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唾液アミラーゼを用いたうつ病スクリーニングの有用性に関する検討

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名古 屋市立 大学看護学部紀要 第9巻2010

唾 液 ア ミラ ー ゼ を 用 い た うつ 病 ス ク リー ニ ン グ の 有 用 性 に 関 す る検 討

要 約 我 が 国 で は年 間3万 人 を超 え る 自殺 者 が 発 生 して お り、 そ の 背 景 に は うつ 病 を は じめ とす る精 神 科 疾 患 の存 在 も否 め な い。 働 く人 を対 象 と した うつ病 の ス ク リー ニ ン グ調 査 は、 職 域 に お け るメ ン タル ヘ ル ス対 策 を 進 め る上 で有 用 な役 割 を果 た す と考 え られ る。 しか し精 神 科 疾 患 の 多 くは 、 客観 的 指 標 に基 づ く確定 診 断 が難 し く、 この た め に 支援 を必 要 とす る人 々 を抽 出 す る こ とが 困難 で あ る とい う課 題 が あ る。 そ こで、 本研 究 で は、 バ イ オ マ ー カ ー で あ る唾 液 中 の ア ミラー ゼ 活性 値 を ス ク リー ニ ン グ検 査 と して 実施 し、 従来 か らの うつ病 ス ク リー ニ ン グに 用 い られ て い る 自己 記 入 式 の抑 うつ 質 問 票(BDI-Ⅱ)と の相 関性 を 検 証 した。 就 労 者 を対 象 に 調 査 した結 果 、 ア ミラ ー ゼ活 性 値 の 分 散 が 大 き く、BDI-Ⅱ との相 関 を立 証 す る まで に は至 らな か っ た。 ア ミラ ー ゼ活 性 値 の 測 定 に あ た って は、 唾 液 ア ミラー ゼ の 日内変 動 や被 検 者 を取 り巻 く環 境 要 因 に よ る影 響 な どを検 討 す る必 要 が 考 え られ た。 キ ー ワ ー ド:う つ 病,ス ク リ ー ニ ン グ,唾 液 ア ミ ラ ー ゼ I.は じ め に 近 年 、 我 が 国 に お い て 自殺 に よ る死 亡 者 数 が 高 い水 準 で推 移 して い る こ とに か ん が み、 平 成18年6月 、 自殺 対 策 基 本 法 が制 定 ・施 行 され、 翌 年 に は 同 法 に基 づ き政 府 が推 進 す べ き 自殺 対 策 の 指針 で あ る 「自殺 総 合 対策 大 綱 」 が決 定 され た。 この大 綱 は、 社 会 的 な取 組 に よ り 自殺 は 防 ぐ ことが で きる と い う こ とを明 確 に打 ち 出 した もの で、 医療 機 関 を は じめ、 活 動 を行 う各 種 団体 等 が 密接 な連 携 を 図 る と共 に、 自殺 対 策 を 強 力 に推 進 して い くこ とが望 ま れ て い る。 自殺 の原 因 とな る背 景 に は、 うつ病 を は じめ とす る精 神 科 疾 患 の存 在 が否 め な い。 働 く人 を対 象 と した うつ病 の ス ク リー ニ ン グ調 査 は、 職 域 に お け るメ ン タル ヘ ル ス 対 策 を進 め る上 で重 要 な初 期 の 介入 策 と考 え られ るが、 精 神 科 疾 患 の 多 くは客 観 的指 標 に基 づ く確 定 診 断 が難 し い た め に、 支 援 を必 要 とす る人 を適 切 に抽 出 す る こ とが 困難 で あ る。 質 問紙 に よ る うつ病 ス ク リー ニ ン グに つ い て は、 そ の有 効 性 が幾 つ か の先 行 研 究 に よ り立 証 され て い る もの の1)2)、被 検 者 や 検 者 自身 の主 観 的 判 断 に頼 ら ざ るを得 な い の が実 情 で あ る。 うつ病 に つ い て は早 期 に診 断 し、 適 切 な 支援 を して い く こ とが大 切 で あ り、 患 者 を抽 出 す るた め の 客観 的指 標 の確 立 は急 務 とい え る。 白血 球 由来 の遺 伝 子 解 析 に よ る 試3)み を は じめ 、 各 種 の研 究 が 行 わ れ て い る。 自律 神 経 系 ・内 分 泌 系 の 作 用 に 注 目 した 評 価 方 法 と して 、 バ イ オ マ ー カ ー の 活 用 が 注 目 さ れ て い る 。 バ イ オ マ ー カ ー と は 、 生 体 反 応 を 血 液 、 間 質 液 、 唾 液 、 尿 な ど の 生 体 サ ン プ ル に 含 ま れ る生 化 学 物 質 の 濃 度 か ら読 み 取 り 、 数 値 化 ・定 量 化 した 客 観 的 な 指 標 を 意 味 して い る4)。 交 感 神 経 や 内 分 泌 系 に 直 接 ・間 接 的 に 関 与 す る バ イ オ マ ー カ ー で は、 ス ト レ ッ サ ー の 強 度 に 応 じ て 濃 度 が 顕 著 に 変 化 す る も の が あ り 、 ス ト レ ス マ ー カ ー と 呼 ば れ て い る4)。 ス ト レ ス に 関 す る先 行 研 究 で は 、 コ ル チ ゾ ー ル や ノ ル エ ピ ネ フ リ ン が 標 準 的 な ス ト レス マ ー カ ー と して 多 用 さ れ て き た 経 緯 が あ り5)6)7)、 最 近 で は ク ロ モ グ ラ ニ ンAと い う ホ ル モ ン の 一 種 も ス ト レス マ ー カ ー と して の 可 能 性 が 指 摘 さ れ て い る3)4)8)9)。 しか しい ず れ も 侵 襲 を 伴 う血 液 検 体 に よ る検 査 で あ っ た り、 唾 液 検 体 に よ る検 査 で あ っ て も刺 激 か ら の 反 応 時 間 が 遅 延 性 で あ っ た り と、 非 侵 襲 か つ 迅 速 な 測 定 の 実 施 に は 困 難 で あ る。 近 年 、 ド ラ イ ケ ミス ト リー シ ス テ ム を 用 い た 唾 液 ア ミ ラ ー ゼ 活 性 の 迅 速 分 析 方 法 が 考 案 さ れ た こ と に 伴 い 測 定 キ ッ トの 製 品 化 が 行 わ れ 、 平 成19年12月 に 唾 液 ア ミ ラ ー ゼ 式 交 感 神 経 モ ニ タ ー(唾 液 ア ミ ラ ー ゼ モ ニ タ ー)と し て 、 特 定 保 守 管 理 医 療 機 器 に 認 定 さ れ た4)10)11)。唾 液 ア ミ ラ ー ゼ 活 性 は 不 快 な 刺 激 で は上 昇 し、 快 適 な 刺 激 で は 逆 に 低 下 す る。 こ の 唾 液 ア ミ ラ ー ゼ 活 性 測 定 キ ッ トに よ り、 侵 襲 を 伴 わ ず 迅 速 で 簡 易 な ス ト レス 度 判 定 が 可 能 と な っ た4)12)13)。精 神 衛 生 管 理 が 大 き な 課 題 で あ る 今 日 の

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職 域 保 健 に お い て、 うつ病 の ス ク リー ニ ン グ検 査 が確 立 され る こ とは、 職 場 で の早 期対 応 を可 能 と し、 精 神 衛 生 対 策 の 向上 に寄 与 す る ことに な る。上 述 した 唾液 ア ミラー ゼ活 性 測 定 キ ッ トは、 簡 易 な ス ト レス度 判 定 を可 能 と し て お り、 うつ病 の ス ク リー ニ ン グ検 査 に応 用 で きれ ば、 うつ病 ス ク リー ニ ン グに客 観 的指 標 が確 立 され る。 医療 行 為 を伴 わ な い た め に簡易 に導 入 す る こ とが 可 能 で あ る。 医療 職 種 を専 属 と して配 置 して い な い 中小 企 業 に お い て も、 選 任 され た衛 生 管 理 者 が主 体 とな って対 策 を施 す こ とが可 能 とな る、 職 場 に お け る早 期 支援 を講 じ る こ とが 可 能 に な る、 な どの利 点 が あ る。 先 行 研 究 で は 、 質 問 紙STAIお よ びGHQ-28の 調 査 結 果 と唾 液 ア ミラー ゼ活 性値 との比 較 検討 が行 わ れ て い る。 STAIは 「状 態 不 安 」 「特 定 不 安 」 の 尺 度 を含 む 「不 安 」 の ス ト レス評 価 尺 度 で あ り、GHQ-28は 「身 体 的 症 状 」 「不 安 と不 眠 」 「社 会 的活 動 障 害 」 「うつ傾 向 」 の多 角 的 な 評 価 尺 度 を含 ん で い る。 先 行 研 究 の 結 果 に お い て 、S TAIで は 「状 態 不 安 」 との相 関 を、GHQ-28で は 「社 会 的活 動 障 害」 との相 関 を認 め、 ス ト レス と唾 液 ア ミラー ゼ 活 性 値 と の因 果 関 係 を結 論 づ け る もの で あ った が14)、 直接 的 に病 的 な判 別 を す る 「抑 うつ」 との 因果 関係 は示 され て い な い。 本研 究 で は、 ベ ッ ク抑 うつ 質 問 票(日 本 版BDI-Ⅱ)を 用 い て 、 唾 液 ア ミラ ー ゼ 活 性 値 と の比 較 検 討 を行 う。BDI-Ⅱ は 臨 床 現 場 を は じめ 、 うつ 病 ス ク リー ニ ン グに お い て も多 くの使 用実 績 が あ り、 抑 うつ尺 度 に特 化 した性 質 を持 ち 合 わ せ て い る。BDI-Ⅱ と唾 液 ア ミラー ゼ活 性 値 との 関連 も これ ま で の研 究 で は 明 らか とな って い な い こ とか ら、 本 研 究 に お い て そ の 関連 性 を 検 証 す る。 Ⅱ.研 究 目 的 うつ病 の ス ク リー ニ ングに従 来 の 簡 易性 を保 ちな が ら、 よ り信 頼 性 の高 い ス ク リー ニ ン グ手 法 を確 立 す る こ とを 目的 に、 既 存 の 自己記 入 式 質 問票 を 用 い た従 来 型 の うつ 病 ス ク リー ニ ン グ調 査 に、 唾 液 中 ア ミラー ゼ の活 性 値 測 定 を検 査項 目 と して加 え、 双 方 の 関連 性 を検 証 し、 唾 液 ア ミラー ゼ を用 い た うつ病 ス ク リー ニ ン グの有 用 性 を確 認 す る。 Ⅲ.研 究 方 法 1)調 査 期 間 と調 査 対 象 平 成20年10月 よ り平 成21年1月 に調 査 を 実施 した。 調 査 対 象 と した事 業 所 は、 岐阜 産 業 保 健 推 進 セ ン ター が活 動 と して 関 与 して い る中 小 企 業4社 で あ る。 建 設 業A社 の 男 性69人 ・女 性13人 、 建 設 業B社 の 男 性42人 ・女 性9 人 、 製 造 業C社 の 男 性99人 ・女 性14人 、 製 造 業D社 の 男 性56人 ・女 性10人 の 総 計312人 を 対 象 と して 、BDI-Ⅱ の 施 行 と 唾 液 ア ミ ラ ー ゼ 活 性 値 の 測 定 を 実 施 し た 。 こ の 内 、 BDI-Ⅱ の 完 全 回 答 と 唾 液 ア ミ ラ ー ゼ 活 性 値 の 測 定 が 共 に 実 施 で き た 男 性250人 と 女 性43人 の 計293人 を 分 析 対 象 と した 。 2)調 査 方 法 調 査 に は、 自 己記 入 式 の 質 問 紙 ベ ッ ク抑 うつ 質 問 票 (日 本 版BDI-Ⅱ)お よ び 唾液 ア ミラ ー ゼ モ ニ タ ー を用 い た 。BDI-Ⅱ は、 既 存 の 抑 うつ評 価 尺 度 で あ り、 抑 うつ 症 状 の 身体 的 一感 情 的 な尺 度12項 目、抑 うつ症 状 の認 知 的 な 尺 度9項 目、 各 質 問 項 目0∼3点 の4件 法 で 全21項 目 よ り構 成 さ れ る。BDI-Ⅱ トー タ ル ス コ ア に み る重 症 度 区 分 は ガ イ ドラ イ ンに 従 い、0∼13点=極 軽 症 、14∼ 19点=軽 症 、20∼28点=中 等 症 、29∼63点=重 症 と した。 調 査 内容 の説 明 は、 著者 が事 前 に 各事 業 所 の 人事 ・総 務 担 当者 お よ び総 括 安 全 衛 生 管理 者 へ説 明 を行 った。 そ の後 、 安 全衛 生 委 員 会 にお い て審 議 事項 と して 取 り上 げ、 著者 が 各職 域 の担 当者 へ説 明 を行 い、 担 当者 よ り各社 員 へ調 査 内容 に 関 す る周 知 が行 わ れ た。 調 査 方 法 と して は、 調 査対 象 者 へ 質 問票 を事 前配 布 し、 回答 い た だ い た 質 問 票 の 回収 と同 時 に、 事 業所 の衛 生 管 理 者 と著 者 が共 同 して検 者 とな り、 就 業 中 の 被検 者 に対 して ア ミラー ゼ活 性 値 の 測定 を行 った。 3)分 析 方 法

分 析 に はSPSS  16.0J for Windowsを 用 い た 。BDI-Ⅱ トー タ ル ス コ ア と 唾 液 ア ミ ラ ー ゼ 活 性 値 と の 相 関 を 検 証 す る た め 、BDI-Ⅱ を 重 症 度 区 分 に 応 じ た 順 序 尺 度 と し、 ア ミ ラ ー ゼ 活 性 値 を 計 量 尺 度 と し た 順 位 相 関 係 数 (Spearmanの 有 意 差 検 定)を 用 い て 検 定 を 行 っ た 。 な お 調 査 結 果 に つ い て 、 性 別 、 年 齢 階 層 別 に み る 属 性 と の 関 係 性 は 、Mann-Whitney検 定 、 お よ び 年 代 を 順 序 尺 度 と し た 順 位 相 関 係 数(Spearmanの 有 意 差 検 定) を そ れ ぞ れ 用 い て 検 証 した 。 検 定 の 有 意 水 準 は5%以 下 と した 。 4)倫 理 的配 慮 研 究対 象者 に対 して は、 本 研 究 へ の協 力 は個 人 の 自由 意 志 に よ る もの で あ り、 同意 しな い場 合 は回答 しな くて よ い こ と、 ま た 同意 しな い こ とに よ る不利 益 は生 じな い こ と、 調 査結 果 が 企 業 の人 事 的 な判 断材 料 に 用 い られ る こ とは な い こ とを 文書 で伝 え 、書 面 に て 同意 を 得 た。 な お 、 調 査 は 名 古 屋 市 立 大 学 看 護 学 部 倫 理 委 員 会 の 承 認 (ID番 号08013)を 得 て実 施 した。

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IV.結 果 1)対 象 者 の 属 性 、BDI-Ⅱ トー タ ル ス コ ア お よ び 唾 液 ア ミ ラ ー ゼ 活 性 値 に つ い て 分 析 対 象293人 の 属 性 とBDI-Ⅱ トー タ ル ス コ ア お よ び 唾 液 ア ミ ラ ー ゼ 活 性 値 の 測 定 結 果 を 表1、 表2に 示 した 。 対 象 者 は 、 男 性250人(85.3%)、 女 性43人(14.7%)、 と い う 結 果 で 年 齢 は 、 男 性 が 平 均 年 齢43.4歳(標 準 偏 差 12.2)、 女 性 が 平 均 年 齢39.6歳(標 準 偏 差11.5)で あ っ た 。 業 種 で は 、 建 設 業168人(57.3%)、 う ち 男 性145人 、 女 性23人 、 製 造 業125人(42.7%)、 う ち 男 性105人 、 女 性20 人 で あ っ た 。 BDI-Ⅱ トー タ ル ス コ ア は(表1)、 性 別 で は 男 性 が 平 均 ス コ ア11.10点(標 準 偏 差7.35)、 女 性 が 平 均 ス コ ア 10.44点(標 準 偏 差6.74)で 、 性 差 は 見 ら れ な か っ た 。 男 女 を 合 わ せ た 全 例 の 平 均 ス コ ア は11.00点(標 準 偏 差 7.26)で あ っ た 。 年 齢 階 層 別 に み たBDI-Ⅱ トー タ ル ス コ ア は(表2)、 男 女 と も差 は 見 られ な か っ た 。 唾 液 ア ミ ラ ー ゼ 活 性 値 は 、 性 別 で は 男 性 が 平 均39.6K U/L(標 準 偏 差32.8)、 女 性 が 平 均36.0KU/L(標 準 偏 差 30.9)で 、 性 差 は 見 ら れ な か っ た 。 男 女 合 わ せ た 全 例 で は 平 均 値39.0KU/L(標 準 偏 差32.4)で あ っ た(表1)。 年 齢 階 層 別 に み た ア ミ ラ ー ゼ 活 性 値 の 測 定 結 果 は(表2)、 平 均 値 で は 高 年 齢 層 ほ ど 高 値 を 示 す 傾 向 が 見 ら れ た が 、 統 計 上 は ア ミ ラ ー ゼ 活 性 値 の 分 散 が 大 き く、 年 齢 と の 相 関 を 検 証 す る ま で に は 至 ら な か っ た 。 2)BDI-Ⅱ ト一 タ ル ス コ ア と 唾 液 ア ミ ラ ー ゼ 活 性 値 の 相 関 性 に つ い て BDI-Ⅱ ト ー タ ル ス コ ア お よ び 唾 液 ア ミ ラ ー ゼ 活 性 値 に つ い て 、 性 別 、 年 齢 別 に よ る 相 関 は証 明 で き な か っ た 。 こ の た め こ こ で は全 例 を 統 合 して 相 関 性 を 検 討 した 。 BDI-Ⅱ トー タ ル ス コ ア と 、 唾 液 ア ミ ラ ー ゼ 活 性 値 と の 相 関 を 検 証 す る た め 、 ノ ン パ ラ メ ト リ ッ ク検 定 で あ る 順 位 相 関 係 数(Spearmanの 有 意 差 検 定)を 用 い て 検 証 した 。Spearman相 関 係 数 は0.027、 相 関 係 数 の 検 定 の 結 果 は 有 意 確 率0.639で あ り 、 今 回 の 調 査 結 果 か ら は 相 関 は 見 ら れ な か っ た 。 ま た 、 こ れ ら2変 数 の 散 布 図 を 図1に 示 し た 。 プ ロ ッ トが 分 散 して お り2変 数 に 相 関 は 確 認 で き な か っ た 。 BDI-Ⅱ 重 症 度 区 分 に 基 づ く判 定 で は 、 トー タ ル ス コ ア29点 以 上 が 重 症 レ ベ ル と 判 別 さ れ 、 本 研 究 で は4人 (1.4%)が 同 レ ベ ル に 相 当 し た 。 そ の 内 、 ア ミ ラ ー ゼ 活 性 値 の 判 別 基 準 で あ る61KU/L以 上 の 重 症 レ ベ ル に 相 当 す る 者 は0人 で あ っ た 。 ま た ア ミ ラ ー ゼ 活 性 値61KU/L 以 上 の 重 症 レベ ル と 判 別 さ れ た 者 は57人(19.5%)で あ っ た が 、 そ の 内BDI-Ⅱ が29点 以 上 の 重 症 レ ベ ル に 相 当 す る者 は0人 で あ っ た 。 こ れ ら の こ と か ら も、 相 関 性 は な い こ と が 伺 え た 。

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V.考 察 今 回 の研 究 で は、 就 労 者 を対 象 と して 唾 液 ア ミラー ゼ に よ る生 物 学 的 な指 標 を 用 い た うつ病 ス ク リー ニ ン グを 行 い、 自己記 入 式 質 問 票 を 用 い た 既存 の調 査手 法 の結 果 と比 較 検 討 す る こ とで、 そ の有 用 性 を検 証 した。 自己記 入 式 の 質 問 紙 ベ ック抑 うつ質 問 票(日 本 版BDI-Ⅱ)の トー タル ス コア と唾 液 ア ミラー ゼ活 性 値 との相 関 関係 を 検 証 す る た め、 順 位 相 関 係数(Spearmanの 有 意 差 検 定) に よ る検 証 を行 った が 関連 性 は証 明 され な か った。 先 行 研 究 で は、 唾 液 ア ミラー ゼ 活性 値 を基 に重 篤 な精 神 状 態 に 陥 る前 に ス ク リー ニ ン グす る こ との可 能 性 が示 唆 され て い るの に対 し、 今 回 の調 査 で は そ れ らに追 従 す る結 果 を得 る こ とは で きな か った。 先 行 研 究 に お い て、 明確 に うつ病 ス ク リー ニ ン グの有 効 性 が結 論 づ け られ て い る訳 で は な い が、 現 実 的 に ス ク リー ニ ン グの手 法 と して の可 能 性 や職 域 の精 神 衛 生 管 理 に お け る活 用 の可 能 性 に つ い て 、 関連 す る研 究 か らの検 討 も踏 ま え 本研 究 の結 果 を考 察 した。 BDI-Ⅱ と並 ん で うつ 病 の ス ク リー ニ ン グ テ ス トに て 世 界 的 に も広 く使 用 され て い る 自己記 入式 の抑 うつ評 価 質 問 紙CES-Dに つ い て 、BDI-Ⅱ と の比 較 調 査 の 結 果 で は相 関 が 報 告 さ れ て い る15)。双 方 の 質 問 票 に み る共 通 点 と して、 症 状 の認 知 状 況 を主 観 的指 標 に よ る質 問項 目 と して設 定 して い る こ とか らは、 そ れ らの 間 で相 関 を示 す 理 由 が容 易 に理 解 で き る。 一 方 で 今 回 の調 査 で は、 比 較 変 量 とな った ア ミラー ゼ活 性 値 が バ イ オ マ ー カ ー で あ る た め 、被 検 者 自身 が認 知 レベ ル で評 価 す る主 観 的 指 標 と は 大 き く異 な る。 症 状 の認 知(主 観 的 指 標)と 生 体 反 応 (客 観 的 指 標)と は必 ず 連 動 す る もの で あ る と は言 い難 い。 これ らの相 違 は しば し、 精 神 科 の 臨床 現場 に お い て も診 断 や 病 状 の評 価 に あた って困 難 を極 め る事 柄 で あ り、 当 領域 の特 徴 と も言 え る。 調 査結 果 の解 釈 に あ た って は 考 慮 す る事 項 と して常 に念 頭 に 置 く必 要 が あ る。 ま た、 唾 液 ア ミラー ゼ モ ニ ター は、 被検 者 の 定点 的 な

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ス トレス度 を 測定 す る こ とに有 用 で あ る と され て い る。 しか し、 唾 液 ア ミラー ゼ は被 検 者 の 日内活 動 を通 して も 活 性 値 が 変 化 す る こ とが知 られ て い る16)。各 種 の ス ト レ ス研 究 や製 品 開発 の場 に お い て は、 快 適 用 品 の使 用 な ど 環 境 変 化 によ って もた らされ る生 体 へ の影 響 度 を確 認 し、 リラ クゼ ー シ ョン効 果 を み る指 標 と して ア ミラー ゼ 活性 値 の経 時 的 な モ ニ タ リン グが行 わ れ て い る こ とか ら もそ の特 性 が理 解 で き る17)18)19)。 今 回 の研 究 で は、 唾 液 ア ミラー ゼ活 性 値 の 測 定条 件 を 「就 業 中 の 被 検 者 」 と定 義 して い る以 外 は、 身 体 的疲 労 度 、 労 働 形 態 や所 属 部 門、 食 後 経 過 時 間等 の生 活 背 景 や 日内 変 動 に つ い て 考 慮 さ れ な か った。 質 問 紙STAIお よ び 質 問 紙GHQ-28の 調 査 結 果 と唾 液 ア ミラ ー ゼ活 性 値 と を集 団 的 に比 較 検 討 した先 行 研 究 に お い て は、 被 検 者 の 測 定 時 間、 精 神 的 な 負荷 要 因(作 業 形 態)が 条 件 と して 統 一 され て い る こ とか ら も、 今 回 の調 査 が 各被 検 者 毎 の 測定 時点 に存 在 した就 業 に伴 う負 荷 要 因以 外 の交 絡 因子 に よ る影 響 を受 けた可 能 性 は大 き く、 今 回 の研 究 の 限 界 と言 え る。 各 個 人 レベ ル に て そ の場 に お け るス ト レス状 態 を客 観 的 に認 識 す る もの に は 問題 な い が、 集 団 に つ い て統 計 的 に比 較 検 討 を行 うよ うな調 査 研 究 に お い て は、 測 定環 境 に よ る負 荷 要 因 へ の考 慮 も大 きな課 題 に な る と 考 え られ た。 従 って、 今 後 は ア ミラー ゼ活 性 値 の 測 定方 法 や 測定 精 度 に 関 す る再 確 認 も必 要 に な る と考 え る。 セ リエ に代 表 され る 「外 的刺 激 要 因 に対 す る生 体 の 防御 反 応 」 と して、 直線 的 な 因果 関係 の考 え方 に よ るス ト レ ス の概 念 に、 個 人差 や緩 衝 要 因等 を組 み込 ん だ形 で発 達 して き た モ デ ル と してNIOSHの 職 業 性 ス トレ ス モ デ ル が あ る20)。この モ デ ル は、 第1段 階 と して 「仕 事 の ス ト レ ッサ ー」 に、 個 人 要 因 ・仕 事 外 の要 因 ・緩 衝 要 因 が加 わ る こ とで 、 第2段 階 「ス トレ ス反 応 」 を 引 き起 こ し、 さ らに継 続 的 な ス トレス反 応 が 生 じ る こ とで 、 第3段 階 「疾 病 」 の発 症 を 意 味 して い る。 こ の 直線 的 モ デ ル か ら 捉 え る と、 唾 液 ア ミラー ゼ活 性 値 は第1段 階 の 「仕 事 の ス トレ ッサ ー」 お よ び第2段 階 の 「ス ト レス反 応」 に つ い て有 無 の判 別 を主 と して お り、 第3段 階 「疾 病 」 の有 無 を判 別 で き る もの で は な い可 能 性 が考 え られ る。 ま た 抑 うつ 尺 度 質 問 票BDI-Ⅱ で は、 第3段 階 で あ る 「疾 病 」 を拾 い 出 す こ とな ど、 後 半 ス テ ー ジに特 化 した性 質 が あ る と考 え る。BDI-Ⅱ が第3段 階 に特 化 した性 質 が あ っ た とす れ ば、 今 回 の調 査対 象 は就 労 者 を対 象 と した健 康 集 団 で あ っ た が 、BDLⅡ の高 得 点 集 団 と な る臨 床 現 場 を対 象 に実 施 す れ ば、 ま た 今 回 とは異 な る結 果 が 導 か れ た か も しれ な い。 唾液 ア ミラーゼ モニ ターの使 用 に あ た って は、 ア ミラー ゼ活 性 値 と うつ病 罹 患 とを 直接 的 に結 び つ け るの で は な く、 被 検 者 各 自が客 観 的 に ス トレス度 を 自覚 す る こ と、 ま た職 域 の衛 生 管 理 者 が ス ト レス環 境 を定 量 的 に把 握 す る こ とな ど、 うつ病 の 発症 に繋 が り う る要 因 へ 予 防 的 な 働 きか けを行 うた め の判 断材 料 と して の有 用性 が 高 い の で は な い か と考 え られ た。 先 行 研 究 に お い て 、 質 問 紙 STAIで は 「状 態 不 安 」 に て 、 質 問 紙GHQ-28で は 「社 会 的 活動 障 害」 に て そ れ ぞ れ 唾 液 ア ミラー ゼ 活性 値 との 相 関 を 認 め、 「ス ト レス」 と 「唾 液 ア ミラ ー ゼ活 性 値 」 との 関連 性 を結 論 と して 示 して い る15)。これ らの結 果 は、 第1段 階 「仕 事 の ス トレ ッサ ー」 と 「ア ミ ラー ゼ活 性 値 」 との相 関 を示 唆 して い る もの と考 え る。 唾 液 ア ミラー ゼ が第3段 階 「疾 病 」 を拾 い 出 せ る指 標 で はな か った と し て も、 先行 研 究 に お い て うつ病 な ど重 篤 な精 神 状 態 に 陥 る前 に ス ク リー ニ ン グす る可 能 性 が 示 され て お り、 ス ト レス の 高 い就 労 者 を拾 い 出 し、 第3段 階 「疾 病 」 に 至 る 前 段 階 に お け る予 防 的 な働 きか けを行 う こ とへ の意 義 が あ る もの と考 え られ る。 た だ し活 用 にあ た って は、健 常 、 境 界(未 病)状 態 、精 神 疾 患 な ど、精 神 状 態 で の デ ー タ ベ ー ス化 を 図 る必 要 性 が 先行 研 究 に お い て も合 わ せ て 示 され て お り、 職 域 の精 神 衛 生 管 理 に お け る効 果 的 な使 用 法 を確 立 す るに あ た って は、 さ らに症 例 数 を増 や した検 討 が必 要 と考 え る。 Ⅵ.結 語 今 回 の調 査 よ り、 唾 液 ア ミラー ゼ を 用 い た うつ病 ス ク リー ニ ン グの有 用性 を証 明 す る こ と はで きな か った。 本 調 査手 法 を 用 い た ス ク リー ニ ン グの 確立 に 向 けて は、 唾 液 ア ミラー ゼ 活性 値 の 測 定精 度 に 関 す る検 証 や、 調 査 に あ た り唾 液 ア ミラー ゼ 活性 に影 響 を及 ぼ す 支配 因子 の検 証 、 デ ー タベ ー ス作 成 に 向 けて の情 報 収 集 な ど、 引 き続 き追 跡 調 査 を行 う必 要 が あ る。 さ らに 唾 液 ア ミラー ゼ活 性 値 が 示 す特 性 を 見極 め た上 で、 精 神 衛 生 管理 に お け る 用 途 を検 討 す る必 要 性 が 示 唆 され た。 謝 辞 本研 究 に あ た り、 調 査 に ご協 力 い た だ きま した 皆様 に 深謝 い た しま す。 本 研 究 は、 平 成20年 度 看護 学 部 特 別研 究 費 の助 成 を受 けて行 って お りま す。 文 献 1)鈴 木 竜 世,野 畑 綾 子,金 直 淑,他:職 域 の う つ 病 発 見 及 び 介 入 に お け る 質 問 紙 法 の 有 用 性 検 討,精 神 医 学(0488-1281)45巻7号Page699-708(2003.07) 2)池 田 智 子,中 田 光 紀:職 域 う つ 尺 度 の 開 発,医 学 の あ ゆ み(0039-2359)221巻6号Page547-548 (2007.05) 3)上 野 修 一:う つ 病 の 診 断 と薬 物 療 法 に つ い て 考 え

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る,産 業 精 神 保 健,Vol.17増 刊 号P48(2009)

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(7)

Effectiveness

of a Screening

Test

for

Depression

Using

Salivary

Amylase

Katsunori

Adachi

Nagoya City University School of Nursing

Abstract

In Japan, the number of suicide cases exceeds 30,000 per year, which is undoubtedly taking place against a background of psychiatric disorders such as depression. Depression screening for workers is thought to be an important intervention to help promote mental health in the workplace. However, in many cases of psychiatric disorders, making a definitive diagnosis based on objective markers is complex, resulting in the problem of difficulty in identifying persons who need support. Thus, in this study, a screening test using salivary amylase activity as a biomarker was administered to workers in order to investigate correlations with conventional depression screening using the self-rated Beck Depression Inventory-Second Ed (BDI-II). Results demonstrated that due to the wide variation of amy-lase activity scores, correlation with the BDI-II could not be substantiated. In assessing amylase activ-ity scores, circadian fluctuation of salivary amylase and the influence of environmental factors surrounding subjects need to be considered.

参照

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