地上稠密気象観測網により観測された
群馬県・埼玉県平野部におけるダウンバースト
2 件の事例比較
COMPARISON OF THE TWO DOWNBURSTS OBSERVED BY A HIGH DENSITY GROUND SURFACE OBSERVATION NETWORK ON THE PLAIN OF GUNMA AND SAITAMA PREFECTURES
岩下㻌 久人1)㻌 㻌 㻌 森田㻌 敏明1)㻌 㻌 㻌 柴田㻌 耕志1)㻌 小林㻌 文明2)
Hisato IWASHITA1), Toshiaki MORITA1), Koji SHIBATA1) and Fumiaki KOBAYASHI2)
ABSTRACT
POTEKA (POint TEnki KAnsoku in Japanese) is a compact weather station that can observe multiple meteorological variables such as temperature, pressure, wind direction / speed. A high density ground surface observation network (POTEKA network) with the resolution of approximately 1~2 km has been composed by approximately 150 POTEKAs on the plain of Gunma and Saitama prefectures in Japan. The POTEKA network has observed several gust events such as downbursts and gust fronts. These observation results revealed that the two events of JEF1 downburst on July 14, 2016 and F1 downburst on June 15, 2015 had the similar characteristics while downburst occurrence, for example, the transition time relation between wind speed and temperature / pressure, the cumulonimbus advancing situation, the localized wind change and the horizontal scale of a downburst. The comprehension of these similar characteristics may be able to predict the downburst gust on the plain of Gunma and Saitama prefectures.
Key Words: High density, Ground surface, Downburst, Wind direction, Wind speed
1.はじめに 局地的大雨や集中豪雨のような極端降水、竜巻やダウンバーストのような突風などの局地的気象変化は、一 般市民の生命や財産を脅かす自然の脅威である。気象庁統計資料によると、日本では最近 㻝㻜 年間(㻞㻜㻝㻜~ 㻞㻜㻝㻥 年)と約 㻟㻜 年前の 㻝㻜 年間(㻝㻥㻣㻢 年~㻝㻥㻤㻡 年)を比較した場合、㻝 時間に 㻡㻜 ㎜以上の「非常に激しい雨」 は約 㻝㻚㻠 倍に、㻝 時間に 㻤㻜 ㎜以上の「猛烈な雨」は約 㻝㻚㻣 倍に増加していることが示されている㻝㻕。また、竜巻 やダウンバーストについては、現在の観測調査体制となった 㻞㻜㻜㻣 年以降、年間でおおよそ 㻞㻜~㻟㻜 件程度の発 生が確認されている 㻞)。人類は、これらの局地的気象変化の観測・早期検知・予測のために技術開発を進めて きた。その技術の一つにはリモートセンシング技術による気象レーダー観測 がある。レーダーの主要スペックであ る観測範囲、解像度、観測時間間隔、観測精度などは年々技術向上しており、例えば 㻞㻜㻞㻜 年現在、降水観測 用として広く実用化されている 㼄 バンドマルチパラメータレーダー㼄㻾㻭㻵㻺 の場合、観測範囲は 㻢㻜 ㎞、解像度は 㻞㻡㻜㼙、観測時間間隔は 㻝 分で、水平・垂直方向の 㻞 偏波使用により完全球形ではない雨粒の観測精度も高め ている。しかしながら、レーダーの一般的弱点として、地形的制約による障害、強雨による電波減衰、バンド帯に㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 1)㻌 明星電気株式会社㻌 気象防災事業部㻌 (〒372-8585㻌 群馬県伊勢崎市長沼町2223) 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 2)㻌 防衛大学校㻌 地球海洋学科㻌 (〒239-8686㻌 神奈川県横須賀市走水1-10-20)
よっては観測範囲の狭さなどを保有しており、必ずしも地上における気象変化の真の姿を捉えられている訳で はない 㻟㻕㻠㻕。また、地上の真の姿を最も正しく表現できる地上気象観測器の代表的なものには気象庁アメダスが あるが、その観測時間間隔は 㻝 分で㻡㻕、最も観測点が多い雨量計であっても日本全国で約 㻝㻟㻜㻜 ヶ所の設置で あり、その観測距離間隔は約 㻝㻣 ㎞となる㻢㻕。㻲㼡㼖㼕㼠㼍㻘㻌㻝㻥㻤㻝 では竜巻の水平スケールを 㻝 ㎞程度、ダウンバースト のそのアウトフロー端に至るまでの水平スケールを 㻝㻜 ㎞程度と定義しており㻣㻕、現在の観測技術ではこれらの局 地的気象変化現象の時間的変化は未だしも、空間的変化までは捉え切れない場合も多い。なお、本稿ではダ ウンバーストのアウトフロー端をガストフロントと呼ぶこととした。㻌 このような現在の気象観測技術の弱点を補うために、明星電気株式会社は“小型かつ軽量でどこにでも設置 できる。”をコンセプトに、㻝 分毎に気象観測が可能な 㻼㻻㼀㻱㻷㻭(㻼㻻㼕㼚㼠㻌 㼀㻱㼚㼗㼕㻌 㻷㻭㼚㼟㼛㼗㼡)という小型気象計を開 発し製品完成させた。この小型気象計が展開されることにより、全国一様という訳ではないものの地域によって は観測距離間隔約 㻝~㻞 ㎞の地上稠密気象観測網が構築されるに至った。また、㻞㻜㻝㻟 年 㻣 月から観測開始し た群馬県・埼玉県平野部の地上稠密気象観測網では、ダウンバーストなどの局地的気象変化が特に多く発生 し、突風観測事例は 㻞㻜㻞㻜 年 㻡 月現在で計 㻝㻟 件にも及んでいる。現在のレーダーやアメダスの観測技術では 捉え切れない可能性がある局地的気象変化について、地上稠密気象観測網が捉えた観測結果を報告するこ とは、気象学的にも防災観点でも非常に重要である。㻵㼣㼍㼟㼔㼕㼠㼍㻌 㼑㼠㻌 㼍㼘㻘㻌 㻞㻜㻝㻥 では、群馬県・埼玉県平野部の地 上稠密気象観測網にて顕著であった 㻞㻜㻝㻟 年 㻤 月 㻝㻝 日、㻞㻜㻝㻡 年 㻢 月 㻝㻡 日、㻞㻜㻝㻢 年 㻣 月 㻝㻠 日の 㻲㻝・㻶㻱㻲㻝 クラスのダウンバースト 㻟 事例について、気温と気圧の変化時刻の共通的関係性を報告した㻤㻕。なお、㻞㻜㻝㻢 年 㻣 月 㻝㻠 日事例は、気象庁の竜巻等の突風データベースによるとダウンバーストまたはガストフロントとされているが 㻥㻕、地上稠密気象観測網による放射状の風向観測結果からダウンバーストとして扱っている。また、㻵㼣㼍㼟㼔㼕㼠㼍㻌 㼍㼚㼐㻌 㻷㼛㼎㼍㼥㼍㼟㼔㼕㻘㻌 㻞㻜㻝㻥 では、㻲㻝 クラスの顕著であった 㻞㻜㻝㻡 年 㻢 月 㻝㻡 日事例に着目し、ダウンバースト発生時にお ける風と気温・気圧の変化時刻の関係性、風向・風速の局所的な変化、ダウンバーストの 水平スケールについ て報告した㻝㻜㻕。本稿では、埼玉県本庄市から群馬県伊勢崎市にかけて発生し㻝㻝㻕、同じく 㻶㻱㻲㻝 クラスの顕著であ った 㻞㻜㻝㻢 年 㻣 月 㻝㻠 日事例に着目し、㻞㻜㻝㻡 年 㻢 月 㻝㻡 日事例報告と同様の観点で、ダウンバースト発生時に おける風と気温・気圧の変化時刻の関係性、積乱雲の進行 状況、風向・風速の局所的な変化、ダウンバースト の水平スケールに関する観測結果を報告するほか、㻞㻜㻝㻡 年 㻢 月 㻝㻡 日事例の観測結果とも比較することで、群 馬県・埼玉県平野部での 㻲㻝・㻶㻱㻲㻝 クラスの顕著なダウンバースト 㻞 事例で共通して見られた特性についても報 告する。更に、これらのダウンバーストの特性を理解することは、生命や財産を守るための早期検知・予測の技 術発展に繋げられる可能性があることも報告する㻝㻞㻕。㻌 2.POTEKA 小型気象計 㻼㻻㼀㻱㻷㻭 小型気象計(以降、㻼㻻㼀㻱㻷㻭)の新型モ デルの外観図を図 㻝 に示すが、気象計本体のみで 㻣 つの気象要素㻔気温、気圧、相対湿度、風向、風速、 日射、感雨)が観測可能で、本体から外部雨量計へ の通信ラインを使用することで降水量も観測できるほ か、用途によっては雷、積雪深、水位、㻼㻹㻞㻚㻡 などの 他 の 気 象 要 素 も 追 加 可 能 で あ る 。 更 に 、 気 温 、 気 圧、相対湿度、風速、降水量の要素については気象 庁 の測 器 検 定 を取 得 している。また、本 稿 にて特 に 重 点 を置 き報 告 する風 (風 向 ・風 速 )要 素 は旧 型 で は観 測 できなかったが、この新 型 モデルから超 音 波 センサが搭 載され観 測 可 能となり、風 速の観測 精 度 小 小型型気気象象計計本本体体㻌㻌 㻌㻌 㻌㻌 㻌㻌 㻌㻌 㻌㻌 㻌㻌 㻌㻌 㻌㻌 㻌㻌 気気象象計計全全体体図図㻌㻌 ( (気気温温・・気気圧圧・・湿湿度度・・風風速速及及びび雨雨量量計計はは検検定定付付きき))㻌㻌 図 図 㻝㻝㻌㻌 㻼㻼㻻㻻㼀㼀㻱㻱㻷㻷㻭㻭 小小型型気気象象計計外外観観㻌㻌
は 㻡%以内である。気象庁アメダスの風速観測は地上高 㻝㻜㼙 を標準としているのに対し、㻼㻻㼀㻱㻷㻭 ベースが設 置されるのは決して地表面だけではなく建物の屋上面など様々ではあるが、その超音波センサはベース設置面 から 㻝㻚㻡㼙 の高さに位置している。以上から、設置面の摩擦抵抗により 㻼㻻㼀㻱㻷㻭 の風速観測値はアメダスよりも 半分程度に抑えられる傾向を持つ。サンプリング周波数は 㻡㻜㻴㼦 で観測生データは 㻝 秒毎に記録され、㻝 秒値 は直近 㻟 秒間生データの平均値として作られる。平均風向・風速値は直前 㻝㻜 分間における 㻢㻜㻜 個の 㻝 秒値の 平均値が、最大瞬間風向・風速値は直前 㻝 分間における 㻢㻜 個の 㻝 秒値の中の最大値が、それぞれ観測値と して記録される㻝㻜㻕。㻌 3.群馬県・埼玉県平野部の地上稠密気象観測網 㻞㻜㻞㻜 年 㻡 月現在、㻼㻻㼀㻱㻷㻭 は日本全国ほぼ全て の都道府県の約 㻤㻜㻜 地点に展開されている。特に図 㻞 に示す通り、群馬県・埼玉県平野部には、約 㻝~㻞 ㎞間隔で約 㻝㻡㻜 台の 㻼㻻㼀㻱㻷㻭 が設置されており、南 北約 㻟㻜 ㎞、東西約 㻢㻜㼗㼙 という広域に超高密度な気 象観測網が構築されている。この 㻝㻡㻜 台中では約 㻥㻜 台 が新 型 モデルで風 (風向 ・風 速 )を観 測 している。 この地 上 稠 密 気 象 観 測 網 が存 在 する群 馬 県 ・埼 玉 県エリアは、広大 な平 野 部の周囲を山地が囲み、夏 季になると、その山地で発達した積乱雲が時にダウン バーストやガストフロントを伴いながら、平野部に進行して来ることが多く、気象変化の非常に激しい地域と言え る。地上稠密気象観測網が構築された 㻞㻜㻝㻟 年 㻣 月以降、㻞㻜㻞㻜 年 㻡 月現在までに、実際に竜巻 㻝 件を含むダ ウンバーストなどの突風事例が 㻝㻟 件も観測されており、これらの突風はいずれも気象庁の竜巻等の突風データ ベースにも記録が残されている㻥)。㻌 4.2016 年 7 月 14 日 JEF1 ダウンバースト発生時における風速と気圧・気温の変化時刻の関係性 㻞㻜㻝㻢 年 㻣 月 㻝㻠 日は、気象庁の地上天気図によると、日本列島は日本海に存在した寒冷低気圧と南海上に 存在した梅雨前線に挟まれて、列島のほとんどの地域で大気不安定となっていた 㻝㻟)。群馬県・埼玉県平野部 では、㻝㻟 時頃からその南西に位置する秩父山地で発生し急発達した積乱雲が北北東方向に進むことで天候 が急 変 し、ダウンバースト によると 思 わ れ る 被 害 報 告 が 多 く な さ れ た 。 埼 玉 県 本 庄 市 か ら 群 馬 県 伊 勢崎にかけて発生した被害の中で は、本 庄 市 小 島 周 辺 が特 に被 害 が大きかったが 㻝㻝㻕、その最大被害 地点から東南東に約 㻞 ㎞の地点 に 㻼㻻㼀㻱㻷㻭 が存在し、それが最も 近 い観 測 点 であった。それらの位 置関係を図 㻟‐㻝 に示す。続いて図 㻟‐㻞 には、図 㻟‐㻝 にて(㼍)で示した 最大被害地点最近傍の観測点デ ー タ を 示 す が 、 最 初 に 㻥 分 間 (㻝㻟㻦㻠㻡⇒㻝㻟㻦㻡㻠)で 㻜㻚㻥㼔㻼㼍(㻥㻥㻟㻚㻜 図 図 㻞㻞㻌㻌 群群馬馬県県・・埼埼玉玉県県平平野野部部地地上上稠稠密密気気象象観観測測網網㻌㻌 図 図 㻟㻟‐‐㻝㻝㻌㻌 ダダウウンンババーースストト最最大大被被害害地地点点とと 㻼㻼㻻㻻㼀㼀㻱㻱㻷㻷㻭㻭 観観測測点点のの位位置置関関係係㻌㻌
⇒㻥㻥㻟㻚㻥㼔㻼㼍)の 㻝 回目の気圧上昇 が観 測 された直 後 の 被 害 発 生 推 定 時 刻 前 に 、 㻢 分 間 ( 㻝㻟㻦㻡㻠 ⇒ 㻝㻠㻦㻜㻜)で 㻝㻜㻚㻠㼙㻛㼟(㻞㻚㻤⇒㻝㻟㻚㻞㼙㻛㼟) の 㻝 回目の最大瞬間風速の急上 昇 が観 測 された。それとほぼ同 時 刻 に 、 㻢 分 間 ( 㻝㻟㻦㻡㻠 ⇒ 㻝㻠㻦㻜㻜 ) で 㻣㻚㻥℃(㻟㻝㻚㻣⇒㻞㻟㻚㻤℃)の気 温 急降 下も観測され、この中には 㻝 分間 (㻝㻟:㻡㻢⇒㻝㻟:㻡㻣)で 㻞㻚㻝℃(㻟㻜㻚㻜⇒ 㻞㻣㻚㻥℃)の急降下も含まれていた。 また、被 害 発 生 推 定 時 刻 頃 に、㻝 分 間 ( 㻝㻠㻦㻜㻝 ⇒ 㻝㻠㻦㻜㻞 ) で 㻝㻚㻥㼙㻛㼟 (㻝㻞㻚㻠⇒㻝㻠㻚㻟㼙㻛㼟)の 㻞 回目の最大 瞬間風速の急上昇が観測され、㻝㻠㻦㻜㻝 には風向がそれまでの南南西から西南西へ変化したことも確認された。 それとほぼ同時刻に、一旦 㻜㻚㻡㼔㻼㼍 の気圧降下を経た後の 㻡 分間(㻝㻠㻦㻜㻝⇒㻝㻠㻦㻜㻢)で 㻟㻚㻤㼔㻼㼍(㻥㻥㻟㻚㻠⇒㻥㻥㻣㻚㻞㼔㻼㼍) の 㻞 回目の気圧急上昇が観測され、この中には 㻝 分間(㻝㻠㻦㻜㻠⇒㻝㻠㻦㻜㻡)で 㻝㻚㻞㼔㻼㼍(㻥㻥㻡㻚㻡⇒㻥㻥㻢㻚㻣㼔㻼㼍)の急上昇 も含まれていた。㻌 㻺㼛㼞㼛㼟㼑㻌㼑㼠㻌㼍㼘㻘㻌㻞㻜㻝㻢 によると、ダウンバーストの下降気流による気圧上昇領域は、ダウンバーストの前に通過す るガストフロントにより発生 する広域の気圧上昇領域に比べて局所的であり、その気圧上昇値も大きいという特 徴が報告されている㻝㻠)。また、㻵㼣㼍㼟㼔㼕㼠㼍㻌㼑㼠㻌㼍㼘㻘㻌㻞㻜㻝㻥 では、群馬県・埼玉県平野部での 㻟 事例のダウンバースト発 生時における共通的特徴として、被害発生推定時刻前に気圧上昇と共に 㻝 分間 㻞℃以上の気温急降下が発 生し、被害発 生推定 時刻 頃に 㻝 分間 㻜㻚㻤㼔㻼㼍 以 上の気圧急上 昇が発生 することを報告し 㻤㻕、㻵㼣㼍㼟㼔㼕㼠㼍㻌 㼍㼚㼐㻌 㻷㼛㼎㼍㼥㼍㼟㼔㼕㻘㻌㻞㻜㻝㻥 では、㻞㻜㻝㻡 年 㻢 月 㻝㻡 日に発生した 㻲㻝 ダウンバーストに関して、当該の 㻞㻜㻝㻢 年 㻣 月 㻝㻠 日事 例と同様に被害地点近傍では 㻞 段階の最大瞬間風速の急上昇が観測されたことを報告している㻝㻜㻕。この 㻞㻜㻝㻢 年 㻣 月 㻝㻠 日と 㻞㻜㻝㻡 年 㻢 月 㻝㻡 日のダウンバースト 㻞 事例について、最大被害地点近傍における各気象要素 変化の発生時刻と変化量をまとめたものが表 㻝 である。前時間とは、変化事象が終了してから被害発生推定時 刻頃までのおおよその時間を指すが、両事例共に、①で示した気圧上昇 㻝 回目・最大瞬間風速急上昇 㻝 回 目・気温急降下の変化事象は被害発生推定時刻前に、②で示した最大瞬間風速急上昇 㻞 回目・気圧急上昇 㻞 回目の変化事象は被害発生推定時刻頃に観測される傾向が確認された。特に、①の気圧上昇は約 㻝㻜 分間 で約 㻝㼔㻼㼍 の上昇で、②の気圧急上昇は約 㻡 分間で約 㻠㼔㻼㼍 の急上昇であり、②の気圧上昇時間は①よりも短 く、上昇度合も大きかった。また、㻲㼡㼖㼕㼠㼍㻘㻌 㻝㻥㻤㻝 にはダウンバーストによるアウトフロー端(ガストフロント)の中にダ ウンバースト本体が存在する模式図が示されている。時間スケールや強度の観点で、①はガストフロント通過、 ②はダウンバースト本体の下降気流によるものであることを説明できる観測結果であった。また、㻞㻜㻝㻢 年 㻣 月 㻝㻠 日と 㻞㻜㻝㻡 年 㻢 月 㻝㻡 日の両事例の最大瞬間風速の変化について、被害推定発生時刻を一致させて重ね合わ せたものが図 㻠 となるが、いずれの事例に対してもガストフロント通過とダウンバースト下降気流によると推察でき る 㻞 段階の最大瞬間風速急上昇がグラフ波形においても確認された。㻌 図 図 㻟㻟‐‐㻞㻞㻌㻌 ダダウウンンババーースストトのの最最大大被被害害地地点点最最近近傍傍のの観観測測点点デデーータタ㻌㻌
㻌 㻌 以 上 よ り 、ダ ウンバー スト による アウトフロー先端(ガストフロント)が 通過した後に、ダウンバースト本体 が 通 過 す る と い う特 徴 か ら、 群 馬 県・埼玉県平野部で発生した 㻲㻝・ 㻶㻱㻲㻝 クラスの 㻞 件の顕著なダウン バーストでは、最 大 瞬 間 風 速 と気 圧 ・ 気 温 の 変 化 時 刻 の 関 係 性 に ついては、少なくとも以下 㻞 点の類 似した特性があったと言える。㻌 ・被害発生推定時刻前に、㻝 回目 の 最 大 瞬 間 風 速 の 急 上 昇 が 見 られる。これは 㻝 回目の気圧上昇 の直 後 で、気 温 急 降 下 とほぼ同 時刻であり、ガストフロントの通過 によるものと推察できる。㻌 ・被害発生推定時刻頃に、㻞 回目の最大瞬間風速の急上昇が見られる。これは 㻞 回目の気圧急上昇とほぼ同 時刻であり、ダウンバーストの下降気流によるものと推察できる。㻌 㻌 5.2016 年 7 月 14 日 JEF1 ダウンバーストを引き起こしたと思われる積乱雲の進行状況 3章にて述べた通り、群馬県・埼玉県平野部の地上稠密気象観測網では約 㻝㻡㻜 台の 㻼㻻㼀㻱㻷㻭 で気温、気 圧の観測を、またその内の約 㻥㻜 台で風(風向・風速)を観測している。図 㻡 の(㼍)、(㼎)、(㼏)、(㼐)は、㻞㻜㻝㻢 年 㻣 月 㻝㻠 日の 㻶㻱㻲㻝 ダウンバースト発生時の気温、気圧、平均風向・風速の面的分布変化を時系列に並べたもの である。観測領域の背景色となっているのが気温分布で、気圧分布は実線にて等圧線を示している。図中の⇒ が平均風向・風速を示しており、赤いほど風速が強い。また、図中の 㼄 は図 㻟㻙㻝 と図 㻟㻙㻞 で観測データを示した 最大被害地点であり、それを囲む赤枠(幅約 㻠㻚㻣 ㎞×長さ約 㻝㻝㻚㻥 ㎞)は、気象庁の現地災害調査報告にて被 害領域として報告されたおおよその範囲である㻝㻝㻕。気象庁 㻯 バンドレーダーの強雨エコー域を追跡することで、 ダウンバーストを引き起こしたと思われる積乱雲の進行経路を見積もることができるが、その経路を示したのが図 㻡(㼐)の青い破線矢印である。積乱雲は観測網南西部の外部から進入し、観測網内部を北北東に進行したと推 定される。また、積乱雲は平野部を囲む山間部で発生し平野部に移動して来たと思われるが、地上稠密気象 観測網による低温領域、高圧領域、風向・風速変化領域についても、おおよそ南西部から進入し北北東に進 行するのを確認できたことから、積乱雲を追跡可能であったと言える。なお、同じ群馬県・埼玉県平野部で 㻞㻜㻝㻡 年 㻢 月 㻝㻡 日に発生した 㻲㻝 ダウンバーストにおいても、進入方角や進行方向は異なるものの、地上稠密気象観 測網はダウンバーストを引き起こしたと思われる積乱雲が観測網外部から進入し内部を進行するのを追跡可能 表 表 㻝㻝㻌㻌ダダウウンンババーースストト発発生生時時のの被被害害地地点点近近傍傍観観測測点点ににおおけけるる気気象象変変化化事事象象発発生生時時刻刻ととそそのの変変化化値値㻌㻌 気象変化事象 発生時刻 前時間(分) 変化値 発生時刻 前時間(分) 変化値 ①気圧上昇1回目 13:45⇒13:54 㻙㻝㻝 㻜㻚㻥㼔㻼㼍 15:47⇒15:56 㻙㻥 㻝㻚㻜㼔㻼㼍 ①最大瞬間風速急上昇1回目 13:54⇒14:00 㻙㻡 㻝㻜㻚㻠㼙㻛㼟 15:55⇒15:57 㻙㻤 㻥㻚㻞㼙㻛㼟 ①1分間最大気温急降下 13:56⇒13:57 㻙㻤 2.1℃ 15:57⇒15:58 㻙㻣 3.9℃ ②最大瞬間風速急上昇2回目 14:01⇒14:02 㻙㻟 㻝㻚㻥㼙㻛㼟 15:59⇒16:01 㻙㻠 㻣㻚㻣㼙㻛㼟 ②気圧急上昇2回目 14:01⇒14:06 㻗㻝 㻟㻚㻤㼔㻼㼍 15:59⇒16:03 㻙㻞 㻠㻚㻠㼔㻼㼍 被害発生推定時刻 14:05頃 16:05頃 2016年7月14日JEF1 2015年6月15日F1 図 図 㻠㻠㻌㻌 ダダウウンンババーースストト 㻞㻞 事事例例のの最最大大瞬瞬間間風風速速のの変変化化㻌㻌
であった㻝㻜㻕。㻌 㻌 㻌 6.2016 年 7 月 14 日 JEF1 ダウンバースト発生時における風向・風速の局所的変化 図 㻢(㼍)は、㻝㻠㻦㻝㻜 時点の分布図である図 㻡(㼏)の被害領域周辺のみを切り取り、5章で見積もった青い破線 矢印の積乱雲進行経路を加えたものである。図中に示した①、②、③の 㻼㻻㼀㻱㻷㻭 観測点に関して、①と②は積 乱雲進行経路の東側に、③は西側に位置していた。これらの観測点①、②、③における平均風向・風速及び最 大瞬間風向・風速の観測データをそれぞれ図 㻢 の(㼎)、(㼏)、(㼐)に示す。風向については、最初は①,②,③全 てで,当 日卓越 していた東(南 東~北東 )の風向 成分が示されていた中で、積乱 雲進 行経 路東側の①と②は 㻝㻠㻦㻜㻡 頃に、平均と最大瞬間共に東成分から西(南西~北西)成分への転向が確認され、その西成分が①では 約 㻝㻜 分間、②では約 㻞㻜 分間持続した後に、元の卓越成分であった東に回帰した。一方で、積乱雲進行経路 西側の③では、平均と最大瞬間共に最初から最後までおおよそ東成分が持続されていた。これらの観測データ は、積乱雲進行経路の東側では西よりの風、西側では東よりの風が吹いていたことを示しており、地上における ダウンバーストからの発散風を捉えていた可能性が考えられる。また、風速に関しては、①、②、③全ての観測 点で 㻝㻠:㻝㻜~㻝㻠:㻞㻜 頃を中心に最大瞬間風速で 㻝㻜㼙㻛㼟 以上,平均風速で 㻡㼙㻛㼟 以上の比較的高い風速値が 確認された。また、同じ群馬県・埼玉県平野部で 㻞㻜㻝㻡 年 㻢 月 㻝㻡 日に発生した 㻲㻝 ダウンバーストにおいても、 おおよそ東南東方向に進んだ積乱雲進行経路の北側で南 よりの風、南側で北よりの風が観測され、同様にダ ウンバーストからの発散風を捉えていた可能性が確認されたほか、積乱雲が通過したと思われる時間帯に同様 に風速の上昇も確認されていた㻝㻜㻕。 図 図 㻡㻡㻌㻌 㻞㻞㻜㻜㻝㻝㻢㻢 年年 㻣㻣 月月 㻝㻝㻠㻠 日日 㻶㻶㻱㻱㻲㻲㻝㻝 ダダウウンンババーースストト発発生生時時ににおおけけるる気気温温、、気気圧圧、、平平均均風風向向・・風風速速のの時時間間変変化化㻌㻌 ( (㼍㼍))㻌㻌 㻝㻝㻟㻟::㻡㻡㻜㻜㻌㻌 ((㼎㼎))㻌㻌 㻝㻝㻠㻠㻦㻦㻜㻜㻜㻜((㼄㼄 地地点点推推定定被被害害発発生生時時刻刻のの約約 㻡㻡 分分前前))㻌㻌 ( (㼏㼏))㻌㻌 㻝㻝㻠㻠::㻝㻝㻜㻜((㼄㼄 地地点点推推定定被被害害発発生生時時刻刻のの約約 㻡㻡 分分後後))㻌㻌 ((㼐㼐))㻌㻌 図図 㻡㻡㻙㻙㻠㻠㻌㻌 㻝㻝㻠㻠::㻞㻞㻜㻜㻌㻌
㻌 7.2016 年 7 月 14 日 JEF1 ダウンバーストの水平スケール 図 㻣 は、群馬県・埼玉県平野部の地上稠密気象観測網の南西部を示し、青い破線矢印は5章で見積もった 積乱雲進行経路である。また、㻼㻻㼀㻱㻷㻭 観測点を示す丸印の中の数値は気温を、背景色は気象庁 㻯 バンドレ ーダーの降水強度をそれぞれ指し、被害発生推定時刻に近い 㻝㻠㻦㻜㻢 時点のデータを示している。㻭㻝、㻭㻞、㻭㻟、 㻭㻠 の 㻼㻻㼀㻱㻷㻭 観測点は積乱雲進行経路からおおよそ 㻞~㻟 ㎞以内に存在し、㻭㻞 や 㻭㻟 においては被害も報 告されている㻝㻝㻕。なお、㻭㻟 は4章の図 㻟‐㻞 で観測データを示した観測点そのものである。一方で、㻮㻝、㻮㻞、㻮㻟、 㻮㻠 の 㻼㻻㼀㻱㻷㻭 観測点は積乱雲進行経路からおおよそ 㻡 ㎞ほど離れており、被害報告はなされていない。図 㻣 に示す 㻤 枚のグラフは各観測点の気温と気圧の観測データで、左側 㻠 枚は 㻭㻝~㻭㻠 を、右側 㻠 枚は 㻮㻝~㻮㻠 をそれぞれ示しており、軸スケールは全て同じで共通である。ここで独自基準ではあるが、気温急降下を 㻝 分間 㻞℃以上の気温降下、気圧急上昇を 㻝 分間 㻜㻚㻤㼔㻼㼍 以上の気圧上昇と定義する。積乱雲進行経路から 㻞~㻟 ㎞ 以内の 㻭㻝~㻭㻠 の観測点ではいずれも気温急降下と気圧急上昇が観測されたのに対し、積乱雲進行経路から 㻡 ㎞程度離れた 㻮㻝~㻮㻠 では気温急降下も気圧急上昇も観測されなかった。また、同じ群馬県・埼玉県平野部 で 㻞㻜㻝㻡 年 㻢 月 㻝㻡 日に発生した 㻲㻝 ダウンバーストにおいても、気温急降下と気圧急上昇の出現観測点につい て、積乱雲進行経路からおおよそ 㻡 ㎞を境目に同様の分布結果が確認されている 㻝㻜㻕。以上から少なくとも、群 馬県・埼玉県平野部で発生した 㻲㻝・㻶㻱㻲㻝 クラスの 㻞 件の顕著なダウンバーストでは、以下 㻞 点の類似した特性 があったと言える。㻌 ・積乱雲進行経路のおおよそ 㻡㼗㼙 以内では、気温急降下と気圧急上昇が共に観測された。㻌 ・積乱雲進行経路からおおよそ 㻡㼗㼙 以上離れると、気温急降下も気圧急上昇も観測されない。㻌 ( (㼏㼏))㻌㻌 観観測測点点②②風風向向・・風風速速デデーータタ㻌㻌 㻌㻌 ( (㼎㼎))㻌㻌 観観測測点点①①風風向向・・風風速速デデーータタ㻌㻌 㻌㻌 ( (㼐㼐))㻌㻌 観観測測点点③③風風向向・・風風速速デデーータタ㻌㻌 ③ ③進進行行経経路路西西側側 ②②進進行行経経路路東東側側 ① ①進進行行経経路路東東側側 ( (㼍㼍))㻌㻌 積積乱乱雲雲進進行行経経路路とと各各観観測測点点位位置置関関係係㻌㻌 㻌㻌 図 図 㻢㻢㻌㻌 㻞㻞㻜㻜㻝㻝㻢㻢 年年 㻣㻣 月月 㻝㻝㻠㻠 日日 㻶㻶㻱㻱㻲㻲㻝㻝 ダダウウンンババーースストト発発生生時時のの各各観観測測点点位位置置関関係係((㼍㼍))とと観観測測デデーータタ((bb))、、((㼏㼏))、、((㼐㼐))㻌㻌
㻌 㻌 また、㻞㻜㻝㻢 年 㻣 月 㻝㻠 日の 㻶㻱㻲㻝 ダウンバーストについて、図 㻟 で観測データを示した最大被害地点での被 害発生推定時刻に近い 㻝㻠㻦㻜㻢 時点の気圧観測データを基に、等圧線図を描写したものが図 㻤 である。㼄 で示 すのが最大被害地点となる。㼄 の周囲で気圧傾度が 㻜㻚㻞㻡㼔㻼㼍㻛㼗㼙 以上となる範囲を高圧領域と定義すると、お およそ 㻥㻥㻢㼔㻼㼍 の等圧線範囲が高圧領域となり、半径 㻡 ㎞程度の広がりであった。これは、㻲㼡㼖㼕㼠㼍㻘㻌㻝㻥㻤㻝 によるダ ウンバーストのそのアウトフロー端に至るまでの水平スケール(㻝㻜 ㎞程度)と一致している㻣㻕。更に、図 㻣 にも示し た赤枠(幅約 㻠㻚㻣 ㎞×長さ約 㻝㻝㻚㻥 ㎞)の被害領域㻝㻝㻕や気象庁 㻯 バンドレーダーでの 㻠㻤 ㎜㻛㼔 以上の強雨エコ ー域ともスケールが一致している。また、㻞㻜㻝㻡 年 㻢 月 㻝㻡 日に発生した 㻲㻝 ダウンバーストにおいても、最大被害 地点の周囲で高圧領域を確認すると、おおよそ 㻝㻜㻜㻣㼔㻼㼍 の等圧線範囲が高圧領域となり、半径 㻡 ㎞程度の広 がりであった 㻝㻜㻕。以上より、気温や気圧の観測データからダウンバーストの水平スケールは半径 㻡 ㎞程度である と推定される。㻌 図 図 㻣㻣㻌㻌 㻞㻞㻜㻜㻝㻝㻢㻢 年年 㻣㻣 月月 㻝㻝㻠㻠 日日 㻶㻶㻱㻱㻲㻲㻝㻝 ダダウウンンババーースストト発発生生時時のの積積乱乱雲雲進進行行経経路路ととそそのの周周辺辺のの気気温温・・気気圧圧観観測測デデーータタ㻌㻌 図 図 㻤㻤㻌㻌㻞㻞㻜㻜㻝㻝㻢㻢 年年 㻣㻣 月月 㻝㻝㻠㻠 日日 㻝㻝㻠㻠㻦㻦㻜㻜㻢㻢㻌㻌㻶㻶㻱㻱㻲㻲㻝㻝 ダダウウンンババーースストト発発生生時時のの気気圧圧分分布布図図㻌㻌
8.観測結果のまとめ 群馬県・埼玉県平野部の地上稠密気象観測網により捉えられた 㻞㻜㻝㻢 年 㻣 月 㻝㻠 日の 㻶㻱㻲㻝 ダウンバースト に関して、地上気象要素の時間変化及び空間スケールを解析し、また先に報告した 㻞㻜㻝㻡 年 㻢 月 㻝㻡 日の 㻲㻝 ダウンバーストの観測結果㻝㻜㻕とも比較したところ、少なくとも当該地域の 㻲㻝・㻶㻱㻲㻝 クラスの顕著な 㻞 件のダウンバ ーストに関して、(㻝)、(㻞)、(㻟)、(㻠)の類似した特性があったことが確認された。なお、()内に示す具体値は、本 稿にて解析した 㻞㻜㻝㻢 年 㻣 月 㻝㻠 日事例における観測データである。㻌 㻌 (㻝)ダウンバースト最大被害地点近傍での最大瞬間風速と気圧・気温の変化時刻の関係性㻌 ・被害発生推定時刻前に、ガストフロントの通過によると思われる 㻝 回目の最大瞬間風速の急上昇(㻢 分間で 㻝㻜㻚㻠㼙㻛㼟)が見られ、これは 㻝 回目の気圧上昇(㻥 分間で 㻜㻚㻥㼔㻼㼍)の直後で、気温急降下(㻢 分間で 㻣㻚㻥℃)とほぼ 同時刻であった。㻌 ・被害発生推定時刻頃に、ダウンバーストの下降気流によると思われる 㻞 回目の最大瞬間風速の急上昇(㻝 分間で 㻝㻚㻥㼙㻛㼟)が見られ、これは 㻞 回目の気圧急上昇(㻡 分間で 㻟㻚㻤㼔㻼㼍)とほぼ同時刻であった。㻌 㻌 (㻞)ダウンバーストを引き起こしたと思われる積乱雲の進行状況㻌 ・積乱雲は平野部を囲む山間部で発生し平野部に移動して来たと思われるが、地上稠密気象観測網はその積乱 雲が観測網外部から進入し内部を進行するのを追跡可能であった。㻌 㻌 (㻟)ダウンバースト発生時における風向・風速の局所的変化㻌 ・積乱雲進行経路両側の観測点にて反対方向の風向が確認され、ダウンバーストの発散風が捉えられた可 能性がある。㻌 ・積乱雲が通過したと思われる時間帯に、㻼㻻㼀㻱㻷㻭 センサ観測高さ(㻝㻚㻡㼙)が低く摩擦抵抗により高い風速 値が出にくい条件にも拘らず、最大瞬間風速で 㻝㻜㼙㻛㼟 以上(最大値 㻝㻣㼙㻛㼟),平均風速で 㻡㼙㻛㼟 以上(最 大値 㻤㻚㻠㼙㻛㼟)の比較的高い風速値が確認された。㻌 㻌 (㻠)ダウンバーストの水平スケール㻌 ・積乱雲進行経路のおおよそ 㻡㼗㼙 以内で、㻝 分間 㻞℃以上の気温急降下と 㻝 分間 㻜㻚㻤㼔㻼㼍 以上の気圧急上 昇が共に観測された。㻌 ・積乱雲進行経路からおおよそ 㻡㼗㼙 以上離れると、㻝 分間 㻞℃以上の気温急降下も 㻝 分間 㻜㻚㻤㼔㻼㼍 以上の気圧急 上昇も観測されない。㻌 ・被害発生推定時刻頃には、被害地点を中心におおよそ半径 㻡 ㎞程度の高圧領域㻔㻥㻥㻢㼔㻼㼍 以上㻕が広がり、被害 領域や気象庁 㻯 バンドレーダーの強雨エコー域ともスケールが一致した。㻌 㻌 㻌 ⇒ダウンバーストの水平スケールは半径 㻡 ㎞程度であると推定される。㻌 9.突風予測への可能性㻌 群馬県・埼玉県平野部で発生した 㻲㻝・㻶㻱㻲㻝 クラスの顕著な 㻞 件のダウンバーストでは、8章㻔㻞㻕の通り、ダウン バーストを引き起こすと思われる積乱雲は、地上稠密気象観測網の外部から進入し内部を進行した。また、8章 㻔㻠㻕の通り、積乱雲 進行経 路周辺では気温急降 下と気圧急上昇が共に観測された。以上から、観測網 外周の 最初の気温急降下・気圧急上昇観測点を初期地点㻔始点㻕とし、その後段階的に観測される気温降下・気圧上 昇観測点 を自動追 跡し、その進行先に存在する観測地点に対し、ダウンバーストによる突風 発生可 能性を事 前通知できると考察できる。更に、同じく8章㻔㻠㻕の通り、気温急降下と気圧急上昇は積乱雲進行経路周辺のみ に限られることから、各観測点の気温降下や気圧上昇の度合を識別することで、突風発生可能性が高い領域と
低い領域を識別することもできると考察できる。また、8章(㻝)から気温急降下と気圧急上昇の発生時刻を比較 すると気温急降下の方が早く生じることから、より早く予測情報を伝えるために気温急降下情報を利用 するのが 良いと考察できる。以上の考察した機能が備わった突風予測システムを開発できれば、群馬県・埼玉県平野部 エリアにおけるダウンバーストを予測できる可能性がある㻝㻞)。㻌 㻌 参考文献 1) 気象庁 HP,大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化, https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/extreme/extreme_p.html, (2020.10.6) 2) 気象庁 HP,竜巻等の突風データベース,年別の発生確認数, http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/bosai/tornado/stats/annually.html, (2020.10.6) 3) 河川情報センターHP,レーダ雨量計による降雨観測,http://www.river.or.jp/post_22.html, (2020.10.6) 4) 国土交通省 HP,XRAIN の特徴,https://www.mlit.go.jp/common/001046714.pdf, (2020.10.6) 5) 気象庁 HP,地域気象観測(アメダス), https://www.data.jma.go.jp/add/suishin/cgi-bin/catalogue/make_product_page.cgi?id=Amedas, (2020.10.6) 6) 気象庁 HP,地域気象観測システム(アメダス),http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/amedas/kaisetsu.html, (2020.10.6)
7) Fujita, T. T.: Tornadoes and downbursts in the context of generalized planetary scales. J. Atmos. Sci., 38, pp.1511-1534, 1981
8) Iwashita, H., T. Morita, K. Shibata, and F. Kobayashi.: Downburst observations by a high density ground surface observation network (POTEKA), Journal of Atmospheric Electricity, 38, pp.23-35, 2019
9) 気象庁 HP,竜巻等の突風データベース,http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/bosai/tornado/index.html, (2020.10.6)
10) Iwashita, H., and F. Kobayashi. : Transition of meteorological variables while downburst occurrence by a high density ground surface observation network, Journal of Wind Engineering & Industrial Aerodynamics, 184, pp.153-161, 2019
11) 気象庁HP,熊谷地方気象台・前橋地方気象台・東京管区気象台,現地災害調査報告 平成28年8月17日, http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/bosai/tornado/new/20160714/20160817_kumagaya_maebashi.pdf , (2020.10.6)
12) Iwashita, H., T. Morita, K. Shibata, and F. Kobayashi.: Gust prediction by a high density ground surface observation network (POTEKA), Journal of Atmospheric Electricity, 38, 53-66, 2020
13) 気象庁HP,日々の天気図,2016年7月,http://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/data/hibiten/2016/201607.pdf, (2020.10.6)
14) Norose, K., F. Kobayashi, H. Kure, T. Yada, and H. Iwasaki.: Observation of downburst event in Gunma prefecture on August 11, 2013 using a surface dense observation network, Journal of Atmospheric Electricity, 35, pp.31-41, 2016