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保安専門技術者向けメールマガジン 2016 年 10 月第 111 号 災害対応事例熊本地震 茨城県常総市での水害の調査を踏まえて 災害事例対応 Ⅰ 茨城県常総市での水害調査を踏まえて 常総市水害被害 鬼怒川の堤防が決壊し 浸水する住宅地茨城県常総市 高圧ガス誌 3 月号より 以

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(1)

災害事例対応Ⅰ

茨城県常総市での水害調査を踏まえて

常総市水害被害 2015.9.10 鬼怒川の堤防が決壊し、浸水する住宅地 茨城県常総市 高圧ガス誌 3月号より 以下写真提供:石油化学新聞社(プロパン・ブタンニュース) 茨城県高圧ガス保安協会・全国LPガス協会

(2)

鬼怒川の決壊による常総市の水害について 平成27年9月7日に発生した台風18号は9月9日に東海地方へ上陸したのち、同 日夜には日本海で温帯低気圧となった。この台風による直接的な被害は大きくなかった ものの、日本海を北東に進む温帯低気圧に、台風17号から吹き込む湿った風がぶつか り、関東地方北部において線状降水帯が発生した。栃木県の各所で400ミリ以上の2 4時間雨量を観測し、10日には茨城県常総市付近で鬼怒川の堤防が決壊、一般住宅の 流出や損壊などの甚大な被害が発生した。それに伴いLPガス容器の流出や供給機器、 ガス機器などの浸水被害が発生したのは記憶に新しいところである。 常総市や境町では冠水地域内のLPガス販売事業者も被害を受け、保管していた容 器が流出するとともに、関係書類も流されるなどした。 茨城県の被災状況は(茨城県災害対策本部発表) 被災住宅は全壊54件を含む5,536件が全半壊 人的被害は死亡者3名、負傷者51名 LPガス容器の流出2,344本に及び協会、販売事業者等による回収作業を実施 被災地以外の支部、系列により一般消費者宅の点検調査を行う 総点検調査数5,659件 そのうち使用可(緑のタグ)5,018件、使用不可(赤いタグ)641件を判定 協会のHPやNHKのライフライン情報より浸水被害のあった地域でのガス使用は LPガス販売事業者等の点検を受け、使用可能結果が出てから使用することを広報 常総市水害の被害図 鬼怒川の堤防決壊場所。重機を使っての復旧を急ぐ

(3)

被災したLP関連施設

プラットホームまで水没した充填所

近くの水田に浮かぶ流出容器 水が引き取り残されたLPガス容器

(4)

常総市内の複数の充填所が流出容器の回収置き場となった

水が入り込み容器が散乱する容器置き場 水没したショッピングセンター付近 高圧ホースで容器は流されなかったが・・

氾濫付近の住宅でも応急復旧・点検は早かった 氾濫して傾く住宅、給湯器付近に容器や供給 設備は見当たらない

(5)

床上浸水の住宅 調査点検車両に協会名の入った災害復旧 給湯器配線カバーの中程まで水が来た 支援の車両用ステッカーが配布された。 緊急に作った赤と緑の緊急点検用評価タグ 調査点検を総力で実施 浸水した住宅すべての点検を行う 腕章を付け、身分証も必ず携行すること 水没し使用不可となった供給設備に 調査点検の結果異常のなかった供給設備に緑のタグ 赤いタグで住民に使用しないよう警告 カセットコンロの貸与、容器の引き上げも 検討

(6)

NHKのライフライン情報で水害の対応を広報 水が引いた市内の様子 水が引いて被災者が集まる常総市役所で飲食店が豚汁の炊き出し

茨城県高圧ガス保安協会による災害対応への取り組みから参考となる項目

1.水害による流出容器の回収には、県内の被災地域以外の支部からの応援を

受け迅速に回収作業が完了した。堤防決壊地域の容器流出は致し方のないと

ころであるが、充填所、プラットホームからの容器流出も有り、転倒処置と

ともに流出の対応策が必要と思われる。

また、浸水地域において「LPガス災害対策マニュアル」で推奨されている

鎖の二重掛けの措置を施した容器については、流出を免れたとの報告も上がっ

ており、ハザードマップにおける浸水予測地区においての鎖の二重掛けと

ガス放出防止型高圧ホースの設置を促す。

2.浸水地域におけるLPガス機器の安全確認点検の実施については、

冠水したガスメーターや調整器、ガス給湯器などは、機器の内部に水が入ると、

誤作動や錆が原因で事故の発生率が高くる。浸水が収まった時点で各戸への訪

問点検を行い、冠水した機器は交換が必要となることから使用禁止措置や

容器を引き上げる等の処置を行う。今回は、需要家と販売事業者、卸売事業者、

保安センター、機器販売事業者等が確認点検を行い、結果判定のタグ(赤 or

緑)により需要家に機器の使用可否を徹底した。

被災後の応援による点検調査の基準や、判定表示などの標準化を検討する。

(7)

災害事例対応Ⅱ

熊本地震の現地調査を踏まえて

熊本地震

(8)

平成 28 年熊本県熊本市を震源とする地震に係る被害状況等 内閣府発表 1.地震の概要 (1).4 月 14 日 21 時 26 分に発生した地震 震源地:熊本県熊本地方 規 模:マグニチュード 6.5(暫定値) 各地の震度 震度 7 熊本県熊本地方(益城町宮園) 震度 6 弱 熊本東区佐土原、熊本西区春日、熊本南区城南町ほか (2).4 月 16 日 1 時 25 分に発生した地震 震源地:熊本県熊本地方 規 模:マグニチュード 7.3(暫定値) 各地の震度 震度 7 熊本県:益城町、西原村 震度 6 強 熊本県:南阿蘇村、熊本市中央区、菊池市、宇土市ほか 2.人的・物的被害の状況 (消防庁 6 月 16 日発表) (1)人的被害(4 月 14 からの累計) 熊本県:死亡 49 名、重傷 335 名、軽傷 1,318 名 福岡県、佐賀県、大分県、宮崎県:重傷 12 名、軽傷 55 名 (2)建物被害:住宅被害(6 月 16 日時点) 熊本県:全壊 7,693 棟、半壊 22,982 棟、一部破損 109,892 棟 大分県:全壊 3 棟 半壊 109 棟 一部破損 3,281 棟 非住宅被害 熊本県:公共建物 243 棟、その他 1,212 棟 火災 熊本県 16 件(LP ガス一般消費者の漏えい火災等の被害情報なし) 3.避難の状況 (1)最大 避難所数 855 箇所、避難者数 183,882 名(4 月 17 日 9:30 時点) 4.その他の状況 (1)土砂災害 (国交省情報 6 月 16 日) 土石流等 57 件(熊本県 54、大分県 3) 地すべり 10 件(熊本県 10) がけ崩れ 123 件(熊本県 94、大分県 11、宮崎県 11 ほか) (2)河川の被害 (国交省情報 6 月 16 日) 国の管理河川 6 河川、172 箇所 県・政令市管理河川 48 河川、322 箇所

(9)

(3)ライフラインの復旧状況 ア.電力:最大 477,000 戸停電(4 月 16 日 2:00 時点) 4 月 28 日系統から電力供給に切り替えを完了 イ.ガス〇西部ガス管内 最大 105,000 戸供給停止 4 月 16 日 9:00 時点その他支障なし 4 月 30 日家屋倒壊等により供給再開できない需要家を除きガスの供給を再開 〇簡易ガス 4 月 27 日時点で 3 団地で停止 4 月 28 日中に熊本県内全ての簡易ガス供給団地(系 101 団地)供給停止解消 〇LP ガス (九州全域 2,500 事業者(熊本県 434、大分県 245)) ・LP ガス輸入基地:異常なし ・LP ガス充填所:熊本県内 41 箇所全て営業 (中核充填所 1) ・LP ガス国家備蓄基地:異常なし ・LP ガス一般消費者:漏えい火災等の被害情報なし ・LP ガス販売事業者:熊本県内(434 社)のうち4販売所が破損 ウ.石油: (経済産業省情報 6 月 16 日) 4 月 16 日石油備蓄法に基づく「災害時石油供給連携計画」発動 5 月 15 日終了 写真提供 石油化学新聞社:プロパン・ブタンニュース 熊本県LPガス協会 熊本城の石垣も崩落 亀裂の入った田んぼ南阿蘇村 崩落した阿蘇神社の楼門

(10)

地震の影響か?水位の下がった水前寺成趣園

倒壊の恐れのある建物は 1 万棟を超える 地震で倒壊した住宅(益城町)

2回目の本震で大きな被害を受けた民家 被害の大きかった益城町 (御船町)

(11)

被害の大きかった益城町 大きく傾いた民家

現地写真(益城町)

道路を塞ぐ倒壊家屋 基礎部分が完全に倒壊 LP容器も散乱

(12)

LPガス供給設備の被害

地震で被災した供給設備(プロパン・ブタンニュースより)

容器も撤去された南阿蘇村のアパート 地震で転倒したLPガス容器

(13)

地震で被害に遭った供給設備 落下物が当たったのかメーターの外枠が破損

軒先に残るLPガス容器 復旧はしたが留め金がずれた跡が残る

(14)

チームLPGの活動状況

チームLPG 1~9班は災害被災地におけるLPガスの チームLPG 10班卸チームは 応急的な点検・調査・容器回収等及び2次災害の防止 ガスの緊急供給を担当

(15)

チームLPGで容器の回収 チームLPGで容器の回収

チームLPGで容器の回収 チームLPGで容器の回収

(16)

容器の回収を完了 空き地に並ぶ回収された容器

販売系列による支援、復旧作業状況

(プロパン・ブタンニュース)

系列の応援による必死の復旧作業が続く がれきを踏み分け容器の回収

販売系列による支援、容器回収状況

(プロパン・ブタンニュース)

(17)

引き上げた容器を仕分け 引き上げた容器を回収 避難所での活動 NPOによる炊き出し LPガス販売事業者による炊き出し準備 災害緊急支援チームの横断幕を設置 西原村木造仮設住宅

(18)

プレハブ仮設住宅 仮設住宅のLPガス容器二重ベルト

熊本地震の調査を終えて、改善が必要と思われる項目

<情報収集活動>

通信のライフラインは、通常に使用できたため、関係者との連絡はできた。

発災直後は、LPガス協会職員が中心となり、情報収集を行った。23 時 10 分

・FAXにより各ブロック長(支部長)に被害状況の把握を依頼

・本部長(会長)

、副本部長(副会長)等役員とは電話で連絡

・発災後、震度が大きな地域に架電し情報収集するも、お叱りを受ける状況で、

被害の状況把握については、困難を極めた。

・販売店は、お客さまからの問い合わせに振り回されていた。

・電話番にご家族が対応されていたが、詳細については、回答できない状況。

・被害のなかった事業者等からの「被害なし」報告がなかなかもらえなかった。

被害に遭って連絡できないのか、被害がないから連絡しないのか判明しない。

被害状況の正確さを期すためには、被害のなかった地域の情報は重要である。

・販売店は消費者からの問い合わせ等の電話対応に追われ、連絡する暇さえな

く、情報収集の在り方も検討する必要がある。

<系列による応援・支援活動>

・縦系列の応援活動が、生かされた。

・卸の系列販売店は、ほとんどが配送を委託しており、消費者の所在を把握し

ている配送事業者が倒壊家屋等からの容器回収作業を順調にこなした。

・配送業者の中には顧客の住所をマッピングしている業者が有り、応援時に

販売事業者の帯同なく、応急点検を実施した例があった。

今後、配送事業者との間で顧客マッピングシステムの活用を検討する。

・LPガスの復旧対応では、熊本市内のLPガス販売事業者は自社での対応を

したが、販売店が被災した地域では販売系列による対応が多かったことから、

系列との連携を踏まえた、支援体制を検討する。

(19)

<協会の災害対策>

チームLPGの発動により容器の回収を一部の地域で2日間実施、倒壊家屋

の下から容器を取り出し回収した。隊員総勢29名で、2日間に608本の

LPガス容器を回収した。

・倒壊家屋に埋もれた容器の回収作業については、解体作業をする業界等に

容器の破損によるガス漏れ等への注意喚起をする。

・倒壊した家屋から、回収したLPガス容器のバルブは、ほとんどが閉栓され

ていた。これにより、LPガス漏えいによる二次被害はなかったことから、

災害時のLPガスの取扱についての周知を徹底する。

<設備面の対応>

熊本地域には地震はないとの思いこみがあり、災害対策に関心が低かった。

・倒壊を免れた建物の供給設備を見ると、高圧ホースでつながれている容器が転

倒している設備が散見された。その対策としては、転倒転落防止の鎖の二重掛

けが有効と思われる。

また、熊本県のガス放出防止型高圧ホースの普及は、出荷率で30%なので、

設置率を上げていく必要があり、設備面の強化に取組む必要がある。

<仮設住宅へのLPガス供給>

・避難所へのLPガス供給は、多くの地域のLPガス販売事業者が供給した。

仮設住宅へのLPガス供給については熊本県とLPガス協会の調整により、

一部を除き、地元販売店がLPガスの供給を行っている。

・市町村との防災協定に仮設住宅へのLPガス供給も明記する

<災害支援協定について>

県と熊本県LPガス協会は「災害時におけるLPガス供給に関する協定書」を

締結しており、協定に基づき、LPガス容器等の手配、供給を行った。

熊本県災害対策本部からは、避難所炊き出しにおいて、人の応援・要請もださ

れた。熊本県LPガス協会は、指定地方公共機関に指定されているが、防災会

議の委員には入っていなかった。

災害対策本部会議(国現地対策本部会議 併用)への出席を求められ、事業者

の被災の状況、各家庭等の復旧状況等の説明を行った。

今後は、防災会議の委員として参画し、避難所等の状況を把握し、LPガスの

緊急供給を的確に行えるよう、中核充填所を核とした地方公共機関としての組

織体制の構築が望まれる。

(20)

まとめ

政府は、エネルギー政策の方向性を示した新しいエネルギー基本計画に、L

Pガスを「緊急時にも貢献できる分散型のクリーンなガス体エネルギー」と位

置づけ、

「災害時にはエネルギー供給の『最後の砦(とりで)

」としている。

LPガス業界が東日本大震災から学んだ教訓は、LPガス供給設備災害対策

の要諦の一つが「設備保全」にあるということだ。家屋を流してしまうような

巨大津波や土砂災害になす術はないが、今回の熊本地震のような震災において

は、基本であるマイコンメーターの感震遮断機能によるガスの停止、鎖の二重

掛け等による容器の固定、万一の容器転倒に備えたガス放出防止機能など、期

限管理を含めた日頃の設備維持により、二次災害発生のリスクを最小限に食い

止めることは出来ると思われる。

特にLPガス容器の鎖の二重掛けや、ガス放出防止型高圧ホースの導入等は

水害にも有効であり、設備面の強化はLPガス業界の重要な課題である。

常総市での水害調査、熊本地震の調査を踏まえ、LPガス供給設備の強化や、

被災後の設備点検、連絡体制の徹底などに加え、災害支援協定等の締結につい

て、

「LPガス災害対策マニュアル」に反映させて参ります。

昨今の異常気象ともいえる豪雨や、近年に発生するであろう南海トラフ地震

や、首都直下型地震等に備え、自分の地域で災害が起こることを想定して、

災害時の対応を踏まえた設備改善、災害後のBCPを踏まえた対応等の参考と

して、ご検討いただければ幸いです。

参照

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