All Sky Modelに基づく昼光照明設計に関する研究 [ PDF
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(2) 3.4 今後の方針. 3. All Sky Model に基づく昼光照明設計 本研究における昼光照明設計の目的は、基本計画の参. 昼光照明設計を実務で行うには、シミュレーション値. 考となる昼光シミュレーションを行うこと、そして、昼. の高い精度が求められる。本研究では、これを段階に応. 光データによる年間の確率的な予測により、人工照明の. じて解決する方針で、模型による検証実験とその結果を. 消費電力を効率よく削減することである。All Sky Model. 受けた Radiance の拡張を繰り返し行う予定である。 現時. に基づく昼光照明設計のフローを図 6 に示す。. 点では、All Sky Model の拡張のみであるが、今後、直. 3.1 All Sky Model の全国での利用. 射成分、直射成分遮蔽装置、人工照明を拡張していく。. All Sky Model を全国で使用するために、全国の水平 面グローバル照度のデータを太陽の位置別に整理するこ. 順路. Radiance の操作手順. とが必要である。水平面グローバル照度は、CIE(国際照. 全国の昼光データのデータベース化. 明委員会)の IDMP 測定所で測定されているため、これを. IDMP データ. 地区別にデータベース化する。IDMP 測定所が無い地区は、 気象台の日射量データを入手し、水平面グローバル照度. 昼光照明設計. 気象台データ. 敷地決定. を導き出し、同様の整理を行う。. 敷地情報入力. 水平面グローバル照度データの入手. 隣接建物情報入力. 3.2 基本計画での昼光照明設計. 基本計画. 室ごとの必要照度の設定. 設計する建物の対象敷地が決定すると、Radiance に敷 地情報と隣接建物情報を入力する。その後、基本計画に. 平面計画 構造計画. 入り、平面計画を行うにあたり、室の機能から必要照度. シミュレーション. 季節ごとの採光を検討. 基準となる天空状態の作成. 平面計画への利用. 窓配置 対象建物情報入力. 等の目標値を決定し、Radiance に建物情報を入力し、窓. 窓面位置・昼光導入装置・ファサードの決定. 面の位置、大きさ等を決定する目的で、All Sky Model による基準天空による室内照度計算を行う。その際、天 空状態は正規化グローバル照度が 1.0(晴天空) 、0.7(明 るめの中間天空) 、0.4(暗めの中間天空) 、0.2(曇天空) とし、太陽の位置は、春分、夏至、冬至の 3 つの季節に おける午前 9 時、太陽の南中時、午後 5 時(但し、冬至 は太陽高度が低くなるため午後 4 時) の 36 パターンとす. 柱位置・柱太さ・構造材料・耐震壁の決定. 実施計画. シミュレーション. 年間のエネルギー計算. 直射成分遮蔽装置の作成. シミュレーションの精度の決定. 人工照明データの作成. 水平面グローバル照度データの整理. 窓の仕様 壁面の仕様 人工照明の決定. 消費エネルギー 計算プログラム. 熱・空気環境の計算と同時に計算 エネルギーの総合評価 窓面・設備の微調整. る。図 7 に福岡市箱崎(北緯 33.62°・東経 130.43°) 図 6 All Sky Model に基づく昼光照明設計のフロー. の冬至における基準の天空輝度分布を示す。 3.3 実施計画での昼光照明設計 基本計画が決定すると、Radiance に、決定した窓や壁 面、人工照明の情報、また、直射成分を遮蔽するブライ ンド、ルーバー等の情報も取り入れ、空調機によるエネ ルギー計算と同時に人工照明による消費エネルギーを計 算する。計算は、昼光データベースから水平面グローバ ル照度のデータをピックアップし、太陽位置別の出現頻 度をもとめ、それによる All Sky Model の天空輝度分布 を昼光の光源として計算する。その際、シミュレーショ ンの精度と計算時間を考慮し、水平面グローバル照度、 太陽位置の分割数を選択する。計算後、エネルギー消費 量が適当でないと判断された場合、窓面、人工照明の仕 様、空調機の選定などの微調整を行い、基準をみたす結 果がでるまで繰り返す。その際、エネルギー計算するプ ログラムを作成する必要がある。図 8 に照度センサー付. 図 7 福岡市箱崎における冬至の基準天空輝度分布. 人工照明の予測年間消費電力の計算のフローを示す。. 34-2.
(3) 水 平 面 グ ロ ー バ ル 照 度. 4 検証実験 4.1 実験概要. P1 P2 P3 P4 P5 P6 P7 P8. Radiance で適応する All Sky Model の性能を検証する. P9 P10・・・・・・・・・・・・・・ ・. ・・・・・・・・・・・・・・・・. ために屋外で 1 回目の模型を使用した検証実験を行った。. ・. ・・・・・・・・・・・・・・・・. 測定の対象となる模型室は、シミュレーションで想定し. ・. ・・・・・・・・・・・・・・・・. た、間口 6000mm、奥行 6000mm、高さ 3000mmで、1. ・. ・・・・・・・・・・・・・・・・. 面に幅 4000mm、 高さ 2000mmの開口部を持つ室の縮尺. ・. ・・・・・・・・・・・・・・・・. 1/10 である。室内の反射率は、高反射率のものと、低反. ・. ・・・・・・・・・・・・・Pn. 射率のものを想定し、白く塗装したものと黒く塗装した ものの 2 つとした。測定した項目は、水平面グローバル. 太陽の位置. (Pk:割合). 照度、室内床面照度、天空輝度分布である。模型の向き. ①得られた水平面グローバル照度データを太陽の位 置別に分類し、各ブロックで総データ数に対する割 合を求める。(Pk=Xk / ΣXn) ΣXk:総データ数 水 平 面 グ ロ ー バ ル 照 度. は開口部が真北を向く場合と真南を向く場合の 2 パター ンとした。 使用した模型の概要と照度の測定点を図 9 に、 室内反射率を表 1 に示す。. P1 P2 P3 P4 P5 P6 P7 P8 P9 ・・・・・・・・・・・・・・・ ・. ・・・・・・・・・・・・・・・・. ・. ・・・・・・・・・・・・・・・・. ・. ・・・・・・・・・・・・・・・・. ・. ・・・・・・・・・・・・・・・・. ・. ・・・・・・・・・・・・・・・・. ・. ・・・・・・・・・・・・・Pn. 3000. 4000 2000. a A列. 太陽の位置. 1500. ②各ブロックのパラメータから All Sky Model に基づ く天空輝度分布を求める. B列. d. c. b. e. 1000 1000 1000 6000 1000 1000 1000. C列. 1500 1500. 1500. ※○は照度計の位置を表す. 6000. 図 9 想定する室と測定点 ③光束法もしくは Radiance のシミュレーションから 人工照明の台数を求める 水 平 面 グ ロ ー バ ル 照 度. O1. O2. O3. O4. O5. O6. 表 1 壁面・天井・床の平均反射率(%). O7 O8. O9 O10・・・・・・・・・・・・・・. 塗装. 東. 西. 南. 北. 天井. 床. 黒. 5.88. 5.98. 4.28. 5.86. 4.00. 6.60. 白. 83.3. 84.5. 79.9. 84.9. 82.7. 71.2. ・. ・・・・・・・・・・・・・・・・. ・. ・・・・・・・・・・・・・・・・. ・. ・・・・・・・・・・・・・・・・. ・. ・・・・・・・・・・・・・・・・. 年 10 月 22 日から 11 月 8 日に試みた。測定した時間は、. ・. ・・・・・・・・・・・・・・・・. 午前 7 時 30 分から午後 5 時までの 15 分間隔とした。但. ・. ・・・・・・・・・・・・・On. し、太陽高度が 10°を越えないものは、建築学科周辺の. (Ok:人工照明の点灯台数). 実験場所は福岡市箱崎の九州大学建築学科旧館屋上 (北緯 33.62°・東経 130.43°)である。測定期間は 2002. 建物の影響を受けると判断し、採用しなかった。. 太陽の位置. 模型の設置は高さ 0.7mの台の上に、白く塗装したも. ④②で求めた天空輝度分布に基づく室内照度を計算 し、人工照明の点灯台数を求める. のと黒く塗装したものを 2 つ並べ、地物からの光の反射 を一定にするために開口部の前面に反射率 3.44%の暗. ⑤ここで、人工照明 1 台あたりの消費電力を W、年間 の照明点灯時間を T とすると、対象室の年間予想消 費電力は次の式で計算可能である ΣWk:年間照明消費電力 ΣWk=(W×O1)×(T×P1)+ (W×O2)×(T×P2)+ ・・・・・・・・・・・・+(W×On)×(T×Pn). 幕を取付けた。 4.2 実験結果と考察 4.2.1 測定データ数 得られた測定データは、北窓の場合が 204 回分、南窓. 図 8 予想年間消費電力の計算のフロー. の場合が 170 回分である。今回はシミュレーションでの 34-3.
(4) 40. 計算値と、模型実験での測定値を比較する時、曇天空の. 35 30. 輝度分布の測定結果を、CIE 標準晴天空、CIE 標準曇天空. 25. のコンタ図と比較し、データ取得時の天空状態を、晴天 空、中間天空、曇天空の 3 つに分類した。曇天空時は北. 度数. 場合のみを検討対象とした。各回の測定について、天空. 20 15 10. 窓のデータは28回分、 南窓のデータは29回分であった。. 5. 4.2.2 考察に使用する値. 0 0∼10. 考察では、実測値とシミュレーション値との差をシミ ュレーション値で除したものを使用する。また、この値. 10∼20. 20∼30. 30∼40. 40∼50. 50∼60. 60∼70. 70∼80. 80∼90 90∼100. 照度差. 図 10 全天空照度差の頻度分布. を、全天空照度については全天空照度差、室内照度につ いては照度差、昼光率については昼光率差と定義する。 さらに、許容できる範囲として 20%以内を設定した。 16. 4.2.3 考察 曇天空の場合、水平面グローバル照度と全天空照度は. 14. 等しくなるといえる。最初に、測定した水平面グローバ. 12. ル照度と、シミュレーションによる全天空照度を比較し た。その結果、全天空照度差が 20%以内になるものは検 討データ数(57)の約 8 割であった。曇天空に分類され てはいるが、空一面が厚い雲に覆われているような状態 は少なく、水平面グローバル照度の測定値は比較的高い ものが多い。その時、全天空照度差は大きくなる傾向に. 10. 95∼100 90∼95 85∼90 80∼85 75∼80 70∼75 65∼70 60∼65 55∼60 50∼55 45∼50 40∼45 35∼40 30∼35 25∼30 20∼25 15∼20 10∼15 5∼10 0∼5. 度数. 8 6 4 2 0. 照度差. a. b. c. d. e. B列. あった。図 10 に、全天空照度差の頻度分布を示す。 次に室内照度を検討する。全体として、室内反射率が. 図 11 南窓・低反射率 B 列における照度差の頻度分布. 低い場合は、測定値がシミュレーション値より小さくな り、室内反射率が高い場合は、測定値がシミュレーショ ン値より大きくなった。また、室内反射率が低い場合、 室内反射率が高い場合より検討データに対して、照度差. 7. が小さいものの割合が高い。照度差が 20%以内のものは、. 6. 室内反射率が低い場合に、検討データ数(627)の約 5 割、室内反射率が高い場合に、検討データ数(627)の約 2 割であった。測定点の B 列で、開口部からの距離につ いて比較すると、中央付近において照度差が小さい傾向 にある。開口部付近と室奥では照度差のばらつきが大き い。これは、窓の向きに関わらず、また、太陽高度に関 わらず同様の結果を示した。室奥においては、シミュレ. 5 95∼100 90∼95 85∼90 80∼85 75∼80 70∼75 65∼70 60∼65 55∼60 50∼55 45∼50 40∼45 35∼40 30∼35 25∼30 20∼25 15∼20 10∼15 5∼10 0∼5. 度数. 3 2 1 0. 照度差. a. ーションより実際の方が、室内面での光の相互反射によ る間接成分の影響を強く受け、室内反射率の高い場合に. 4. b. c. d. e. B列. 図 12 南窓・高反射率 B 列における照度差の頻度分布. 照度差が大きくなると考える。南窓で、B 列 5 点におけ る照度差の頻度分布を室内反射率別に図 11、図 12 に示. 参考文献. す。壁際の A 列と C 列においては、照度差が 20%以内の. 1)N. Igawa and H. Nakamura: All Sky Model as a. 割合は、B 列と同様に低反射率が約 5 割、高反射率が約 2. standard sky for the simulation of daylit. 割であった。また、この結果は A 列、C 列で違いは無く、. environment, Building and Environment, 36,. 太陽高度、太陽方位角の別でも傾向は見られなかった。. pp.763-770, 2001. 昼光率差に関しては照度差と同様の傾向を示した。. 2)http://radsite.lbl.gov/radiance/HOME.html. 34-4.
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図
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