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高学歴女性の就業構造と就業経歴-日本と台湾の比較研究-

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Academic year: 2021

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全文

(1)

高学歴女性の就業構造と就業経歴-日本と台湾の比

較研究-著者

許 孟蓉

38

発行年

1998

URL

http://hdl.handle.net/10097/14871

(2)

学 位 の 種 類

学 位 記 番 号

ト  し 

     

博 士(教 育 学) 教 博 第38号 学 位 授 与 年 月 日 平 成10年7月29日 学 位 授 与 の要 件 研 究 科 ・専 攻

学 位 論 文 題 目

論 文 審 査 委 員

 しア   

学位規則第4条 第1項 該当

東北大学大学院教育学研究科(博 士課程後期3年 の課程)

教育学専攻

高学歴女性の就業構造 と就業経歴

日本 と台湾 との比較研究 一

(主査)

助教授

助教授

論 文 内 容 の 要 旨

本 論 文 は,現 代 社 会 にお け る 高 学 歴 女 性 の就 業 構 造 と就 業 経 歴 の 全 体 的 な 解 明 を,同 時 代 の 産 業 構 造 お よ び 労 働 市 場 の 編 成 と の 関 連 を基 盤 に しな が ら,時 間 の 概 念 を含 む 女 性 の ラ イ フ コ ー ス の 視 点 に た っ て,日 本 と台 湾 との 実 証 的 な 国 際 比 較 研 究 を通 して 行 お う とす る も の で あ る 。特 に,技 術 革 新 の 高 度 化 が 世 界 的 規 模 で 急 速 に進 展 し,こ れ に伴 い 産 業 構 造 が 専 門 性 を重 視 した 細 分 化 と 一 方 で の 新 た な 統 合 と い う方 向 で の 再 編 に 向 か っ て い る 今 日,女 性 が職 業 に関す る専 門的な 知識 と技 能 を 取 得 し た 専 門 職 業 人 と し て 就 業 の 機 会 を得,そ の 後 の 職 業 キ ャ リ ア 形 成 を 図 る に あ た っ て,高 等 教 育 で の 専 攻 分 野 と の 関 連 が 一 層 重 要 な 要 件 とな る こ とに 着 目 し,詳 細 な 実 証 的 な 調 査 を踏 ま え な が ら論 証 に 努 め て い る。 本 論 文 は,序 章 と8章 か ら構 成 され て い る。 そ の 内 容 と展 開 は 以 下 の 通 りで あ る。 第1章 で は,本 論 文 の 目的,視 点 さ ら に は方 法 が,関 連 す る社 会 学 的 な 先 行 研 究 に つ い て の 検 討 を 基 に,提 示 され て い る 。 高 学 歴 女 性 を含 む 女 性 一 般 の 就 業 を め ぐる研 究 の主 要 課 題 が,就 業 経 歴 と そ の 変 化 に 置 か れ て き た 点 を 強 調 して い る。 日本 の 女 性 を め ぐる 性 別 役 割 分 担 に 依 拠 し た 家 族 お よ び 社 会 の 中 で の地 位,お よ び そ の役 割 遂 行 へ の 社 会 的 な 期 待 が 女 性 の就 業 構 造 と就 業 経 教57

(3)

歴 を基 本 的 に規 定 して い る こ と の 論 証 は 重 要 と しな が ら も,一 方 で は 高 学 歴 女 性 の 就 業 を め ぐ る 多 様 な 観 点 か ら の 広 範 な 研 究 の展 開 が 不 可 欠 で あ る こ と を 指 摘 して い る 。 そ の 一 つ に,現 代 社 会 が 高 度 専 門 社 会 へ と移 行 す る 中 で,高 学 歴 女 性 が 専 門 職 業 人 と し て 形 成,確 率 さ れ て い くた め に 求 め られ る 諸 条 件 の 検 討 が 考 え られ る と し,そ れ を 目的 とす る 本 論 文 の研 究 上 の位 置 づ け が な さ れ て い る 。 第D:章 は,日 本 の 女 子 労 働 の 全 般 に つ い て の変 化 を検 討 して い る。1980年 代 のME(MICRO-ELECTRONICS)化 に代 表 さ れ る新 技 術 の導 入 とサ ー ビス 経 済 化 の進 展 は,労 働 市 場 の 拡 大 と就 業 の 多 様 化,性 別 職 務 分 離 の促 進 な ど女 子 労 働 の 需 要 構 造 に 大 き な 変 動 を 及 ぼ し,高 学 歴 女 性 の 労 働 市 場 へ の 大 量 参 入 を も促 した 。 後 者 の 動 向 を 詳 細 に分 析 し て い る の が 第 皿 章 で あ る 。 最 近 の 高 等 教 育 へ の 女 性 進 学 者 率 の著 しい 伸 び を反 映 し,就 労 化 は 加 速 的 な 増 加 傾 向 に あ る が,4年 制 大 学 と短 大,専 攻 分 野 間 に は就 業 を め ぐ る産 業 別 職 種 や 労 働 条 件 ・内 容 な ど に 大 き な 差 異 と格 差 が 存 在 して い る こ と,ま た 高 学 歴 女 性 へ 開 放 され て い る 専 門 ・技 術 的 職 種 も依 然 と して 制 約 され た 状 況 に あ る こ とが 指 摘 さ れ て い る 。 第IV章 は,筆 者 が 本 論 文 の課 題 を 論 証 す る た め に 試 み た 事 例 調 査 の 分 析 で,後 述 す る 第W章 と 共 に 本 論 文 の 構 成 で 中 心 的 な 位 置 を 占 め て い る 。 国 立 大 学1校,私 立 大 学2校 を1960年 か ら1985 年 ま で に 卒 業 し た1331名(総 有 効 回答 者530名)を 対 象 に,自 記 式 質 問 紙 法 に よ り!993年 に試 み ら れ た 。 就 業 経 歴 を 一 環 型,転 職 型,中 断 型,退 職 型 の4タ イ プ に分 類 し,そ れ ぞ れ の 就 業 構 造 さ ら に は 転 職,一 時 退 職 中 断 と再 就 職,完 全 退 職 の 理 由 な ど に つ い て,タ イ プ 間 の 特 徴 的 な 傾 向 を 明 確 に 摘 出 す る こ と に 努 め て い る 。 第V章 は,比 較研 究 の 対 象 で あ る 台 湾 の 戦 後 経 済 の 発 展 と 女 性 の 就 業 構 造 の変 容 に つ い て で あ る 。 労 働 集 約 的 な 製 造 業 を 主 体 とす る従 来 型 の 産 業 か ら技 術 革 新 の 導 入 に よ る 高 度 技 術 先 端 型 産 業 へ の 転 換 は,女 性 労 働 を め ぐ っ て も専 門 技 術 職 種 の 拡 大 と 単 純 労 働 の 分 厚 い 滞 留 へ と二 極 分 解 を急 速 に 深 め る 中 で,台 湾 経 済 の 発 展 に歩 調 を 合 わ せ,1985年 以 降 高 等 教 育 へ の 進 学 率 を上 昇 さ せ て き て い る 女 性 は,専 門 ・技 術 職 お よ び 事 務 販 売,サ ー ビ ス 職 な ど を 中心 に積 極 的 に 労 働 市 場 へ の参 入 を 図 っ て い る 状 況 が 第VI章 で 述 べ られ て い る。 第 孤 章 は,筆 者 が 台 湾 で の 高 学 歴 女 性 の 就 業 構 造 と就 業 経 歴 に 関 し て,私 立 総 合 大 学2校 を1966 年 か ら1989年 ま で に終 了 した 卒 業 生1068名(総 有 効 回 答 は195名)を 対 象 に,日 本 で の 調 査 と同 じ く 自記 式 質 問 紙 法 に よ っ て!996年 に 試 み た 調 査 結 果 で あ る。 第IV章 で 述 べ た 日本 と同 じ フ レー ム ワー ク で 分 析 さ れ,圧 倒 的 に 専 門 職 事 務 職 を 中心 とす る就 業 継 続 型 が 多 く,し か も大 半 が 高 賃 金,高 い 労 働 力 の 評 価 な ど を 求 め て 転 職 経 験 を も っ て い る。 今 後 にお いて も強 い転 職 指 向 が う か が え る。 一 方,就 業 の 一 時 中 断 や 退 職 の 理 由 は 進 学 な どで,結 婚,出 産,育 児 な ど に よ る も の は 希 少 で あ る と して い る。 以 上 の 調 査 結 果 を 日本 の そ れ と比 較 検 討 し な が ら,高 学 歴 女 性 の就 業 構 教58

(4)

造 と就 業 経 歴 を め ぐ る 相 違 点 の 要 因 分 析 を 終 章 で 多 面 的 ・多 角 的 に 試 み て い る。

論 文 審 査 結 果 の 要 旨

本 論 文 は,現 代 社 会 にお け る 高 学 歴 女 性 の 就 業 構 造 と就 業 経 歴 を,ラ イ フ コ ー ス の 視 点 を導 入 し な が ら,実 証 的 に 捉 え,併 せ て 高 学 歴 女 性 の 職 業 キ ャ リア 形 成 の 今 日的 な 構 造 を 明 らか に しよ う と す る も の で あ る。 高 学 歴 女 性 の 就 業 構 造 と就 業 経 歴 に 関 す る 研 究 は,比 較 的 新 し い 分 野 で あ る。 1980年 代 に入 って 高 等 教 育 へ の 女 性 の 参 加 が 急 速 に 増 加 し,従 って 高 等 教 育 で 専 門 的 な 知 識 と技 能 を 習 得 し た 女 性 が 労 働 市 場 に 大 量 参 入 し始 め,し か も広 範 な 職 業 分 野 に お い て 指 導 的 な 役 割 を担 う 状 況 が 形 成 確 立 され る こ と に伴 い,注 目 を 集 め て き て い る 。しか し,研 究 の 方 法 な ど に未 確 立 な 点 が 残 され て い る と同 時 に,実 態 の 現 状 把 握 に 関 して も 十 分 な 蓄 積 を得 る まで に は 至 っ て い な い 。 こ う し た研 究 を め ぐ る 今 日的 な 状 況 の 中で,本 論 文 は 以 下 の 点 で 今 後 の 発 展 に 結 び つ く成 果 を 提 示 して い る。 第1点 は,就 業 構 造 と就 業 経 歴 との 統 一 的 な 把 握 に,ラ イ フ コ ー ス の 視 点 を導 入 しな が ら取 り組 ん で い る こ とで あ る。 高 学 歴 女 性 を就 業(労 働)の 主 体 者 で あ る と 同 時 に,生 活 の 主 体 者 と して の 側 面 に 着 目 し,生 涯 にお け る就 業 の 選 択 と継 続 性,そ の 総 体 と して の 職 業 キ ャ リ ア 形 成 を,高 学 歴 女 性 が 個 人 あ る い は 家 族 を単 位 とす る ライ フ コ ー ス の 中 で 直 面 す る 生 活 諸 状 況,価 値 観 な ど に 基 づ き な が ら,自 らの 意 志 決 定 の具 体 化 され た もの と して 動 態 的 に 描 き 出 して い る。 こ れ ま で は 産 業 構 造 や 労 働 市 場 な どの 外 在 的 要 因 か ら説 明 さ れ る 傾 向 が 強 く見 られ た が, 新 た な 視 点 と して 注 目 で き る 。 第2点 は,研 究 の 方 法 と して 国 際 比 較 を 採 り入 れ た こ とで あ る。 こ の こ と に よ って,現 代 社 会 が 高 度 専 門 社 会 と 称 さ れ る状 況 の 中 で,高 学 歴 女 性 の 専 門職 業 人 と して の 形 成,確 立 が 期 待 さ れ な が ら も,日 本 に お い て は 出 産,子 ど も の 育 児 お よ び 教 育,老 親 の 扶 養 な ど が 依 然 と して 阻 害 要 因 と し て 作 用 して い る こ と を,台 湾 との 比 較 に お い て 一 層 明 らか に す る こ とが 可 能 とな っ て い る 。 同 時 に そ の 相 違 の 説 明 に あ た っ て,従 来 は 家 族 制 度,伝 統 的 な 性 別 役 割 分 担 な ど との 関 連 が 強 調 され た が,個 人 の 意 識 と行 動 に 注 視 し た 新 た な 視 点 や 分 析 枠 組 み の 必 要 性 を提 起 して い る。 第3点 は,高 学 歴 女 性 が 専 門 職 業 人 と して 就 業 の 機 会 を 得,そ の 後 の 職 業 キ ャ リア 形 成 を 図 る に あ た って,高 等 教 育 で 履 修 した 専 門 教 育 お よ び 研 究 分 野 と の 関 連 の 重 要 さ と,併 せ て 就 業 後 の よ り高 度 な 専 門 知 識 や 技 能 の 習 得 の 必 要 性 の増 大 か ら も,高 等 教 育 へ の 役 割 の 大 き さ を改 め て 強 調 し て い る 。 本 論 文 は,文 献 の読 解,論 理 的 な 分 析 や 内 容 の構 成 な ど に課 題 を残 して い る。 しか し,高 学 歴 女 性 の就 業 構 造 と就 業 経 歴 を め ぐ る 研 究 の 一 層 の展 開 を 期 待 させ る斬 新 な研 究 の 方 法 と視 点 の提 起,さ れ に そ れ ら に依 拠 して 日本 と台 湾 で 試 み た オ リジ ナ ル な 実 証 的 調 査 か ら得 た 貴 重 な 原 資 料 を駆 使 し,構 成 さ れ た 本 論 文 は,高 く評 価 さ れ る。 よ っ て 本 論 文 は 博 士(教 育 学)の 学 位 論 文 と して 合 格 と認 め る 。 教59

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