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初動防疫体制構築のための埋却候補地調査

奈良県家畜保健衛生所 業務第一課 ○中島岳人 武平有理子 【緒言】 H23 年 4 月に家畜伝染病予防法が改正された。それにより飼養衛生管理基準の内容に、畜 産農家の責任において、口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の発生に備えた埋却 地の確保をすべき旨が示された。また、H23 年 2 月には奈良県内でも HPAI が発生し、実際 に埋却地の選定が難航するという経験をした。それらを受けて、部局を越えた協力体制の もと、各農家への埋却候補地立入調査及び7回にわたる埋却候補地選定会議を実施した。 また並行して焼却施設、公有地の調査も実施した。その内容について報告する。 【埋却候補地立入調査】 H23 年 4 月~12 月にかけて家畜保健衛生所を中心に、規模の大きい農家から優先して埋 却候補地立入調査を行った。最終的な奈良県全体の調査率は、口蹄疫の対象となる牛・豚 ・緬山羊農家で 86%(98/114 戸)、HPAI の対象となる鶏・その他家禽農家で 59%(54/92 戸)となった。牛 20 頭以上、鶏 1,000 羽以上を飼養している農家は全戸調査した。 実際の方法は、農家に自己所有地に関する聞き取りを行い、各候補地において判断基準 となる項目(畜舎からの距離、進入道路、面積、形状、障害物、奥行き幅、周辺状況、周 辺住民の状況)についてメジャーやデジカメ等を用いて調査、記録した。 埋却候補地選定会議では、土地測量の専門部署の職員を交えて意見を聞き、調査の結果 を踏まえて各候補地を総合的に評価し、◎(埋却に問題がない)・○(埋却可能)・△(埋 却が難しい)・✕(埋却不可能)の 4 段階で判定した。 図1はある農家について作成した資料の一部を示している。この農家では6つの候補地 を検討した結果、①番が総合判定○となり、最も優先順位の高い埋却候補地として選定さ れた。

(2)

図1

このように、各農家について埋却の優先順位が最も高い候補地1つに注目し、そのデー タを集計した。

(3)

【結果】 口蹄疫対象農家では、埋却可能な農家(◎判定農家と○判定農家の合計)は 40%、△判 定農家は 31%、✕判定農家は 29%であった。HPAI 対象農家では、◎判定農家と○判定農家 は併せて 37%、△判定農家は 26%、✕判定農家は 37%であった(図2)。HPAI 対象農家の 方が✕判定農家の占める割合が若干大きいことがわかった。 図2

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図3は奈良県の地域的特徴及び家畜飼養者の所在地を示す。

総合判定の結果を地域別に見てみると、埋却は平坦部で難しく、山間部で容易な傾向があ った。丘陵地では判定結果も平坦部と山間部の中間というところだったが、HPAI 対象農家 では✕が多く見られた。

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次に、△判定の農家について、総合判定が△となった主な理由を検討した。 その理由は以下の6つに大別することができる。 ① 道幅が重機には狭いといった進入路によるもの [進入路] ② 民家、施設が近くにある等、周辺住民によるもの [住民] ③ 川や水路、池が近くにあり水質汚染の恐れがあるもの [水質汚染] ④ 林や障害物がある等、土地状態が悪く掘削が難しいもの [土地状態] ⑤ 土地はあるものの、埋却溝の幅が十分にとれず掘削が難しいもの [埋却溝幅] ⑥ 候補地が借地もしくは他人の土地であるもの [借地] その結果、口蹄疫対象農家では進入路、住民、水質汚染が理由の大部分を占め、HPAI 対象 農家では進入路、住民、土地状態が多いことがわかった(図4)。 図4

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また同様に、✕判定の農家について、総合判定が✕となった主な理由を検討した。 その理由には、△と同様の理由(前述の①~⑥)の条件がより厳しくなり、ほぼ調整が不 可能と考えられるものの他に、 ⑦ 面積が不足しており全ての頭羽数を埋められないというもの [面積不足] ⑧ そもそも埋却候補地が存在しない [候補地なし] といった土地自体がないことも問題となっていることがわかった。 しかし、口蹄疫、HPAI とも最も多くを占める理由は住民であった(図5)。 図5

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【対策】 埋却候補地選定会議では、△✕判定となった農家について、なんとかその候補地で埋却 ができるように個別に対策を検討した。 △判定の対策としては、問題となっている理由に応じて、以下のようなものが考えられ た。 ①[進入路] → 進入路の拡張、進入のための土地の一時的な借用 ②[住民] → 住民の調整のための市町村との協力体制の確立 ③[水質汚染] → 池の高低差や水源の使用状況等の調査(問題なければ埋却可能) ④[土地状態] → 林の伐採等、状態に応じた具体的な対策検討 ⑤[埋却溝幅] → 小型の重機での掘削(少羽数飼養者の場合) ⑥[借地] → 本人が埋却できると言っている場合でも、本当に使用可能か 借地契約の確認、地主との交渉 また✕判定となった農家に対しては、問題となっている理由に関わらず、新しく使用可 能な埋却地を確保するよう指導していく必要がある。 現在では、この検討結果を受けて、実際に所有地の林を切り開き埋却地とした農家も現 れるなど、少しずつではあるが埋却可能な農家が増えてきている。 しかし、実際に口蹄疫や HPAI が発生した場合は、対応が間に合わない可能性が高い。 そこでこれらの農家では、自己所有地での埋却以外の方法として、焼却(HPAI)や公有地 での埋却を検討した。 【焼却及び公有地での埋却】 HPAI では焼却が可能である。市町村の焼却施設には2年ほど前から立入調査を行ってい たが、小規模施設の調査と、前回焼却が不適という結果になった施設の再調査を継続して いる。 県内の焼却施設にはストーカ式焼却炉と流動床式焼却炉の二種類が存在する。ストーカ 式焼却炉では、焼却能力に左右されるものの、鶏の焼却は基本的には可能と考えられた。 しかし流動床式焼却炉では、構造上、鶏の焼却には不向きであった。実際に HPAI 発生時の 使用が想定される流動床式の焼却施設は 1 カ所のみであるため、再度の立入を行い、焼却 方法を再検討している。 この立入調査をもとに、各家禽飼養農家について、使用できる焼却施設をリストアップ し、各市町村との話し合いを進めている。 さらに、移動式焼却炉の使用も想定し、各農家について、設置場所等の検討を行った。

(8)

また、埋却可能な公有地を確保するため、県有地については候補地のリストアップを行 った。市町村有地については、各市町村に聞き取りを行っている。現在では G 市で市有地 が2カ所確保できた。現地に立入を行ったところ、敷地のほとんどが山であり、使用でき るのはその1割ほどだったが、G市の△✕農家の牛は全て埋却可能であると確認できた。G 市は埋却の難しい平坦部であり、牛の頭数も多いため市有地の確保ができた意義は大きい と考えられる。 以上の焼却と公有地での埋却の検討結果を考慮すると、口蹄疫対象農家では、埋却可能 な農家は 47%となった(自己所有地(判定◎と○)及び公有地での埋却)。HPAI 対象農家 では、埋却焼却が可能な農家は 93%となった(自己所有地(判定◎と○)及び公有地での埋 却、ストーカ式及び移動式焼却炉での焼却)。 【まとめと課題】 以上をまとめると、総合判定としては口蹄疫では◎○が約4割、△が約3割、✕が約3 割であった。HPAI においても口蹄疫と似た割合だったが、若干✕が多かった。これは、養 鶏農場では敷地いっぱいに鶏舎を建てるところが多く、敷地に余裕がないという特徴を示 していると考えられる。 埋却は平坦部になるほど難しく、山間部になるほど容易になる傾向があった。 △判定の農家では進入路、住民、水質汚染等が理由の多くを占めていた。 ✕判定の農家では、そのほかに、自己所有の土地自体がないという理由も多く見られた。 実際に立入調査を行い、土地の測定等をすることにより、各農家や地域の特徴が数値と して明らかとなり、埋却が難しい農家でも、それぞれに合った具体的な対策を検討するこ とが可能になった。 自己所有地で埋却が難しい農家では、焼却と公有地での埋却についても検討した。 焼却は HPAI では非常に有効な手段だが、鶏の焼却が難しい焼却施設も存在し、さらなる検 討が必要となった。 公有地に関しては、県有地の候補のリストアップを行った。また、G 市の市有地が確保でき た。 以上の焼却と公有地での埋却の検討結果を考慮すると、口蹄疫対象農家では埋却可能な 農家は 47%となり、HPAI 対象農家では埋却焼却が可能な農家は 93%となった。 今後の課題としては、まず、未調査農家で、埋却候補地立ち入り調査を継続していく必要が ある。現在では牛に関しては全農家調査が完了しており、調査率は向上している。

(9)

また、特に住民との調整や焼却施設、公有地等を検討するにあたっては市町村の協力が 不可欠であるため、より強固な市町村との協力体制の確立を急がねばならない。

参照

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