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個別性と普遍性 : Jude the Obscureのひとつの問題点

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(1)個別性と普遍性-Jude. the Obscureのひとつの問題点一 鮎. Generality. 沢. 乗. Individuality-A. and. Problem. Norimitsu. It. is. a. features. their. maintain after. they. ciate. his. fact. last. hero,. some. of. First. Jude. work. his. in. experiences. without. against social conventions, bero's development. But. in. we. this. canllOt. concrete,-s. of. world. everyday. Defoe・. novel since between social of the English. jn flinging. ceeds When. he. his. of. "his. college. among也e Btlt. hero".. his. cannot. the. of. =of. and. the. self-recoglljtion・ has discovered victim be an about in this. in the. a. outer. world・. After. losing. real. society. life. and. whose. discovers. and. be. toilers",. is not. the. but is derived experiences interpretation universal of man. real. *英語教室(°ept.. of. English). is brought. realistic and has recognized "formulas. nnreasonably spjritualized between也e the gap time's monologue. fact. This. this. grasps. destiny. the. his (and. and. result a. certain. society.. of. more. relation. Sue's) the. wrong", Edlin. ideas. inner. generalized. the. in. a. English conflict themes be. a. suc-. life.. real. the. of chance last, because. to the. radically Sue, with of. significance. somethhg Ⅲe tells Mrs.. natural and. struggling. light. have. man.. from. to. life. Arabella. i工1Stead. author. hero. the. acqniring. to the universal fate Jude's of man, generalizes private affliction foundation bin of giving ally real life. The of a of civil unsubstanliality an grows out of such unreal description of the and generalized relations. the. work. to. added. of strugg一e persollal on kind influences of. illusions,. retain. that. through. life with married in CbristmiIISter,. education and. mallual. he. fact. and. of. appre-. peculiar. kind of certain abstractness into has sense not the of. a. himself. failure. dreams. subjective. destiny. working・class. a. we a. develop. difficulties. the. is. there. When. element main ill the Postscript. the. even. world. rather It is the. works,. most. characters. of the solid the world life is that antinomy of the important life which is one of the. personal After the of. the. various. made real besetting Jude's. ambition. his. away. glimpses "a. growing the. prob]em life and private, Bildungsroman.. earlier. and. throws. has. see. the. of His. outer. obstacles. works.. marriage,. that. Jude. which life that. is. have. the. can. himself. meansり. fact. another. this. of. and. the. one. fictions,. we. other. author. problem. The. frustration. the. and. the. pecuniary These problems. overlook. The. work.. Obscure. the. as. regard. against. affairs light,. of. that. and. by. the. are. w血icb in letters. values. characters. life. can. Hardy's. in Hardy's. exist. explained. are. Edition;. knowledge. not. fixed. the. unlike. experiences. plenty. does. which. Jude,. or. of hard in that. Obscure,. the. we. Thomas. life. of. view. through. passed. novel,. that in. characters. their. of. in Jude. AyuzAWA. developmeIlt. of. the. of. fixity. have. in this. the. Jnde's. lack. remarkable. important. 光. this. work. between. Jude,. his. existence begins suddenly form. of. last. ill his. who as. a. to. monologue. His. recognitio】1 preSe工1ted development his tbrougb view. poiⅢt. based. oll. the.

(2) 個別性と普遍性-Iude. the. Obscureのひとつの問題点-. 65、. I Thomas Thomas. Hardyの小説における人物像の特質として,その「不変性」を指摘したのほ,′′ Hardy. and. Hisioryの著者,. 良.. J. Whiteであるが1),確かに,. --ディの一. 小説の人物の多くは,様々な事件や状況を経験した後でも,執物なまでに,強固な不変性 を保持し続けている。例えば, ら,. Dick,. Oak,. Eu畠tacia,. Henchard,. Giles, Tess. といった巨大な人物か>. Vennなどに至るまで,彼等ほ作品世界に起こる困難な状況や障害に対.. して激しい心理的動揺を体験することはあっても,彼等が予め与えられた属性,価値観に 支えられた生き方や外界-の反応の仕方を決して変えようとはしない。この作家について しばしば指摘される,都市と田園との価値観の対立2'という言わば退引ならない状況の設. 定ほ,このような人物達の不変性の故に,彼等の生を悲劇的結末に駆り立てていく前提と なる場合が多い。 Obscureは,. the この観点に立って見る時, --ディの最後の長篇小説となったJude それまでの他の作品と比べて,特異な要素を含んだ作品と考えられる。それほ,主人公,. Judeの人生の軌跡が社会と個人の対立,慕藤を通して,彼の人格的成長,発展と価値観 の変貌という局面から一貫して辿られているという点である。但し,上記の人物達とは違 Clym,. Ethelberta,. って卜ある種の発展を遂げる人物が他に存在しない訳でほない。 Bathshebaなどの人物がその例である。彼等も自己の内面的な覚醒の過程を経て,それま での人生とほ異なった人生の実在に目覚める。とは言え,これらの人物達の人生にほ,ジ. ュードの人生を貫ぬく社会対個人という図式ほ極めて希薄であり,何よりも,作者の創作 上の意図において,彼等の変貌ほ作品世界の全体的な構成要素の一部であるにすぎない。 この作品においてほ,作者の意図はジュ-ドの人生の問題と一致するものであり,彼のI・ 発展の契機となる問題でもある。作品の初版の序文に付せられた1912年のPostscript ついて,. --ディ自身,この小説で取り扱われている内容を以下に要約する三つの問題に 沿って明らかにしているo Postscriptが作品の不評に対する自己弁護的色彩を帯びていることを尉酌しても,そこに明示されている結婚,教養の獲得,個人と社会との確執とい う問題性3)紘,主人公の少年時代から死に至るまでの人生の軌跡の上で,彼の人間的成'. 長,価値観の変貌,自己の存在の意義を自覚していく過程と大きくかかわり合っているの である。このような作品のもつ問題性ほ,大きな意味での教養小説の特質とかな りの点で 重なる要素を含んでいると言えよう。. 「ある人間が一定の生の形成に達するまでのそのた. ましいの発展過程を表現する」小説であるとする,教養小説の「最大公約数的定義4'」に 加えて,金,職業,恋愛,家族との葛藤,社会制度や因襲の不合理などを身をもって体験する中で,若者が自己の成長と社会に対する認識を深めつつ,生きるこj:の意味を理解し ていくといったイギリス教養小説5'のもつ様々な面を,後に詳しく述べ為ように,この作 品はジュードの人生の中に展開していく。 しかし,. Jude. the. Obscureという作品は,こうした教養小説的な具体的な道具立てと. 作者の意図にもかかわらず,それらと矛盾するような一種特別な抽象性を内に含んでい・. に.

(3) 鮎. 66. る。. 沢. 光. 乗. Wesse芝地方の地方色豊かな--ディの他の作品とこの作品とを分けるもうひとつの. ー相違点がここにある。その抽象性,非実質性を考えるにあたり,同じように教養小説的性 卜格を備えた作品である こう。この小説の主人公,. Samuel. Butlerの. Ernest. The. Way. of. All. Flesh. について述べてお. Overtollという現実主義的. Pontifexの発展過程ほ,. な冷静な目をもったnarratorによる回想からなる極めて実質的な世界において展開され る。金の問題,商売上の細々とした現実的小事,通産相続の手続きなど,アーネストの生. きる世界ほ,ヴィクトリア朝後期の堅固な社会の実在感を読者に十分に与えてくれる。主 人公の外界との関係,反応,対処の仕方は.,父親を中心とする家族との確執や恋愛,立身 出世,教養などの具体的な相の Fに生身の人間の苦闘と歓喜の総体を形作る要素として措 かれることになる。こうしてかかわった社全体制の圏外に立って,アーネストが文筆家と しての自己の存在の意識を自覚することで,彼の人生の遍歴ほ終るのだが,彼の成長の証 として,オウヴァトンが下す次のような評価ほ,主人公のそれに至るまでの生活の実相を 月常的状況において提示されてきた読者にとって,十分納得のいくものである. But, the was. l have. as. said,. time. aunt. had. he. begall. wished. life. of. undercurrents. to. I thought. tO. as. live. kiss. the. my likely. was. in. a. style. soil,. bad. godson to more. ar]d he. be. of. use. suitable had. kissed. now. to to. seen. as. him,. and. his. of. much. it. that. His. prospects.. it with. a. vengeance;. ‥.6). アーネストを取り巻く堅固な実在感, Defoe以来のイギリス小説がもっていた人間の生 を形作る実生活上の具体的な諸条件の積重ねこそ,イギリス教養小説の特質である。ジュ ードの生涯と発展過程にもこれは存在する。処女作以来,奥にくすぶり続けていた社会的 問題意識と自己投影による自伝的要素が主人公の人生に多分に流れ込んでいることほ明ら _かなことである。しかしそのような具体性が,この作品においては,常に何物かに摩り替え られていくという印象を読者ほ否定できないのである。. Judeにおいては,. の作品世界を支えていたウェセックスの実質的な世界は最早存在しない。. -ーディの他 Christminster. の裏町の酒場にたむろする市民ほ,実体のない影のような存在であるし,ジェードが放浪 する各都市は,. Egdon. HeathやCasterbridge,. Tessが行き来する都市や農場のもつ生. 活の場としての手ごたえを読者に与えることはないのである。ジェードの人生に付き纏う 観念性,作品に奇妙な生硬さを残す抽象性は,本来具体的であるべき主人公の問題性が, 基盤となるmilieuの喪失によって,実生活のレゲエルで描き切られることなしに,性急. な作者の語りの介入によって,個別的な他界から普遍的な世界へと強引に変質させられる 時,その移行が必ずしもうまくいっていない所から生ずるものでほなかろうか。以下,ジ ュードの成長過程を追いながら,この点について詳述していこうと思う。.

(4) 個別性と普遍性-Jude. the. 67. Obscureのひとつの問題点-. Ⅰ ジェードの人生の軌跡を辿るにあたって,彼の出発点における存在の基盤を最初に明確 化しておかなければならない。この問題は,作品の発端において起こるある小さな出来事. の中に,素朴な形で暗示されている。それほ,少年ジュ-ドがみやまがらす-の同格Lか ら仕事を怠けたとして雇主のTroutbamの怒りを買うという些細な出来事である。みや まがらすに対するジュードの共感と同情は,無用者としての自己認識に基く。そして自分. は外の世界から望まれていない存在であるとするこの自己認識の背後に,崩壊し尽した家 族の孤児という主人公のデラシネ的な生活基盤があることを見逃す訳にほいかない。しか. も鳥へのこの共感は,働いて賃銀をもらうといういわば彼にとって最初の社会生活と決定 的に対立することになるのだ。こうして,ウェセックスの地に何の連帯的な拝も見出すこ とのできないジュードほ,. --ディの他の人物遠とほ全く異なった境遇から出発するので ある。帰郷者のクリムや-グドン・ヒースの-ウステ-シアほ言うまでもなく,放浪の運 命を強いられるテスにおいても伝統的な生活基盤としての田園社会との杵ほ存在するし, 同じ崩壊した家族にせよ,父や母や肉身との関係は,テスの生と現実的にかかわり,その しかし,ジュ-ドにほ,そ. 現実性の上に,彼女の根無し草としての姿が強調されているo. Fowley家の老ほ幸福な結婿ができないという,極めて実体. れがないのだ。ただ僅かに,. の薄い過去との連続性が,それも大伯母の言葉という間接的な形で示されているにすぎな い。作品の抽象性の芽は,以上のようなジェードと外界との関係の提示の中にその一端を 覗かせている。テスの場合と異なって,作者ほジェードの孤立性を,みやまがらすの運命. を見るジェード自身と同じような傍観者の目で見守るのである。その視線は,小動物-の やさしい思いやりをもった少年の人生を暗示する次のような描写の中に窺うことができ る。. Tbis was. the. Of. weaklleSS sort. the. curtain. him. again.. of. man. upon. his. as. character,. who. Ⅵ7aS. borIl. it tO. ache. life should. unnecessary. be. may a. good. signify. deal that. before all. was. he. that. suggested. called,. the well. fall. of. with. (p.21). ここには,外界との関係を通して飽くまでもジュ-ドの内面を辿ろうとする視点はな い。この語りの口調の中に,読者はジュードの現実的な成長過程とほ次元を異にする別の 世界からの声を聞く。それはThe. Way. of. All. Fleshの語り手の態度とほ全く違った意. 図から発せられた声である。それほジュードの人生の先回りであるばかりではなく, unnecessaryという形容詞等に現われているように,作者の解釈を最初から主人公の人生 に被せようとする意図である。ジュードの悲劇的結末ほ,すでに作品の始めの部分で必然 的なものとして読者の意識の中に植え付けられるが7',その原因ほこのような作者の commentによることが多く,主人公のもつinnocence,. unworldliness. といった特性と.

(5) 68. 鮎. 沢. 乗. 光. 社会生活の内的な菖藤の帰結としての印象でほない。 もっとも,この作品の世界をTess たArnold. Kettleのように8',. of. the. D′Urbervillesをmoralfable. として評し. fableあるいはallegoryの観点から解釈しようとする考. え方も可能かもしれない。だが,この作品を構成する様々な局面は,そのような範時には 含まれ得ない要素をほらんでいることも確かであるo例えば,ジュードの経験のうちに現 われる性の問題や,. Sueという人物の矛盾に満ちた行為と内面世界の屈折した心理の動き. が相関的に追求されているような所にほ,それが必ずしも十分に成功したものではないに. せよ,明確な自我意識に支えられた個人の顔をもつ人物の生を,その特殊性において掃え ようとする作者の意図がはっきり現われているからである。 ジュ-ドの存在と彼を取り巻く外界の抽象性ほ,むしろ,ウェセックスの世界に対する -ーディの認識の変化による所が大きい9)。即ち,初期の作品においてこの世界が提供し てきた伝統的な生活の基盤,人物の現実的な生を形作る強固な価値の支えは, -ーディの 意識の中ですでに失われていたのである。 Tβ∫∫はその世界の崩壊過程を暗示的に示して いるが,例えば,ひとつの例としてFarfrom the. Madding. the. CrowdやThe. Naiiveに登場するコーラスの役割をはたす群衆的人物を取ってみても,リ. Return. of. アリティ. をもったこのような人物ほJudeにおいてほもはや存在しない。ジュードの境遇がいかに 流れ者としての特性を備えていようとも,彼の存在ほ,. -ーディのかつてのウェセックス. の世界が堅固であったならば,十分なリアリティを保つことができたであろう。同じ流浪 者として登場する-ンチャードなどという人物と比べても,ジェードの存在感の脆弱さは 被うべくもない。そして,この裸のままに放置された主人公を作者ほ自らの言葉で解説し なければならないのである。. 主人公の生に絶えず付き纏うlollelinessとisolationの特性ほ,そのまま,彼の実人生 との結び付きの希薄さ,それに伴う主観世界の異常な拡大と不可分の関係にある。こうし てジュードの外界からの孤立性は,彼の内面世界に強固な価値の王国を築く。彼が死に至. るまで持ち続けるunworldlilleSSの純粋状態ほ,. pure. womallとしてのテスのそれとは. 異なって,積極的な意味での外界との闘争の拠点でもあるのだ。こうしてジュードは現実 社会に身を乗り出して行く。その時,彼が社会に踏み込むための足場として学問や宗教的. 職業を選ぶのは,学問によって身を立てようという当初からの立身出世の夢と共に,実生 活から少しでも遠ぎかった所に自己の所在を定めようとする欲求の現われでもある。しか もこれらの目的の挫折を経験する中で,彼ほdreamer. としての精神的迷妄を打破すれば. するほど,外界との結び付きの可能性を失っていくという,悲劇的な人間存在の真実を把 握するようになる。例えば,彼に初めて実質的な人生の局面を体験させるArabella. との. 生活は,成程,. sexを通して現実的な人間関係の喜びと苦渋を彼に味わう機会を与えはす laws marriage という social ritual (p.68)と学 るが,二人の別離の後に残るものほ, 問に対する情熱という内的世界への忠誠との間の退引ならない対立の自覚であった。 ジェードが次に真の現実に触れるのほ,学問の府としてのクライストミンスターの地に. おいてである。彼にとって,この都市こそ,. --ディの他の人物に対するウニセックスの.

(6) 個別性と普遍性-Jude. rural. the. to. something. worldに代るべき土地であり,. 69. Obscureのひとつの問題点-. (p.30)であったことほ. on. anchor. 言うまでもないが,それと同時に,この都市ほ先に述べた主人公の無垢な精神が作り上げ collegeの理想化. ・た途方もないdreamの世界として,すでに彼の内面に巣食っていた。. とそれに伴う精神的迷妄ほ,様々の拒否に遭遇した後,この都市のもつ別の世界をジェー ドが瞥見することによって打破される。 He. to. began. more. palpitating,. knew. thoughthey. and. little of. was. him. Christ. book. a. the. were. Minster.. or. humanity. of the. than. compendious. before. women. and. life. town. the. varied,. mer]. struggling. that. see. infinitely life・. gown. These. of Christminster,. reality. (p.126). 市民の生活の中に真の人生の実在をジェードが見るのほ,この時ばかりでほない。その stone illumi□atio□を感じ取る場面な yardでの石工達の仕事の中に彼がtrue. 他にも,. ど,瞬間的啓示としてほ存在する。こうしてジュードの内面で今まで感知できなかった新 しい人生の面が具体的に開かれていくのだ。アーノルド・ケトルの言う10',. working-. -㌔classheroとしての資格がこの時のジュ-ドに備ったことは否定することができない。こ の観点から見て,ジェードのchildlike. the. of. comprehension. worldに基くsubjective Penelope. なdreamが彼の中で最後まで変質しないことに彼の悲劇の本質を見ている Vigarの説11)ほ,主人公の成長を無視した解釈と言わなければならない。しかし問題ほ,. このようにして開かれた新しい人生を彼がどのようにして獲得するに至ったか,又,それ hero として発展を遂げる人物 忙どのように対処したかという所にある。 working・-class Bedeを引き合いに出してみると,ジュードの先の発見と価値観. として,例えばAdam. の変貌ほ,彼の内的脈絡をどのように辿ってみても,観念的な域を出ていない。アダムが 田舎の大工としての実生活の中において自己を見つめ,鍛え上げていく過程にほ,農村社 会の一員としての実在感があるのだが,ジュードにおいてほ,市民の生活とstruggling men. and. は単なる視覚の対象でしかない。学問の世界からの追放,幻滅,そし. women. て市民の生活への自覚という過程ほ,あまりにも唐突で,それほ失われた理想物に代わる .別の対象物の理想化による代償行為にすぎない。 looked. He to. came. a. entered,. public and. appreiltices, more. life.. at. his. hall, where. found boys. respectable. watch,. the. of and. room. eleven amateur. inpursuit. and, a. full smoking class.. of. shop. Ⅲe. had. and. youths. cigarettes, tapped. in. was. concert. promenade. hewent. thisidea,. of. and. the. on. Jude. progress. girls,. light real. women. soldiers, of. the. Cllristmi□ster. (p.126). ジュードがreal. till he. Christminsterの住人として認めた人物が,酒場で踊り狂う一群の人.

(7) 鮎. 70. 沢. 乗. 光. 々であったとは,あまりにも観念的な理想化としか言いようがあるまい。しかもそこにた むろする人々ほ何ら現実的な生活の背景も与られずに,ひとつの風俗としてジュードの外 Mayor. 側に存在している。これはThe. ofCasterbridgeのスラム街における酒場の括. 写などと比較してみると,そこに生きる人物達の存在感を含めて,リアルな実体を全く読 者に感じさせないのである。事実,ジュ-ドは,当然のことながら,こうして観念的にほ 自己のdestinyの在処であると認めた. toilers. manual. の世界にほついに入り込むこと. ができないのだo彼にとって,クライストミソスタ-の学問の世界がdreamの世界であ toilersの世界は,再び,あのみやまがらすの運命のように, ったとするならば, 傍観者の見る風景でしかなかったと言えるだろう。 manual. -ーディは市民生活の実相に触れたジュードの姿を,彼の現実的な実生活のレヴェルで 徹民約に措くことをせず,幻滅,宿,酒場,庶民の風俗という道具立ての上で提示しなが. ら,次のように措いている。 his. Whatever part. the. men. of. stood. and. talked. other;. had. waited. cursed. the and each. brains. had. stood. sexes. suffered,. other. at. the had. for. ill jealousy,. met. each. Hc. enough.. having. of Napoleon, two. dry. were. remarks,. himself. Charles...Here. parting・; each. like. people. had king. further. policcman's. strug・gling. his. wetness,. fallen that. into. only. thought. blessed. loving,. the. hating,. had. executioI】 coupling,. triumphed. other. each. what. …At. loss of America,. other;. on. Fourways二. Crossway,. for. ink. heard. over. in forglVeneSS.. (p.126). これほ先の引用文の直前の個所にあたるが,この引用文においてほ,前半のジュ-ドの,I. 内面描写が作者の解説的な領域に移行していく有様がよく解る。. At. Fourwaysを境にし. ての前半と後半の調子の変化は,ひとりの特定の個人としてのジェードの内面世界が,一 般化,普遍化の過程を通して,不特定多数の人間の運命-と移行させられていることを示 しているo. ジェードの人生の出来事ほ,同じ運命を生きたであろう多数の人々の生の中に. 流れ込み,一般化される。そして逆にジュードの個人的存在が,それらの無名の人々の生 と同一の次元の下に,巨視的に眺められているのであるo. こうした一般化の描写の過程を. 経た後に現われるジュードの姿ほ,歴史的時間の凝縮された場所としてのFourways 立たされるという象徴的設定を通して,時代と空間を越えた普遍的人物へと昇華されてい. ると言えよう。我々ほこのようなジェードの中に,社会的存在としての人間の手ごたえを・ 何ら感じ取ることはできない。 しかし,. collegeの夢に破れた後,もうひとつの形を変えた迷妄の所産である理想化さ. れたシューとの交渉の中で,ジェードは再び生きた人間として再生する.ジュードにとっ. て,シューの理想化を経て彼女の本質を自覚していく過程は,性という人間にとって本質` 的な問題と,社会の因襲というこれ又実質的な現実との苦闘に他ならない.これ以後.作. に.

(8) 個別性と普遍性-Jude. 品は, Little. Father. 7l. the Obscureのひとつの問題点-. Timeという抽象的な人物の登場や,生硬で,いささか作者の思想・. をそのまま代弁していると思われるようなシューの議論などの要素を含んではいるが,ジ ュードのこの具体的な経験に沿って展開されていく.そしてこの部分においても,我々ほ. 彼の成長の姿を目撃することができるのである。ジェードにとってシューの存在ほ,彼の 内面に巣食うa. dreamer. of. dreams,. Don. tragic. Quixote. (p.214)としての未熟さを. 指摘し,打破してくれる教師であると同時に,社会的因襲そのものの皮肉な具現者でもあ るという二重の意味をもっている.前者の意味において,ジュードはシュ-に導びかれつ< っ,次第に社会的現実に目を向けるように「教育」されることになるのであるが,彼がシ ューと同一の地平に立った時,彼ほ自己の生の本質的な価値を社会との対決の相の下にお Day における観衆-の演説 いて把握する所まで進む。この認識を彼はRemembrance (pp,336-7)の中で,次のように明確化するのだ.ジェードは人生の選び方として二つ. aptl-eSSに忠実に. の態度を示す。無批判に自分の置かれた道をそのまま辿るか,自己の. という内面の欲求に従ったこと. 生きるか。彼は自分の生の失敗をimpulseとaffectio□. に帰結させ,成功した人々のcold-bloodedとselfishな生き方を対比させながら,自己 paltry victim の存在の価値を確認する。ジュードにとって,彼の姿はa (p.337)として映るのだが,この言葉は, of mental and social restlessness. there. is something. wrong. in. somewhere. our. social. to. the. spirit. I perceive. (p,338)という思い・. formulas. にも現われているように,究極的には自分の生き方の肯定であり,自負の言葉であると解 することができるだろう。. 社会と個人の間の葛藤を始めて積極的,客観的な目で見据える所まで発展したジュ-ド の成長ほ,その後に起こる子供の死という事件を掛こして,彼とシューの内的世界が皮肉な 逆転劇を演じ始めるや,急速にその.)アリティを失っていく。シューの内部に存在する社. 会的因襲に対するambivalentな反応一自我を社会的因襲から解放することに対する強い 願望と臆病な恐れ-は,そのまま,彼女の衝動的な反社会的行為や,肉体の蔑視,. Pbillotson. とジュードの間を行き来する心理のうちに具現されている。こうしたシュ-の存在がジュ であったのは,理想化に曇らされた彼の目が,. ードにとってriddleでありconundrum. この彼女のうちに潜む二重性12'を少くとも最初のうちは見抜くことができなかったことを 示すものである.彼女の装われた近代的自我意識の下にほ,因襲を恐れ,それから抜け切 れない内面の古い基本構造が残存していたのである。 シューがフィロットソンの代表する一見物分りの良い社会的因襲の側に退いた時,ジュ ードほ外界に社会的生を実現するためのすべての手懸りを失ってしまう。これ以後の彼の・ Vilbert等の生き方との対比に・. 存在は,フィロットソンの妻となったシューやアラベラ,. おいて,ますますその精神性を強めていく。彼とアラベラとの再度の生活を通して,作者 ほ彼の悲惨な姿を追求するのだが,作品はこのあたりから結末にかけて,奇妙に空疎な非 現実性を呈してくるのである。アラベラとジュードの間のかみ合わない会話のやり取り, the day perish wherei作 彼の臨終の床における, Jobの自己を呪った言葉の引用-Let zwas. born,. and. the. night. in. which. it. was. said,. There. in. a. man. child. conceived・・.

(9) 72. 鮎. 沢. 乗. 光. (p・418)一等々と,彼の悲劇的な死を印象付けようとする描写ほ執劫なまでに続くが,彼 の苦悩が生の状態で示されれば示されるはど,読者はそこに作者の手によって実在性を剥 二奪されていく主人公の姿を見るようになる。ジェードのこのような非現実性は,彼が床に Edlin 臥してMrs. に語る次のような独自的な言葉の中に如実に現われてはいないだろ うか。 As our. for. the and. for. minds us†. Sue were. Our. resistance ruin. and. on. clear, ideas. whe□ and. our. fifty. were. they. me!. me. met. with. we. were. love years. at. of. truth. too. soon. brought. our. best,. own. fearless-the to. reaction. be. any in. long time. good. her,. ago-when was. to. not. And. us.. and. ripe. recklessness. (p.414). で掲げたあの具体的で現実的な問題を背負わされたジュードの 人生の帰結としてこの独自を読む時,我々はあまりにも普遍化された視野の中に,個人と -ーディがPostscript. 二社会の対立のドラマが解消されてしまっていることに気付かざるを得ない。そこには最 早,地方出身のひとりの勤労青年の人生がもつ実質性もなければ,自己の存在を見つめる 内面からの視線もない.このいわば普遍化された視線は,ジュードの生を個人的存在とし ての生として提示することを放棄して,一般的な人間と時代,社会との関係の相の下に概 説しようとする作者自身の意図の現われに他ならない。 Ⅲ Jude. the. Obscureの作者にとって,人生の日常的レベルのminutiae. of. individual. behaviourほむしろ関心の外にあった18'。しかし,この作品の前のTessまでほ,. -ーデ. ィは個人の生活の総体を形作る様々な日常的な細部や外界の事実を田園世界の堅固な構成 項素として追求したのであった。 Judeが,作者の意図の上でほ際立って社会対個人の問 ・題を前面に押し出しながら,逆に他の作品におけるリアリティを失ってしまった原因のひ. とつについてほ先に述べた。ウニセックスの世界に対する--ディの認識の変質がそれで ある。これと密接に関連した,いやこの変質を如実に示すもうひとつの原因が,. --ディ. の描写における二つに分裂する視点の中に露呈している。本論の‡章で引用したFourwaysに立たされたジェードの描写をもう一度思い起こしてみよう。ジェードの内面描写 から作者の解説的な描写-の移行の問題ほ,. Raymond. Williamsが-ーディ自身のうち. に認めたウェセックスの世界と住人に対する彼の二重性14'と同質のものである。それはハ -ディの属する階級的暖昧さと大いに関連している.彼の self-educationは正規のもの でほなかったとしても,その教育に支えられた彼の視点は,ウェセックスの ordinary peopleを措く際に,彼等と一体となろうとする欲求と同時に,同じ水準に立つことを許さ 加、別の,いわば超越者としての態度をも含み込んでしまうのだ。こうして,飽くまでも. 主人公の個人的な生にかかわろうとする態度と,傍観的な態度とに分裂する--ディの二. so.

(10) 個別性と普遍性-Jude. the. 重性が生れる。この二つに分裂した視点ほ, おいてほ,. 73. Obscureのひとつの問題点The. Mayor. of Casterbridgeという作品に. Elizabetb-Janeという人物の中にドラマ化されており,. -ンチャードやその他. の人物の生が現実的な臨場感を伴いながら彼女の目を通して読者に提示される15'。これに 対して, Judeにおいてほ,作者の強引な介入-この作者の視点を代行する人物がこの作 品にほいない一によって,ジュ-ドの現実ほ唐突にも普遍化された哲学,世界観に組込ま れてしまうのである。. このような背景のもとに創造されたジェードの人生ほ,社会と個人的理想との矛盾を生 Lydgatcが我々に与えるような 身の人間として生きる,例えばMiddlemarchの人物, 現実感を持つことができない。リドゲイトの夢と挫折の人生を構成するひとつの状況を, それに対処する彼の行為において考えてみよう。新設の病院のchaplainの職をめく、、って. TykeとFarebrotherが争っている状況において,リドゲイトほ明らかに人格的にほ後 者を賛美していながら,自分の将来の鍵を握るBulstrodeの暗黙の圧力によって,タイク の方へ投票する。病院での研究という大いなる夢のために,彼ほ一時的にせよ,自分の魂 を社会に屈服させるのだ。フェアブラザ-の悪い風評を自己正当化の道具としつつ,半ば. 無意識のうちに社会と妥協していく彼の心理の過程ほ,細かな彼自身の日常的な生活条件 と内面世界との綿密な相関関係をもちながら,具体的で実質的な人間関係のうちに展開さ れる。そしてこの事件が彼の全生涯の決定的一要素となるのである。ジェードの人生に は,部分としての現実的諸要素と彼が背負った問題性との問に,このような密接な関連性 がほとんどないのだ.. stone一皿asonとしての職人の職業にしても,酒や女に溺れる彼の 性格的要素にしても,これらの要素が社会制度という外界の状況と真に絡み合っていると ほ言えない。又,ジュードの内面生活におけるクライストミソスターからシューへの幻悲 の移行ほ,彼がその都市の一部こ見た市民のreal. lifeとどのように結び付くのか。ジェ. ードの人生に密着した作者の視点は,こうした根本的問題の前で放棄されるoそして悲劇 的な巨視的視点から見られたジュードの生ほ,ひとりの青年の生を突き抜けた所で,同時. 代の人間の存在のloneliness,さらには普遍的な人間の宿命-と昇華される。ハ-ディの 小説の価値と魅力ほ,こうした個と普遍との対比,そしてそこに生じる人間と宇宙との壮 大な対暗から生れることは確かだろう。我々はFarfrom. the. Crowdの第. Madding. 二章に,星座と大地のまさにpa。Oramicな構図を通して示されるノ、-ディの人間存在に対 する根本的な把握の態度というものを見ることができる。しかし,この対比というか個別. 的なものから普遍的なもの-の転換ほ又,ひとつの重大な危機をもほらむものではないだ ろうかoつまり個人の存在が徹底的に追求されずに,作者の世界観の中に整理し尽され て,. 「運命」という名のtragic. machinery. (p・vii)に置き換えられてしまう危険性であ. るoジェードの人生に負わされた様々な経験は, のThe. Longest. E・M・. Forster. --ディ以後,例えば, Journeyなどの作品において追求される問題を含んでいながら,希薄. な現実感しか読者に与えないのほ,とりもなおさず,ウェセックスの基盤を失った--デ ィの世界が,この発展し成長する主人公の生を小説という極めて具体的な芸術手段によっ て提示しきれなかったことを意味しているのではあるまいか。.

(11) 74. 沢. 鮎. 乗. 光. 注 1・. R・J・ White,. 2・. Arnold. 3.. TholnaS. Kettle,. ZTardγ. Heinemann,. (London. :. Thomas. Hardy,. aTd Nineteenth. The. ed・,. Hislorγ. 1972),. Jude. (London. Macmillan,. :. Novel. "Ⅲardy也e. p.267.. Obscure. the. (London. Cenlurγ. Novelist. : a. Macmillan,. :. 1974),. Critical. :. Essays. p.ll. Documents. and. Reconsideration'' Papermac,. 1969),. pp.vii-. (この後の本書からの引用は本文中に真数のみで示す。) (東京:弘文堂, 1964), 4頁。本書で引用されている 4・登張正英『ドイツ教養小説の成立』 Stammerの定義。 5・イギリス教養小説については,川本静子, 『イギリス教養小説の系譜- 「紳士」から「芸術 家」へ-』 (東京:研究社, 1973)を参考にした。 viii. 6.. Samuel. Butler,. 7.. Jerome. Hamilton. 8.. The. GoldiTLg. (Cambridge. Arnold. Kettle,. Bookstore. Way. of. Buckley, An Ltd.,. Co.. All. mesh. Season. of. ; Massachusetts tO. the Obscure. beyond 10.. Arnold. ll.. Penelope. "Hardy. the. Novelist. The. Novels. Vigar, Press,. Cecil,. 13.. 14.. basic. `Tbe. ber. lbsenite. Ian. Gregor,. XVI,. 1966,. Williams,. Windus,. observer. and. to. Kinokuniya. :. find. :. Hardy,. in. the. had. Hardy. to. come. :. the. world. slippiⅢg out of his youth, receding : a Reconsideration,". of ThoTnaS. Weidenfeld. by. of a. and. point Wessex. be. Nicolson,. had. reached. a. sufficient that recogllition. pained fingers,. into. changing shape history. (p.137). pp.2701271.. Illusion. and. Reality. (London. :. The. p.201.. Novelist. the. structure. no,3,. (London. `But. his. from. of. skin Sue is the "What Kind of. July. Raymond and. 1974), Hardy. Dickens. from. 1974), p.184. Novel (rpt. Tokyo. Hardy. feelings. was. Kettle,. David p.84.. His. support. emotional for it all stood and be remembered what. At血lone 12.. longer. no. could. and. moral Wessex. p.368.. U.P.. English. the. 1966),. Bildungsrolnan. 1961), Vol. Ⅰ, p.62.. HoweはThoTnaS 9・この点に関してIrving (1968)において次のように指摘している。 in lade. The. :. Harverd. :. ITurOducitoTL. Books,. (Penguin Youth. her. :. An. Essay. in. Criticism. (London. is. character. sister of Grace Fiction did Hardy. conceived Anne and. on. and. write?",. Constable,. :. 1960),. old lines. Bat血sheba.メ the. Essay. in. Under. CriticisTn,. Vol.. p.292.. The. English. Novel. :. From. Dickens. lo. LawTeTm. (London. 1970), pp.100-101.又,著者は別の所で--デイの二重の態度をthe the passionate (p.105)と呼んでいる。 participant. 15・詳しくほ拙論「-ーディの小説における語り手-その働きと限界-」 要』 secI, no.21. (1974)参照。. :. Chatto. educated. 『横浜国立大学人文紀.

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参照

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