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鉄筋コンクリート構造物の残留磁気除去方法

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Academic year: 2021

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(1)

tT D G 699 888 要 約 1はじめに 2想定 され る障害 3消磁装置の開発 4鉄骨の消磁実験

1.は

じめに 近年 、竣 工後 の鉄筋 コンク リー ト構造物 に使 われ た鉄 筋 また は鉄骨 が、何 らか の原 因で残 留磁気 を帯び 、室 内 に不 要 な直流磁場 を発生 させ 、ブ ラ ウン管 を使用 したテ レビやパ ソコンのモニター画面 に色ずれ障害 を発 生 させ ることが指摘 され るよ うになってきた。 鉄 筋・鉄骨 が着磁 す る原 因には、施 工時 にお ける電磁 石 を利 用 した揚重装置 の使用や ス タ ン ド溶 接 によって、 鉄筋・鉄骨 が磁化す ることな どが指摘 され てい る1)。 現在 、ゼネ コン各社 で、年 間

4∼

5件

程度 、鉄筋・鉄骨 の着磁 に よる障害事例が報告 され ているといわれ てお り、 姑策 技術 の開発 が始 め られ よ うと してい るが 、竣 工後 の 建物 内の鉄 筋・鉄骨 を消磁す る技術 は、未開発状態である。 鉄筋 。鉄骨 か ら発 生す る残留磁界 につ いて は、将来、集 合住 宅 な どの品質管理 に影 響 す る要 因 とな る可能性 が あ る。 そ こで今 回、実験 的に鉄 筋・ 鉄骨 に交流磁界 をかけて 消磁 し、十 分 な対 策効果 が得 られ るか ど うかを調べた。 そ の結果 、今 回の実験 に用 いた消磁 装置 に よって、残留 磁 気 を十分 に軽減 す るこ とが で き、実際の鉄骨 と鉄筋供 試 体 に対 して十分 な対 策効果 が得 られ たの で報告 す る。 消磁 に用 い た装置 は、鉄筋・ 鉄骨 に効率的 に磁界 が通 る よ うな工夫 を施 した独 自の装置 を用 いた。

2_想

定 され る障害 テ レ ビや パ ソ コ ンのモ ニ ター に使 われ てい る

CRT

(Cathodc Ray Tubeの 略

)は

、後 ろ側 の電子銃 か ら出る

束急7文■設技術研究所款 N∪ 26

鉄筋 コンクリー ト構造物の残留磁気除去方法

川瀬

隆治

* 建築物に使用 される鉄筋や鉄骨は、搬送時や製造時に大きな磁場にさらされて磁化 し、磁石 と同じような性質を 持つ ことがある。 こ うした鉄筋・鉄骨を使 って竣工 した建築物の室内には、通常の環境磁場 とは異なる磁場が形成 され、これ らの構造部材か ら発生す る残留磁気により、テ レビやパ ソコンのプラウン管 (CRT)の画面に色ずれ障 害が発生する場合がある。 建築物の残留磁気に関する現状 と、これを除去す るために独 自に開発 した方法を、電磁環境実験施設での実験結 果 とあわせて報告する。 ■ワード

:

鉄筋、残留磁気、消磁 、CRT、 色ずれ障害 目 次 5鉄筋コンクリー ト供試体の消磁実験 6ま とめ 電子線 が、正 面 の画面 にあ る赤 、緑 、青 の蛍 光体 にあた り、蛍光体 が発 光す るこ とで画面が現れ る。電子線 の方 向は、電子銃 近 くの ヨー ク コイル か ら発 生す る磁場 によ つて調整 され てい る。 そのため、電子線 の方 向は、周 り の磁界 の影響 を受 けやす く、

CRT自

体 が磁 場障害 の発 生 しやす い機器 で あることになる。 通 常、私 た ちの身 の回 りには

45μ

T(マ

イ ク ロテ ス ラ

)程

度 の地磁気 が あ る。方位磁針 が北 を指 す のは、 こ のためで あ る。

CRTは

、通 常の地磁気程度 の磁 場 に対 しては、影響 を受 けない よ うにつ くられ てい る。 しか し、 地磁気 を大 き く上 回 る磁 界 の中で は、

CRTの

電子線 の 進 む方 向が周 りの磁界 に よって 曲げ られ 、本来 あたるべ き蛍 光体の位 置 に あた らな くな る。 そ のた め、

CRTの

画面 に色ずれ 障害 が発 生す る。例 えば青 い蛍 光体 にあた るべ き電子線 が、周 りの磁界 の影響で曲げ られ 、隣の赤 い蛍光体 にあた るよ うになると、本来青い画面が赤の色 ずれ として障害 にな る。 図1は、電磁環 境 実験施設 の

3軸

ヘル ムホルツ コイル (図

2)を

用 い て 、実際 のテ レビに地磁気 を超 える大 き な磁場 (±

50μ

T)を

印加 した ときの、色ずれ 障害発 生例 を示 す。 磁場 を印加 していない状態で青色単色画面 になって いたテ レ ビ画面 が、鉛直方 向の下向 きの磁場 を 印加 す る と緑 にな り、また上向 きの磁 場 を印加 す る と赤 に色ずれ を起 こす様子がわか る。 地磁気 とは大 き く異 な る磁界が発 生す る原 因には様 々 な ものが あ るが 、鉄筋 コンク リー ト構 造物 に使 われ る鉄 筋や鉄骨 が永 久磁 石 とな って、室 内に地磁気 以外 の大 き

*環

境研 究室

(2)

な磁場 を発生 させ るこ とも、そ のひ とつ といえる。 印カロ磁場

T(Z成

/刀`‐33.4μ T) 印加磁場 下向 き50μ

T(Z成

分‐83.4μ T) 印加磁場 上向 き50μ

T(Z成

分16.6μ T)

1

地磁気 を超 え る磁場 を印加 した ときの テ レビ画面色ずれ障害例 図

2

電磁環境実験施設 の

3軸

ヘルムホル ツコイル 鉄 筋な どの よ うに、磁 石 に引 き付 け られ る物質 は磁性 体 と呼 ばれ るが 、磁′性体 は一 度 、大 きな磁 界 に さ らされ る と磁荷 を獲得 し、永 久磁 石 とな る。鉄筋や鉄骨 が永 久 磁石 とな る原 因 は、現在 の ところ特 定 され て いないが 、 主に以下の事項が考 え られ てい る。 ・ 鉄筋 を電磁 石 に 引 き付 け る こ とに よっ て揚 重す る 装 置 の使 用 に よつて、電磁 石 か らの磁 界 に さらさ れ る。 ・ ス タ ン ド溶接 な どの使用で大電流 が流れ るケーブ ル や鉄筋 自身か ら発生す る磁界 に さらされ る。 鉄 筋 ・鉄 骨 か ら発 生す る磁界 は、地磁 気 の大 き さを大 き く上 回 る場合 が あ り、近 くにテ レビやパ ソコンモニ タ ー な どの

CRTが

設 置 され ると色ずれ 障害 が発 生す るこ とがある。

3.消

磁 装置 の開発 永 久磁 石 か ら磁 界 が発 生す る原 因は、永 久磁 石 の 中の 小 さな磁 石 (分子磁石

)が

同 じ方 向にそ ろつて向 いてい るた めで あ る と考 え られ て いる (分子磁 石説)。 そ こで、 磁 界 の発 生 を軽減す るには、分子磁石 の方 向 を不規則 に す れ ば よい こ とにな る。 消磁 とは、分子磁 石 の方 向 を不 規貝可│こす るこ とともいえる (図3)。 ′ヽ焉洩磁場(大) 漏洩磁場(小) ′

↑ \ 消磁作業後 図

3

分子磁石説 による消磁の原理説 明図 残 留磁 気 を獲得 した磁′性材 を消磁 す る方 法 には、以 下 の2つが考 え られ る。 ・ 大 きな交番磁 界 をか け、徐 々に磁 界 の変動 振 幅 を 小 さくしてい く交流消磁 ・ 十分 に力際 して高温 にす る熱消磁 熱 消磁 の方 法 は、 コンク リー トの 中にあ る鉄 筋 に対 し て適用 す る こ とは、物理 的かつ安全 上 の理 由か ら困難 で あ る と考 え られ る。 交流 消磁 に よる方法 には、十分 な消磁 効果 が得 られ る だ けの大 きな磁 界 を発 生 させ る必要 が あ るこ と、 またそ のた めに あ る程度 大掛 か りな電源 装置 が必 要 にな るこ と、 な どが難 点 と して懸念 され た。 そのた め、装 置 の 開発 に あた つて は、で き るだ け簡易 な電源 装置 で使 用 で きる こ と、 ま た設 計 した コイル に よつて、十分 な大 き さの磁界 を発 生 させ る こ とがで き ること、な どを念頭 にお い たD 特 に、装 置 か ら発 生 させ ることので き る磁界 の大 き さと コイル の寸法 との関係や 、鉄筋・鉄骨 に効率 よ く磁場 を 通す た め の方 法 につい ては、開発 に先 立 って十分 に検討 を行 うよ うに し、その結果 として独 自の方 法 を開発 す る 着磁鉄筋 (残留磁気 大) 消磁鉄筋 (残留磁気 小) 10

(3)

こ とができた。図

4に

装置 の一例 を示す。 図

4

消磁装置 と電源の例

4.鉄

骨の消磁実験 開発 した消磁 装 置 を実際 の鉄骨 に適 用 し、消磁効果 が 得 られ るか ど うか を実験 した。鉄 骨 には、電磁 環境実験 施設 の管理棟 プ レハ ブに使 われてい る鉄骨を使用 した。 実験 では、鉄 骨 の

100cm∼ 300cm高

さの部 分 に消磁 作業 を施 し、鉄骨近傍 での磁界 を消磁作業前後 に ついて比較 した。図5に消磁作業 の様子 を示す。 図

5

鉄骨 での消磁作業 の様子 図

6の

グラフは、測定 した磁界の結果を示す。横軸が 鉄骨の高 さ位置を、縦軸が鉄骨近傍での測定磁界 を全磁 力で示 してある。 グラフか ら、消磁前には高 さ

200c

mの

場所に最大で約

160μ

Tあ

った磁界が、消磁後に は約

50μ

Tま

で軽減 されてお り、十分な消磁効果が得 られ ていることがわかる。消磁作業 を施 した 8日 後に、 東急建設技術研究所報難,,26 再び同様の測定を行ったので、図

6の

グラフにはその結 果 もあわせて示 してある。消磁作業後 8日 たつた後でも、 消磁効果に変わ りはないことがグラフから確認 される。 鉄骨残留磁気の消磁効果 ― 消磁前 一矛→ 肖磁後

-8日

後 180 160

ミ 140

g

50 100 150 200 鉄 骨の高 さ 250 (cm) 300 350 図

6

鉄骨での消磁効果の確認実験結果

5.鉄

筋コンク リー ト供試体の消磁実験 鉄骨 と同様 に、開発 した消磁装置 を鉄筋 コンクリー ト 供試体に適用 し、消磁効果が得 られ るか どうかを実験 し た。実験に用いた供試体は、幅

900X高

600X奥

行 き

160の

大 きさであ り、

D10W、

かぶ り厚

20の

配筋になっている。試験体寸法の概要を図7に示す。図 では、供試体を寝かせた状態で示 してある。 鉄筋コツ ンリート試験体寸法図 かぷり厚゛砺

m

W配筋 間隔‐8肺m 高さ当 ollmm 程・績 筋 D10@200ダブル 0 0 0 0 0 0 0 2 0 8 6 4 2 E 頂 と T 伸 t Ц 重量約

230kg

麦劉 絲 ,誦Omln 図

7

鉄 筋 コンク リー ト供 試 体 の寸 法概 要 図 (供試体 を寝 かせ た状 態) 実験 では、鉄筋 コンクリー ト供試体の表面に消磁作業 を施 し、供試体の表面近傍での磁界 を消磁作業前後につ いて比較 した。 図

8は

、消磁作業を施す前に測定 した供試体表面近榜 での磁界分布 を示す。供試体の左上付近の部分を中心に、 約

85μ T程

度の大きな磁界が発生 していることがわか る。 ス

/

/

/

ゝ ぶ ● かぷり厚20【RIIt ピッチャo航m 的 テセollコm いンチヤ00m かぷり厚20【Il田 11

(4)

6 0 0

4 0 0 

^E

硼︶や

2 0 0

Ш

試験 体壁面 消磁前 (地磁気+残留磁 気)分 布 (全磁 力 μT) 傍 で の磁界分布 を示す。消磁作 業前 には供試体 の左上部 分 に見 られた大 きな磁界 が軽減 され 、供試体 のほぼ全体 が

40∼

50μ T程

度 とはば地磁 気程度 の磁界 に軽減 さ れている。 以上 の実験結果 か ら、今 回用 いた消磁装置 の適用 によ って、十分な磁場軽減効果が得 られて いる ことがわか る。

6.ま

とめ 構造物 に用 い られて いる鉄 筋・鉄 骨か ら発生す る残 留 F滋気 によ って、テ レビ・ パ ソコ ンモニ ターな どの

CRT

画面 に与 える影響 を、電磁環境実験施設での実験か ら確 認 した。 実用物件 に対 して、鉄筋 ・鉄骨か ら発生す る磁場 を軽 減す る必要が出た場合 の対策 方 法を確立す るために、独 自の方法で消磁装置 を開発 し、鉄筋 ・鉄骨 に対 して消磁 作業 を施 した。そ の結果 、鉄 筋・鉄 骨 の両方 に対 して十 分な磁場 の軽減効果 が 得 られ 、 またそ の効果 が持続す る ことを、実験か ら確認することができた。 今後 、実物件 に対 して鉄筋 ・鉄骨 の残 留磁気軽減対策 の要望が上が った場合 には、今回の実験結果 をもとに対 応 を進めていく必要がある。

横(mm) 図

8

鉄筋コンクリー ト供試体の消磁前の磁場分布 試験体壁画 消磁後 (地磁気十残留磁気)分布 (全磁力 μT) 0。 O0 0。 00 00 6     5     4 e コ “ ■ 2 95 90 ” D0 75 70 65 60 55 m 45 to b し い b 堕 to tO い b tO 構(mm) 図

9

鉄筋 コンクリー ト供試イ本の消磁後の磁場分布 図

9は

、消丁滋F作業 を施 した後 に測定 した供試体表面近 参考文献

1) (社

)日 本建築学会 :環境磁場の計測技術 ―現場における計測の事例―,pp■ “

,(社

)日本建築学会,1998年

DEⅣ IA(FTNETIZATION

IETHOD OF IRI]蝉 NTヽ

NETISWI

FOR REINFOECED CONCRE‐

STRUCTURES

T,Kawase

he rcinforced steel bar and thc stecl frames are sonetimes magnetizcd by bcing cxposcd to thc strong magnctic ttcld in thc process of transportation, productionゥ and so on. Such matcrials, k■ own as fcrroma3nctic nlatcrials, gcncrate stronger magnctic tteld than thc ordinary onc and causcs discoloration of thc CRT for thc tclcvisin or thc monitor of personal conlputer. To prevent thc cxpctcd troublcsi a nc、 v demagnctization mcthod for thc structural matcials 、、アas dcvelopcd ¶lis papcr reports

some succcss良Il expc占nacntal rcsults of applying the de、 ′eloped dcmagnctizing cquipmcnt to a stccl framc and a concrctc piccc reinforccd by steel bars

参照

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