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内容 はじめに ワークスタイルとワークプレース オフィスでの働き方の変化 在宅勤務への挑戦 サードワークプレースの台頭 ABW(ACTIVITY BASED WORKPLACE/WORKING) という考え方

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Academic year: 2021

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ワークスタイル変革に資する第三の場

(サードワークプレース)

活用の可能性

~ 2016 年度テレワーク最新事例研究部会報告書 ~

平成 29 年 7 月 20 日

一般社団法人 日本テレワーク協会

テレワーク最新事例研究部会

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内容

はじめに ... 1 1. ワークスタイルとワークプレース ... 4 1.1. オフィスでの働き方の変化 ... 4 1.2. 在宅勤務への挑戦 ... 4 1.3. サードワークプレースの台頭 ... 5

2. ABW(ACTIVITY BASED WORKPLACE/WORKING)という考え方 ... 6

2.1. ABW(ACTIVITY BASED WORKPLACE)とは ... 6

2.2. ABW に必要となる環境 ... 7 2.3. ABW の観点から見たオフィス ... 8 2.4. ABW の観点から見たテレワーク ... 9 3. サードワークプレースと ABW ... 10 3.1. ABW の ACTIVITY – 業務タスクの特性... 10 3.2. 業務タスクと執務場所 ~ どこで業務を行えるのか ~... 10 3.3. 業務タスクと執務場所 ~ どこで行う事が効率的か ~... 11 4. サードワークプレースをよりよく選択する「整理用ワークシート」の提案 ... 12 4.1. 「整理用ワークシート」の利用方法 ... 12 4.1.1. 業務タスクの洗い出し ... 13 4.1.2. 執務場所の洗い出し ... 14 4.1.3. 業務タスクごとの執務場所の特定 ... 15 4.1.4. 適性性の検討 ... 15 4.2. サードワークプレース利用における論点 ... 15 5. テレワークに関する考え方 ... 18 6. おわりに ... 19

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はじめに

 本書の目的 ➢ 第三の場所(サードワークプレース)1に注目し、オフィス・自宅とどのように異な るのか、特に設備要件に注目してその利用価値を考察する。 ➢ 企業の部署あるいは従業員が第三の場所を活用するにあたってその分析、計画を 立案するために有用なワークシートを提案する。  本書の対象者 ➢ 企業内においてテレワークを推進する担当者 ➢ サードワークプレースを利用する従業員とその上司、同僚 出典:日本テレワーク協会 (http://www.japan-telework.or.jp/intro/tw_about.html)。 在宅勤務の実施事例が徐々に増えているが、首都圏の住宅環境では家庭内に仕事場を持 つことが出来ない場合も多い。また、家庭は生活の場であり、常に仕事が出来る環境が整 っているとは限らない。 コワーキングスペースは個人事業主やスタートアップの企業の利用が多かった。だが、 1 本報告書内では、第三の場所(サードワークプレース)を、「第一の場所(オフィス)、第 二の場所(自宅)、以外のすべての働く場所」と定義する(図1 の 3rd WP の円の中を示す)。

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2 ザイマックス「ちょくちょく...」や東急電鉄「NewWork」のように、企業向けのサービ スが増えてきている。これらのサービスは首都圏を中心に、企業内のテレワーカーの利用 を想定している。これらのサービスは企業が契約するものであり、営業などが移動の合間 に一時利用するという事例が徐々に出始めている。 上記のような環境変化により、企業においても働く場所の多様性が増してくると考えら れる。 本報告書では、企業の生産性の向上の視点で、これらの第三の場所(サードワークプレー ス)に注目し、オフィス・自宅とどのように異なるのか、特に設備要件に注目してその利用 価値を考察する。さらに、企業の部署あるいは従業員が第三の場所を活用するにあたって その分析、計画を立案するために有用なワークシートを提案する。本報告書の主な利用者 は、企業内においてテレワークを推進する担当者を想定している。さらに、サードワーク プレースを利用する従業員が自分で適切に働く場を選択するために利用することも想定し て記載した。 図 1 (出典)岸本・熊野・小豆川「日本テレワーク学会第18 回研究発表大会【企画セッション】 多様化するワークプレイスモデルの再定義~テレワークの視点から~」2016.07.02

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3 【研究部会報告書 作成者一覧】 研究部会長 齋藤 学 (株)シーエーシ 経営統括本部経営企画部ITコーディネータ 研究副部会長 萩原 高行 合同会社ユビキタスライフスタイル研究所 代表 アドバイザー 小豆川 裕子 (株)NTTデータ経営研究所 社会システムデザインユニット上席研究員 サブアドバイザー 熊野 健志 (株)富士通研究所 知識情報処理研究所 次世代認証・認可プロジェクト技術経営修士 研究部会メンバー 石川 文雄 富士ゼロックス首都圏(株) 執行役員 コーポレート担当統括長 石坂 俊成 (株)アール・アイ 取締役 プロダクト営業部 部長 石崎 真弓 (株)ザイマックス不動産総合研究所 マネージャー 大貫 英雄 (株)アンリツプロアリシエ 代表取締役社長 滝沢 靖子 (株)NTTデータ 法人・ソリューション事業推進部戦略マーケティング室 武田 かおり 社会保険労務士法人NSR ワークスタイル推進室CWO 社会保険労務士 富吉 直美 一般社団法人日本テレワーク協会 主席研究員 中島 康之 社会保険労務士法人NSR 代表社員 引地 直人 (株)リコー BS 事業本部 TFCMVPT 室長 平山 順一 富士ゼロックス首都圏(株) 総務部 担当部長 丸尾 和弘 日本ユニシス(株)ビジネスサービス推進部 ビジネスサービス戦略室 スペシャリスト 山崎 紅 富士ゼロックス(株) 変革マネジメント部 マネージャー 事務局 内山 明人 一般社団法人日本テレワーク協会 主席研究員

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1. ワークスタイルとワークプレース

この章では、オフィス、自宅、サードワークプレースのそれぞれの変遷について記載す る。 1.1. オフィスでの働き方の変化 従来のホワイトカラーの働き方は自席を中心に固定席で業務を行うというスタイルが一 般的であった。企業は生産性を高めるために、長時間座席で仕事をすることを想定してオ フィスを整備してきた。自席で資料を作り、隣の席の同僚と相談をし、窓際に座る上司に 決裁をもらう。多人数での打合せでは個室の会議室に集まるというのが典型的な働き方で あった。 1980 年代からの PC の普及、1990 年代からのインターネットの普及により、紙資料の電 子化と共有が可能になった。さらに、遠隔地からでも資料の参照や更新、ワークフローシ ステム等による決裁の電子化が可能になってきているが、いまだ物理的に資料を用意し集 まって働くという考え方からは容易に脱することができない段階にある。 固定席は、企業側が一定の領域の管理を個々の従業員に任せているため、利用率が低く ても他の従業員が利用する事はできないという欠点がある。一方で、どのような部署でも 在席率は100%ではなく、営業をはじめとして外出率が高い部署では在席率が 50%を切るケ ースも少なくない。 そこで、余っている座席を削減するため、フリーアドレスを導入する企業も増えた。フ リーアドレスでは書類を放置できないという不便さはあるが、在席時の一人当たりの利用 可能面積が増大し、ゆったりとしたスペースで作業を行う事が可能になる。さらに、当該 部署の床面積を減らしても 1 人当たりの面積を高めることができ、不動産コストの削減と 快適感を両立させる道も開ける。一方で、固定席に慣れた人にとってはフリーアドレスの 場合は毎日どこに座ればいいのかがわからず不安があり、個人の私物を席に置くことが出 来ないなど、抵抗感がある場合も少なくない。業務内容や人によってはフリーアドレスを 強制すると生産性が低くなる場合もある。このように、フリーアドレスは、オフィスの働 き方の課題を一部解決するが、全面的な解決手段とはならないことが徐々にわかってきた。 1.2. 在宅勤務への挑戦 テレワークの代表例は在宅勤務であり、ワークスタイル変革のために徐々に在宅勤務を 許可する企業が増えてきている。お試しとして週に 1 度以下の実施であれば、家族が居な い日などを見計らって在宅勤務を行う事が出来るが、定期的に実施し始めるといくつかの 問題に直面する。自宅は育児や介護など自分以外の環境の変化を受けやすい。たとえば、 小学生の子供がいる場合には、学校に通っている間は集中して仕事が出来ても、子供が帰 ってきた時には集中して仕事が出来なくなる。また、子供に関しては夏休みやPTA や学校

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5 行事などの影響も大きい。 在宅勤務を行う場合には、電話やWeb 会議の活用が必須となるが、家族が居る場合には 音声を使ったコミュニケーションがとりづらい。帰宅した家族に呼ばれる、近所で突然工 事が始まるなど、様々な理由で音声を使ったコミュニケーションに邪魔が入る。これらの 問題は、在宅勤務を継続している人であれば、一度は経験したことがあるだろう。日本の 居住環境では、家族の邪魔が全く入ることなく集中できる執務環境を自宅に持っている方 は、まれだと思われる。音声に関する問題は、家族が帰ってきてから業務が終了するまで の、ある一定の時間のみサードワークプレースで働くことで解決する場合もある。だが、 在宅勤務では自宅以外で業務を行う事は許可されていない場合が多く、サードワークプレ ースで働くことを明示的に許可している企業は少ない。 さらに、在宅勤務では、働く場所やIT 環境の有無、家族の理解や騒音などの不安定な環 境といった様々な課題が存在する。 1.3. サードワークプレースの台頭 本文書では、サードワークプレースをオフィスおよび自宅以外と定義している。サード ワークプレースには普段勤務している以外の、シェアオフィス、コワーキングスペースに 加えて喫茶店、カラオケボックス、ロビー等公共スペースなども含まれる。 サードワークプレースは既存では大きく 2 つの利用方法があった。営業などの移動の合 間の短時間の利用と、執務者のニーズに起因する同じ場所の長時間利用である。 営業などは今までも移動の合間に喫茶店などで資料の確認やメールの作成などを行って きた。この延長線上に、個室としての利用でカラオケボックス、電源の利用できる喫茶店、 ファーストフードなどが選択肢として加わってきている。移動の合間の場合には、多くの 場合は数十分から数時間以内の一時的な利用であるがセキュリティの問題があるため企業 は公式に利用を許可することは少なかった。ここに企業が利用を許可するコワーキングス ペースも選択肢として考えられるようになっている。 長時間の作業場所の事例としては通勤時間の削減を意図したサテライトオフィスがある が、最近はシェアオフィスやコワーキングスペースの台頭が目覚ましい。シェアオフィス とは複数の企業が同じスペースを利用するオフィスである。企業単位で個室を提供する場 合が多く、2000 年代から散見されるようになってきた。コワーキングスペースは主に個人 が利用するオープンな大部屋を提供するサービスである。最近は、シェアオフィスがオー プンスペースを提供するようになったり、コワーキングスペースが個室を提供するように なったりと、コワーキングスペースやシェアオフィスの境目は曖昧になってきている。 一部の企業でその利便性からコワーキングスペースを利用する事例が徐々にみられるよ うになっている。だが、大多数の企業ではまだ有効性が認識されていない。

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2. ABW(Activity Based Workplace/Working)という考え方

この章ではABW という考え方を紹介し、ABW を自社のオフィス外に適用することで生 産性と利便性を同時に高める考え方を紹介する。

2.1. ABW(Activity Based Workplace)とは

ABW(Activity Based Workplace)とは、従来のオフィス、特に自席で執務するという考え 方から脱し、業務タスク(Activity)に応じて適切な場所を働き手が選んで執務するという 考え方に立つワークスタイルと、その思想に基づいたオフィス設計である(Activity Based Working という概念として紹介されている場合もある)。 業務タスクと場所は生産性(効率性・創発等知的生産性)に影響を与える。一人で集中 して資料を作成したい場合には誰もいない環境を選びたくなる。誰もいない部屋は自宅の 部屋の場合もあれば、会社の会議室の場合もあるだろう。大きなディスプレイが必要な場 合には自宅にある場合もあれば、会社の自席に大きなディスプレイがある場合もある。同 僚と会話をしながら企画を詰めたい場合に、会議室でホワイトボードに向かって企画を検 討する場合もあれば、Web 会議で同僚と資料を共有して企画を詰めていくことが効率的な 事もある。イノベーションを生み出すために向いた会議室もある。文章を書き始める前に は、PC すら持たずに散歩することが最も頭の中を整理できる場合もある。 このように働く環境の多様化によって業務タスクが増える傾向にあるが、それぞれの業 務タスクによって適した作業場所は違ってきている。業務タスクによって働く場所を選ぶ ことができれば生産性が高まると考えられる。 ≪業務タスクの分類例≫ ・一人作業:アウトプットを作る作業 例:企画/構想、調査、デザイン/設計、開発コーディング等、資料作成/執筆活動 ・バックオフィス業務 例:印刷、法務、経理・会計、精算、システム/データ入力、集計など ・一方向のコミュニケーション(非インタラクティブ) 例:指示、依頼、確認、報告、問合せ、回答、連絡、承認 ・インタラクティブなコミュニケーション 例:レビュー/確認、相談/ディスカッション、動機付け/方向付け

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7 2.2. ABW に必要となる環境 ABW の取り組みに必要となる環境は、場所だけではない。例えばペーパーレスの推進、 ICT 環境、さらにルールの整備も必要となる。ペーパーレスの推進は、執務できる場所の 制約を取り払うために重要な要素である。ペーパーレスの環境がない場合には紙が基準と なって行動する必要があるため、紙の受け渡しが発生する。紙の受け渡しをスムーズに行 うためには固定席であることが望ましいため、ABW は行いづらいであろう。 ICT 環境整備は段階に応じて必要となる。ホワイトカラーの業務であれば PC は最低限必 要となるが、デスクトップPC の場合には執務場所は PC の前に固定される。ABW のよう に移動を行って執務をする場合には最低でもノートPC 等が必要となる。それ以外にもコミ ュニケーションツールも段階に応じて必要となる。テレワークに必要なICT 環境としては、 ≪シェアオフィスやコワーキングスペースの利点、欠点≫ サービスプロバイダー間の競争があるためサードワークプレースには、サービス品質、 コストパフォーマンスの両面で継続的な改善が期待できる。東京23 区のオフィスワー カーの一人当たりの月額費用はオフィス賃料だけで月額65,192 円という調査結果(ザ イマックス総研)もあり、独立系のコワーキングスペースを利用(時間単位、月額単位、 期間単位など、ニーズにあわせてオンディマンドで利用可)できるサービスが増えてい る事を考えると、コスト効率化が期待できる。オフィス賃料には、清掃のコストや電源、 空調、ネットワークのコストは含まれないので、空間をシェア利用する事の経済的な合 理性は高い。また、遍在性も高く、総移動時間を削減できる可能性も大きい。 一方で、サードワークプレースはシェアサービスのため、セキュリティ上の懸念を拭い 去る事は難しい。また、在宅勤務同様、オフィス勤務に比較して同僚との対面コミュニ ケーションの密度は低下する。 一旦、テレワークを推進した企業でも、コミュニケーション密度の低下が生産性の低下 につながってテレワークを取りやめるケースが複数報じられている。コミュニケーショ ン計画を相当重視しないと重大な副作用を招きかねない。他方、従業員にとっては同僚 とは異なる目線や専門性を持つコワーカーとの新たな出会いの機会が得られ、事業遂行 上有用な新たな気付きが得られる可能性もある。

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8 Web 会議などのテレワークでコミュニケーションが低下しないための施策や、執務中/オフ ィスに居る/連絡可能なのか、といった執務状況を共有するためのプレゼンス管理などがあ る。 また、上記の前提を整えながら、働く環境の整備とルール化も必要である。オフィス内 で ABW を実施する場合にはオフィスレイアウトの変更やフリーアドレスの導入が必要で あるが、オフィス外を対象とする場合は在宅勤務制度やサードワークプレース利用のため のルールの整備が必要となる。 2.3. ABW の観点から見たオフィス オフィスにABW を適用すると、オフィス内でその業務タスクに適した場所を選んで作業 をすることになる。一般的には生産性を高めるために仕事内容に応じたスペースをオフィ ス内で探索するという行動がおきる。「軽い打ち合わせを伴うような作業」、「集中して仕事 をする作業」など、同一フロアであっても作業によって都合の良い場所は変わってくる。 チームで大きなテーブルを共有したいというニーズも出るし、集中したいときはあえて、 馴染みのメンバーから離れて執務したいケースも出る。フリーアドレスを導入していない 場合は難しく感じるかもしれないが、オフィスレイアウトを変更しなくともルール変更の みでABW を行う事も可能である。 フリーアドレスエリアが複数階あるいは複数の部屋になったケースでは、フロアあるい は部屋ごとに位置付けを決め、「このエリアでは電話はしないルールとする」とか、「この エリアは静粛スペースで会話はしないルールとする」とか、フリーアドレスの一般執務エ リアに隣接する軽い打ち合わせに適したテーブルの配置を行うなど、オフィスの生産性向 上、執務体験の高品質化が進む。 最近では、オフィス移転時やレイアウト変更時にABW に関わるコンサルティングサービ スを行う不動産会社も出てきている。 図 2 ≪フリーアドレスのレイアウト事例:ミーティングスペース≫

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9 2.4. ABW の観点から見たテレワーク ABW は自宅やサードワークプレースに適用することができる。 ABW の「業務タスク(Activity)に応じて適切な場所を働き手が選んで執務する」に注 目すると、「適切な場所」が必ずしもオフィス内に留まるものでない事に気づく。どの従業 員であっても、その人の行う業務タスクの中には、オフィス外でもできる内容のものがあ り、むしろオフィス外の方が生産性向上を期待できるようなものもある。 従来、テレワークは「育児や介護で執務場所や時間に制約がある従業員への救済措置」、 あるいは、「営業等外出時に隙間時間が生じてしまう従業員の生産性向上施策」として考え られることが多かった。しかし、ABW の観点で見直すと、テレワークは特別な働き方では なく、その業務タスクを行うことのできる適切な場所がオフィス外であるだけの違いとな る。つまり、テレワークは「特別な人が実施する」のではなく、「業務の生産性向上のため に全ての人が実施する」ことが自然になる。 誰にでもテレワーク可能な業務タスクがあり、その一人一人の置かれている状況により 最適な執務場所を選択することとなる。 このような考え方の下では、オフィス内だけでなく自宅や喫茶店、コワーキングスペー スなどが候補となる。働く場所を業務内容とIT 環境などの実施する要件で積極的に選択し、 さらに最も生産性の高い場所を選んで働くようになるであろう。

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3. サードワークプレースと ABW

この章では、企業によるサードワークプレースの利用を想定し、業務タスクと場所に関 する考え方について記載する。 3.1. ABW の Activity – 業務タスクの特性 サードワークプレースで業務を行う場合には、どのような業務をオフィス外で行うこと が出来るのかのルールが必要である。ここでは、業務タスクの 3 つの制約を取り上げて、 それぞれについて分析する。 業務タスクには、3 つの重要な制約がある。一つ目は、「その場所でしかできない(場所 の制約)」という制約、二つ目は、「その時間でしかできない(時間の制約)」という制約、 三つ目は、「一人で進めるものか複数人で進めるか(協働者の制約)」である。 1 つ目の特性である「場所の制約」のある業務は、ホワイトカラーでは比較的少ない。例 としては店舗での接客業務や、工場等で機械設備を動かすような業務である。これらの業 務でテレワークはあり得ない。 2 つ目の特性である「時間の制約」のある業務の代表例は会議である。Web 会議であれ ば場所は超えられるが、時間の制約を超える事は出来ない。 3 つ目の特性である「協働者の制約」の例としては、ブレーンストーミングなどがある。 ブレーンストーミングは、現在は対面である方が望ましいことが多いが、同時に行う必要 がない場合には社内SNS を利用して行う事も可能であろう。また、Web 会議の進化など技 術の発展によって徐々にテレワークでブレーンストーミングを行う事も可能となるであろ う。ここから、3 つ目の「一人で進めるものか複数人で進めるか」という特性は「その場で しかできない」という制約と比較すると対処できる可能性が大きいと言える。 3.2. 業務タスクと執務場所 ~ どこで業務を行えるのか ~ 3 つの制約条件以外にも業務タスクを行うために必要な条件がある。 例えば、単純なケースでは、Internet が繋がっていないところではできない仕事がある。 別の例としては、企業のWeb 会議等のインフラが整っていたとしても、実際に Web 会議が 可能な場所は意外と少ない。また、プリンターが無いと資料の印刷はできないし、資料に よっては簡易製本が必要で自宅ではできない、あるいは社として許容できないケースもあ るだろう。 現在はコンビニエンスストアのプリンティング機能やスキャン機能は通常のオフィス並 みに高く、Kinko’s のようなサービスを利用すれば、場合によっては社内で準備するより高 品位なアウトプットを出せる可能性もある。一方で、外部リソースを使う場合には、相応 のリスクも伴う。それぞれのテレワーク可能な業務タスクには、多かれ少なかれ、それぞ れ執務可能な場所が備えていなければいけない条件がある。

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11 3.3. 業務タスクと執務場所 ~ どこで行う事が効率的か ~ ペーパーレス環境など ICT 環境が整って来れば、情報端末を使ってリモートでも実施で きる業務タスクは増える。複数人で進める業務であっても、文書共有やWeb 会議を使えば、 テレワーク可能な業務は増える。しかしながら、テレワークができることと、テレワーク で執務するのが望ましいということは異なる。 過去を振り返れば、電話が無い時代には、1 分で伝えられる簡単な報告でさえ、オフィス に戻らない限り実施する事はできなかった。また、電話が普及した後でも、電話を使わず に訪問あるいは対面でコミュニケーションをとらなければ失礼にあたるという時期もあっ た。つまり、当時電話は対顧客のコミュニケーションの条件を満たしているが、十分では なかったのである。現在でも対面コミュニケーションは重要であるが、1 分の電話で済む内 容を 1 時間以上の移動時間を費やして対面報告するのは非効率で、無条件に対面コミュニ ケーションに頼るような人は高い生産性を出すことなどできない。 繰り返しになるが、テレワーク可能な業務を本当にオフィス外でやるのが適切かどうか は別の問題として考えなければいけない。例えば、通勤時間が長い人であれば、テレワー ク可能な業務をある日にまとめてその日だけ在宅勤務で 3 時間分の移動時間が不要になる ケースもある。一方で、オフィスに出て一緒に働いていた方が 3 時間分の移動時間を費や しても有利かもしれない。1 分の電話で済ますか、1 時間かけても対面で話すことを選択す るかの選択に100%の正解など存在しない。

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4. サードワークプレースをよりよく選択する「整理用ワークシート」の提案

「業務タスク」を「どこで出来るのか」を分析するための「整理用ワークシート」を研 究会で作成した。「業務タスク」と業務に「必要な要件」を入力し、場所の情報を入力する ことで、どの業務をどの場所で行ってもいいかということを簡易的に分析することができ る。本章では、「整理用ワークシート」の利用方法と実際に研究会メンバーでワークシート を利用して得た気づきについて記載する。 4.1. 「整理用ワークシート」の利用方法 「整理用ワークシート」の概要を記載する。 「整理用ワークシート」はプロトタイプを公開し、利用方法の詳細も記載した。 業務タスクを行っていいかどうかを判断する手順を示す  自分で行っているテレワークが可能そうな「業務タスク」を上げる  業務タスクに「必要な要件(属性)」を整理する  場所が「必要な要件」を満たしているかを確認する  これにより、その「場所」でどの「業務タスク」を行えるかが分かる。

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13 4.1.1. 業務タスクの洗い出し 「業務タスク」を洗い出す。業務タスクは、「資料作成」などの作業である。その後、業 務タスクごとに「必要な要件」を記載する。その業務タスクを行うために必要となる ICT 環境などの条件であり、資料作成であればPC の利用やプリンターなどがあげられる。 「整理用ワークシート」では、業務に必要な要件として以下をあげた。  PC 利用環境(机、電源、ネットワーク)  利用可能設備(貸出 PC、Web 会議関連機器、ホワイトボード等)  事務機器(複合機等)  執務環境(プライバシー確保、会話可否、通話可否)  特殊な設備 利用時間 P C 作 業 化 ( シ ー ト と デ ス ク な ど ) 電 源 有 線 L A N 無 線 L A N 携 帯 電 話 携 帯 P C W e b カ メ ラ ヘ ッ ド セ ッ ト ス ピ ー カ ー フ ォ ン モ バ イ ル W i F i / テ ザ リ ン グ 貸 出 P C 貸 出 デ ィ ス プ レ イ テ レ ビ 会 議 用 カ メ ラ テ レ ビ 会 議 用 広 角 カ メ ラ 貸 出 ス ピ ー カ ー フ ォ ン プ ロ ジ ェ ク タ ー ・ ス ク リ ー ン ・ 大 型 デ ィ ス プ レ ー ホ ワ イ ト ボ ー ド プ ラ イ ベ ー ト ( 隔 離 さ れ て い る 場 所 ) プ ラ イ バ シ ー ( 隣 か ら P C が 見 ら れ な い 程 度 ) 会 議 可 会 話 可 通 話 可 ス キ ャ ナ ー プ リ ン タ ー コ ピ ー F A X 名 刺 ス キ ャ ナ ー 機 密 文 書 専 用 機 器 メール作成 ○ △ ○ ○ ○ 資料作成 ○ ○ ○ ○ ○ △ 重要資料作成 ○ ○ ○ ○ ○ △ ○ 資料プリントアウト △ ○ 経費精算 証憑スキャンが必要 ○ △ ○ ○ ○ ○ 受領書類保管 ○ △ ○ ○ ○ ○ ○ Web会議 △ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 重要Web会議 △ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 数名での打ち合わせ ○ ○ △ △ ○ 数名での重要打ち合わせ ○ ○ △ 〇 △ ○ 数名で参加するWeb会議 ○ ○ ○ ○ ○ ○ △ △ △ ○ ○ ○ ○ ○ 会計処理 弥生会計での記帳等 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 振込処理 銀行振込等海外送金含む ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 公的機関申請報告処理 e-Tax等 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 納税処理 paysy 銀行ATM ○ 請求処理 請求書発行・角印 ○ ○ ○ 契約処理 丸印 ○ ○ ○ テザリング不能エリアでの諸作業 ○ ○ ○ ○ 事務機器 リソース 業務内容 (人・シチュエーション等) 業務内容 (詳細・補足) PC利用環境 携帯(自己所有) 利用機器 執務環境

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14 4.1.2. 執務場所の洗い出し 想定される執務場所の「属性」を記入する。執務場所の属性は、「電源の有無」「プライ ベート空間の有無」などである。業務に必要な要件と同じ項目が含まれる。さらに、所在 地や利用にあたっての条件なども含まれる。  PC 利用環境(机、電源、ネットワーク)  利用可能設備(貸出 PC、Web 会議関連機器、ホワイトボード等)  事務機器(複合機等)  執務環境(プライバシー確保、会話可否、通話可否)  特殊な設備  所在地(最寄駅、駅からの距離)  利用の条件(価格、事前の契約の有無) P C 作 業 化 ( シ ー ト と デ ス ク な ど ) 電 源 有 線 L A N 無 線 L A N 携 帯 電 話 携 帯 P C W e b カ メ ラ ヘ ッ ド セ ッ ト ス ピ ー カ ー フ ォ ン モ バ イ ル W i F i / テ ザ リ ン グ 貸 出 P C 貸 出 デ ィ ス プ レ イ テ レ ビ 会 議 用 カ メ ラ テ レ ビ 会 議 用 広 角 カ メ ラ 貸 出 ス ピ ー カ ー フ ォ ン プ ロ ジ ェ ク タ ー ・ ス ク リ ー ン ・ 大 型 デ ィ ス プ レ ー ホ ワ イ ト ボ ー ド プ ラ イ ベ ー ト ( 隔 離 さ れ て い る 場 所 ) プ ラ イ バ シ ー ( 隣 か ら P C が 見 ら れ な い 程 度 ) 会 議 可 会 話 可 通 話 可 ス キ ャ ナ ー プ リ ン タ ー コ ピ ー F A X 名 刺 ス キ ャ ナ ー 最 寄 り 駅 か ら の 所 要 時 間 ( 分 ) 所 要 時 間 ( 分 ) 開 店 ( 月 曜 日 ) 閉 店 ( 月 曜 日 ) 機 密 文 書 専 用 機 器 自宅 自室 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 6 7:00 23:00 ○ コワーキングスペースA ラウンジ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 1 8:00 23:00 コワーキングスペースA ワークスペース ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 1 8:00 23:00 コワーキングスペースA メンバーズルーム ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 1 8:00 23:00 コワーキングスペースA 会議室 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 1 8:00 23:00 コワーキングスペースA テレホンブース ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 1 8:00 23:00 喫茶店等 ドトール ○ ○ ○ ○ ○ 8:00 18:00 喫茶店等 スターバックス ○ ○ ○ ○ ○ ○ 8:00 18:00 喫茶店等 カラオケボックス ○ ○ ○ ○ ○ ○ 8:00 18:00 喫茶店等 ファミレス ○ ○ ○ ○ ○ 8:00 18:00 喫茶店等 公共スペース ○ ○ ○ ○ ○ 8:00 18:00 喫茶店等 銀行ATM 8:00 18:00 ○ ホテル等 ホテル客室 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 7:00 22:00 ホテル等 ホテルロビー ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 7:00 22:00 ホテル等 空港ラウンジ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 7:00 22:00 コンビニ等 セブンイレブン ○ ○ ○ 7:00 22:00 コンビニ等 Kinko's ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 7:00 22:00 事務機器 施設属性 リソース 施設名称 エリア名称 PC利用環境 携帯(自己所有) 利用機器 執務環境

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15 4.1.3. 業務タスクごとの執務場所の特定 場所の属性が決まった後は、プログラムを動かすことで、業務タスク毎の執務可能場所 の対応表を得ることができる。これにより、「執務できる」場所を知ることが出来る。 4.1.4. 適性性の検討 本来は、ABW に基づき、最も生産性が高い場所が選択できることが理想だが、今回の「整 理用ワークシート」では、「どこで、どんな業務タスクを行うことが出来るか」までが分析 対象範囲である。「どこで行うと生産性が高いか」は分析できないため、個別に判断が必要 となる。現在いる場所、移動先の駅からの近さや利用時間で必要となる費用なども検討の 材料となる。また、雰囲気や音楽の有無なども場所選択の決定要因となる可能性がある。 4.2. サードワークプレース利用における論点 この「整理用ワークシート」を研究会のメンバーで記入し、実際に分析を行った。これ によりサードワークプレースを利用するにあたっては承認の考え方やサードワークプレー スの機能の違いなど、いくつかの論点があることが分かった。そこで、サードワークプレ ース利用における論点や注意点について記載する。  執務場所選定にあたっての承認プロセス どの場所・時間で業務タスクを遂行して良いかを承認するプロセスの要否も検討が必要 となる。承認に関しては、各企業のポリシーによって差が出ると思われる。以下では、い 業務 場所 自 宅 利用時間 執 務 エ リ ア フ リ ー ア ド レ ス エ リ ア 静 粛 エ リ ア 会 議 室 大 会 議 室 自 室 ラ ウ ン ジ ワ ー ク ス ペ ー ス メ ン バ ー ズ ル ー ム 会 議 室 テ レ ホ ン ブ ー ス ド ト ー ル ス タ ー バ ッ ク ス カ ラ オ ケ ボ ッ ク ス フ ァ ミ レ ス 公 共 ス ペ ー ス ホ テ ル 客 室 ホ テ ル ロ ビ ー セ ブ ン イ レ ブ ン K i n k o ' s 営業の合間 顧客訪問の間のメール作成・日報作成 1時間以下 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 出張先の合間 資料作成・メール作成 2時間程度 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 出張先の合間 自社オフィスの同僚とのWeb会議 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 在宅勤務 経費精算 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 在宅勤務 資料作成・メール作成 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 外出時 パートナーとの電話 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 外出先での打合せ 営業向けの事前会議(対面) ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ メール作成 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 日報 受取資料のスキャン含む ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 経費精算 証憑スキャンが必要 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 資料作成 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 資料プリントアウト ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ Web会議 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 数名での打ち合わせ ○ ○ ○ ○ ○ 数名で参加するWeb会議 ○ ○ ○ テザリング不能エリアでの諸作業 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ホテル等 コンビニ等 業務内容 (人・シチュエーション等) 業務内容 (詳細・補足) オフィス コワーキングスペースA 喫茶店等 生成

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16 くつかの承認方法の案を記載する。 ➢ ホワイトリスト方式  使っていい場所を事前に決めておく。コワーキングスペース事業者と契約す る、自社で利用を明示的に許可した場所を示しておく方法である。 ➢ ブラックリスト方式  使ってはいけない場所・業務を決めておく。自社オフィスから持ち出しては いけない業務を決める方法や、業務内容によって行ってはいけない場所を決 めておく方法である。たとえば、個人情報はオープンスペースで業務を行っ てはいけないが、個室であればコワーキングスペースを利用しても良い、等 の基準を定めることが考えられる。 一般的な考え方として、やって良いことを決めてそれ以外を許容しない方式をホワイト リスト方式、やってはいけないことを決めてそれ以外は許容する方式をブラックリスト方 式と呼ぶ。企業として、場所についてはホワイトリスト方式をとるか否か、業務について ホワイトリスト方式をとるか否かを決めておく事で働く場所の選択が容易となる。概して ブラックリスト方式の方が柔軟性は高まるが、安全面にこだわればホワイトリスト方式の 方が確実である。方式の選択は企業文化や法的制約などに従って、個々の企業あるいは部 署単位で決めていく内容である。働く場所の承認の考え方は議論の余地があり、画一的な 方法はない。そのため、当研究会でも引き続き検討を行う予定である。 ≪サードワークプレース利用に関して研究会で話題になったこと≫  プリンティングとスキャン サードワークプレースの利用ではプリンティングとスキャンについても考慮が必要とな る。サードワークプレースをプリンティングで一時利用する例も増えるため、自社のセキ ュリティに合っているか、顧客に提出する資料を印刷する場合には品質が要求するレベル を満たしているかを確認する必要がある。また、スキャンが出来ない場合も多いため、事 前に確認が必要である。  Web 会議時のテレフォンブース サードワークプレースでは、Web 会議用の部屋やテレフォンブースの整備も必要となる。 長時間のテレワークではWeb 会議が必須となるが、コワーキングスペースの多くはオープ ンスペースであるためWeb 会議が出来ない施設もある。また、聞かれたくない電話を行い たい場合もある。資料作成やメール処理を行っている際にはオープンスペースで働き、必 要に応じてWeb 会議用の部屋を利用するという事が多い。音声の問題と同時に解決しよう とすると、テレフォンブースのWeb 会議利用とルール化が必要になる。コワーキングスペ ース事業者も工夫している最中であり、ルールやシステム化は進むであろう。

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17  セキュリティ要件について セキュリティ要件は各社によって考え方が違うので課題が多い。作業場所の基準の一例 を下記に示す。 「オープンスペースで良い」のか、「完全に個室ではないとダメ」か。個室にも、半個室や 音声も含めた密封空間等、レベルがある。 「入退室も確認が必要」なのか「入退室の確認は不要」か。または、入退館が必要な場合 も、「有人受付が必要」なのか「無人の受付で良い」のかという選択肢もある。  サードワークプレースの費用対効果 費用対効果から考えた場合にも、オフィス賃貸料とコワーキングスペース利用料を終日 比較した場合にはコワーキングスペースの方が安くなる場合もある。だが、自社オフィス に固定席を持ったうえでコワーキングスペースを利用した場合には、ダブルコストになる。 そのため、オフィス賃貸料の削減のためにはフリーアドレスなどのオフィスコストの削減 手段を検討する必要がある。 また、サードワークプレースの費用負担の考え方には、将来的にはいくつかの選択肢も ある。例えば、企業が補助をだし、個人も半額程度負担するという考え方もある。現時点 ではサードワークプレースの利用を企業が許している場合、費用は全額企業が負担してい るが、ある程度の個人負担を求める事で時間に対するコスト意識が生まれると予想される。  サードワークプレースの一覧化の必要性 サードワークプレースは、HP 上などで各社ごとの基準で機能が公開されているが、統一 的な基準があるわけではない。そのため、HP を見ても訪問前に自分が利用したいと思う機 能を確認できるとは限らない。この課題解決には、サードワークプレースの機能一覧表ま たはWeb サイトの整備が望ましい。  テレワーク実施日の調整方法 テレワークを行う場合でも、業務がチームで行うものであることは変わらない。そこで、 テレワーク実施日の調整は関係者の合意が必要である。例えば、仮に A 氏の業務時間の 8 割がテレワーク可能であったとしても、毎日対面型定例会議があれば、在宅勤務は困難で ある。もし、来週は週2 日オフィスに出ないで執務したいと願うのであれば、その 2 日間 はテレワーク可能な業務タスクだけになるように作業時間を調整する必要がある。 テレワークを行う同僚が多ければ、同僚間や上司とのコミュニケーションに問題が出な いようにテレワーク実施日を検討する必要がある。ABW を意識して働く場合にも個人の生 産性だけではなく、チームとしての生産性の維持向上を継続する必要がある。

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5. テレワークに関する考え方

2016 年度の研究会を通して、本章までに収まらなかった議論を記載する。  コリビングという考え方 テレワークの延長線上には、短期間、一緒に働きながら暮らすという考え方もある。こ れをコリビングと呼んでいる。 参考URL:http://459magazine.jp/journey/15552/  社員のグローバル化とリゾート勤務 ダイバーシティが進み、外国籍の社員が増えると、1 か月単位で自国に戻りたいという要 望も出ると予想される。この時に、1 か月丸々を休みにするのではなく、自国でも時差を考 慮しながら働くことが出来れば、企業・個人の双方にとってメリットが出るであろう。 この考え方を進めると、日本人であってもリゾート地に長期滞在しながら仕事をするよ うな事例も増えてくると考えられる。

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6. おわりに

本書では、サードワークプレースの活用の可能性について検討した結果を記載した。さ らに、業務タスクを行えるサードワークプレースを選択する一つの方法として「整理用ワ ークシート」を作成した。 研究会メンバーで実際に「整理用ワークシート」を使用してみる事で、現時点での課題 を抽出した。この、「整理用ワークシート」は業務タスクを行う上での必要最低限の条件を 分析するワークシートであり、どこがその人にとって最も作業に適している場所なのかを 判別するワークシートまでは作成できなかった。 また、課題については検討の方向性や案を掲載するのみにとどまっている。今後の研究 会ではテレワークを行うための場所の課題と解決策をさらに検討して情報を公開していき たいと考えている。 注釈があるものを除いて、この報告書の内容は、クリエイティブ・コモンズ表示 4.0 国際 (CC BY 4.0) ライセンスの下に提供されています。 詳しくは、以下のリンクをご参照ください。 https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/legalcode.ja

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