Title
Body fatness and fat distribution as predictors of metabolic
abnormalities and early carotid atherosclerosis( 内容の要旨
(Summary) )
Author(s)
高見, 利惠子
Report No.(Doctoral
Degree)
博士（医学）乙 第1284号
Issue Date
2001-10-16
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/14991
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氏名 (本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員高
見 利恵子(岐阜県) 博士(医学)
乙第 1284 号 平成13 年10 月16 日 学位規則第4条第2項該当Body fatne$S and fat distribution as predictors of metabolic
abnorma=ties and ear]y carotid atheroscJerosis
(主査)教授 安 田 圭 吾 (副査)教授
清
水 弘 之 教授 犬 塚貴
論 文 内 容 の 要 旨 肥満は心疾患をはじめとする各種動脈硬化性疾患と密接な関連を有する｡特に近年,画像診断の進歩により腹 部内臓脂肪の直接測定が可能となり,肥満の中でも腹腔内の脂肪蓄積を呈する内蔵肥満が糖尿病,高脂血症など の代謝異常や心･血管障害などの動脈硬化性疾患の発症･進展の最も重要な因子と強調されてきた｡しかし,実 際に腹部内臓脂肪と心･血管疾患の関連を検討した研究は少なく,両者の関連は必ずしも明白ではなかった｡ 本研究では,腹部内臓脂肪蓄積および全身脂肪蓄積の代謝異常や動脈硬化に対する関与を明らかにする目的で, 各種の肥満指標と動脈硬化の指標としての頚動脈内膜中膜肥厚および代謝異常の各種指標との関連を検討した｡ 研究方法 対象は1996-1998年に松波総合病院人間ドックを受診した男性849名(年齢50.3±8.5歳(20イ8歳),BodyMass Index(由MI)23.5±2.9kg/nf(15.2-36.1kg/rrf))である｡身長,体重,体脂肪率,ウエスト(W)およびヒッ プ(H)の周囲長とW/E比,血圧などの計測,および血清脂質,腹部CT検査により臍高部で内臓脂肪面積(IntraabdominalFat area:IAF)および腹部皮下脂肪面積(AbdominalSubcutaneous Fat area:ASF)
を測定した｡さらに超音波検査により初期動脈硬化の指標として頚動脈内膜中膜肥厚(Intimal-medialthickness
:IMT)を計測した｡75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を実施,空腹時血糖値と血菜インスリン値からイン スリン抵抗性の指標であるHOMA-Rを算出した｡
データはSpearman's rank correlationを用いて解析した｡
結果
平均IMT O.7±0.13mm,平均W/H比O190±0.05,平均IAFlOO.70±44.91c坑 平均ASF125.30±53.03cnf
であった｡また,平均収縮期血圧123.47±18.13mmHg,平均拡張期血圧78.77±11.96mmHgであった｡平均 血清総コレステロール値5.21±0.84mmol/L,平均血清HDL-コレステロール値1.39±0.37mmol/L,平均血 清中性脂肪値1.66±1.15mmol/Lであった｡ IMTと各指標との相関は,BMI(r=0.138,p=0.0001),W周囲長(r=0.126,p=0.0005),W/H比(r= 0.165,P=0.0001),IAF(r=0.098,P=0.0058),ASF(r=0.104,p=0.0034)(年齢と喫煙指数で補正)と, すべて有意な正相関を示した｡さらにBMIで補正すると,IMTとW周囲長,IAFおよびASFとの有意な相関は消 失したが,W/H比との有意な関連は消失しなかった(r=0.1060,P=0.0034)｡また,IAFでの補正によって も,IMTはBMIと有意な相関を維持した(r=0.107,P=0.0030)｡ 腹部内臓脂肪蓄積(IAF)および全身脂肪蓄積(BMI)を互いに補正し,糖代謝,脂質代謝および血圧との関 連を検討すると,IAFとBMIは互いに独立した関連因子であった｡
-101-考察 日本人男性では,BMI,W周囲長,IAFおよびASFなど肥満の指標はすべて早期動脈硬イヒの指標であるIMTと
有意な関連を示した｡しかしBMIによる補正で,W周囲岳,IAFおよびASFとIMTの有意な相関雨肖失し,W/
H比のみがBMIとは独立してIMTと有意に相関した｡すなわち,W/E比が早期動脈硬化の重要な関連因子であ ることが示唆された｡ 一方最近脂肪蓄積の意義について,全身脂肪蓄積ではなく,腹部内餞削旨肪が肥満に関連する代謝性因子である とする報告が多い｡しかし,従来の報告を上回る症例数での我々の成績は,脂肪蓄積と代謝異常との関連では, IAFと全身脂肪蓄積の指標であるBMIやW/H比がそれぞれ独立して,耐糖能,インスリン感受性や血清脂質な どの糖･脂質代謝性因子と強い相関を示した｡すなわち,代謝性疾患に対して内臓脂肪蓄積と全身脂肪蓄積は同 等の重要性を有していた｡ 以上,腹部内臓脂肪蓄積が動脈硬化や代謝異常に対して,全身脂肪蓄積と比較しより重要な因子であるとする 結果は得られず,動脈硬化のリスク評価指標としてBMIやW/H比が腹部CT検査によるIAF測定に比較し,より 簡便,低コストでかつ,臨床的にも有用であると考えられた｡ 論文審査の結果の要旨 申請者 高見利恵子は,多数例の検討から,全身脂肪蓄積が腹部脂肪蓄積に比較し,動脈硬化に対してより重要な危険因子であること,まキ,代謝性疾患に対しては全身脂肪蓄積が腹部脂肪蓄積と同等の重要性を有してい
ることを明らかにした｡本研究は,腹部CT検査による腹部脂肪蓄積測定に比較し,より簡便,安価なBMI,W /H比測定の有用性,重要性を示すものであり,糖尿病をはじめとした生活習慣病の病態生理の理解および実地 臨床に資すること大であると認める｡ [主論文公表誌]Body fatness and fat distribution as predictors of metabolic abnormalities
and early carotid atherosclerosis Diabetes Care,2001;24:1248-1252
