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PIDパラメータの設定不全が空調システム性能に与える影響と最適調整法に関する研究 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)P I D パラメータの設定不全が空調システム 性能に与える影響と最適調整法に関する研究. 國吉 敬司 1  はじめに. を行った。冷温水弁に不適正な P I D パラメータ(比例ゲ.  P I D 制御は空調システムに広く採用されているが、そ. イン・積分時間)を入力したときを不適正時として実. のパラメータ調整は技術者の経験や勘を必要とし、試. 験を行い、適正時と比較した。冷温水弁は給気温度が. 行錯誤的な行為に頼らなけらばならない。また、パラ. 設定温度になるように P I 制御による流量調整が行われ. メータの設定不全は気付きにくく、不適正な値が入力. ている。2005 年 3 月 21 日の 0:30 ∼ 1:30(適正時) 、同. された建物では温度や圧力を設定値に制御できなくな. 日 1 :4 0 ∼ 2 :4 0 (不適正時)において暖房運転の実験. るだけでなく、バルブやダンパの振動に起因する要素. を、同年 9 月 15 日 13:30 ∼ 14:30(適正時) 、9 月 16 日. 機器の劣化に繋がる危険性がある。. 1 3 :3 0 ∼ 1 4 :3 0 (不適正時)において冷房運転の実験.  本研究では、建物の適正な運用管理という観点から、. を行った。実験時の各種設定値、用いた冷温水弁の P I D. P I D パラメータの設定不全が空調システム性能に与える. パラメータを表 3 、表 4 に示す。. 影響の把握と最適調整法の提案を行う。P I D パラメータ.  2 0 0 5 年 9 月の実験では、同年 3 月の実験時と同条件. の設定不全に関しては実験を通じてその影響の把握を (当時、給・還気ファンインバータと地階・2 階の VAV ユ 行う。また、P I D パラメータの最適調整法に関しては生. ニットは未設置)で実験を行うため、給・還気ファン. 物の遺伝や進化のメカニズムを模擬した遺伝的アルゴ. インバータと地階・2 階の VAV ユニットは制御から外し、. リズム(G A )を用いた調整法を提案し、これまでは計. ダンパを全開として実験を行った。. 算時間の問題から困難であった複数箇所の P I D パラ. 2.2  実験結果. メータ同時調整の可能性について検討を行う。.  実験結果を図 2 に示す。冷温水弁に不適正なパラメー.  今回、実験と計算に用いた対象は H V A C & R 実験解析シ. タを入力したことで、暖房時・冷房時ともに冷温水弁. で、表 1 、図 1 、表 2 にシステムの概要、空調. にハンチングが生じた。またその影響は冷温水弁だけ. ステム. 1). システム図、機器一覧を示す。. でなく、バイパス弁にも及んだ。その結果、エアハン. 2  P I D パラメータの設定不全が空調システム性能に与. ドリングユニット(A H U )前の配管内圧力が設定値近傍. える影響. で細かく振動した。暖房時は給気温度にも細かい振動. 2.1 実験概要. が生じた。熱源機の消費電力の推移を見ると、熱源機.  P I D パラメータの設定不全が空調システム性能に与え. の O N / O F F 回数が約 2 倍に増加していることが確認でき. る影響を把握するため、2 0 0 5 年 3 月と同年 9 月に実験. る。熱源機の ON/OFF 回数増加やバルブのハンチングは、. 表 1  H V A C & R 実験解析システムの概要 所在地 用途 建築面積 延床面積 階数 高さ 構造. 表 2  機器一覧 名称 エアハンドリングユニット. 福岡県春日市春日公園 6-1 九州大学筑紫キャンパス 実験棟 2 35.84m 107.53m2 地下1階,地上 2 階 軒高 6.15m,1階階高 2.70m 壁式鉄筋コンクリートパネル造(階段室は木造). 給気ファン 還気ファン 加湿器 空冷ヒートポンプチラー パイプ ダクト バルブ. 外気 還気ファン. VAVユニット. 給気ファン 冷温水弁. 2階. エアハンドリングユニット VAVユニット. 二次ポンプ. バイパス弁. 往ヘッダー 1階. 還ヘッダー バイパス. 温度計 湿度計 風量計 流量計 圧力計 電力計 インバーター. 一次ポンプ. 二次ポンプ. VAVユニット 地階. 一次ポンプ. 空冷 ヒートポンプ チラー. 往ヘッダー 還ヘッダー. 図 1  空調システム図. 42-1. 機器仕様 冷却能力 加熱能力 冷温水流量 定格風量 定格消費電力 定格風量 定格消費電力 気化式 有効気化量 冷却能力 加熱能力 定格消費電力:冷却時 定格消費電力:加熱時 ライン型 冷温水流量 定格消費電力 ライン型 冷温水流量 定格消費電力 寸法 寸法. 10.5 kW 10.5 kW 1.86 m3/h 2000 m3/h 1.5 kW 1800 m3/h 1.5 kW 2.0 kg/h 12.5 kW 15.0 kW 5.0 kW 5.2 kW 2.7 m3/h 0.4 kW 2.4 m3/h 0.4 kW φ65×L800 φ65×L800.

(2) 熱源機やその他の要素機器の劣化などに大きな影響を. 行った『交叉』では、1 階・2 階・地階の V A V ユニット. 与える。一方で、実験期間の熱源機の電力消費量は表. と冷温水弁の比例ゲイン・積分時間の計 8 種類のパラ. 5 のように両期間ともに不適正時の方が小さい値となっ. メータの中の任意の 3 箇所において、前述の『選択』が. た。また、冷温水弁・バイパス弁にハンチングが生じ. 行われた 1 個体目から 2 0 個体目の間で交換を行う。. ているものの、室温は設定値を維持できている。その.   『交叉』が行われた後、それぞれの個体において、あ. ため、冷温水弁の P I D パラメータ設定不全は室温や電. らかじめ設定した確率(突然変異率)で、各々の個体. 力消費量には反映されにくく、設定不全に気付かない. が持っている 8 種のパラメータがそれぞれ表 6 の範囲. まま運用してしまう危険性がある。. 内でランダムに数値を変化させる。この動作を『突然. 3  遺伝的アルゴリズム(G A )による P I D パラメータの. 変異』とする。. 最適調整法の提案.  このように、第一世代の個体を用いて空調システム. 3 . 1  GA による最適調整法. シミュレーションが行われて評価値が計算された後、.  図 3 に本研究で提案した G A による P I D パラメータの 『選択』- 『交叉』- 『突然変異』という過程を経て第二 最適調整法のフロー図を示す。  PID パラメータの調整対象は 1 階・2. 10. 0 0. 10. 間を与える。この操作を『初期遺伝』. 20. 冷温水弁開度(適正時). 圧力[kPa] 20. 力して空調システムシミュレーショ. 10. 20. 給気温度(不適正時). 30. 40. (c) 給気温度. 室温(適正時) 外気温(適正時). 3 個体、3 番目に優れた組み合わせを. 暖房 冷房. 適正時[Wh] 3,391 3,111. 30. 40. 熱源消費電力(適正時). 6. 50 60 経過時間[分]. 熱源消費電力(不適正時). 4. 5 3 1. 5 10. 20. 30. 40. (f) 熱源消費電力. バイパス弁開度(適正時) 100. 温度[ ℃]. 開度[%] 10. 20. 30. 40. 50 60 経過時間[分]. バイパス弁開度(不適正時). 60 40. 0 0. 50 60 経過時間[分]. (a) 外気温・室温. 10. 20. 30. 40. (d) バイパス弁 AHU前配管内圧力(適正時). 冷温水弁開度(不適正時). 50 60 経過時間[分]. AHU前配管内圧力(不適正時). 100. 80. 圧力[kPa]. 開度[%]. 80 60 40 20. 冷房 27.0 16.0 70.0 7.0. 表 5  電力消費量. 20. 20. 冷温水弁開度(適正時). 0 0. 20. 30. 40. 給気温度(適正時). 0. 50 60 経過時間[分]. 給気温度(不適正時). 15. 10. 20. 30. 40. (c) 給気温度. 50 60 経過時間[分]. 10. 40. 50 60 経過時間[分]. 熱源消費電力(不適正時). 4. 5 3 1. 5 0. 図 2  実験結果. 42-2. 30. 熱源消費電力(適正時). 6. (Ⅱ)冷房運転. 不適正時[Wh] 3,061 2,649. 20. (e)AHU前配管内圧力. 熱源消費電力[kW ]. 20. 10 0. 70. 60 10. (b) 冷温水弁. 温度[℃]. 暖房 冷房 適正時 不適正時 適正時 不適正時 比例ゲイン[-] 1 20 10 100 積分時間[Sec.] 30 30 90 90. 10. 0. 室温(不適正時) 外気温(不適正時). 25. 20 0. 体に対して『交叉』が行われる。今回. 表 4 実験に用いた PID パラメータ. 150. 80.  さらに、『選択』が行われた後の個. 暖房 20.0 35.0 160.0 45.0. AHU前配管内圧力(不適正時). 160. 50 60 経過時間[分]. 30. 残す。この操作を『選択』とする。. 室温[℃] 給気温度[℃] AHU 前配管内圧力[kPa] 熱源出口温度[℃]. 50 60 経過時間[分]. (Ⅰ)暖房運転. 4 個体、2 番目に優れた組み合わせを. 表 3  実験時の設定値. 40. (e)AHU前配管内圧力. 熱源消費電力[kW ]. 温度[℃]. 30 0. 30. 170. 140 0. 50 60 経過時間[分]. 35. に並び替え、1 番優れた組み合わせを. れた組み合わせをそれぞれ 1 個体ずつ. 40. 給気温度(適正時). 40.  評価値が優れた組み合わせを昇順. 2 個体、残りの 4 番目から 14 番目に優. 30. (b) 冷温水弁. 20. AHU前配管内圧力(適正時). 180. 20 10. 10. (d) バイパス弁. 冷温水弁開度(不適正時). 40. 0 0. 40. 0 0. 50 60 経過時間[分]. 60. 一世代 2 0 個体の P I D パラメータを入. れ評価値を計算する。. 40. 80. された 2 0 個体が第一世代である。第. ンを行い、評価関数によってそれぞ. 30. 100. 開度[%]. 体)作成する。この過程で最初に作成. 60. 20. (a) 外気温・室温. とする。このランダムな組み合わせ. バイパス弁開度(不適正時). 80. 15. 5. 範囲でランダムに比例ゲイン・積分時. を一つの世代の個数だけ(今回は 20 個. バイパス弁開度(適正時) 100. 開度[%]. これらに初期値として表 6 に示した. 室温(不適正時) 外気温(不適正時). 20. 温度[ ℃]. 階・地階の VAV ユニットと冷温水弁で、. 室温(適正時) 外気温(適正時). 25. 10. 20. 30. 40. (f) 熱源消費電力. 50 60 経過時間[分].

(3) 世代が作成される。. ると局所解に陥ったまま抜け出すことができないと.  この作成された第二世代の 2 0 個体を用いてさらに空. いったことが起こりうる。そこで、G A における突然変. 調システムシミュレーションが行われ、さらに各々の. 異率の検討を行った。. 個体に対して評価値が計算される。そしてまた『選択』-.  検討では 1%、3%、5%、10%、20%、30%、40%、50% の突. 『交叉』- 『突然変異』という過程を経て第三世代が作. 然変異率を想定し、それぞれの確率で 5 回ずつ G A を行. 成される。こうして常に『選択』- 『交叉』- 『突然変. い、評価値の推移を調べた。1%、3%、5% に設定したケー. 異』が図 3 のように繰り返されながら世代が更新され、. スでは世代数が増えるごとに徐々に評価値が改善され. 評価の低い個体は消滅し、評価の高い個体が多く残っ. た。1 0 % 以上の突然変異率を設定すると、ランダム的な. ていく。また突然変異を行うことで、局所解に陥るこ. 要素が強くなり、世代数と評価値の相関が崩れた。. とを防ぐ。 3 . 2  評価関数の検討. 計算世代数が設 定した世代数に 達したか?. START.  G A において評価関数は選択や淘汰が行われる個体の 性質を決定づけるため、非常に重要な要素の一つであ る。そこで、G A の評価関数として表 7 に示した式 1 か ら式 6 について検討を行った。. ②選択. NO. ①初期遺伝. YES. ③交叉. 評価値の計算. END. ④突然変異.  これらの式を G A の評価関数に用いて検討すると、式. 図 3  G A による最適調整法 フロー図. 2 と式 3 を用いたケースにおいて比較的良好な結果が得. 表 6  探索範囲. られた。その中でも、式 3 を用いたケースでは地階の VAV ユニット(1 階・2 階・地階). 給気風量があまり調整されず、地階室温の制御性が若. 冷温水弁. 干悪化したため、式 2 の方がより適当な評価関数であ ると言える。. 比例ゲイン[-] 0.001 ∼ 0.200 (0.001 step). 積分時間[sec.] 2 ∼ 200 (2sec. step). 0.0002 ∼ 0.1000 (0.0002 step). 2 ∼ 200 (2sec. step). 表 7  検討した評価関数.  図 4 に式 2 を評価関数とした G A によって得られた評. VALUE # R1AT ! R1ATSP " R 2AT ! R 2ATSP " R 0AT ! R 0ATSP ・・・式 1 VALUE # R1AT ! R1ATSP " R 2AT ! R 2ATSP " R 0AT ! R 0ATSP " F1ATO ! F1ATOSP ・・・式 2. 価値が最も小さくなる P I D パラメータの組み合わせを. 2. 2. 3. 3. VALUE # R1AT ! R1ATSP " R 2AT ! R 2ATSP. 入力して空調システムシミュレーションを行った結果. " R 0AT ! R 0ATSP. 2. " F1ATO ! F1ATOSP ・・・式 3. 3. VALUE # R1AT ! R1ATSP " R 2AT ! R 2ATSP " R 0AT ! R 0ATSP " F1ATO ! F1ATOSP ・・・式 4. を示す。暖房時の午後に室温の上昇がみられるが、こ. 2. 2. 2. 2. VALUE # R1AT ! R1ATSP " R 2AT ! R 2ATSP. 2. " R 0AT ! R 0ATSP ・・・式 5. VALUE # R1AT ! R1ATSP " R 2AT ! R 2ATSP " R 0AT ! R 0ATSP. れは H V A C & R 実験解析システムの空調システムでは暖房. 2. 2. " F1ATO ! F1ATOSP ・・・式 6. 運転中に冷房運転への切り替えができないため、内部. ここで、V A L U E :各時刻における評価値[ - ] 、R 1 A T :1 階室温[ ℃] 、R 1 A T S P :1 階設定. 発熱や日射の影響を処理できないことが要因に挙げら. R 0 A T S P :地階設定室温[ ℃] 、F 1 A T O :給気温度[ ℃] 、F 1 A T O S P :設定給気温度[ ℃]. 室温[ ℃] 、R 2 A T :2 階室温[ ℃] 、R 2 A T S P :2 階設定室温[ ℃] 、R 0 A T :地階室温[ ℃] 、. れる。そのことを考慮 24. 22. 22. 20. 20 設定室温 (22℃). 16 8. 制御されていること が確認できる。. 10. 温度[℃]. 討  G A は突然変異を起. 45. はかけ離れた値へ向 かったり、逆に低すぎ. 26. 26 10. 12. 12. 14. 0 18 時刻[時]. 16. 2月4日. 14. 16. 空調機出口空気温度. 25 18 時刻[ 時]. 空調機風量 2000. 18 16. 1000. 14 12. (Ⅰ)暖房運転. 設定給気温度 (16℃). 10 8. 10. 12. 14. 16. 8月4日 (Ⅱ)冷房運転. 0 18 時刻[ 時]. 図 4  評価関数の検討(評価関数:式 2 ) 3回目 . 4回目 . 5回目. 1回目 . 5000. 4500. 4500. 4000. 4000. 3500. 3500. 3000 1. 101. 201. 301. 401. 501. (Ⅰ)暖房運転. 601. 3000 701 世代数 [世代]. 2回目 . 4回目 . 5回目. 4850. 4800. 4800. 4750. 4750. 4700 1. 101. 201. 301. 401. 501. (Ⅱ)冷房運転. 図 5  突然変異率の検討(突然変異率:5 % ). 42-3. 3回目 . 4850. 601. 評価値[-]. 2回目 . 5000. 評価値[-] 評価値[-]. 1回目 . 評価値[-]. るために最適な値と. 27. 20. 2000. 1000. みとなっている。だ ぎれば発散し易くな. 27. 25 8. 空調機風量. 35. 陥ることを防ぐ仕組 が、突然変異率が高す. 16 18 時刻[時]. 16. 40. 10. 28. 18. 設定給気温度 (35℃). 30 8. こすことで、局所解に. 14. 空調機出口空気温度. 50. 3 . 3  突然変異率の検. 12. 地階室温. 風量[m3/h]. 18. 2階室温. 設定室温 (26℃). 温度[ ℃]. 24. 1階室温. 28. 温度[ ℃]. 26. 温度[℃]. 給気温度ともによく. 地階室温. 温度[℃]. 温度[ ℃]. 以外の時間帯は室温・. 2階室温. 26. 風量[m3/h]. 1階室温. すると、暖房時の午後. 4700 701 世代数 [世代].

(4)  検討の結果、突然変異率は 1 0 % 未満に設定すること. 響の把握と最適調整法の提案を行った。. が望ましいことが確認された。局所解に陥ることを防.  設定不全の影響に関しては、冷温水弁の P I D パラメー. ぐといった観点も加えると、突然変異率は 5 % 程度に設. タに不適正な値を入力した結果、冷温水弁だけでなく. 定すべきである。図 5 に突然変異率を 5 % と設定したと. バイパス弁でも大きなハンチングを生じ、配管内圧力. きの評価値の推移を示す。. などに振動を引き起こすことを確認した。また、熱源. 3 . 4  提案した最適調整法を用いての空調システムシ. 機の O N / O F F 回数は 2 倍に増加し、これらのハンチング. ミュレーション. や熱源機の O N / O F F 回数増加は要素機器の劣化等にも繋.  今回提案した最適調整法を用いて 7 0 0 世代計算した. がるものと考えられるが、室温変動や電力消費量には. 結果として得られた最も評価値の優れた P I D パラメー. 影響が現れにくく、設定不全に気付かないまま運用し. タの組み合わせを表 8 に示す。最適調整対象日は暖房. てしまう危険性があることを確認した。. 時 2 月 4 日、冷房時 8 月 4 日とした。また、3.2 節・3.3.  最適調整法に関しては、G A を用いた手法を提案し、計. 節の検討の結果より、評価関数は式 2 を、突然変異率. 算時間の問題から困難であった複数箇所の P I D パラメー. は 5 % を用いた。. タの同時調整を行った。同手法によって探索された P I D.  提案した最適調整法の有用性を確認するため、表 8 の. パラメータを入力して空調システムシミュレーション. P I D パラメータを入力して空調システムシミュレーショ. を行った結果、室温・給気温度ともによく制御されて. の. いることがわかった。このことから複数箇所の P I D パラ. 計算時間間隔を 1 時間から 1 分まで変更可能に改良し. メータの同時調整を行う際に G A による最適調整法の有. たものを用いた。空調システム側の計算は H A S P / A C S S /. 用性を確認した。. ンを行った。建物側の熱負荷計算は HASP/ACLD/8501. 2). 8502 3) や HVACSIM+4) といった既存の空調システムシミュ レーションプログラムの考え方などを参考にモジュー. 【参考文献】 1) 國吉敬司,他:建物の空調システムにおける省エネルギーに関する研究(その 1), 日本建築学会研究報告九州支部,pp.437-440,2005 年 3 月 2) 建築設備技術者協会:HASP/ACLD/8501 解説 ,1986 年 2 月 3) 建築設備技術者協会:HASP/ACSS/8502 解説 ,1986 年 2 月 4) 空気調和・衛生工学会コミッショニング委員会 WG:HVACSIM+(J)利用者マニュアル, 1998 年 4 月 5) 日本建築学会:拡張アメダス気象データ,1999 年 12 月. ル化したものを用いた。建物側の計算と空調システム 側の計算を統合し、シミュレーションプログラムを構 築した。空調時間帯は 8:00 ∼ 18:00 で、暖房運転と冷 房運転の代表日として 2 月 4 日と 8 月 4 日を対象に計算. 表 8  提案した最適調整法により探索された P I D パラメータ. を行った。計算時間間隔は 1 分であ. 1 階 VAV ユニット. る。計算に用いた設定値、内部発熱. 表 1 0  計算時の内部発熱 照明[W] 人体[W] 室内機器[W]. 顕熱 顕熱 潜熱 顕熱. 1階 845 217 252 120. 2階 845 217 252 120. 地階 343 217 252 0. 冷温水弁. 温度[ ℃]. 空調機入口空気温度 空調機出口空気温度 50 45 40 35 30 25 設定給気温度 (35℃) 20 15 8 10 12 14 16 (c)空調機出入口空気温度 50 45 40 35 30 25 20 8. 空調機入口水温. 空調機出口水温. 12 14 (d)空調機出入口水温 2月4日. (Ⅰ)暖房運転. 16. 10. 温度[℃]. 12 14 (a)室温・外気温度 2階給気風量. 16. 20 18 時刻[ 時]. 地階給気風量. 400. 200 0 8. 200 10. 12 14 (b)給気風量. 16. 空調機入口空気温度 空調機出口空気温度 40 35 30 25 設定給気温度 (16℃) 20 15 10 8 10 12 14 16 (c)空調機出入口空気温度 30 25 20 15 10 5 0 8. 空調機入口水温. 空調機出口水温. 0 18 時刻[ 時] 空調機風量 2000. 1000. 0 18 時刻[ 時]. 2次ポンプ流量 4 3 2 1. 10. 12 14 (d)空調機出入口水温 8月4日. 16. 0 18 時刻[時]. (Ⅱ)冷房運転. 図 6  計算結果(最適調整法で探索された P I D パラメータを使用). 42-4. 風量[m3/h]. 温度[℃]. 25. 600. 2次ポンプ流量 4. 0 18 時刻[時]. 30. 400. 0 18 時刻[時]. 1. 35. 800. 2000. 2. 10. 設定室温(26℃). 600. 空調機風量. 3. 外気温度. 800. 0 18 時刻[時]. 1000. 地階室温. 風量[m3/h]. 200 16. 2階室温. 24 16. 流量[m3/h]. 200 12 14 (b)給気風量. 1階室温. 0.0014 0.0404. 25 20 8. 風量[m3/h]. 400. 10. 30. 38 14. 1階給気風量. 400. 0 8. 35. 地階給気風量 600. 温度[ ℃]. 室温[℃] 給気温度[℃] 熱源出口温度[℃]. 冷房 26.0 16.0 7.0. 2階給気風量. 16. 600. 表 9  計算時の設定値 暖房 22.0 35.0 45.0. 12 14 (a)室温・外気温度. 800. 4  おわりに 不全が空調システム性能に与える影. 10. 35 30 25 20 15 10 5 0 18 時刻[時]. 800. 御されていることが確認できる。  本研究では P I D パラメータの設定. 外気温度. 設定室温(22℃). 1階給気風量 風量[m3/h]. 給気温度と室温が設定温度によく制. 地階室温. 温度[ ℃]. れたことで、2 次ポンプ流量と給気. 2階室温. 0.070 0.042. 温度[℃]. P I D パラメータに適正な値が入力さ 風量が適正に調整され、その結果、. 地階 VAV ユニット. 8 8. 温度[ ℃].  各階の V A V ユニットと冷温水弁の. 1階室温. 0.044 0.018. 風量[m3/h]. を用いた。. 35 30 25 20 15 10 5 0 8. 10 24. 流量[m3/h]. 準年データ(福岡). 温度[ ℃]. タには拡張アメダス気象データの標. 0.085 0.050. 風量[m3/h]. 暖房 冷房. 条件は表 9 、表 1 0 に示す。気象デー 5). 2 階 VAV ユニット. 比例ゲイン[-] 積分時間[sec.] 比例ゲイン[-] 積分時間[sec.] 比例ゲイン[-] 積分時間[sec.] 比例ゲイン[-] 積分時間[sec.].

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