原
著
産 婦 の 不 安 を軽 減 す るた め の
看 護 の方 法 に 関す る研 究
―自律 訓
練 法 に よ るRelaxation効 果 か ら み て ― 森 恵 美*・ 前 原 澄 子**Research
on the Nursing
Care to Reduce
the Anxiety
of Women
During
Labor
and Delivery
―From the Relaxation Effect by Autogenic Training―
Emi Mori* • Sumiko Maehara** *The Japanese Red Cross College of Nursing
**Chiba University , School of Nursing
Abstrac
To reduce the anxiety of the women during labor and delivery , Autogenic Training was given as a relaxation method, one of the structural factors of childbirth prepared programs. The research was purSed with the purpose of investigating the effects. State anxiety (STAI) , labor pain, blood pressure, pulse, neuromuscle control, and Lamaze method evaluation were measured and evaluated for the following three groups;
Autogenic Training Completes (11) Autogenic Training Non - Completes (21) Autogenic Training Non-Recipients(12)
As a result, Autogenic Training Completes showed distinctive differences from the other two groups at the transition period at the end of the 1st stage in terms of state anxiety, the sensory scores of labor pain, neuromuscle control , and Lamaze method evaluation. The mean values of blood pressure and pulse in this group were lower than those in the other two groups whithout significant difference. In short , the study has shown that giving relaxation method before childbirth to reduce anxiety and labor pain is effective in achieving those goals.
要 旨
産 婦 の 不 安 の 軽 減 の た め に,分 娩 準 備 教 育 の プ ロ グ ラ ム の1構 成 要 素 で あ るRelaxation
の 技 法 に 関 して,自 律 訓 練 法 を 教 授 す る こ とに よ り,そ の 効 果 を検 証 す る こ と を 目的 と し て 研 究 を 行 った. 自律 訓 練 法 習 得 群(11名),自 律 訓 練 法 未 習 得 群(21名),自 律 訓 練 法 未 訓 練 群(12名)の3 群 に つ い て,分 娩経 過 に沿 って,状 態 不 安 ・産 痛 ・血 圧 ・脈 拍 数 ・神 経 筋 コ ン トロール カ ・ ラマ ー ズ法 評 価 を測 定 し,評 価 した.そ の結 果,自 律 訓 練 法 習 得 群 と他 の2群 と の 間 に は, 分 娩 第1期 の 終 わ りで あ る極 期 に お い て,状 態 不 安 ・産 痛 の 感 覚 的 評 価 指 数 ・神 経 筋 コ ン トロ ール 力 判 定 結 果 ・ラマ ー ズ法 評 価 得 点 に,明 ら かな 差 が み られ た.陣 痛 間歓 期 の血 圧 ・ 脈 拍 数 に お い て は,自 律訓 練 法 習得 群 の平 均 値 が他 の2群 よ り低 か った が,有 意差 は な か っ た. 以 上 に よ り,産 婦 の 不 安 の 軽 減 や 産 痛 の 緩 和 の た め に,分 娩 前 か らRelaxationの 技 法 を 教 授 す る こと に よ り,産 婦 の 不 安 の軽 減 や 産 痛 の緩 和 に 有 効 で あ る こ と が 明 らか に な っ た. 1.は じ め に Bensonら1)は 自 律 訓 練 法(DasAutogene Training, ATと 略 す)や 漸 進 的 筋 弛 緩 法 な ど の Relaxationの 技 法 に よ るRelaxation中 に,弛 緩 反 応(Relaxatio nresponse:呼 吸 数 ・心 拍 数 の 減 少 と,筋 緊 張 の 減 少 に と も な う生 理 学 的 変 化 を 含 め た す べ て の 反 応)が 起 こ る こ と を 発 見 した.反 対 に,不 安 や 恐 怖 等 の 情 動 は,交 感 神 経 を 興 奮 さ せ,心 臓 血 管 系 の 活 動 を 刺 激 し,心 拍 数 が 増 加 す る こ と2)や,血 圧 値 が 上 昇 す る こ と3)が 報 告 さ れ て い る.以 上 よ り,Relaxation の 技 法 に よ っ て 達 成 さ れ るRelaxationは,弛 緩 反 応 を 起 こ し,自 律 神 経 系 効 果 に お い て,不 安 ・恐 怖 の 情 動 反 応 と 拮 抗 的 な 機 能 を も っ て い る こ と4)が よ り 明 白 と な っ た. AT5)は,Relaxationの 技 法 の 一 つ で,段 階 的 に 練 習 を 重 ね る こ と に よ り,習 熟 す る こ と が で き る.現 在,ATは 心 身 症 の 治 療 法 の 一 つ と して 広 く用 い ら れ て お り6),そ の 習 熟 に よ り治 療 効 果 が あ っ た こ と7)や,心 身 症 改 善 群 で は 初 診 時 の 高 い 状 態 不 安 が 有 意 に 減 少 した こ と8)が 報 告 さ れ て い る. 一 方 ,分 娩 進 行 に 伴 い産 婦 の 不 安 が 増 強 す る こ と が,STAIの 状 態 不 安 尺 度 や 血 漿 ア ド レ ナ リ ン の 測 定 結 果 か ら 指 摘 さ れ て い る9)10). 尾 島11)は,分 娩 に お け るRelaxationの 効 果 と し て,軟 産 道 や 関 連 痛 の 発 生 部 位 が 緊 張 を 減 じて 弛 緩 す れ ば,分 娩 進 行 は ス ム ー ズ と な り, 関 連 痛 も 抑 制 さ れ,産 痛 が 減 退 す る と 主 張 し, さ ら に,Melzackら の ゲ ー ト コ ン トロ ー ル 説 か ら,Relaxationに よ る 弛 緩 や 不 安 の 軽 減 は 太 い 神 経 に よ る ゲ ー ト閉 鎖 に 有 効 で あ る と 説 明 で き る と して い る. ま たATは,Prillら に よ っ て 分 娩 に も 応 用 さ れ,痛 み の 顕 著 な 緩 和 が 観 察 さ れ た と 報 告 さ れ て い る が,こ の 研 究 に は 対 照 群 が 設 定 さ れ て い な い12). 宮 本 ら のATを 使 用 し た 分 娩 準 備 教 育 に 関 す る 実 態 調 査 に よ る と,練 習 を 週3回 以 上,3ヶ 月 以 上 継 続 し て 実 施 し て い た 者 に 関 し て は,練 習 回 数 が 少 な か っ た 者 よ り,分 娩 時 の 不 安 や 緊 張 度 が 有 意 に 少 な か っ た13)と 報 告 さ れ て い る. 蠣 崎 ら14)は,分 娩 時 に お け るRelaxationの 作 用 機 序 の 解 明 を 目 的 に,Microvibrationを 利 用 し て 調 査 し,AT等 に よ るRelaxation施 行 例 と非 施 行 例 を 比 較 検 討 した.そ して 「Relaxation の 効 果 は 身 体 変 化 お よ び 精 神 的 変 化 か ら 自 律 神 経 系 に 作 用 し,分 娩 進 行 に 良 い 効 果 を 及 ぼ す 」 と 考 察 し て い る. 以 上 よ り,分 娩 進 行 に 伴 い 産 婦 の 不 安 は 増 強 し て い く 傾 向 に あ る が,分 娩 前 にATを 第2公 式 ま で 習 得 して い れ ば,AT使 用 に よ るRelaxation が,産 婦 の 状 態 不 安 を 軽 減 し う る,さ ら に そ れ が 産 痛 の 知 覚 に も影 響 を 及 ぼ す,ま た,全 身 の 筋 緊 張 が 緩 和 し関 連 痛 の 発 生 が 抑 制 で き る,そ れ ら の 相 乗 効 果 に よ っ て 産 痛 緩 和 が 促 進 さ れ る と 仮 定 で き る.
そ こで,本 研 究 で は,分 娩 準 備 教 育 プ ロ グ ラ ム の 一構 成 要 素 で あ るRelaxationの 技 法 に 関 してATを 教 授 し,ATに よ るRelaxationの 産 婦 の 不 安 の 軽 減 と産 痛 の緩 和 に 対 す る効 果 を 検 証 す る こ と を 目的 と した. II.研 究 方 法 1、 研 究 対 象 1988年4月 か ら9月 ま で,東 京 都 内 のK産 院 に て 実 施 した.研 究 対 象 者 は,医 学 的 リス クが な くか つ 研 究 参 加 の 承 諾 の得 られ た 妊 産 婦 と し た.ま ず,ATを 教 授 す る ク ラ ス の 参 加 募 集 を 行 い,1コ ー ス6回 に て 開催 した.ク ラス で は, ATの 創 始 者SchulzとLuthe 15)の方 法 に 基 づ き, 佐 々木 の 方 法16)に 準 じて,ATの 標 準 練 習 の 第 2公 式 ま で を 段 階 的 に 教 授 した.ATの 練 習 に は,佐 々 木 雄 二 指 導 ・吹 き込 み に よ る創 元 社 発 行 の 「自律訓 練 法 の実 際 」 の テ ー プを使 用 した. 研 究 者 は,ク ラ ス の指 導 に は 直接 関 わ ら な か っ た. 分 娩 時 の.ATの 応 用 が 可 能 で あ る と考 え ら れ る,表1に 示 した(1)∼(4)の条 件 す べ て を 満 た し た 者 を 本 研 究 で の 自律 訓 練 法 習 得 群 と した.自 律 訓 練 法 習 得 群 以 外 の ク ラ ス参 加 者 を 自律 訓 練 法 未 習 得 群 と し,両 群 を 合 わ せ て 自律 訓 練 法 訓 練 群 と した.ATを 習 った 経 験 が な く,自 律 訓 練 法 訓 練 群 と 同 一 時 期 に分 娩 の た め に 入 院 した 者 で,妊 娠 経 過 が正 常 で 分 娩 も正 常 に 経 過 しそ うな初 産 婦 に 研 究 参 加 を 依 頼 し,承 諾 の 得 られ た 者 を 自律 訓 練 法 未 訓 練 群 と した(各 々,習 得 群,未 習 得 群,訓 練 群,未 訓 練 群 と略 す). 2.分 娩 経 過 中 の 調 査 に つ い て 表2の よ うに,子 宮 口の 開 大 度 で 分 娩 時 期 を 区 別 し,デ ー タを 比 較 す るた め に,パ ル トグ ラ ム や 担 当助 産 婦 の 意 見 を 参 考 に,子 宮 口の 開 大 度 の 他,陣 痛 周 期 や 肛 門圧 迫 感 ・怒 責 感 の 有 無 等 の 基 準 に 準 じて 各 調 査 時期 を 選 定 した.調 査 協 力 の 確 認 を した 後,原 則 と して1回 の調 査 時 間 の 目安 を20分 間 と し,研 究 対 象 者 の ベ ッ トサ イ ドに て 調 査 を 行 った.調 査 協 力 不 可 能 と判 断 され た 場 合 は,分 娩 終 了後 に そ の 時 の気 持 ち ・ 産 痛 を想 起 して も らい,評 価 す る方 法 を用 いた. 原 則 と して,客 観 的 評 価 の た め の チ ェ ッ ク以 外 に は,産 婦 に 対 してRelaxationを 誘 導 す る よ うな援 助 は 行 わ な か った. 3.分 娩 時 の 測 定 用 具 1)不 安 の 測 定 用 具 産 婦 の 不 安 の 測 定 に は,Spielberger 17)が 考 案 した 状 態 不 安 尺 度 の 中 里 ら18)の 日本 語 版 を 用 い た.分 娩 とい う状 況 を考 慮 して,佐 野 ら10) と 同 様 に10項 目 を 選 択 し,40点 満 点 と した. (佐野 らの プ レテ ス ト20例に お い て,20項 目と10 項 目の 相 関 係 数 は,0.990と 報 告 さ れ て い る; 間 隔 尺 度) 2)産 痛 の測 定 用 具 Relaxationの 効 果 と して,不 安 の 軽 減 や 緊 張 緩 和 に伴 って 現 れ る と考 え られ る産 痛 の 知 覚 の状 態 をみ る た め に,対 象 者 の 産 痛 を 主 観 的 ・ 客 観 的 に測 定 した.産 痛 の 主 観 的 評 価 の 強 度 に つ い て は0 to 100 Numeric Scale(NSと 略 す; 比 率 尺 度)で,そ の 質 に つ い て はMcGill Pain Questionnare(MPQと 略 す;間 隔 尺 度)で 測 定 表1自 律訓 練法 習得 群 の条件 *以 下の4条 件す べて をみ た して い るこ と 表2分 娩各 期の 名称
した.両 用 具 と も に,臨 床 的 痛 み の 測 定 用 具 で, 信 頼 性 ・感 受 性 が 認 め ら れ て い る19).MPQ 20) は,欧 米 で は 信 頼 性 ・妥 当 性 の 検 証 が な さ れ て い る が,日 本 語 訳 に つ い て は 検 証 さ れ て い な い. しか し,プ レ テ ス トで も,選 択 さ れ た 言 葉 に 固 有 の 傾 向 が あ り,分 娩 の 時 期 に 対 応 して,痛 み の 得 点 が 増 加 し た の で,群 間 の 痛 み の 質 の 差 を 測 定 す る 用 具 と して 使 用 した.客 観 的 評 価 に は, 加 納 ら21)の 研 究 と 同 様 に,飛 松 ら22)の 産 婦 ス コ ア ー(序 数 尺 度)を 用 い た.こ れ は 産 婦 に 対 す る 減 痛 方 法 の 効 果 を10∼20例 を1群 と して 比 較 す る た め に 開 発 さ れ た も の で あ る. 3)血 圧 ・脈 拍 数 の 測 定 分 娩 経 過 に 伴 う不 安 や 産 婦 に 対 す る 生 体 反 応 と,そ れ に 拮 抗 す るRelaxationの 技 法 に よ る 弛 緩 反 応(Relaxation効 果)の 双 方 の 生 理 学 的 反 応 と し て,分 娩 第1期 中 に,血 圧 と 脈 拍 数 を 測 定 し た.こ れ は 先 の 調 査 と 同 一 時 期 に 研 究 者 が 行 っ た.血 圧 と 脈 拍 数 の 測 定 に は,オ シ オ メ ト ト リ ッ ク 方 式 の 自 動 血 圧 計 を 使 用 し,陣 痛 発 作 中,陣 痛 終 了 直 後,陣 痛 間 歓 時(陣 痛 終 了 後30 秒 後)に,2回 ず つ 測 定 した(陣 痛 中 ・陣 痛 直 後 ・ 間 歇 時 と 略 す). 4)神 経 筋 コ ン ト ロ ー ル 力 評 価 ス ケ ー ル23) 神 経 筋 コ ン ト ロ ー ル カ を 「子 宮 収 縮 に 対 して 反 応 す る 際 に,随 意 的 な 骨 格 筋 の 弛 緩 を 引 出 し 維 持 す る 能 力 」23)と 定 義 し た.こ れ を 評 価 す る こ と は,分 娩 時 の 筋 緊 張 の 緩 和 の 維 持 状 態 を 測 定 す る こ と で あ る と 考 え た.研 究 者 がBernardini ら23)の 作 成 し た 神 経 筋 コ ン トロ ー ル カ の 基 準 を 日 本 語 訳 し,点 数 評 価 が しや す い よ う に そ の 項 目 に 解 釈 を 付 け 加 え た 評 価 ス ケ ー ル を 用 い て 評 価 し,そ の 総 得 点 をBernardiniら23)の 判 定 基 準(5段 階)に 従 い 分 類 し,神 経 筋 コ ン ト ロ ー ル カ を 判 定 した(序 数 尺 度). 5)ラ マ ー ズ 法 評 価 用 具 K産 院 の 陣 痛 室 ・分 娩 室 で は,助 産 婦 の 指 導 に 従 っ て,産 婦 は ラ マ ー ズ 法 の 実 施 を 試 み て い る.不 安 感 や 産 痛 を 強 く訴 え る 症 例 に お い て は, ラ マ ー ズ 法 の 実 施 が 困 難 と な る こ と は よ く報 告 さ れ て い る.ATのRelaxation効 果 と し て,不 安 が 軽 減 さ れ る な ら ば,分 娩 時 の ラ マ ー ズ 法 の 実 施 は 容 易 と な る と 考 え る.ATの 効 果 を 産 婦 の 行 動 面 か ら評 価 す るた め に,加 納 ら21)作 成 の ラマ ー ズ法 評 価 用 具 を 使 用 した(間 隔 尺 度). 得 点 が 高 い ほ ど,ラ マ ー ズ法 の 実 施 が 困 難 で あ る こ とを 示 す よ うに な って い る. な お,分 娩 時 の 測 定 用 具 に つ い て は,10人 の 対 象 に つ い て.1∼3回 の プ レテ ス トを 行 い, 臨 床 助 産 婦 等 の 意 見 を加 味 し,可 能 な 範 囲 で 妥 当 性 と信 頼 性 を 確 認 し,一 部 修 正 して 用 い た. 6)分 娩 時 の 測 定 項 目に 影 響 を及 ぼ す 要 因 分 娩 時 の 測 定 項 目に 影 響 す る と考 え られ る対 象 の要 因 に つ い て も情 報 収 集 を 行 った.ま た, 分 娩 経 過 中 に 異 常 が 診 断 され た もの は,そ の 時 点 か らそ の対 象 の測 定 値 を分 析 デ ー タと しな か っ た. 結 果 の 分 析 に は 統 計 学 的 方 法 を用 い,各 項 目 の 測 定 値 を習 得 群,未 習 得 群,未 訓 練 群 に お い て 比 較 した.有 意 差 検 定 に は,x2検 定(序 数 尺 度),t検 定 とF検 定(間 隔 尺 度 ・比 率 尺 度)を 用 い,有 意 水 準 は1%と した が,5%を 有 意 な 傾 向 と解 釈 した. III.研 究 結 果 1.研 究 対 象 者 に つ い て 対 象 者 は,習 得 群11名(平 均年 齢28.6±2.7歳), 未 習 得 群21名(28.2±2.3歳),未 訓 練 群12名(25.7 ±3.0歳)の 合 計44名 で あ った.訓 練 群 は 未 訓 練 群 よ り有 意 に高 齢 で あ った(t検 定,p<0.01). 初 経 産 の割 合 に は有 意 差 は な か った(表3). 月 経 痛 の 程 度 ・痛 み に 対 す る感 受 性 の 自己 評 価 ・手 術 歴 の 有 無 ・分 娩 に関 す る知 識 ・他 の 分 娩 準 備 教 育 の 受 講(表4)・ 呼 吸 法 やAT以 外 の Relaxationの 技 法 の 練 習 に お い て,3群 間 に 有 意 差 は な か った.妊 娠 中 の 血 圧 は,妊 娠 後 期 の 妊 婦 健 診 時 の 血 圧 値3回 を そ の デ ー タ と した が,3群 間 に 有 意 差 は な か った. 表3研 究対象 者 の内訳 p>0.1(x2検 定)
2.不 安 に つ い て 妊 娠 中 の 合 併 症 ・特 性 不 安 ・妊 娠 中 の 心 理 社 会 的 因 子 等,分 娩 時 の 不 安 に 影 響 す る と考 え ら れ る因子 にお い て,3群 間 に有 意差 はな か った. 未 習 得 群 と未 訓 練 群 で は,極 期 の 状 態 不 安 得 点 は 各 々,進 行 期 の そ れ ら よ りも有 意 に増 加 し て い た(p<0.01).そ れ に対 して 習 得 群 で は, 進 行 期 と極 期 の 平 均 得 点 は あ ま り変 わ らず,他 の2群 よ り低 値 を示 した.さ らに,極 期 ・娩 出 期 前 期 ・娩 出 期 後 期 で は,習 得 群 の 状 態 不 安 得 点 が,他 の2群 よ り有 意 に 低 か っ た(p<0.01, 表5). 3.産 痛 の 主 観 的 ・客 観 的 評 価 産 痛 の 強 度 を表 すNSの 平 均 得 点 は,ど の 群 に お い て も,準 備 期 に 比 べ て進 行 期,進 行 期 に 比 べ て 極 期 で 有 意 に(p<0.01)高 得 点 を 示 し, 娩 出期 に は減 少 して い た.進 行 期 に お い て のみ, 3群 間 に 有 意 な 傾 向 が み られ た(p<0.05,表 6). 産 婦 の 質 を表 すMPQは,総 得 点 が 高 い ほ ど, 痛 み が 質 的 に 強 い こ とを 示 す,MPQに お い て も,NSで ピー ク と な った 極 期 で,す べ て の 群 の 得 点 が 高 くな った.ま た,分 娩 第1期 の産 痛 の 客 観 的 評 価 に お い て も同 様 で あ った. MPQの 測 定 結 果 を3群 間 で 比 較 した 結 果, 極 期 のMPQの 感 覚 的 評 価 指 数 で の み,習 得 群 の 得 点 が 他 の2群 に 比 べ て,有 意 に 低 か っ た (p<0.001,表7). 極 期 の 客 観 的 評 価 に お い て は,3群 問 に 有 意 差 は み られ な か った が,習 得 群 の7人 中6人 が 良 ま た は 可 で あ った.(x2検 定p>0.1) 4.分 娩 第1期 の血 圧 と脈 拍 数 未 習 得 群 と未 訓練 群 で は,分 娩 の進 行 に伴 い, 血 圧 の平 均 値 は,漸 次,上 昇 傾 向 を 示 した が, 有 意 差 は な か った.習 得 群 で は,進 行 期 と極 期 表4他 の分 娩準備 教 育の 受講 p>0.1(x2検 定) 表5群 別 の状態 不 安得 点 **p<0 .01(F検 定) 表6群 別 のNSに よる産 痛 の主観 的評 価 *p<0 .05(F検 定) 表7極 期 におけ る群別 のMPQ ***p<0 .001(F検 定)
の 血 圧 値 の 平 均 値 の 差 は あ ま りな く,有 意 差 は な か った(図1).3群 に お け る分 散分 析 の結 果, 有 意 な傾 向が み られ た の は,極 期 の 陣 痛 直 後 の 収 縮 期 血 圧 値 の み で あ った.こ の 極 期 と妊 娠 後 期 の血 圧 値 を比 較 した と ころ,未 訓 練 群 ・未 習 得 群 で は,極 期 す べ て の 時 期 で10∼20mmHg 位 の 差 が 有 意 に(p<0.01)み られ た.し か し, 習 得 群 の 陣 痛 直 後 や 間 歇 時 の 収 縮 期 血 圧 は,妊 娠 後 期 に 比 べ て5mmHg未 満 の 差 しか な く, 有 意 差 も な か った(表8). 脈 拍 数 の平 均 値 も未 訓 練 群 ・未 習 得 群 で は, 分 娩 経 過 に対 応 して,漸 次 上 昇 傾 向 に あ ったが, 有 意 差 は な か った.習 得 群 で は,進 行 期 と極 期 の 脈 拍 数 の 平 均 値 は他 の2群 ほ どの 差 は み られ ず,有 意 差 もな か った.極 期 に お い て,陣 痛 中 の 脈 拍 数 の 分 散 分 析 の 結 果,3群 間 で 有 意 な 傾 向 が認 め られ た(習 得 群:X=84.6±12.3未 習 得 群:X=82.3±16.8未 訓 練 群:文=98.9 ±8.7p<0.05,図2). 5.神 経 筋 コ ン トロー ル カ の 判 定 結 果 神 経 筋 コ ン トロ ール カ の 評 価 判 定 結 果 を3群 間 で 比 較 した 結 果,極 期 に お い て,有 意 差 が み ら れ た.(x2検 定p<0.01,図3) 6.ラ マ ー ズ 法 評 価 得 点 進 行 期 ・極 期 で は,習 得 群 が 他 の2群 に 比 べ て,ラ マ ー ズ 法 の 実 施 に お い て 優 れ て い た と い う有 意 な 傾 向 が み ら れ た.(p<0.05,表9) 7.分 娩 時 の 状 況 の 群 間 比 較 分 娩 様 式,分 娩 時 の 異 常,分 娩 時 妊 娠 週 数, 陣 痛 の 種 類,羊 水 混 濁 の 有 無,分 娩 所 要 時 間, Apgar Score,分 娩 各 期 の 調 査 時 の 陣 痛 発 作 時 間 と 陣 痛 間 歇 時 間,1回 調 査 時 間 等 の 分 娩 時 の 状 況 に お い て,3群 間 に 有 意 差 は な か っ た. IV.考 察 分 娩 準 備 教 育 の 効 果 は,分 娩 時 の 鎮 痛 剤 ・鎮 静 剤 の 使 用 量 や 産 婦 の 態 度 の 客 観 的 評 価 な ど を 指 標 と し て 実 証 さ れ て き た24)25)26).ま た,分 娩 準 備 教 育 受 講 の 前 後 で 妊 婦 の 不 安 を 測 定 し そ の 効 果 を 論 じ た も の26)27)や,産 褥 期 の 調 査 や 面 接 に よ っ て,産 痛 や 分 娩 体 験 に つ い て 検 討 し た も の28)29)が 多 い.そ れ に 対 し て,産 婦 の 不 図1群 別 の分娩 第1期 の血 圧
表8妊 娠 後期 と極 期 の血 圧
単 位 はmmHg*p<0.05**p<0.01(t検 定)
安 や 産 痛 の 知 覚 を分 娩 時 に測 定 し,そ の 効 果 を 検 討 した研 究 は 少 な い.さ らに,そ の プ ロ グ ラ ム の 構 成 要 素 の 各 々 に つ いて も分 娩 時 の効 果 が 検 証 され て い な い. 一 方,ATは,分 娩 準 備 教 育 の 構 成 要 素 で あ るRelaxationの 技 法 の 一 つ で あ り,分 娩 環 境 以 外 で 臨 床 応 用 さ れ,そ のRelaxationの 効 果 が 不 安 の 軽 減 や そ れ に 伴 う痛 み の 緩 和 に つ い て 報 告 され て い る が,産 婦 の 不 安 の 軽 減 や産 痛 の 緩 和 の た め に,分 娩 時 にRelaxationの 効 果 を 検 証 した 研 究 は み あ た らな か った. 1.対 象 に つ い て ATを 教 授 す る ク ラ ス で は,研 究 施 設 の 分 娩 準 備 教 室 で 提 供 され て い る情 報 量 を越 え な い よ うに配 慮 した.ま た,分 娩 に 関 す る知 識 や こ の ク ラス 以 外 の分 娩 準 備 教 育 ク ラ スへ の 参 加 に関 して,3群 間 に 有 意 差 は な か った.Bernardini ら23)の 分 娩 時 の 神 経 筋 コ ン トロ ー ル カ に好 影 響 す る と した練 習 基 準 を満 た した 対 象 は,1∼ 2名 以 下 と 少 な くほ ぼ 同 率 で あ った.研 究 施 設 で は,夫 の立 ち 会 い分 娩 を 取 り扱 って い な い. 従 って,3群 を 比 較 す る際 に 他 の構 成 要 素 の効 果 を 考 慮 せ ず に 検 討 で き る と考 え る. 2.分 娩 時 のRelaxation効 果 1)不 安 の 軽 減 研 究 対 象 者 は,研 究 施 設 の ル チ ー ン の看 護 を 受 け て い た.ま た,研 究 者 の調 査 時 間 は一 定 に な る よ うに試 み,3群 間で 有 意差 は み られ な か っ た.そ れ ゆ え,産 婦 の 不 安 に対 す るRelaxation 効 果 を 状 態 不 安 を 指 標 に,3群 間 で 比 較 す る こ と が で き る と した. 分 娩 第1期 の終 わ りで あ る極 期 は,林 らの 産 後 調 査30)で 最 も不 安 で あ っ た と報 告 され た 時 期 で あ り,加 納 ら21)の 研 究 で は 対 照 群 の 状 態 不 安 得 点 の ピー クで も あ った.本 研 究 の 未 習 得 群 や 未 訓 練 群 の 状 態 不 安 は,そ の 極 期 で 進 行 期 よ り有 意 に 高 く,そ れ が ほ ぼ 分 娩 第2期 まで 持 続 して い た.こ れ は,佐 野 ら10)・ 新 道 ら31)・ 加 納 ら21)の 結 果 と ほ ぼ 一 致 して い た.し か し, 習 得 群 の状 態 不 安 は,極 期 で は 進 行 期 と あ ま り 変 わ らず,か つ 他 の2群 に 比 べ て有 意 に低 く, 分 娩 第2期 に お い て も他 の2群 よ り有 意 に低 い 得 点 を 維 持 して い た.本 研 究 で も,加 納 ら21) の 研 究 と 同 様 に 極 期 に は,産 婦 の 多 くは 陣 痛 室 に お り,研 究 施 設 で は,陣 痛 室 内 で 看 護 者 が 産 図3極 期 の神 経筋 コ ン トロー ル力評 価判 定結 果 表9群 別 の ラマー ズ法評 価得 点 *P<0 .05(F検 定)
婦 に持 続 的 に付 き添 う看 護 は ル ー チ ンに は な っ て い な か った.分 娩 室 に 入 室 す る の は,通 常, 分 娩 第2期 に な って か らで あ り,怒 責 を 加 え る こ と が指 導 され,そ れ に よ って 産 婦 に も分 娩 の 予 測 が 可 能 と な る.習 得 群 は,他 の2群 に 比 べ て 不 安 が 少 な か った た め,分 娩 第2期 に な って 先 の 見 通 しを 実 感 し,よ り不 安 が 軽 減 され た と 思 わ れ る.以 上 の こ と か ら,習 得 群 はATに よ るRelaxation効 果 に よ り分 娩 進 行 に 伴 う状 態 不 安 の 増 強 を抑 制 で き た と考 え る. 2)産 婦 の 緩 和(不 安 や 筋 緊 張 等 との 関 係 か ら) K産 院 で は分 娩 遷 延 の適 応 で の み 陣 痛 促 進 剤 が 使 用 され,3群 間 に 陣 痛 促 進 剤 使 用 の 差 は み られ ず,子 宮 口全 開 大 以 前 に 人 工 破 膜 を 受 け た 対 象 は い な か っ た.加 え て,分 娩 時 の痛 み の 知 覚 に 影 響 す る他 の 因 子 に つ い て も3群 間 で 有 意 差 が な か った の で,産 痛 の 主 観 的 評 価 を3群 間 で 比 較 す る こ と がで き る と した. 進 行 期 で は,習 得 群 の 産 痛 の 強 度 を 示 すNS と ラマ ー ズ法 評 価 得 点 は と も に,他 の2群 の そ れ ら よ り各 々低 い 傾 向 が み られ た.3群 の 状 態 不 安 に 有 意 差 は な か っ た が,習 得 群 の そ れ は 最 も低 か った.さ らに こ の 時 期 の 状 態 不 安 や 神 経 筋 コ ン トロ ー ル 力 判 定 結 果 とNSと の 間 に は, 有 意 な 相 関 関 係 が あ った(r=0.35p<0.05, r=0.53p<0.01).低 い 状 態 不 安 と 良 好 な 神 経 筋 コ ン トロ ー ル カ の 相 乗 効 果 の た め,習 得 群 は他 の2群 よ り産痛 の強 度 が緩 和 され,ラ マ ー ズ 法 の 実 施 状 態 も良 好 で あ っ た と推 察 され る. この 結 果 は,Coganら32)が 指 摘 した 分 娩 第1 期 初 期 の 産 痛 の 強 度 と分 娩 準 備 の達 成 に よ る 自 信 の相 関 関 係 を 支 持 す る もの で あ った と考 え ら れ る.分 娩 が さ ら に進 行 した 極 期 で は,習 得 群 は 他 の2群 に比 べ て,痛 み の 感 覚 的 側 面 で も, Melzackら33)の 研 究 成 果 と 同 様 に 産 痛 を 有 意 に 低 く報 告 して い た.こ の極 期 に お い て,習 得 群 は 他 の2群 に 比 べ て,状 態 不 安 が有 意 に低 く, 神 経 筋 コ ン トロー ル カ も有 意 に 良 好 で あ った. さ ら に習 得 群 に お い て の み,状 態 不 安 と神 経 筋 コ ン トロー ル 力判 定 結 果 に,強 い 相 関 関 係 が 有 意 な 傾 向 で あ った(r=.78P<0.05).以 上 の こ と を考 え 合 わ せ る と,習 得 群 は 他 の2群 よ り状 態 不 安 が 低 く,神 経 筋 コン トロ ール カ も良 好 に維 持 され,そ れ らの 相 乗 効 果 の た め,産 痛 の 質 的 な知 覚 に お い て も他 の2群 との 違 い が 現 れ た と思 わ れ る.ま た,ラ マ ー ズ法 評 価 得 点 の 結 果 に もそ の 違 い が認 め られ た.こ れ は,従 来 の 分 娩 準 備 教 育 の 研 究 成 果26)を 支 持 す る も の で あ った. 3)血 圧 と脈 拍 数 Bonica34)は 分 娩 第1期 中 の 血 液 循 環 器 系 の 変 化 の 原 因 と して,(1)子 宮収 縮,(2)痺 痛 と 不安, (3)産婦 の 体 位,(4)自 主 的 な活 動,(5)酸 素 の消 費, (6)合併 症 を あ げ,こ れ らが 心 拍 数 を 上 昇 さ せ, 一 回 拍 出量 を 増 加 させ て い る と して い る.研 究 対 象 者 に は,循 環 器 系 に 影 響 す る よ うな 合 併 症 を も った 者 や,妊 娠 中 の脈 拍 や 血 圧 に も異 常 が 指 摘 され た者 や,分 娩 時 の 体 位 や 行 動 に お い て 特 異 な 者 は い な か った.そ こで,3群 間 で 疼 痛 と 不 安 以 外 の上 記 因 子 に つ い て 差 は な か った と 仮 定 して,検 討 す る こ と に す る.不 安 と の 相 関 関 係 が あ る カ テ コー ル ア ミンを 出 産 間 近 い 赤 毛 ザ ル に 静 脈 注 射 す る と い う実 験35)や,恐 怖(不 安)時 の 生 体 反 応2)3)よ り,産 婦 の 不 安 の 増 強 は,血 圧 と心 拍数 を上 昇 させ る と考 えた.ま た, 陣 痛 発 作 時 に は,子 宮 収 縮 に よ り血 圧 と心 拍 数 は上昇 す るが,陣 痛終 了 と ともに十分 にRelaxation で き れ ば,そ れ らが す ぐに 弛 緩 反 応 に よ り平 常 値 に戻 る と 予 想 され た の で,陣 痛 中 ・陣 痛 直 後 ・間 歇 時 の3回 に 分 け て 測 定 した. 状 態 不 安 に お い て3群 間 に 有 意 差 の み られ た 極 期 で は,習 得 群 の 陣 痛 間 歇 期(陣 痛 直 後 と 間 歇 時)の 血 圧 が,妊 娠 中 の そ れ と 比 べ て 差 が な く,変 動 が 少 な い傾 向 が 伺 わ れ た.ま た,習 得 群 の進 行 期 と極 期 の血 圧 と脈 拍 数 は,有 意 差 は な か った が,他 の2群 の そ れ らに 比 べ て 各 々低 い 傾 向 に あ った.習 得 群 の 血 圧 と脈 拍 数 の 平 均 値 は,Robson 36)が 妊 娠 中 と分 娩 時 に継 続 的 に 測 定 した心 拍 数 ・平 均 血 圧 の 結 果 に近 似 して い た.こ の研 究 対 象 者 は 吸 入 麻 酔 を受 け て い た た め,佐 野 ら10)の 報 告 した 硬 膜 外 麻 酔 を うけ て い た症 例 に おい て,不 安 が 軽 減 して い た よ うに, 不 安 や 産 痛 が軽 減 され て い た と思 わ れ る.従 っ て,習 得 群 の 結 果 は,Relaxation効 果 に よ っ て 不 安 や 産 痛 が軽 減 され て い た こ と を支 持 す る も の で あ る と推 察 され る.
-30-V.結 論 1.結 論 1)分 娩 進 行 に 伴 う不 安 の 増 強 が,自 律 訓 練 法 習 得 群 で は,他 の2群 よ りも抑 制 され た. 2)産 痛 の 主 観 的 評 価 は,自 律 訓 練 法 習 得 群 で は他 の2群 よ り,進 行 期 の 産 痛 の 強 度 は 緩 和 され,極 期 の 産 痛 の 感 覚 的 評 価 指 数 は 有 意 に 低 い 値 を示 した. 3)極 期 の陣 痛 間 歇 期 の血 圧 と脈 拍 数 の 平 均 値 は,自 律 訓 練 法 習 得 群 が 他 の2群 の そ れ らに 比 べ て 低 か った が,有 意 差 は な か った. 4)神 経 筋 コ ン トロ ー ル カ は,自 律 訓 練 法 習 得 群 で は,他 の2群 よ り有 意 に 良好 な 結 果 を示 した. 5)ラ マ ー ズ 法 評 価 得 点 は,自 律 訓 練 法 習 得 群 で は,他 の2群 よ り進 行 期 ・極 期 に お い て そ の 実 施 が優 れ て い る とい う有 意 な 傾 向 が み ら れ た. 以 上 に よ り,産 婦 の 不 安 の 軽 減 や 産 痛 の緩 和 の た め に,分 娩 前 か ら の 看 護 の 方 法 と して, Relaxationの 技 法 を 教 授 す る こ と は,分 娩 時 のRelaxation効 果 を 促 し,産 婦 の 不 安 の 軽 減 や 産 痛 の緩 和 に 対 し有 効 で あ る こ とが 明 らか に な った. 2.研 究 の 限 界 と課 題 臨 床 に お け る研 究 で あ っ た た め,条 件 を厳 密 に 調 整 す る こ と が 困 難 で あ っ た.AT教 授 ク ラ ス へ の 参 加 は 任 意 で あ った た め,研 究 対 象 者 を 無 作 為 に ふ りわ け る こ とは で きな か っ た の で, 訓 練 群 は ク ラ ス参 加 へ の 動 機 を も って い る とい う対 象 特 性 が あ る こ とは さ け られ な い こと で あ る.未 習 得 群 と未 訓 練 群 が 極期 以 降 の 測 定 値 で 近 似 した 傾 向 を 示 した こ と か ら,中 途 半 端 な 教 育 で は,し な い 場 合 と大 差 が な い と も考 え られ, 効 果 的 な 教 授 方 法 を検 討 す る必 要 性 が 示 唆 され た.ま た,仮 に未 習 得 群21人 す べ て が 脱 落 例 と す る と,ATを 習 得 しや す い 対 象 特 性 が 習 得 群 に あ った か も しれ な い と い うこ とも考 え られ る. この こ と は,現 段 階 で は 臨 床 に お け る研 究 の 限 界 で あ り,こ の よ うな 対 象 特 性 に つ いて 追 求 す る こ と も,今 後 の課 題 で あ る と考 え る. 謝 辞 本 研 究 に ご理 解 と ご協 力 を い た だ き ま した 産 院 の 職 員 の 皆 様,本 研 究 に快 く ご協 力 くだ さい ま した妊 産 婦 の 方 々 や,千 葉 大 学 母 性 看 護 学 講 座 の 教 員 お よび 大 学 院 生 に深 謝 い た します. (尚,本 論 文 の 要 旨は,第9回 日本 看 護 科 学 学 会 に お い て 発 表 した.) 引用文 献
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