尿素
SCR システムの NOx 浄化率向上に関する研究(第 7 報 )
―鉄および銅ゼオライト系 SCR 触媒の比較と N2O 排出要因の解明―
伊藤 聡一郎1) 菊池 裕2) 田中 陽3) 大聖 泰弘4) 鈴木 央一5) 石井 素6)
A Study on the Improvement of NOx Reduction Efficiency for a Urea SCR System (Seventh Report)
―Comparison of Fe- and Cu-SCR Catalysts and Analysis of N2O Formation Mechanism―Soichiro Ito Yutaka Kikuchi Yo Tanaka Yasuhiro Daisho Hisakazu Suzuki Hajime Ishii A Cu-Zeolite SCR system was experimentally compared with a Fe-Zeolite one in terms of NOx conversion efficiency over a wide range of exhaust gas temperatures in a heavy-duty diesel engine. The test results show that the Cu-Zeolite SCR can reduce NOx more effectively due to increased NH3 adsorption at lower temperatures than the
Fe-Zeolite type. In addition, N2O tends to be formed in a DOC located downstream of the SCR system depending on
slipping NH3 from it as well as on the lower temperatures. A simplified catalytic reaction model developed in this study
can explain these SCR and N2O formation reactions.
KEY WORDS : heat engine, selective catalytic reduction NOx removal, emission gas, Copper Zeolite (A1) 1.ま え が き ディーゼル機関の排出ガス規制は今後とも世界的に強化さ れる予定であり,これらに適合するためには排気後処理シス テムが必要不可欠となっている.NOx を浄化する排気後処理 システムの一つである尿素SCR システムは,SCR 触媒が低温 度域である場合NOx 浄化率が低いという課題を抱えているの が現状である.これを改善するための方法として,従来使用 していた鉄ゼオライト系のSCR 触媒に対して銅ゼオライト系 のSCR 触媒を用いると低温での NOx 浄化を改善できる可能 性が有ることが確認されている(1).そこで本研究では,これを 検証するため,まず両SCR 触媒を用いて定常試験により NOx 浄化特性やNH3吸着特性を比較・評価した. 尿素SCR システムでは SCR 触媒に NH3を多く吸着させる ことでNOx 浄化率の向上が可能となる反面,負荷の増大によ りSCR 触媒が急激に昇温した場合 NH3がスリップ(脱離)し てしまうことが懸念される.その対策としてSCR 触媒後段に はスリップしたNH3を酸化・除去するためのDOC が設置され ているが,その際に N2O(亜酸化窒素)が生成されるおそれ がある.N2O は現在未規制物質ではあるが,CO2の298 倍の 地球温暖化係数を持つため発生機構の解明とその抑制が必要 とされている.そこで前報(2)ではエンジンからの排気を対象に, 詳細なN2O 排出要因の解明のため NO をスリップ用 DOC に *2012 年 10 月 5 日受理.2012 年 10 月 5 日自動車技術会秋季 学術講演会において発表. 1)・2)・3)・4) 早稲田大学 理工 学術院 (169-8555 東京都新宿区大久保 3-4-1) 5)・6) (独)交通 安全環境研究所 (182-0012 東京都調布市深大寺東町 7-42-27) 流入させそこにNH3を供給しN2O の生成要因を調査した.そ の結果,排気温度が低い(200℃)条件で N2O 生成割合はピーク となり,高温(>200℃)では NO から NO2への酸化やDOC 上の NO の吸着力の低下により N2O の生成割合は減少するという ことが判明した.本研究ではDOC に流入する NOx 中の NO2 割合(以下,NO2/NOx 比)を変化させ,さらに詳細な生成機 構の解明を行った. 2.実験装置および方法 本研究では,新長期規制に適合した重量車用排気量4L のタ ーボインタークーラ付き多気筒ディーゼルエンジンの排気系 に尿素SCR システムを装着してエンジンベンチ試験を行った. 実験装置の構成を図1 に,また諸元を表 1 にそれぞれ示す. 触媒前後における排出ガス成分の排出量と低減率は,直接測 定法により求めた.触媒構成は上流から,酸化触媒1~3(以下, DOC1~3),触媒付き DPF,SCR 触媒,後段酸化触媒(以下, DOC4)の順で設置し,試験によって設置の有無を変更した. DOC 1 Urea solution injection DPF Exhaust SCR DOC 4 DOC 3 EGR valve
Throttle valve Common- railfuel injection system
Turbo charger EGR cooler Intercooler Air flow meter Surge tank Intake DOC2 NH3gas supply or
Fig.1 Experimental apparatus and aftertreatment system layout
*
*2012 年 10 月 5 日受理.2012 年 10 月 5 日自動車技術会秋季 学術講演会において発表. 1)・2)・3)・4)早稲田大学理工学術院(169-8555 東京都新 宿区大久保 3-4-1) 5)・6)(独)交通安全環境研究所(182-0012 東京都調布市深3.実験結果と考察 3.1. Fe-SCR と Cu-SCR の比較 まず,175℃で両触媒において NH3/NOx を変化させた際の 結果を図5 に示す.NH3/NOx=1.0 の場合は,Fe-SCR の方が NOx 浄化率,反応速度共に優れていたが,NH3/NOx=2.0 では 時間経過とともにNH3スリップが発生し,Cu-SCR の方が高 いNOx 浄化率を得た.これにより,この温度域では Cu-SCR は反応性に劣るが,尿素供給量を増加させるとNOx 浄化率は 向上することが分かった.Fe-SCR 触媒は尿素供給終了後に NOx 浄化率の上昇が見られた.これは,尿素供給が終了した ことによって触媒上の反応サイトに吸着し浄化を阻害してい たNH3が取り除かれたためである[3]. NH3/NOx=2.0 において Cu-SCR の浄化率が優れていた理由を詳細に調べるため, NH3/NOx=2.0 で,SCR 触媒入口温度が比較的低温の場合の NO 減少割合,NO2減少割合,NO2/NOx 比の関係を図 6 に示す. この場合の減少割合は流入するNOxに対する浄化されたNO, NO2の量の割合としている.この図から,Cu-SCR では特に 175℃,190℃で NO が多く浄化されていることがわかる.こ れは,式(4)の Standard SCR 反応が促進されたか,あるいは Cu-SCR は Fe-SCR に比べて酸化力が強いことが知られており (3),NO がより多く流入する状況で NO が触媒内で NO 2に酸化 され,式(3)の Fast SCR 反応が活性化したためと考えられる. 次に,300℃で両触媒において NH3/NOx を変化させた際の結 果を図7 に示す.NH3/NOx=1.0 の時は NOx 浄化率がいずれ
NOx reduction ratio 0 100 200 150 50 0 500 1000 1500 2000 0 500 1000 1500 2000 0 100020003000 4000 5000 6000 0 1000 2000 3000 4000 5000 N O ,N O2 pp m
Time sec Time sec
Time sec Time sec Fe-SCR NH3/NOx= 1.0 Fe-SCR NH3/NOx= 2.0 Cu-SCR NH3/NOx= 1.0 Cu-SCR NH3/NOx= 2.0 NOx reduction ratio
NO outlet
NO2outlet
NH3 outlet
Urea injection timing
(Inlet temp.=175℃, NO2/NOx= 0.26, GHSV=25000h-1)
0 100 200 150 50 N O ,N O2 ,N H3 pp m 0 50 100 75 25 N O x re du ct io n ra io % 0 50 100 75 25 N O x re du ct io n ra tio % NO outlet NO2outlet
Fig.5 SCR steady test at 175℃
Fig.6 NO,NO2 reduction rate at low temp.
の触媒も175℃の場合よりも高くなった.また,Fe-SCR では Cu-SCR に比べて NOx 浄化率が大きく変動した.これは Fe-SCR の反応性が高いため,尿素水噴射により NOx 浄化が 直ちに高くなるが,尿素が速やかに消費されて浄化率が低下 するという過程を繰り返しているためである.300℃において, Cu-SCRはNH3/NOx=2.0の場合でも浄化率は100%に達しなか った.しかしながら,Fe-SCR は尿素供給の終了後は比較的早 期にNOx 浄化が低下したが,Cu-SCR は尿素供給の終了後も しばらくNOx 浄化が続いた.この温度域では Fe-SCR の方が 反応速度,NOx 浄化率ともに高いが,Cu-SCR では低温時と 同じく尿素供給が停止してもNOx 浄化率の低下が Fe-SCR に 比べて穏やかであり,これはNH3吸着特性によるものと考え られる.さらに,各温度でのNH3吸着について調査した結果, 触媒入口温度175℃と 300℃において NH3を過剰に供給し, NH3スリップが発生するまでに吸着したNH3の量を最大NH3 吸着量として算出したところ,175℃では Fe-SCR が 0.12[mol/L],Cu-SCR が 0.15[mol/L],300℃では Fe-SCR が 0.05[mol/L],Cu-SCRが0.09[mol/L]とどちらの温度でもCu-SCR の方が最大吸着量が多いことが確認された.NH3吸着量と NOx 浄化率の関係を図 8 に示すが,この図において NH3吸着 量の増加とともにNOx 浄化率が上昇する傾向が見られる. Cu-SCR はNH3吸着量が少ない段階ではNOx浄化率はFe-SCR に劣るが,NH3吸着量が増えるとNOx 浄化率は上昇する特性 を持つことがわかる. NO2outlet 0 500 1000 1500 2000 2500 Time sec 200 0 150 100 50 0 500 1000 1500 2000 NO,NO 2 pp m Time sec NOx reduction rate
Urea injection timing
NO outlet NO2outlet Time sec 0 500 1000 1500 2000 100 0 75 50 25 Time sec N O x red uct io n rat io % 200 0 150 100 50 NO,NO 2 pp m 100 0 75 50 25 NOx redu ctio n ratio %
(Inlet temp.=300℃, NO2/NOx= 0.29, GHSV=25000h-1)
0 500 1000 1500 2000 2500 Fe-SCR NH3/NOx=1.0
Fe-SCR NH3/NOx=2.0
Cu-SCR NH3/NOx=1.0
Cu-SCR NH3/NOx=2.0 NOx reduction rate NO outlet
Fig.7 SCR steady test at 300℃ 100 0 80 60 40 20 0 0.2 0.4 0.6 0.8 N O x redu ctio n ratio % Adsorbed NH3mol 0 0.2 0.4 0.6 0.8 Adsorbed NH3 mol
SCR inlet Temp.=175℃ SCR inlet Temp.=300℃
Cu-SCR
Fe-SCR
NH3/NOx=2.0 NH3/NOx=5.0 Fe-SCR
Cu-SCR
Fig.8 Adsorbed NH3 - NOx reduction ratio
Table 1 Diesel engine specifications
Engine type Water-cooled, 4-stroke-cycle, 4-valves per cylinder
Number of cylinder Inline 4
Bore × stroke mm 104 × 118
Compression ratio 18.0
Displacement L 4.009
Fuel injection system DI Common-rail (Max.:160 MPa) (φ0.14 mm x 6 holes) Intake system Turbocharged with intercooler
Max. power kW/rpm 100/2500
Max. torque Nm/rpm 392/1600
Fuel Conventional diesel
Lubricant oil SAE 10W-30 (S: 0.37 wt.%) Urea solution injection φ0.42 mm x 1 hole(Max.: 10 MPa)
Table 2 Catalyst specifications
DOC1 DOC2 DOC3 DOC4 DPF Fe-SCR Cu-SCR
Volume L 0.997 2.171 2.171 2.172 5.789 4.342 4.342 Diameter x Length inch Φ4x4.8 Φ7.5x3 Φ7.5x3 Φ7.5x3 Φ7.5x8 Φ7.5x6 Φ7.5x6 Cell density cell/mill 400/6 400/6 400/6 400/6 260/12 400/6 400/6 Crystalline
material Alumina Alumina Alumina Zeolite ― Zeolite Zeolite Supported metal Pt Pd Pt Pd Pt Pt Pt - - Supported metal g/L 5.034 1.678 3 1 1.44 0.5 0.5 - - 各触媒の諸元を表2 に示す.本研究では SCR 触媒として鉄ゼ オライト系,銅ゼオライト系の SCR 触媒(以下,Fe-SCR, Cu-SCR)を用いている.本研究では,まず両 SCR 触媒の NOx 浄化特性やNH3吸着特性を調査するために空間速度一定の条 件の下で流入する排ガス温度を 160℃~300℃の範囲で変化さ せ,流入するNOx 量に対する尿素水の当量比(以下,NH3/NOx) を変化させて尿素水を供給し,SCR 触媒前後で排ガス組成が どのように変化したかを調査する.その際の触媒の配置を図2 に示す. 尿素SCR における反応としては以下のものがある. Urea (CO(NH2)2) decomposition
CO(NH2)2→NH3+HCNO <Pyrolysis> (1)
HCNO+H2O→NH3+CO2 <Hydrolysis> (2)
NOx reduction NO+NO2+NH3→2N2+3H2O <FastSCR> (3) 4NO+4NH3+O2→4N2+6H2O <StandardSCR> (4) 6NO2+8NH3→7N2+12H2O <SlowSCR> (5) SCR 触媒に供給された尿素水は式(1),(2)より分解し,生成し たNH3が触媒に吸着する.このNH3がNOx と反応する式が 式(3)~(5)である.一般的に 200℃以上の排気温度を必要とする Standard SCR反応の式(4),275℃以上が必要とされるSlow SCR 反応の式(5)に比べて,Fast SCR 反応の式(3)は低温から反応速 度が速いことが知られている. Exhaust Urea solution injection Catalyzed DPF Cu-SCR or Fe-SCR DOC 4 DOC 3 DOC 1
Gas measuring point
Fig.2 SCR test layout
Catalyzed DPF Exhaust DOC4 DOC2 DOC1 NH3Gas Supply DOC3 DOC4 DOC1 DOC3 DOC4 DOC3 DOC4
Gas measuring point
Layout 1 Layout 2
Layout 3 Layout 4
Fig.3 DOC test layout
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 150 200 250 300 350 In let NO 2 /N O x ra tio
Inlet temp. deg.C
250 300 150 200 350 0.3 0.6 0.0 0.9 GHSV=55000 h-1 Layout 1 Layout 2 Layout 3 Layout 4
Fig.4 DOC inlet temp. and NO2/NOx ratio
次に,DOC4(NH3スリップ用 DOC,結晶材料はゼオライ ト系)におけるN2O生成機構を調査するためSCR を取り外し, 酸化力の異なるDOC1~3 の組合せにより DOC4 に流入するガ スのNO2/NOx 比を定常試験において変化させ,空間速度一定 の条件下で175℃から 300℃の各温度で排ガスの分析を行った. ここでは,低温では尿素水からのNH3の生成が不十分なこと を考慮して,尿素水の代わりにNH3ガスを直接供給する方法 を採り,これによってNH3/NOx を変化させた.その際の触媒 の配置を図3 に示す.また,このレイアウトによって測定で きたNO2/NOx 比と触媒温度の関係を図 4 に示す. 尿素SCR システムにおける N2O 生成は前報(2)によりNO と NH3による化学反応によるものであることが明らかとなって いる.以下にその化学反応式を示す. 4NH3 + 5O2 → 4NO + 6H2O (6) 4NH3 + 4NO + 3O2 → 4N2O + 6H2O (7) 4NH3 + 3O2 → 2N2 + 6H2O (8) 2NO + O2 ⇔ 2NO2 (9)
3.実験結果と考察 3.1. Fe-SCR と Cu-SCR の比較 まず,175℃で両触媒において NH3/NOx を変化させた際の 結果を図5 に示す.NH3/NOx=1.0 の場合は,Fe-SCR の方が NOx 浄化率,反応速度共に優れていたが,NH3/NOx=2.0 では 時間経過とともにNH3スリップが発生し,Cu-SCR の方が高 いNOx 浄化率を得た.これにより,この温度域では Cu-SCR は反応性に劣るが,尿素供給量を増加させるとNOx 浄化率は 向上することが分かった.Fe-SCR 触媒は尿素供給終了後に NOx 浄化率の上昇が見られた.これは,尿素供給が終了した ことによって触媒上の反応サイトに吸着し浄化を阻害してい たNH3が取り除かれたためである[3]. NH3/NOx=2.0 において Cu-SCR の浄化率が優れていた理由を詳細に調べるため, NH3/NOx=2.0 で,SCR 触媒入口温度が比較的低温の場合の NO 減少割合,NO2減少割合,NO2/NOx 比の関係を図 6 に示す. この場合の減少割合は流入するNOxに対する浄化されたNO, NO2の量の割合としている.この図から,Cu-SCR では特に 175℃,190℃で NO が多く浄化されていることがわかる.こ れは,式(4)の Standard SCR 反応が促進されたか,あるいは Cu-SCR は Fe-SCR に比べて酸化力が強いことが知られており (3),NO がより多く流入する状況で NO が触媒内で NO 2に酸化 され,式(3)の Fast SCR 反応が活性化したためと考えられる. 次に,300℃で両触媒において NH3/NOx を変化させた際の結 果を図7 に示す.NH3/NOx=1.0 の時は NOx 浄化率がいずれ
NOx reduction ratio 0 100 200 150 50 0 500 1000 1500 2000 0 500 1000 1500 2000 0 100020003000 4000 5000 6000 0 1000 2000 3000 4000 5000 N O ,N O2 pp m
Time sec Time sec
Time sec Time sec Fe-SCR NH3/NOx= 1.0 Fe-SCR NH3/NOx= 2.0 Cu-SCR NH3/NOx= 1.0 Cu-SCR NH3/NOx= 2.0 NOx reduction ratio
NO outlet
NO2outlet
NH3 outlet
Urea injection timing
(Inlet temp.=175℃, NO2/NOx= 0.26, GHSV=25000h-1)
0 100 200 150 50 N O ,N O2 ,N H3 pp m 0 50 100 75 25 N O x re du ct io n ra io % 0 50 100 75 25 N O x re du ct io n ra tio % NO outlet NO2outlet
Fig.5 SCR steady test at 175℃
Fig.6 NO,NO2 reduction rate at low temp.
の触媒も175℃の場合よりも高くなった.また,Fe-SCR では Cu-SCR に比べて NOx 浄化率が大きく変動した.これは Fe-SCR の反応性が高いため,尿素水噴射により NOx 浄化が 直ちに高くなるが,尿素が速やかに消費されて浄化率が低下 するという過程を繰り返しているためである.300℃において, Cu-SCRはNH3/NOx=2.0の場合でも浄化率は100%に達しなか った.しかしながら,Fe-SCR は尿素供給の終了後は比較的早 期にNOx 浄化が低下したが,Cu-SCR は尿素供給の終了後も しばらくNOx 浄化が続いた.この温度域では Fe-SCR の方が 反応速度,NOx 浄化率ともに高いが,Cu-SCR では低温時と 同じく尿素供給が停止してもNOx 浄化率の低下が Fe-SCR に 比べて穏やかであり,これはNH3吸着特性によるものと考え られる.さらに,各温度でのNH3吸着について調査した結果, 触媒入口温度175℃と 300℃において NH3を過剰に供給し, NH3スリップが発生するまでに吸着したNH3の量を最大NH3 吸着量として算出したところ,175℃では Fe-SCR が 0.12[mol/L],Cu-SCR が 0.15[mol/L],300℃では Fe-SCR が 0.05[mol/L],Cu-SCRが0.09[mol/L]とどちらの温度でもCu-SCR の方が最大吸着量が多いことが確認された.NH3吸着量と NOx 浄化率の関係を図 8 に示すが,この図において NH3吸着 量の増加とともにNOx 浄化率が上昇する傾向が見られる. Cu-SCR はNH3吸着量が少ない段階ではNOx浄化率はFe-SCR に劣るが,NH3吸着量が増えるとNOx 浄化率は上昇する特性 を持つことがわかる. NO2outletoutlet 0 500 1000 1500 2000 2500 Time sec 200 0 150 100 50 0 500 1000 1500 2000 NO,NO 2 pp m Time sec NOx reduction rate
Urea injection timing
NO outlet NO2outlet Time sec 0 500 1000 1500 2000 100 0 75 50 25 Time sec N O x red uct io n rat io % 200 0 150 100 50 NO,NO 2 pp m 100 0 75 50 25 NOx redu ctio n ratio %
(Inlet temp.=300℃, NO2/NOx= 0.29, GHSV=25000h-1)
0 500 1000 1500 2000 2500 Fe-SCR NH3/NOx=1.0
Fe-SCR NH3/NOx=2.0
Cu-SCR NH3/NOx=1.0
Cu-SCR NH3/NOx=2.0 NOx reduction rate NO outlet
Fig.7 SCR steady test at 300℃ 100 0 80 60 40 20 0 0.2 0.4 0.6 0.8 N O x redu ctio n ratio % Adsorbed NH3mol 0 0.2 0.4 0.6 0.8 Adsorbed NH3mol
SCR inlet Temp.=175℃ SCR inlet Temp.=300℃
Cu-SCR
Fe-SCR
NH3/NOx=2.0 NH3/NOx=5.0 Fe-SCR
Cu-SCR
Fig.8 Adsorbed NH3 - NOx reduction ratio
Table 1 Diesel engine specifications
Engine type Water-cooled, 4-stroke-cycle, 4-valves per cylinder
Number of cylinder Inline 4
Bore × stroke mm 104 × 118
Compression ratio 18.0
Displacement L 4.009
Fuel injection system DI Common-rail (Max.:160 MPa) (φ0.14 mm x 6 holes) Intake system Turbocharged with intercooler
Max. power kW/rpm 100/2500
Max. torque Nm/rpm 392/1600
Fuel Conventional diesel
Lubricant oil SAE 10W-30 (S: 0.37 wt.%) Urea solution injection φ0.42 mm x 1 hole(Max.: 10 MPa)
Table 2 Catalyst specifications
DOC1 DOC2 DOC3 DOC4 DPF Fe-SCR Cu-SCR
Volume L 0.997 2.171 2.171 2.172 5.789 4.342 4.342 Diameter x Length inch Φ4x4.8 Φ7.5x3 Φ7.5x3 Φ7.5x3 Φ7.5x8 Φ7.5x6 Φ7.5x6 Cell density cell/mill 400/6 400/6 400/6 400/6 260/12 400/6 400/6 Crystalline
material Alumina Alumina Alumina Zeolite ― Zeolite Zeolite Supported metal Pt Pd Pt Pd Pt Pt Pt - - Supported metal g/L 5.034 1.678 3 1 1.44 0.5 0.5 - - 各触媒の諸元を表2 に示す.本研究では SCR 触媒として鉄ゼ オライト系,銅ゼオライト系の SCR 触媒(以下,Fe-SCR, Cu-SCR)を用いている.本研究では,まず両 SCR 触媒の NOx 浄化特性やNH3吸着特性を調査するために空間速度一定の条 件の下で流入する排ガス温度を 160℃~300℃の範囲で変化さ せ,流入するNOx 量に対する尿素水の当量比(以下,NH3/NOx) を変化させて尿素水を供給し,SCR 触媒前後で排ガス組成が どのように変化したかを調査する.その際の触媒の配置を図2 に示す. 尿素SCR における反応としては以下のものがある. Urea (CO(NH2)2) decomposition
CO(NH2)2→NH3+HCNO <Pyrolysis> (1)
HCNO+H2O→NH3+CO2 <Hydrolysis> (2)
NOx reduction NO+NO2+NH3→2N2+3H2O <FastSCR> (3) 4NO+4NH3+O2→4N2+6H2O <StandardSCR> (4) 6NO2+8NH3→7N2+12H2O <SlowSCR> (5) SCR 触媒に供給された尿素水は式(1),(2)より分解し,生成し たNH3が触媒に吸着する.このNH3がNOx と反応する式が 式(3)~(5)である.一般的に 200℃以上の排気温度を必要とする Standard SCR反応の式(4),275℃以上が必要とされるSlow SCR 反応の式(5)に比べて,Fast SCR 反応の式(3)は低温から反応速 度が速いことが知られている. Exhaust Urea solution injection Catalyzed DPF Cu-SCR or Fe-SCR DOC 4 DOC 3 DOC 1
Gas measuring point
Fig.2 SCR test layout
Catalyzed DPF Exhaust DOC4 DOC2 DOC1 NH3Gas Supply DOC3 DOC4 DOC1 DOC3 DOC4 DOC3 DOC4
Gas measuring point
Layout 1 Layout 2
Layout 3 Layout 4
Fig.3 DOC test layout
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 150 200 250 300 350 In let NO 2 /N O x ra tio
Inlet temp. deg.C
250 300 150 200 350 0.3 0.6 0.0 0.9 GHSV=55000 h-1 Layout 1 Layout 2 Layout 3 Layout 4
Fig.4 DOC inlet temp. and NO2/NOx ratio
次に,DOC4(NH3スリップ用 DOC,結晶材料はゼオライ ト系)におけるN2O生成機構を調査するためSCR を取り外し, 酸化力の異なるDOC1~3 の組合せにより DOC4 に流入するガ スのNO2/NOx 比を定常試験において変化させ,空間速度一定 の条件下で175℃から 300℃の各温度で排ガスの分析を行った. ここでは,低温では尿素水からのNH3の生成が不十分なこと を考慮して,尿素水の代わりにNH3ガスを直接供給する方法 を採り,これによってNH3/NOx を変化させた.その際の触媒 の配置を図3 に示す.また,このレイアウトによって測定で きたNO2/NOx 比と触媒温度の関係を図 4 に示す. 尿素SCR システムにおける N2O 生成は前報(2)によりNO と NH3による化学反応によるものであることが明らかとなって いる.以下にその化学反応式を示す. 4NH3 + 5O2 → 4NO + 6H2O (6) 4NH3 + 4NO + 3O2 → 4N2O + 6H2O (7) 4NH3 + 3O2 → 2N2 + 6H2O (8) 2NO + O2 ⇔ 2NO2 (9)
図11 に示す.ここでの三角のプロットは測定点を,丸のプロ ットはDOC4 後から NH3が検出された測定点を示している. 図11 より,両 NH3/NOx の試験結果において,N2生成割合の ピークは低温度領域の高NO2/NOx比条件であることが分かる. DOC4 上で NH3とNOx が共存し,なおかつ結晶材料がゼオラ イト系であるということから,NH3とNOx が反応し NOx を N2へ浄化するSCR 反応が起きているかどうか検証する.そこ で,図11 における低温度域の 175℃と 200℃の実験結果にお いて,N2生成が多く見られたNH3/NOx=2.0 の条件での,生 成したN2O 量と,減少した NOx 量の比較を図 12 に示す.こ の時のdN2O は DOC4 での N2O 生成量,dNOx は DOC4 前後 のNOx の減少量である.図 12 より,どの条件においても生 成N2O 量よりも減少 NOx 量の方が大きいことがわかる.式(7), (11)より N2O と NOx は等モルの反応であるため,dN2O より も多い分のdNOx は N2O 生成以外の反応で消費された NOx 量 である.さらに参考文献(4)によるとNH3 のみの酸化による N2 生成が活発になるのは250℃以上と報告されているため,N2O 生成以外の反応で消費されたNOx は,酸化触媒上の SCR 反 応によるものであると言える.また,この SCR 反応による NOx の N2への浄化は図11 からわかる通り,高 NO2/NOx 比 条件でピークを持っている.さらに図9 より,NO2/NOx 比が 高くなるにつれてN2O 生成割合は低くなっていることがわか る.以上より,NO2/NOx 比が高くなるにつれ,N2O 生成よ りもSCR 反応が強くなると言える.つまり,NOx 浄化が多 い条件ではN2O 生成が抑制されるということである.しかし
ながら,高NH3/NOx 条件下でのみ,NO2/NOx 比=0.34 近傍
の領域において,最もN2生成量が低いためにN2O 生成割合 がピークとなる原因については解明できていない. 0 0.34 0.68 0.51 0.17 0.85 200 250 300 175 225 275 N O2 /N O x rati o
DOC4 inlet temp. deg.C NH3/NOx=1.0 0 30 50 40 20 70 60 200 250 300 175 225 275
DOC4 inlet temp. deg.C N2 gener at ion rat io % NH3/NOx=2.0 10
Fig.11 N2 generation map
Fig.12 dN2O and dNOx at DOC4
4.反応シミュレーション 4.1.シミュレーション方法
本研究ではCu-SCR と Fe-SCR の NOx 浄化特性,NH3吸着 特性の比較をし,N2O 生成量の予測を行う事を目的とする. 数値シミュレーションにはAVL 社の 1D シミュレーション Boost V5.1 を使用した.Boost ではハニカム型触媒における半 径方向への熱輸送の影響が軸方向への熱輸送に比較して小さ いものと仮定して無視し,触媒全体を1つのチャンネルで代 表している.計算はこのチャンネルを軸方向に20 分割したセ ルごとに行った.本モデルでは式(3)~(5)の各 SCR 反応に加え て尿素と吸着サイトの吸着・脱離反応,イソシアン酸HCNO と吸着サイトの吸着・脱離反応,そして尿素の熱分解,加水 分解を考慮し,入力値はエンジンの実験データを用いた. 4.2. シミュレーション結果と考察 まず,175℃での最大 NOx 浄化率と NH3スリップの計算結 果を図13 に示す.同図は横軸に NH3/NOx,縦軸に触媒入口 NO2/NOx 比をとっている. 低温度域においては,NO2/NOx=0.2 の条件で分かるように 実機データと同じく尿素水供給量を高めることで Cu-SCR で はNOx 浄化率が向上している.一方,Fe-SCR では,この温 度領域では尿素水供給量を高めてもNO2/NOx比が低い条件で は,ほぼ浄化に使われることなくNH3がスリップすることが 図13 から分かる.この結果と 3.2 項で得られた DOC 上での N2O 生成割合マップをもとに DOC 上での N2O 生成量を算出 してマップ化したものを図14 に示す.この温度域での N2O 生 成量は,排ガス中のNOx を使っての N2O 生成が起こりにくい 領域であるので,NH3スリップ量が増大するに伴い,N2O 生 成量が増大する結果になっている. 0.5 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 2 86 65 44 23 % Inle t NO 2 /N O x N O x re duc tion ra tio NH3/NOx NH3/NOx NOx redc. : 29.8% NOx redc. : 44.1% NH3slip <10ppm NOx redc. : 36.4% NOx redc. : 65.0% Fe-SCR Cu-SCR 0.5 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 0 60 50 30 20 ppm Inlet NO 2 /NOx N H3 sli p NH3/NOx NH3/NOx 40 10 NOx redc. : 29.8% NOx redc. : 44.1% NH3slip : 2.6 ppm NOx redc. : 36.4% NOx redc. : 65.0% NH3slip : 0 ppm Fe-SCR Cu-SCR
Fig.13 NOx reduction ratio&NH3 slip at SCR inlet 175℃
3.2. DOC への NH3ガス供給試験
本試験で得られた175℃から 300℃までの各温度と 4 つの条 件のNO2/NOx 比に対する N2O 生成割合を NH3/NOx ごとにマ ップ化したものを図9 に示す.ここで,N2O 生成割合は触媒 入口のN2O 生成要因が N2O に変化した割合を表すため以下の 式(10)によって定義し,SUM N とは(NO, NO2, NH3, N2O)の N 原子数の和である. この図における▲プロットは測定点を示し,図4 と対応し ている.また,●プロットはDOC4 後から NH3が検出された 測定点を示している.この結果から,NH3/NOx を増やしてい くと,N2O 生成割合のピークが高温側へとシフトしていくこ とがわかる.また,NH3/NOx が高くなるにつれ,N2O 生成割 合のピーク値も上昇する傾向が認められる.ただし,流入排 気ガス温度175℃においては,どの条件でも一様に N2O 生成 割合は低い反面, NH3スリップが見られる. NO2/NOx 比 に 対 する N2O 生 成割 合に 着目 する と ,
NH3/NOx=1.0 の条件においてはどの温度域でもNO2/NOx比の
上昇に伴い,N2O 生成割合は減少することがわかる.ここか ら,この条件においてのN2O 生成は NO が反応する式(7)が支 配的であると言える.一方で,NH3/NOx=2.0 の条件下では低 NO2/NOx 比に対し,高 NO2/NOx 比の条件の方が N2O 生成割 合は低いものの,どの温度域においてもN2O 生成割合のピー クはNO2/NOx=0.34 近傍の領域となり,NH3/NOx=1.0 の条件 と異なる結果となった. 次に,N2O の生成機構について考察する.前報(2)にあるよう に,DOC は 250℃~320℃で酸化力がピークを迎えることが判 明している.よって触媒入口温度が175℃で N2O 生成割合が 低いのはDOC4 の活性が低いためであると考えられる.これ は図9 において 175℃で DOC4 からの NH3スリップがほとん どの条件において検出されていることからも言える.図10 は, 各温度に対するNOx 減少割合を示したものである.図中のプ ロットの測定点は各温度のNO2/NOx 比が 0.5 近傍の値を採用 しており,ここでのNOx 減少割合は流入する NOx に対して 減少したNOx 量の割合となっている. 0 0.34 0.68 0.51 0.17 0.85 200 250 300 175 225 275 N O2 /N O x rati o
DOC4 inlet temp. deg.C NH3/NOx=1.0 0 30 60 45 15 90 75 200 250 300 175 225 275
DOC4 inlet temp. deg.C
N2 O gener at ion rat io % NH3/NOx=2.0
Fig.9 N2O generation map
200 250 300 175 225 275 0 40 80 60 20 N O x redu ct io n rat io %
DOC4 inlet temp. deg.C NH3/NOx ratio
Fig.10 NOx reduction rate at NO2/NOx≒0.5
この図より,触媒流入排気ガス温度300℃以外の全ての条件で NOx は減少していることがわかる.ここで,DOC 上で NOx が消費される反応を考えてみると,式(7)と,式(9)によって生 成したNO2が反応する式(11)の 2 式がある. 4NH3 + 4NO + 3O2 → 4N2O + 6H2O (7) 4NH3 + 4NO2 + O2 → 4N2O + 6H2O (11) この2 式はいずれも N2O 生成に関する反応式であるため NOx 減少量とN2O 生成は比例関係にあると考えられる.そこで図 9 を見てみると,NO2/NOx=0.5 近傍の流入排気ガス下において NH3/NOx=1.0,2.0 共に N2O 生成割合ピークと図 10 の NOx 減 少量のピークが一致している. 300℃において両 NH3/NOx 条件で NOx はほとんど減少して おらず,N2O 生成は排気ガス中の NOx 起因ではないと言える. そこで考えられるのは,NH3の酸化によって生成したNOx と NH3の反応によるN2O 生成,式(6)と式(7)の総括反応の式(12) である. 2NH3 + 2O2 → N2O + 3H2O (12) よって,N2O 生成反応は 250℃から 300℃の領域で排気ガス 中のNOx 起因から NH3の酸化によるNOx 起因に移行すると 考えられる.これは先述の通りDOC は 250℃から 320℃で酸 化力が強いことによると考えられる.さらに図9 の N2O 生成 割合マップにおいてNH3/NOxが上がるとN2O生成割合のピー クが250℃付近の高温側へとシフトしている原因でもある.つ まり,250℃の DOC 上において NH3リッチ状態ではNH3の酸 化によって生成したNOx起因のルートでもN2Oが生成される ため,式(7),(11)の排気ガス中の NOx 起因の N2O 生成ルートし か持たないと考えられる225℃より N2O 生成割合が増えると いうことである.ただ300℃の条件では,式(7)の N2O 生成反 応が少なくなり,式(6)の NO 生成反応が支配的となるため, 高NH3/NOx 条件であっても,225℃とほぼ同等もしくは低い N2O 生成割合となっていると考えられる. 一方175℃においてほとんど N2O 生成がみられないのにも 関わらず,NOx 減少が見られている.これを解明するため, DOC4前後で測定されたNO, NO2, NH3, N2Oの濃度を合計した ものの差がN2に変化した量と考え,N2生成割合と定義し (10)
図11 に示す.ここでの三角のプロットは測定点を,丸のプロ ットはDOC4 後から NH3が検出された測定点を示している. 図11 より,両 NH3/NOx の試験結果において,N2生成割合の ピークは低温度領域の高NO2/NOx比条件であることが分かる. DOC4 上で NH3とNOx が共存し,なおかつ結晶材料がゼオラ イト系であるということから,NH3とNOx が反応し NOx を N2へ浄化するSCR 反応が起きているかどうか検証する.そこ で,図11 における低温度域の 175℃と 200℃の実験結果にお いて,N2生成が多く見られたNH3/NOx=2.0 の条件での,生 成したN2O 量と,減少した NOx 量の比較を図 12 に示す.こ の時のdN2O は DOC4 での N2O 生成量,dNOx は DOC4 前後 のNOx の減少量である.図 12 より,どの条件においても生 成N2O 量よりも減少 NOx 量の方が大きいことがわかる.式(7), (11)より N2O と NOx は等モルの反応であるため,dN2O より も多い分のdNOx は N2O 生成以外の反応で消費された NOx 量 である.さらに参考文献(4)によるとNH3 のみの酸化による N2 生成が活発になるのは250℃以上と報告されているため,N2O 生成以外の反応で消費されたNOx は,酸化触媒上の SCR 反 応によるものであると言える.また,この SCR 反応による NOx の N2への浄化は図11 からわかる通り,高 NO2/NOx 比 条件でピークを持っている.さらに図9 より,NO2/NOx 比が 高くなるにつれてN2O 生成割合は低くなっていることがわか る.以上より,NO2/NOx 比が高くなるにつれ,N2O 生成よ りもSCR 反応が強くなると言える.つまり,NOx 浄化が多 い条件ではN2O 生成が抑制されるということである.しかし
ながら,高NH3/NOx 条件下でのみ,NO2/NOx 比=0.34 近傍
の領域において,最もN2生成量が低いためにN2O 生成割合 がピークとなる原因については解明できていない. 0 0.34 0.68 0.51 0.17 0.85 200 250 300 175 225 275 N O2 /N O x rati o
DOC4 inlet temp. deg.C NH3/NOx=1.0 0 30 50 40 20 70 60 200 250 300 175 225 275
DOC4 inlet temp. deg.C N2 gener at ion rat io % NH3/NOx=2.0 10
Fig.11 N2 generation map
Fig.12 dN2O and dNOx at DOC4
4.反応シミュレーション 4.1.シミュレーション方法
本研究ではCu-SCR と Fe-SCR の NOx 浄化特性,NH3吸着 特性の比較をし,N2O 生成量の予測を行う事を目的とする. 数値シミュレーションにはAVL 社の 1D シミュレーション Boost V5.1 を使用した.Boost ではハニカム型触媒における半 径方向への熱輸送の影響が軸方向への熱輸送に比較して小さ いものと仮定して無視し,触媒全体を1つのチャンネルで代 表している.計算はこのチャンネルを軸方向に20 分割したセ ルごとに行った.本モデルでは式(3)~(5)の各 SCR 反応に加え て尿素と吸着サイトの吸着・脱離反応,イソシアン酸HCNO と吸着サイトの吸着・脱離反応,そして尿素の熱分解,加水 分解を考慮し,入力値はエンジンの実験データを用いた. 4.2. シミュレーション結果と考察 まず,175℃での最大 NOx 浄化率と NH3スリップの計算結 果を図 13 に示す.同図は横軸に NH3/NOx,縦軸に触媒入口 NO2/NOx 比をとっている. 低温度域においては,NO2/NOx=0.2 の条件で分かるように 実機データと同じく尿素水供給量を高めることで Cu-SCR で はNOx 浄化率が向上している.一方,Fe-SCR では,この温 度領域では尿素水供給量を高めてもNO2/NOx比が低い条件で は,ほぼ浄化に使われることなくNH3がスリップすることが 図13 から分かる.この結果と 3.2 項で得られた DOC 上での N2O 生成割合マップをもとに DOC 上での N2O 生成量を算出 してマップ化したものを図14 に示す.この温度域での N2O 生 成量は,排ガス中のNOx を使っての N2O 生成が起こりにくい 領域であるので,NH3スリップ量が増大するに伴い,N2O 生 成量が増大する結果になっている. 0.5 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 2 86 65 44 23 % Inle t NO 2 /N O x N O x re duc tion ra tio NH3/NOx NH3/NOx NOx redc. : 29.8% NOx redc. : 44.1% NH3slip <10ppm NOx redc. : 36.4% NOx redc. : 65.0% Fe-SCR Cu-SCR 0.5 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 0 60 50 30 20 ppm Inlet NO 2 /NOx N H3 sli p NH3/NOx NH3/NOx 40 10 NOx redc. : 29.8% NOx redc. : 44.1% NH3slip : 2.6 ppm NOx redc. : 36.4% NOx redc. : 65.0% NH3slip : 0 ppm Fe-SCR Cu-SCR
Fig.13 NOx reduction ratio&NH3 slip at SCR inlet 175℃
3.2. DOC への NH3ガス供給試験
本試験で得られた175℃から 300℃までの各温度と 4 つの条 件のNO2/NOx 比に対する N2O 生成割合を NH3/NOx ごとにマ ップ化したものを図9 に示す.ここで,N2O 生成割合は触媒 入口のN2O 生成要因が N2O に変化した割合を表すため以下の 式(10)によって定義し,SUM N とは(NO, NO2, NH3, N2O)の N 原子数の和である. この図における▲プロットは測定点を示し,図4 と対応し ている.また,●プロットはDOC4 後から NH3が検出された 測定点を示している.この結果から,NH3/NOx を増やしてい くと,N2O 生成割合のピークが高温側へとシフトしていくこ とがわかる.また,NH3/NOx が高くなるにつれ,N2O 生成割 合のピーク値も上昇する傾向が認められる.ただし,流入排 気ガス温度175℃においては,どの条件でも一様に N2O 生成 割合は低い反面, NH3スリップが見られる. NO2/NOx 比 に 対 する N2O 生 成割 合に 着目 する と ,
NH3/NOx=1.0 の条件においてはどの温度域でもNO2/NOx比の
上昇に伴い,N2O 生成割合は減少することがわかる.ここか ら,この条件においてのN2O 生成は NO が反応する式(7)が支 配的であると言える.一方で,NH3/NOx=2.0 の条件下では低 NO2/NOx 比に対し,高 NO2/NOx 比の条件の方が N2O 生成割 合は低いものの,どの温度域においてもN2O 生成割合のピー クはNO2/NOx=0.34 近傍の領域となり,NH3/NOx=1.0 の条件 と異なる結果となった. 次に,N2O の生成機構について考察する.前報(2)にあるよう に,DOC は 250℃~320℃で酸化力がピークを迎えることが判 明している.よって触媒入口温度が175℃で N2O 生成割合が 低いのはDOC4 の活性が低いためであると考えられる.これ は図9 において 175℃で DOC4 からの NH3スリップがほとん どの条件において検出されていることからも言える.図10 は, 各温度に対するNOx 減少割合を示したものである.図中のプ ロットの測定点は各温度のNO2/NOx 比が 0.5 近傍の値を採用 しており,ここでのNOx 減少割合は流入する NOx に対して 減少したNOx 量の割合となっている. 0 0.34 0.68 0.51 0.17 0.85 200 250 300 175 225 275 N O2 /N O x rati o
DOC4 inlet temp. deg.C NH3/NOx=1.0 0 30 60 45 15 90 75 200 250 300 175 225 275
DOC4 inlet temp. deg.C
N2 O gener at ion rat io % NH3/NOx=2.0
Fig.9 N2O generation map
200 250 300 175 225 275 0 40 80 60 20 N O x redu ct io n rat io %
DOC4 inlet temp. deg.C NH3/NOx ratio
Fig.10 NOx reduction rate at NO2/NOx≒0.5
この図より,触媒流入排気ガス温度300℃以外の全ての条件で NOx は減少していることがわかる.ここで,DOC 上で NOx が消費される反応を考えてみると,式(7)と,式(9)によって生 成したNO2が反応する式(11)の 2 式がある. 4NH3 + 4NO + 3O2 → 4N2O + 6H2O (7) 4NH3 + 4NO2 + O2 → 4N2O + 6H2O (11) この2 式はいずれも N2O 生成に関する反応式であるため NOx 減少量とN2O 生成は比例関係にあると考えられる.そこで図 9 を見てみると,NO2/NOx=0.5 近傍の流入排気ガス下において NH3/NOx=1.0,2.0 共に N2O 生成割合ピークと図 10 の NOx 減 少量のピークが一致している. 300℃において両 NH3/NOx 条件で NOx はほとんど減少して おらず,N2O 生成は排気ガス中の NOx 起因ではないと言える. そこで考えられるのは,NH3の酸化によって生成したNOx と NH3の反応によるN2O 生成,式(6)と式(7)の総括反応の式(12) である. 2NH3 + 2O2 → N2O + 3H2O (12) よって,N2O 生成反応は 250℃から 300℃の領域で排気ガス 中のNOx 起因から NH3の酸化によるNOx 起因に移行すると 考えられる.これは先述の通りDOC は 250℃から 320℃で酸 化力が強いことによると考えられる.さらに図9 の N2O 生成 割合マップにおいてNH3/NOxが上がるとN2O生成割合のピー クが250℃付近の高温側へとシフトしている原因でもある.つ まり,250℃の DOC 上において NH3リッチ状態ではNH3の酸 化によって生成したNOx起因のルートでもN2Oが生成される ため,式(7),(11)の排気ガス中の NOx 起因の N2O 生成ルートし か持たないと考えられる225℃より N2O 生成割合が増えると いうことである.ただ300℃の条件では,式(7)の N2O 生成反 応が少なくなり,式(6)の NO 生成反応が支配的となるため, 高NH3/NOx 条件であっても,225℃とほぼ同等もしくは低い N2O 生成割合となっていると考えられる. 一方175℃においてほとんど N2O 生成がみられないのにも 関わらず,NOx 減少が見られている.これを解明するため, DOC4前後で測定されたNO, NO2, NH3, N2Oの濃度を合計した ものの差がN2に変化した量と考え,N2生成割合と定義し (10)
Dual Fuel 燃焼方式による重量車用エンジンの
HCCI 燃焼の制御に関する研究
伊藤 紘崇1) 金田 浩毅2) チョウ テー3) 草鹿 仁4) 大聖 泰弘5)
A Study on HCCI Combustion Control Using a Dual-Fuel Combustion System in a Heavy-Duty Engine
Hirotaka Ito Hiroki Kaneta Di Zhao Jin Kusaka Yasuhiro DaishoIt is well known that HCCI combustion has low ignition timing controllability and that this characteristic has been a major obstacle for automobile manufacturers to apply this combustion into production engines. In this study, to overcome the drawback, diesel injection was used to control and stabilize the combustion. The experiment results indicate that this combustion concept is effective to stabilize HCCI combustion. At medium load conditions, while attaining extremely low NOX and PM emissions, high thermal efficiencies were achieved. Simulation results showed
reasonable agreement with the experiment results, thus visualization of the combustion was realized.
KEY WORDS: heat engine, homogeneous charge compression ignition, combustion analysis, dual fuel combustion (A1) 1.ま え が き ディーゼル燃焼並みの熱効率と極めてクリーンな排出ガス を両立させる燃焼方式として,HCCI(Homogeneous Charge Compression Ignition)燃焼が注目されている.この燃焼は均一 な低温燃焼であるためPM と NOXが同時に抑制される.この ような特徴に加えて,希薄燃焼であるため,高圧縮比化が可 能であり,熱効率はディーゼル燃焼に匹敵する可能性がある. このように,この種の燃焼には多くの利点がある一方,実 用化には燃焼制御性の改善が大きな課題とされている. そこ で本研究では,着火補助として少量の軽油を筒内に直接噴射 することにより,軽油の自己着火性を用いてガソリン予混合 気の着火時期を制御するDual Fuel 燃焼方式に注目した.実験 装置には,従来型単気筒大型ディーゼルエンジンを用い,吸 気配管部にガソリンインジェクタを設置してポート噴射を行 えるようにした.このディーゼルエンジンを用いて,ディー ゼル燃焼との比較と通じて,HCCI 燃焼の燃焼安定化,燃費の 確保,排出ガス特性の改善の可能性について調査した. また,このような燃焼を記述する3 次元シミュレーション モデルを構築した.特にDual Fuel 燃焼の特徴としてガソリン (後述するようにiso-Octane で代表させる)と軽油の 2 燃料を 用いるため,3 次元シミュレーションコードである KIVA-3V rel.2 に Shell Model を導入することにより,実験結果との比較 を通じて定量性の高いモデル化を試みた. *2012 年 10 月 10 日受理.2012 年 10 月 3 日自動車技術会秋季 学術講演会において発表. 1)・2)・3)・4)・5)早稲田大学 理工学術院(169-8555 東京都新 宿区大久保3-4-1) 2.実験装置および方法 本研究で使用した供試機関は4 弁式単気筒 4 サイクル直接 噴射式ディーゼル機関である.外部動力によるスーパーチャ ージャ,クールドEGR システム及びエアヒーターを用いるこ とで,過給圧,EGR 率,吸気温度をそれぞれ独立に設定でき る.また,インタークーラと電熱ヒーターの併用により,過 給空気の温度を調節している.さらにDual Fuel 燃焼試験を行 うため,新たにガソリン噴射装置を設置した.熱発生率につ いては,ピエゾ式圧力変換器により得られる筒内燃焼圧力デ ータから算出し,NOX,THC 等の排出量は排出ガス分析器 (MEXA)を,スモークはスモークメータを用いてそれぞれ 測定する.試験装置全体概略図を図1 に,供試エンジン諸元 を表1 に示す.
Fig.1 Schematic diagram of experimental setup
T T
Engine Fuel consumption meter
EGR cooler Trap filter Injector Orifice meter P High pressure supply pump Common-rail Fuel tank Inter cooler Lysholm compressor VF motor P T Exhaust gas analyzer Smoke meter VF motor Dynamo meter Surge tank Inter cooler Lysholm compressor VF motor VF motor motorVF High pressure supply pump Fuel tank Flow meter Fuel pump Fuel filter Regulator P Injector Fuel cooler Heater
*
0.5 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 0 18 12 9 6 ppm Inlet NO 2 /N O x N2 O ge ne ra tion NH3/NOx NH3/NOx NOx redc.: 29.8% NOx redc. : 44.1% NOx redc. : 36.4% NOx redc. : 65.0%
N2O : 4.1 ppm 3 15 N2O : 0 ppm Fe-SCR Cu-SCR
Fig.14 N2O generation at DOC inlet 175℃
次に,300℃における最大 NOx 浄化率と NH3スリップの計 算結果を図15 に示す.同図は横軸に NH3/NOx,縦軸に触媒入 口NO2/NOx 比をとっている.図 15 より排気温度 300℃におい てNH3/NOx が低い領域では NO2/NOx 比に関わらず Cu-SCR を用いた際にFe-SCR を用いた場合より NOx 浄化率が悪化し ているのがわかる.これは,Fe-SCR では,瞬時に SCR 反応 が起こりNOx を浄化するのに対して,Cu-SCR では NH3吸着 量が浄化に与える影響が大きく,NH3吸着量を増大させない 限り高NOx 浄化率は望めないことが原因だと考えられる.し かし,Cu-SCR は,図 15 より NH3/NOx を Fe-SCR よりも高め ることでFe-SCRと同様に100%のNOx浄化率を達成できる. 高温では,NO2/NOx 比が 0.5 以下と NO リッチな条件下でも, Cu-SCR では,NH3/NOx を高めない限り,Fe-SCR と同等の
NOx 浄化率を達成することは困難だと言える.よって,実機 においてCu-SCR を用いる際は,尿素供給量を Fe-SCR に比べ て高める等のNH3吸着量を考慮した尿素水噴射制御を行うこ とで,同容量のFe-SCR よりも,高い NOx 浄化率を実現でき る可能性があると言える.また,前項よりこの温度域でのN2O 生成はNH3 スリップ量に依存するため,単純に NH3スリップ の少ないCu-SCR の方が有利である. 0.5 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 1.0 1.6 2.2 2.8 3.4 1.0 1.6 2.2 2.8 3.4 NH3/NOx NH3/NOx 50 100 90 80 70 60 % Inlet NO 2 /N O x N O x re duc tion ra tio 0.5 0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 1.0 1.6 2.2 2.8 3.4 1.0 1.6 2.2 2.8 3.4 NH3/NOx NH3/NOx 0 120 90 60 30 ppm Inlet NO 2 /N O x N H3 sli p NH3slip <10ppm NH<10ppm3slip Φ:1.7 Φ:2.3 Fe-SCR Cu-SCR Fe-SCR Cu-SCR
Fig.15 NOx reduction ratio&NH3 slip at SCR inlet 300℃
5.結 論 ディーゼル機関の尿素 SCR 触媒システムにおける低温度域 でのNOx浄化率向上を目的としてCu-SCR 触媒を導入し,N2O 生成機構の解明を目的としてエンジンベンチ試験を行い1 次 元数値シミュレーションにより触媒種による浄化特性への影 響を調査した結果,以下の知見を得た. (1) 低温条件では,Cu-SCR 触媒は Fe-SCR 触媒に対して NH3/NOx を向上することで NO が多く浄化され,NOx 浄化率 が向上する.また, Cu-SCR 触媒は最大 NH3吸着量が大きく, NH3吸着量を高めることで,高いNOx 浄化を実現できる. (2) NH3スリップ用DOC にはゼオライト系のものを用いたが, その特性として,低温度域(200℃以下)においては十分に活性 せずSCR 反応による N2生成割合は大きいが,NH3スリップが 生じる.中温度域(200℃~250℃)では N2O 生成反応が促進さ れる.高温度域(250℃以上)では NH3によるN2O 生成および NOx 生成が促進される.よって,実際の尿素 SCR システムで は酸化触媒の温度を,NH3がDOC 後にスリップしない温度と して,NH3が N2へ浄化する SCR 反応が起こりやすい高 NO2/NOx 比を維持することで N2O 生成量を抑えることが可能 になる. (3) 1 次元数値シミュレーション Boost V5.1 より,低温条件 (175℃)での NO2/NOx 比が 0.5 以下の条件において,Cu-SCR 触媒はFe-SCR 触媒に対して NH3/NOx の増大により NOx 浄化 率が大幅に向上する.また,高温条件(300℃)では,尿素水 供給量を高めることで,Fe-SCR 触媒と同等の NOx 浄化率を 達成できる.さらに,両温度域でNH3スリップ用DOC におけ るN2O の生成は Cu-SCR の方が抑制できることが分かった.
参 考 文 献
(1) Kamasamudram, K, et al : Why Cu- and Fe-Zeolite SCR Catalysts Behave Differently At Low Temperatures, SAE Int. J. Fuels Lubr. 3,1,p664-672 (2010)
(2) 松井渉ほか:尿素 SCR システムの NOx 浄化率向上に関す る研究(第6 報)— N2O 排出要因の解明— ,自動車技術会学 術講演会論文集,43(2), p389-394 (2011)
(3) Massimo Colombo, et al : A comparative study of the NH3-SCR
reactions over a Cu-zeolite and a Fe-zeolite catalyst, Catalysis Today, Volume 151, Issues 3–4, p223–230 (2010)
(4) Matías Rafti, et al : Modeling ammonia oxidation over a Pt (533) surface, Surface Science, Volume 606, Issues 1–2, p12-20 (2012) (5) J. Pérez-Ramírez, et al : Selectivity-directing factors of ammonia oxidation over PGM gauzes in the Temporal Analysis of Products reactor: Primary interactions of NH3 and O2, Journal of Catalysis
Volume 227, Issue 1, p90–100 (2004)