• 検索結果がありません。

Vol.12 , No.2(1964)025山口 晴通「月舟宗胡と曹洞復古」

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "Vol.12 , No.2(1964)025山口 晴通「月舟宗胡と曹洞復古」"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

月 舟 宗 胡 と 曹 洞 復 古 ( 山 口 ) 一 三 八

一 現 在、 曹 洞 宗 宗 學 中 興 の 租 と 仰 が れ る 月 舟 宗 胡 は、 江 戸 時 代 の 初 期 ( 一 六 一 八 年 ) に、 生 を う け た の で あ る が、 そ の 一 代 を 通 じ て、 普 遍 的 傳 統 宗 學 と、 流 動 的 杜 會 環 境 の 中 に あ つ て、 ど の よ う に 爾 者 を 折 衷 し、 宗 學 の 顯 揚 に つ と め た か。 こ れ は 當 面 せ る 現 代 の 宗 學 が、 い か に あ る べ き か の 問 題 と 共 に、 き わ め て 注 目 す べ き 事 柄 で あ る。 た 貸 遺 憾 な こ と に、 月 舟 自 身、 ﹃ 李 日 之 語 言 三 昧。 轄 入 二 文 字 輪 一者。 皆 慮 二 一 時 縁 一不 レ 許 レ 留 二 其 稿 幻 ﹄ ﹁ 月 舟 和 爾 遺 録 序 ﹂ と い つ た 性 格 を 保 持 し た た め に、 現 在、 師 自 身 の 思 想 に つ い て、 ま と ま つ た も の と し で は、 わ ず か に ﹃ 月 舟 夜 話 ﹄ と ﹃ 月 舟 和 爾 遺 録 ﹄ と を み る に す ぎ な い。 し か し、 僅 少 な る、 こ う し た 書 物 を 仔 細 に 鮎 槍 す る 時 に、 そ こ に 脈 々 た る 月 舟 の 氣 魂 と、 復 古 理 念 の 片 鱗 に ふ れ る こ と が で き る。 ま ず、(1) 一 事 一 色 の 辮 道、(2) 獲 菩 提 心 の 喚 起、(3) 名 利 の 念 追 放 等 を 強 調 す る 黙 に お い て、 月 舟 は 純 然 た る、 永 李 道 元 の 家 風 を 纏 承 し た と い え よ う。 ﹃ 初 心 晩 學 の 衆、 必 ず 退 屈 心 を 生 ず る こ と 勿 れ。 菩 提 心 退 く 念 生 ず る と、 上 下 不 和 合 に な る 者 ぞ。 不 和 合 の 虞 よ り 諸 魔 取 込 ん で 修 行 者 を 悩 齪 す る 者 ぞ。 魔 嶢 に 侵 さ る ゝ よ り、 一 切 悪 と し て 作 ら ず と 云 ふ こ と 無 き 者 ぞ 程 に、 上 下 水 乳 の 如 く に 和 合 し て、 一 事 に 就 て 嚴 し く 工 夫 辮 道 せ よ ﹄ と、 ﹃ 夜 話 ﹄ の 冒 頭 に あ る が、 こ の 文 意 の 根 底 に は、 ﹃ ま こ と に ﹂ 事 を こ と ゝ せ ざ れ ば 一 智 に 達 す る こ と な し ﹄ と の、 永 干 道 元 の 根 本 思 想 を 喚 起 せ し め た も の に ほ か な ら な い。 故 に 寛 文 十 一 年 ( 一 六 七 一 )、 師 が 加 賀 大 乗 寺 晋 佳 前 後 よ り、 僧 堂 教 育 に 關 す る 根 本 理 念 と し て、 曹 洞 宗 爾 租 の 読 述 よ り、 四 百 年 間 埋 残 さ れ た る、 永 螢 二 規 の 顯 彰 に つ と め ら れ た の は 當 然 で あ る。 す な わ ち、 寛 文 七 年 ( 一 六 六 七 )、 光 紹 智 堂 に よ つ て ﹃ 永 否 大 満 規 ﹄ が 刊 行 さ れ る や、 永 規 の 實 践 に つ と め っ ゝ、 延 寳 六 年 ( 一 六 七 九 ) に は、 自 ら 螢 山 清 規 刊 行 の 任 に あ た り、 そ の 行 跡 は、 後 世 の 者 を し て、 ﹃ 勉 行 三 永 季 螢 山 之 古 規 於 レ 是 洞 上 一 路 全 合 二 古 轍 一﹄ ﹁ 行 状 ﹂ と い わ し め る に 至 つ た。 故 に、 以 上 略 述 せ る、 師 の 復 古 思 想 よ り す る な ら ば、 師 は あ く ま で、 永 螢 二 規 を 遵 守 す べ き 立 場 で あ る。 し か る に 事 實 は、 宗 學 實 践 上 お に け る 新 蓄 思 想 と 相 ま つ て、 遠 來 の 新 宗、 黄 奨 繹 と の 比 較 交 流 等、 こ ゝ に 特 異 な る 時 代 相 を 反 映 す る の で あ る。 二 黄 漿 輝 の 感 化 は、 洞 門 下 に お い て も、 雲 山 愚 白、 徳 翁 良 高 と い つ た 碩 學 が、 隠 元 に 参 じ た こ と に よ つ て も、 概 要 を う か が う こ と が で き る。 か ゝ る 折 柄、 前 述 の ご と く、 理 念 と し て、 ひ た す ら 永 榮 二 規 へ の 苗 僧 洞 復 古 を ね が う 月 舟 に も、 當 然、 そ の 影 響 は 認 め ざ る を え な い。 そ の 一 例 は、 師 の 創 せ る ﹃ 雲 堂 常 規 ﹄ の ﹁粥 前 調 経 ﹂ で あ る。

(2)

-608-﹃ 長 打 三 會、 爲 二 大 開 静 此 後 大 衆 搭 二袈 裟 随 意 禮 佛、 次 鳴 二 殼 鐘 一 三 會、 上 レ殿 調 経、 調 経 了 錦 堂 禮 佛、 主 人 巡 堂 後、 過 二食 堂 一喫 粥 ﹄ こ の ﹁ 粥 前 調 経 ﹂ が、 な ぜ に、 そ れ 程 ま で、 注 目 に 債 す る か と い う に、 我 が 國、 揮 門 僧 堂 で、 こ れ を 定 め た の は、 ﹃雲 堂 常 規 ﹄ に 先 だ っ こ と、 わ ず か に 二 年 前、 隠 元 の ﹃ 黄 奨 清 規 ﹄ に よ る か ら で あ る。 し か も 前 述 の よ う に、 ﹃ 當 山 ( 大 乗 寺 ) に て 永 螢 の 二 規 を 行 う ﹄ と い つ た、 當 の 永 螢 に は、 ﹁ 粥 罷 調 経 ﹂ と 規 定 さ れ て い る の を 思 う 時、 こ ゝ に、 師 の 崇 高 な る 復 古 理 念 と 共 に、 何 ら か の 時 代 思 潮 的 性 格 を み る こ と が で き る。 故 に、 傳 統 的 な 永 螢 二 規 の 刊 行 と、 隠 元 に よ る 奨 規、 そ し て、 師 自 身 の 作 に よ る ﹃ 雲 堂 常 規 ﹄、 こ う し た 那 邊 の 潰 息 の 中 に こ そ、 師 の 眞 の 復 古 精 神 が 胚 胎 し て い る の で あ る。 三 で は 月 舟 は、 清 規 に た い す る 思 想 に、 ど う し て、 こ う し た 新 蕉 三 面 的 性 格 を 保 持 し た の で あ ろ う か。 こ れ に つ い て、 思 い あ わ さ れ る の は、 所 謂、 清 規 の も つ、 宗 義 と 實 践 と の 關 係 で あ る。 こ の 爾 者 が、 時 代 性 と い う、 必 然 的 な 洗 禮 を う け た 時、 そ こ に、 あ る 種 の 移 動 の あ る こ と は 已 に 初 期 曹 洞 教 團 に、 そ の 淵 源 を み る こ と が で き る。 す な わ ち 道 元 滅 後、 二 租 懐 葬 は、 弟 子 義 介 に た い し、 次 の こ と を 遺 囑 し て い る。 ﹃ 本 清 規 ( 永 規 ) 難 レ有 レ 之。 随 時 風 俗。 折 二 中 現 規 一尤 大 用 也。 遍 二 参 諸 方 歴 二観 大 國 以 可 レ建 二 立 永 李 宗 旨 ﹄ 洞 門 下 に お い て、 こ う し た 事 情 か ら、 四 百 年 を 降 つ た 月 舟 が、 諸 般 の 事 情 に よ つ て、 從 來 の ﹁粥 罷 講 経 ﹂ に か え る に、 ﹁ 粥 前 朝 課 ﹂ を 規 定 し た と し て も、 膠 師 を も つ て、 異 端 親 す る は 早 計 で あ ろ う。 師 が 叢 林 の 規 範 と し て、 清 規 を 重 覗 す る の に は、 一 黙 の 疑 著 も な い。 そ れ は、 ﹃ 撮 て 輩 傳 直 指 の 如 法 と 云 わ、 ロ ハ 事 大 小 と な く、 林 の 規 矩 に 準 ず る よ り 外 の 事 は な い そ。 ⋮⋮吾 ( 百 丈 ) 制 す る は 大 乗 小 乗 に 違 す る に 非 ず、 大 乗 小 乗 に 準 ず る に あ ら ず、 博 く 折 中 し て 制 範 を 設 け、 其 宜 き 腱 を 取 て 行 ふ ぞ と や、 択 て 其 の 宜 き 腱 と 云 が 肝 要 ぞ ⋮⋮﹄。 ﹁ 夜 話 ﹂ こ の 最 後 の 一 句 に こ そ、 月 舟 の 清 規 に た い す る、 根 本 理 念 が 存 し て い る の で あ る。 し か も 宗 義 と し て、 永 螢 二 規 を 遵 守 す べ き は 當 然 で あ る が、 純 一 の 佛 法 を 規 定 せ る 永 規 の み な ら ず、 時 機 に 照 合 し て、 一 暦 普 遍 化 し た と 思 は れ る 螢 規 ま で、 ﹃ 昔 螢 山 没 而 此 書 隠、 此 書 隠 而 叢 林 慶 ﹄ と い う 事 實 を 思 う 時、 假 に 爾 規 が 刊 行 さ れ 洞 門 下 が、 爾 租 の 親 訓 と し て、 こ れ ら の 精 神 を 意 に 介 し つ ゝ も、 他 面、 實 践 的 修 道 法 に お い て、 奨 規 の 影 響 を う け た と し て も、 止 む を え な い も の で あ ろ う。 こ の 鮎 に お い て、 月 舟 一 代 を 通 じ、 そ の 意 圖 す る 曹 洞 復 古 は、 同 時 に、 時 機 相 慮 へ の 革 新 性 を 含 ん で い た と い え る の で あ る。 ﹃ 於 レ 是 師 ( 月 舟 ) 謂、 鳴 呼 事 慶 人 衰 業 規 全 古 難 、 以 レ 是 知 レ 時 観 レ 機 量 二 堂 寮 之 廣 狭 計 二 常 佳 之 豊 倹 折 二 中 爾 租 五 大 清 規 博 二 約 五 山 十 刹 古 圖 ﹄﹁ 卍 山 年 譜 ﹂ 故 に、 師 の 理 念 は、 大 乗 寺 に 佳 す る に お よ ん で、 着 々 と、 曹 洞 宗 學 の 基 礎 を つ ち か い、 内 に 革 新 的 性 格 を 秘 め な が ら、 古 風 を 慕 い つ つ、 曹 洞 の 復 古 を 願 つ た と い う こ と が で き る の で あ る。 月 舟 宗 胡 と 曹 洞 復 古 ( 山 口 ) 一 三 九

参照

関連したドキュメント

12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 新設ピッ.

8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月..

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月.

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月.

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月10月 11月 12月1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月10月 11月 12月1月 2月 3月.

12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月.

2月 1月 12月 11月 10月 9月. 8月

2月 1月 12月 11月 10月 9月 8月 7月