• 検索結果がありません。

画像処理を用いたファンデーションのカラーマッチング

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "画像処理を用いたファンデーションのカラーマッチング"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2019-HCI-182 No.19 2019/3/19. 画像処理を用いたファンデーションのカラーマッチング 岡 歩美†1 秋岡 明香†2 概要:メイクアップ商品を買う際,多くの人が悩まされるのがファンデーションの色選びだ.肌の色は人によって様々 である上,目で見ている色と自分の肌に乗せた色では印象が違うこともある.テスターのタッチアップによって化粧 が崩れることにストレスを感じる人もおり,自分の肌の色に合った商品を選ぶのは困難である.そこでスマートフォ ン上で自分の肌とファンデーションの色情報を比較すること,また実際に塗った際のシミュレーションをすることで ファンデーションの色選びをサポートするシステムを提案する.. 1. はじめに. 2.1 好みの顔画像に基づくメイクアップ支援システム 神武らは個人の好みを反映したメイクアップを支援す. 自分の肌に合った色のファンデーションを選ぶのは困. るために,ユーザーの好みの顔画像に基づくメイクアップ. 難だ.顔は他人の目の行き易い場所であるため,その人の. を支援するシステムを提案した[1].ユーザーが好みの顔. 印象に影響する.自分の肌にあったファンデーションを使. 画像と自身の顔画像を入力すると,システムは好みの顔画. 用することはとても重要である.. 像にユーザが近づくメイクアップシミュレーション画像. 一般的にファンデーションの色を合わせるには頬から フェイスラインに一度ファンデーションを塗り,馴染み方. と,シミュレーションを実現するためのメイクアップ商品 の候補を提示するというものだ.. を見るのが良いとされている.しかし,外出先でフェイス. しかし,このシステムでは提示されたメイクアップア. ラインにファンデーションを塗ったり拭き取ったりするの. イテムがユーザーにとって手に入れやすいものではない場. は,化粧が崩れることから抵抗を感じる人もいる.また,. 合があり,ユーザーが目当てとする商品の購入を支援する. 色を見ても自分に合うのかよくわからないという人もい. ことを目的とした本研究とは異なる.. る. 主に百貨店などにおいては,美容部員と呼ばれるカウ. 2.2 watashi+ by shiseido . ンセリングやタッチアップを担当する店員がいる店舗もあ. 資生堂は,主要メイクアップブランドの対象商品を使. る.このような店舗では専門の知識を持った店員の目によ. 用した際の仕上がりを自分の顔でバーチャル体験できるス. り,自分の肌の色に合ったファンデーションを選んでもら. マートフォンのアプリケーションを公開している[2].バ. うことができる.しかし問題点として,その店舗の商品に. ナー等の設置を行い,実店舗にいる顧客が興味を持った商. 限られること,店員の好みや主観が含まれるため自分がイ. 品をすぐにアプリケーションで試すことができるようにな. メージしているものとは異なる場合があること等が挙げら. っている.. れる.上記の問題点から美容部員のいる店舗に行くのを拒 む場合がある. そこで,ファンデーション選びの問題を調査するため に事前アンケートを実施した(8章 事前アンケート).ア ンケート結果より,ファンデーションの色を自分で選んで おり色選びは難しいと感じている人が多くいること,また 肌に関する情報をパソコンやスマートフォンを使ってイン. しかし,このアプリケーションではファンデーション を試すことはできないこと,また商品ブランドが絞られて いる為,商品ブランドを問わないファンデーション選びを 支援する本研究とは異なる.. 2.3 You Cam メイク YouCamメイクは自分の顔をカメラに写し,リアルタイ. ターネットから得る人も多くいることがわかった.そこで. ムで様々なファンデーションやメイクアップ商品を使った. 本稿では,スマートフォンを用いて,顔写真とファンデー. 際のシミュレーションをすることができるスマートフォン. ション写真の色情報からファンデーションの色選びをサポ. のアプリケーションである[3].ファンデーションのシミ. ートするシステムを提案する.. ュレーションをすることができるが,シミュレーション範. 2. 関連研究 本章では,メイクアップ支援やファンデーション色診 断に関連する研究・システムを以下に提示する.. 囲が顔に絞られておらず背景にまで影響している.これ は,肝心のファンデーションを使用した際の首との色の違 いなどによる不自然さ等を見ることができない.またシミ ュレーションできるファンデーションが限られており,必. †1 明治大学 Meiji University †2 明治大学 Meiji University. ⓒ 2019 Information Processing Society of Japan. 1.

(2) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2019-HCI-182 No.19 2019/3/19. ずしも入手可能である商品とは限らない為,ユーザーが購. 方法だ.しかし,診断する人間の知識と正確な目が必要と. 入候補の商品を自由に選ぶことができるアプリケーション. なることから自分では判断が難しいものとなっており,自. の構築を目指す本研究とは異なる.. 分のパーソナルカラーを調べたことがないという人も多. 3. 用語説明 本章ではまず本稿にて提案する手法において重要とな. い. 実際の診断では人の目で見て判断を行うが本稿では写 真の色情報からの診断となる為,写真を撮る環境により細 かな色に違いが出てしまう.その為,本稿ではパーソナル. る用語について説明する.. カラーを自分の肌とファンデーションの色の調子があって. いるのかを判断する材料として,明度・彩度から分類する. 3.1 HSV 色空間 HSV 色空間では「鮮やかさ」 「明るさ」といった直感的. 方法を利用する.また各シーズンの中でも色の調子には違 いがある為,4シーズン分類はPCCSのトーンを用いた12分. にわかりやすい方法で表現しているため,色の明暗や濃薄. 類を用いて行う.. といった感覚的な想像が容易である[5].本システムでは自. 分の肌の色とファンデーションの色を比べる際に感覚的に. 3.2.2 トーンによる 12 分類. わかりやすい HSV 色空間を使用する.. PCCSとは日本色配色体系(Practical Color Coordinate System)のことである.開発元である財団法人. 3.2 パーソナルカラー. 日本色彩研究所は,PCCSを『カラーハーモニーの問題をシ. パーソナルカラーとは,NPO日本パーソナルカラー協会. ステマティックに解決することを主な目的として開発し,. によると,『狭い意味では「似合う色」のこと.アメリカ. 1964年に発表したカラーシステム』[7]と定義しており,. から日本へ伝わった考え方で,似合う色の範囲を「4シー. 色相とトーンによる二次元のシステムとして使用できる点. ズン:春・夏・秋・冬」のグループに分け,その中から似. に特徴がある.トーンとは明度と彩度の複合概念といえる. 合う色もグループをアドバイスするというもの』である. ものである.同じ色相でも明度・彩度により色の調子に違. [6].. いがあり,この色の調子の違いをトーンという.PCCSでは. それぞれに合った色を使用することでより美しく,生. 図2に示す様に,トーンを12種類に分けている.. き生きとした印象を与えることができる.一方,合ってい. ない色を使用すると暗い印象や垢抜けない印象を与えてし まうことがある.ファンデーションは顔の大部分を占める 為,パーソナルカラーに合った色を選ぶことはその人の印 象を良くするために重要なことである.. 3.2.1 4シーズン分類 パーソナルカラーの分類法には診断する専門家や化粧 品ブランドによって様々な考え方があり,20種類ほどに分 類する場合もある.その中で最も基本となるのが4シーズ ン分類だ. 人間の肌色の色相は基本的に紫がかった赤がベースと なっており,青みがかったピンク色に見える肌はブルーベ ース(クールトーン),黄色味の強いオークル系の肌はイ エローベース(ウォームトーン)に2分割される.ここに. 彩度・明度を加えて,イエローベースは春・秋,ブルーベ. 図 1. PCCS トーン 12 分類[7]. ースは夏・冬と4分割となる. (1)春:イエローベース 中・高彩度,中・高明度. パーソナルカラーの分類には明確な基準値や決まりは. (2)夏:ブルーベース 低・中彩度,中・高明度. ないが,この12トーン分類を4シーズン分類の特徴とパー. (3)秋:イエローベース 低・中彩度,低・中明度. ソナルカラー診断iro×iro[8]を参考に当てはめると,以. (4)冬:ブルーベース 低・高彩度,低〜高明度. 下図2の用に分類できる.本稿では図2の4シーズン分類. パーソナルカラーを診断する方法として現在主流とな っているのは素顔の近くにテストカラーと呼ばれる様々な. を利用する.. 色の布(ドレープ)をあて,顔写りの変化を確かめていく. ⓒ 2019 Information Processing Society of Japan. 2.

(3) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2019-HCI-182 No.19 2019/3/19. 調整済みのファンデーションの写真から,ファンデーショ. (. ンが塗ってある部分を選択する.そしてそれぞれHSV値を. (. 取得する.取得したHSV値を用いて,肌の色とファンデー ションの色をパーソナルカラー分類する.HSV値とパーソ. ). ナルカラーを出力することにより色選びをサポートする.. ). (3)では,(2)で取得した素顔写真のHSV値を用い て顔写真からファンデーションを塗る部分を割り出し,フ ァンデーション写真のHSV値を用いて選んだファンデーシ ョンを実際に塗った場合のシミュレーション画像を生成す る. 以上のHSV値・パーソナルカラーの比較,シミュレーシ ョン画像の表示により,ユーザーは自分の肌と選んだファ ンデーションの色が合っているのかを検討することができ る.. 図 2 4シーズン分類. 各機能の詳細ついては5章〜7章で述べる.. 5. 写真の色調整 4. 提案手法の概要 本章ではファンデーションの色合わせをサポートする提. 本章では登録した2枚の写真の色環境を揃えるための 色調整について述べる.手順を図3に示す.. 案手法の概要について述べる. 4.1 利用場面 本システムはユーザーがファンデーションを購入したい と考える時,自分の肌の色と合っているのかを確かめるた めに日常生活の中で気軽に利用することを想定している. 自宅で顔写真を撮影,そして実際に店舗に行きファンデー ションのテスターを自身の腕の内側部分に塗り写真撮影を 行う.実際に今すぐに購入できるものであるということ, 正確な色味がわかるという点において,店舗での使用が望 ましいと考える. 4.2 機能・手順 本システムはユーザーがファンデーションを購入する. 図 3 写真の色調整. 際に自身の肌に合った色を選べるようにサポートするため に下記の3つの機能で構成する. (1)顔写真とファンデーション写真の色を調整する. (2)顔とファンデーションの色の違いを,取得した色情. 5.1 写真の登録 まず素顔の状態の顔写真を登録する(図3(a)).この時,. 報の数値とパーソナルカラー情報で可視化する.. 後に生成するファンデーションのシミュレーション画像を. (3)シミュレーション写真を生成し実際に塗った際の仕. わかりやすくする為,前髪が顔にかからないこと,顔に影. 上がり,自然さ等をわかりやすくする.. が入らないこと,また背景の色が肌の色と近くないことが. (1)では,まずユーザーの素顔の状態での顔写真を登録. 望ましい.. する.次に,試したいと思うファンデーションを腕の内側. 次にファンデーションの写真を登録する(図3(b)).日. に塗り登録する.この時,顔写真とファンデーション写真. 焼けをしづらく顔の色に近い腕の内側に少し伸ばした状態. には共通の物を写す.それぞれの写真から共通の物の HSV. で塗り,影ができないように撮影することが望ましい.. 値を取得し,それを合わせることで色の調整を行う. (2)では,まず顔写真から自分の肌の中でファンデ ーションを塗る顔部分を選択する.次に(1)で行った色. ⓒ 2019 Information Processing Society of Japan. 2枚の写真を撮影する際には共通の物を写す(図3(c)). 写した共通の物を利用し,写真の色調整をする.. 3.

(4) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2019-HCI-182 No.19 2019/3/19. 5.2 色調整. 表 1 共通物の HSV 値の差. 写真は撮影環境の照明等により写り方が変わってしま う.2枚の写真を正確に比較するためには色の調整が必要. H. となる. そこで, 2つの写真には共通の物を写り込ませる.. S. ファンデーション写真は店舗など外で撮ることを想定して. V. いる為,手帳・ポーチ・ネイルなど常に持ち歩く物が良い. 図3では(c)を共通の物とした. この共通の物の色を合わせ. ることで2枚の写真の色調整を行う.. 共通の物に影やシワがあった際には選択する場所によ って色調整に差が出てしまう.そこで色調整の精度を上げ. 5.2.1 HSV 値の取得・平均値の出力 ユーザーは素顔の写真の中から共通の物を選択する.. る為に各写真に写る共通の物の選択からHSV値の差を出す までの作業を複数回繰り返す.写真ごとにHSVそれぞれの. 選択した箇所を切り取り(図3(d)),HSV値を取得す. 成分において複数回取得した平均値の差の和を求め,取得. る.同様にファンデーション写真からも共通の物を選択さ. 回数で割って出力された値を共通の物のHSV値の差とす. せ,その部分を切り抜く(図3(e)).. る.. 次に切り抜いた図3(d)及び図3(e)のHSV値を取得す. 次に色調整前のファンデーション写真(図3(b))から. る.本研究ではHSV値を取得する際には,まず切り抜き画. 1ピクセルごとにHSV値の取得を行い,前に計算した共通. 像の1ピクセルごとにRGB値及びα値を取得し,HSV値に. の物のHSV値の差を足す.これを新たなHSV値とし,画像. 変換をする. HSV値に変換するのは3.1で述べたように,. として出力する(図3(f)).これを2枚の写真の色環境. ユーザーが数値を目にした時に感覚的にわかりやすくする. を揃える色調整とする.. 為である.画像内ピクセル分のHSV値を取得した後,各画. 像のHSV平均値を求める. Have = Hsum ÷ p ・・・"1# Have:H成分の平均値. 6. ファンデーションの色合わせ 本章では色調整が済んだ後に行うファンデーションの色 合わせについて述べる.. Hsum:ピクセルごとに取得したH成分の和 p:Hを取得したピクセル数. 6.1 HSV 値の比較 まず,素顔の写真は顔の一部分をユーザーに選択させ,. (1)式より各画像のH成分の平均値を計算する.S成. 切り抜く.顔は光や影の影響で顔の部分によって写りが変. 分・V成分も同様に平均値を計算する.この計算より図3. わってしまうことや,暖かい部屋にいる時は頬が赤みを帯. (d)(e)からは下記図4・図5に示す値が出力される.. びたりすることから,頬・額・顎・鼻などによって色が違 う場合がある.そこで,選択した箇所によって差が出るこ. Hの平均値: 213.128539690309. とを防ぐ為,ユーザーには顔の中の複数箇所を選択させ,. Sの平均値: 90.0212546710196. それぞれ切り抜く. 各画像から HSV 値を取得後, 5.2.1 (1). Vの平均値: 85.9960784313726. 式を用いて平均値の計算を行う.各選択箇所で(1)式に. 図 4 図3(d)素顔写真共通物の HSV 平均値. よって算出された複数の HSV 平均値の和を選択回数で割 ることにより平均値を求め,これを素顔写真の HSV 値と. Hの平均値: 226.497188850874. する.. Sの平均値: 61.7143472206967. 次に,ファンデーション写真は色調整後の画像から,フ. Vの平均値: 46.8181818181818. ァンデーションの一部を選択させ切り抜く.切り抜いた画. 図 5 図3(e)ファンデーション写真共通物の HSV 平均値. 像から HSV 値を取得し, (1)式を用いて HSV の平均値を 計算する.. 出力された平均値の差から色の調整を行う.図4のHSV. そして,素顔写真の HSV 値とファンデーション写真の. 平均値から図5のHSV平均値を引いた差は以下表1に示. HSV 値,2枚の写真の HSV 値の差を出力,表示する.こ. す.. のことにより,ユーザーは“このファンデーションは明る さが低い” , “あの色よりもこの色の方が数値の差が少ない からこの色にしよう”等と選択することが可能となる.目 で見るだけではわからない微妙な違いを数値として可視化 することで色選びをサポートする.また,腕に複数色乗せ. ⓒ 2019 Information Processing Society of Japan. 4.

(5) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2019-HCI-182 No.19 2019/3/19. ている場合は初めに選択した色と違う色を選択した場合,. 12 トーン分類ができたら,トーンを参考に4シーズンに. その色の HSV 値が表示されることで,複数色を見比べな. 分類し,ユーザーには「春・ライト」 「夏・ソフト」と表示. がら色を選ぶことが可能である.. する.このように2つの要素を表示することで,4シーズ ン分類のわかりやすさと細かなトーンの違いのどちらも得. 6.2 パーソナルカラー分類. ることができる.. 6.1 で示した HSV 値に対して細かい数値はよくわからな いと感じるユーザーもいるだろう.そのようなユーザーも パーソナルカラー分類を見ることにより直感的にファンデ. 7. シミュレーション. ーションの比較ができるようになる.6.1 で取得した HSV. 6.1 で取得した HSV 値を用いて選んだファンデーション. 値を用いて素肌の色・ファンデーションの色を 12 トーン. を素肌に塗った際のシミュレーション画像を作成する.手. 分類し,それを元に4シーズン分類をする.各シーズンの. 順を図7に示す.. 特徴は 3.1 にて述べた. まず,取得した HSV 値の彩度(S)と明度(V)から 3.2.2 で述べた 12 トーンに分類する.分類には明確な基準値が ない為,AIS カラー診断シート[9]と人の肌・ファンデーシ ョンから取得した色情報を参考に,表1に記載する値を基 準とした.また,図6に肌色のトーン分類のイメージ図を 示す. 表 2 パーソナルカラー分類数値表 8 265. 4. 4. ) %% 9. (. %% 41. (%. %. 1. (. %. ) (. 90. (. ) (. 7. %%. 7. %. % 1. ). %. 図 7 シミュレーション. %. 素顔の写真(図7(a))から切り抜いた画像から取得した HSV 値を用いて素顔の写真の内,顔の肌だと思われる,フ 3. 25. ァンデーションを塗る部分を算出する(図7(c)) .この部分 にファンデーションの写真(図7(b) )から切り抜いた画像 から取得した HSV 値を重ねシミュレーション画像(図7. 250. (d) )を生成する.実際にファンデーションを塗った際には. 4. 自分の肌の色が影響すること,肌に馴染むように薄く広げ 4. 6. ることを考慮し透明度をつける.ある程度の透明度をつけ ることで実際に自分の肌に塗った際と近くなりイメージが. 0. つきやすくなる. また,ファンデーションの仕上がりの好みは人によって. 3. 異なる.シミュレーションにより数値だけではわかりにく 10. 1. い,明るく見せたい・自然に見せたい等仕上がりの好みに 789. よる選択のサポートが可能になる.. 図 6 肌色のパーソナルカラー分類. ⓒ 2019 Information Processing Society of Japan. 5.

(6) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2019-HCI-182 No.19 2019/3/19. 8. 事前アンケート 普段ファンデーションを選ぶ際に色選びが難しいと感 じているのか,どのようにファンデーションの色合わせを しているのかについて 20 代女性 29 名にアンケートを実施 した.また,パーソナルカラーについての質問も含めた. アンケートの内容・結果を表2に記載する. 8.1 アンケート結果からの考察 問1・問2より日常的に自分でファンデーションの色合. 表 3 事前アンケート. わせをしている,そしてそれを難しいと感じている人が多 いことがわかった.問3,問4より顔に塗ったファンデー ションが落とせないと大変であるために手に出して見る人. ). %(. が多いこと,その際に手が汚れてしまうのを嫌だと感じて いる人が多いこともわかった.また,店員に選んでもらう 際には自分のイメージとは違ったものを勧められる場合が. 863 (. 0. .42. あること,イメージと違っていても断りにくいという意見 もあった. パーソナルカラーに関する問いでは自分のパーソナル カラーを知っている人は 29 名中 8 名と少ない結果となっ た.知っている人の中ではインターネット上の情報から知. 4. 4.. 2. った人が多く,インターネット上などで気軽にパーソナル カラーを知ることができるツールには需要があると考えら れる.. 9. 評価実験 実際に本システムを利用することでユーザーは自分に. 1. 97. 42. 合った色のファンデーションを選ぶことができるのかを検 証するために,ユーザーによる評価実験を行った.評価者 は20代男性5名であり,MacBook Pro上で起動するiOSア プリケーションを使用し,実験後にアンケートに回答する 形式で行った.実験は素顔で行うこと,またメイク初心者 にも使いやすいアプリケーションとなっているかを評価す る為に実験は男性に依頼した. 9.1 実験内容 実験は以下の表4に示す環境下で行った。まず,6 色の ファンデーションの中から自分に合うと思う色をいくつか 選んでもらう.ユーザーはファンデーションを腕に塗り, 写真を撮る.素肌写真・ファンデーション写真を登録し本. %) ( )%. システムで表示される数値・パーソナルカラー・シミュレ ーション画像を用いて自分に合うと思う色に絞る.選んだ ファンデーションを実際に肌に塗り, 仕上がりを確認する. 実験後,アプリケーションの使い心地,選んだファン デーションはユーザーの肌の色またユーザーのイメージと 合っているか,シミュレーション画像は適切であるか等を 評価してもらった.. ⓒ 2019 Information Processing Society of Japan. 6.

(7) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2019-HCI-182 No.19 2019/3/19. 10. 考察. 表 4 実験環境. ,12. 8. 4. 実験と実験後アンケートの結果から,以下のように考察 した.. 02 34 .. 5. 10.1 写真撮影について. BA. E. アンケート問1の結果より,写真撮影の面倒さを感じる 評価者はいなかった為,ユーザーにとって気軽に使いやす. いシステムであることがわかった.しかし,あまり制約を つけていない分,人によって写真の写りに差が出てしまっ. 9.2 評価実験後のアンケート. た.. 実験後に行ったアンケート内容と回答を以下に示す. 表 5 アンケート内容と回答結果. 10.2 色調整について アンケート問2の結果より評価者は皆,色調整は概ね適 切であると感じていることがわかる.当初は,写真の共通 部分を選択する回数は1回で,その際に取得した HSV 値 の差で色調整を行っていた.しかし,はじめの評価者が共 通の物として使用したのが着用している洋服だった為,シ ワのある部分を選択した際や暗くなっている部分を選択し た際に色調整が適切に行われていないことがわかった.そ こで本稿 5.2 で述べたように,共通物は複数回選択し取得 した HSV 値の差の平均値から色調整を行うことに変更し た.この変更により評価者から見て色調整がより自然にな ったことを確認した. また,肌の色よりもファンデーションの色の方が明るく 写ることが多い為,色調整を行うとファンデーションの色 が暗くなる調整がかかる.明るすぎる場合も暗すぎる場合 もユーザーにとっては感覚的にわかりづらくなってしまう. この問題点を解決するために,ファンデーション写真だけ に調整をかけるのではなく顔写真とファンデーション写真 の両方に HSV 値の差の半分の調整をかけるのも有効なの ではないかと考えた. 10.3 ファンデーションの色合わせについて HSV 値の比較によるファンデーションの色合わせは概 ねわかりやすかった様だ.実際の実験の様子では評価者達 は HSV 値を重視していた.シミュレーション画像を見て, また実際に塗ってみて,違いがわからないという評価者も いたが HSV 値の差は○○番が少ないから○○番の方が合 っているのだろう,等と判断していた.事前アンケート問 4では自分でファンデーションを選ぶ際に大変なのは自分 で見て見てもよくわからないことだ,と答える率が最も高 く,自分の判断に自信のない人が多いことがわかる.特に そのようなユーザーにとっては HSV 値という数値で比べ ることはファンデーション選びのサポートに有効であるよ うだとわかった. また,実験で評価者達の HSV 値を取得してわかったこ とは部屋の環境によって頬に赤みが出る等,顔の部分によ. ⓒ 2019 Information Processing Society of Japan. 7.

(8) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2019-HCI-182 No.19 2019/3/19. って色が違うということだ.このことから当初は素顔の写. 違いが出てしまう問題が明らかになり,色調整をより正確. 真から顔部分を1箇所選択することとしていたが, 6.1 で述. にできるよう改善すべきだとわかった.. べたように複数箇所を選択し取得した HSV 値の平均値を 素肌写真の HSV 値とすることに変更した.この変更によ り HSV 値の比較によって選ばれるファンデーションの色 が実際に塗った時に馴染む色とより一致した. ファンデーションの色合わせにはパーソナルカラー分. 12. 参考文献 [1]神武里奈,星野准一.好みの顔画像に基づくメイクアッ プ 支 援 シ ス テ ム . 日 本 感 性 工 学 会 論 文 誌 ,Vol.16,No.3,. 類も利用した.当初パーソナルカラー分類は彩度・明度を. pp.299-306(2017). . 用いて4シーズンに分けるだけとしていた.しかし実際に. [2]“ watashi+ by shiseido ワタシプラス カラーシミュレ. は4つの分類だけでは大まかすぎて4シーズンが違う場合. ーション”. でも大きく違うのか少し違うのかがわからないという問題. https://www.shiseido.co.jp/products/color_app/. があることがわかった.そこで,本稿の目的は肌とファン. [3] “YouCam メイク”. デーションの色合わせであるため,ユーザーがパーソナル. https://itunes.apple.com/jp/app/youcam-メイク-カメラ. カラーを用いて知りたいのはトーンが合っているかどうか. -自撮り/id863844475?mt=8. だと思い,3.2.2 で述べた PCCS トーンを用いたものが有効. [4] 田中賢一 .画像メディア工学 イメージ解析から出力. であると考え採用した.. まで,初心者のためのマルチメディア入門書(2009). [5]“PEKO STEP HSV色空間”. 10.4 シミュレーションについて アンケート問4・問5より,シミュレーション画像から. https://www.peko-step.com/html/hsv.html [6]“日本パーソナルカラー協会”. は仕上がりがなんとなく想像できたが実際に塗ってみると. https://www.p-color.jp. 少し違いを感じた,という人が多い結果となった.実験を. [7]“日本色研”. 見ていると,シミュレーション画像は明るい色のファンデ. http://www.sikiken.co.jp/pccs/index.html. ーションだと実際に塗るより明るく,暗い色のファンデー. [8]“パーソナルカラー診断サロン iro×iro トーンの意. ションだと実際に塗るより暗くシミュレーションされてい. 味とパーソナルカラーフォーシースンの関係&色の濃淡”. ることが多いように見えた.これは今回の実験でも普段フ. http://iroirona.com/blog-tone/. ァンデーション購入の際でも,ファンデーションの色味を. [9]“AIS カラー診断シート”. しっかりと見るために手に出す際は肌に完全に馴染ませず. https://ais-ais.co.jp/cds.html. 厚塗りにする場合が多い為ではないかと考えた.そこで,. 人によってファンデーションを手に塗る厚さ,顔に塗る厚 さは異なる為,現在行なっている1つの厚さを用いたシミ ュレーションでは不自然に感じる場合があるのではないか と考えた.これを解決するには,ユーザーがより厚塗りを する,より薄づきにする,など選択し,シミュレーション を変更できるようにすることが有効なのではないかと考え た.現在のシステムではファンデーションを塗る厚さは透 明度で調整をしている.この透明度をユーザーが選択した 厚さによって変更できるようにするとより精度の高いシミ ュレーションが可能になるのではないかと考えた.. 11. 終わりに 本研究ではファンデーションの色合わせが困難だと感 じている人に対し,写真の色情報からファンデーションの 色選びをサポートするシステムを提案した. 数値の可視化, パーソナルカラー・トーンの分類,シミュレーション画像 による仕上がりイメージの提示により,ユーザーに目で見 ているだけでは得られない情報を与え,サポートすること を試みた.実験より,写真の写りや撮り方によって結果に. ⓒ 2019 Information Processing Society of Japan. 8.

(9)

図  2  4シーズン分類  4.  提案手法の概要    本章ではファンデーションの色合わせをサポートする提 案手法の概要について述べる.  4.1  利用場面   本システムはユーザーがファンデーションを購入したい と考える時,自分の肌の色と合っているのかを確かめるた めに日常生活の中で気軽に利用することを想定している. 自宅で顔写真を撮影,そして実際に店舗に行きファンデー ションのテスターを自身の腕の内側部分に塗り写真撮影を 行う.実際に今すぐに購入できるものであるということ, 正確な色味がわかるとい
表  4  実験環境  9.2  評価実験後のアンケート   実験後に行ったアンケート内容と回答を以下に示す.  表  5  アンケート内容と回答結果  10. 考察  実験と実験後アンケートの結果から,以下のように考察した. 10.1 写真撮影について    アンケート問1の結果より,写真撮影の面倒さを感じる評価者はいなかった為,ユーザーにとって気軽に使いやすいシステムであることがわかった.しかし,あまり制約をつけていない分,人によって写真の写りに差が出てしまった. 10.2 色調整について アンケート問

参照

関連したドキュメント

糞で2日直して嘔吐汚血で12時間後まで讃明さ れた.髄外表の他の部分からは比較的早く菌が

スライド5頁では

浮遊粒子状物質の将来濃度(年平均値)を日平均値(2%除外値)に変換した値は 0.061mg/m 3 であり、環境基準値(0.10mg/m

 このようなパヤタスゴミ処分場の歴史について説明を受けた後,パヤタスに 住む人の家庭を訪問した。そこでは 3 畳あるかないかほどの部屋に

彩度(P.100) 色の鮮やかさを 0 から 14 程度までの数値で表したもの。色味の

また、 NO 2 の環境基準は、 「1時間値の1 日平均値が 0.04ppm から 0.06ppm までの ゾーン内又はそれ以下であること。」です

導入以前は、油の全交換・廃棄 が約3日に1度の頻度で行われてい ましたが、導入以降は、約3カ月に

都調査において、稲わら等のバイオ燃焼については、検出された元素数が少なか