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燃料電池開発における企業間の競争と連携に関する研究 : トヨタ自動車の共同開発戦略と本田技研と日産自動車の単独開発戦略

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Ⅰ は じ め に 今までの石油の代わりに水(正確に言えば水の素である水素)を燃やしてエネルギーを取 り出す時代へ変わろうとしている。石油などの化石燃料は,現代社会の基礎を築いた反面, 二酸化炭素による地球温暖化などの環境問題を招いた。水素は炭素原子を持たないため,水 素が燃焼しても煙も灰も出ず,極めて地球に優しいエネルギーである。さらに,水素は宇宙 の質量の75%,原子構成比の90%を占めるため,これを動力源にすれば人類が無尽蔵のクリ ーンエネルギーを手にすることは間違いない。 今,日本のみならず世界で,この水素を燃料とする燃料電池の開発競争が熾烈に行われて いる。本来,地球や人類を救う燃料電池の開発は,一企業が独占する可能性のある民間の研 究開発ではなく,政府や国や全世界が共同して開発すべきものであるが,残念ながら,その 速度は遅く,現在のところ日本の燃料電池開発は民間主導となっている。 その燃料電池開発の最大の特徴は,非常に多くの業界を巻き込んだ開発競争になっている ことである。その主要な業界は,クリーンエネルギーへの転換を目指す電力会社,ガス会社, 石油会社などのエネルギー業界,地球環境に配慮した次世代自動車を目指す自動車業界,発 電所からの送電ロスがなく安価で停電のない住宅用分散型ミニ発電を目指す電機業界であり, その他に,機械業界,金属業界,化学業界,窯業業界などが参入している。 これらの背景には,もし住宅用燃料電池が開発されれば現在の電力会社はほとんど不要に なる可能性があり,もし燃料電池自動車が開発されれば自動車会社の最大の技術ノウハウで *経営学部

博*

燃料電池開発における企業間の競争と

連携に関する研究

トヨタ自動車の共同開発戦略と本田技研と日産自動車の単独開発戦略 目 次 Ⅰ は じ め に Ⅱ 日本の燃料電池開発における業界比較 Ⅲ 燃料電池開発の時系列分析 Ⅳ 自動車会社の単独開発と共同開発とグループ開発 Ⅴ 燃料電池開発における共同開発 Ⅵ ま と め

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あるエンジンがなくなるため既存の自動車会社の存続も危うくなり,もしパソコンや携帯電 話などのモバイル電気製品に燃料電池が普及すれば現状の電機会社の勢力地図は激変すると いう思惑から,多くの業界が競って燃料電池開発に参入していると考えられる。さらに,昨 年のニューヨークの大停電やテロの脅威などで安全な発電ニーズが高まり,自前の家庭ミニ 発電所や動く発電所としての燃料電池車という発想が燃料電池開発を加速している。 ところが,ハイブリッド車開発においてトヨタ自動車と松下電器との共同開発でみせた強 い連携1)は燃料電池開発にはなく,今のところ自動車会社と電機会社は互いにライバル関係 になっている。その理由は,自動車会社は,燃料電池開発を自動車のためだけに研究開発す るのではなく,電機会社の目指す住宅用分散型発電も視野に入れているためである。一方, 電機会社も,住宅用分散型発電やモバイル電気製品への燃料電池の開発だけでなく,自動車 への応用にも期待を寄せており,これらの理由から,ハイブリッド車や自動車のエレクトロ ニクス化の開発で見られた自動車会社と電機会社の共同開発がないと考えられる。 しかし,燃料電池の技術開発が成功しても,社会に普及するためにはディファクト・スタ ンダードの獲得が不可欠であり,さらに,水素ステーションなどのインフラ整備が必須とな るため,一社単独による開発には限界があることも間違いない事実である。そこで,多くの 業界は燃料電池開発において「競争と連携」を同時並行的に活発化させている。 本論文は,このような燃料電池開発の背景の下,トヨタ自動車,本田技研,日産自動車な どの自動車会社を中心として,日本の燃料電池車の開発を「競争と連携」との両面から考察 するものである。 2025年の将来ビジョンを示した「活力と魅力あふれる日本をめざして」と題する通称「奥 田ビジョン」が2003年1月に発表されている。その中では,日本が燃料電池などの環境技術 で世界をリードする「環境立国」を目指すべきと主張している。なかでも,トヨタ自動車と 本田技研が開発したハイブリッド車は,世界から環境技術として高く評価された2) 。 そのハ イブリッド車の開発において,トヨタ自動車は松下電器や日産自動車と戦略提携を行い成功 している。しかし,次の燃料電池開発では,電機会社が独自に住宅用燃料電池をすでに開発 途上であるため,自動車会社は電機会社との共同開発を実施できず,自動車会社ごとに開発 戦略が大きく相違することになっている。 本論文は,企業ごとの燃料電池の開発形態を検討し,なかでも自動車会社における単独開 発,共同開発,グループ開発(グループ企業内での開発)を分析することにより,これから の燃料電池開発の方向性を考察するものである。 1)村山博「自動車会社と総合電機業界との共同開発に関する研究」桃山学院大学 経済経営論集2004年 第1号 2)安田有三「奥田碩の「トヨタ式」発想法」アスコム2003年12月

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Ⅱ 日本の燃料電池開発における業界比較 図1は,1998年から2003年の6年間の燃料電池開発における業界ごとの燃料電池特許を調 査したものである。なお,特許調査は特許庁ホームページの公開特許検索を利用した3)。 図 1が示すように,最も燃料電池開発が活発な業界は自動車業界(2073件)であり,日本の燃 料電池開発の37%を占める。2位以下は電機業界(1664件),機械・金属業界(699件),エ ネルギー業界(466件),窯業業界(329件),化学業界(195件)の順番である。その他は, 燃料電池システムの開発4)を専門とするプラグパワー社や荏原バラード社,固体電解質型燃 料電池用電極5) を開発するNTT,燃料電池セパレータ6) を開発する日清紡績などである。 図2は,1998年から2003年の自動車業界の燃料電池特許を調査したものである。最も燃料 電池開発が活発な自動車会社は,本田技研(602件)であり,2位のトヨタ自動車(459件) と3位の日産自動車(451件)を大きくリードしている。その他の自動車会社は,8位のG M(63件),10位のダイハツ(26件),13位のスズキ自動車(12件),14位のマツダ(11件), 15位のクライスラー(8件),16位のフォード(7件)である。その他は自動車部品製造会 社や研究所であり,12位のカルソニックカンセイ(17件)以外は,アイシン精機,デンソー, 豊田中央研究所などのトヨタ自動車の系列会社がほとんどである。 図3は,1998年から2003年の電機業界の燃料電池特許を調査したものである。最も燃料電 3)特許庁ホームページ http://www1.ipdl.jpo.go.jp なお,本論文中の年代はすべて特許公開年であり, 実際の開発年は公開年より1年半前になる。 4)特開2002319419,特開2002289240,特開2002208428 5)特開2003187811,特開2002352809,特開2002022657 6)特開2003297386,特開2003297385,特開2003217608 2500 2000 1500 1000 500 0 燃 料 電 池 特 許 数 図1.燃料電池開発における業界比較 自 動 車 業 界 電 機 業 界 機 械 ・ 金 属 業 界 エ ネ ル ギ ー 業 界 窯 業 業 界 化 学 業 界 そ の 他                

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池開発が活発な電機会社は松下電器(399件)であり,2位の富士電機(291件)と3位の三 洋電機(281件)と4位の東芝(262件と)5位の三菱電機(129件)をリードしている。さ らに,松下電器は,松下電工(41件)との合併により燃料電池特許の合計が440件になり, 電機業界における燃料電池開発のリーダーを不動のものとしている。 一般的に,電機会社の燃料電池開発は住宅用途が主体であるが,松下電器の神原輝壽らは, 公開特許『高分子電解質型燃料電池コージェネレーションシステム 7) において,高分子電 解質型燃料電池を搭載した電気自動車が帰宅したとき住宅に接続し,住宅に電力を供給する ことができる高分子電解質型燃料電池を搭載した電気自動車の提案をしており,松下電器は 燃料電池車に関する特許も比較的多い。 図4は,1998年から2003年の機械・金属業界の燃料電池特許を調査したものである。最も 燃料電池開発が活発な会社は三菱重工(308件)であり,2位の石川島播磨重工(159件)の ほぼ2倍の燃料電池特許を出願している。これらの会社による燃料電池開発は,コージェネ 発電を利用した住宅用途だけでなく,ディーゼル機関車に変わる燃料電池電車,燃料電池船 舶などを提案しており,さらに,三菱重工の燃料電池特許308件のうち約60件は燃料電池自 動車に関するものである。 なかでも, 三菱重工の伊藤栄基らは, 公開特許『複合発電装置 8) において,メタノールを改質して水素を生成する燃料電池自動車の起動を短時間で行え,運 7)特開2003051097 8)特開平10246112 図2.燃料電池を開発する自動車業界 700 600 500 400 300 200 100 0 本 田 技 研 燃 料 電 池 特 許 数 日 産 自 動 車 ト ヨ タ 自 動 車 ア イ シ ン 精 機 デ ン ソ ー 豊 田 中 研 エ ク ォ ス ダ イ ハ ツ 豊 田 織 機 G M 自 動 車 部 品 カ ル ソ ニ ッ ク ス ズ キ マ ツ ダ ク ラ イ ス ラ ー フ ォ ー ド                 !"# $ % & ' ( ) *+ ,- ./ ! #01 2) ' !3 #3  4" 5

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図3.燃料電池を開発する電機業界 400 350 300 250 200 150 100 50 0 燃 料 電 池 特 許 数 松 下 電 器 東 芝 三 洋 電 機 富 士 電 機 三 菱 重 工 ソ ニ ー 日 立 製 作 所 コ ア サ シ ャ ー プ 住 友 電 気 カ シ オ 松 下 電 工 日 本 電 池                      !"  # $% & '! ( 図4.燃料電池を開発する機械・金属業界 350 300 250 200 150 100 50 0 燃 料 電 池 特 許 数 石 川 島 播 磨 三 菱 マ テ リ ア ル 三 菱 重 工 新 日 鐵 日 新 製 鋼 田 中 貴 金 属 川 崎 重 工 バ ブ 日 立 住 友 金 属 日 立 電 線 三 井 造 船 昭 和 電 工 日 立 金 属         ) *+,-. / 0 1 2 34 35 $%67 89  +:) ;<=67  > ?@A BC  67

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転を安定的に行えるような複合発電装置を提案している。 図5は,1998年から2003年の電力会社,ガス会社,石油会社などのエネルギー業界の燃料 電池特許を調査したものである。燃料電池開発に活発な会社は,1位の大阪ガス(140件), 2位の東京ガス(123件),3位の関西電力(83件),4位の出光興産(53件)である。なか でも,大阪ガスは,1998年から2000年までコージェネ発電のための固体電解質型燃料電池開 発9)が主体であったが,2001年以降は開発の主体を燃料電池車と住宅の両方に利用可能な固 体高分子型燃料電池開発10) に転換している。 図6は,1998年から2003年の窯業業界の燃料電池特許を調査したものである。燃料電池開 発に活発な会社は,1位の東陶(116件)2位の京セラ(112件),3位の旭硝子(101件)で ある。これらの会社は,燃料電池の電解質セラミックの開発に注力している。なかでも,東 陶の樋渡研一は, 公開特許『固体電解質型燃料電池 11) において,電極反応層の細孔径(0.1 ∼10μm)を空気極の細孔径より小さくし,空気極と電解質との間の電極活性を向上させ, 出力性能に優れる固体電解質型燃料電池を提案している。 図7は,1998年から2003年の化学業界の燃料電池特許を調査したものである。燃料電池開 発に活発な会社は,1位の積水化学(40件),2位の三菱樹脂(39件),3位の三菱化学(30 件),4位の日立化成(30件)である。これらの会社は,燃料電池の高分子膜の開発に注力 9)特開平10302815,特開平1022323,特開平11191420, 10)特開2003277013,特開2003272657,特開2003212512, 11)特開2003208902 図5.燃料電池を開発するエネルギー業界 燃 料 電 池 特 許 数 大 阪 ガ ス 140 120 100 80 60 40 20 0 東 京 ガ ス 関 西 電 力 出 光 興 産 東 邦 ガ ス 新 日 本 石 油 中 部 電 力 東 京 電 力                図6.燃料電池を開発する窯業業界 120 115 110 105 100 95 90 東 陶 京セ ラ 旭 硝 子 燃 料 電 池 特 許 数         ! "#$

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している。なかでも,積水化学工業の野村茂樹らは,公開特許『プロトン伝導性膜,その製 造方法及びそれを用いた燃料電池 12) において,耐熱性,耐久性,寸法安定性,燃料バリア 性などに優れ,しかも高温でも優れたプロトン伝導性を示す燃料電池のためのプロトン伝導 性膜の製造方法を提案している。 図8は,1998年から2003年のその他の業界の燃料電池特許を調査したものである。燃料電 池開発に活発な会社は,NTT (71件),ダイキン (56件),プラグパワー (52件),住友ベー クライト (24件),日清紡績(23件),荏原製作所(13件)荏原バラード(12件)である。 図9は,1998年から2003年までの燃料電池特許数が100件以上の会社を図示したものであ る。1位の本田技研,2位のトヨタ自動車,3位の日産自動車の自動車業界が上位を占めて いるが,4位の松下電器,6位の富士電機,7位の東芝,8位の三洋電機のように電機業界 も燃料電池開発に積極的であることが分かる。以上のように,自動車業界と電機業界の両方 が主体となって日本の燃料電池開発を強く牽引していることが分かる。 Ⅲ 燃料電池開発の時系列分析 図10は,1998年から2003年の日本の燃料電池の特許公開件数の推移を調査したものである。 12)特開2003331644 図7.燃料電池を開発する化学業界 40 35 30 25 20 15 10 5 0 燃 料 電 池 特 許 数 積 水 化 学 三 菱 樹 脂 三 菱 化 学 日 立 化 成 旭 化 成 鐘 淵 化 学 信 越 化 学                  図8.燃料電池を開発するその他の会社 80 70 60 50 40 30 20 10 0 燃 料 電 池 特 許 数 ダ イ キ ン プ ラ グ パ ワ ー 住 友 ベ ー ク ラ イ ト 日 清 紡 績 荏 原 製 作 所 荏 原 バ ラ ー ド 日 本 電 信 電 話             !" #$ %& '() & *"+ ,-. /0123 /04" & 5

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日本の燃料電池開発は,1998年から2003年まで急激に増加しており,1998年と2003年を比較 すると,燃料電池特許はほぼ4倍に増加し,2003年は2000件に達しようとしている。このよ うに,一分野における開発が大規模に進展することは,日本の技術開発の歴史の中でもそれ ほど多くはない。これは,前述したように燃料電池開発が一業界での開発にとどまらず,多 700 600 500 400 300 200 100 0 燃 料 電 池 特 許 数 本 田 技 研 ト ヨ タ 自 動 車 日 産 自 動 車 松 下 電 器 三 菱 重 工 ア イ シ ン 精 機 東 芝 三 洋 電 機 富 士 電 機 石 川 島 播 磨 大 阪 ガ ス 三 菱 電 機 東 陶 京 セ ラ 旭 硝 子 東 京 ガ ス 図9.燃料電池開発に積極的な会社                !" #$ %& '  ()*+, -./ 0  !1/ 0 !2 13 4 567  8 88  8 8     9     9  889 888     図10.日本の燃料電池開発状況 2000 1800 1600 1400 1200 1000 800 600 400 200 0 1936 551 592 799 1103 1697 1998 1999 2000 2001 2002 2003 特許公開年 燃 料 電 池 特 許 数

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くの業界の固有技術を複合的に活用しなければならないことと,従来の多くの業界に創造的 破壊が発生する可能性を持った画期的な開発であるためである。 図11は,燃料電池開発の主要3社の1998年から2003年の特許公開件数の推移を調査したも のである。本田技研は2001年に,日産自動車は2002年に,トヨタ自動車を抜き急増させてお り,トヨタ自動車も本田技研と日産自動車に抜かれたものの着実に増加させている。1998年 から2003年の6年間の特許公開件数の合計では,トヨタ自動車は本田技研に次いで2位であ るが,今後,日産自動車の急増により3位に転落する可能性がある。 図12は,三菱マテリアル,日立製作所,エクォスの1998年から2003年の燃料電池特許数の 推移を調査したものであり,いずれの会社も増加傾向にあり,特に2002年から急増している。 また,これら3社以外も,2002年以降,多くの企業の燃料電池開発が急激に活発になってい る。一方,図13は,富士電機,東芝,石川島播磨重工の1998年から2003年の燃料電池特許数 の推移を調査したものであり,いずれも減少傾向にある。全調査企業の内,これらの3社以 外に減少傾向にある企業はなく,3社の減少傾向は例外と考えても良い。 図14は,固体電解質型燃料電池の特許と固体高分子型燃料電池の特許との1998年から2003 年までの時系列変化を調査した結果である。固体電解質型燃料電池は,約1000度Cの高温で 使用するコージェネ発電用途であり,固体高分子型燃料電池は,約100度C以下の低温で使 用する自動車用途などである。図14が示すように,最近の燃料電池開発の主体が,固体電解 質型から固体高分子型へ転換していることが分かる。これは現在の燃料電池開発が自動車用 途の開発に移行していることを表している。 現在の燃料電池開発の急増に対する自動車業界の寄与は,他の業界に比べ大きく,自動車 業界は燃料電池開発のトップランナーと言ってもよい。一方,電機業界は,自動車業界に比 図11 主要3社の燃料電池開発状況 ■ ■ ■ ■ ■ ■ 本田技研トヨタ自動車日産自動車 ■ 250 200 150 100 50 0 1998 1999 2000 2001 2002 2003 特許公開年 燃 料 電 池 特 許 数

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べ燃料電池開発の歴史が長く,燃料電池開発のファーストランナーとしてのプライドが強い。 しかし,この両業界が連携して共同開発することが,日本の燃料電池開発の成功のためには 不可欠であることは間違いない。 図12 燃料電池開発を増加する会社 1998 1999 2000 2001 2002 2003 特許公開年 40 35 30 25 20 15 10 5 0 ■ 三菱マテリアル △ 日立製作所 ○ エクォス ■ ■ ■ ■ ■ ■ 燃 料 電 池 特 許 数 図13 燃料電池開発を減少する会社 1998 1999 2000 2001 2002 2003 特許公開年 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 ■ 富士電機東芝石川島播磨 ■ ■ ■ ■ 燃 料 電 池 特 許 数

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Ⅳ 自動車会社の単独開発と共同開発とグループ開発 図15は,燃料電池開発の主要5社の1998年から2003年の単独開発特許を調査したものであ る。1位が本田技研(569件),2位が日産自動車(443件),3位が松下電器(384件),4位 がトヨタ自動車(349件), 5位が三菱重工 (286件) である。図16は,燃料電池開発の主要5 社の1998年から2003年の単独開発特許と共同開発特許の合計を表したものである。なお,共 同開発特許は,公開特許の出願人欄に2社以上ある特許とし,グループ会社との共同開発特 許は除外した。1位が本田技研(602件),2位がトヨタ自動車(459件),3位が日産自動車 (451件),4位が松下電器(399件),5位が三菱重工(308件)である。 図17は,燃料電池開発の主要5社の1998年から2003年の単独開発特許と共同開発特許とグ ループ開発特許(グループ会社の燃料電池特許)の合計を表したものである。なお,グルー プ会社は持ち株比率を5%以上とし,グループ開発特許はグループ会社の燃料電池特許から 共同開発特許を除外したものとした。1位がトヨタ自動車(909件),2位が三菱重工(619 件),3位が本田技研(611件),4位が日産自動車(465件),5位が松下電器(462件)であ る。 図15∼図17を比較すると,トヨタ自動車は単独開発で4位,共同開発が加わると2位,グ ループ開発も考慮すると1位になる。逆に,本田技研は単独開発で1位であるが,グループ 開発も考慮すると3位に低下し,同様に,日産自動車も単独開発で2位,共同開発を加える と3位,グループ開発を加えると4位に後退する。これは,本田技研と日産自動車が,燃料 図14 燃料電池開発における固体電解質と固体高分子 1998 1999 2000 2001 2002 2003 特許公開年 450 400 350 300 250 200 150 100 50 0 ◆ 固体電解質型燃料電池固体高分子型燃料電池 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 燃 料 電 池 特 許 数

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                      !"# $%&' ()*+, 図15.燃料電池の単独開発 本田技研 600 500 400 300 200 100 0 トヨタ自動車 日産自動車 松下電器 三菱重工 569 443 384 349 286 燃 料 電 池 特 許 数             -           !"# . / + , ) * + , 図16.燃料電池の単独開発と共同開発の合計 本田技研 トヨタ自動車 日産自動車 松下電器 三菱重工 700 600 500 400 300 200 100 0 602 459 451 399 308 共同開発 単独開発 燃 料 電 池 特 許 数              -         !"#      $ %0' ( 12 345 6 ( + , 789:;<+ , . / + , ) * + , 図17.燃料電池のグループ全体の開発 906 619 611 465 462 グループ開発 共同開発 単独開発 1000 900 800 700 600 500 400 300 200 100 0 本田技研 トヨタ自動車 三菱重工 日産自動車 松下電器 燃 料 電 池 特 許 数

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電池の開発において共同開発やグループ開発ではなく,単独開発を主体にした開発戦略を採 用しており,トヨタ自動車が,単独開発だけでなく共同開発とグループ開発を組み合わせた トヨタグループ全体の総合開発力による開発戦略を採用しているためである。 図18は,トヨタ自動車の1998年から2003年の単独開発特許と共同開発特許とグループ開発 特許を表したものである。単独開発と共同開発とグループ開発は,いずれも増加傾向にある が,なかでも共同開発が急増していることが分かる。図19は,日産自動車の1998年から2003 年の単独開発特許と共同開発特許とグループ開発特許を表したものである。単独開発と共同 開発とグループ開発の内,単独開発だけが急増しており,共同開発とグループ開発はトヨタ 自動車に比べ非常に少ない。図20は,本田技研の1998年から2003年の単独開発特許と共同開 発特許とグループ開発特許を表したものである。単独開発と共同開発とグループ開発の内, 単独開発だけが急増しており,共同開発とグループ開発はトヨタ自動車に比べ少ないが,日 産自動車に比べるとやや多い。 図21は,トヨタ自動車と日産自動車と本田技研の1998年から2003年の単独開発特許を表し たものである。日産自動車と本田技研の単独開発が急増しているが,トヨタ自動車の増加は 日産自動車と本田技研の約半分程度である。図22は,トヨタ自動車と日産自動車と本田技研 の1998年から2003年の共同開発特許を表したものである。トヨタ自動車の共同開発は2003年 に急増しているが,日産自動車と本田技研の共同開発は非常に少ない。図23は,トヨタ自動 車と日産自動車と本田技研の1998年から2003年のグループ開発特許を表したものである。ト ヨタ自動車のグループ開発は着実に増加しているが,本田技研のグループ開発はやや増加の 兆しがあるものの全般的に低調であり,日産自動車のグループ開発はほとんど皆無に等しい。 以上のように,トヨタ自動車は,単独開発だけでなく共同開発とグループ開発を含めて, トヨタファミリー全体で燃料電池開発に取り組んでいるが,本田技研と日産自動車は,系列 会社と連携せずに単独開発で燃料電池開発を推進しており,明瞭な開発戦略の相違が判明し た。本田技研と日産自動車は,単独開発から同業他社との提携や異業種の電機業界との連携 を視野に入れた開発戦略に転換しなければならない時期はそれほどと遠くないと考えられる。 Ⅴ 燃料電池開発における共同開発 図24は,燃料電池開発における共同開発率を調査した結果である。なお,調査対象は, 1998年から2003年の6年間において燃料電池特許公開件数が100件以上の会社の16社とした。 共同開発比率は,共同開発特許数を共同開発特許数と単独開発特許数の合計で割ることによ り求めた。なお,共同開発は,系列,非系列,グループ内,グループ外を問わず自社以外の 会社との共同開発ならばすべて共同開発とした。 共同開発比率の最高企業はトヨタ自動車(24.0%)であり,東京ガス(20.3%),アイシ ン精機(20.2%),東陶(19.0%),三菱電機(15.5%)の順番である。本田技研は16社中10 位の4.8%であり,共同開発比率が低い会社に分類される。さらに,日産自動車は16社中15

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図18.トヨタ自動車の燃料電池開発 1998 1999 2000 2001 2002 2003 特許公開年 燃 料 電 池 特 許 数 300 250 200 150 100 50 0                 グループ開発 共同開発 単独開発 図19.日産自動車の燃料電池開発 300 250 200 150 100 50 0 1998 1999 2000 2001 2002 2003 特許公開年 燃 料 電 池 特 許 数                  グループ開発 共同開発 単独開発 図20.本田技研の燃料電池開発 300 250 200 150 100 50 0 1998 1999 2000 2001 2002 2003 特許公開年 燃 料 電 池 特 許 数                  グループ開発 共同開発 単独開発

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位の1.7%であり,共同開発比率がきわめて低い会社であると言える。燃料電池の単独開発 で2位の日産自動車が,共同開発を含めると,単独開発で4位のトヨタ自動車に負けて,3 位に後退するのは共同開発比率が低いことが原因である。 図25は,共同開発比率1位であるトヨタ自動車の燃料電池の共同開発会社ごとの共同開発 特許件数を表したものである。共同開発会社は,トヨタ御三家と呼ばれるアイシン精機,デ ンソー,豊田自動織機の3社が含まれるだけでなく,豊田中央研究所などのトヨタ自動車の 図21 自動車3社の燃料電池の単独開発 1998 1999 2000 2001 2002 2003 特許公開年 250 200 150 100 50 0 ◆ 本田単独開発 ◇ 日産単独開発 ■ トヨタ単独開発 ◆ ■ ◆ ◆ ◆ 210 216 111 ■ ■ ■ ■ ■ ◆ ◆ 燃 料 電 池 特 許 数 図22 自動車3社の燃料電池の共同開発 1998 1999 2000 2001 2002 2003 特許公開年 70 60 50 40 30 20 10 0 ◆ 本田共同開発日産共同開発トヨタ共同開発 ■ ■ ■ ■ ■ ■64 4 1 ◆ ◆ ◆ ◆ 燃 料 電 池 特 許 数

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グループ会社が多い。しかし,トヨタ自動車は系列ではない日新製鋼との共同開発も行い, 幅広く共同開発戦略を展開していることが分かる。因みに,日新製鋼はトヨタ自動車との共 同開発において,ステンレス製セパレータ13)に関する開発を担当している。 しかし,これらの共同開発会社の中に松下電器の名前はない。トヨタ自動車と松下電器は, 図24.燃料電池開発における共同開発比率 25 20 15 10 5 0 共 同 開 発 比 率 ︵ % ︶ 旭 硝 子 日 産 自 動 車 三 洋 電 機 松 下 電 器 京 セ ラ 東 芝 本 田 技 研 富 士 電 機 三 菱 重 工 石 川 島 播 磨 大 阪 ガ ス 三 菱 電 機 東 陶 ア イ シ ン 精 機 東 京 ガ ス ト ヨ タ 自 動 車                         !"# $% &'( )*+,- ./0 1 & 2 34 56 7 0 1 89 : 0 1.7 2.8 3.8 4.5 4.6 4.8 5.8 6.5 9.4 19 24 20.3 20.2 15.5 10.7 図23 自動車3社の燃料電池のグループ開発 1998 1999 2000 2001 2002 2003 特許公開年 120 100 80 60 40 20 0 ◆ 本田グループ開発 ◇ 日産グループ開発 ■ トヨタグループ開発 ■ ◆ 18 79 2 ■ ■ ■ ■ ■ ◆ ◆ ◆ ◆ 燃 料 電 池 特 許 数

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1998年から2003年の6年間にハイブリッド車の2次電池の共同開発が285件あるが,燃料電 池に関する共同開発はまったくない。この6年間,トヨタ自動車が459件,松下電器が399件 の燃料電池特許を公開しており,両社は積極的に燃料電池開発を行っているが,両社の共同 開発は成立していない。その理由は,ハイブリッド車の2次電池はお互いの利害が一致した が,燃料電池の開発はお互いの目指す方向が競合するためである。松下電器は,住宅用途の 燃料電池だけでなくトヨタ自動車の目指す燃料電池車も視野に入れており,一方,トヨタ自 動車も,燃料電池車だけでなく住宅用途も開発目標に入っているためである。また,日産自 動車と日立製作所との共同開発特許は,1998年から2003年の6年間で63件あり,非常に親し い関係であるにもかかわらず,同様の理由で燃料電池に関する共同開発はまったくない。ま た,本田技研も,どの電機会社とも燃料電池に関する共同開発の実績はない。 また,図25が示すように,トヨタ自動車の共同開発110件の内,デンソーとの共同開発は 8件のみである。デンソーは燃料電池開発に積極的であり,すでに65件の特許が公開されて いるが,トヨタ自動車との共同開発は非常に少ない。特に,2003年のトヨタ自動車の燃料電 池の共同開発では,アイシン精機が28件であるのに対し,デンソーが2件と極端に少ない。 これは,トヨタ自動車のデンソーはずしか,デンソーの脱トヨタかは明確ではないが,同じ トヨタ御三家のアイシン精機とデンソーには大きな違いが見られる。 図25.トヨタ自動車の燃料電池の共同開発 35 30 25 20 15 10 5 0 共 同 開 発 特 許 数 ア イ シ ン 精 機 日 新 製 鋼 自 動 車 部 品 豊 田 中 研 デ ン ソ ー 豊 田 自 織 上 村 製 作 所 エ ク ォ ス 小 島 プ レ ス コ ン ポ ソ そ の 他                   ! "# $ % &'( )* + , - ./ 0 13)特開2003297380,特開2003132904,特開2003123785

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因みに,デンソーとトヨタ自動車との「共同開発の希薄化」は,燃料電池開発だけでない。 たとえば,2003年のデンソーのトヨタ自動車との共同開発比率は2.6%(96/3634)であるの に対し,アイシン精機が14.1%(92/655),豊田自動織機が6.2%(30/489),豊田中央研究所 が24.4%(114/467)であり,特に直近,デンソーとトヨタ自動車との「共同開発の希薄化」 が顕著である。本論文では,デンソーを上記の持ち株比率の理由からトヨタ自動車のグルー プ会社と定義したが,デンソーは本田技研との共同開発も増加させており,デンソーを一概 にトヨタグループと断定すると判断を間違う可能性もある。 図26は,共同開発比率2位である東京ガスの燃料電池の共同開発会社ごとの共同開発特許 件数を表したものである。東京ガスの特徴は,大阪ガスや東邦ガスなどの同業他社との共同 開発が多いことと,特定の会社との共同開発ではなく多くの会社と1∼2件程度の「広く浅 い共同開発」が多いことである。 図27は,共同開発比率3位であるアイシン精機の燃料電池の共同開発会社ごとの共同開発 特許件数を表したものである。アイシン精機の特徴は,上記の東京ガスのように幅広い共同 開発を行うのではなく,トヨタ自動車との共同開発がほとんどであり,その他はアイシン精 機の関係会社との共同開発である。アイシンは自動変速機を製造しているが,エンジンを使 わない燃料電池車が普及すれば変速機は不要になる。トヨタ自動車は燃料電池車になっても 系列の仕事がなくならないように開発段階から系列に参画させ,アイシンも自動変速機の不 要な燃料電池車の開発に傾注している。しかし,本田技研と日産自動車は,系列会社の仕事 がなくなる可能性のある開発プロジェクトに系列会社を無理に参画させることはないとの考 図26.東京ガスの燃料電池の共同開発 12 10 8 6 4 2 0 共 同 開 発 特 許 数 大 阪 ガ ス 東 邦 ガ ス 富 士 電 機 京 セ ラ 三 菱 重 工 石 川 島 播 磨 板 硝 子 そ の 他               !"

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えと思われ,トヨタ自動車とは明らかな考え方の相違がある。 図28は,共同開発比率4位である東陶の燃料電池の共同開発会社ごとの共同開発特許件数 を表したものである。東陶は九州電力との共同開発が非常に多いことが特徴である。図29は, 共同開発比率5位である三菱電機の燃料電池の共同開発会社ごとの共同開発特許件数を表し たものである。三菱電機は関西電力との共同開発が非常に多いことが特徴である。図30は, 共同開発比率6位である大阪ガスの燃料電池の共同開発会社ごとの共同開発特許件数を表し たものである。大阪ガスの特徴は,東京ガスや東邦ガスの同業他社との共同開発が多いこと と,富士電機との共同開発が多いことである。 図25∼図30の共同開発は,次の3つ形態に分類できる。 【燃料電池開発における共同開発形態】 1)系列内の共同開発 (例)トヨタ自動車とアイシン精機 2)同業他社との共同開発 (例)東京ガスと大阪ガスと東邦ガス 3)特定需要家との共同開発 (例)東陶と九州電力,三菱電機と関西電力 4)主要異業種同士との共同開発 (例)なし 燃料電池の共同開発は上記の3形態だけであり,自動車会社と電機会社のような「主要異 業種同士の共同開発」がないことが重要である。今後,この第4の形態による共同開発の 誕生を期待したい。 今後,燃料電池開発における共同開発は次の理由から必要であると考えられる。 1)燃料電池開発は,電機,化学,金属,セラミック,自動車,電力などの非常に広い範囲の 研究開発が必要であり,さらに開発課題が学際的であり,一社だけの単独開発では研究者 を調達できなくなっている。 2)自動車や住宅などの大規模な発電実験が必要なため研究開発費が高騰し,一社単独では負 担できなくなっている。 3)現在,さまざまな燃料電池が開発されており,近い将来,規格の統一化やディファクト・ スタンダード化が必要であり,そのためには一社の単独開発ではなく共同開発の方が適し ている。 4)今後の燃料電池開発は大きく変貌する可能性が高く,一社単独より共同開発の方が開発リ スクを低くできる。 5)燃料電池の普及のためには,水素ステーションなどのインフラ整備が必要であり,多くの 企業との共同開発による実用化試験が不可欠となる。 ただし,燃料電池開発における共同開発は次の問題点を抱えている。 1)燃料電池の用途が広範囲にわたるため,異なる業界でも利害関係が発生しやすい。 2)燃料電池に関する共同開発は学際的かつ分野横断的であるため,共同開発で得られたノウ ハウや秘密情報の管理が難しい。 燃料電池車の開発費用は膨大であり,かつ,その開発成果は国際標準の獲得競争になって

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図30.大阪ガスの燃料電池の共同開発 8 7 6 5 4 3 2 1 0 共 同 開 発 特 許 数 富 士 電 機 東 京 ガ ス 東 邦 ガ ス ユ ニ チ カ 東 芝 川 崎 重 工 ノ ー リ ツ K R I                    !" 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 図29.三菱電機の燃料電池の共同開発 共 同 開 発 特 許 数 関 西 電 力 千 代 田 化 工 東 京 電 力 第 一 電 工 オ プ テ ィ ッ ク ス          #$ % &'()  % *+  ,-./ 01 23 図27.アイシン精機の燃料電池の共同開発 30 25 20 15 10 5 0 共 同 開 発 特 許 数 ト ヨ タ 自 動 車 ア イ シ ン 化 工 ア イ シ ン 高 岳 ジ ョ ン ソ ン 豊 田 中 研        45 6789 :;<= ) :; <= >? @A BCB D(EF 図28.東陶の燃料電池の共同開発 20 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 共 同 開 発 特 許 数 九 州 電 力 新 日 鐵 西 部 技 研           GH % IJK $LMF

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いる。そこで,自動車会社は競争と協調による戦略的提携を強いられており,電機業界と自 動車会社との連携が開発の成否を握っていると考えられる14)。たとえ系列会社との共同開発 やグループ開発で先行するトヨタ自動車でさえも,電機業界との連携を躊躇すれば燃料電池 の国際標準は得られないだけでなく,今までの開発努力も水泡に帰す可能性もある。 Ⅵ ま と め トヨタ自動車は,単独開発だけでなく共同開発とグループ開発を含めて,トヨタファミリ ー全体で燃料電池開発に取り組んでいるが,本田技研と日産自動車は,系列会社と連携せず に単独開発で燃料電池開発を推進しており,明瞭な開発戦略の相違が判明した。 トヨタ自動車と松下電器は,それぞれ積極的に燃料電池開発を行っているが,両社の共同 開発は成立していない。その理由は燃料電池の開発はお互いの目指す方向が競合するためで ある。松下電器は,住宅用途の燃料電池だけでなくトヨタ自動車の目指す燃料電池車も視野 に入れており,一方,トヨタ自動車も,燃料電池車だけでなく住宅用途も開発目標に入って いるためである。 ディファクト・スタンダード獲得競争が開発の成否を握る燃料電池開発では,一社単独で は何もできず,企業はお互いが競争することではなく,連携することがより重要である。今 後の燃料電池開発は,電機業界と自動車会社との連携が開発の成否を握っていると考えられ る。たとえ系列会社との共同開発やグループ開発で先行するトヨタ自動車でさえも,電機業 界との連携を躊躇すれば後発企業に逆転を許すこともありうる。 参 考 文 献 1)槌屋治紀「燃料電池」ちくま書房2003年11月 2)清水和夫,平田賢「燃料電池とは何か 水素エネルギーが拓く新世紀」日本放送出版協会2000年 12月 3)駒橋徐「水素エネルギー革命」日刊工業新聞社2002年12月 4)山本寛「水素経済革命 燃料電池が世界を変える」新泉社2002年12月 5)土屋勉男,他「次世代自動車」東洋経済新報社2001年12月 6)ジェレミー・リフキン,柴田裕之訳「水素エコノミー」NHK出版2003年4月 7)牧野克彦「自動車産業の興亡」日刊自動車新聞社2003年10月 8)弘岡正明「技術革新と経済発展 非線形ダイナミズムの解明」日本経済新聞社2003年6月 9)藤本隆宏「能力構築競争」中央新書2003年6月 10)日刊自動車新聞社編集局編「変革の構図」日刊自動車新聞社2003年10月 11)林昇一,高橋宏幸「戦略経営ハンドブック」中央経済社2003年5月 12)榊原清則「日本企業の研究開発マネジメント」千倉書房1995年5月 13)明石芳彦,植田浩史「日本企業の研究開発システム」東京大学出版会1995年4月 14)土屋勉男,大鹿隆「日本自動車産業の実力」ダイヤモンド社2002年10月 15)田口敏行「産学協同と研究開発戦略」白桃書房2003年3月 14)土屋勉男,大鹿隆「日本自動車産業の実力」ダイヤモンド社2002年10月

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16)植田一博「協同の知を探る」共立出版2000年11月 17)宮田由紀夫「共同研究開発と産業政策」剄草書房1997年10月 18)小久保厚郎「研究開発のマネジメント」東洋経済新報社2001年5月 19)村山博,他「高度知識社会における情報管理」コロナ社 2003年4月 20)中原秀登「研究開発のグローバル戦略」千倉書房2002年4月 21)植草益「産業融合」岩波書店2000年12月 22)新宅純二郎「ディファクト・スタンダードの本質 技術覇権競争の新展開」有斐閣2000年11月 23)木村壽男「研究開発が企業を変える」学文社2002年8月 24)飯山比呂美,他「戦略的研究開発の評価と意思決定」日本能率協会1982年3月

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A Study on the Competition and Cooperation between

the Companies in the Fuel Cell Development

Hiroshi MURAYAMA

In order to obtain energy, the research on the combustion of hydrogen instead of oil is progressing now. The greatest feature of the fuel cell development is involving in many industries. This paper considers the development of the fuel cell vehicles in Japanese automobile companies, such as Toyota, Honda, and Nissan, from the viewpoint of both sides of “competition and cooperation.”

The automobile industry is the most active fuel cell development industry, and occupies 37% of the fuel cell development in Japan. Toyota Motor is performing the fuel cell development not only by the independent developments but also by the joint developments. However, Honda Motor and Nissan Motor are performing the fuel cell developments only by the independent developments.

The company cooperation by joint developments among different industries is the most important in order to acquire the de facto standards of the fuel cell products. From now on, the cooperation between the electrical machinery industry and the automobile companies will be very important in order to succeed in the fuel cell businesses.

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