The Carcinological Society of Japan
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ミニ シ ンポ ジウム
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で , 後 期の もの で は後 続の 頭 部 付 属 肢 が 原 器 と し て 備 わ り,
メ タノー
プ リ ウス幼生 と呼 ばれ ま す.
十脚 類を中心 に見て み る と, ノ
ー
プ リウス幼
生 の次 は ゾエ ア幼
生 です.
ゾエ ア幼
生は, 主な 遊泳 器 官が胸 部 付 属 肢で あ る こ とが特 徴で, 幾つ かの ス テー
ジを経 て成長 し てい き ま す.
カニ 類で は2
〜 8
ス テー
ジ, エ ビ類では10
ス テー
ジ 前 後の もの が知ら れて い ま す.
各ス テー
ジの特徴 と しては,
第1
ス テー
ジで は共 通し て複 眼が背 甲に固 着 し, 腹 部が5
節か ら な ります.第 2
ス テー
ジで は,
複 眼が分 離 して有 柄 とな り,
尾 節が2
節に分 節 し て,
腹 部 が6
節と な ります.
第3
ス テー
ジ 以降は遊 泳 肢の 剛 毛が2
本 ずつ 増してい き,
後 続の胸 部 付 属 肢や腹 部 付 属 肢が原 器として 出 現 し随 時 発 達 して い き ます.
ま た,
ゾエ ア幼生 は各 分 類 群によ り形 態 が 特 徴 的であ り,
エ ビ類一
般で は ミ シ ス幼生,
イセエ ビ 類で は フ ィ ロ ゾー
マ 幼生等,
そ れ ぞ れ特 有の 名 前で 呼ばれ ます。
ゾエ ア幼生 の次に メガ ロ バ 幼生へ と変 態 し ま す.
メ ガ ロ バ 幼 生 と は, 腹 肢に より遊 泳 する幼生 の事
です.
全 体 的に かな り発 達し てい て,
そ れ ぞ れ,
エ ビ 類・
ヤ ドカ リ類・
カニ 類 らしくな り ます が, い ずれ も, 成 体の 形 態と はか な り異 なっ たも の で, 近 縁 種間で は差 異が はっ き り しない こ とが 多い ようです.
普通, メ ガ ロ バ 幼 生は た だ1
ス テー
ジ だけです.
メ ガ ロ バ 幼生 も分 類群に よ り特 徴 的 で, エ ビ類で は ポス トラー
バ , ヤ ドカリ類で は グ ロ コー
テ幼生 , イセエ ビ類はプエ ル ル ス幼生.
セ ミ エ ビ 類 はニ ス ト幼 生 等の名 前で呼ば れて い ます.
十脚 類以外の 分 類群 につ い て もそ れ ぞ れ様々な
幼
生 を経 ます.
口脚 類で は シ ャ コ類幼 生, オ キ ア ミ類で は カ リ プ ト ピス幼
生, フ ルキ リ ア幼
生, フ クロエ ビ類で はマ ン カ幼 生, 蔓脚 類 で はキプ リス 幼生,
カ イア シ類で はコ ペ ボ ディッ ト幼
生等.
十 脚 類の 幼生 はWilliamson
に よっ て, 遊泳肢 が ど こ の付 属 肢である か に よっ て,
ノー
プリ ウス幼
生, ゾエ ア幼生 , メ ガ ロバ 幼生に分 類 さ れてい ま す が, こ の定 義を 十脚 類以外の分 類群 の幼生 に も当ては め る と,
カ イア シ類のコ ペ ボデ ィッ ト幼生 と蔓 脚 類の キ プリス 幼生,
オ キ ア ミ対の カ リプ ト ピス 幼 生 は ゾエ ア幼生 に,
口脚 類 幼生 とフ クロ エ ビ類の マ ン カ幼生 はメガロ バ 幼生 に相 当す ると考 えら れ ます.
これ らの幼 生の特 徴をみ ます と,
各 幼生 は甲 殻 類 の系
統 と類 似 する よ うに思わ れ ま す.
すな わ ち,
ノー
プリウ ス 幼 生は頭 部 付 属 肢が遊 泳 器 官であ り, こ れ は,
鰓脚類の員 甲 類 と枝 角 類に類 似 し ま す.
ゾエ ア幼 生は胸 肢 が 遊 泳 肢であ り,
腹 部に は付
属 肢が未 発 達です.
これは, 鰓 脚 類の無 甲 類や,
カイア シ類, 鰓尾類 等の 切 甲 類に相 当 しま す.
メ ガロ バ 幼 生は腹 部 付 属 肢が遊 泳 器 官であ り,
これ は等脚類や端 脚 類 等の 軟 甲 類に相 当 する ように思 い ま す.
テ ナ ガホンヤ ドカ リ の相対繁
殖 成 功 度の試 算和 田
哲
(
北 海 道大学 水産学 部)
多
くの小 型甲殻 類 と同様
に,
ヤ ドカ リ では一
般 に,
個 体マー
キン グ お よ びマー
キン グ個体
の追跡 が困 難である た め,
実際 に, 雄の 繁 殖 成 功 度 が 体 サ イ ズ と どの ような関 係に あ るの か調べ た例は な い ようである.
本 研究で は,
テナガ ホ ンヤ ドカ リPagurns
middendorffii を 材料
と し て, ヤ ドカ リ が 交 尾 前ガー
ド行 動を示 すこ と を利 用して, 雌 雄の 繁 殖 成 功 度の 算 出を試み た.
テ ナ ガ ホン ヤ ド カ リ は,
主 に岩 礁 域の潮 間 帯か ら浅い 潮 下 帯にか けて分 布す る 北方 系のヤ ドカ リ である.
函 館 湾 葛 登 支 岬 周 辺におい て,
本 種の産 卵 期は11
月 上旬を ピー
ク と して10
月 下旬か ら12
月 上旬で あ り, 抱 卵 期 間は約3.
5
ヵ 月 だっ た.
雌の 産 卵回数は年一
回だっ た た め,
雌の 繁 殖成 功度は,
その抱 卵 数と一
致 する とみ な すこと がで き た.
雌の 体サイズと抱 卵 数の 間には有 意な 正の相 関が あ り,
抱 卵 数は体サ イ ズの約3
乗に比例 して増 加した.
本 種 は 他のヤ ドカ リ類 と同 様に交 尾 前ガー
ド行 動 を行い,
その 際,
雄 間の雌を め ぐる激しい 競 争 が, 野外 及び室 内 実 験におい て観 察 される.
室 内 実 験の 結果, 雄問の競 争の勝 敗は,
直 接 的 あるい は間接 的に体サ イ ズに強 く依 存 して い た.
こ の こ とか ら,
野 外 におい て, 雄の年
間繁 殖 成功 度 は体 サ イ ズ と 強い 正 の相関を 示 すこ と が 予想さ れる.
雄の繁 殖 成功度 を以 下の手順 で求め た.
まず, 全 体の サ イズ組 成とガ
ー
ド個 体の サ イ ズ 組成 か ら,各
サ イ ズ ク ラス に おける ガー
ド個体の 比率
を算 出 するこ と によっ て,
テ ナ ガホ ン ヤ ドカ N工 工一
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