(別 紙) 仕様書 1. 事業名 平成27年度電源立地推進調整等事業(諸外国の卸電力取引における競争状況などの 把握手法に係る我が国への適用可能性に係る調査) 2. 事業目的 諸外国では卸電力取引において、市場参加者による「市場支配力の行使」、「イン サイダー取引」等を検知するため、卸電力取引における市場構造と市場参加者の 行動に着目し、指標等を用いて競争状態を監視するとともに、不正取引を監視す るためのモニタリングを行っている。 市場構造に着目した指標としては市場シェアやハーフィンダール・ハーシュマン 指数(HHI)等が用いられている。市場参加者の行動に係る指標としては、電 力を市場に売却する際の価格と基準値の乖離差を確認する経済的な抑制に係る指 標や、発電所の容量抑制が10%を超えたかどうかといった物理的な抑制に係る指 標が用いられている。また発電事業者の応札価格と限界コストの比較を分析する 手法等も存在する。 我が国においても今後卸電力取引所(以下「取引所」という)における取引が増 えることが見込まれる中、電力市場の整備のためには、卸電力取引における競争 が適切に行われること及び不正取引が行われていないことを監視することが必要 となり、その仕組みの整備が急務である。 本事業では諸外国の規制当局や取引所において、「競争状態の監視」「不正取引の 監視」をどのように行っており、どのような取引を不正取引としてとり上げ、不 正取引に対してどのように対処しているかについて調査・分析する。その上で、 我が国のデータを実際に用いたシミュレーションを行い、我が国で用いることが 有用と考えられる監視手法の適用可能性について調査・分析する。 なお、本事業を実施することにより、我が国の卸電力取引の競争状態や不正取引 を監視する手法を選定し、当該監視手法を用いることで、公正かつ有効な卸電力 取引が行われ、電力市場全体の健全性が確保されることが期待される。電力市場 の健全性が確保されると、全体の取引量が増加し、電源を保有する事業者にとっ てのリスク回避手段が増えることで、結果として電源立地の円滑化に資すること を目的とする。 3. 事業内容及び実施方法 (1) 卸電力取引に対する、諸外国の規制当局及び取引所による競争状況と不正取引の
監視手法に関する調査・分析 我が国の卸電力取引に係る競争状況・不正取引を監視し、それを踏まえた対 応を検討するための基礎資料として活用するため、(6)の諸外国の規制当局 や取引所に係る調査・分析を行う。調査に当たっては文献、インターネット、 各国の規制当局及び取引所の関係者等へのヒアリングを通じ、幅広く情報を 収集すること。なお、関係者へのヒアリングを行うに当たっては現地の人的 ネットワークを最大限活用すること。 具体的には諸外国の規制当局及び取引所が用いている競争状況の確認や不正 取引を監視するために参照する指標やそれらを用いた分析手法(指数等を応 用した定量化モデル等。下記参照。)、その基準値の設定方法等について調査・ 類型化し、その上で各手法の特長、手法の公開の有無等を整理すること。 <想定される指数と指標(例示)> 市場価格と市場のコンディション 価格トレンド 価格の比較 価格設定分析 需要とキャパシティの比較 送電線の混雑分析 市場構造 市場シェア HHI 需要の感応度 ピボタル供給分析 残余供給指数 供給指数 ラーナー指数 ビッド連関分析 ロード・ファクター分析 発電所運休分析 市場パフォーマンス 流動性指数 スポット市場の依存度 競争指数分析 ネット収入分析 シミュレーション・モデル(価格、 流動性等) ※「市場構造」に関しては「市場」のとらえ方に関する調査・分析を含む (2) 競争状況の監視を行い、得られた指標の数値に基づき、諸外国の規制当局及び取 引所が行った対応事例に関する調査・分析 諸外国の規制当局及び取引所が、監視手法を用いて、競争状況の監視を実施 する過程で、監視結果から得られた示唆に基づいてとった対応を調査・整理 すること。 (3) 諸外国において不正取引とされた事例並びに諸外国の規制当局及び取引所のその 審決(判決)・対処に関する調査・分析 諸外国の規制当局及び取引所が、監視手法を用いて、どのような取引を不正 取引としてとり上げ、その際に出された審決や対処などの運用実態を理解す るための事例を調査・整理する。なお、調査対象とする事例は、下記条件を
充足すること。 ① 調査対象国における先例的意義を有する近年の不正取引事例を10件程 度抽出(価格操縦事例、インサイダー取引事例、競争法上問題とされた事 例等を含む) ② 上記事例に適用された法律とその要件事実及び効果の整理 ③ 上記事例において証拠とされた事実と当該事実に対する法的評価(証拠と された事実が要件事実との関係でどのような法的評価を与えられたか等) ④ 上記事例の事例と審決(判決)全文 (4) 上記(1)の調査から得られた監視手法に基づき、現時点で日本卸電力取引所(J EPX)から得られる取引のデータ等を用いたシミュレーションを実施すること。 上記(1)に例示した個別の指数や指数を組合せることで我が国の実態に合 わせた競争状況及び不正取引の監視を行うためのシミュレーションを実施す る。シミュレーションを実施するに当たっては、我が国の取引に関するデー タを用いる。 <想定される指数とその組合せ(例示)> 構造指数 市場シェアとHHI ピボタル供給者指数(PSI)と余剰供給指数(R SI) 余剰需要分析(Residual Demand Analysis) 行動指数 ビッド・コスト・マージン(ラーナー指数) 純 収 入 基 準 値 分 析 ( Ne t R e v e n u e Benchmark Analysis) 出し惜しみ分析(アウトプット・ギャップ分析) ※シミュレーションの実施に当たっては上記の例示している2つの指数の項目の うち、3つ程度を試行すること (5) 上記(1)~(3)及び(4)の結果を踏まえ、我が国の実態に照らして201 6年4月より有用と考えられる参照指標、分析手法を提案する。 (6) 調査対象:英国、Nord Pool、ドイツ、フランス、米国PJM、米国テ キサス (7) 上記(1)~(3)を実施するに当たっては、「平成25年度電源立地推進調整等 事業(電力システム改革の詳細制度設計に関係する諸外国の実態調査)」の調査報 告書(P9~18)に記載されている市場監視の手法、市場監視の結果として講 じられた措置の事例、規制措置等についてもより詳細な調査を行うほか、当該報 告書に記載のないものについても調査対象とする。一方、「平成26年度商取引適 正化・製品安全に係る事業(電力先物に関する調査)」の報告書の参考資料編に記
載されている市場監視事例は調査対象外とする。 <参考URL> 平成25年度電源立地推進調整等事業(電力システム改革の詳細制度設計に関係 する諸外国の実態調査)」 http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2014fy/E004181.pdf 「平成26年度商取引適正化・製品安全に係る事業(電力先物に関する調査)」 http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2015fy/000435.pdf 4. その他 (1) 業務実施期間中、経済産業省から指示があった場合は、既に電子媒体化したデー タ及び分析結果の全部又は一部を抽出し、速やかに提出することとする。 (2) 上記に掲げる事項の他、各事業を実施する上で必要となる事項については、適宜、 経済産業省と調整の上で実施する。 5. 事業実施時期 委託契約開始日から平成28年1月29日まで。 6. 納入物 ・調査報告書電子媒体(CD-R) 1枚 調査報告書、委託調査報告書公表用書誌情報(様式1)、二次利用未承諾リスト (様式2)を納入すること。 調査報告書は、PDF形式以外にも、機械判読可能な形式のファイルも納入す ること。なお、様式1及び様式2は Excel 形式とする。 ・調査報告書電子媒体(CD-R) 2枚(公表用) 調査報告書及び様式2(該当がある場合のみ)を一つのPDFファイル(透明 テキスト付)に統合したものを納入すること。 セキュリティ等の観点から、経済産業省と協議の上、非公開とするべき部分に ついては、マスキングを実施するなどの適切な処置を講ずること。 調査報告書は、オープンデータ(二次利用可能な状態)として公開されること を前提とし、経済産業省以外の第三者の知的財産権が関与する内容を報告書に 盛り込む場合は、①事前に当該権利保有者の了承を得、②報告書内に出典を明 記し、③当該権利保有者に二次利用の了承を得ること。二次利用の了承を得る ことが困難な場合等は、下記の様式2に当該箇所を記述し、提出すること。 ※調査報告書電子媒体の具体的な作成方法の確認及び様式1・様式2のダウンロード は、下記 URL から行うこと。 http://www.meti.go.jp/topic/data/e90622aj.html
7. 納入場所