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鳴門教育大学学術研究コレクション

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Academic year: 2021

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環状アラニノレ均アラニンの水溶液の加熱反誌に関する研究 教科@領域教育専攻 自然系コース(理科) 山 家 泰 輔 1.はじめに 地球上の生命体を構成するタンパク質の 単位構造であるアミノ酸はP タンパク質を 加水分解することで得られる。このうちグ リシンを除くアミノ酸はキラノレ炭素を持 ちp この炭素には①アミノ基(-NH2),②カ ノレボキシノレ基(-COOH),③領.IJ鎖(-R),④ α ー水素(-H)という四つの異なる置換基が結 合しているので,立体的に左右の関係にあ る異性体(キラル異性体3 光学異性体)が可 能である。 近年3 人間の体内でも

D

-

アミノ酸が存在 しているという報告がされているが,人間 の体のほとんどを構成しているのは L-アミ ノ酸である。キラノレな触媒等の作用がなか った地球上で自然にアミノ酸が合成された としでもL体と D体の両方が生成されたは ずである。構造が鏡像関係にあるだけで性 質は同じであるのに,最初に誕生した生命 体が

L

体を選択した理由について核心的な 根拠は示されていない。 化合物が複数のキラノレ炭素を持つ場合p 鏡像関係にない立体異性体が存在する。こ れらをジアステレオマーとしづ。本研究で は環状アラニノレーアラニンを使用したが, これはキラノレ炭素を二つ持つ化合物であ る。したがって,その組み合わせにより L-L体, D-L体(meso体),.D-D体の三種 指 導 教 員 胸 組 虎 胤 類が存在することになるが(図1),そのう ち

UL

体と

D-D

体は鏡像関係にあるので エナンチオマー, D-L体と L-L体, D-L体 とD-D体はそれぞれ鏡像関係にないため ジアステレオマーで、ある。

H

3

H

f

Cyclo(L-Ala哩L-Ala) Cyclo(D司Ala-L-Ala) (meso体)

I

H

Cyclo(D司Ala血D-Ala) 図1.環状7ラニノレ・アラニンの撞類 アラニンは原始的な生成起源を持ち,キ ラノレ炭素を持つ最も単純なアミノ酸であ る。本研究はホモキラノレなタンパク質の構 造がどのように生じたかを明らかにすると いう大きな課題の中で3 特にアラニシのオ リゴペプチドの立体化学に着目した。アラ ニン等のアミノ酸水溶液を高圧で加熱する ことで環状ジペプチド,ポリペプチドが生 成することは明らかになっているが, [1,21 環状ジペプチドの反応[31と立体化学は解明 されていない。 -

(2)

293-環状アラニノレアラニンのL-L体と

D-D

体の量が水溶液として保管中に減少してい たことからp イ可か別の物質に変化している ことが推定されしたため,その物質を特定す るとともに?どのような条件で物質が変化 するのかを調べた。 2.実験方法 1 2-1 ODS80Ts に よ る DL噌Alanine anhydrideの反応液の分析 DL-Alanine anhydrideをO.lmolιの濃 度にしふ OoC,250C, 1000Cそれぞれの温度 で7日間経過を観察 1し, 0日目, 1日目, 3 日目, 5日目, 7日目に疎水性相互作用のカ ラム ODS80Tsで、分析を行った。分析した 容積は1011Lで,それぞれ3田ずつ行った0 2-2 G3000PWによる分析 2-1同 様 , 以 下 に 示 し た 各 試 料 を O.lmolιの濃度にし, OOC, 250C, 1000Cそ れぞれの温度で、 7日間経過を観察し O日 目, 1日目, 3日目, 5日目, 7日目に分子 ふるい用カラム G3000PWで、分析を行った。 分析した容積は 10J:lLで,それぞれ3回ず つ行った。 (1) DL-Alanine anhydrideの分析 (2) Cyclo(L-Alaも-Ala)の分析 (3) Cyclo(D-Ala-D-Ala)の分析 (4) Cyclo(L司Ala-L-Ala)と Cyclo(D-Ala- D-Ala)のラセミ体の分析 (5)Cyclo(L:Ala阻L-Ala):CycIo(D-Ala-D -Ala)=8:2の分析 (6)Cyclo(L司Ala-L圃Ala):Cyclo(D-Ala-D -Ala)=2:8の分析 3.結果と考察 3-1 .ODS80宝 治 に よ る DL四Alanine anhydrideの反応液の分析 特に環状物質が開環している様子もなく 3

7

日間の実験では開環していないことが分 かった。またiホモキラノレとヘテロキラノレの 比である[(L-L+D-D)I D咽L]比率の値も実験 開始時から 7日間では大きく変化しておら ず2 土15%ほどの範囲に収まった。 3・2 G3000PWによる分析 (1)のDL;Alanineanhydrideはどの温度 でも 12min付近にピークが現れたのに対し3 その他の試料では 1000Cでのみピークが確 認できた。 DL-AlanIneanhydrideとその他 の試料で異なる点は D-L体(meso体)が含 まれているかどうかである。 1000Cの実験に おけるピークの面積{産も, DL同Alanine anhydrideはLも 体 やD昭D体,そのラセミ 体に比べると 10倍ほど多くなった。もう少 し 詳 し く 見 て み る と , DL-Alanine anhydrideのRetentionTimeは 12.4min 付近で,推定分子量は約 16000なのに対し, 他の試料は11.9min付近であり,推定分子 量は約 19200で,生成物質の違いがあると 考えられる。 4圃参考文献 [1] T.Otake, T.Taniguchi,

Y

.

Furukaw,.a F.Kawamura, H.Nakazawa, ASTROBIOLOGy'11,799・813,(2011) [2] M.Nagayama, O.Kataoka,

K

.

lnomata

Y

Yama.gata Orig.Life.Evol.Biosph.20, 249・257,(1990) [31T.Munegumi, N.Tanikawa Orig .Life.Evol.Biosp h. 47, 355噌369,(2017) 294

参照

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