1 -特別支援学校(知的障害) 高等部第2学年 社会科学習指導案 1 単元名 「わたしたちの消費生活」 2 指導観 ○ 対象学級は、男子5名、女子4名の計9名で構成されている。軽度の知的障害があ り、簡単な読み書きや計算はできるが、抽象的な思考や事態の変化への対応に苦手さ を持っている。また、自分が考えていることを上手く表現できなかったり、集中力が 続かなかったり、緊張して萎縮してしまったりする場面も見られるが、何事にも素直 な姿勢で一生懸命に取り組んでいる。 消費生活についての実態調査を行った結果、かかってきてすぐに切れた知らない人 か ら の 電 話 に 対 し て 「か け 直 す 」と 回 答 し た り 、 チ ェ ー ンメ ー ル に 対し て 「多 くの 人 に 送 信 す る 」と 回答 し た り す る な ど 、 携 帯電 話 の 利 用 に 関 わ る トラ ブ ル の 防 ぎ 方に 課 題 が 見 ら れ る 。 ま た 、 キャ ッ チ セ ー ル ス を 想 定し た 質 問 に 対 し て 「も う 少 し 話 を聞 い て み て 決 め る 」と回 答 す る な ど 、 悪 徳 商 法へ の 対 処 の 仕 方 に つ いて も 課 題 が 見 られ る 。 その他に、クーリングオフ、消費者金融、クレジットカードなどの消費生活に関連が 深い用語について、「聞いたことがない」または「知らない」と多数の生徒が回答するな ど、用語の理解が十分でないことも課題として挙げられる。 ○ 本単元は、消費生活上の金銭トラブルを防ぐスキルを高めること、すなわち、消費 生活を送る際に必要な知識、技能、判断力を高めることをねらいとしている。 私たちの消費生活は、いろいろな契約が取り交わされることで成り立っている部分 が多いが、現代社会においては、この契約をめぐって数多くの金銭トラブルが起きて いる。知的障害者は、コミュニケーションを図ることが苦手だったり、消費生活の経 験や情報が不足しがちだったりするため、知的障害者をターゲットにした犯罪が増加 している。このような社会的背景から、消費生活上の金銭トラブルにはどのようなも のがあるか、消費者を守る制度や機関にはどのようなものがあるかなどの知識を高め る必要があると考える。また、消費生活上の金銭トラブルに巻き込まれないためには、 どのような行動をとればよいのかなどの技能を高める必要があると考える。そして、 様々な場面に応じて適切な行動をとることができる判断力を高める必要があると考え る。 ライフスキルの中の、消費生活の金銭トラブルを防ぐスキルを身に付けることは、 将来の自立や社会参加を目指す生徒にとって不可欠で意義あることと考える。 ○ 指導に当たっては、生徒一人一人の実態に合わせることができ、様々な事態を想定 した具体的な場面設定が可能で、模擬体験を通して成功経験を積み重ねることができ るシミュレーション活動を、学習活動の中に取り入れる。シミュレーション活動とし て、消費者トラブル危険度チェックシートを用いた演習や実物を使った演習、ロール プレイングによる演習、ボードゲームによる演習などを設定し、以下のとおり、段階 ごとに重点の置き方を変えながら進めていく。最初の「気付く段階」では、消費生活に 関する基礎的な知識が身に付くように、ビデオ視聴を通した演習やチェックシートを 用 い た 演 習 、 視 聴 覚 機器 を 活 用 し た 記 述 式 確認 ク イ ズ な ど を 行 う 。 次の 「試 行す る 段 階 」で は 、 ど のよ う な 対 処 の 仕 方 を す れば よ い の か を 、 生 徒 が具 体 的 に と ら える こ と ができるように、まず実物(携帯電話)を使った演習を行い、迷惑電話や迷惑メール などに対処する技能を高める。その後、様々な場面設定が可能なロールプレイングに よる演習を行い、キャッチセールスなどの悪徳商法に対処する技能を高める。また、 記述式確認クイズを継続して行う。最後の「自分で判断して行動する段階」では、状況 を判断しながら自分自身で考えて言葉や動きで表す、ボードゲームによる演習を行い、 悪徳商法などに臨機応変に対処する判断力を高める。また、ボードゲームと関連付け た三択式確認クイズを行い、知識の定着を図る。 このような段階的なシミュレーション活動を行うことで、消費生活上の金銭トラブ ルを防ぐスキルが高まっていくと考える。 3 単元の目標 ○ 世の中には様々な消費生活上の金銭トラブルがあることや、自分の消費者トラブル の危険度に気付き理解することができる。(知識) ○ 消費生活上の金銭トラブルの防ぎ方や対処の仕方を試したり、演じたりすることが できる。(技能) ○ 消費生活上の金銭トラブルの防ぎ方や対処の仕方について、状況に応じて自分自身
2 -で判断して行動に移すことができる。(判断力) 4 指導計画(全8時間) 第一次 消費生活上の金銭トラブルに気付く 2時間 (1) 消費者トラブルに関するビデオ視聴を通した演習や、実際の事例の説明な どを通して、世の中の消費者トラブルに気付く。 1時間 (2) 危険度チェックシートや記述式確認クイズを通して、自分の消費者トラブ ル危険度を把握したり、消費生活上の金銭トラブルにどのようなものがある か を 知 っ た り す る 。 1時間 第二次 消費生活上の金銭トラブルの防ぎ方や対処の仕方を試行する 3時間 (1) 携帯電話を使用した迷惑電話・メールを防ぐ演習や記述式確認クイズを通 して、消費生活上の金銭トラブルを防ぐ技能や知識を高める。 1時間 (2) ロールプレイングによる悪徳商法の対処法の演習や記述式確認クイズを通 して、消費生活上の金銭トラブルを防ぐ技能や知識を高める。 2時間 第三次 消費生活上の金銭トラブルの防ぎ方や対処の仕方について、自分自身で考え 判断して行動に移す 3時間 (1) 悪徳商法対策ボードゲームによる演習や三択式確認クイズを通して、消費 生活上の金銭トラブルに関する判断力や技能、知識を高める。 3時間 ①悪徳商法対策ボードゲームによる演習(クイズカードとアクションカー ドのマス目が少ない)や三択式確認クイズを通して、消費生活上の金銭ト ラブル全般についての判断力や技能、知識を高める。 (本時) ②悪徳商法対策ボードゲームによる演習(クイズカードとアクションカー ドのマス目が約半数)や三択式確認クイズを通して、消費生活上の金銭ト ラブル全般についての判断力や技能、知識を高める。 ③悪徳商法対策ボードゲームによる演習(クイズカードとアクションカー ドのマス目が多い)やロールプレイングを通して、消費生活上の金銭トラ ブル全般についての判断力や技能、知識を高める。 5 本時の流れ 前時は、ロールプレイングによるかたり商法などの悪徳商法の対処法の演習とクーリ ングオフ制度の説明を行ったが、本時は、これまでに学習した内容を応用してマス目の 設問に言葉や身振りで答える、悪徳商法対策ボードゲームによる演習を行う。この演習 を通して、消費生活上の金銭トラブルに関する知識や技能、判断力を総合的に高めるこ とを目標とする。事前にルール説明を十分に行い、生徒が混乱することなく楽しく学習 できるように留意する。また、授業の後半部分で、消費者トラブルで困ったときには、 近くの消費生活センターに相談するなど、社会的支援機関の利用法について触れるよう にする。 授業全般を通して、教師による一方的な講義とならないように、大事なポイントとな る部分については、学習プリントに記述させるようにする。また、学習プリントに写真 や図を多く用いたり、プロジェクターとプレゼンテーションソフトを活用してスクリー ンに映したりして、生徒が言葉だけでなく目で見て理解できるように心掛ける。 6 本時のねらい ○ 悪徳 商 法対 策 ボー ド ゲー ム の演 習 で、 悪 徳商 法 クイズカードまた は悪 徳商法 アクションカード の問題に解答することができる。 ○ 社会的支援機関である消費生活センターについて理解を深める。 7 準備物 ①学習プリント ②プロジェクター ③パソコン ④スクリーン ⑤確認クイズプリント ⑥悪徳商法対策ボードゲーム 8 学習展開 学習内容・活動 指導上の留意点 評価の観点 準備 導 1 始業のあいさつをする。 ・ きちんとした態度であいさ ・ 忘れ 物 がな 入 つさせる。 かったか。
3 -( 2 前時までの学習内容を振 ・ 前時までに学習したことを ・ 三択 式 確認 ①② 8 り返る三 択式確認クイズを 思 い起こさせながら、三択式 ク イズ に 記述 ③④ 分) 行う。 確認クイズに記述させる。 できたか。 ⑤ 3 本時の学習を知る。 ・ 本時の学習内容について、 (悪徳商法 対策ボードゲーム 簡潔にわかりやすく伝える。 ・消費生活センター) 4 悪徳商 法対策ボードゲー ・ ボードゲームのルール説明 ・ 集中 し た状 ①② ムのルール説明を聞く。 の 際には、プレゼンテーショ 態 でル ー ル説 ③④ ンソフトを活用しスクリーン 明を聞くこと ⑥ 5 悪徳商 法対策ボードゲー に 図示して順序立てて説明す ができたか。 ムの演習を行う。 るようにする。 ・ グル ー プ内 《3人1組×3》 ・ ゲーム前のルール説明は必 で 協力 し て、 要 最小限にとどめ、ゲーム中 ボ ード ゲ ーム の 生徒の様子を観察しながら の 演習 を 行う B A C 随時補足説明していく。 こ とが で きた ・ 分からないところは、自分 か。 (9人) か ら積極的に質問するように ・ 分か ら ない 伝える。 と きや 困 った ・ ゲームの点数を競うことよ と きに 、 自分 ※1人欠席者が出た場合は り も、ゲームを通して消費生 から質問や確 活 上の金銭トラブルを防ぐス 認 をす る こと 展 B A C キ ルを高めることに重点を置 ができたか。 く。 ・ 消費 生 活上 (8人) ・ 悪徳商法クイズカードと悪徳商 の 金銭 ト ラブ 法 アクションカードを ひ く マ ス 目 に ル を防 ぐ ため 開 止 まった時は、設問を声に出 の方策(解答) ※2人欠席者が出た場合は し て読ませることで、他の生 を 考え る こと ( 徒と設問の共有化を図る。 ができたか。 32 B A C ・ 説明の際にはできるだけ平 分) 易な言葉を使用する。 (7人) ・ 適宜各グループを巡視し、 気 付いた点は個別に指導して いく。 6 消費生 活センターの役割 ・ 消費生活センターの説明の ・ 消費 生 活セ ①② と利用方 法について学習す 際 には、福岡県内にある消費 ン ター の 役割 ③④ る。 生 活センターの具体的活動を や 利用 方 法等 盛 り込んで、生徒に実感を持 を 学習 プ リン たせるようにする。 ト に記 述 でき ・ 周りに相談する人がいない たか。 よ うな状況にあるときは、一 ・ 発問 に 対し 人 で悩まずに社会的支援機関 受 け答 え がで を利用することを伝える。 きたか。 ま 7 本時で 学んだ内容を振り ・ 悪徳商法で困ったら一人で ・ 学習 プ リン ①② と 返る。 悩 まずに、消費生活センター ト 等を 読 んで ③④ め( を 利用する方法もあることを 振 り返 り がで 再度確認する。 きたか。 5 8 次時の 学習内容を知る。 ・ 次時は悪徳商法対策ボード ・ 礼儀 正 しい 分) ゲ ーム(2回目)を行うこと 態 度で あ いさ 9 終業のあいさつをする。 を告げる。 つできたか。
4 -補足資料 1 悪徳商法対策ボードゲーム 2 ルール表 3 クイズカードの例 4 ア ク シ ョ ン カ ー ド の 例