社会福祉施設等における
火災対策について
消防庁予防課
2014年7月
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火災の概要
長崎市認知症高齢者グループホーム火災
(
H25.2.8発生、死者5名)の概要
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長崎市の火災における課題
(1)自動火災報知設備の鳴動後の火災通報装置の操作がされておらず、施
設からの通報ができていなかった。
(2)従業員に対する消防訓練が十分実施されていなかった。
(3)出火階以外での被害拡大要因の一つとして、防火区画が建築基準法令
に不適合があったことが関連した可能性がある。また、こうした状況につい
て関係行政機関間での情報共有が不十分であった。
ソフト面(防火管理や近隣応援体制など)の対策と、
ハード面(建築構造や感知・通報・消火設備など)の対策を
総合的に実施することが必要
火災対策に係る主な論点
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(1)全ての従業員が火災時に適切に対応できる従業員教育の推進
・ 従業員への教育の時期等をあらかじめ計画として明文化させることについて、福 祉部局、消防部局が連携して指導する。(2)効果的な訓練の実施
・ 漫然と訓練を行うだけでは効果は期待できないため、建物構造や入居者の特性、 避難経路等の実情を考慮し、施設ごとの工夫が必要。 ・ 避難訓練マニュアルや他の施設での先進事例などを参考に、消防本部等が個別 施設の訓練計画に対して具体的なアドバイスを行うことや、保健福祉部局を通じた 各施設へのマニュアルや先進事例などの周知を図ることが重要。 ソフト面での対策(1)自動火災報知設備と火災通報装置の連動の原則義務化に向けた検討
(2)防火関係法令に不適合の施設への関係行政機関の改善指導の徹底
(3)スプリンクラー設備の設置基準の見直し
ハード面での対策(1)関係行政機関の情報共有、連携体制の構築
(2)利用者への情報提供
その他必要な対策スプリンクラー設備に係る政令改正(
H25.12.27公布)
• スプリンクラー設備を設置しなければならない防火対象物又
はその部分に、次に掲げるもの(火災発生時の延焼を抑制
する機能を備える構造として総務省令で定める構造を有する
ものを除く。[※1])のうち、延べ面積が275㎡未満のものを
追加(令第12条第1項
)
– ①令別表第1(6)項ロ(1)及び(3)に掲げる防火対象物[高齢者福
祉施設及び乳児院関係]
– ②令別表第1(6)項ロ(2)、(4)及び(5)に掲げる防火対象物(介助
がなければ避難できない者として総務省令で定める者を主として入所
させるものに限る。[※2])[障害児・障害者福祉施設関係]
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政令改正事項
平成
27年4月1日施行。ただし、既存の防火対象物については、
平成
30年4月1日以降に適用。
※1、※2については次ページ以降に解説。
規則第12条の2 延べ面積1000㎡未満のもので次のいずれかに該当する場合、スプリンクラー設備不要 準耐火構造の区画を有すること (区画面積は100㎡未満+区画内に4以上の居室を含まないこと) +「避難容易性等」 準耐火構造の区画を有すること (区画面積は100㎡未満+区画内に4以上の居室を含まないこと) +内装難燃(廊下等は準不燃)仕上げ 入居者等が利用する居室が避難階のみ 275㎡未満限定 +避難に要する時間(※)が、火災時に確保 すべき避難時間を超えないこと +開口部を屋外から容易に開放できること等 100㎡未満限定 +内装難燃 (廊下等は準不燃)仕上げ or スプリンクラー設備が不要となる「火災発生時の延焼を抑制する機能を備える構造として総務省令で定める構造」 第1項第1号 第2項 特定住戸部分(共同住宅の住戸を(6)項ロの用途に供するもの)について 準耐火構造の区画を有すること(各住戸の面積は100㎡以下) +内装難燃(廊下等は準不燃)仕上げ +各住戸の主たる出入口が、直接外気に開放され、煙を有効に排出できる廊下に面す ること等 275㎡未満限定 第3項