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On the meaning of the separation of run-off components

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第33回 水理 講 演会論 文集1989年2月

流出解析における流 出成分の分離の意味に関する研究

On the meaning of the separation of run-off components

名 古 屋 大 学 工 学 部 松 林 宇 一 郎 Ulchlro Matsubayashi 名 古 屋 大 学 工 学 部 高 木 不 折 Fusetsu Takagi

北 陸 電 力 渡 辺 茂 Slgeru Watanabe

It is usually considered that the runoff discharge consist of two components i.e. direct runoff and groundwater runoff. In this paper,these runoff are separated by Kinematic Wave Method and tracer method using ƒÐ18O data observed in Kanedaira test basin.

The results show that ƒÐ18O of precipitation has found only in channel precipitatin runoff and the rest of direct runoff and ground water runoff have ƒÐ18O value of groundwater. This implies that the meanings of runoff models especially physically based ones should be checked,because they usually consider that the direct runoff are originated from precipitation at that time.

Keywords: runoff components,tracer,Kinematic Wave method, test basin

1.ま えが き 山地 流域 か らの流 出 をモデ ル 化 す る際 、普通 その 発生 場 によ って表 面 流 出 ・中間 流 出 ・地下 水流 出 に分 け て 取 り扱 わ れ る。 こ の流 出成 分 に対 す る認 識 は モデ ル を物 理 的な もの と して取 り扱 う上 で の最 も基 本 的 ・基 礎 的 な もの とな って い る。 しか しなが ら、 これ らの成分 を実 際 に分離 す る際 には単 に流 出 波形 を基 礎 と し、 そ こに現 れ だ特 性 、例 えば低 減 曲線 の 折 れ点 な どをも と に、 いわ ば便 宜 的 に分 離 され るの が常 で あ る。 これ は流 量が 多 数 の 山腹 斜 面 と河 道 網 か ら構成 され る複 雑 な流 域 で の積 分値 で あ る こと、 しか も大 部分 の流 出 現 象 が 山腹 斜 面 内 とい う目に見 えな い所 で起 こ って い るた めで あ る、 そ こで本 研究 にお い ては 、流 域 の最 小 単位 と も言 え る小試 験流 域 を対 象 に し、物 理 的 に比較 的 明 らか な現 象 か ら解 析 し、残 りの部 分 を推 論 してゆ くこ とに よ って 、流 出成 分 の分 離 な らび に各成 分 の意 味 を改 め て議 論 した もの で あ る.用 いだ手 法 は、最 も物理 的 に明 らか な現 象 と して河 道 部分 の Kinematic Wave法 に よ る 解 析 、 お よび 降雨 と流量 に含 まれ る酸 素 同位 体18Oの 濃 度 のデ ー タ を用 いだ流 出成 分 分離 で あ る。 2.流 域の 概 要 解 析 の対 象 と しだ兼平 試験 流 域(岐 阜 県恵 那 郡 山岡 町 、庄 内 川水 系 小里 川 左支 川兼 平川)は 、流域 面 積 0.078km2、 主 河道 長 約500m、 河道 勾 配14° で 、最上 流 部 は やや 扇状 で あ るが 、全体 に主河 道 を中心 と しだ 流 域 幅 一定 の 流域 で あ る。(図-1)流 域 の地 質 は、 近 くの防 災 ダ ムの工 事 に伴 う調 査結 果 か ら、 かな り深 層 まで風化 の進 ん だ花崗 岩 で あ る こと がわ か っ て いる。 斜面 の表 層 は上 か ら黒褐 色 の多孔 質 な有 機土 壌 か ら 次 第 に茶色 の粘 性土 へ と変 化 し、 ほぼ1mよ り下 は固 くし まっ たマ サ土 とな って い る。 また地表 ∼ マサ 土 ま で 、層 の厚 さ は斜面 下 部 か ら頂部 にゆ くに従 い薄 くな って い る。 流域 の 植生 は斜 面 崩壊 に よ る裸 地 が一 部 に 存 在 す るほ か は、 ス ギ、 ヒノ キの人 工林 に覆 わ れて い る。 河道 は河床 が 粘性 土 の場 合 は幅40∼50cmの 堀 り 込 まれ だ水 路 を形 成 し、礫 や 砂 の部 分 で は比 較 的平 らな河 床 とな り、幅 約1mの 範 囲 を広 が って流 れ る。 解析 に用 い た水文 デ ー タは、 雨量 と流域 中流 及び 下流 に設 け だパ ー シ ャル フ リュー ムに よる流量(以 下 、 各 々上流 流 量 、基準 流量 と呼 ぶ)で あ る。 ―49―

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図-2洪 水 伝 播 時 間 図-1流 域 図 3.解 析 の 方法 (1)Kinematic Wave法 に よ る斜 面 か らの横流 入の 分離 河 道部 及 び その 近 傍 に降 った降 雨 は その ま ま流 下 し河 道 降雨 と して 流出 す る。 そ こで現 象 的 に比較 的 明 か で計 算 し易 い河道 降 雨 のKinematic Wave法 での 計 算 を試 み た。 河 道 と して、 ここで は側方 流 入 が一 様 と考 え られ る上 流 流量 観 測 点 と基 準流 量 観測 点 の 間の 区 間 を対 象 とす る。 kinematic wave法(河 道 部 の み)は 連 続 式(1)と 運 動 方 程式(2)と を連 立 さ せて 解か れ る. (1) (2) こ こに 、A:流 水 断 面積 、Q:流 量 、k,p:定 数 、r:降 雨、B:水 路幅 、ql:斜 面 か らの横 流 入量 で あ る。k,pは(2)式 か ら導 かれ る洪 水波 の伝 播 時 間tlと その 時 の流 量の 関係(3)式 を上 流 点 か ら基 準点 ま で の 実測 の デ ー タ図-2に 一 致 させ る よ うに求 め た。 (3) こ こにLは 上流 点 か ら基 準点 まで の距 離(230m)で あ る。 実 際 の洪 水 時 には 上流 点 と下 流 点の ピー クの 見 か けの 遅 れ は、 その 間 での横 流 入 に よって 影響 を受 け るた め 、 一般 に 小 さ くな る。 図 中の デ ー タ は人工 的 に擾 乱 を 起 こ して 、伝播 時 間 を実測 しだ もの で あ る、得 られ た値 は、k=1.18,p=0.606で あ る。 水路 幅Bの 値 も本 来時 間 的場 所 的 にば らつ くが 、 こ こで は一定 と仮 定 した 。 この河 幅Bは 河 道 降雨 の量 を 決 め るの で 重要 で あ るが 、一 方 で遅 れ にはk、pが 関 係 す るため 、Bを 大 き く取 りす ぎ る と流 出 の初 期 に大 きな ピー ク が計 算 さ れ不 合理 な結果 とな る。 こ こで用 い だ値 は実 際 の河 道 を念 頭 に お きなが らこの様 な条 件 も 考慮 して 求 め られ て い る。初 期条 件 は側方 流 入 が上 流 点か ら基 準 点 の間 で一 定 と考 え初 期流 量 を直 線 的 に 内 挿 し、 これ か らAの 値 を求 め た.境 界 条件 は 上流 点 で の実 測流 量 を与 え た。 側方 流 入 量ql(t)は 場 所 的 に一 様 と仮定 し、下流 の基準 点 で 計算 流 量 と実測 流量 が 一致 す るよ うに繰 り返 しによ り逆 推定 した。 (2)δ18Oに よる成 分分 離 表 面 流 出 、 中間流 出、 地下 水 流出 の 各成 分 が質 的 に そ れぞ れ異 な った一定 の 値 を持 つ とい う際 だ った特 徴

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が あ る場 合 に は、流 出水 の持 つ 性質 を トレー サ ー と して その濃 度 に よ り流 出流 量 を各成 分 に分 離 す る ことが 出 来 る。 この トレー サー と しては 、流 出 の途 中 で化 学 的変 化 を受 けだ り地 中 に固定 され た り しな い もの が望 ま しい 。今 回用 いた 自然 水中 に含 まれ る酸 素 の 同位 体18Oは そ の影 響 が ほ とん ど無 い ことが 明 らか にさ れて お り、流 出 成分 の 分 離 には理 想 的 な トレー サー で あ る。18Oの 濃 度 は通 常 次式 で 定義 され δ18Oと 書 か れ る。 (4) こ こに 、SMOWは 平 均標 準海 水 の値 で あ るこ と を示 す 。 一 般 に トレーサ ー を用 いた流 出 成分 の 分離 は、雨の成分を持つ直接流出と地下水の成分 をもつ地下水流出 を対 象 に して 、流 量 の連 続式(5)式 と トレーサ ー の保 存式(6)と か ら(7)式 の よ うに計算 され る。 (5) (6) (7) ここ に、Qは 流量 を、Cは 濃 度 を表 し、添 え字S、G、Tは それ ぞ れ直 接流 出 、地 下水 流 出 、及び そ の合 計 で あ る こと を示 して い る。CGを 低水 時 の濃 度 に よって 、CSを 降 雨 の濃 度 に よ って 与 え、QTとCTを 実 測 し てQSとQGを 求 め るわ け で あ る。 とこ ろで この 方法 はCsとCGが 出 水 中一 定 で あ る こと が前提 とな っ て いる。 この うちCGに つ いて は出水 前 後 の低 水状 態 での値 が一致 す る ことか ら出水 中 も一 定値 を もつ もの と仮 定 した。CSは 降雨 の 濃度 で あ り、水 蒸 気 が凝結 す る とき の気 象条 件 に依 存 す る。 これ につ い て は、実 測 デ ー タを調 べ る と時間 変化 が み られ(7)式 が 用 い られ な い場合 が出 て き た。 そ こで 、本 研 究 では 降雨 の 時 間遅 れ が考 慮 で きる よ うに改 良 を行 った 。流 出 の 遅 れ系 と して は い ろい ろ な ものが 考 え られ るが、 こ こでは 、QS(t),QG(t)を 最 も簡 単 な線形 応 答 モ デル(8)、(9)式 で表 し(5)、(6)式 に代わ る もの と して(10)、(11)式 を考 え た。 (8) (9) (10) (11) こ こ に 、Ks(τ)、KG(τ)は そ れ ぞ れCSとGを 持 っ た 流 出 成 分 に 対 す る 応 答 関 数 で あ る 。(10)、(11)式 よ りQGの 項 を 消 去 す る と 次 式 が 得 られ る 。 (12) この式 は、KS(τ)を 未 知 関数 とす る積 分方 程 式 で あ り、単 位 図法 と同様 の手 法 で決 定 す る ことが で き る。 そ して、KS(τ)が 求 ま ると(8)式 に よ りQS(t)が 計 算 で き、流 出 成分 が分 離 で き る。 また、 同 時 に、分 離 され たQGよ り(9)式 か らKGも 同 様 に して求 め る ことが で き る。 こ こで(8)、(9)式 の表現 には物 理 的根 拠 を 持 たせ ず、 特 に地 下水 流 出成 分 に対 して も降 雨 に対 す る応 答 と考 え るな ど、単 な る数 学的 表 現 と して用 い た。 この 点 に関 して は第4節 で考 察 す る。 さて 、 この δ18Oを 用 いた成 分 分離 にお いて も流出 の 機構 が 明 瞭な 部分 に つ いて は(8)、(9)式 の よ うな black boxで は な くそ の構 造 を入 れ る方 が 望 ま しい。そ こで 、降 雨 の濃度 を持 つ成 分 に焦点 を当て ・河 道 で の遅 れ を考 慮 して、(5)式 のQSを(13)式 に よっ て表 しだ。 (13) こ こにLc,Lsは 河 道及 び 斜面 の 長 さ であ り、 τC(x)はxの 地 点 か ら下流 端 までの遅 れ時 間、 τS(s)は 斜 面 上sの 地 点 か ら斜 面 下端 まで の遅 れ 時間 で あ り、f(s)は 斜 面上 各点 に降 っ た雨の 流 出率 で あ る。(13) 式 を用 いる と地 下水 流 出成 分 を除 いた(12)式 に対 す る式 は次式 で表 され る。 (14) (15) この式 で、 到達 時 間 τC(x)は 河 道 での 流 れが 到 達 時間 内 で定 常 とす ると、 次式 で表 され る。 ― 51―

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(16) こ こで各 点 で の流速 を評 価 す るた めの 流 量の 分 布 を、 下 流端 流量 をQoと してQ(x)=Qo・(x/Lc) と仮 定 し、(2)式 とQ=A・vの 関係 を用 い る こ とに よ って τc(x)は 次 式 で表 され る。 (17) この τc(x)を 用 い る と(14)式 の左 辺 第1項 が計 算 で き、 第2項 の性 質 を検 討 す る ことが 出来 る。 4.解 析 結 果 の考 察 及び 流 出 場 につ い ての 推論 こ こで は1986年9月17-18日 の 出水 を例 と して取 り上げ る。 この 出水 は 総 雨量34mmの 比較 的 小 さな 出 水 で あ るが 、3度 にわた る 降雨 の δ18Oの 濃 度 が変化 した例 で あ る。図-3は そ の ハ イ ドログ ラ フ と降 雨 お よび そ れ ぞ れの δ18Oを 示 しだ もの であ る。 (1)Kinematic Wave法 に よ る成 分 分離 結 果 2.で 仮 定 したBの 値 を 用 い る と、 上 流 点 と基 準点 の 問 で の河 道 降雨 は 7。8m3であ り、同 区 間の 降雨 に よ る 流 出量 の26%に 当だ る。 まだ、 計算 過 程 で の波 形 の観 察 か ら遅 れ は短 く、 各 ピー クの立 ち上 が り部 を構 成 して い る こ とが分 か っ た。 横 流 入量 は、河 道 長 を掛 けて流 量 で 表示 す る と図-4の よ うに分離 さ れ る。 この 横流 入量 は2つ の成 分 すな わ ち基 底 流 出 とそ の上 に重 な っだ、 明 らか に降 雨 に応答 して い るとみ られ る成 分 か ら成 っ て い るこ とが分 か る.後 者 の 時間変 化 は非常 に早 くこれ を見 る限 り従 来 の流 出成 分 の分 類 で言 えば 表面 流 出 な い しは早 い中間 流 出 に相 当 す る と考 え るの が 自然 で あ ろ う。 図-3観 測 デ ー タ(1986年9月17-18日) (2)δ18Oに よ る成 分分 離 図-5は(8)∼(12)式 に よ る分 離 の結 果 と して求 まっ たKs(τ)とKG(τ)を 示 したもの で あ る。 まだ 、 このKsを 用 いてQsを 算 定 しQτ か ら分 離 しだQGが 図-3に 一点 鎖 線 で示 されて い る。 これ らか ら、降 雨の 濃 度 を持 つ 成分 と地 下水 の濃 度 を持つ 成 分 を比 較 す る と、最 も注 目す べ き点 と して後 者 が非 常 に大 き いこ と が 挙 げ られ る。 まだKGとKsを 比 べ て 、そ の時 間 遅 れが 意外 に小 さ くKsと の 差 が10分 しか な い こと も特 徴 で あ る。 降 雨 の濃 度 を持 つ 成分 につ い ては 、 その総 量 は13m3で あ り、 基 底流 出以 上 の流 出量83m3の16%と な って い る。 この流 出 で は9/17(13:00-22:00)の 間 に31mmの 降 雨 が あ ったか ら、河 道長 を500mと す る とQsが 全て 河道 降雨 で あ っ た と して も河 幅 は0.8mで あ り、 この13m3は 少 しも大 きい値 で はな い.こ れ は降雨 の濃 度 を持 った 流 出分 が全 て河道 降 雨 に よ るもの で あ ること を意 味 して い る。 この河 道 降雨 の流 出 に関 し、図-6は(14)式 を用 いた解 析 に お け る同式 の 各項 の 値 を示 した もの で あ る。 こ こで河 幅Bは0.4mを 用 いて い る、 これ は、 B=1mと す る とB・Rの 項 がQT・(CT-CG)よ り大 き くな る とい う不都 合 が生 じるか らであ る。 図 中点線 は (14)式 第2項 で あ るが 、 降雨 の濃 度 を 持 った流 出 成 分 は全 て河 道 降雨 で あ っ たか ら、 この項 もも はや斜 面 流

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出 で はな く河 道 降雨 の 一部 と考 えな け れば な らな い。 こ の項 は 、B・Rよ り30分 ∼1時 間遅 れ て生 じて お り、 しか も その 遅 れ は流 量 が 多 いほ ど短 い 。 これ らか ら、 この 部分 は 、河 道 近 傍 に於 て す ぐに流 出 しな いで と ど まっ てい る成分 と考 え られ る 。 この点 はKW法 で は考 え られて い なか った 。 この様 に δ18Oの 情 報 を 用 い ると 、河 道流 につ いて もよ り詳 しい検 討 が可 能 と な る。 つ ぎ に、CGの 濃 度 を持 つ流 出成 分 を見 て み る と、 これ はKW法 に よる横 流入 量 に ほぼ 対 応 してお り、同 一 の成 分 と考 え られ る。 しか しな が ら、 この こと は流 出現 象 の解釈 を非 常 に 難 し くす る。 す な わち 、KW法 での 議論 で は そ の流 出 の速 さ か ら横流 入 量 は表 面 流出 も し くは早 い 中 間流 出 であ る と推 論 した が 、 δ18Oの 解 析 は、 そ れに対 応 す る成 分 が地 下 水 の濃 度 を持 つ 流出 であ る と述 べ てい るか ら で あ る。 本流 域 で の この結 果 は 、従 来 の流 出 モデ ル で は説 明 で きな い も ので あ る。 すな わ ち 、 こ れ までの流 出 モデル では 、短 期 流 出は 基底 流 出 を 除 けば 「そ の 出水 時 に降 った雨 」 が流 出 して きだも の と考 え て きた。black boxモ デ ル で あ る単位 図 法 で さえ 、基 底 長 にわ た る積 分 値 が1で あ る とい う条 件 が つけ られ 、実 測 流 量 との 一 致 は有効 降 雨 を考 え るこ とに よ っ て 処 理 され て い る。物 理 的 な モデル で は な お さ らで あ る。 それ に た い し、 こ こで得 られ た 結 果 は、 降 雨 と斜 面 か らの流 出水 と は同一 で はな くた とえ降 雨 に対 応 して流 出 が生 じだ と して も 、も は やそ れ は 「応答 」 と して 現 れ た と しか言 え な い。極 論 す れば 、1の 降 雨 が あ って 地下 水 帯 を刺 激 して2の 流 出 が地 下水 帯 か ら流出 して きて も一 向 に構 わな いわ け で あ る。 この 刺激 の 力 学的 メ カ ニズ ム は今 後明 らか に して 行 かな け れば な らな いが、 こ こで は次 に流 出 場 と して どの 範 囲 の地 下水 帯 (CGの 濃度 を持 っ た水 の母 体)がQGを 生 み 出 して い るか を検 討 す る。 図-4 KW法 に よ る 成 分 分 離 図-5 KG(τ), Ks(τ) まず1回 の 出水 で 地下 水 が どれ だ け流 出 す るか を見 るた め9/17(9:00)か ら9/18(6:00)の21時 間 に つ いて各 成 分 を計 算 した もの を表-1の ① に示 す 。 この 中 で()の つ いだ値 は積 分 した時 間(21時 間)に 依 存 す る。 ― 53―

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この 内、 地 下水 の成 分 で あ る第2・3項の和298 m3か ら単 位 長 さ 当 り片側 斜 面 か らの流 入 総量 を有効 間 隙 率(γ=0.2)に よ り見 か けの 貯留 量 と して表 した もの は約1.5m2と な る。即 ち1 度 の 出水 で ほ ぼ この 範囲 の地 下 水 が流 出 す る こ とに な る。 これ は 実 際に生 じて も不 合 理 な 値 で はな い 。 次 に、移 動 速度 を見積 る ため ピ ー ク付 近(9/17、17:15)に お け る流出 量 の各 成 分 を表-1の ② に 、河 道単 位 長 さ 当 り片側 斜 面 の みか けの貯 留 水移 動量 を③ に 、更 に地 下 水帯 水 深 を2mと 仮 定 して求 ま る流速 を④ に 示 す 。地 下 水 帯の 透 水係 数 は斜 面 の マサ 層 で 10-5m/secの オー ダー の 値 であ り、河道 近 傍 で あ るこ とか らも う少 し大 きい と考 えれ ば この 10-5m/secの 浸 透速 度 は説 明で き無 くは な い。 まだ 、2.でKG(τ)を 降 雨 の応答 と置 い て も意 味の あ る値 が 得 られ た の は、 この 成分 が 地 下水 流 出 で はな く直 接 流 出 に対 応 して いた だめ と考 え られ る。 図-6河 道 降 雨 の 分 離 表-1地 下 水流 出の 可 能 性 5.結 論 本 研究 は、 流域 面 積 が0.078km2 と非 常 に小 さ く、 しか も、 降雨 に よ る直接 流 出 が降 雨 の3%と い う非 常 に浸透 性 の 良 い風 化花崗 岩地 帯 の 山地小 流 域 に お いて行 った もの で あ る。 この 点 を前 提 を と して本 研究 の主 な結 論 を ま とめ る と以 下 の よ うで あ る。 ① δ18O解 析か ら、短 期 流 出 にお い て も降雨 そ の もの が流 出 して くるの は河道 降 雨成 分の み で あ り、 いわ ゆ る直接 流 出 として の応 答特 性 を持 つ成 分 も、 実 際 には 地 下水 の 形 で現 れて くる こ とが分 か っだ。 本流 域 で の この結 果 は、従 来 考 え られ て きだ流 出の 物理 過 程 で は説 明 で きな い場 合 もあ る こ とを示唆 して い る。 ② 河道 降 雨 の流 出 に占め る割 合 は小 さ く直接 流 出 の うち16%で あ る。 この流 出機 構 は比 較 的明 か で あるが 、 そ れ で も δ18O解 析 か ら推 論 され るよ う に、水 路 外 での 滞留 等 の まだ不 明な 現象 も存 在 す る。 ③ 本研 究 の 主 な議 論 は トレーサ ー δ18Oを 用 いた もの で あ る。 この様 に トレーサ ー は流出 水 の持 つ情 報 を 増 し、従 来 は認識 し得 なか った現 象 を 明 らか にす る糸 口 を与 えて くれ る点 で 、流 出現 象 の解 明 に非 常 に有用 で あ るこ とが 分か った 。 なお 、 δ18O濃 度 の測 定 に は名 古屋 大 学水 圏 科 学研 究 所 の加 藤 喜久 雄 助教 授 に多 大の 御助 力 を頂 いた。 こ こ に深 く謝 意 を表 し ます。 [参 考文 献] 1) 渡辺 ・高木 ・松 林: 山地 小流 域 に お け る斜 面 流 出 と河 道流 出 、42回 年 講 2) 日 野 ・長谷 部:地 球 化学 的 データ(δ18O)と フィルター分 離AR法 に よる流 出成 分分 離 につ い て、28回 水講

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