を用いた非接触給電システム ... 32 2.3 従来の非接触給電システムの開発概観 ... 36 2.3.1 伝送周波数の推移 ... 36 2.3.2 伝送周波数と伝送電力の相関 ... 40 2.4 非接触給電システムに用いられる電力変換器 ... 45 2.4.1 フロントエンドコンバータ ... 45 2.4.2 1 次側電力変換器 ... 48 2.4.3 フロントエンドコンバータ機能を内包する 1 次側電力変換器 ... 56

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2.4.4 2 次側電力変換器 ... 59 2.5 リアクタンスキャンセル機能を有する電力変換器 ... 66 2.5.1 リアクタンスキャンセル機能を有する電力変換器の構成 ... 66 2.5.2 リアクタンスキャンセル機能を有する電力変換器の適用 ... 67 2.6 本研究の位置づけ ... 73 2.7 結言 ... 78 参考文献 ... 79 第 3 章 高圧インバータのゲート駆動回路用絶縁電源システム ... 100 3.1 緒言 ... 100 3.2 高圧インバータのゲート駆動用絶縁電源システム ... 101 3.3 提案システム ... 104 3.3.1 提案システムの構成... 104 3.3.2 寄生容量の低減効果... 106 3.4 提案システムの解析 ...111 3.4.1 等価回路の導出 ...111 3.4.2 等価回路の妥当性の検証 ... 112 3.4.3 リアクタンスキャンセル回路の設計 ... 114 3.5 実機検証 ... 121 3.5.1 実験機の構成 ... 121 3.5.2 基礎検証 ... 121 3.5.3 ゲート駆動回路接続時の動作波形 ... 122 3.5.4 三相インバータの駆動試験 ... 123 3.6 結言 ... 132 参考文献 ... 133 第 4 章 1 次側と 2 次側で連動して動作する非共振形非接触給電システム ... 136 4.1 緒言 ... 136 4.2 従来の非接触給電システム ... 139 4.2.1 非共振形非接触給電方式 ... 139

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4.2.2 共振形非接触給電方式 ... 139 4.3 デュアルアクティブブリッジコンバータ動作を応用した電磁誘導方式 ... 142 4.3.1 システム構成 ... 142 4.3.2 出力電圧の制御法 ... 143 4.3.3 提案システムの特徴... 144 4.3.4 励磁電流を考慮した DAB コンバータ動作による伝送電力式の導出 ... 145 4.4 従来の非共振形電磁誘導方式との比較 ... 148 4.4.1 非共振形電磁誘導 ... 148 4.4.2 DAB を用いた方式 ... 149 4.4.3 1 次側電流実効値の比較 ... 151 4.5 提案システムの実機検証 ... 153 4.5.1 動作波形 ... 153 4.5.2 バッテリ電圧変動時の効率特性 ... 154 4.5.3 伝送距離変化時の効率特性 ... 154 4.5.4 出力電力ステップ応答試験 ... 155 4.6 結言 ... 162 参考文献 ... 164 第 5 章 インピーダンス整合機能を付与した 1 次側電力変換器 ... 166 5.1 緒言 ... 166 5.2 反射電力の特性 ... 169 5.3 1 次側電力変換器の出力インピーダンス整合... 171 5.3.1 出力インピーダンスの導出 ... 171 5.3.2 インピーダンス整合回路の設計 ... 172 5.3.3 電源特性の電力伝送特性への影響 ... 173 5.4 結言 ... 179 参考文献 ... 180 第 6 章 インピーダンス整合機能を付与した 2 次側電力変換器 ... 181 6.1 緒言 ... 181

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6.2 高周波非接触給電システム ... 184 6.2.1 周辺回路の構成 ... 184 6.2.2 実験機の構成 ... 184 6.3 ワイドバンドギャップ半導体を用いた従来の整流器 ... 189 6.3.1 実験機の構成 ... 189 6.3.2 キャパシタ入力形ダイオードブリッジ整流器の動作検証 ... 189 6.3.3 損失分離 ... 190 6.4 入力インピーダンスの整合が可能な AC-DC コンバータ ... 196 6.4.1 入力インピーダンスの整合条件 ... 196 6.4.2 提案回路の構成 ... 196 6.4.3 双方向昇圧チョッパの制御法 ... 198 6.4.4 動作モードの解析 ... 198 6.5 リアクタンスキャンセル回路の設計法 ... 206 6.6 提案する AC-DC コンバータのシミュレーション ... 212 6.7 提案する AC-DC コンバータの実機検証 ... 214 6.7.1 実験機の構成 ... 214 6.7.2 動作波形 ... 214 6.7.3 高調波解析 ... 215 6.7.4 反射係数の比較 ... 215 6.8 結言 ... 221 参考文献 ... 222 第 7 章 結論 ... 226 7.1 本研究の成果 ... 226 7.1.1 第 1 章と第 2 章の結論 ... 226 7.1.2 第 3 章から第 6 章の結論 ... 228 7.1.3 リアクタンスキャンセル機能を有する電力変換器に関する結論 ... 229 7.2 今後の課題 ... 232 論文目録 ... 234

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本論文に関係する発表論文 ... 234 学術論文 ... 234 国際会議口頭発表論文(査読付き) ... 234 国内学会口頭発表論文... 235 参考論文 ... 237 国際会議口頭発表論文(査読付き) ... 237 国内学会口頭発表論文... 238 謝辞 ... 241 付録 A (DAB コンバータ用いた非接触給電システムで生じる銅損) ... 243 付録 B (各非接触システムにおける電源からみた力率特性) ... 245 B.1 1 次側電力変換器からみた力率の導出 ... 245 B.1.1 非共振形非接触給電システム ... 245 B.1.2 補償回路(S/S)を用いた共振形非接触給電システム ... 246 B.1.3 DAB 動作を応用した非接触給電システム ... 246 B.2 1 次側電圧源からみた力率の比較 ... 247

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図目次

図 1.1 非接触給電技術に関する出願先国別出願件数推移及び出願件数比率 ... 9 図 1.2 非接触給電技術に関する出願人国籍別出願件数推移と出願件数比率 ... 10 図 1.3 2020 年~2030 年の乗用車車種別普及目標(日本政府目標) ... 11 図 1.4 本論文における研究対象 ... 16 図 1.5 論文概要 ... 21 図 2.1 電磁誘導現象を用いた非接触給電システムの等価回路 ... 34 図 2.2 電磁誘導現象を用いた非接触給電システムの T 形等価回路 ... 34 図 2.3 補償回路を用いた非接触給電システムの概念図 ... 34 図 2.4 非接触給電システムの各種補償方式 ... 35 図 2.5 1 次側直列-2 次側直列補償(S/S)方式による非接触給電システムの等価回路 . 35 図 2.6 非接触給電システムにおける伝送周波数の年次推移(電磁誘導方式) ... 39 図 2.7 電磁誘導を用いた非接触給電システムにおける伝送周波数と伝送電力の関係 ... 44 図 2.8 非接触給電システムの一般的な構成 ... 46 図 2.9 フロントエンドコンバータの構成例 ... 47 図 2.10 フルブリッジインバータ ... 53 図 2.11 電圧制御機能をもつ 1 次側電力変換器の構成例 ... 53 図 2.12 ハーフブリッジインバータ ... 54 図 2.13 LLC 共振形コンバータ ... 54 図 2.14 シングルエンデッドインバータ ... 55

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図 2.15 E 級インバータ ... 55 図 2.16 時分割倍周波電流形 ZCS 高周波インバータ ... 55 図 2.17 フロントエンドコンバータ機能を内包する非接触給電システムの概略図 ... 57 図 2.18 三相四線式マトリックスコンバータ... 58 図 2.19 単相入力-単相出力インダイレクトマトリックスコンバータ ... 58 図 2.20 ダイオードを用いた整流器とその構成例 ... 63 図 2.21 アクティブスイッチによるフルブリッジ整流器 ... 64 図 2.22 ブリッジレス整流器 ... 64 図 2.23 シングルエンデッド整流器 ... 64 図 2.24 E 級整流器 ... 65 図 2.25 高周波単相-低周波三相マトリックスコンバータ ... 65 図 2.26 リアクタンスキャンセル機能を有する電力変換器 ... 71 図 2.27 非接触給電システムにおけるリアクタンス成分 ... 71 図 2.28 非接触給電システムの普及拡大に向けた課題 ... 75 図 2.29 リッツ線と磁性薄膜を用いた交流抵抗の低減手法 ... 76 図 2.30 高温超電導体を用いた交流抵抗の低減手法 ... 76

図 2.31 Plated circular surface spiral winding 構造による交流抵抗の低減... 77

図 2.32 本研究の位置づけ ... 77 図 3.1 適用を想定する高圧インバータの回路構成 ... 103 図 3.2 本章で提案するリアクタンスキャンセル機能を有する電力変換器 ... 107 図 3.3 高圧インバータのゲート駆動回路用電源向け絶縁システムのコンセプト ... 108 図 3.4 絶縁システムの基板配置図 ... 108 図 3.5 送電側基板概略図 ... 109 図 3.6 受電側基板概略図 ... 110 図 3.7 絶縁システムの等価回路 ... 117 図 3.8 絶縁システムの等価回路の導出過程 ... 118 図 3.9 絶縁システムにおける F 行列の定義 ... 119 図 3.10 F パラメータの比較 ... 119

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図 3.11 電力変換器を含めたシステムの等価回路 ... 120 図 3.12 提案システムのフェーザ図 ... 120 図 3.13 絶縁システムの試作機 ... 124 図 3.14 絶縁システムの送電側基板 ... 124 図 3.15 絶縁システムの受電側基板 ... 125 図 3.16 抵抗負荷接続時の動作波形 ... 126 図 3.17 負荷抵抗に対する出力電圧特性 ... 127 図 3.18 負荷抵抗に対する出力電力特性 ... 127 図 3.19 効率特性 ... 128 図 3.20 ゲート駆動回路接続時の実験機器構成 ... 128 図 3.21 ゲート駆動回路接続時の動作波形 ... 129 図 3.22 三相インバータ駆動試験時の実験機器構成 ... 130 図 3.23 三相インバータ駆動試験時の動作波形 ... 131 図 4.1 本章で提案するリアクタンスキャンセル機能を有する電力変換器 ... 138 図 4.2 非共振形非接触給電システムの等価回路 ... 141 図 4.3 共振形非接触給電システム(S/S 方式)の等価回路 ... 141 図 4.4 共振形非接触給電システム(S/S 方式)のシステム構成例 ... 141 図 4.5 DAB 動作を応用した非接触給電システム ... 146 図 4.6 DAB 動作を応用した非接触給電システムの簡易動作波形 ... 147 図 4.7 DAB 動作を応用した非接触給電システムの基本波等価回路 ... 152 図 4.8 従来の非共振形電磁誘導方式と DAB の動作を応用した電磁誘導方式における 入力電流振幅の比... 152 図 4.9 試験機で用いた非接触給電システム ... 156 図 4.10 DAB の動作を応用した非接触給電システムの動作波形 ... 158 図 4.11 MOSFET スイッチング時の動作波形 ... 159 図 4.12 バッテリ電圧変動を想定した場合の効率特性 ... 160 図 4.13 ギャップ長の変化を想定した場合の効率特性 ... 160 図 4.14 山登り法による出力電流ステップ応答試験 ... 161

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図 5.1 本章で提案するリアクタンスキャンセル機能を有する電力変換器 ... 168 図 5.2 反射電力特性の検証用回路 ... 170 図 5.3 高周波電力の基礎特性 ... 170 図 5.4 出力インピーダンスの整合が可能な 1 次側電力変換器 ... 176 図 5.5 出力インピーダンスの整合が可能な 1 次側電力変換器のブロック図 ... 176 図 5.6 整合機能を有するインバータの出力インピーダンス変化 ... 176 図 5.7 方形波駆動時の影響評価回路 ... 177 図 5.8 正弦波駆動時と方形波駆動時の非接触給電システムの動作波形 ... 178 図 6.1 本章で提案するリアクタンスキャンセル機能を有する電力変換器 ... 183 図 6.2 高周波非接触給電システムの構成例 ... 187 図 6.3 実験機器のシステム構成 ... 187 図 6.4 磁界共振結合を用いた非接触給電の等価回路 ... 188 図 6.5 ダイオードブリッジ整流器の検証用回路 ... 192 図 6.6 従来のダイオードブリッジ整流器を非接触給電システムに適用した場合の動 作波形 ... 194 図 6.7 キャパシタ入力形ダイオードブリッジ整流器を適用した場合の損失分離 ... 195 図 6.8 入力インピーダンスの整合が可能な整流器 ... 202 図 6.9 提案回路の制御ブロック図 ... 202 図 6.10 AC-DC コンバータの動作モード ... 203 図 6.11 AC-DC コンバータの理論動作波形 ... 204 図 6.12 動作モード I における等価回路 ... 205 図 6.13 動作モード II における等価回路 ... 205 図 6.14 共振パラメータの設計フローチャート ... 209 図 6.15 入力リアクタンスキャンセル条件(電圧比対周波数比) ... 211 図 6.16 実部決定パラメータ ... 211 図 6.17 シミュレーション結果 ... 213 図 6.18 提案する AC-DC コンバータの実験波形 ... 218 図 6.19 提案する AC-DC コンバータの入力電圧・電流の高調波解析 ... 219

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図 6.20 反射係数の低減効果 ... 220

図 A.1 DAB を用いた非接触給電システムの簡易等価回路 ... 244

図 B.1 DAB を用いた非接触給電システムのフェーザ図 ... 248

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表目次

表 2.1 電力変換器構成による非接触給電システムの特性 ... 72 表 3.1 絶縁システムの仕様 ... 125 表 4.1 試験機の仕様 ... 156 表 4.2 ギャップ長変化時のパラメータ変動 ... 161 表 5.1 伝送コイルの仕様 ... 177 表 6.1 開放形伝送コイルの仕様 ... 188 表 6.2 ダイオードブリッジ整流器の定格 ... 192 表 6.3 設計フローチャートで用いるパラメータ一覧 ... 210 表 6.4 提案する AC-DC コンバータの部品表 ... 217 表 7.1 各章の結論 ... 231

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第1章

序論

1.1 研究背景

電磁誘導現象を用いた非接触給電は,1 次側コイルと 2 次側コイル間の磁気結合を用い ることで電力ケーブルを用いずに電力を供給する技術である(1)-(3)。電磁誘導現象を用いた 非接触給電の歴史を紐解くと,1831 年のファラデー(Michael Faraday)による電磁誘導現象 の発見まで遡る。ファラデーはコイルに磁束が鎖交するとコイルの両端に起電力が生じる ことを発見した。本現象は電磁誘導現象を用いた非接触給電システムの基本原理そのもの である。その後,1834 年にはレンツ(Heinrich Friedrich Emil Lenz)がコイルに磁束が鎖交し た際にコイルに発生する起電力の向きは「磁束変化を妨げる電流を生ずるような向き」と なることを示し,1845 年にはノイマン(Franz Ernst Neumann)が磁束の時間微分がコイル 1 巻あたりに生じる起電力と等しいことを導き出した(5)-(6)。これにより,電気エネルギーと 磁気エネルギー間の関係が明らかにされたといえる。1832 年には最初の発電機が,1851 年には最初の変圧器が開発された(5)。現在でも,変圧器や発電機,電動機等の電気機器は 人類の日々の生活を支えており,現代社会では必要不可欠な機器となっている。ここで, 電磁誘導現象を用いた非接触給電の動作原理に着目すると,1 次側コイルに電流を流すこ とで磁束を発生させ,その磁束が 2 次側コイルに鎖交することで 2 次側コイルに起電力を 発生させる。この起電力を用いて,電気的に接触していないコイル間で電力を供給する(3) したがって,動作原理は変圧器と同一であるといえる(2)。しかしながら,発電機や誘導機, 変圧器などの技術と比べると着想に至るまでが長く,テスラ(Nikola Tesla)が非接触給電シ

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ステムを提唱したのはファラデーが電磁誘導の法則を発見してから 63 年後の 1894 年のこ とである(7)。この時,テスラは実証試験には至っていない。その後, University of Auckland

の Donald Vincent Otto 教授による 1974 年の特許(8)など,いくつかの特許及び報告を経て 5

年後の 1979 年,電磁誘導現象を用いた非接触給電の初めての実証試験結果が米国 California Department of Transportation の J. G. Bolger らにより報告された(9)-(10)。本試験では伝送周波数

210 Hz にて非接触給電に成功しているが,実用化には至っていない。この時,J. G. Bolger らは商用周波数で回転する誘導機に発電機を機械的にカップリングし,高周波電源として 用いることで,商用周波数から高周波への変換を行っている。 電磁誘導現象の発見から非接触給電の実証試験までこれほどまでの時間を要した理由 として,非接触給電に用いられる電源が制約となっていたことが挙げられる。変圧器や発 電機,電動機などは商用周波数(数十 Hz)で駆動可能なことに対し,非接触給電システムを 携帯機器などへ適用しようとした場合,伝送周波数を最低でも数 kHz 程度まで高周波化し なければ,伝送コイルが現実的な大きさにならない。しかしながら,電磁誘導現象が発見 された 1800 年代には,商用周波数を超える高周波電圧を連続的かつ高効率に得る手段が確 立されていなかった。同様に,高周波電圧から直流へ変換する技術も確立されておらず, 電磁誘導現象を用いて非接触給電を行うのは事実上不可能であった。 上記の問題は 1973 年にニューエル(William E. Newell)により提唱された「パワーエレク トロニクス」(11)技術の発展とともに徐々に解決されてきた。パワーエレクトロニクス技術 とはデバイス,電子回路とデバイス技術を示す「エレクトロニクス」と,回転機及び静止 器,電力技術を示す「パワー」,制御を示す「コントロール」からなる学際分野である。現 在では特に,バルブ機能をもつパワーデバイスであるバイポーラトランジスタ,Insulated gate bipolar transistor (IGBT),Metal oxide surface field effect transistor (MOSFET)等で構成され る半導体電力変換器を用いて電力を効率良く,所望の電圧,電流,周波数に変換する技術 を指す。半導体電力変換器は,直流を所望の電圧,周波数の交流に変換する DC-AC コン バータ(インバータ),交流を直流に変換する AC-DC コンバータ(整流器),直流を異なる電 圧間で変換する DC-DC コンバータ,交流から異なる電圧,周波数の交流に変換する AC-AC コンバータの 4 つに大別される。パワーエレクトロニクス技術が発展したことにより,非 接触給電システムに高周波電圧を供給するインバータと,非接触給電システムから直流を

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取り出す AC-DC コンバータに関する技術が確立され,非接触給電システムを実用化する ために必要な技術が揃うこととなる。 特にパワーデバイス技術の発展が電磁誘導現象を用いた非接触給電システムに与えた 影響は大きい。1902 年にヒューイット(Cooper Hewitt)が水銀整流器の原理を発見したこと により電力変換の歴史が始まった。その後 1948 年に,米国ベル研究所によりトランジスタ が発明されたことを発端に,1957 年には米国 GE 社のヨーク(R. A. York) らが,パワーデバ イスの草分け的存在となるサイリスタを開発し(12),半導体電力変換の基礎技術を確立した。 サイリスタは点弧機能を有するという特徴から,電力変換器に新たな自由度を与えること となった。サイリスタは今尚大容量機器には使用され続けているが,駆動可能なスイッチ ング周波数は低く,また,自己消弧機能を有していなかったため非接触給電システムの実 用化にはつながらなかった。1961 年にはサイリスタに自己消弧機能を付与した Gate turn-off thyristor (GTO)が開発され,所望のタイミングで半導体スイッチのオン,オフを切り替える ことが可能となった。1976 年には MOSFET が,1984 年には東芝より Non-latch-up IGBT が 開発され,非接触給電システムで必要となる数 kHz から数十 kHz でのスイッチングが現実 的なものとなってきた(13)-(14)。また,この頃になるとバイポーラトランジスタの高圧化,大

容量化も進められており,数十 kHz でのスイッチングが容易に実現できるようになってき た。さらに現在ではスイッチングデバイス開発者の尽力により,耐圧に依存するもののシ リコン(Si)Metal oxide semiconductor field effect transistor (MOSFET)は数百 kHz から数十 MHz, IGBT は数十 kHz の周波数領域でスイッチングを行うことが可能となっている。今なおパ ワーデバイスの高性能化に関する研究は脈々と進められており,スーパージャンクション 構造(15)-(16)を採用した低オン抵抗な Si-MOSFET の開発や,ワイドバンドギャップ半導体で

あるシリコンカーバイド(SiC)を用いた MOSFET,窒化ガリウム(GaN)半導体を用いた Field effect transistor (FET)など,スイッチングデバイスの高性能化が著しい(17)。ワイドバンドギ

ャップ半導体は,従来のシリコンと比較して真性キャリア濃度が低い,降伏電界が高い, 熱伝導率が高いといった利点がある(18)(19)。これにより,従来シリコン半導体では成し得な

かった高速スイッチング,低オン抵抗化が可能となってきている。特に,SiC を用いたパ ワーデバイスについては既に量産が開始されており,ショットキーバリアダイオードは 2001 年から,SiC MOSFET については 2011 年頃から市販されている。上記のように,1950

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年代から現在に至るパワーデバイスの進歩により,高周波電圧の生成が容易となってきた。 これに伴い,非接触給電システムの開発が始まった。 図 1.1 に非接触給電に関する特許出願技術動向(出願国別)を示す(20)-(21)「なお,2011 年以 降はデータベース収録の遅れや,特許協力条約に則った出願へ各国が移行しているため, 全データが反映されていない可能性がある」(20)。特許出願件数は近年に近づくほど増加傾 向をみせており,2000 年から 2012 年まで計 18379 件の特許が出願されるなど,研究開発 が熱心に行われていることを示している。出願国の割合をみると,日本への出願が 26.5%, 次いで米国への出願が 24.9%,欧州への出願が 19.9%,中国への出願が 15.4%,韓国への 出願が 13.2%となっている。また,米国や欧州等海外から日本への特許出願も 812 件あり, 非接触給電システムの日本市場が無視できない規模であると認識されていることが伺える。 図 1.2 に非接触給電に関する特許出願技術動向(出願人国籍別)を示す(20)-(21)。全出願数の うち,日本国籍者による出願割合が全体の 64.9%を占めており,次いで欧州国籍 12.4%, 米国籍 11.2%,韓国籍 7.0%,中国籍 1.9%となっている。このように,非接触給電技術に関 する研究は世界各地で増加傾向にあり,特に日本では活発な研究開発が進められていると いえる。出願人別出願件数を見ると,上位をパナソニック(日本),SAMSUNG (韓国),クア ムコム(米国),トヨタ自動車(日本)等の企業が連ねており,非接触給電システムの研究開発 は主に家電メーカと自動車メーカが主導している(20)-(21) 電磁誘導現象を用いた非接触給電はアプリケーションにより 4 種類に大別できる。 まず 1 点目は小型家電向け非接触給電である。主に,電動歯ブラシや電気シェーバとい った製品への適用であり既に実用化例がある(22)。これらの機器では「非接触」とはいいな がらも,1 次側と 2 次側が物理的に接触していることが一般的であり,「無接点充電」とも 呼ばれる。これらの製品は家庭内において水気のある環境で使用されることが多いことか ら,これらの機器に絶縁性能を与える目的で非接触給電システムが適用された。非接触給 電システムの適用により,電気的接点無しでバッテリが充電でき,漏電の危険性を低減す ることが可能である。また,これらのシステムでは 1 次側コイルと 2 次側コイル間距離が 極めて近接しており,かつ消費電力が小さいため実用化が比較的早く行われた。 2 点目は携帯電話やタブレット,ノート型パソコンといったモバイル機器である。これ らの機器に対しては,主にユーザの利便性を改善する目的が大きい。携帯電話等の機器に

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対しては Wireless Power Consortium (WPC)や Alliance for Wireless Power (A4WP)などの標準 化団体が国際規格を策定しており,少電力機器に対しては既に一部実用化されている。一 方,ノート型パソコンや家電など,家庭内で使用される機器のうち消費電力が比較的大き い機器については,現在のところ実用化の例はない。 3 点目は産業機器への適用であり,工場で使用される無人搬送車等が該当する。無人搬 送車等に対してはすでに一部実用化が行われている(23)-(26)。特に,クリーンルーム等ではト ロリー線の摂動部から生じる粉塵等によりクリーンルーム内が汚染されることを嫌うため, 古くから非接触給電の適用が進められてきた背景がある。 4 点目は移動体への非接触給電である。電気自動車やプラグインハイブリッド自動車, 鉄道車両等への非接触給電が該当する。J. G. Bolger らの報告(9)-(10)からはじまり,非接触給 電システムの適用先として最も熱心に研究されている応用先の一つである。 図 1.3 に 2020 年から 2030 年における乗用車車種別の次世代自動車の普及目標(27)(日本政 府目標)を示す。近年,エネルギー資源問題や地球環境保護の観点から,電気自動車やプラ グインハイブリッド自動車等の低環境負荷自動車の普及促進が強く求められている(27)。し かしながら,電気自動車やプラグインハイブリッド自動車では,ユーザ自身が各家庭や商 業施設などにおいてバッテリを充電する必要がある。このため,充電操作の煩雑さや感電 に対する忌避感,リチウムイオン電池のエネルギー密度の低さに起因した走行可能距離の 短さなどの理由から,広く普及しているとは言いがたいのが実状である。これらの問題を 解決し,電気自動車の普及を促進する手法として,非接触給電システムが盛んに研究され ている。非接触給電システムを電気自動車のバッテリ充電に適用できれば,ユーザが意識 することなくバッテリ充電を行うことが可能となるため,電気自動車購入に対するユーザ の心理的障壁を下げる事ができる。また,自動車が走行中に給電を行う走行中給電も研究 されており,将来的には電気自動車の走行可能距離の延長にも貢献できる。これらの期待 から,移動体に対する非接触給電システムは現在も実用化に向けて研究が熱心に行われて いる(28)-(29) これまで実用化されている非接触給電システムは数 W から数百 W までの小電力アプリ ケーションが多い。中容量から大容量の非接触給電システムの普及に向けて,主な課題と して(1)漏洩電磁界の抑制,(2)Electro Magnetic Interference (EMI),(3)異物検知,(4)位置ずれ

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対策,(5)低損失化,(6)伝送コイルの小型,軽量化,(7)規格(標準化)が挙げられる(30)(31) (1) 漏洩電磁界の抑制 人体防護の観点から国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)のガイドラインを満足する必 要がある(32)。特に電気自動車向け非接触給電システムでは,1 kW から 7.7 kW 程度の電力 を給電する必要があり,漏洩電磁界の抑制が強く求められる。伝送コイルの形状や遮蔽板 等の適用により漏洩電磁界を抑制する手法が現在主流である。 (2) EMI 非接触給電システムから放射される電磁波を抑制することが強く求められる。これは, 周辺機器の誤動作防止に加え,非接触給電システムの伝送周波数帯の近傍の周波数帯が電 波時計の時刻合わせ(40 kHz,60 kHz)や,列車用無線(10 kHz~250 kHz),船舶無線(405 kHz ~526.5 kHz)等の通信に用いられているためである。そのため放射電磁界の抑制手法が種々 検討されている(33)-(35) (3) 異物検知 1 次側コイルと 2 次側コイル間に金属や磁性体等の異物が挿入された場合,渦電流によ りこれらの物体が加熱され,発熱に至る場合がある(36)。そこで,これらの異物がコイル間 に挿入されていることを検知する手法として,サーチコイルの直並列接続を用いる方式や, 回路のインピーダンス変化を検出する方式などが研究されている。 (4) 位置ずれ対策 1 次側コイルと 2 次側コイル間が,ノミナルの位置に対して水平方向もしくは上下方向 に位置ずれがある状態で設置された場合,伝送効率の低下を招く。伝送コイルの位置ずれ 時にも効率の低下を抑制するよう,伝送周波数を変化させる方式や,補償回路をスイッチ により切り替えることでシステムの共振周波数を変える方法(37),補償方法を変更すること で効率への影響を抑制する手法(38)等がある。 (5) 伝送コイルの小型軽量化 小型携帯機器に搭載される非接触給電システムなどでは,非接触給電システムへの小型 化の要求がある。また,自動車用途では伝送コイルの軽量化が強く求められる。軽量化の ため,伝送コイル形状を変更する手法(39)や,伝送コイルを構成する磁性コアのうち磁束密 度の低いコアを間引く方法(40)等がある。また,伝送コイルの小型化には伝送周波数の高周

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波化が有効である。 (6) 規格(標準化)

携帯電話等の小電力機器に対しては Wireless Power Consortium (WPC)や Alliance for Wireless Power (A4WP)等の標準化団体が国際規格を策定しており,これらの規格を満足す る必要がある。また,電気自動車向けの標準規格も策定作業中であり,これを満足するシ ステムを構築しなければならない(41) (7) 低損失化 省エネルギー化が強く叫ばれる現代において,非接触給電システムの導入により損失が 増大するようなことは受け入れられ難い。また,効率の低下は冷却機器の体積増大に直結 する。したがって損失低減は非接触給電システムの普及拡大のため重要である。システム の低損失化のためには,伝送コイルを構成する材質や形状の検討,電力変換器で発生する 損失の低減及び,非接触給電部の漏れリアクタンスのキャンセル手法が重要となる。 本論文では,上記の非接触給電システムの普及に向けた課題のうち,リアクタンスキャ ンセル回路を内包する電力変換器に着目し,システムの低損失化を図る。損失の増加はシ ステムの大型化に直結するため,中容量から大容量の非接触給電システムでは特に損失の 低減が求められる。例えば,非接触給電システムで発生する損失のうち,1 次側変換器と 2 次側変換器で生じる損失が全体の損失のうち約 40%を占めるとの報告もあり(42),電力変換 器がシステム全体の特性に与える影響は大きい。 非接触給電システムに接続される電力変換器への要求として,次の 3 点がある。 (1) ソフトスイッチング 非接触給電システムにおいて,使用される伝送周波数は数 kHz から数十 MHz まで多岐 にわたる。スイッチングデバイスで生じるスイッチング損失はスイッチング周波数に比例 するため,高周波非接触給電システムではスイッチング損失が増大する。そこで,低損失 化のため,ゼロ電圧スイッチング(ZVS)やゼロ電流スイッチング(ZCS)といったソフトスイ ッチング技術によりスイッチング損失を低減する必要がある。 (2) 非接触給電部の漏れリアクタンスのキャンセル 非接触給電システムでは,1 次側コイルと 2 次側コイル間の磁気結合を用いて電力を供

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給する(43)(44)。しかしながら,1 次側コイルと 2 次側コイルが磁気的に疎結合である場合, 非接触給電部の漏れリアクタンスにより 1 次側の電源からみた力率が低下する。これによ り,1 次側電力変換器内に通流する無効電流が増大することから非接触給電システムの損 失が増加する。そこで,1 次側電力変換器と 2 次側電力変換器では,この漏れリアクタン スをキャンセルすることで無効電流の増大を抑制し,変換器内で生じる損失を低減する機 能が求められる(45)(46) (3) 出力リアクタンス,入力リアクタンスのキャンセル 非接触給電システムの小型軽量化を図るためには伝送周波数の高周波化が有効である ことは先に述べた。しかしながら,伝送周波数を 13.56 MHz など MHz 帯まで高周波化し た場合,高周波化に伴って反射電力が発生する問題がある。これまで,反射電力が発生す るような高周波領域においてパワーエレクトロニクス回路を動作させる需要がなかったも のの,非接触給電システムの小型軽量化のためこれらの周波数が用いられるようになって きた。伝送周波数を数 MHz から数十 MHz まで高周波化した場合,インピーダンスの不整 合により反射電力が発生する(47)(48)。反射電力は不要輻射の増加や,システム効率の低下を 招くため抑制されなければならない。一般的な伝送線路のインピーダンスへ整合すること を考えると,1 次側の電力変換器の出力リアクタンスと 2 次側の電力変換器の入力リアク タンスがゼロ,すなわち抵抗性と見えるよう動作しなければならない(48)。さらに,リアク タンスをゼロとした上で,インピーダンスの実部が伝送線路のインピーダンスと一致しな ければならない。 一方,電力変換器の高周波化の観点からみると,高周波領域では E 級コンバータ等の一 石コンバータ(49)(50)(51)が多く用いられてきた。しかしながら,これらの一石コンバータはス イッチングデバイスに共振電圧が印加されるためスイッチングデバイスの電圧ストレスが 大きく,また損失が一石に集中するという問題があり,大容量化には不向きである。これ らの観点から,近年では大容量可が容易なフルブリッジ構成をもつ電力変換器を高周波領 域においても適用した報告が見られるようになってきた。 このように,電力変換器は非接触給電システムにおいて効率,機能の観点において中心 的な役割を担っている。特に,高周波における大容量化を目指した場合,ブリッジ構成を

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もつ電力変換器が各スイッチングデバイスのストレス低減に有効であるという背景から, リアクタンスのキャンセル機能を有するブリッジ形電力変換器の開発が求められている。

(a) 特許出願件数の推移

(b) 出願先国別出願件数比率

図 1.1 非接触給電技術に関する出願先国別出願件数推移及び出願件数比率

(日米欧中韓への出願,出願年(優先権主張年):2000 年-2012 年)

出典:特許庁 「平成 26 年度特許出願技術動向調査報告書 非接触給電関連

技術」

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(a) 特許出願件数の推移

(b) 出願先の国籍比率

図 1.2 非接触給電技術に関する出願人国籍別出願件数推移と出願件数比率

(日米欧中韓への出願,出願年(優先権主張年):2000 年-2012 年)

出典:特許庁 「平成 26 年度特許出願技術動向調査報告書 非接触給電関連

技術」

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図 1.3 2020 年~2030 年の乗用車車種別普及目標(日本政府目標)

出典:経済産業省 次世代自動車戦略研究会: 「次世代自動車戦略 2010」

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1.2 研究目的

本研究は,電磁誘導現象に基づいた非接触給電システムの普及拡大のため,非接触給電 部に接続される電力変換器に対してリアクタンスをキャンセルする機能を有するブリッジ 形電力変換器を適用することで,非接触給電システムの低損失化を図ることを目的とする。 一般的に,数十 kHz から数十 MHz の高周波で動作する非接触給電システムにおいて,電 力変換器により生じる損失は少なくない(42)。したがって,電力変換器の損失を低減できれ ば非接触給電システム全体の効率改善に大きく貢献することとなる。 図 1.4 に本研究の研究対象を示す。非接触給電システムは一般的に,系統に接続される フロントエンドコンバータ,1 次側電力変換器,1 次側コイル,2 次側コイル,2 次側電力 変換器,負荷から構成される(42)(43)。ただし,1 次側電力変換器はリアクタンスキャンセル 回路と一体化されており,同様に 2 次側電力変換器はリアクタンスキャンセル回路と一体 化されている。これらのリアクタンスキャンセル回路は非接触給電部のリアクタンスのキ ャンセルと電力変換器の入出力リアクタンスのキャンセルのために用いられる。本研究で はこれらのリアクタンスキャンセル機能をもつブリッジ形電力変換器に着目し,下記の 3 つの課題について取り組む。 (a) ブリッジ形コンバータによるリアクタンスキャンセルと変換器内部で生じる損失の 低減 電磁誘導現象を用いた非接触給電システムでは,伝送距離の延長に伴い 1 次側と 2 次側間の磁気結合が弱くなる。これにより非接触給電部の漏れリアクタンスが増大し, 電源側からみた力率が低下する。力率の低下に伴って無効電流が増大し,非接触給電 システム及び電力変換器の効率を低下させる原因となる。そこで,本論文では 1 次側 電力変換器と一体化したリアクタンスキャンセル回路を 1 次側と 2 次側にそれぞれ適 用する。ブリッジ形コンバータにリアクタンスキャンセル機能を付与することで,1 次側電力変換器のスイッチングデバイスはゼロ電流付近でターンオンもしくはターン オフすることが可能となる。したがって,高周波の非接触給電システムにおいても, 非接触給電システムの低損失化が実現できる。 なお,上記の課題のほか,リアクタンスキャンセルブリッジを実際のアプリケーシ ョンに導入するにあたり本アプリケーション特有の課題がある。本論文では,リアク

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タンスキャンセル回路を一体化した電力変換器をもつ非接触給電システムを用いた高 圧インバータのゲート駆動用絶縁電源システムを提案する。高圧インバータのゲート 駆動用絶縁電源には,上記の課題の他に低コスト化の強い要求がある。しかしながら, 従来の絶縁トランスを用いた方式では絶縁距離を確保するため,特殊な形状のコアを 使用せざるを得ずトランスが高コスト化する問題があった。そこで,提案システムの 低コスト化を目指し,非接触給電部のコアレス化が求められている。コアレス化によ って磁気抵抗が増加するため,励磁電流を抑制するためには高周波化が求められる。 しかしながら,高周波領域では回路パターンや伝送コイルの寄生パラメータの影響が 大きくなり,無視できない。そこで,本論では電力変換器と伝送コイルをプリント基 板上に実装することで,寄生パラメータの影響を解析可能な構成とし,高周波におけ る非接触給電システムを実現する。 (b) 非接触給電部の漏れリアクタンスを等価的にキャンセルすることによる電力変換器 内部で生じる損失の低減 磁気結合の弱まりにより非接触給電部の漏れリアクタンスの影響が大きくなり,電 源からみた力率が低下することは既に述べた。従来,補償回路により漏れリアクタン スを等価的にキャンセルする手法が広く用いられている(2)(52)。これらの手法では共振 を用いて非接触給電部の漏れリアクタンスをキャンセルする。しかしながら,共振を 用いた場合,伝送効率が負荷抵抗に依存するという特性を持つこととなり,2 次側変 換器として DC-DC コンバータを追加しなければならない(53)-(56)。さらに,電力を制御 するために 1 次側変換器にも DC-DC コンバータを挿入せざるを得ず(42),電力変換回 数が増加する(57)。電力変換回数の増加はシステムの効率低下に直結する。一方,補償 回路のコンデンサに着目すると,コンデンサには共振電圧が印加されるためシステム の高圧化,大容量化に伴って体積が大型化する。また,共振コンデンサのキャパシタ ンスがノミナル値に対して誤差をもつ場合,伝送効率の急激な低下を招くこととなる。 本論文では,1 次側と 2 次側にブリッジ形インバータを適用し,これらのコンバー タを連動させて動作させることで非接触給電部の漏れリアクタンスを等価的にキャン セルし,電力変換器で生じる損失を低減する手法を提案する。これらの電力変換器の 動作により,従来の非接触給電システムに対して電源からみた力率を改善できるため,

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非接触給電部に通流する無効電流を抑制できる。したがって,1 次側電力変換器と 2 次側電力変換器で発生する導通損失及びスイッチング損失の低減が可能となり,非接 触給電システム全体の低損失化につながる。加えて,本回路ではこの 2 つの電力変換 器の他に,系統に接続されるフロントエンドコンバータのみで,双方向に所望の電力 を供給することが可能となる。これにより,従来回路と比較して電力変換回数が少な くなるため,1 次側電力変換器と 2 次側電力変換器で生じる損失を低減できる期待が ある。 (c) 電力変換器のインピーダンス整合による損失低減 非接触給電システムの伝送コイルの形状や大きさは伝送周波数に強く依存する。非 接触給電部はトランスと同様に考えることができ,伝送周波数を高周波化することで コア内の最大磁束密度を下げることが可能となるため,コアを小型化できる。さらに 高周波した場合,共振に必要なインダクタンスが極めて小さくなるため,コアが不要 となる。また,補償回路のコンデンサ等を大幅に小型化できる利点もある。これらの 理由から,十 MHz 以上の高周波数を用いた非接触給電が多数報告されている(43)。し かしながら,十 MHz を超えた領域で非接触給電システムを駆動する場合,反射電力 の問題がある(48)。電力変換器の出力の波長が伝送線路長に対して十分短くなく,伝送 線路と電源及び負荷とのインピーダンスが一致しない場合,高周波特有の問題である 反射電力が発生する。反射電力を抑制するためには,1 次側変換器と 2 次側変換器の 両者が伝送線路のインピーダンスに対して整合される必要がある(53)。一般的には,リ アクタンスがゼロ,すなわち抵抗性にみえる特性インピーダンスをもつ伝送線路を用 いることが一般的である。リアクタンス成分がある場合,インピーダンスの不整合の 原因となるため,高周波の非接触給電システムでは 1 次側電力変換器と 2 次側電力変 換器のリアクタンス成分はキャンセルされなければならない。なお,リアクタンスを キャンセルした上で,インピーダンスの実部を伝送線路のインピーダンスと一致させ ることでインピーダンス整合が達成される。 非接触給電システムの大容量化と高周波化を考慮すると,スイッチングデバイスの 熱分担が低く冷却が容易なブリッジ構成を適用することが適当である。そこで本論文 では 1 次側のブリッジ形電力変換器にリアクタンスキャンセル機能を付与することで

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コンバータの出力インピーダンスをキャンセルし,出力インピーダンスを所望の値に 設計する手法を明らかにする。 一方,2 次側では高周波領域においても制御無しで動作可能であるダイオードブリ ッジ整流器が多く用いられる。そこで,本論文ではダイオードブリッジ整流器に対し てリアクタンスのキャンセル機能を付与する。これにより,非接触給電システムにお いて 1 次側電力変換器の出力から 2 次側電力変換器の入力までのインピーダンスが等 しくなるため,反射電力が抑制できシステムの損失が低減できる。 以上,本論文では非接触給電システムにおいて 1 次側電力変換器と 2 次側電力変換器で 生じる導通損失,スイッチング損失及び反射損失を,リアクタンスキャンセル機能を有す るブリッジ形電力変換器により低減することを目的とする。

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フ ロ ン ト エ ン ド コ ン バ ー タ + ブリッジ形 1次側電力変換器 リアクタンス キャンセル機能 電力系統 1次側 コイル 2次側 コイル 研究対象 バッテリ ブリッジ形 2次側電力変換器 リアクタンス キャンセル機能

図 1.4 本論文における研究対象

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1.3 論文概要

図 1.2 に本論文の概要を示す。本論文は 7 章から構成されており,各章の内容は以下の 通りである。 第 1 章では,研究背景として電磁誘導現象を用いた非接触給電システムの興りについて 述べ,非接触給電技術の発展がパワーエレクトロニクス技術の発展と密接な関係が有るこ とについて述べた。また,中容量から大容量の非接触給電システムを普及するにあたり重 要な技術項目を挙げた。近年では特に,非接触給電システムの小型化と従来の有線式充電 と比較して競争力をもたせる目的でシステムの低損失化が求められており,これらの課題 を解決可能な非接触給電システム向け電力変換器が要求されていることを述べた。 第 2 章では,電磁誘導現象を用いた非接触給電システムについて,等価回路を示して基 礎原理を説明する。その後,非接触給電システムの初実証から 2015 年の現在に至るまで, 各種文献にて報告された非接触給電システムについて調査を行い,伝送周波数の年次推移 を示す。また,先行研究について発表年度と伝送周波数の関係をまとめた結果を示し,近 年非接触給電システムの伝送周波数が 1 kHz~20 kHz 帯,20 kHz~数百 kHz,数 MHz~数 十 MHz の 3 通りに大別できることを説明する。周波数毎に非接触給電システムのアプリ ケーションや,非接触給電を適用する目的が異なることを述べる。 次に,同様に報告されている文献を元に伝送周波数と伝送電力の関係を示す。この結果 から,現在の技術では大容量化と高周波化には物理的な制約があることを示す。また,伝 送周波数と伝送電力によって,使用される 1 次側電力変換器と 2 次側電力変換器の回路構 成が異なることを述べた後,各電力変換器の基本動作を説明する。上記の調査に基づき, 従来の非接触給電システムに用いられている電力変換器の技術的問題点について言及する。 第 3 章~第 6 章では,リアクタンスキャンセル機能を有する電力変換器を用いた非接触 給電システムの低損失化手法を提案し,提案システムの特徴及び性能について議論する。 第 3 章では,非接触給電部と一体化したリアクタンスキャンセル回路を用いた高圧イン バータのゲート駆動用絶縁電源システムを提案する。本回路はブリッジ形電力変換器にリ アクタンスのキャンセル機能を付与することで,電力変換器を構成するスイッチングデバ イスで ZCS が可能となる。したがって,非接触給電システムを高周波化しても損失の増加 を抑制できる。

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本システムの役割は,高圧インバータを構成するスイッチングデバイスのゲートを駆動 するための絶縁電源を供給することである。高圧インバータのスイッチングにより,各ス イッチングデバイスのエミッタ電位が高い電圧変化率 dv/dt を伴って変動するため,高圧イ ンバータのゲート駆動用絶縁電源には,高い絶縁性能が要求される。近年,本システムの 低コスト化のため絶縁部のコアレス化が求められている。コアレス化に伴って得られる自 己インダクタンスが制限されるため,励磁電流を抑制するためには必然的に高周波化しな ければならない。しかしながら,高周波では回路パターンや伝送コイルの寄生容量の影響 が無視できない。そこで,本システムでは電力変換器とリアクタンスのキャンセル回路及 び,伝送コイルをプリント基板上に一体化することで,これらの寄生パラメータを考慮し てシステムの設計を行う。これにより高周波非接触給電を実現する。さらに低コスト化の 観点から,複数の受電側基板に同時に電力を供給する。本章では初めに提案システムの概 要について述べた後,送電側基板と受電側基板間の寄生容量について電磁界解析を用いて 評価を行い,従来のトランスを用いたゲート駆動用絶縁システムよりも提案システムの浮 遊容量が小さく,高い絶縁性能を有していることを示す。その後,提案システムの等価回 路を提案し,電磁界解析結果と等価回路の F パラメータを比較することで提案回路の妥当 性を検証する。最後に,実験機を構築し抵抗負荷を用いた場合と,実際のゲート駆動回路 を接続した場合の動作について検証を行う。 第 4 章では,2 台のブリッジ形電力変換器を連動して動作させることで等価的に漏れリ アクタンスをキャンセルする手法を提案する。本章ではまず,補償回路内で共振を用いて リアクタンスをキャンセルする方法を示し,電力変換器の構成,補償回路がシステムに与 える影響の観点から,問題点を示す。その後,以上の問題を解決可能な方式として,2 台 のブリッジ回路を連動させることで等価的に漏れリアクタンスをキャンセルする手法を提 案する。提案手法について簡単に特徴を説明した後,提案手法を用いた場合の伝送電力の 理論式の導出及び,回路の設計法について述べる。次に,電力変換器の出力電流振幅と力 率の観点から従来の共振を用いて漏れリアクタンスをキャンセルする方式と比較を行い, 従来法に対して効率面で優位であること説明する。本システムを構築し,簡易な回路構成 で双方向に電力制御が可能であることを実験的に明らかにする。さらに,各スイッチのス イッチング波形を示すことで形電力変換器において負荷電力によらず ZVS が可能である

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ことを実験的に示す。これらの特徴から,提案システムにより非接触給電システムの低損 失化が可能であることを示す。

第 5 章では,Industrial Scientific and Medical (ISM)帯である 13.56 MHz 等,高周波で動作 する非接触給電システムに適用する電力変換器の損失低減手法について議論する。13.56 MHz といった高周波領域で非接触給電を行う場合,伝送周波数に相当する波長が伝送線路 の線路長に対して無視できなくなり,反射電力が発生する。反射電力の発生を抑制するた めには,1 次側電力変換器にインピーダンス整合機能を付与する必要がある。そこで,本 章では高周波非接触給電システムに向けて,出力リアクタンスのキャンセル機能をもつ 1 次側電力変換器の構成について議論する。まず初めに反射電力の特性を明らかにするため, RF 電源と抵抗負荷を用いて反射電力と進行波電力,等価電力の関係を明確化する。その後, リアクタンスキャンセル機能をもつブリッジ形インバータを提案し,本回路の出力インピ ーダンス導出法を明らかにする。これに基づき,本回路に適用するリアクタンスキャンセ ル回路のパラメータを設計する。 第 6 章では,第 5 章と同様に 13.56 MHz を用いた非接触給電システムに適用する,入力 リアクタンスキャンセル機能付き 2 次側電力変換器を提案する。高周波では反射電力の発 生を抑制するため,リアクタンスキャンセル機能をもつ電力変換器を用いなければならな い。特に,電気自動車などへの適用を考えた場合,大容量化が必要となるため,スイッチ ングデバイスの熱分担を考慮するとブリッジ構成をもつ電力変換器の適用が望ましい。そ こで,本章ではリアクタンスキャンセル機能をもつブリッジ形整流器を提案する。本章で はまず,ワイドバンドギャップ半導体を用いた従来のダイオードブリッジ整流器の実機検 証を行う。実機検証結果に基づいて損失の分離を行い,反射電力が損失の中で約 50%を占 めていることを示し,反射の低減が必要であることを述べる。この結果に基づき,反射電 力を抑制可能な条件を明らかにした後,入力リアクタンスをキャンセル可能で,かつイン ピーダンスの整合が可能な回路構成を提案する。本提案回路は,ダイオードブリッジ整流 器にリアクタンスキャンセル用の共振回路と双方向昇圧チョッパを組み合わせた回路であ る。提案回路について回路の動作モードと制御方法について説明を行った後,シミュレー ション結果を示す。最後に,実機検証を行い提案回路により回路の入力リアクタンスが有 効にキャンセルされていることを示し,提案システムにより非接触給電システムの低損失

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化が可能であることを明らかにする。

第 7 章では本論文の成果と各章で提案した非接触給電システムの低損失化手法について 総括を述べ,今後の課題についてまとめる。

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第1章 序論 研究背景 目的 第2章 第7章 今後の課題 結論 非接触給電システム向け電力変換器の構成 リアクタンスキャンセル機能を有する電力変換器によるシステムの低損失化 高圧インバータの ゲート駆動回路用絶縁電源 第3章 ・伝送コイルと リアクタンスキャンセル回路を一体化 ・非接触給電システムの基本特性 ・周波数と伝送電力に着目した開発動向 ・従来の電力変換器の構成 フロントエンドコンバータ 1次側電力変換器 2次側電力変換器 第5章 第6章 インピーダンス整合機能を付与した 1次側電力変換器 ・1次側電力変換器の 出力リアクタンスをキャンセル ・2次側電力変換器の 入力リアクタンスをキャンセル 第4章 1次側と2次側で連動して動作する 非共振形非接触給電システム ・ブリッジ回路の連動動作により  等価的に漏れリアクタンスをキャンセル インピーダンス整合機能を付与した 2次側電力変換器 非接触給電部の 漏れリアクタンスをキャンセル 電力変換器の 入出力リアクタンスをキャンセル

図 1.5 論文概要

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参考文献

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(60) H. Ishihara, F. Moritsuka, A. Matsushita, S. Otake: “A Voltage Ratio-based Efficiency Control Method for 3 kW Wireless Power Transmission”, IEEE Applied Power Electronics

(43)
(44)

第2章

非接触給電システム向け電力変換器の

構成

2.1 緒言

第 1 章では,非接触給電システムの原理の発見から非接触給電システムが実際に実証さ れるまでの経緯について簡単に述べ,パワーエレクトロニクス技術の発展と密接な関係が あることを示した。非接触給電システムの 1 次側と 2 次側には必ず電力変換器が必要とさ れ,これらの電力変換器が非接触給電システムの特性や機能を決定づける。例えば制御面 では,1 次側電力変換器と 2 次側電力変換器を利用することで,出力電圧の制御や,伝送 電力制御,負荷インピーダンス整合等の制御が行われる。しかしながら,これらの電力変 換器で生じる損失は非接触給電システム全体で生じる損失に対して無視できない。特に近 年,非接触給電システムの伝送周波数は数 kHz から数十 MHz まで高周波化されており, 高周波動作化に伴って種々の課題が生じている。例えば,スイッチングデバイスで生じる 損失としてスイッチング損失があり,これはスイッチング周波数に比例するため,高周波 に伴って増大する。したがって,システム全体で高効率化を図るためには,電力変換器の ソフトスイッチング化が必要である。また,数十 MHz の高周波領域では,インピーダン スの不整合により反射電力が増大する問題があるため,リアクタンスをキャンセルしイン ピーダンスの整合を図る機能を電力変換器に付与する必要がある。 本章では初めに,電磁誘導現象を用いた非接触給電システムについて,基本的な式を示

(45)

しながら原理を説明する。その後,これまで報告されている非接触給電システムについて 伝送周波数の年次推移を示し,非接触給電システムの発想から現在に至るまでの開発の傾 向について言及する。さらに,これまで文献にて報告された従来の非接触給電システムの 伝送周波数と伝送電力及び,使用されている電力変換器の回路構成に着目する。伝送周波 数と伝送電力は密接な関係があり,また,これらの関係によって使用される電力変換器の 回路構成も大きく異なる。調査した文献のうち特筆すべき文献を示しながら,これまでの 非接触給電システムの特性について述べ,非接触給電システム向け電力変換器に要求され ている性能を明らかにする。 最後に,本論文で提案する非接触給電システムの低損失化手法を示し,従来手法との差 異を説明する。

図 1.3  2020 年~2030 年の乗用車車種別普及目標(日本政府目標)
図 2.3  補償回路を用いた非接触給電システムの概念図
図 2.14  シングルエンデッドインバータ  (文献(144))  図 2.15  E 級インバータ  (文献(71)(97)(106)(128)(129))  図 2.16  時分割倍周波電流形 ZCS 高周波インバータ  (文献(57))
図 2.18  三相四線式マトリックスコンバータ  (文献(125))
+7

参照

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