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[報告] 第29回歴史地震研究会参加記

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Academic year: 2021

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(1)歴史地震 第 28 号(2013) 129-130 頁. [報告] 第 29 回歴史地震研究会参加記 筑波大学 生命環境系 *. 千葉 崇. Participation Report in 29st General Meeting Takashi CHIBA Faculty of Life and Environmental Sciences, University of Tsukuba 1-1-1 Tennodai, Tsukuba, Ibaraki, 305-8577 Japan §1. はじめに 日中の最高気温が 30 度を超える残暑の中,2012 年 9 月 14∼16 日にかけて,第 29 回歴史地震研究会 が神奈川県の横浜市開港記念会館(口頭発表・シン ポジウム会場)と横浜都市発展記念館(ポスター発表 会場)において開催された.今回,著者は初めての 参加ながら都合により 9 月 14 日のみの参加となった が,当日は会員,一般,メディアを含め,立ち見の方 が見受けられるほ どの参加者数があった.これは 2011 年 3 月 11 日に起こった東北地方太平洋沖地震 から 1 年半が経過してその知見が多く得られてきたこ と,近年警戒されている首都直下地震や東海-東南 海地震に対する関心の高まりが背景の一つとしてあ るように思われ,歴史地震研究への興味・関心がより 高まっていることが窺われた.. 理されるまでの過程が,当時の生々しい写真とともに 紹介された.災害や防災について考察された研究が 多い中,災害対応の観点には鮮烈な印象を持った. 防災及び,災害対応への意識を高める一つの手 段として,災害の実態について当時の記録を詳細に 振り返ることが挙げられる.地震の科学的な側面だけ でなく,社会が経験した出来事としての具体的な実態 を,風化させず後世に伝えていくことが重要であると, 改めて考えさせられた.. §2. 歴史地震研究会 9 月 14 日 9 月 14 日は「津波堆積物」,「ポスター発表」,「関 東の地震」がセッションとして設定されていた. まず,津波堆積物セッションは,津波の痕跡として 地層に残された堆積物を地質学的に読み解くことか ら,古津波イベントを認定する研究の発表を聞くこと ができた.このセッションでは,津波堆積物もしくは津 波イベントそのものの認定や,津波イベントの年代決 定が難しい印象を受け,津波堆積物研究は今後さら に発展していくべき分野であると,改めて考えさせら れた. 昼休みを挟み会場を移して行われたポスター発表 では,幅広い分野の歴史地震研究について,歓談を 交えながら活発に議論が行われた. 午後から行われた関東の地震セッションでは,地 球物理学的手法による地震の解析や津波の解析, 古文書や石碑などの歴史記録,大正関東地震による 犠牲者の遺体処理の過程といった,関東地震に関す る様々な発表を聞くことができた.中でも「関東大震 災における犠牲者のゆくえ」という発表は特に印象に 残るものだった.地震の発生から遺体が回収され,処 *. 〒305-8577 茨城県つくば市天王台 1-1-1 電子メール: [email protected] - 129 -. 口頭発表会場. 活発な議論が行われたポスター会場.

(2) §3. 地形・地質学の立場からの感想 地形・地質学では,古地震イベントの年代決定の 際,歴史記録から明らかにされている地震との対応 関係を求めることが多い.その一方で,照合する地震 記録が,史料からどういう過程を得て解釈され認定さ れてきたのかという部分には焦点が当てられないこと が多い.今回歴史地震研究会に参加して,歴史記録 の発掘から解釈までの過程を垣間見ることもでき,大 変興味深く発表を聞くことができた. さらに発表を聞くことを通して,歴史地震研究には 理学的な手法を用いたものから文学的な手法を用い たものまで大変様々な研究があり,一度聞くだけでは 解釈が難しいと感じるものもある一方で,研究の過程 や扱う対象については類似点も多くあると感じた.例 えば,地質記録,歴史記録はどちらも何かしら不完全 な部分が含まれている点である.地形や地層には必 ずしも起こった出来事の全てが保存されているわけ ではなく,人が残した記録にしても,出来事全てが網 羅されているわけではない.さらに古い記録ほど情報 の風化が著しい点も共通している.そうした不完全な 部分や断片を,歴史学であれば,別な史料を探して 補い,地質学であれば別な試料や指標で補い,一つ 一つの記録を地道に分析して積み重ね,ある道筋を. たてて解釈していくことで古地震像に迫るという意味 では,地質学も歴史学も近いことを行っていると感じ られた.またその地道な作業無くして,精度の高い成 果を得ることができないことも同様であると思われた. 過去に起こった地震及び災害を理解し,今後の防 災に活かすためには,測地記録,地質記録,歴史記 録など,異なる分野の情報を互いに持ち寄り議論す ることが重要であるが,実際に議論する機会はそう多 くないと思われる.その点について,多様な分野の研 究者が集う歴史地震研究会は,他分野間の議論が 可能な大変貴重な会であると今回強く感じた.また, 専門家だけでなく一般の参加者も無理なく参加でき, 互いに語り合うことができる貴重な場であるとも感じら れた. §4. おわりに 最後になりますが,今回歴史地震研究会での発 表・議論をさせていただく機会を与えて頂いたこと,ま た参加報告を書く機会を与え頂いたこと,御礼申し上 げます.大変勉強になりました.そして,会場の準備, 運営に携われた皆様に,ここに記して,感謝申し上げ ます.. - 130 -.

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