士 白
Subculture and Community
Masae YOSHIMITSU
1.緒
言(1)サ
ブカルチ ャーと共同体 本論では,若
者たちのあいだで突発的に流行する一見奇異な作品 (ファッシ ョン,ポ
ピュラー 音楽,ア
ニメやマンガ,小
説な ど)と
それ らへの愛好的行動の両者を合めてサブカルチャー と定 義する。そして,そ
こにコミットする若者たちのあいだに生まれるある種の共同体的な もの創発 過程を具体的な調査結果から得たデータの分析か ら明 らかにすることを 目的 とする。 サブカルチャーによる共同体的な ものの創発過程は,若者を語 る文脈で活発に論 じられてきた。 とくに80年代以降の 日本では,新
奇な流行を引 き起 こすサブカルチ ャー,消
費文化を語 ることと あわせて,若
者論 自体の一大ブームがまきおこった。以下 にその代表的な論を紹介する。 若者論ブームの仕掛け人的存在であるライズ・コーポレーシ ョン代表の岩間夏樹は,若
者たち の「奇妙な行動」の遠困に第二次世界大戦敗戦を契機にした 日本社会のオペ レーシ ョン・システ ムの変化 ・消滅 ・作動不良による社会の不透明性の急上昇を置 き,若
者たちの奇妙な行動は自ら の周 りの不透明な環境 を生 きるための彼 らな りの知恵なのだ と指摘する 【岩間:1995】。岩間の いうオペ レーシ ョン・システムは,以
下に引 く社会学者の佐藤俊樹の「気持のわか りあい」 とい う言葉に集約 される。「肌 と肌を接するような密着 した関係の中で,相
手の感情や感覚を自然に 感 じとる能力,他
者の身体を自分の身体のように覚えて しまう感覚…中略…私たちの住む 日本社 会は,この『気持ちをわか りあ う』という感覚の うえに,長
く社会を営んで きた」【佐藤 :1998】。 岩間は,戦
後にい くつもプ‐ムをもた らして きた「若者文化」は, 日本が社会全体に適合可能 と なる大 きな共感域を喪失 し,自
他のコミュニケーシ ョンが不可能 になったことへの 自然発生的適 応形態 として,世
代によって共感域を「分割統治」せざるをえな くなった ことか ら発生 して きた とする 【岩間:1995】。 岩間 らと若者論の潮流を作 り90年代後半 には女子高校生を語 ることで一躍マスコミの寵児 とな った宮台真司は現代社会におけるサブカルチ ャーの不可欠性を次の ように語 る。現代は「『成熟 した近代』を迎 えて,『過渡的な近代』 に人為的に創 られた家族共同体・学校共同体・企業共同 体 といった類が,軒
並み用済み となって縮小化 ・流動化 し,か
つて とは違 って『所属による承認』 が当てにで きな くなって きた」社会である。 この社会を生 きぬ くための処方辿は,共
同体による 全面的包括要求を放棄 し都市の中で匿名化,断
片化 しなが ら「終わ らない 日常」で「将来にわた って輝 くことのあ りえない 自分」を抱 えなが ら「 まった り」生 きることである。一方でこの社会 は,幸
せや不幸の原因は「外的制約」ではな くコミュニケーシ ョンの失敗=「
内的制約」に帰属 させ,失
敗の 自己責任を とれない共同体的な 日本人には「絶 えざる不幸」をひたす ら「 内的」に 絵 正 光意識する世界 として認識 され
,サ
ブカルチ ャー と宗教は,こ
れ らの内的不幸を抱えた多 くの者達 を収容する装置 として不可欠な存在 となる。両者は「終わ らない 日常」での自由のかわ りに, 「終わ らない 日常」か らの 自由を夢想させる点で一 いいかえれば「スキルなき自分をそのまま受 け入れて くれる世界」を夢想 させるとともに,か
つての「世間」や「共同体」に代わって承認, 地位,役
割を付与する機能をもつか らである 【宮台:1998】。 オウム真理荻の一連の事件以降,宗
毅の一般的求心性はやや喪失傾向にあるがその流れを吸収 してか,サ
ブカルチャーの もつ共同体の代替機能にはよリー層の注 目がなげかけられている。宮 台 らとともに80年代サブカルチャーを語 ることで論壇デビューすると共 に『多重人格サイコ』な ど500万部を超える大 ヒット・マンガの原作者 として現在 も活躍する大塚英志は次のように語る。 現代的な問題の原因をあ らゆる共同体的なものの境界の不分明化に由来する現代社会での通過儀 礼の困難さによる成熟の不可能にあ り,そ
れ らの代替物 として,大
衆メディアが供給するビルデ ィングス・ロマンの「枠」 内での私的 ・個人的物語の創出による対症療法的成熟があげ られる 【大塚:2002】。通過儀礼 とは,あ
る個人が所属する共同体の中で制度化 された地位 ・役割を新 し く得 ることによってその個人が共同体に再統合されてい くことと同義であるため,官
台 と大塚は 両者 とも現代社会の不幸の原因を共同体の喪失に置 き,不
幸 に耐 えられない者には大衆 メデ ィア が供給する物語が構成するサブカルチャーが代替的機能を与えるという構造が想定されていると 考 えられる。また,官
台も近刊において共同体の代替機能をサプカルチャーに特化させて論 じて いる 【官台:2002】。 官台,大
塚の論は90年代以降の子 どもや若者のコミュニケーシ ョンの停滞・いきづま りと活動 の不活性を扱 う言説 に家族や学校 といった近代社会において子 どもの社会化機能をになってきた 共同体的な ものの機能不全を指摘するものが多 く,若
者世代の活発なコミュニケーシ ョン活動を 語 る言説に,人
道的批判や感覚的反稜を交えなが らも大衆メデ ィアが与える情報をコミュニケー シ ョン・ツール として生まれ,旧
来の共同体的なもの外 に生まれたものが多いこととパラレルで もある。上記の岩間・官台・大塚 らの論から,現
代 日本の若者はかつては共同体的であった場所=現
在ではコミュニケーシ ョン基盤が崩壊 しつつある無限地獄で 日常生活を送 りながらも,そ
の 内部 にあるいはそれ とは全 く別の ところに自分が心理的に所属する同じサブカルチャーを共有す る者たちで構成 される共同体的なものを置 き心理的な満足感を得,退
屈で陰惨な 日常をや りすご すよすが としているという構造が想定される。 この ような若者の文化 と行動の傾向に危機を となえる論者 として戦後に出版された若者・若者 文化に関する書籍を網羅検討 した『若者論を読む』の編者の小谷敏がある。小谷は,上
述の若者 の生 き方を,共
同体内部での安定的な位置感覚 とコミュニケーシ ョン基盤 との欠乏に由来すると 指摘 した上でそれ らの傾 向は,「中央/地
方の格差の縮小」 と「 同一世代内でのコミュニケーシ ョン世界の縮小」をひきおこしなが ら日本全上の若者に共有されてい く一方で,『若者文化』の 過度な細分化の進行による同一世代内 。同一サブカルチ ャー内にもコミュニケーシ ョン基盤の崩 壊をもた らしていると警告する 【小谷 ■995】。 若者たちのコミュニケーシ ョン世界の微分化 と巨大化の同時進行 という一見奇妙な現象は,若
者たちを顧客 とするポピュラー音楽産業におけるヒット・チャー トの トップ争いが,500万
枚規 模で行なわれる点や,コ
ンサー トも東京 ドームな どのスタジアム・ツアーで行なわれる点によく 現れている。 しかも,そ
のような巨大な売上をあげるアーティス トは,グ
レイや浜崎あゆみ とい った 日本のメジャー市場のアーティス トだけではない。サマー・ソニ ックや富士ロック・フェスティヴァルなど毎年夏に内外のメジャー/ィ ンディーズのミュージシャンを集めて行なわれるロ
ック・フ ェステ ィヴ ァル も,毎
年 同様 の成功 をおさめてい る。 また,ポ
ピ ュラー音楽 とともに若者の文化 と行動 を支 え きたマンガ市場 で も500万 部 の ヒ ッ ト作 品 が生 まれ る とともに
,マ
ン ガ・ ゲーム ・アニ メ・音楽 ・ア/ド
ル な どのフ ァン らが 自身のフ ァン行動 を披露 し出会 う場 であ る同 人誌即売会 において も,一
つの会場 の参加者数 は10万 人か ら40万 人 に も上 っている。若者文化の 萌芽期 の70年代 にはアング ラだ った ものが現在 では 巨大 マー ケ ッ トに成長 して お り,そ
れぞれの 市場 は活況 を呈 し,そ
れぞれの コ ミュニケーシ ョン圏内では活発 な出会 いが生 まれているに もか かわ らず,若
者全体 ひいては全 国民的 な流行 にはな らない とい う現状 が うかが える。 以上 の ように,80年
代以降一見奇異 なブーム をお こしメデ ィアを騒 がせ て きた若者文 化 は,そ
の都度 さまざまな下位文化への微分化 を くりかえ しなが らも,戦
後 か ら70年代 にいた る高度経済 成長期 に崩壊 した共 同体の機能 を補 い,若
者達 の コ ミュニケーシ ョン基盤 を支 え,共
同性獲得の ための機能 をはた して きた とい うこ とがわかる。本論 では,若
者 たち に共有 され る文化 が もつ上 記 の機能 を,現
在 日本 の 10代 か ら30代 の女性 を中心 に流 行 中の「 ゴシ ック ・ロ リー タ」(通称 ゴ ス ロ リ)と
い うジ ャンルのサプカルチ ャーにコ ミッ トす る女性達 を具体的な調査対象 として とり あげ る。(2)
「 Gothic&Loltta」 の流行 「 Gothic&Lolita」 (通称 ゴス ロ リ)は
,2000年
前 後 か ら服飾 ・音楽 ・出版業 界で人気 の ジ ャ ンル名であ る とともに作品の愛好者 の呼称 で もあ り,現
在流行 中のサブ カル チ ャーの一 つ として 若者達 には広 く認識 されてい る。 ゴス ロ リとい う名称 は,彼
女達 の服飾 コー ドの供給源 た るカ リ スマ ら (ミュー ジシ ャン,マ
ンガ家,服
飾 デザ イナー,人
形作家 な ど)が
,自
身 の創造 した少女 像 の根底 にヴ ァンパ イアや腐 らない死体,聖
と魔,毒
な どの ゴス ・イメー ジがあ るこ とや, 自身 の文 化的 出 自をそれ らのモチー フか ら成 るポ ピ ュラー音楽や映画 の影響 に置 くこ とに由来 す る 【楠本:2000,室伏:2001,鈴木!2001,永野:2002】。 ゴス ・イメー ジは,1980年
代 以降 の欧米, 日本の若者文化 (ポピ ュラー音楽や映画,マ
ンガやアニ メ,ゲ
ーム,フ
ァ ッシ ョン)で
は人気 が 衰 えない定番的 なジ ャンル であ るがその理 由 とメカニズム については別項 で詳述 したい。 昨年 には全 フ ロアが ゴス ロ リ・シ ョップ (本店 の多 くは京阪神 にあ る)か
らな る巨大 フ ァッシ ョン ・ビル も新宿 に完成す る とともに専用雑誌 もコンビニな どで売 られ活況 を呈 してい る。また, 全身 をゴスロ リ・フ ァッシ ョンに身 を包 んで昼間の時間帯 に集 ま り紅茶 を飲む とい う会 を「 お茶 会」 と呼び,全
国各地 で行 われて い る。 お茶会 とい う名称 は,彼
女達の好 きなアーテ ィス トの幾 人 らが「 ノー ・スモ ーキング,ノ
ー ・アル コール」 を標榜 してい る影響 もあ るこ とが考 え られ る が,そ
れ までは ロ ック・コンサー トや同人誌即売会 とい った何 らかの 目的 を もった集 りとは違 う とい う点を明瞭 に した ものだ と考 え られ る。 お茶会の中にはゴスロ リ・フ ァッシ ョンを提供 して い る服飾 メー カー主催 の 100人規模 の ものか ら,10人
前後 の私的な集 ま りまで さまざまな ものが あ る。 筆者 は2001年 冬 か ら福 岡市 ・京阪神地 区で ゴスロ リを対象 とした フ ィール ドワー クをは じめた が,い
ずれの少女達 も着心地 の悪 さや スタイル維持 の難 しさ (暑い,収
納 に困 る,高
価,品
薄, 動 きに くい)他
者 の好奇 の視線や実害 (ストー カー被害,痴
漢 にあ う)に
もかかわ らず上記 の よ うな恰好 で活動 してい る。特 に,大
阪市東心斎橋地 区 (通称 ア メ リカ村)は ,ゴ
スロ リ・フ ァッ シ ョン を提供 してい る服飾 メー カーの本店や直営店 が集積 してお り,土
日ともなれば着飾 った彼 女達の姿 をあち こちでみかけ る。2.調
査 実査 は,2002年
8月 4日,」R富
山駅 横 のマ リエ とい うフ ァ ッシ ョン ・ ビル 内で行 なわれた 同ビル内に店舗を持つ “whoopee's"と いう服飾店の開店 1周 年記念イヴ ェン ト,「ゴシ ック
&ロ
リー タの祭典」で行なった。 イヴ ェン ト当 日の気温は36度以上あったが参加者たちはめいめい,頭
に は小さなシルクハ ットや リボンなどのヘ ッド・ ドレス,身
体にはウエス トをきつ く絞 って裾を膨 らませたヴ ィク トリア調の ドレス,底
が厚いス トラップのついた靴を履 き,ぬ
い ぐるみや風船を 持 った者 もいる。また,胸
にはイヴ ェン ト参加時に登録 したハン ドル・ネーム (神威瑠美那,ア
ンジュな ど)の
名札をつけ,イ ヴ ェン ト中はその名前で呼び合 う。 イヴ ェン トが行なわれたホー ルの前にはパスポー ト発券センターがあ り,ホ
ール とセンターのあいだには,ち
ょっとした休憩 場所があるのだが,セ
ンターに来たであろう人達がそこに座 って,ホ
ールに集まる少女達を好奇 心の混ざった 目や呆然 とした祝線で眺めていた。 イヴ ェン トの参加者はシ ョップ・スタッフによると60名程度 との ことであった。 メニ ューは, ゴスロリ達に人気のヴ ィジュアル系バン ドのプロモーシ ョン・ビデオの上映会,シ
ョップが入荷 する秋の新作 を顧客か ら選んだモデルに着せて発表するミニ・フ ァッシ ョン・シ ョーな どであ る。また,先
述 したようにこの種の集いは通常「 お茶会」 と呼ばれてお り,こ
の場合は喫茶店に にて各 自好 きなオーダーをたのむ という形式を とっている。(1)オ
ーナー兼店長 インタビュー イヴ ェン トのあいまにオーナー兼店長 にインタビューを試みた。以下はその回答である。 現在の店舗のオープンは2年
前であるが,25年
前か ら富山市内の路店で服屋を経営 していた。 1年前からゴスロリをターゲ ットにした品揃 えに変更 し,変
更後は売上が安定 した。顧客の総数 は300人前後。年齢層は中高生が中心で上は30才前後のOLま
で,登
録住所は北陸全域,岐
阜, 名古屋,東
京な ど。また,店
舗販売 と並行 してHPで
の通信販売 も行なっている。富山でオープ ン していることの利点・不利な点は,ず
っと富山で服屋をやっているので,あ
ま り感 じない との ことだった。 「 お茶会」について,は
じめたきっかけは「せっか くお客さんに服を買ってもらって も,ラ
イ ブ くらいしか着てい くところがない という意見があったので着てい く場所をつ くろうと思った。 ライプに行かないお客 さんもいるし」 との ことだった。開催頻度は,毎
月 1回 ずつ,同
じビル内 のサロン (小ホール)で
小規模のお茶会を行い,大
ホールを借 り切 ってやる大規模の ものを毎年 1回行 うとのことであった。(2)参
加者調査 質問紙は,イ
ヴ ェン ト開始前後 に,会
場内部で直接配布 ・回収 した。配布 ・回収の合間に,写
真撮影の許可をもらった参加者の写真を撮影 し,個
別にインタビューを行なった。 本論文で分析に用いる質問項 目を以下 に記す。まず,各
女性達の内面化 している若者文化 (こ こではゴスロリを指す)の
現状を明 らかにする指標群で,各
人の「好 きなアーティス ト」,「イヴ ェン トヘの参加経緯」,「ゴスロリとしての活動の原点」,「ゴスロリとしての活動暦」である。次 に,文
化の共有による共同性獲得の現状を明らかにする指標で「 ゴスロリ活動によって獲得 した 友人の数」である。なお,調
査対象者 らの社会的な地位を把握するために,属
性についての質問 項 目をアンケー トの最後に付 した。 また,回
答は全て記述式 とした。質問紙は44人に配布 し回収できたのは39枚だった。回収率は,88%で
あったが,質
問項 目によっては無回答が多 く含まれていた。今回の集計では,各
項 目ごと の特徴をより明確 に とらえるために,無
回答を除いて算出した。3.結
果(1)属
性 最初 に属性 の特徴 を述 べ る。職 業 では学生 が過半 数 (N=16)を 占め,フ
リー ターが2割 (N=8), 会社 員 が1割強(N=5)で
あ る。年 齢 は 10代後半 が過半 数(N=15)を
占め,20代
前半,後
半 が それぞれ2割
ずつ(N=7)で
あ る。住所 は富 山県 内が全体 の過半数(N=24)を
占め,金
沢市 (N=3)や
岐阜高 山市(N=2)な
どで,富
山市 か ら名古屋市 に到 るJR沿線 の市 町村 がほぼ全数 を 占め ていた。なお,性
別 は全員 が女性 であ る。(2)好
きなアーテ ィス ト 具体 的 な質問文 は「 おすすめのアー テ ィス トを紹介 して くだ さい」 とい う文章 であ る。 この質 問文 への回答全体 の約8割(N=36)が
,「 ピエ ロ」(N=8),マ
リス ・ ミゼ ル(N=8),デ
ィル ・ア ン ・グ レイ(N=5)な
どヴ ィジ ュアル系 にカテゴライズ され る 日本 の ミュージシ ャンであ った。 他 はマン ガ家 の「 楠 本 マキ」,「 恋 月姫 」(N=3)ら
人形作 家,フ
ァン タジー ジ ヤンル の ゲー ムの キ ャラクター ・デザ インや小説 の挿絵 を手 がけてい る画家の天野喜孝 らだ った。楠本マキは,80
年代末期 のバン ド・ブーム周辺 の 日常的風景 を メジ ャー流通 の少女 マンガ雑誌 で描 き爆 発的 な ヒ ッ トとな ったマンガの作者 であ る。 それ以降 の 日本の イン デ ィーズ・ ロ ックを愛好 す る少女達 の フ ァッシ ョン,行
動 にあ る種 の型 を提供 し,こ
のマンガの ヒロ/ン
は,90年
代 以降の若者 を ター ゲ ッ トとした ロ リー タ・フ ァッシ ョンのお手本 とな ってい る。 また,ヒ
ロ インの相手役の少年像 は,80年
代初頭 に イギ リス, 日本で流行 したゴスを歌詞やステージ・パ フ ォーマンスに使 うポジ テ ィヴ ・パツ ク とい うジ ャンルの ミュージシ ャンをモデルに してい るが,こ
の少年像 が同時 に90年代以降のインディーズ・ロック・シーンに生息するミュージシャン達め一つの基本的な型 とな
った 【
楠本
:1988,楠本
:2000,鈴木
:2001,永野
:2002】。そして
,私
生活を描いたマンガには実
際に活動 している楠本に影響をうけた ミュージシャン達 との交流 も描かれてお リゴスロリ,あ
る いはゴシ ック,ロ
リー タ とい つた若者文化の一つの実体を もった核 として位置付け られている 【楠本:2000】。同様 に,人
形作家の恋月姫の製作する人形 も,その原型を80年代に流行 したゴス・ モチーフを用いたロック・ミュージックに置 き,人
形の着ている服やたたずまいが現在のゴスロ リ達の着 こなしのモデル となると共に,楠
本同様多 くのミュージシャンやマンガ家 らとの交流 も 雑誌 に掲載 されている 【室伏:2001,鈴木:2001,永野:2002】。(3)お
茶会への参加 お茶会への参加頻度は,初
めて(N=8),た
まに(N=6),常
連(N=8)の
いずれ もが同数程度で ある。参加経緯は,約
4割(N=15)が
「店で直接ポスターを見て」あるいは「 シ ョップ・スタッ フに直接声をかけ られて」で,主
催店のダイレク ト・メールやHP,メ
ール といった間接的な通 知によってが3割(N=10),友
人に誘われてが1.5割(N=6)で
ある。 ここか ら, 8割
程度の人が 他人にただついて きたのではな く,自
分の積極的な意志で直接主催店 と接触 して参加 していると いうことがわかる。 なお,お
茶会の感想について回収で きた実数は少数だったが以下にあげる。肯定的なものに, 「 かわいいひ といっぱいで楽 しいです」 (N=2),「 琢囲気が好 き」,「いろいろな方 にお会いでき て最高です」,「幸せな気分になれます」がある。また,否
定的な ものに「仲間 うちで集まってい るだけなのであま り意味がなかった」がある。(4)活
動契機 ゴス ロ リとしての活動歴 では, 4年
以上 は2割
強(N=9)で
ほぼ8割 弱(N=28)が
3年 未満 だ った。 開始年 齢 は,高
校 卒 業 と同時 にが最 も多 く(N=5),高
校卒 業 以上 の年 齢 で始 めた もの(N=6),そ
れ以下 の年齢 では じめた もの (N=9)力ゝほぼ同数であ った。ちなみに,開
始最年少 は 13歳(N=2),開
始最高年齢 は27歳(N=1)であ る。 ゴス ロ リをは じめた きっかけについては,「 ライブ」(N=4),「マ リスのマナ様」(N=4)な
ど 好 きな ミュー ジシ ャンやアーテ ィス トの影響 をあげた者 が最 も多い(N三11)。 また,「 フー ビーズ (イヴ ェン ト主催のお店)に
立 ち寄 って」,「可愛 い服 を見 て本能的 に 目覚めた」な どお店で偶然 に服 を見て魅 了 された とい う回答(N=5)と
,フ
ァッシ ョン雑誌 の写真 を見て(N=3)と
い う回 答 をあわせ て,ゴ
ス ロ リ・フ ァッシ ョンの月R自 体 に魅了 された(N=8)と
い う回答 が次 に多か っ た。 そ して,「 いつのまにか 自然 に」,「 自分 にあ っているか ら」な ど,「 自分 に とっては 自然な こ となのでいつか らだ ったかわか らない」 とい った答 え(N=6)が
その次 に多 か った。 なお,「 友 人 に誘 われて」 な ど他者 か らの影響(N=3),特
にな し(N=2)は
少数 だ った。(5)友
人 ゴスロ リとしての活動 を通 じて知 り合 った友だちの人数 についての回答では,「 100人 以上で数 え られない」や「 数 え切 れないほ どい っぱい」 と答 えた者が全体の3割 (N=8),「30人 か ら50人 」 (N=1),「10人 以上」(N=4),5-10人
(N=6),「2-4人
」(N=4),「ひ とり」「 あま りいない」(N= 4)だった。 また,友
人 にな った経綿 は,「 お茶会」(N=10),「ラ イブ」や「 コンサー ト」(N=8),「イベ ン ト」(N=2),「
名刺交換」 (N=1)と い った ゴスロ リ達 が集 ま る/ヴ
ェン トでの対面接触上 での直 接 的 な 出会 い (N=22)力氏最 も多 か った。 また,ゴ
ス ロ リ達 が集 まるWeb上
での文字 を媒 介 とし た間接的接触 による出会 いを彼女達 の言葉 で「文字見知 り」 と呼び,出
会 いの形式 として一般化 してい るが,「 ネ ッ ト」(N=2),「メール」(N=2),「HP」(N=1)と
一定数確認 で きた。 また,町
での対面接触上 での 出会 い もあ った (N=7)。 内訳 は,「 ゴスロ リ店」(N=4),「町 で声 をかけ ら れ た」(N=2),「薬 局 で意気 とうご う」(N=1)な どであ る。 そ して,関
係 の端緒 をゴスロ リ活動 に もたない,も
ともとの知 り合 いが 占め る割合は非常 に低 く,「学校 の ともだち」(N=2),「も と も との ともだち」(N=4)と
い うものだ った。4.考
察 以上 の結果 か ら富 山市 とい う地方都市 で開催 されたゴスロ リとい う同 じサブカルチ ャーにコミ ッ トす る若者達 の集いに参加す る者の特徴 として以下の点が指摘で きる。 まず活動の中核 を担 っ てい るのは耳L陸地方の中学 ・高校 に通 う学生やフ リー ターである。彼女たちの多 くは 日本のヒ ッ ト・チ ャー トでヴ ィジ ュアル系 と呼ばれ る ミュージシ ャンのフ ァンであ り,ゴ
ス ロ リをは じめた きっかけ も,そ
れ らの ミュージシ ャンの影響 を挙げた ものが最 も多かった。 ヴ ィジ ュアル系の ミュージシ ャンにはGLAYの
ように500万 枚程度のアルバム ・セールスを記 録 す る と共 に天皇の在位 10周 年記念祝賀 イヴ ェン トに出演 す るな ど日本を代表するものか らイン デ ィーズ と呼ばれ る 自主制作 レーベルか らCDを
出 し100人 か ら200人 程度の小規模 のライブハ ウ スで コンサー トを行 い,販
売店 でフ ァン らとの対面的接触 を頻繁 に行 な うロ ック・バン ドまで 日 本企上 で何百 あ るかわか らないほ ど多 くのバン ドが含 まれ,毎
日どこかの ライブハ ウスで何 かの コンサー トが上演 されてい る。 これ らの コンサー トでは,ォ
ーデ ィェンスのフ ァンたち も,自
分 の好 きな ミュージシ ャンにな らって,ミ
ュー ジシ ャン らのステージ衣裳やグラビア,歌
詞 で表現されたキャラクターをもとにした衣装を着用 してい くことが慣例 となっている。 コンサー ト前後 の会場や周囲の公園・路上は
,着
飾 った観客同士の撮影場所であるとともに社交の場 とな り,さ
まざまな出会いが生まれている。本論の調査結果で も,友
人になった経緯 に「 ライブ」や「 コン サー ト」 と答えた ものが多かったが,そ
うした回答は上記のファン行動の慣例を踏まえた もので あるといえる。 また,ゴ
スロリをはじめた きっかけ として,服
自体に魅力を感 じた という回答 も多かった。調 査中も,自
分達が金沢市のアー トギ ャラリーで開催する「 オ リジナル・プラン ド・ロリータ服 ・ グ ッズ即売会『 目覚め し時 フ迎 えた愛玩人形 と少女達』」 とい う手製のパソフレットを配 る者や 「金沢にケラシ ョップ作 りませんか?『きまっし金沢k k prOject』」 というDMを
片手にゴシ ッ ク,ロ
リータ,パ
ンク系の服飾店誘致の署名運動を行 う少女達の一団がいた。即売会のパンフレ ットには,参
加者の募集要頂 とともに,ス
タッフや広告の募集要頂,参
加費振 り込み用の日座香 号な ども記入 してあ り,本格的な活動である。彼女達は金沢市内在住の中高生が中心 となったサー クルで,お
茶会や イヴ ェン ト,チ
ャットな どでの出会いによって形成された との ことである。そ してチャット・ルームな どで知 り合 う場合には,居
住地にかかわ らず知 り合いになるため,全
国 各地に知 り合いができる。そのせいで,各
地のライブやイヴ ェン トにも気軽に行 くことがで きる ため,高
校生 くらいか ら居住圏以外の場所で も気軽に活動 しているとの事であった。5.結
語 本論の調査で,フ
ァン行動 には曲や映像か ら受けた感動への耽溺だけではな く,自
作のマンガ や洋服 ・小物への感動の昇華や,感
動の共有を起点 としたネ ットワーク形成,自
作品販売網の整 備やシ ョップ誘致運動な ど文化生成活動の萌芽を観察 しうるものまで合んでいるということがわ かった。また,そ
れ らの活動は,同
一のサブカルチャーにコミットした者だけで構成 される活動 専用の集団を主体 として遂行 されてい る。 それ らの集団はコンサー トや イヴ ェン ト,衡
中やWeb上
で形成 ・維持 され るため,学
校や勤務先な ど通常の 日常生活を送 る際に接する人間関係 とは全 く切 り離 されてお り,彼
女たちの 日常生活 との相互浸透性がない。 イヴ ェン ト参加の感想 にみ られるように,参
加者たちはただ集まるだけで幸福感を感 じているが,彼
女たちの幸福感の 原因は, 日常生活 とは隔絶 された文化 。人間関係によって構造化 された世界を共有 していること を肌 と肌 とが触れ合 う距離感の集いか ら実感で きることに由来する。それ らの場所で理想的な友 人を数多 く得てお り,旧
来は血縁 ・地縁 ・社縁 といった共同体か ら得ていたの と同種の共同性の 感覚を得 ることが可能 となっている考 えられる。 また,旧来的な共同体の解体 とともに高度経済成長が もた らした地方都市の景観を画一化させ, 衝の独 自性を喪失 させたが移動性を増大 させてお り,現
代の若者たちに とっては景観の画一性を 憂えるというよりは,活
動のための障害をな くした と認識 されていると考 えられる。そして,情
報 インフラの整備は,知
識の獲得や情報アクセスの地域差 とともに年齢差を廃 し,自
身の興味 ・ 関心の追求や表現活動,あ
るいは同 じ興味 ・関心をもった者同士の共同性の確立に大 きく貢献 し ていることが考えられる。 このような若年層か ら突化 した個人的興味の追及や表現活動の一般化 が どの ように展開 してい くのか ということについては,今
後の研究の課題 として残 された と考 え る。 (引用) ・ 岩間夏樹,1995年
,『戦後若者文化の光亡』, 日本経済新聞 ・ 小谷敏,1998年
,『若者たちの変貌 ―世代をめ ぐる社会学的物語』,世
界思想社.・ 楠 本 ま き,2000年,『耽美 生活百科』,集英社