目 次
Ⅰ はじめに
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
1 植物工場とは ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 2 調査方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1Ⅱ 調査結果(概要)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
1 植物工場一覧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 2 植物工場事業者の属性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 3 立地場所 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 4 設置年 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 5 施設規模 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 6 従業員規模 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 7 栽培品目 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 8 使用光源 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8Ⅲ 植物工場事例(その1 ストーリー編)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
地域の食を支える障害者が参加した植物工場 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10 コスモファーム岩見沢(北海道岩見沢市) 地域と共に歩む植物工場をめざす ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 野菜工房(埼玉県秩父市) 野菜生産と店舗販売を一体化した植物工場 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 グリーンフレーバー五香店(千葉県松戸市) 都会でつくる植物工場 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 東京ドリーム(東京都小平市) 「てんしのやさい」で大規模展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 エンジェルファーム福井(福井県美浜町) 自社施設を活用して新事業への展開を模索 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20 ラプランタ諏訪(長野県岡谷市) 国内最大のトマト生産を展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 加太菜園(和歌山県和歌山市) 響灘菜園(福岡県北九州市) 地域農業の活性化に向けて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 久住高原野菜工房(大分県竹田市)Ⅰ はじめに
植物工場は、施設内で植物の生育環境(光、温 度、湿度、二酸化炭素濃度、養分、水分等)を制 御して栽培を行う施設園芸のうち、環境及び生育 のモニタリングを基礎として、高度な環境制御と 生育予測を行うことにより、野菜等の植物の周年・ 計画生産が可能な栽培施設である。 植物工場には、 (1)閉鎖環境で太陽光を使わずに環境を制御し て周年・計画生産を行う「完全人工光型」 (2)温室等の半閉鎖環境で太陽光の利用を基本 として、雨天・曇天時の補光や夏季の高温 抑制技術等により周年・計画生産を行う「太 陽光利用型」(太陽光利用型のうち、特に 人工光を利用するものについては「太陽光・ 人工光併用型」という) の2つがある。 完全人工光型植物工場 太陽光利用型植物工場 本事例集作成のため、以下の表の通り調査を実施した。 調 査 期 間 平成20年12月から平成21年3月まで 調 査 対 象 1で定義された「完全人工光型」及び「太陽光利用型」の植物工場のうち、平成21年 3月現在において、国内で販売を目的として運営されている施設 ※「太陽光利用型」については調査の簡素化を図る観点から「太陽光・人工光併用型」 を対象とした。 調 査 施 設 数 50施設(完全人工光型 34施設 太陽光・人工光併用型 16施設) 調 査 方 法 新聞、雑誌、インターネット等で情報収集後、訪問、電話、郵送等により取材1
植物工場とは
2
調査方法
Ⅱ 調査結果(概要)
完全人工光型植物工場
名称 場所 設置した事業者名 主な生産品目・品種 ストーリー編 データ編●
コスモファーム岩見沢 北海道岩見沢市 社会福祉法人クピド・フェア リーフレタス P10 P26●
青森県産直野菜工場 青森県黒石市 青森県(津軽元気野菜工場促進協議会) ベビーリーフ、トマト苗 P27●
住田野菜工房 岩手県住田町 ㈱九州屋 レタス、グリーンリーフ、サンチュ等 P28●
セコムハイプラント 宮城県白石市 ㈱セコム工業 ハーブ P28●
安全野菜工場 山形県米沢市 ㈲安全野菜工場 チマ・サンチュ P28●
TSファーム白河 福島県白河市 キユーピー㈱ サラダ菜、リーフレタス P29●
全農とちぎ種苗センター 栃木県宇都宮市 JA全農とちぎ トマト苗●
ハイテック羽生 埼玉県羽生市 農事組合法人ハイテック羽生 サラダ菜、リーフレタス P29●
野菜工房 埼玉県秩父市 ㈱野菜工房 レタス P12 P30●
グリーンフレーバー五香店 千葉県松戸市 ㈱みらい レタス、サンチュ、グリーンリーフ、 ミズナ、ルッコラ、バジル P14 P30●
アーバンファーム 千葉県柏市 ㈲アーバンファーム レタス、各種ハーブ類 P31●
東京ドリーム 東京都小平市 ㈲東京ドリーム リーフレタス、フリルアイス、ロロロッサ、サラダ菜等 P16 P31●
小津産業 東京都府中市 小津産業㈱ リーフレタス P32●
松代ハイテクファーム 新潟県十日町市 ㈲松代ハイテクファーム レタス、サラダ菜 P32●
スマイルリーフスピカ 富山県富山市 スマイルリーフスピカ㈱ リーフレタス、ハーブ P32●
エンジェルファーム福井 福井県美浜町 ㈱フェアリーエンジェル グリーンウェーブ、 グリーンリーフ、ロメイン、 サンチュ、フリルアイス、ミズナ、 ルッコラ、春菊、小松菜 P18 P33●
ハイテクファーム武生工場 福井県越前市 農事組合法人ハイテクファーム サラダ菜、リーフレタス、フリルレタス P33●
大戸屋グリーンルーム 山梨県山梨市 ㈱大戸屋 レタス、グリーンリーフ、サンチュ等 P34●
ラプランタ諏訪 長野県岡谷市 ㈱ラプランタ リバーグリーン、フリンジグリーン、ノーチップ P20 P34●
安曇野三郷ハイテクファーム 長野県安曇野市 ㈲安曇野三郷ハイテクファーム サラダ菜、リーフレタス、フリルアイスレタス、わさび菜、ルビー クイン、ベビーリーフミックス P35●
フレッシュグリーン 静岡県静岡市 ㈲フレッシュグリーン サラダ菜、レタス P351
植物工場一覧
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21Ⅱ 調査結果(概要)
名称 場所 設置した事業者名 主な生産品目・品種 ストーリー編 データ編
●
みらくるグリーン 大阪府岸和田市 ㈱みらくるグリーン ベビーリーフ、ハーブ P38●
日亜物産 兵庫県尼崎市 日亜物産㈱ グリーンリーフ、フリルレタス、ビバロッソ P38●
夢ファーム有漢 岡山県高梁市 (旭食品㈱出資の第三セクター)㈱夢ファーム有漢 フリルアイス、リーフレタス P39●
徳島シードリング 徳島県板野町 ㈲徳島シードリング トマト苗 P39●
グリーンタックファーム 愛媛県今治市 ㈱グリーンタックファーム サニーレタス、ベビーリーフ、ルッコラ P39●
ベルグアース 愛媛県宇和島市 ベルグアース㈱ トマト苗 P40●
夢ファームやなだに 愛媛県久万高原町 ㈶柳谷村産業開発公社 サラダ菜、リーフレタス、フリルアイス P40●
夢ファーム土佐山 高知県高知市 (旭食品㈱出資の第三セクター)㈱夢ファーム土佐山 サラダ菜、リーフレタス P41●
夢野菜おおざいファーム 大分県大分市 ㈲夢野菜おおざいファーム グリーンリーフ、フリルアイス、サラダ菜 P41 名称 場所 設置した事業者名 主な生産品目・品種 ストーリー編 データ編●
プラントファクトリー 北海道浦臼町 農業生産法人神内ファーム21 サンチュ、サラダ菜、リーフレタス、イチゴ、トマト P42●
トヨタフローリテック 青森県六カ所村 ㈱トヨタフローリテック ミニバラ、ポインセチア、カランコエ P42●
熊谷農園 山形県鮭川村 ㈲熊谷園芸 バラ P43●
土浦グリーンハウス 茨城県土浦市 JFEライフ㈱ サラダ菜、レタス P43●
角田浜農場 新潟県新潟市 ㈲グリーンズプラント巻 ミツバ、ベビーリーフ、ルッコラ等 P44●
えちご魚沼 新潟県南魚沼市 (農)えちご魚沼 ホウレンソウ●
花プラン 新潟県新発田市 ㈲花プラン バラ P44●
こもろ布引いちご園 長野県小諸市 農事組合法人布引施設園芸組合 イチゴ、イチゴ苗 P45●
ホト・アグリ 静岡県浜松市 ㈱ホト・アグリ リッチリーフ P45●
國枝バラ園 滋賀県守山市 國枝バラ園 バラ P46●
三田グリーンハウス 兵庫県三田市 JFEライフ㈱ サラダ菜、レタス P46●
アリス 和歌山県紀の川市 農事組合法人アリス レタス P47●
サンライフ野菜センター 香川県三豊市 ㈲サンライフ野菜センター 半結球レタス P47●
エスジーグリーンハウス 福岡県北九州市 エスジーグリーンハウス㈱ レタス●
アコルくんのすいさい園 佐賀県みやき町 ㈱ニシケン グリーンリーフ、サラダ菜 P48●
久住高原野菜工房 大分県竹田市 ㈲スウェデポニック久住 パセリ・バジル等 P24 P48 (注)太陽光・人工光併用型植物工場
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 26 27 28 29 30 31 32 33 342
植物工場事業者の属性
0(0
%)
■ ■ ■ ■ 民間企業 ■ 農家・農業生産法人 ■ その他4(12
%)
11(32
%)
19(56
%)
6(38
%)
10(63
%)
●完全人工光型では56%が企業、32%が農業生産法人等であるが、太陽光・人工光併用型
では69%が農業生産法人等で、31%が企業と、企業中心の完全人工光型と、農家中心の
太陽光・人工光併用型に分かれている。
●特徴的なものとして、完全人工光型には、社会福祉法人が運営するものがある。
完全人工光型(n=34)●完全人工光型の植物工場は工業団地等の工業用地のほか、宅地や雑種地など様々な土地に
立地しており、立地に当たって農地転用している例もある。
●太陽光・人工光併用型は多くが農地に立地しているが、大手企業が経営するものの中には、
農地以外(準工業地域)に立地している例もある。
■代表的な植物工場の立地場所
形態 施設名 地目 完全人工光型 コスモファーム岩見沢(北海道) 工業用地 亀岡プラント(京都府) 宅地 太陽光・人工光併用型(n=16)3
立地場所
Ⅱ 調査結果(概要)
注:グラフ内の数字は「実数(割合 %)」。割合は小数点以下を四捨五入しているため、合計が 100 にならない場合がある。以下同じ。9(26
%)
13(38
%)
■ ■ ■ ■ ■ ∼1995年 ■ 1996年∼2000年 ■ 2001年∼2005年 2006年∼6(18
%)
6(18
%)
4(29
%)
6(43
%)
3(21
%)
1(7
%)
●太陽光・人工光併用型は2000年以前に設置されたものが72%を占めている。
●完全人工光型は、最近3年以内に設置された施設が38%あり、新しい施設が多い。
完全人工光型(n=34) 太陽光・人工光併用型(n=14)4
設置年
■ ■ ■ ■ ■ ∼500㎡未満 ■ 500∼1000㎡未満 ■ 1000∼5000㎡未満 5000㎡∼
13(48
%)
10(37
%)
4(15
%)
0(0
%)
0(0
%)
3(27
%)
2(18
%)
6(55
%)
完全人工光型(n=27) 太陽光・人工光併用型(n=11) 設置実面積:植物工場の建物の面積0(0
%)
0(0
%)
■ ■ ■ ■ ■ ■ ∼500㎡未満 ■ 500∼1000㎡未満 ■ 1000∼5000㎡未満 5000㎡∼10000㎡ 10000㎡∼15(47
%)
5(16
%)
6(19
%)
1(3
%)
4(31
%)
2(15
%)
7(54
%)
完全人工光型(n=32) 太陽光・人工光併用型(n=13) 栽培実面積:植物工場の建物のうち、野菜等を栽培している部分の面積5
施設規模
●完全人工光型の設置実面積は1,000㎡未満のものが85%である一方、栽培実面積が
1,000㎡を超えるものが38%を占める。これは多段で栽培することにより、建物の面積
あたりの生産効率をあげているためである。
●太陽光・人工光併用型の設置実面積は5,000㎡以上が55%あり、完全人工光型に比べて
大規模な施設が多い。
Ⅱ 調査結果(概要)
■ ■ ■ ■ ■ ∼10人 ■ 11∼50人 ■ 51∼100人 101人∼
15(65
%)
8(36
%)
0(0
%)
0(0
%)
0(0
%)
3(27
%)
7(64
%)
1(9
%)
完全人工光型(n=23) 太陽光・人工光併用型(n=11) ■ ■ ■ ■ ■ ■ 3人未満 ■ 3∼5人未満 ■ 5∼10人未満 10∼20人未満 20人以上16(70
%)
6(26
%)
1(4
%)
5(63
%)
2(25
%)
1(13
%)
0(0
%)
0(0
%)
0(0
%)
0(0
%)
完全人工光型(n=23) 太陽光・人工光併用型(n=8)●完全人工光型の従業員規模は全て50人以下で、10人以下が65%である。
●太陽光・人工光併用型は11人以上が64%を占め、大規模雇用施設が多い。
6
従業員規模
●設置実面積当たりの従業員数は、完全人工光型は10∼20人未満が70%を占めるが、太
陽光・人工光併用型は回答施設が全て10人未満となっており、太陽光・人工光併用型の
方が比較的少人数で生産しており、省力化している。
●栽培品目は、リーフレタスやサラダ菜、フリルレタスなどのレタス類が中心で、その他で
はハーブ等や野菜苗等がみられる。事業的に生産可能な品目が限られている。
●完全人工光型では、蛍光灯の利用割合が高く、LEDの利用割合が低い。
●太陽光・人工光併用型の多くでは高圧ナトリウムランプが使われている。
Ⅲ 植物工場事例(その1 ストーリー編)
30 15 10 5 0 花 卉 苗 ︵ ト マ ト 等 ︶ ミ ツ バ オ オ バ イ チ ゴ ト マ ト ほ う れ ん 草 春 菊 ル ッ コ ラ ミ ズ ナ ハ ー ブ 類 う ち 、 リ バ ー グ リ ー ン う ち 、 ロ ロ ロ ッ サ う ち 、 ロ メ イ ン レ タ ス う ち 、 グ リ ー ン リ ー フ う ち 、 ベ ビ ー リ ー フ う ち 、 リ ー フ レ タ ス う ち 、 フ リ ル ア イ ス う ち 、 サ ン チ ュ う ち 、 サ ラ ダ 菜 レ タ ス ■ 完全制御型(n=34) ■ 太陽光・人工光併用型(n=16) (複数回答)…
29 9 11 11 4 6 6 6 1 1 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 13 5 2 2 1 1 1 1 1 1 1 4 4 4 4 2 2 100 90 80 70 60 50 (%) 15(48%) 100 90 80 70 60 50 (%) 12(39%) 8(73%) 完全人工光型(n=31) 太陽光・人工光併用型(n=11)7
栽培品目
8
使用光源
Ⅱ 調査結果(概要)
地域の食を支える障害者が参加した植物工場
●
1
コスモファーム岩見沢
(北海道岩見沢市) 事業者名(属性)、タイプ 社会福祉法人クピド・フェア(その他)、完全人工光型 設置年、主要品目 2003年、リーフレタス 設置実面積 596㎡ 生産量 100∼150kg /日、83万玉/年 18回転(3週間周期) 地目・用途 特別工業地区 雇用数(正規・パート別) 7人(合計) 2人(社員) 5人(障害者) 備考基礎情報
社会福祉法人クピド・フェアは設立43年目の重 度の障害者の授産施設で、常時500人が生活して いる。どんなに身体に障害があっても、仕事をし てもらい元気になってもらいたいというコンセプ トで運営している。 植物工場事業は、地元の電力会社の支店長から 有機栽培を紹介されたことがきっかけである。実 際の事業化にあたっては、植物工場プラントを実 用化されていたメーカーとの出会いがあった。 「障害があっても仕事ができる仕組み」、「車いす でできる農業」を目指し水耕栽培事業に展開して いった。露地栽培よりも味・質が良く、栄養素が 多い野菜を作りたい、日本の食料自給率の向上に 貢献したい、岩見沢は豪雪地帯であり安定的に野 菜を供給したいということがコンセプトである。1
経緯
Ⅲ 植物工場事例(ストーリー編)
2
植物工場事業の特徴
現在、リーフレタスを1パックあたり70gで販売。平均小売価格は198円。 この事業に取り組み始めた当初は市場を経由してスーパーに並べていたが、レストランやスーパーに営 業を行い、現在では市場を経由せずに納めているケースも出てきている。 学校給食にも提供している。本当は生食(なましょく)で給食に出すことはできないが(1996年の O-157食中毒事例以降、文部科学省の通達により75℃以上の熱湯を通すか、開封後、120分以内に調理・ 提供することが必要)菌の含有レベルが基準値を満たしていることを市の教育委員会に認めてもらってお り、生食で提供できている。 その他地元の銀行や生命保険会社の支店等の社員などが会員になっているコスモクラブに販売してい る。また、業務用では北海道食材にこだわった銀座のレストランや、新千歳空港の1階のサンドイッチ店、 コンビニのサラダうどん用(奈良県生駒市)に卸している。 障害者は収穫・梱包、育苗などの作業に従事している。商品は、常温保存で7∼10日間保存可能である。 機器の購入先からの技術指導は受けているが、基本的には独学で進めている。プラントのメンテナンスは 道の農業試験場や食品加工研究センターなどから指導を受けている。農薬は一切使用していない。 現在の土地は、もともと岩見沢市の工業団地で、福祉機器の製造工場が立地していたが、これを更地に して植物工場を竣工した。3
今後の課題、参入を検討している方々へのメッセージ
日持ちするという植物工場産の野菜の特性は、独身者や 高齢者のみの世帯などでの消費に適しており、少量を小分 けして宅配できる形にしたい。商品としての認知度を上げ る必要がある。特に生命保険などの営業員の方の口コミは 絶大であり、地域マーケットを意識するなら、こうした地 元消費者が信頼する情報伝達手段を活用することが重要で ある。小売店に並べると露地栽培の商品も含めて価格でし か消費者に判断してもらえていない。価格以外のものを示 す必要がある。 水耕栽培であるため、JAS法の有機表示は使えない。表 示ができるようにしてほしいと小売店からは要望があり、 何らかの認証制度が必要だと思う。 学校給食や病院食など、地域需要に対応した植物工場版 地産地消の取組は、ビジネスとして展開しやすいのではな事業者名(属性)、タイプ ㈱野菜工房(民間企業)、完全人工光型 設置年、主要品目 2008年、リーフレタス 設置実面積 400㎡ 生産量 900∼1,000株/日 地目・用途 工業団地内 雇用数(正規・パート別) 6人(合計) 1人(社員) 5人(パート・派遣) 備考 TSファームを開発したキユーピー㈱で食品開発技術者だった現社長が、「これからの地域社会には、定 年退職した高齢者や障害者が地域の中で働く場所が必要」という考えから、経験もいらず、体への負担も 小さい「ユニバーサルワーク」として事業化した。事業化にあたっては、キユーピー在職中からTSファー ムの研究や実習を経験し、TSファームと同じ噴霧水耕(根に培養液を噴霧する栽培方法)でありながら 水平設置型で設備コストを抑えたシステムを開発し、秩父市内の空き工場の一角に実証プラントを設置し た。 当初から、地域における安定的な雇用確保を第一に、同業他社に勝つのではなく負けないこと、品質や 生産技術の高度化により生き抜くことを目的としている。
1
経緯
地域と共に歩む植物工場をめざす
●
9
野菜工房
(埼玉県秩父市)基礎情報
Ⅲ 植物工場事例(ストーリー編)
設備投資コストを抑えつつ、品質や生産技術の高度化に取り組むため、照明は量販店で販売している低 価格・省エネタイプの白色蛍光灯を採用する一方で、野菜への菌付着リスクの低い噴霧水耕方式を採用し た。施設内の衛生管理は前職の経験を活かして、食品工場の管理方法を採用し、他の植物工場と比べても 菌付着率が低く抑えることに成功している。 1日に1,000株程度を生産し、地元百貨店やスーパー等の小売店、ゴルフ場やホテルのレストランを 中心に、都心部の百貨店やスーパーにも卸している。 農薬を全く使用していないほか、硝酸塩の濃度を低く抑えるなど、高品質・高機能性野菜の開発・生産 に力を入れている。将来的には、カルシウムを多く含む野菜など、サプリメントとしての効果が期待でき るサプリメント野菜の実現を目指している。 現在生産している「低硝酸塩野菜」はえぐみが少なく、乳幼児でも安心して食べられる。そこで、歯が 生え揃ってきた3歳程度の子どもたちが初めて食べる野菜として、「サラダデビュー」野菜というコンセ プトで売りだそうとしている。 自社で生産した野菜の特徴を理解し、エンドユーザーが理解しやすいイメージやコンセプトで訴えかけ ることで、はじめて消費につながる。誰がどんな状況で食べるのかをイメージできなくては、どこにどの ように売り込んだら良いのか分からないので、いつまで経っても商品を売り込むことができない。まずは 自社の野菜の良さを的確に消費者に伝えることが重要である。 大手中食や外食等へも販路を広げたいとは思うが、現在の施設では必要な量を納入することができない。 今後は、植物工場のフランチャイズ化など、顧客が必要とする量に柔軟に対応できる植物工場同士のネッ トワーク形成が重要になってくる。
2
植物工場事業の特徴
3
今後の課題、参入を検討している方々へのメッセージ
Ⅲ 植物工場事例(ストーリー編)
㈱みらいは、千葉大学大学院自然科学研究科を修了した社長が当時の最低資本金の特例制度を活用して 設立した企業(現在では資本金1000万円)である。グリーンフレーバー五香店は3階建てのマンション の1階を改装して㈱みらいが運営している植物工場で、蛍光灯を使った多段式水耕栽培方法を用いてレタ スやグリーンリーフなどを一日約300株生産している。まるで、パン屋が焼きたてのパンを店頭で販売 するかのように、採れたての野菜をすぐに消費者に提供することができ、野菜生産と店舗販売が一体化し た独自の農業生産システムを実現している。1
経緯
野菜生産と店舗販売を一体化した植物工場
●
10
グリーンフレーバー五香店
(千葉県松戸市)Ⅲ 植物工場事例(ストーリー編)
事業者名(属性)、タイプ ㈱みらい(民間企業)、完全人工光型 設置年、主要品目 2006年、レタス、サンチュ、グリーンリーフ、バジル、イタリアンパセリ、ルッコラ、からし水菜、クレソン、他 設置実面積 200㎡ 生産量 288株/日(但し、内半分は研究用として栽培し、非販売) 地目・用途 宅地 備考基礎情報
植物工場で作った野菜をそのまま店頭に並べて販売しているため、消費者ニーズを直接把握することが できる。消費者のニーズは、「農薬などの安全性が気になる」、「できれば洗いたくない」、「捨てるところ が少ない野菜を購入したい」、「1年中新鮮なハーブが欲しい」など様々であり、ニーズに合わせた商品開 発を行い、消費者に提供している。これは、洋服で用いられる、SPA事業モデルの、野菜バージョンと もいえる。 ㈱みらいはグリーンフレーバーでの小売だけではなく、千葉大学大学院で学んだ知識やグリーンフレー バーの経験を活かし、植物工場に関係するノウハウの提供ビジネスも展開している。植物工場の運営のた めには、植物の栽培のみならず、植物工場のプラント及びシステムや経営に関する知識といった多様な知 識が必要となるが、こうしたノウハウを持つ人材が不足しているのが現状であり、そのサポートを行って いる。具体的には、外食チェーンの大戸屋や卸売業の小津産業への実績がある。 また、他にも同社のシステムは、設置場所を選ばないことから、南極の昭和基地に設置され、越冬隊員 への生鮮野菜の供給に貢献したり、少量の水で野菜栽培ができるシステムとして砂漠の多い中東諸国から 引き合いがあるなど、これまで農業に適さなかった地域からも注目を浴びている。
2
植物工場事業の特徴
3
今後の課題、参入を検討している方々へのメッセージ
植物工場を運営するためには、工場設備に関する技術だけではなく、どのようにして野菜生産をしてい くのか、という栽培技術の充実も不可欠である。そうしたノウハウを、もし独自で開発するなら、時間も 労力も莫大に掛かるため、事業展開にあたっては既にノウハウを持つ企業からハード・ソフトのノウハウ 提供を受けることも検討すべきである。Ⅲ 植物工場事例(ストーリー編)
大学卒業後しばらくは会社勤めをしていたが、 結婚を契機に実家の農家を継ぐ形で就農した。当 初は親の世代とは違うことをしようと思い、有機 農業に取り組んでいた。しかし、作業が大変な上、 高品質のものがなかなか作れず、限界を感じてい たところ、当時世間で話題になり始めていた植物 工場に興味を持った。 都や市の担当の協力も得て、2001年に国の事 業を活用して植物工場を整備した。 生産緑地に保有していた農地1haのうち150坪 を農地転用して整備した。農地転用の手続きはス ムーズに完了。生産緑地並み課税で負担額は農地 の時と同額に留まった。 補助金の申請や農地転用の手続き等の色々な面 で都および市(いずれも農業関係の部署)がサポー1
経緯
都会でつくる植物工場
●
12
東京ドリーム
(東京都小平市)Ⅲ 植物工場事例(ストーリー編)
基礎情報
事業者名(属性)、タイプ ㈲東京ドリーム(農家・農業生産法人)、完全人工光型 設置年、主要品目 1997年、リーフレタス、ロロロッサ、サラダ菜 設置実面積 499㎡ 生産量 28トン/年、1,000株/日 12回転/年 地目・用途 宅地 雇用数(正規・パート別) 10人(合計) 備考栽培施設はキユーピー㈱が開発したTSファームと呼ばれるもの。種子や肥料の供給、栽培技術の指導、 機械・施設のメンテナンス等は現在もキユーピーが関わってくれており、現在もキユーピー TSファーム 白河のプラントに行き、技術等の研修を受けている。出荷についても、他のキユーピー型施設で事業を行っ ている施設と連携して出荷している部分がある。以前は栽培品目を拡大してベビーリーフ等を生産してい たこともあったが、コスト面で合わず現在は生産していない。 当初、販売先の確保に苦労したが、キユーピーや政府系金融機関、知り合い等に紹介してもらい、販路 を開拓し、販売先を安定的に確保できるようになった。 現在は7∼8割が巻寿司や弁当、サンドイッチ等の惣菜用業務向けで、残りの2∼3割が生鮮販売用で ある。主な販売先としては、業務用は小売店(大手スーパーや食品専門スーパー等)で生鮮用はインター ネット通販、小売店(高級スーパー等)である。スーパーからは、卸価格を下げるよう要請がある。スー パーとしては、概ね200円を切る価格で販売したいようだ。出荷方法としては、各社が車で当工場まで 引き取りにくるのが大半だが、一部は運送会社を利用している。大手スーパーからは毎日注文があり、当 日注文分を翌日出荷している。 販売先が確保でき、収量も安定してきたが、消費量に波があり、予測不可能な部分がある。 収益確保とパート人員の有効活用のため、豆腐製造も始めた。元々持っていた農地では引き続き露地と ハウスで野菜を栽培しており、経営者夫婦が主に担当しているが、パートの一部にはこちらの作業もお願 いしている。しかし、露地と植物工場の作業を並行してやるのは大変であり、経営の安定が不可欠となっ ている。 植物工場は今後更に有望であると考えており、今後規模を拡大したい気持ちはある。 また、設備面では、既存施設が設置から10年以上が経ち、機器更新も考えないといけない。植物工場 は初期の設備投資額が大きくなるため、将来有望と考えても、なかなか設備更新や拡大を実現できない点 がある。 単に生鮮や業務用に販売するだけでなく、自社も関わった形での商品開発を進めることも重要である。 自社は長い間農家だったため、同じ地元でも商工会などの経済団体とは交流がなかった。あるきっかけで 商工会メンバーと知り合うことができ、自社製品による商品開発の話が持ち上がっている。具体的には、 以前にケールと大麦若葉を乾燥粉末にして販売していたことがあったが、その時に使用していた減圧乾燥 機等を活用して、植物工場で生産したレタスの収穫・出荷時に発生する残渣(葉など)を粉末にしてうど んに混ぜ込むことで、地元の特産品として製品化できないかを検討中である。 こうした他業種との出会いを大切にすべきである。
2
植物工場事業の特徴
3
今後の課題、参入を検討している方々へのメッセージ
農業のイメージを変革して農業活性化につなげ たいと考え、京都北山にて、レストランの地下に 植物工場を作りフードマイレージ0の地産地消を目 指して事業を始めた。その後、「てんしのやさい」 として一般に販売しようと千葉県野田に工場建設 用地を取得した。 福井県では、農村エリアで植物工場を運営する ことを試し、衰退していく農村の復興に貢献しよ うと考えた。京都の農村部でも良かったが、土地 の取得費用が高く、福井県が優遇措置を準備して おり、誘致に積極的だったことも考慮し、福井県 に立地することにした。 若狭エリアは、「食」が観光のテーマになってお り、当植物工場もルートのひとつとして観光バス で関西・中部地区から多数の観光客が訪れる。
「てんしのやさい」で大規模展開
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エンジェルファーム福井
(福井県美浜町)基礎情報
事業者名(属性)、タイプ ㈱フェアリーエンジェル(民間企業)、完全人工光型 設置年、主要品目 2008年、レタス、サンチュ、ミズナ、ルッコラ等 設置実面積 2,870㎡ 生産量 252トン/年 300万株/年 20回転/年(365日出荷・但し、定植から収穫までの期間の場合) 地目・用途 雇用数(正規・パート別) 46人(合計) 6人(社員) 40人(パート) 備考1
経緯
Ⅲ 植物工場事例(ストーリー編)
種は業者より購入している。種から収穫までで80%の歩留りがある。生産品種はレタス5種類とその 他の葉物4種類の9品目である。ほうれん草やチンゲンサイ等も栽培可能である。なお取り扱える品種は 多くても10種類ほどがロットとして確保できる限界である。 農薬はまったく使用していない。これは、当プラントをモデル工場として位置づけており、極端な方針 で運営しているためである。しかし「無農薬」と商品に記載することはできなくなったので、無農薬を謳 うことができない(参考:平成15年「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」。ただし、「栽培期間中 農薬不使用」等の記載は可能)。植物工場の生産プロセスでは、無農薬が可能である。取引上信用のため に残留農薬の検査は実施している。数検体の検査でも100数万円の費用を要する。 繁忙期は夏場と12月である。 販路は一般小売向けが7∼8割、加工・業務用が2∼3割となっている。取引先は複数確保したいが、 多すぎると注文に応じた出荷量を確保できないリスクが拡大する。 業務用として植物工場野菜のメリットは多い。例えば「無洗浄」は、トータルコストでいうとメリット があるが、他に仕入れた野菜は洗浄する必要があるため、結局洗浄工程は残すことになり、植物工場野菜 のメリットが、生産ラインに活かされることが難しくなる。 業務用は取引先ごとの配慮が重要である。大口との取引は大量受注につながるが、商品入れ替えが速く、 リスクが大きいため現在は対応していない。ホテル等の高級レストランでは、シェフが味覚等を気に入れ ば価格が高くても採用してくれる。 高額商品では百貨店向けが中心だが、より大きいマーケットを狙うにはスーパー向けが不可欠である。 スーパーでは158円がセンターライン(参考:割引品100円、高級品198円)となるので、グラム単 価は変更せずに、製品ひとつの量を少なくすることで60g158円という価格を実現した(60gは、喫 茶店のモーニングセットで提供されるサラダ約2つ分)。露地栽培ではできるだけ大きく栽培した野菜を 高く販売しないと損になるが、植物工場では商品サイズを小さくしても生産の回転を上げれば対応可能で ある。 既存の建物を改築して植物工場にすることも可能であり、空き店舗や空き施設の有効利活用も検討すべ きである。 電気料金や雇用等での行政等の支援策を使うことでコストを削減することができる。 フランチャイズの相談は多いが、都市計画法上、住居専用地域等の用途地域の指定がある場合、工場と しての建設許可が下りない可能性があるので、事前の聞き取りを慎重に行なっている。
3
今後の課題、参入を検討している方々へのメッセージ
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植物工場事業の特徴
基礎情報
事業者名(属性)、タイプ ㈱ラプランタ(民間企業)、完全人工光型 設置年、主要品目 2004年、サラダ菜、ハーブ 設置実面積 1,200㎡ 生産量 3,000個/日、8∼9回転/年 地目・用途 雑種地(準工業地域) 雇用数(正規・パート別) 28人(合計) 3人(社員) 25人(パート) 備考 オリンパス岡谷事業所内の元体育館を利用 1985年に当時化学系会社に勤務していた高柳 氏が植物の完全人工栽培の研究に着手。1989年 には小型の完全人工植物栽培機、1994年には大 型の植物栽培システムを完成。1995年には国内 特許を取得し、イー・ティー・ハーベスト社を設立。 東京羽田や、神奈川厚木市の生産・研究施設でテ スト生産を重ねる。 2004年には、現在の岡谷市内にあるオリンパ ス㈱の体育館内に植物工場を設置。2005年4月 から諏訪工場として本格稼動した。元々、工場の 敷地内であったため、準工業地域に立地している。 体育館は当時は資材置き場となっており、これを 植物工場のプラントに改築した。 なお、2003年からオリンパス子会社のITX から出資を受け、2008年にオリンパス㈱の完全自社施設を活用して新事業への展開を模索
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ラプランタ諏訪
(長野県岡谷市)1
経緯
Ⅲ 植物工場事例(ストーリー編)
事業内容は、①野菜の生産及び販売、②植物栽培技術の研究および販売、③植物栽培装置、設備、機器 の製造及び販売である。現在は、1日に約3,000パックを出荷し、年間361日稼動している。主な取引 先としては、東急・小田急等の大手ストアへの生鮮品としての出荷のほか、業務用や地元の病院1箇所と の取引がある。現在の取引状況では業務用とスーパー向けがほぼ同量となっているが、近年では業務用が 増加傾向にある。業務用として需要が比較的高いレタス3種類(リバーグリーン、フリンジグリーン、ノー チップ)と業務用ハーブのみを生産、それぞれ1パック198円で販売されている。 完全人工光型で、多段階の水耕栽培で生産している。レタスは約40日で収穫可能で、ハーブは20日 程度で収穫できる。年間の売り上げ規模は約1億1千万円。収支はほぼ均衡している。農薬は一切使用し ない。 全国のオリンパスの社内食堂と提携しており、1 日5,000食分のレタスを提供している。社員寮とも 提携、販売できなかった分をオリンパス社内で販売。 パートは常時25人が働いており、正社員3人と 総勢約40人体制で取り組んでいる。パートの大半 は近隣の主婦が中心である。 経費の内訳は、減価償却費と光熱費が3割程度。 なお、初期投資は親会社であるオリンパスが負担し ている。 事業として軌道にのるまでは様子見の段階で、当面は現状規模での野菜づくりに専念していく。 元々周辺がレタス産地であることから、「レタスは露地野菜」というイメージが強く、地元の小売には 苦戦したが、地元のケーブルテレビや、新聞等により紹介されて認知度が高まり、地元での関心も高まっ ている。 品種の選定が難しい。過去には複数品種をテストしたが、販売面で苦労し、現在の品種に安定している。 当初は、より生育期間を長く設定し、高めの値段で販売することを想定していたが、市場の反応をみて、 198円の売価に対応できるよう、ラインを変更した。 初期投資を除くと、電気や水道の料金の低減がコスト縮減のポイントである。当社は親会社の変電所か ら受電しているが、電気料金の単価変動はコストへの影響が大きい。また当地は水が良いため井戸水を利 用している。こうした費用はコストへの影響が大きいため、事業化に際しては十分気をつけるべき点であ る。
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植物工場事業の特徴
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今後の課題、参入を検討している方々へのメッセージ
基礎情報
事業者名(属性)、タイプ 響灘菜園㈱(民間企業)、太陽光利用型 設置年、主要品目 2006年、トマト 施設面積 84,000㎡ 生産量 2,000トン/年 9月から翌年7月まで連続収穫 地目・用途 工業専用地域 雇用数(正規・パート別) 150人(合計) うち正社員15人(うち管理8人) 備考 カゴメは、もともと洋野菜であるトマトを栽培する農業を創業者が始めたところからスタートしている。 その後生鮮トマトを食する文化がまだまだ広がっていなかった時代に、ケチャップ等に加工して販売、現 在のカゴメの基礎を築きあげた。 その後、トマト加工を中心に、ケチャップや野菜飲料で大手加工食品メーカーへと成長したが、世界的 にみて、日本人の生食トマトの消費量が圧倒的に少ないことに注目、トマトは人々の健康に貢献する栄養 素が多く含まれていることから、日本人の健康づくりのためにも、もっとトマトを食べてもらいたいとし て、生鮮トマトの生産・販売を計画した。国内最大のトマト生産を展開
響灘菜園
(福岡県北九州市)基礎情報
事業者名(属性)、タイプ 加太菜園㈱(民間企業)、太陽光利用型 設置年、主要品目 2005年、トマト 施設面積 52,000㎡ 生産量 1,500トン/年 9月から翌年7月まで連続収穫 地目・用途 市街化調整区域 雇用数(正規・パート別) 120人(合計) うち正社員13人(うち管理5人) 備考1
経緯
加太菜園
(和歌山県和歌山市)Ⅲ 植物工場事例(ストーリー編)
当初より、大規模な植物工場として、生産性を高めて生産することが決められた。 加太菜園は関西国際空港用埋め立て土採取後に整備された工業団地の一角を、響灘菜園は石炭発電の実 証実験を行った埋め立て後の工業用地を利用して5haと8ha規模で建設した。 当初より地元自治体と協力して建設したことで、手続きが円滑に進んだ。 スタッフは120∼150人程度だが、社員は10∼20人、そのうち管理部門の社員は5∼10人で、残 りは現場作業スタッフである。 大規模な施設のため、国内の施設園芸設備の業者では対応できず、設備や管理用ソフトウェアもオラン ダ企業のものを採用している。オランダは大規模施設園芸の先進国であり、設備についても低コストで短 期間に施工できるノウハウに長けている。このノウハウは国内企業でも見習うべきであろう(設備を現場 で一つ一つ作るのではなくキットのようになっている)。 現在は、契約栽培農家で生産されるトマトを含めて、収穫されたトマトは全量カゴメが買い取り、「こ くみトマト」として全国のスーパー等に販売している。 販売からの視点で事業を組み立てており、目標とする販売量を維持するために、安定的に生産できる植 物工場の設置に至っている。そのため販売面は当初から注力しており、生鮮野菜では初めてともいえる、 販売促進員(マネキン)「こくみレディ」を結成、全国のスーパーや小売店頭で、実際にトマトを煮たり、 焼いたりして試食させるなど、需要掘り起こしに力をいれている。 植物工場の野菜は作れば売れるものではない。商売の基本として、誰に何を売るのかをまず考え、その ための生産手段として植物工場のスペック(仕様等)を考えていかないと、作ったは良いが、販路開拓に 手間取り、事業が立ちゆかなくなる。販路の目星がついてから参入しても、初期投資分の回収には時間が かかることから、長期的な戦略に基づく参入が不可欠といえよう。
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植物工場事業の特徴
3
今後の課題、参入を検討している方々へのメッセージ
代表成安氏の実家は兼業農家として森林組合に 勤めていたが、専業農家として地域の活性化と農 業後継者を作りたいという思いがあり、親類で旧 久住町の議員から植物工場経営の話があり、旧久 住町の説明会に参加し手を挙げたのが始まりだっ た。建設コストは約5億円で、自己資金2億円、 補助事業費3億円で賄っている。日本初のスウェ デポニックシステムを導入した植物工場というこ とで旧久住町が協力してくれた。建設期間は8ヶ 月ほどである。
地域農業の活性化に向けて
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久住高原野菜工房
(大分県竹田市)基礎情報
事業者名(属性)、タイプ ㈲スウェデポニック久住(農家・農業生産法人)、太陽光・人工光併用型 設置年、主要品目 1997年、パセリ、バジル 設置実面積 3,300㎡ 生産量 144トン/年 120万ポット/年 10回転/年 地目・用途 農地(農業振興地域) 雇用数(正規・パート別) 16人(合計) 備考 障害者を2人雇用1
経緯
Ⅲ 植物工場事例(ストーリー編)
スウェデポニックシステムは、スウェーデンで開発され たもので、生育させるラインの幅が成長に伴って移動し、 広がっていくのが特徴である。苗が生長するにつれてより 多くの光を採り入れるため、自動的にラインの間隔が広 がっていき、4段階の幅を経て出荷に至る。このシステム のおかげで人の作業負担は少ない。スウェーデンは福祉が 発達している国なので、すべての作業をオートメーション 化するのではなく、ある程度人の手による作業部分を残し ている。 生産する商品にもよるが、一日10,000ポット作れる能 力はあるが、現在、生産調整を行い、6,000ポットを生 産している。収穫後、ダンボールに詰めてトラック輸送や 航空便を使用し、翌日午前中に全国の百貨店やスーパーに 卸している。 設置した当時はレタス、ほうれん草、パセリの3種類で あったが、その当時は質より量を優先され、露地野菜が流 通する時期に売れなくなり、3年目には経営的に厳しく、 生産物をハーブに転換したところ、5年目にガーデニング ブームが到来し売り上げが伸びて何とか継続できた。売り上げはその時がピークで年々落ちている状況で ある。利益を出すには売り上げを上げるか、輸送費や光熱費などのコストを下げるしかなく、出荷用ダン ボールの規格の変更や出荷数量を安定させるために出荷形態の見直しを行った。 販売先を確保するまでが苦労した。ポットごと販売しているので、根が付いていると野菜ではないと批 判されたこともあった。また、根が付いているとその部分がゴミになるので加工業者には向かない。 消費者の価値観が多様化しており、興味のある特定の分野にしか消費しなくなっている。何を生産すれ ば売れるのか苦心している。アンケートなどを見ると、価格が20%ほど高くても有機農産物を買うといっ た結果があるが、実際にはコストを吸収できるほど売れないと感じている。 消費者のニーズをつかむには、出来るだけ消費者と直接接しているところや人を販売先に入れ、情報の 先取りと提案が出来るようにする。 植物工場の野菜の強みは、食の安全性が求められる中、国産、無農薬、減農薬栽培をアピールできる点。
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今後の課題、参入を検討している方々へのメッセージ
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植物工場事業の特徴
Ⅳ 植物工場事例(その2 データ編)
生 産 品 目 リーフレタス 生 産 量 100∼150㎏/日 83万玉/年 年 間 生 産 回 数 18回転(3週間周期) 歩 留 ま り 率 55∼60% 収 支 赤字(生産量を全て販売できれば黒字化) 年 間 運 営 コ ス ト 電気料金:百数十万円/月 雇 用 者 数 7人(内訳右記参照)障害者5人(身体障害者2人、精神障害者3人)、社員2人 販 売 先 小売業(地元スーパー等) コスモクラブとして地元銀行や生保で購入(10株以上月2回以上購入)、銀座のレストラン、新千歳空港のサンドイッチ屋、生駒市のコンビニサラ ダうどん用に出荷 栽 培 シ ス テ ム コスモプラント方式の完全制御LED方式 そ の 他 障害者は主に収穫・梱包、育苗等に従事 施 設 の タ イ プ 完全人工光型 事 業 者 名 社会福祉法人クピド・フェア 事 業 者 の 属 性 その他 設 置 年 2003年 設 置 実 面 積 596㎡ 栽 培 実 面 積 540㎡ 設 置 場 所 の 地 目 工業用地 用 途 地 域 特別工業地区 建築基準法上の取扱 工場 使 用 光 源 LED 蛍光灯(苗生産) エ ネ ル ギ ー 源 電気●
1
コスモファーム岩見沢
(北海道岩見沢市)
基礎情報
生産情報
Ⅳ データ編:
完全人工光型植物工場
完全人工光型植物工場
Ⅳ データ編:
完全人工光型植物工場
生 産 品 目 ベビーリーフ、トマト苗等 生 産 量 約480kg /年(4月下旬∼3月下旬)(ベビーリーフ) 年 間 生 産 回 数 約30回転 歩 留 ま り 率 約93%(ベビーリーフ) 年 間 売 上 規 模 約120万円(ベビーリーフ) 収 支 赤字 設 置 コ ス ト 約900万円(付帯工事込み) 年 間 運 営 コ ス ト 約140万円 雇 用 者 数 従事者:10人(8事業者(8人がそれぞれ週2回×3時間)、県(2人がそれぞれ週2回×3時間) ) 販 売 先 地元産直施設、小売業、 飲食店等 栽 培 シ ス テ ム 太洋興業㈱(現:MKVドリーム㈱)の人工光・閉鎖型苗生産装置「苗テラス」 そ の 他 当該システムは、青森県が2か年のモデル事業として設置し、県が建設業者等8社と協働・連携し実践したものである。 施 設 の タ イ プ 完全人工光型 事 業 者 名 青森県、津軽元気野菜工場事業共同組合(8社) 事 業 者 の 属 性 その他 設 置 年 2007年 設 置 実 面 積 296.48㎡ 栽 培 実 面 積 16.2㎡ 設 置 場 所 の 地 目 非農地 建 築 用 途 作業場 使 用 光 源 3波長型白色蛍光灯(144本) 水 源 上水道 エ ネ ル ギ ー 源 電気(単相三線式100V、200V)●
2
青森県産直野菜工場
(青森県黒石市)
基礎情報
生産情報
Ⅳ データ編:
完全人工光型植物工場
生 産 品 目 チマ・サンチュ 施 設 の タ イ プ 完全人工光型 農 地 転 用 の 有 無 無 事 業 者 名 ㈲安全野菜工場 用 途 地 域 その他(指定無し) 事 業 者 の 属 性 民間企業 建築基準法上の取扱 建築物 設 置 年 1996年 建 築 用 途 工場・作業場 設 置 実 面 積 500㎡(工場) 55㎡(作業スペース) 使 用 光 源 蛍光灯 栽 培 実 面 積 2,800㎡ 水 源 水道 設 置 場 所 の 地 目 宅地 エ ネ ル ギ ー 源 電気●
5
安全野菜工場
(山形県米沢市)
基礎情報
生産情報
基礎情報
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3
住田野菜工房
(岩手県住田町)
生 産 品 目 レタス、グリーンリーフ、サンチュ等 年 間 生 産 回 数 8∼9回転(35∼40日周期) 雇 用 者 数 15人 販 売 先 小売業、飲食店等 施 設 の タ イ プ 完全人工光型 栽 培 実 面 積 4,092㎡ 事 業 者 名 ㈱九州屋 設 置 場 所 の 地 目 非農地 事 業 者 の 属 性 民間企業 使 用 光 源 蛍光灯 設 置 年 2006年●
4
セコムハイプラント
(宮城県白石市)
生 産 品 目 ハーブ 雇 用 者 数 12人 販 売 先 小売業等 施 設 の タ イ プ 完全人工光型 設 置 実 面 積 800㎡ 事 業 者 名 ㈱セコム工業 栽 培 実 面 積 2,000㎡ 事 業 者 の 属 性 民間企業 設 置 場 所 の 地 目 工業用地 設 置 年 1990年生産情報
基礎情報
生産情報
Ⅳ データ編:
完全人工光型植物工場
生 産 品 目 サラダ菜、リーフレタス 生 産 量 24t 年 間 生 産 回 数 10回転 歩 留 ま り 率 90% 年 間 売 上 規 模 4,000万円 収 支 毎年収支均衡 設 置 コ ス ト 設備購入費:1億4,000万円(50%が国庫補助) 年 間 運 営 コ ス ト 3,500万円(うち光熱費が28%)土地貸借:200万円/年 雇 用 者 数 9人 販 売 先 小売業(マルヒロ、サミット、スズキヤ)、卸売業(キユーピーデリカ)、食品加工メーカー(スズキヤベーカリー) 栽 培 シ ス テ ム キユーピーTSファーム 施 設 の タ イ プ 完全人工光型 農 地 転 用 の 有 無 有 事 業 者 名 農業組合法人ハイテック羽生 用 途 地 域 その他 事 業 者 の 属 性 農家・農業生産法人 建築基準法上の取扱 建築物 設 置 年 1996年 建 築 用 途 工場・作業場 設 置 実 面 積 498.96㎡ 使 用 光 源 高圧ナトリウムランプ 栽 培 実 面 積 350㎡ 水 源 水道 設 置 場 所 の 地 目 畑 エ ネ ル ギ ー 源 電気●
8
ハイテック羽生
(埼玉県羽生市)
基礎情報
生産情報
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6
TS ファーム白河
(福島県白河市)
生 産 品 目 サラダ菜、リーフレタス等 生 産 量 120t /年 年 間 生 産 回 数 10回転 設 置 コ ス ト 約5億円 雇 用 者 数 22人 販 売 先 小売業、飲食店等栽 培 シ ス テ ム キユーピー TSファーム(三角パネル(triangle panel)と噴霧水耕栽培(spray culture)を利用した完全制御型植物工場) 施 設 の タ イ プ 完全人工光型 設 置 年 1998年
事 業 者 名 キユーピー㈱ 設 置 場 所 の 地 目 非農地
事 業 者 の 属 性 民間企業 使 用 光 源 高圧ナトリウムランプ