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シンガポールの小学校音楽科におけるシラバスと教科書 -2008年実施のシラバスに焦点をあてて-

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(1)Title. シンガポールの小学校音楽科におけるシラバスと教科書 −2008年実施 のシラバスに焦点をあてて−. Author(s). 中西, 紗織. Citation. 北海道教育大学紀要. 教育科学編, 66(1): 207-218. Issue Date. 2015-08. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/7815. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第66巻 第1号 Journal of Hokkaido University of Education(Education)Vol. 66, No.1. 平 成 27 年 8 月 August, 2015. シンガポールの小学校音楽科におけるシラバスと教科書 ― 2008年実施のシラバスに焦点をあてて ―. 中 西 紗 織 北海道教育大学釧路校音楽教育研究室. A Study on the Syllabus of the General Music Programme and Music Textbooks for Primary Schools in Singapore: Focusing on the Syllabus Implemented in 2008. NAKANISHI Saori Department of Music Education, Kushiro Campus, Hokkaido University of Education. 概 要 シンガポールは1965年にマレーシアから独立した。天然資源を持たない狭い国土の都市国家 として効率性を徹底的に追求する経済政策や行政運営によって飛躍的な発展をとげてきた。多 民族多文化社会において国民文化のアイデンティティを作り出すことが目指されており,芸術 教育の重視はその方向性と重なるものである。本稿では,シンガポールの芸術科音楽のシラバ スGeneral Music Programme Syllabus (Primary/Secondary)に焦点をあて,小学校音楽科教 科書で扱われている内容と照らし合わせながら,現代のシンガポールの音楽教育の特徴と方向 性を明らかにすることを試みた。. はじめに. 3.3% 1)からなり,多民族多文化社会において国 民文化のアイデンティティを作り出すことが目指. シンガポールは1965年にマレーシアから独立. されている。. し,本年2015年に独立50周年を迎える。天然資源. シンガポールにおける学校教育は「二言語主義」. を持たない狭い国土の都市国家として,効率性を. と「能力主義」により,大きく特徴づけられ(生. 徹底的に追求する経済政策や行政運営によって飛. 沼,中村 2011,p.1),ICT教育においても先進. 躍的な発展をとげてきた。人口約547万人(シン. 的な取り組みを行っている。人的資源の重視と人. ガ ポ ー ル 人・ 永 住 者 は387万 人 ) は, 中 華 系. 材開発は,教育と深く結びついており,国家の重. 74.3%,マレー系13.3%,インド系9.1%,その他. 要な戦略として位置づけられている2)。徹底した. 207.

(3) 中 西 紗 織. 効率主義,実用主義に支えられた競争的な学校教. の組織化が盛り込まれている。. 育政策は,1990年代後半から新たな改革期を迎. ・1991年,情報芸術省(Ministry of Information. え, 「文化の不在」解消のための芸術振興政策と. and the Arts: MITA)所管の公的機関として. 重なりながら,シンガポーリアンという一つのま. NACが設立される。. とまりとしての文化創造を展望した,芸術教育の. ・1993年MITA所 管 の 国 家 遺 産 局(National. 重視という方向性を持つようになる。. Heritage Board: NHB)設立。芸術教育の振興. シ ン ガ ポ ー ル の 美 術 教 育 に つ い て は, 福 田. 策が進められる。. (2004,2014など),佐々木(2013,2014など). ・2000年 ~2004年, ル ネ サ ン ス・ シ テ ィ 計 画. らによる研究があるが,音楽教育の歴史,教育課. (Renaissance City Project)。芸術文化を通し. 程(シラバス) ,教科書,授業実践,教員養成な. て国民的アイデンティティを確立するために,. どに関する詳細かつ具体的な研究はほとんど見当. 世界的な芸術都市を目指す。. 3). たらない 。本稿では日本の学習指導要領に相当. ・2002年,コンサートホール,劇場,リサイタル・. するシンガポールのシラバスに焦点をあてる。こ. スタジオなどを備えた巨大総合劇場エスプラ. こで取り上げるのは,2008年から実施されている. ネードがオープン。. 初 等・ 中 等 教 育 に お け る 音 楽 科General Music. ・2001年,教育省(Ministry of Education: MOE). Programme( 以 下,GMP) の シ ラ バ スGeneral. が「学校における芸術教育の充実」を発表。「芸. Music Programme Syllabus (Primary/. 術鑑賞や将来の享受者としての基礎を形成する. 4). Secondary)である 。シンガポールでは,シラ. こと」,「将来の芸術家及びパトロンとしての芸. バスの基準に従って教育課程を編成している。ま. 術的才能を認識,向上させる機会を提供するこ. ず,シラバスの内容を紹介し考察を加え,シラバ. と」,「国民意識や文化的なアイデンティティを. スに基づいて,小学校(初等教育1年~6年)の. 涵養すること」の三つの側面を強調。学校教育. 教科書で扱われている内容と照らし合わせなが. における芸術教育をさらにおし進める。. ら,現代のシンガポールのGMPで目指されてい. ・2005年~2007年,ルネサンス・シティ計画2。. るものを明確にすることを試みる。そして,シラ. 予算規模をさらに拡大し,芸術文化産業の開. バスの目標を教科書にどのように反映し,学習成. 発。2006年からシンガポール・ビエンナーレ開. 果としてどのように達成しようとしているのか明. 催。アジアの現代美術展の代表的なものとなる。. らかにする。. ・2004年,MITAが情報コミュニケーション芸術 省(Ministry of Information, Communication. 1 シンガポールの芸術教育推進の背景 シンガポールの芸術文化振興政策に支えられた 5). and the Arts: MICA)に改組。 ・2008年~2015年,ルネサンス・シティ計画3。 博物館,劇場,コンサートホールの整備,芸術. 芸術教育推進の重要な背景 は以下のようにまと. 家・そこに関わる人・関係機関が連携できるシ. められるだろう。. ステムの確立,コミュニティによる文化創造, 国民の文化的アイデンティティの醸成をはか. ・1988年,文化芸術諮問会議(Advisory Council. る。これまでの文化振興政策のデータ分析に基. on Culture and the Arts: ACCA)組織される。. づく計画。金融・経済だけでなく,芸術文化に. 翌年ACCAがレポート答申。文化芸術の役割や. おける世界的ハブ・シティを目指す。. 重要性が説かれ,具体的な政策提言が記されて い る。 こ の 中 に, 国 家 芸 術 会 議(National. シンガポールにおいて芸術教育を重要視する考. Arts Council: NAC)をはじめとする関係機関. え方とこのような芸術文化振興政策は深く結びつ. 208.

(4) シンガポールの小学校音楽科におけるシラバスと教科書. いているといえよう。. を参考にしている。. 池田は,シンガポールにおける体育・芸術・音 楽(PE・Art・Music: PAM)教育の強化につい. ・芸術教育――美術,音楽. て, 「全人教育推進の一環として,児童・生徒の. ・人間性・市民性教育――公民・道徳教育,人間. 想像力や表現力を高め,人間的・文化的・社会的. 性・市民性教育. アイデンティティを形成するために,PAM教育. ・人文科学――地理,歴史,社会. の充実を図る」(2013,p.144)と述べている。ま. ・英語と文学――英語,英文学,演劇. た,Naveraは,シンガポールの芸術振興政策の. ・民族母語――中国研究,華語,中国文学,マレー. 歴史について詳述し,政府が芸術を国家形成のた. 語,マレー文学,タミル語,タミル文学. めの大きな力としていることを指摘し,シンガ. ・保健体育――保健,体育. ポールが経済的に繁栄し,高度に教養と品格を備. ・科学――コンピュータ・アプリケーション,デ. えた国家となっていくために文化や芸術が果たす. ザインとテクノロジー,食品と消費者教育,数. 役割が大きいと説いている。Naveraはさらに,. 学,科学,技術. 2012年にMICAが発表した芸術文化戦略レビュー (Arts and Culture Strategic Review: ACSR). 音楽は,芸術教育の中に美術とともに位置づけ. を引き,すべての教育機関が芸術文化の実演家や. られている。次に,具体的なGMPのシラバスの. 聴衆を育てるゆりかごとなるべきだという主張を. 内容を見てみる。. 紹介して,教育と芸術文化政策とのつながりを示 している(2013, pp.6-10)。. 2-1 GMPのシラバスの概要. シンガポールにおける芸術教育と芸術文化振興. 2008年実施のGMPシラバスでは,冒頭でGMP. 政策は,将来に向かって発展し続ける展望を持つ. がどのような教科なのか説明され,目的,学習成. 戦略的国家事業であり,実際にどのような成果を. 果,評価などの見出しがつけられそれぞれについ. 生み出すのか注目に値する。. て次のように記されている(以下,筆者の和訳。 一部については要点を示した)。. 2 GMPのシラバス. ⑴ GMPとは GMPは初等・中等学校のすべての生徒に提供. シンガポールの学校は2学期(semester)制. されている。それは,生徒のホリスティック教育. で1月から新年度が始まり,各学期はさらに二つ. の質の向上に貢献するものであり,芸術鑑賞に際. のtermに分けられそれぞれ10週間である。義務. して生徒を学識ある聴衆に育成する役割を果た. 教育は小学校6年間で,国家試験である初等教育. す。音楽を創作したり,歌ったり楽器を演奏した. 段 階 の「 小 学 校 卒 業 試 験 」(Primary School. りすることを通して,生徒は異なった様式によっ. Leaving Examination: PSLE)と中等教育段階の. て自分自身を創造的に表現することを学ぶ。聴い. 「 普 通 教 育 修 了 資 格 」(General Certificate of. たり鑑賞したりするスキルを身につければ,生徒. Education: GCE)の各レベル試験の結果を通し. は生涯を通して新たな音楽に反応したり関わった. て,教育省がすべての児童・生徒のデータを把握. りすることができる。音楽は,社会にとって不可. し,精度の高い学力動向分析を行っている。. 欠のものである。それゆえに,音楽を学ぶことに. シンガポールの教育省WEBサイトでは,初等・. よって,生徒は,社会的,文化的,歴史的意識を. 中等教育における各教科のシラバス(大学準備教. 高めることができるのである。. 育に関する教科も含む)が次の通り分類され公開. ⑵ 目的(Aims). 6). されている 。教科の名称の和訳は池田(2013). ・様々な文化の音楽を鑑賞する能力を高め日常生. 209.

(5) 中 西 紗 織. 活における音楽の役割への意識を高める。. 反映されているだけで,最初の段階で身についた. ・音楽の創作を通して創造的な表現力を高める。. 知識やスキルがすべての基本である。. ・生涯を通して音楽を学び音楽と関わる基礎力を. ⑸ 学習法(Approach). 養う。. 生徒は,ホリスティック教育における方法に. ⑶ 到達目標(objectives). よって様々な音楽的スキルや理解力を身につけ. 前述の目的を達成するために生徒が身につける. る。教師は生徒の様々な到達目標がつながりを持. べきスキルと知識として次の六つの到達目標があ. つように指導計画を立てるようにする。学習成果. げられる。. を達成するための指導計画を立てるには様々なア. O(Objective)1:一人で,あるいはグループで歌. プローチがある。次のようなアプローチが可能だ. うことができ,旋律楽器やリズム楽器を演. ろう。. 奏できる. ・主題アプローチ――学習単元は,生徒が学習内. O2:音楽をつくったり即興したりできる. 容を把握しそれを自らの文脈で解釈できるよう. O3:音 楽を聴くことを通して,その音楽につい. に,大きな主題に基づいてデザインされる(例. て言葉で述べたり評価したりできる. えば,私のふるさと,私たちを取り巻く世界)。. O4:音楽の要素やコンセプトについて理解できる. ・コンセプト・アプローチ――学習単元は,指導. O5:様 々な文化や様々なジャンルの音楽を識別. 内容が体系化されるように,音楽の要素/コン. したり理解したりできる O6:日常生活における音楽の役割を理解できる. セプト(例えば,リズム,テクスチュア)に基 づいてデザインされる。 ・学際的アプローチ――学習単元は,学習内容を. 生徒は,音楽を聴いたり創作したり演奏したり. 別な教科と共有できるようにデザインされる。. することを直接体験することを通して,音楽を鑑. ・モジュラー・アプローチ――学習単元は,生徒. 賞したり理解したりする能力を高める。社会文化. が自らの関心を主体的に追求できるように,自. 的なコンテクストにおいて音楽を理解することに. 己充足型の時間単位によってデザインされる。. よって,生徒は自分が生きる上での音楽の役割を. ⑹ シラバスの構造. より良く理解できるようになり,音楽との関わり. 表1 シラバスの構造7). を意義深いものにしていくことができるようにな る。. ステージ. ⑷ 学習成果(Learning Outcomes). ステージ5. それぞれの到達目標は,一連の学習成果によっ. ステージ4. てその意味を明確にすることができ,そこには生. ステージ3. 徒が身につけ実践可能となるべき音楽能力が詳述. ステージ2. されている。学習成果は,学習の視野を広げるた. ステージ1 小1~4. レベル(ストリーム). 中1~2. 中   3~4/5. 小5~6. めの音楽の要素/概念,楽器,レパートリーのリ ストとともに示されている(表2~表6を参照)。. 学習成果は五つのステージに分けて設定されて. 学習成果は,それぞれのステージを踏まえた段. いる。初等・中等学校の学年に対応したステージ. 階的学習によってデザインされている。より高度. は表1に示されている。生徒が異なる音楽活動に. なステージの学習成果はその前のステージの学習. 携わり,音楽の授業外で異なるタイプの音楽に触. 成果に基づいて考えられている。より高度なス. れることで,生徒の多様な音楽能力に従って,音. テージでは, それまでになかった新たな学習成果,. 楽の指導プログラムが発展していくべきである。. 音楽の要素/コンセプト,楽器,レパートリーが. 例えば,小学校1~4年の,能力の高い生徒たち. 210.

(6) シンガポールの小学校音楽科におけるシラバスと教科書. は,ステージ2の学習成果の一部を達成すること. O2. ができる。それゆえに,生徒たちの多くが中等教. ・無音程楽器やボディパーカッション,声(例え ば,異なる物や異なる表面を様々な強さで打つ ことを実験する)を用いて音響効果をつくる. 育の終わりにステージ4の学習成果を達成するこ とになっている一方で,中にはステージ5の学習. ・物語や描写的な言葉や映像に応じて音をつくっ たり音源を選んだりする. 成果を達成できる生徒もいる。 ⑺ 評価(Assessment). ・3拍子または4拍子のリズムによって旋律やフ レーズを即興演奏する. 評価は,教授と学習のプロセスを統合した側面 を持っている。評価は,生徒が自分の力やどれだ け進歩したかを知るために定期的に実施されるべ. ・図形楽譜を使って音を表す O3. きである。評価はまた,教師が生徒の学習の程度. 身体の動き(例えば,行進,スキップ)や視覚的 なものを通して聴く音楽の中に暗示された異なる 気分に応答する ・聴いた音楽の気分を言葉で述べる. を知ったり,指導法やその後の教育について見直. ・西洋音楽の大編成の合奏を観たり聴いたりし て,その中で演奏されている打楽器,弦楽器, 木管楽器,金管楽器を聴き分ける. したりすることにも役立つ。生徒の学習を促進す るためには異なった様式の評価の方法がとられる. ・マレー音楽,中国音楽,インド音楽で演奏され ている打楽器,弦楽器,木管楽器,金管楽器を 聴き分ける. べきである。 次のような様式が可能だろう。 ・評価規準. 音を巧みに操作したり実験したり合わせたりして 音が構成されていく方法を見つける. ・演奏を評価する(例えば,生徒自身の演奏) O4. ・ポートフォリオ. 基本的な音楽の要素/コンセプトを判別する. ・実演. 音楽の中の対比を聴き分ける(例えば,速い/遅 い,高い/低い,厚い/薄い,長い/短い,強い /弱い,無音/有音). ・振り返り記録. リズムやメロディの類似と相違を聴き分ける. ・記述式課題. 簡単な構造を聴き分ける(例えば,二部形式,三 部形式). ⑻ ステージ1~5の学習成果 次に,シラバスの中に記されたステージ1~ス テージ5の表を示す8)。. O5. マレー音楽,中国音楽,インド音楽と西洋の文化 との違いを識別する. O6. 日常生活の中で音楽がどのような役割を果たして いるか認識し話し合う ・漫画. 表2 ステージ1 学習成果 O1. ・コンピュータ・ゲーム. 旋律の形を意識し,一定の拍を保って様々な歌を 歌う. ・コミュニティや家庭行事 ・祭りや文化行事. ・ユニゾンで歌う. ダンスの中の音楽の役割について述べてみる. ・2声部のカノンで歌う ・ソルフェージュの用語やハンドサインを使う 様々な有音程打楽器と無音程打楽器をそれらに適 した奏法と技法によって演奏する ・一人で演奏する ・ユニゾンで演奏する ・パートに分かれて演奏する(4パートまで) ・必要に応じて歌と合わせる 有音程打楽器とは異なる技術を必用とする有音程 楽器を演奏する(例えば,リコーダー,ハーモニ カ,キーボード) ・一人で演奏する ・ユニゾンで演奏する 五線譜や数字譜を読む. 表3 ステージ2 学習成果 O1. 適切な歌い方のテクニック(例えば,正確なリズ ム,正確なピッチ,正しいフレージング,テンポ 通りに)に従って様々な歌を歌う ・一人で歌う ・カノンで歌う(4声部まで) ・2声部で歌う 有音程楽器と無音程楽器で合奏する(2パートま で) 混声合唱または合奏(各パートに複数の演奏者, 2パートまで)において歌ったり楽器を演奏した りする. 211.

(7) 中 西 紗 織. O2. ・メロディに簡単なコードやベースライン/ディ スカントをつけて. 音/音楽の要素が組み合わさって異なる効果や気 分を生じる方法を探究する ・様々な楽器(声も含む)を使い異なる効果を生 み出す. 混声合唱または合奏(各パートに複数の演奏者, 3パートまで)において歌ったり楽器を演奏した りする. ・物語や映像の効果を高めるために異なる音をつ くる ・2拍子で旋律的なフレーズやパターンを即興演 奏する. O3. O2. ・異なるテクスチュアや構造を創り出す. ・様々な楽器(声も含む)を使い異なる効果を生 み出す. ・五線譜を使って音を書きとめる. ・メロディ/リズムによって音楽を装飾する. 音楽の特徴に関連づけてその音楽の気分を言葉で 述べる. ・与えられた様式(例えば,R&B,テクノミュー ジック)や典型的なモデル(12小節のブルース 進行,Xinyao10))に基づいて,音楽の引用フ レーズをつくる. 大編成の合奏を観たり聴いたりして,その中で演 奏されている打楽器,弦楽器,木管楽器,金管楽 器を聴き分ける マレー音楽,中国音楽,インド音楽で演奏されて いる打楽器,弦楽器,木管楽器,金管楽器を聴き 分ける. ・グループ演奏において,リズムやメロディのフ レーズを各自即興演奏する ・様々な電子音源をつなげてみる O3. 電子楽器を聴き分ける. O5. ・音階(長調,短調,五音音階) ・構造(例えば,インターロッキング・リズム) O5. ・「フォーク」音楽, 「ポピュラー」音楽, 「芸術」 音楽. 現代の音楽 (例えば, ダンス・ミュージックのルー プ)において多様なアイデンティティを創造する ためにテクノロジーを駆使する O6. 標題音楽の要素を鑑賞する. ・MTV ・映画. 日常生活の中で音楽がどのような役割を果たして いるか説明する. ・ドキュメンタリー. ・インターネット. 表5 ステージ4 学習成果. ・携帯電話 舞台芸術(例えば, ミュージカル, ワヤン・クリ9)) の中での音楽の役割について説明する. O1. ・アカペラで歌う 有音程楽器と無音程楽器を演奏する. 様々な歌を歌う. ・パートに分かれて (1パートにつき演奏者一人, 5パートまで). ・声部に分かれて歌う(1声部につき一人,2声 部まで) ・一人の伴奏者とともに歌う. 混声合唱または合奏(各パートに複数の演奏者, 5パートまで)において歌ったり楽器を演奏した りする. 有音程楽器と無音程楽器を演奏する. 212. 様々な歌を歌う ・声部に分かれて歌う(1声部につき一人,4声 部まで). 表4 ステージ3 学習成果. ・パートに分かれて(1パートにつき演奏者一人, 3パートまで). 音楽がどのようにアイディアを伝えメッセージを 交流させるか説明する ・広告. 異なる芸術様式における音楽を鑑賞する. O1. 異なった文化における音楽的特徴やジャンルの違 いを聴き分ける. 音楽的特徴やジャンルの違いを聴き分ける ・マレー,中国,インド,西洋の文化. O6. 音楽の重要な特徴を見極め,次の観点からそれに ついて説明する ・音の質(音質,音色). 音楽の要素/コンセプトを判別する リズムやメロディのパターンがどのように関連し ているか聴き分ける(例えば,繰り返し,反復進 行). 異なる様式の表現技法を見分ける ・適切な音楽的語彙を用いて音/音楽の特徴につ いて説明する. O4 O4. 音や音楽が表現豊かになる方法を探究する. O2. 異なる音楽の様式を探究することによって,異な る音楽の意図を表現する.

(8) シンガポールの小学校音楽科におけるシラバスと教科書. ・与えられた様式(例えば,R&B,テクノミュー ジック)や典型的なモデル(12小節のブルース 進行,Xinyao)に基づいて作曲する ・グループ演奏において,リズムやメロディの ヴァリエーションを各自即興演奏する ・様々な電子音を操作したりつなげたりする O3. 異なる様式の表現技法を比較する ・適切な音楽的語彙を用いて音/音楽の特徴につ いて説明する. O4. 音楽の重要な特徴を見極め,次の観点からそれに ついて説明する. ・音楽プロデューサーとエンジニア ・聴衆/消費者. 2-2 シラバスの特徴 前節ではGMPのシラバスの内容を取り上げた。 ここではその特徴について考察する。GMPのシ. ・拍子の体系(例えば,複合拍子に対して). 教育の学習内容や段階(ステージ)が一貫したス. O6. 音楽の創作や日常の生活における録音された/合 成された音の役割や意味について説明する ・CD/MD ・MP3. トリームとして生徒の状況や能力に応じてフレキ シブルに捉えられており,義務教育の初等学校6 年間に続いて,中等学校の4年間または5年間が 見通されて構成されている。. ・サンプル音. 「学習成果」のところに「最初の段階で身につ. ・MIDI. いた知識やスキルがすべての基本となっている」. 音楽産業における個人個人の役割の違いについて 説明する. と記されているように,六つの到達目標の枠組み に従って,ステージ1~ステージ5までがデザイ. ・演奏家. ンされている。中でも小学校1~4年の基礎段階. ・作曲家. で取り組むステージ1は,多様でありながら現代. 表6 ステージ5 学習成果 O1. 与えられたコンテクスト(例えば,学校行事のた めの音楽を選び発表する)に従って演奏会を計画 する. O2. 個々の音楽の様式を探究することによって,異な る音楽の意図を表現する ・与えられた刺激(例えば,主題)によって音楽 を作曲したり即興したりして,音楽的アイディ アを一つの音楽作品に完成させる ・アコースティックな音や電子音(サンプリング や合成による)を使って一つの音楽作品に完成 させる 異なる様式の表現技法の理解に基づいて学識ある 音楽批判をする ・適切な音楽的語彙を用いて好みを説明できる. O5. ・アレンジャー. ラバス全体の構造を見ると(表1),初等・中等. 異なった文化や様式における音楽を聴き分けた り,説明したり,それについて話し合ったりする. O4. 音楽とそれに関連した音楽産業における個人個人 の役割の違いについて説明する. ・ピッチの体系 O5. O3. O6. 次のような異なるコンテクストにおける音楽のコ ンセプトについて説明する. の子どもの状況にも配慮した内容であり,4年間 かけて基礎を身につけるために非常によく考えら えた内容であるといえよう。ステージ1がその後 のステージの基本となっていて,その上に積み上 げられていくものがさらに大きな学習成果となる ようにデザインされている。 ここでは,小学校6年間に相当するステージ1, ステージ2に注目し考察する。 O1は,歌ったり楽器を演奏したりする実技に 関することである。ステージ1でコダーイのメ ソードを使ったハンドサインによって歌ったり, 五線譜によらない記号によって歌ったりする活動 が始められる。ステージ2では,形式(例えばカ. ・楽器分類の異なる体系. ノン)や音の重なり(パートに分かれた合唱・合. ・異なる記譜法. 奏)が意識され,音楽の実現の仕方が体系化され. 音楽のアイデンティティの役割について話し合う ・個人的アイデンティティ ・グループのアイデンティティ(例えば,文化的 アイデンティティ,国家としてのアイデンティ ティ). ていく。 O2は音楽づくりに関することである。日本の 音楽科では早い段階で取り上げるのが難しいと考 えられているが,シンガポールではすでにステー ジ1において,素材となる音を見つけたり,ボディ. 213.

(9) 中 西 紗 織. パーカッションで演奏したり,即興演奏したり,. されている。. 西洋音楽の方法にとらわれない記譜の仕方で出来. シラバス全体の大きな特徴として次の二点にま. 上がったメロディを書きとめることも試みられる。. とめることができるだろう。. O3は鑑賞に関することである。ステージ1で. ・到達目標と学習成果の対応. は,身体表現(身体を通して音楽を捉える)しな. ・到達目標・学習成果と各ステージとの結びつき. がら音楽を聴く方法や,西洋とシンガポールの民 族母語と関わりのある楽器との違いに気づく活動 が顕著である。 「聴く」ことに集中し聴く経験を. 3 小学校音楽科の教科書と教材. ひたすら積み重ねることがステージ2でも継続し. シンガポール教育省のWEBサイトでは検定を. て行われる。このことはそのあとのステージでの. 受 け た 教 科 書 リ ス ト を 閲 覧 で き,Approved. 批判的に聴くことや,表現技法やスタイルを聴き. Textbook Listの出版社として12社が掲載されて. 分けることにつながっていく。. いる11)。このうち音楽科の検定教科書はPearson. O4は音楽の要素/コンセプトに関することで. Education South Asia と Star Publishingの2社. ある。ステージ1では,音楽の構成要素や構造原. である。. 理への理解を深めるために,論理的,分析的に音. ここでは,Pearson Education South Asia社か. 楽を捉えたり説明したりすることに役立つ方法を. ら出版されている,2008年初版(2014年再版)の. 身につける。ステージ2でも継続してその経験を. Perfect Match Music Primary1~6を取り上げる。. 深めるような活動を行う。. なお,教科書の内容に関する分析の観点や方法と. O5は文化としての音楽の捉え方に関すること. しては,佐々木(2013)の研究に基づいて行った。. である。ステージ1では,マレー系,中華系,イ ンド系の音楽と西洋の音楽との違いに注目する。. 3-1 初等学校音楽科教科書の紙面構成. ステージ2では,そこにジャンルや時代や芸術様. 総頁数は,第1学年84頁,第2学年99頁,第3. 式の概念を加えて,多様な文化としての音楽に触. 学年82頁,第4学年76頁,第5学年84頁,第6学. れる機会を持つ。. 年84頁。題材(単元)数は第1~第3学年8,第. O6は生活の中の音楽の役割に関することであ. 4~第6学年7である。一つの題材には10~14頁. る。ステージ1では,子どもたちが親しんでいる. が与えられている。第1~第4学年では,比較的. 漫画,コンピュータ・ゲーム,祭りなどにおける. 絵・写真・図など視覚的なものが多く見られる. 音楽の役割について考える。ステージ2では,イ. が,第5・第6年では文字の部分が増え,読んだ. ンターネット,携帯電話が加わる。さらに舞台芸. り記述したりする活動も格段に増える。. 術の中の音楽の役割について考える活動が加えら. すべての学年の教科書冒頭の前書きには,この. れる。例として,ミュージカル,インドネシアの. 教科書がカール・オルフやゾルタン・コダーイの. ワヤン・クリがあげられていることが興味深い。. 音楽教育メソードや方法論に基づいていることが. 全体的に見ると,小学校第1~第4学年で到達. 明示されている。それに続いて教科書の特色と使. されるべきステージ1の学習成果は,六つの到達. い方ガイドが記されており,次のような順序や内. 目標の枠組みに沿って活動内容が示されている。. 容の説明がなされている。. この基礎段階において,それぞれの活動内容は多. ①題材への導入 Unit Opener――各題材の1頁目. 様な上にそれぞれが細分化されており,音楽の知. に示された題材についての紹介文。始まりから. 識や実技の基礎基本を身につけるためのあらゆる. 生徒の関心を刺激するように魅力的にデザイン. 活動が網羅されている。ステージ2では,ステー. されている。. ジ1で取り上げられた多種多様な活動が,焦点化. 214. ②各題材について――各題材に関する情報や活動.

(10) シンガポールの小学校音楽科におけるシラバスと教科書. は,さらに細かいサブセクションに分けられて いる。 ③創作,鑑賞,演奏(歌ったり,楽器を演奏した り)の活動が音楽の学習をより豊かにする。. 認識を強化する。 ⑩音名表記――楽譜に音名を文字で表記すること によって, 生徒は音符を読まなくても歌を歌える。 この他にも,鑑賞の手がかりとして,例えば「こ. ④活動スポット,創作コーナー Activity Spot/. の曲を聴くと……」静かな気持ちになる/わく. Creative Corner――各題材は活動スポットま. わくする, 「この曲のテンポは」速い/遅い, 「こ. たは創作コーナーで締め括られている。活動ス. の曲のメロディは」レガート/スタッカート,. ポットは,創造的あるいは調査に基づくプロ. というように問いに対する答えを選択肢から選. ジェクト課題であり,一人で行う。その後,生. ばせるような簡単なクイズのようなものも含ま. 徒は自分の考え方や課題をクラスで交流する。. れている。記述式のワークシート的なものも要. 創作コーナーは,グループで音楽づくりをする. 所要所にあり,生徒が音楽とその周辺の様々な. 機会を持ち,生徒が即興演奏したり作曲したり. こととを結びつけて,楽しみながら学習をすす. できるようにする。そのプロセスにおいて,生. めることができるように工夫されている。. 徒は他の人と共演するための基本的な音楽性を 身につける。そのような活動はまた,芸術と演. 3-2 用語集 Glossary. 劇といった音楽以外の分野のスキルとも結びつ. 各学年の教科書の巻末には,その学年で取り. けて,生徒が創造的に自分を表現できるように. 扱った重要な用語が集められ,解説文が加えられ. する。. ている。用語集を見直すことで,生徒が学習した. ⑤評価――友だちやグループへの評価または自己. 内容を振り返り学びを強化することができるだろ. 評価。 (スマイリーフェイスの口元を書き込む. う。用語だけを抜き出して学年ごとにまとめたも. 形で,良い・普通・もう少しの三段階で評価す. のが表7である。. る) 表7 用語集に載せられた用語. ⑥試してみよう Try It Out /調べてみよう Check It Out――「試してみよう」は音楽という概念. 学年. 用語. を身につけるための面白い活動を提案してい. 1. 強弱法,強弱記号,レガート,歌詞,気分,休符, 打楽器,フレーズ,図形楽譜,拍,リズム,リズ. る。 「調べてみよう」は本に載っていない適切. ム音節,スラー,音名,音,スタッカート,等拍,. な 資 料 を ウ ェ ブ サ イ ト で 調 べ た り,Perfect. 音色,ト音記号,ピアノp,フォルテf,四分休符. Match Music E-bookでIT活動をするようにす. (以下,実際の音符・休符などの記号が掲載され ている)二分休符,二分音符,四分音符,八分音. すめている。 ⑦思い出そう Memory Note /やってみよう Work It Out――「思い出そう」は前の段階で覚えた. 符二つの連符,2/4,繰り返し記号 2. 終止線,ピッチ,独唱,斉唱,譜表,テンポ,拍. 音楽の概念や定義を一層強化するのに役立つ。. 子記号,有音程楽器,無音程楽器,全音符(以下, 実際の音符が掲載されている),付点二分音符,. 「やってみよう」は連続的な活動を通して生徒 に学習の秘訣を伝えるのに役立つ。 ⑧♪マーク――このマークは,音源教材があるこ とを示す。生徒がその曲について学習する前に 耳からメロディや歌を聴いたり,音楽作品を解 釈したりすることに役立つ。 ⑨音符の視覚的表示――音符を視覚的に示すこと は,音のピッチの高低を聴き分ける生徒の聴覚. 小節線,コール・アンド・リスポンス,カノン,. 十六分音符による四連符,3/4,4/4 3. アチェレランド/ストリンジェンド, アクセント, 伴奏,上行,クレッシェンド,ダカーポ・アル・ フィーネ, デクレッシェンド/ディミニュエンド, 下行,フォルティッシモ ff,レガート,メッツォ フォルテ mf, メッツォピアノ mp, フェルマータ, フレーズ,ピアニッシモ pp,リタルダンド/ラ レンタンド, スコッチ・スナップ・リズム, スタッ カート,シンコペーション,主題,rit.. 215.

(11) 中 西 紗 織. 4. アレグロ,弱起,アンダンテ,二部形式,ブラス,. 方がうかがわれる。音楽に関する教育が,子ども. コール・アンド・リスポンス,キャロル,ドル. たちを取り巻く社会や世界とどのように関わって. チェ,エスプレッシーヴォ,レント,モデラート, オーケストラ,五音音階,打楽器,演奏技法,ポ ルカ,弦楽器,三部形式,主題,ワルツ,木管楽 器,三連符(以下,実際の音符が掲載されている) 。 八分音符一つと十六分音符二つによる連符,十六 分音符二つと八分音符一つによる連符,付点八分 音符と十六分音符による連符,十六分音符・八分 音符・十六分音符による連符 5. 6. アカペラ,芸術歌曲,ボディ・パーカッション, ブラスバンド,強弱法,間奏曲,ジャズバンド, パートナーソング,気分,数字譜,前奏曲,四重 奏,リズム,シンフォニック・バンド,テンポ, 音色,三重奏,ヴォイス・パーカッション アレグレット,ベルカント,ブルース,ボサノヴァ, コーダ,コンテンポラリー・フォーク,ヒップ・ ホップ,ホモフォニー,即興,音程,ジャズ,モ ノフォニー,ミュージカル,オペラ,装飾音,ポ リフォニー,ロックンロール,ロンド,スキャッ ト,シンコペーション,テクノ,主題と変奏. (筆者注:ここでは省略したが,例えば八分音符二つの 連符には,ti-tiというようなリズム言葉が付されている。 ). いるのか,自分で考え実感できるような内容も豊 富に盛り込まれている。 現代のシンガポールの音楽教育の特徴や方向性 をどのように捉えるかについては,新たに始まっ たばかりのシラバスや教科書による音楽教育や実 践,あるいは新しい芸術教育の専門的実践12)を 慎重に見ていく必要があるだろう。この50年で常 に新たな地平を求めて目まぐるしく変化し続ける 教育や文化からは,今後も示唆を得たいと考えて いる。 ラムは次のように述べている。 21世紀において常に一定であるものは変化であ るということを理解すれば,生徒たちが常に新 しく生まれ続ける音楽的存在という観念に慣れ るようにするためには,また,彼らに常に問い かけ,彼らを音楽的プロセスに批判的にかかわ. 表7を見ると,主に西洋音楽の理論による音楽. らせるためには,「変化」ということが,音楽. に関する,多様なカテゴリーの用語が含まれてい. 教育における適切なたとえであり,取るべき哲. ることがわかる。西洋音楽の音階理論とは異なる. 学的態度であるように思える。(2014,p.156). 用語としては第4学年に「五音音階」がある。教 科書では題材3が「韓国と日本の音楽」と題され,. 教科の枠組みに閉じ込められない,発展的で動. 伝統的な楽器や歌が取り上げられ五音音階につい. 的な枠組みの中で,シンガポーリアンとしての国. て説明されている。さらに韓国と日本の五音音階. 民文化のアイデンティティを作り出すという方向. の違いに気づかせる問いかけもなされている。日. 性を見据えた音楽教育の構築が求められていると. 本の音楽科では中学校で取り扱われる用語も多く. 捉えることができるだろう。. 見られる。. 今後の課題として次の四点をあげる。 ①2015年実施のGMPのシラバスについて,改訂. まとめ 以上,本稿ではシラバスと教科書を取り上げて. のポイント,変更内容等について検討する。 ②新しい音楽科教科書で扱われている内容につい て,シラバスに照らして検討する。. 考察した。ここから見えてくる現在のシンガポー. ③シンガポールにおける音楽教育の位置づけや重. ルの音楽教育の特徴としては次のようにまとめる. 要性,今後の方向性についてさらに検討する。. ことができるだろう。. ④シンガポールの小学校における実際の授業を見. GMPのシラバスからは,教育省が2006年に始. 学し,シラバスや教科書を踏まえて音楽教育の. めた“Teach Less, Learn More”運動と結びつ. 考え方がどのように実現されているのか確認す. いて一定の枠組みに従って構造的に効率的に子ど. る。. もたちの学習活動を積み上げていこうとする考え. 216.

(12) シンガポールの小学校音楽科におけるシラバスと教科書. 付 記. 【引用・参考文献】. 本研究は,JSPS科学研究費助成事業基盤研究. 福田隆眞(2004)「シンガポールの新しい教育課程と初等. (C)24531091「アジアの芸術教育における西洋の. 美術教育の方向」『山口大学教育学部附属教育実践総合. 影響と独自性の形成に関する研究」 (研究代表者: 佐々木宰,研究分担者:福田隆眞,中西紗織)の 助成を受けたものである。. センター研究紀要』第17号,pp.11-22。 Ho, Li-Ching (2011) Global Multicultural Citizenship Education in Singapore, Multicultural Education Review Vol.3, No.1, pp.25-44. 池田充裕(2013) 「諸外国の教育課程の基準の概要――シ ンガポール」 ,勝野頼彦(研究代表者) (2013) 『諸外国. 注 1)シンガポール政府統計部資料2014年のデータ http://www.singstat.gov.sg/(2015年 3 月10日 ア ク セス) 2)シンガポールの教育の背景にある国家的戦略につい て,佐々木は次のように述べている。「競争的な教育制. における教育課程の基準(改訂版)――近年の動向を 踏まえて――』(教育課程の編成に関する基礎的研究報 告書4)国立教育政策研究所,pp131-145。 勝野頼彦(研究代表者)(2013)『諸外国における教育課 程の基準(改訂版)――近年の動向を踏まえて――』 (教 育課程の編成に関する基礎的研究報告書4)国立教育 政策研究所。. 度は,効率よく人的資源を確保する制度であり,教育. Lum, Chee-Hoo, (Ed.) (2013) Contextualized Practices. はもとよりシンガポール社会に貫かれる能力主義は,. in Arts Education : An International Dialogue on. 民族間の軋轢をかわす仕組みでもあった。政府の指導. Singapore, Springer.. による国内の安定と,バイリンガル政策によって国民. ラム チーフー(2014) 「グローバル化と伝統文化――シ. の大多数が民族母語と英語を理解できる環境は,外国. ンガポールの音楽教育に関する視点――」,山口大学大. 資本の誘致と世界経済への対応を可能にしたのであっ. 学院東アジア研究科編著,福田隆眞・石井由理編集責. た。」(2014a,p.74). 任(2014) 『教育におけるグローバル化と伝統文化』建. 3)日本語では,音楽教育から見たグローバル化と伝統 文化に関するチーフー・ラム(2014)の研究がある。. 帛社,pp.146-157。 Ministry of Education, Singapore (2008) General Music. 4)最新の初等・中等学校のGMPのシラバスは2015年改. Programme Syllabus (Primary/Secondary), Curriculum. 訂版で,2015年1月から実施されている。これについ. Planning & Development Division, Ministry of. ては稿をあらためて論じたい。. Education.. 5)佐々木(2013,2014a,2014bなど)に詳述されている。 6)シンガポール教育省 http://www.moe.gov.sg/education/syllabuses/ (2015年3月10日アクセス)。 7)GMPシラバスp.3の表1「柔軟なシラバスの構造」を 和訳し,ほぼそのまま掲載。 8)シラバスの中の表には,「目標」O1~ O6に2-1⑶で あげた内容が記されているが,ここでは省略した。 9)インドネシアのジャワ島やバリ島で行われている人 形を用いた伝統的影絵芝居。 10)中国語の「新」「謡」から来ている言葉。シンガポー. Ministry of Information and the Arts (2000) Renaissance City Report: Culture and the Arts in Renaissance Singapore, Ministry of Information and the Arts, Singapore. Ministry of Information, Communication and the Arts (2008) Renaissance City Plan Ⅲ , Ministry of Information, Communications and the Arts, Singapore. Ministry of Information, Communication and the Arts (2012) The Report of the Arts and Culture Strategic Review, Ministry of Information, Communications and the Arts, Singapore.. ルの歌と言う意味で,シンガポール独自の歌のジャン. Navera, Gene Segarra (2013) The Singapore Arts. ルも指す。シンガポーリアンによって作曲されたり歌. Landscape: Influences, Tensions, Confluences, and. われたりすることが多い。. Possibilities for the Learning Context, Lum, Chee-Hoo,. 11)シンガポール教育省. (Ed.) (2013) Contextualized Practices in Arts. http://www.moe.gov.sg/approved-textbook-list/. Education : An International Dialogue on Singapore,. (2015年3月10日アクセス)。 12)例えば,2008年に設立された中等教育の芸術専門学 校(School of the Arts: SOTA)での実践。. Springer, pp.3-20. 生沼裕, 中村悦也監修(2011) 『シンガポールの政策(2011 年改訂版)教育政策編』財団法人自治体国際化協会(シ ンガポール事務所) 。. 217.

(13) 中 西 紗 織. 佐々木宰(2013) 「シンガポールの初等学校美術教育にお ける新シラバスと教科書――2009年実施のシラバスと 教科書に基づいて――」『美術教育学』第34号,美術科 教育学会,pp.205-216。 佐々木宰,中西紗織,福田隆眞(2014a)「シンガポール の 芸 術 振 興 政 策 と 芸 術 教 育 ――School of the Arts Singaporeの事例――」『北海道教育大学紀要(教育科 学編)』第65巻第1号,pp.73-88。 佐々木宰(2014b)「シンガポールにおける芸術教育の系 譜――1959年『美術と工芸』シラバスに基づいて――」 『釧路論集:北海道教育大学釧路校研究紀要』第46号, pp.195-204。 Wong, Joon Hwang, (Consultant) (2008/2014) Perfect Match Music Primary 1-6, Pearson Education South Asia. 山口大学大学院東アジア研究科編著,福田隆眞・石井由 理編集責任(2014)『教育におけるグローバル化と伝統 文化』建帛社。. (釧路校講師). 218.

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参照

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