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嚥の可能性があること, 気管切開している児童生徒には不可能であるという問題点もある そのため, 本実践においては, 覚張秀樹 児玉和夫氏らによる重度重複障害児者を対象とする 発達学的水泳療法 をもとにし, 学校でのプール指導の実態に合わせた形でのプール指導計画を作成することとした 1 発達学的水泳療

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Academic year: 2021

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発 達 学 的 水 泳 療 法 理 論 を 利 用 し た プ ー ル 指 導 計 画 の 作 成 と 実 践

岡 山 県 立 岡 山 支 援 学 校 中 学 部 小 山 洋 司 Ⅰ は じ め に 本 校 は , 肢 体 不 自 由 教 育 の 特 別 支 援 学 校 で あ り , H 24年 12月 現 在 , 小 学 部 60名 , 中 学 部 33名 , 高 等 部 42名 , 計 135名 の 児 童 生 徒 が 在 籍 し て い る 。 通 学 形 態 は 自 宅 あ る い は 寄 宿 舎 か ら の 登 校 , 隣 接 し て い る 施 設 か ら の 登 校 , そ こ に 入 所 し て い る 児 童 生 徒 の 病 棟 に 教 師 が 出 向 く 訪 問 教 育 と 多 様 で あ る 。 実 態 と し て は , 知 的 障 害 を 併 せ 有 す る 児 童 生 徒 が 多 く , 心 身 と も 障 害 が 重 度 で 医 療 的 ケ ア を 必 要 と す る 児 童 生 徒 も 多 い 。 こ の よ う な 点 か ら , 日 々 児 童 生 徒 の 健 康 管 理 に つ い て は 特 に 留 意 し な が ら 教 育 活 動 を 行 っ て い る 。 本 事 例 は , 中 学 部 に 在 籍 す る 生 徒 の う ち , 重 度 重 複 障 害 を 有 す る 生 徒 に 対 し て の プ ー ル 授 業 計 画 立 案 と 実 践 に つ い て の 報 告 で あ る 。 Ⅱ プ ー ル 指 導 の 目 的 と 効 果 肢 体 不 自 由 を 有 す る 生 徒 に 対 す る プ ー ル 指 導 の 目 的 は , 覚 張 ( 2009)1)に よ る と 図 1 の よ う に と ら え る こ と が で き る 。 す な わ ち , プ ー ル 指 導 は 「 水 慣 れ ・ 水 遊 び 」 の レ ク レ ー シ ョ ン 的 な レ ベ ル か ら ,「 身 体 機 能 向 上 」 の リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 的 な 内 容 ま で 含 ん で い る と い え る 。 こ れ ら の う ち , ど れ を 重 視 し て 指 導 し て い く か は , 一 人 一 人 の ニ ー ズ に よ っ て 異 な る 。 個 別 の 教 育 支 援 計 画 , 個 別 の 指 導 計 画 に 取 り 入 れ て い く こ と で , プ ー ル の 指 導 だ け で な く , そ の 成 果 を 日 常 生 活 に 拡 大 し て い く こ と が で き る と 考 え ら れ る 。 Ⅲ 重 度 心 身 障 害 児 向 け の プ ー ル 指 導 理 論 前 述 の プ ー ル 指 導 の 目 的 を 達 成 す る た め の 指 導 法 に つ い て , 障 害 児 者 を 対 象 と す る プ ー ル 指 導 法 を ま と め た 実 践 や 文 献 は 少 な い の が 現 状 で あ る 。 障 害 児 者 の プ ー ル 指 導 法 一 つ と し て 知 ら れ て い る も の と し て , ハ ロ ウ ィ ッ ク 法 が あ げ ら れ る 。 こ の 指 導 法 は , 浮 き 具 を 使 用 せ ず , マ ン ツ ー マ ン で ゲ ー ム プ ロ グ ラ ミ ン グ を と お し て 楽 し み な が ら 活 動 す る こ と が 特 徴 で あ る 。 し か し , こ の プ ロ グ ラ ム は 独 歩 可 能 な 程 度 の 障 害 で あ れ ば 対 応 で き る が , 重 度 重 複 障 害 の あ る 児 童 生 徒 に は 難 し い 内 容 が 含 ま れ て い る 。 浮 き 具 を 使 用 し な い 介 助 は , 姿 勢 が 不 安 定 に な り や す く , 姿 勢 保 持 が で き な い こ と か ら 不 安 感 が 生 じ , 水 中 で 緊 張 が 強 く な っ て し ま う と い う 問 題 が あ る 。 ま た , 顔 を 水 面 に つ け る こ と が プ ロ グ ラ ム と し て 求 め ら れ て い る が , 重 度 重 複 障 害 の あ る 児 童 生 徒 に お い て は , 誤 図 1 障 害 が あ る 子 ど も の プ ー ル 指 導 の 目 的 表 1 ハ ロ ウ ィ ッ ク 法 に お け る 指 導 体 系

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嚥 の 可 能 性 が あ る こ と ,気 管 切 開 し て い る 児 童 生 徒 に は 不 可 能 で あ る と い う 問 題 点 も あ る 。 そ の た め , 本 実 践 に お い て は , 覚 張 秀 樹 ・ 児 玉 和 夫 氏 ら に よ る 重 度 重 複 障 害 児 者 を 対 象 と す る 「 発 達 学 的 水 泳 療 法 」 を も と に し , 学 校 で の プ ー ル 指 導 の 実 態 に 合 わ せ た 形 で の プ ー ル 指 導 計 画 を 作 成 す る こ と と し た 。 1 発 達 学 的 水 泳 療 法 の 特 徴 覚 張 ら が 提 唱 す る 「 発 達 学 的 水 泳 療 法 」 と は ,リ ラ ク セ ー シ ョ ン の 獲 得 を と お し て , 水 へ の 抵 抗 感 を な く し , そ の 先 の 泳 ぎ を 目 指 し て い く も の で あ る 。 こ の 流 れ の 中 で , 水 中 で の 「 快 体 験 」 を 積 み 重 ね , 介 助 者 か ら の 働 き か け に よ る 受 動 的 な 動 き か ら , 本 人 の 能 動 的 な 動 き へ と つ な げ て い く も の で あ る 。 本 人 の 「 快 体 験 」 を 導 く た め に , 姿 勢 変 化 の 進 め 方 と し て 日 常 的 に 最 も 多 く の 時 間 を 過 ご す 背 臥 位 に 近 い 姿 勢 か ら , 徐 々 に 立 位 姿 勢 に 近 づ け て い く こ と , 障 害 が 重 い 児 童 生 徒 ほ ど 背 臥 位 よ り 腹 臥 位 の 時 間 を 長 く し て い る 。 そ の た め に は , 適 切 な 補 助 具 を 使 用 し , 浮 力 を 利 用 し て 多 様 な 姿 勢 を 経 験 す る こ と が 大 切 で あ る 。 ま た , 水 を 運 動 の 補 助 と し て 用 い , リ ラ ク セ ー シ ョ ン 効 果 を 高 め る 工 夫 も さ れ て お り , 上 下 ・ 左 右 あ る い は そ れ ら の 複 合 的 な 動 き を 4 秒 リ ズ ム ( 半 分 の 2 秒 リ ズ ム ) で 動 き , 呼 吸 と 動 き を 同 期 し て リ ラ ク セ ー シ ョ ン の 促 進 を 行 う こ と も 特 徴 と し て あ げ ら れ る 。 2 指 導 内 容 の 体 系 こ の 特 徴 を 生 か す た め に , 指 導 内 容 は 大 き く 5 段 階 に 分 け ら れ る 。 水 を 抵 抗 感 な く 受 け 止 め る こ と が で き る 「 水 慣 れ 」 段 階 , 外 的 ア プ ロ ー チ と し て の 水 流 を 受 け 止 め 自 分 の 緊 張 を 調 整 し よ う と す る 「 リ ラ ク セ ー シ ョ ン の 獲 得 」 段 階 , 介 助 者 か ら の 支 持 が な く て も 自 分 の 体 の バ ラ ン ス を 調 整 し よ う と す る 「 能 動 的 な 動 き 」 段 階 , 自 分 で バ ラ ン ス を 取 り な が ら 水 中 で の 動 き に つ な げ よ う と す る 「 自 発 的 な 動 き 」 段 階 , 自 力 も し く は 補 助 具 を 使 い な が ら 水 中 で 動 く こ と を 目 的 と す る 「 泳 ぎ 」 段 階 で あ る 。 重 度 重 複 障 害 の 場 合 に お い て は ,「 水 慣 れ 」「 リ ラ ク セ ー シ ョ ン の 獲 得 」「 能 動 的 な 動 き 」 が 重 視 さ れ , 介 助 者 と コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 取 り な が ら , 各 段 階 に 応 じ た プ ロ グ ラ ム を 実 施 す る こ と と さ れ て い る 。 た だ し , プ ロ グ ラ ム 内 容 及 び 指 導 時 間 は , 本 人 の 生 活 年 齢 や そ れ ま で の 養 育 環 境 ,運 動 機 能 レ ベ ル ,プ ー ル 経 験 な ど を 考 慮 し な が ら 判 断 す る 必 要 が あ る 。 Ⅳ 岡 山 支 援 学 校 に お け る 指 導 と 課 題 中 学 部 の 自 立 活 動 を 中 心 と し た Ⅲ 類 型 の プ ー ル 授 業 で は , 前 述 の 「 発 達 学 的 水 泳 療 法 」 を も と に し , 実 態 に 合 わ せ た 形 で プ ー ル 指 導 計 画 を 作 成 し て い る 。 1 プ ー ル 指 導 計 画 ( 指 導 の 流 れ ) の 作 成 本 校 で の プ ー ル 授 業 は ,教 育 課 程 上 は「 自 立 活 動 」と し て 割 り 当 て ら れ て い る た め ,「 身 体 の 動 き 」 の 「( 1 ) 姿 勢 と 運 動 ・ 動 作 の 基 本 的 技 能 」,「 環 境 の 把 握 」 の 「( 1 ) 保 有 す 表 2 発 達 学 的 水 泳 療 法 に お け る 指 導 体 系

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る 感 覚 の 活 用 に 関 す る こ と 」を 中 心 と し な が ら も ,「 人 間 関 係 の 形 成 」 や 「 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 」 の 項 目 も 意 識 し て 取 り 組 み を 行 っ て い る 。 教 師 と の 関 係 だ け で な く , 集 団 を 意 識 す る た め に 集 団 で の 課 題 も 取 り 入 れ , 他 者 と の か か わ り を も て る 内 容 と し て い る 。 ま た , 水 圧 に よ る 呼 気 補 助 や 浮 力 に よ る 運 動 抵 抗 の 調 整 , 温 水 に よ る リ ラ ク セ ー シ ョ ン 効 果 な ど , 水 の 特 性 を 効 果 的 に 利 用 で き る 授 業 に す る た め に , そ れ ぞ れ の 生 徒 の 実 態 に 即 し た 個 別 課 題 を 設 定 し て 取 り 組 ん で い る 。 指 導 内 容 の 設 定 に は , 発 達 学 的 水 泳 療 法 ( 水 中 運 動 療 法 ) を 中 心 と し な が ら , 身 体 機 能 向 上 に 関 す る 部 分 で は W . A . P. T 療 法 ( 水 治 運 動 療 法 ) 等 の 手 法 も 参 考 に し て 行 っ て い る 。( 図 2 参 照 ) 2 指 導 の 実 際 ( 1 ) 対 象 と す る 生 徒 本 実 践 に お け る 授 業 で 対 象 と し た Ⅲ 類 型 の 生 徒 の 多 く は , 教 師 か ら の 働 き か け や 外 的 刺 激 に 発 声 や 表 情 , 身 振 り で 応 答 す る こ と で 気 持 ち を 表 現 す る 乳 児 期 ~ 幼 児 期 前 半 程 度 の 発 達 段 階 で あ る 。 身 体 機 能 の 面 で は , 車 い す を こ い で 移 動 で き る 生 徒 も 在 籍 し て お り , 教 師 の 補 助 を 受 け て 不 安 定 な が ら も 歩 行 を 行 う こ と が で き る 生 徒 も い る 。M E P A - Ⅱ に よ る 発 達 段 階 で は ,個 人 差 は あ る が , 姿 勢 項 目 に つ い て は よ つ ば い 位 ,立 位 ,立 位 か ら 座 る 動 作 が で き る 状 態 で あ る 。ま た , 移 動 に つ い て は , よ つ ば い 移 動 , 支 持 歩 行 が で き る 。 操 作 に つ い て は , 物 を 持 っ て 振 っ た り た た い た り す る , つ ま ん だ り 取 り 出 し た り す る こ と が で き る 程 度 で あ る 。 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に つ い て は , 呼 ぶ と こ ち ら に 来 る , 簡 単 な 指 示 を 理 解 で き る 段 階 に 到 達 し て い る と 考 え ら れ る 。 ( 2 ) 題 材 に 関 す る 実 態 お よ び 個 別 目 標 生徒A 生徒B 生徒C (日常生活での実態) (日常生活での実態) (日常生活での実態) ・日常生活は車いすで過ごすが,支持歩行が可能 ・一日をとおして覚醒レベルが低いことが多く, ・肘・ひざ・股関節など関節可動域の制限が大き である。 発作が起きることもある。 い。 ・右凸の側わんがあるためコルセットを装着して ・日常生活は車いすで過ごすが,ウォーカーで移 ・体を動かそうとすると緊張が入り,反り返るこ 生 いる。 動することもできる。 とが多い。 徒 ・姿勢が不安定なときに支えになるものをつかむ ・車いすをこいで移動することもある。 ・快・不快を表情や声で表すことができる。 の ことはあるが,教師が提示したものには手を出そ 実 うとしないことが多い。 態 (プールでの実態) (プールでの実態) (プールでの実態) ・水中での活動は好きで,活動に積極的に取り組 ・プールに入るとうれしくて笑顔を見せ,水面を ・プールに入るとうれしくて笑顔を見せ,声を出 むことができる。 たたいて喜ぶ。 すことが多いが,うれしさのあまり緊張が強くな ・身長が低いため,通常のプールの水深では足が ・水中で立位をとろうとすると緊張が強くなる ることもある。 届かない。 が,伏し浮きでは緊張がゆるみやすい。 ・浮き具を使用した伏し浮きでは,上下肢を自発 的に動かそうとすることがある。 (個別目標) (個別目標) (個別目標) ①浮力を利用して立位を保持することができる。 ①水中で浮き具を使用した伏し浮き姿勢で, ①水中で浮き具を使用した背浮き姿勢で,上下肢 ②浮き具を使用して肩や腰をゆるめることができ 上肢の力を抜くことができる。 の力を抜くことができる。 る。 ②浮き具を使用して自発的に体を動かすことがで 題 ③浮き具を使用して自発的に体を動かすことがで きる。 材 きる。 図 2 岡 山 支 援 学 校 に お け る プ ー ル 指 導 体 系

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の 【自立活動指導内容との関連】 【自立活動指導内容との関連】 【自立活動指導内容との関連】 個 2-1,3-1,4-1,5-1,5-2, 2-1,3-1,4-1,5-1,5-2 2-1,3-1,4-1,5-1 別 6-1 目 (評価の観点) (評価の観点) (評価の観点) 標 ①水流が起きても支持立位を保つことができた ①教師の言葉かけや水流を受け止めて,浮き具に ①教師の言葉かけや水流を受け止めて,浮き具に か。 体をあずけて腕を伸ばすことができたか。 体をあずけて腕や足を伸ばすことができたか。 ②縦揺れや横揺れを繰り返すことで緊張がゆるん ②教師の言葉かけや動作の促しを受けて,腕を伸 だか。 ばしたり曲げたりすることができたか。 ③教師の言葉かけに応じて体を動かすことができ たか。 配 ・プールの水面をたたいたり,不意に大きな声を ・浮き具を使用したうつ伏せでは顔に水がかかる ・不意に顔に水がかかると緊張が強くなり,姿勢 慮 出したりするため,周囲の状況に注意する。 ため,口元に注意して水を飲まないようにする。 がくずれることがあるので,支持部位に気をつけ 事 ・発作が起きやすいため,生徒の様子をよく観察 る。 項 する。 生 徒 A は , 実 態 表 か ら も 分 か る よ う に 側 わ ん が あ る た め , 日 常 生 活 で は 側 わ ん の 進 行 予 防 の た め コ ル セ ッ ト を 使 用 し て い る 。 ま た , 自 力 で 立 位 を 保 持 す る こ と は で き る が , 自 力 で 足 を 進 め る こ と は ま だ 難 し い 状 態 で あ る 。「 課 題 」( 自 立 活 動 ) の 授 業 時 間 で 減 圧 ボ ー ル を 利 用 し て 側 わ ん の 進 行 予 防 を 行 っ て い る 。 こ の 生 徒 A を 図 2 の 指 導 体 系 に 当 て は め て プ ー ル の 課 題 設 定 を 行 う と ,「 変 形 の 予 防 」 と 「 身 体 機 能 向 上 」 の 課 題 が 当 て は ま る 。「 変 形 の 予 防 」 課 題 で は , 側 わ ん が 進 行 し て い る 周 辺 部 の 筋 緊 張 を ゆ る め る こ と で , 側 わ ん の 進 行 予 防 に つ な が る と い わ れ て い る 。 浮 き 具 を 使 っ た 腰 の ゆ る め , 浮 力 の 差 を 利 用 し た ド ル フ ィ ン , 全 身 の 緊 張 を ゆ る め る ス イ ン グ な ど の 活 動 が 効 果 的 で あ る と 考 え ら れ る 。「 身 体 機 能 向 上 」 課 題 で は , 水 中 で の 立 位 保 持 を 水 深 を 変 え た り 負 荷 を か け た り し な が ら 行 う こ と で , 陸 上 で は 不 安 定 に な り が ち な 立 位 を , 安 全 に か つ 効 果 的 に 経 験 す る こ と が で き る と 考 え ら れ る 。 ( 3 ) 指 導 案 学習活動 教師の支援および配慮事項 備考 生徒A 生徒B 生徒C 1.あいさつ ・健康観察,着替えの終わった生徒からプールサイドに移動し,授業開始準備をする。 ・切手マット ・準備ができたら,授業の始まりを意識できるように,日直の号令であいさつをする。 2.準備運動 ・活動開始が意識できるように,歌に合わせて体をタッピングし,準備運動を行う。 ・ラジカセ ・CD 3.水浴準備 ・シャワーに近い生徒から順番にシャワーを浴びる。シャワーは心臓から遠い部分(手・足)から温水をかけるようにする。 シャワー,入水 ・安全面を考慮し,生徒B,生徒Cは教員2人で介助を行う。 4.集団活動 共通メニューの音楽に合わせて集団で活動を行う。 ①水慣れ (活動内容) (抱っこ移動) ①体を立てた状態で前後の移動を行い,水流を感じる。 ②リラクセーション ③伏し浮き・背浮きなどリラックスしやすい姿勢で,水流を感じるとともに体をゆるめる。 (横揺れ運動) ③体を立てた状態で前後の移動に加え,上下の動きのある移動を行う。 ④縦揺れ運動 ④体を立てた状態で前後の移動を行うとともに,回転したり,水をかけ合ったりする。 ⑤前後運動 (指導上の留意点) ①脇やあご,首を支え顔が水につからないようにするとともに,生徒の表情にも注意する。 ②生徒の体が水平になるように支えるとともに,水流による無理な力がかからないようにする。 ③生徒の顔が水につからないようにする。 ④集団が意識できるように言葉かけを行う。 (共通メニューの評価の観点) 「横揺れ運動」 「前後運動」 「横揺れ運動」

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・水流を感じながら,全身の力を抜くことが ・体を立てた状態でも緊張せずに活動がで ・水流を感じながら,全身の力を抜くこと できたか。 きたか。 ができたか。 5.個別活動 ・陸上では弛緩しにくい部分について温水プールのリラクセーション効果を利用しながらゆるめていく。 ・ヘッドフロート ・リラクセーション ・リラクセーションができた生徒については,能動的な動き,自発的な動きにつながる課題設定を行い,活動の幅を広げていく。 ・アームヘルパー ・筋緊張の緩和 ・主指導者は全体を見ながら評価を行うようにするとともに,必要に応じて支援に入ったり,助言を行ったりする。 ・フロートマット ・自発的な動き 「スイング」 「肩のゆるめ」 「肩・腰のゆるめ」 ・浮き輪など ・姿勢保持 ・横揺れの水流を受け止め,全身の力を抜く。・浮き具を使用し,浮力を利用しながら肩 ・浮き具を使用し,浮力を利用しながら肩 ・水中歩行 「支持立位」 の緊張をゆるめる。 ・腰の緊張をゆるめる。 ・高さの違う台を使用しながらプールサイド 「泳ぎ」 「スイング」 を持ち,立位を保つ。 ・浮き具を使用し,自発的に動くことで泳 ・横揺れの水流を受け止め,全身の力を抜 ぐ。 く。 (個別メニューの評価の観点) 「腰のゆるめ」 「肩のゆるめ」 「肩・腰のゆるめ」 ・教師の言葉かけや,浮力による体の動きを ・教師の言葉かけや,浮力による体の動き ・教師の言葉かけや,浮力による体の動き 受け止め,緊張がゆるんだか。 を受け止め,緊張がゆるんだか。 を受け止め,緊張がゆるんだか。 「支持立位」 「泳ぎ」 「スイング」 ・水深が変わることで浮力が弱まっても,立 ・自発的に体を動かそうとする様子が見ら ・教師の言葉かけや水流を受け止め,緊張 位を保持することができたか。 れたか。 がゆるんだか。 6.あいさつ ・今日の授業でがんばったことを,評価の観点を入れながら,教師といっしょに発表する。 授業の反省 ・終わりを意識できるように,日直の号令であいさつをする。 7.退水準備 ・順番に退水し,上がり湯用のビニールプールにつかった後,シャワーを浴びるようにする。 ・上がり湯用ビニ ・体温調整 ・安全面を考慮し,生徒B,生徒Cは教員2人で介助を行う。 ールプール ・シャワーを浴びる ・更衣室で着替え後,教室に戻って健康観察,体温チェック,水分補給などを行う。 3 活 動 の 様 子 と 生 徒 の 変 容 生 徒 A の 実 態 か ら 設 定 し た 個 別 課 題 を , 指 導 案 の 中 の 「 個 別 活 動 」 と し て 実 施 し た 。 腰 の ゆ る め で は , 図 3 の よ う に 本 人 が 安 心 し や す い よ う に 大 き め の フ ロ ー ト マ ッ ト を 利 用 し た 。 腰 を 押 さ え る こ と で , 上 半 身 と 下 半 身 と の 浮 力 の 差 が 生 じ , 浮 き 上 が る 速 度 の 違 い か ら , 無 理 な く 腰 の 曲 げ 伸 ば し が で き る 。 ま た , 浮 力 の 差 を 利 用 し た ド ル フ ィ ン で は , 側 わ ん の 凸 側 の 足 に フ ロ ー ト を 入 れ る こ と で , 左 右 の 浮 力 差 が で き ,側 わ ん が 矯 正 さ れ る 方 向 に 浮 力 が 発 生 す る 。 こ の 状 態 で 腰 の 前 後 屈 を 行 う こ と で , 自 然 な 形 で 側 わ ん を 予 防 す る 筋 肉 の 動 き を 促 す こ と が で き る と さ れ て い る 。 担 任 か ら の コ メ ン ト で は , こ れ ら の 動 き を 繰 り 返 す こ と に よ り , 水 流 に 身 を 任 せ 緊 張 を ゆ る め る だ け で な く , 心 身 と も に リ ラ ッ ク ス す る こ と が で き る よ う に な っ て き て い る よ う で あ る 。 こ れ は 水 中 で の 表 情 か ら も 見 て 取 れ る が ,実 際 に プ ー ル 授 業 後 の 車 い す で の 座 位 姿 勢 で は , 側 わ ん 方 向 へ の 体 の 傾 き が 軽 減 さ れ て い る こ と か ら も 分 か る 。 ま た , 水 中 で の 立 位 保 持 で は , 水 中 に 高 さ の 違 う 台 を 沈 め , 水 深 を 変 化 さ せ る こ と で 浮 力 に よ る 支 持 を 変 え ら れ る よ う に し て い る 。 本 人 の 体 調 に 応 じ て , 高 さ を 変 え な が ら 支 持 立 位 を 行 う こ と に よ り , 授 業 後 だ け で な く , 日 常 で の 立 位 保 持 も バ ラ ン ス を 取 ろ う と 意 識 す る 場 面 が が 見 ら れ る よ う に な っ て き て い る 。 こ の よ う 図 3 腰 の ゆ る め の 様 子 図 4 浮 力 の 差 を 利 用 し た ド ル フ ィ ン 図 5 水 中 で の 立 位 の 様 子

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に , 水 中 だ け で な く , 陸 上 で の 活 動 に も プ ー ル 授 業 で 身 に つ け た 動 き を 生 か す こ と が で き る よ う に な っ て き て い る と い え る 。 Ⅴ お わ り に 自 立 活 動 の 取 り 組 み を 考 え る 中 で , プ ー ル 授 業 は 単 に 水 中 で の 活 動 だ け で な く , 日 常 生 活 に お い て も 学 習 内 容 を 身 体 コ ン ト ロ ー ル に 生 か す こ と が で き る な ど ,そ の 効 果 は 大 き い 。 そ の た め , プ ー ル 授 業 を 毎 週 継 続 的 に 行 う の が 理 想 で は あ る が , 全 学 部 が 一 つ の プ ー ル を 使 用 す る た め , 隔 週 実 施 と せ ざ る を 得 な い の が 現 状 で あ る 。 ま た , 指 導 内 容 の 設 定 に つ い て は , 指 導 体 系 を 整 備 し , 段 階 的 に 行 う こ と が で き る よ う に し て い る が , 細 か い 課 題 設 定 に つ い て は 個 々 の 指 導 者 に 任 さ れ て い る 。 さ ら に , 定 期 的 な 実 技 研 修 を 行 っ て い る が , 効 果 的 な 実 技 を 全 指 導 者 が 身 に つ け て い る と は 言 い 難 い 。 全 指 導 者 が 生 徒 の 実 態 に 応 じ て , 自 立 活 動 の 指 導 内 容 と 照 ら し 合 わ せ な が ら 課 題 設 定 が で き る よ う に , 意 識 し て 実 技 技 能 を 身 に つ け て い く こ と が 今 後 の 課 題 と な っ て い る 。 ま た , 今 回 の 指 導 実 践 で 利 用 し た 「 発 達 学 的 水 泳 療 法 」 で は , 重 度 重 複 障 害 者 を 対 象 と し て 「 リ ラ ク セ ー シ ョ ン の 獲 得 」 か ら 「 泳 ぎ 」 を 身 に つ け て い く こ と を 主 な 目 的 と し て い る た め , 独 歩 可 能 な 児 童 生 徒 や ス テ ー ジ の 軽 い 筋 ジ ス ト ロ フ ィ ー 症 の 児 童 生 徒 に と っ て は 障 害 の 特 性 を 考 え る と 課 題 設 定 が 難 し い 。 そ の た め , こ の よ う な 児 童 生 徒 の 自 立 活 動 の 指 導 の 中 で の 泳 ぎ の 指 導 の あ り 方 , 身 体 機 能 向 上 の た め の 効 果 的 な 指 導 に つ い て は , 体 育 的 な 要 素 も 含 め て ま と め て い く の が 今 後 の 課 題 で あ る 。 < 引 用 ・ 参 考 文 献 > 1)覚 張 秀 樹 「 障 害 児 の 水 泳 療 法 」 小 児 内 科 vol.41 No.8, 2009-8, P.1219 覚 張 秀 樹 「 脳 性 麻 痺 児 の 水 泳 療 法 」 小 児 看 護 12, 1989 覚 張 秀 樹 「 肢 体 不 自 由 児 ・ 病 虚 弱 児 の 学 齢 期 の プ ー ル 活 動 に つ い て 」 は げ み No.337, 日 本 肢 体 不 自 由 児 協 会 , 2011 香 川 県 立 高 松 養 護 学 校 肢 体 不 自 由 教 育 の ヒ ン ト 「 肢 体 不 自 由 の あ る 子 ど も の プ ー ル 指 導 」 http://www.kagawa-edu.jp/takayo01/

参照

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