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られ 年 7 月にBPに事業を譲渡し その際に上流権益がPetro-Canada に売却された 2Ruhrgasの買収 合併による本格的な上流事業への進出 (2003~2006 年 ) 現在のE.ONの上流進出は ドイツを中心に欧州でガス事業を行っていた Ruhrgasを2003 年 1

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(1)

じめに

 ヨーロッパのユーティリティー企業 (電力・ガス企業)は、欧州委員会(EC: European Commission)による欧州連合 (EU:European Union)域内の電力・ガ ス市場の統合および自由化指令を受け、 激化すると予想される域内競争に対応す べく、さまざまな対応を図ってきた。企 業合併による大型化とともに、事業の利 益性を向上させるため、多くのユーティ リティー企業が上流事業に乗り出し、油 ガス田等の上流権益に対して出資するだ けでなく、企業によっては油ガス田のオ ペレーターとして事業をリードし、ガ ス・原油の生産物を確保するケースも挙 げられる。  今回は、二つのドイツ企業に焦点を当 て、欧州最大のユーティリティー企業で あるE.ONとRWEについて、その上流事 業戦略と経営に対する効果・影響をまと める。

1.

E.ON

(1)E.ONの上流事業への取り組み ①E.ON設立時の上流事業(2000~2002年)    E.ONは、欧州最大のユーティリ ティー企業で、2011年の電力販売量は1 兆1,448億kWh、ガス販売量は1,512億m3 (1兆7,181億kWh)である。    E.ONは、2000年にVEBAとVIAGの 合併によりドイツ最大の電力・エネル ギー企業として発足した。    上流事業については、前身である VEBAのグループ企業VEBA Oel(石 油化学企業)が上流権益を保有し、合 併直前の1999年には、英国、エジプト、 リビア、オランダ、ノルウェー、イン ドネシア、ベネズエラ、シリアに権益 を保有、原油・天然ガスの生産・販売 を行っていた。1999年の生産量は原油 5,240万バレル、天然ガス12億m3(780万 boe*(barrel of oil equivalent))で、原 油に重点を置いていた(原油比率:約 87%)。    VEBA Oelは、E.ON設立時の方針 である「コア(核)ビジネス(電力・ガス 供給事業)に集中し、非コアビジネス から投資撤退する」という方針の下、 その事業は非コアビジネスと位置付け

欧州ユーティリティー企業の

上流進出

― その戦略と実績 ― (ドイツ:E.ON/RWE)

○ドイツの2大ユーティリティー企業であるE.ON、RWEは、発電・電力供給/天然ガス供給をコア事

業とする企業であり、特にE.ONは欧州最大のユーティリティー企業である。E.ONとRWEは現在、

従来の中・下流事業(発電・送電・電力販売および天然ガス輸送・販売)だけでなく、上流事業に積

極的に乗り出している。

○E.ON、RWEの上流事業への進出には、以下の共通した特徴がある。

 ①上流事業でのオペレーターとしての関与

  ・上流事業でオペレーターとなるため、核となる上流企業(探鉱・開発企業)の買収を行い、自ら

がオペレーターとして事業活動ができる体制を構築している。

 ②上流事業の重点戦略地域に類似性がある

  ・E.ON:英領・ノルウェー領北海、ロシア、北アフリカ(アルジェリア)

  ・RWE:英領北海、ノルウェー洋上(北海、ノルウェー海、バレンツ海)、中央ヨーロッパ、

北アフリカ

  ・今後、より国際的な展開をする動きが見られる。

 ③天然ガスに重点を置いた探鉱・生産活動の実施

 ④下流事業者としての、原料調達のポートフォリオの一部としての上流事業

(2)

られ、2 0 0 2年7月にBPに事業を譲渡 し、その際に上流権益がPetro-Canada に売却された。 ②Ruhrgasの買収・合併による本格的な 上流事業への進出(2003~2006年)    現在のE.ONの上流進出は、ドイツを 中心に欧州でガス事業を行っていた Ruhrgasを2003年1月に合併したことに より開始された。Ruhrgas自身、E.ON との合併前に既に上流権益の取得に乗 り出していたが、主に英領北海での権 益取得(1993年:Elgin/Franklin(5.2%)、 1998・2002年:Glenelg(約15%)、2002 年:Scoter(12%))であり、オペレー ターを志向してはいなかった。上流活 動を本格化させたのは、2 0 0 3年7月、 ノルウェーのNjord油ガス田の権益取 得以降である。Ruhrgasの合併以降、 E.ONはRuhrgasを母体にE&P(探鉱& 生産)活動を活発化させていく。    2004年、E.ONは初めてE&Pに関する 具体的な目標を掲げ、戦略を立ち上げた。   a. 英国およびノルウェーでの特定 の地域(主に北海)での探鉱・開 発・生産に重点を置く。   b. ロシアでの上流活動の可能性を 調査する。

   この一環としてE.ON Ruhrgas E&P を設立し、E.ONの上流活動を管理・ 実行させた。2005年に英国の探鉱開発 企業Caledonia社を買収し、E.ON Ruhrgas E&P UKとして、英領北海 でのオペレーターとしての活動を開始 していく。 ③生産に対する数値目標の設定(2007年~)    2007年以降、E.ONは「ヨーロッパに おける天然ガス事業の強化と多様性の 獲得のため、E.ON自らが生産するガ ス生産量を、少なくとも100億m3/年ま で拡張する」と言う、具体的な数値目 標を設定し、上流事業を展開していく。    前年の2006年には、オペレーターと して初めて坑井の掘削を開始し、上流 事業(特にE&P)への関連を深めてい く(2007年生産開始)。更に2008年には、 ロ シ ア ・ 西 シ ベ リ ア の Y u z h n o Russkoyeガス田の2 5%権益を取得し、 これが2009年以降、飛躍的にガス生産 量を増加させた大きな要因となってい る(E.ONは2011年までGazpromの株式 を6.4%所有した株主である〈2011年第 1四半期に売却〉。これはGazpromと の比較的良好な関係を背景に取得した ものであった)。ただし、ロシア産の ガスはいったん全量をGazpromに売却 しなければなら ない条件となっ ており、ガスの 直接販売もロシ ア国内に限定さ れている。 (2) E.ONの上流 戦略  E.ONの最優先事項は、ヨーロッパに おけるポジションの強化と成長であり、 自らのガス生産とLNGをもって、ガス 供給者としてのポジションを強化する、 としている。上流進出を通じ、天然ガス 原料調達先の多様化、エネルギーセキュ リティーの確保を目指しており、以下の 目標を掲げている。  ・ E.ON自らが生産する天然ガス生産 量を、少なくとも1 0 0億m3/年まで 拡大する(目標:北海・北アフリカ か ら 最 大 3 0 億 m3/ 年 、 Y u z h n o Russkoyeから6 0億m3/年、その他 ヨーロッパ、ロシア、北アフリカ等 からの生産で1 0 0億m3/年以上を目 指す)。  ・ 長期的には、自ら生産した天然ガス から、天然ガス供給量の20%を賄う。 そのため、ガス供給のポートフォリ オを多様化し、強化する。 対象国 Production &Development (生産・開発) Exploration(探鉱)

Operator Partner Operator Partner

英国 ○ ○ ○ ○ ノルウェー - ○ ○ ○ ロシア - ○ - ○ アルジェリア - - ○ ○ 表1 E.ONの上流事業への関与状況(2011年末時点) 出所:E.ONホームページ 対象国 E&P実績 英国 ・30のライセンスを保有、約1/3はオペレーターとして直接活動・英領北海で生産中の四つの油ガス田をオペレーターとして操業 ノルウェー ・ノルウェー海とノルウェー領北海に約30のライセンスを保有・七つの探鉱ライセンスではオペレーターを務める

ロシア (2007年生産開始。E.ONの天然ガス生産量の約85%に相当)・Yuzhno Russkoyeガス田の25%権益を保有

アルジェリア ・オペレーターとして探鉱活動を実施(陸上鉱区)

全般 ・探鉱・評価(Exploration & Appraisal)・開発(Development):6フィールドで開発中(3:オペレーター):53ライセンスを保有(14:オペレーター)

・生産(Production):12フィールド(4:オペレーター)

表2 E.ONのE&P実績(2011年末時点)

(3)

 ・ 北海(英国、ノルウェー)、ロシア、 北アフリカを重点地域として投資・ 開発を進める。 (3) 2 0 1 1年末時点でのE&P実績 (取り組み状況)  2 0 1 1年現在、E.ONの子会社E.ON Ruhrgas E&Pは北海、ロシア、北アフ リカ(特にアルジェリア)を主要ターゲッ トとして探鉱・開発を行っている。E.ON の上流事業への関与状況を表1、表2に まとめた。  2011年末現在、英国、ノルウェー、ロ シアで原油・天然ガス生産を行っており、 特に英国ではオペレーターを務めてい る。また、探鉱活動については、上記3 カ国に加え、アルジェリアでも行ってお り、英国、ノルウェー、アルジェリアで は、オペレーターを務めている。このよ うに近年、オペレーター志向が見られる。  また、LNGに関しては、①現時点で

Norway & UKRussia

Norwegian Sea Central North Sea

Njord Elgin/Franklin Scoter West Franklin Merganser Glenelg

* Only field in production by the end of 2011, therefore without Skarv-Idun. Rita Ravenspurn North Johnston Caister Babbage 30 5.2 5.2 7.9 18.6 12.0 74.0 28.8 50.1 40.0 47.0

Southern North Sea

Interest in % Interest in % E.ON fields Vorkuta Vorkuta Labytnangi Labytnangi Salekhard Salekhard Berezovo Berezovo Sveltyor Sveltyor Sergino

Sergino NoyabrskNoyabrsk Novy Port Novy Port Jamburg Jamburg Urengoy Urengoy Dudinka Dudinka Yuzhno RusskoyeYuzhno Russkoye Norilsk Norilsk Surgut Surgut Existing pipelines Planned pipelines Other gas fields

0 10 20 30 40 50 60 70 20 00 20 01 20 02 20 03 20 04 20 05 20 06 20 07 20 08 20 09 20 10 20 11 生 産 量 天然ガス生産量 原油生産量 天然ガス・原油生産量合計 2001 年:天然ガス原油合計のみ※ 2002 年:Veba Oel 売却 2003 年:Ruhrgas 合併 2008 年:Yuzhno Russkoye ガス田権益取得 百万 boe 年 図1 E.ONの生産・探鉱地域

出所:E.ON Facts & Figures 2012

図2 E.ONの天然ガス・原油生産量(2000~2011年)

※2001年の天然ガス・原油別生産量のデータなし 出所:E.ON Annual Reportを基に筆者作成

(4)

はLNG生産に関する権益は所有してい ないが、アルジェリアで油ガス田の探鉱 権益(オペレーター)を持ち、事業の進展 いかんでは将来的にLNG事業化も期待 される。  一方、下流事業者としては、LNG基 地を所有していないものの、ヨーロッパ の4基地(英国:Isle of Grain、オランダ: Gate、スペイン:Huelva、Barcelona) に使用権(受け入れ、再ガス化の権利)を 保有し、LNGを欧州に持ち込みガス化す る輸入者としての、もしくは再輸出等ト レーダーとしての要件を備えつつある。  今後、LNGトレーダーとしての動き も注目される。 (4) 上流事業活動:天然ガス・原油の 生産量  2 0 0 3年のRuhrgas買収・合併以降、 Ruhrgasが保有していた権益(主に英領 北海のElgin/Franklin)からの生産が主 であったが、その後も油ガス田の権益取 得により、生産量を徐々に伸ばし、2009 年以降飛躍的にガス生産量を増加させ た。これは、ロシアのYuzhno Russkoye ガス田の25%権益を取得し(Gazprom: 50%、Wintershall:25%)、その生産に伴 い増加したものである。2011年現在、年 間約7 5億m3の天然ガス生産を行ってお り、2007年以来目標としている100億m3 に近づきつつある。一方、長期的にガス 供給量の20%を自社生産ガスで賄う、と いう追加目標もあるが、トレーディング の強化に伴い取り扱い量が増加するな か、その達成は難しいと思われる。  今後も、権益を保有する油ガス田の生 産開始が予定されている。100億m3到達 後、さらに高い目標を設定するのか、あ るいは現状を維持するのか、今後の動き が注目される。 (5)天然ガス販売量と生産量  2 0 0 0年のE.ON設立後の国別天然ガス 生産量および販売 量・生産量を(図3、 図4)に示す。  2003年に天然ガ ス販売量が飛躍的 に増加したのは、 Ruhrgasの合併に よるものである。 また、2010年以降の販売量の伸びは、天 然ガストレーディング事業に積極的に取 り組み始めたことによる(Trading Unit の設立は2 0 0 8年)。このトレーディング は、主に欧州の天然ガストレーディン グ・ハブで天然ガスの購入・売却を行う ものであるが、一部LNGを含んでいる。  天然ガス生産量は、2 0 1 1年で7 5億 6,000万m3であり、全販売量(1,512億m3 の5%に相当する。割合から見ると少な いようだが、量としては多い。一方で、 Yuzhno Russkoyeガス田で生産した天然 ガスはGazpromに売却しなければなら ず、直接自らの市場に持ち込むことがで きないため、自ら販売できる量は、実質、 英国・ノルウェーで生産した1 1億7,0 0 0 万m3(0.8%)となる。また、この販売分 以外にも、発電事業者として、ガス火力 発電所の燃料ガスの調達も必要である (2 0 1 1年のガス火力発電所での発電量: 1,025億kWh)。 図3 E.ONの国別天然ガス生産量(2000~2011年) 図4 E.ONの天然ガス販売量と生産量(2000~2011年)

出所:E.ON Annual Reportを基に筆者作成

20 00 20 01 20 02 20 03 20 04 20 05 20 06 20 07 20 08 20 09 20 10 20 11 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 その他 英国 ノルウェー ロシア 億 m3 生 産 量 年 0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600 0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600 1,800 20 00 20 01 20 02 20 03 20 04 20 05 20 06 20 07 20 08 20 09 20 10 20 11 百万 boe 10 億 kWh 年 天然ガス生産量 天然ガス販売量 天然ガス長期契約調達量 2003 年:Ruhrgas 合併 2008 年:Yuzhno Russkoye ガス田権益取得 生産量

(5)

 このことから、現状の上流事業への取 り組みは、トレーディング事業の原資と してよりも、ユーティリティー企業とし ての原料調達のポートフォリオの一部、 と見ることができる。 (6) E.ONにおける上流部門(E.ON Ruhrgas)の貢献度  2 0 1 1年のE.ONの売上高とEBITDA (Earnings before interest, taxes,

depreciation and amortization:金利・ 税金・償却前利益〈税引前利益に特別損 益、支払利息、および減価償却費を加算 したもの〉)を図5、図6に示す。  総売上高に占める上流事業の比率は 1.3%だが、EBITDAは8.1%と6.2倍で、 上流事業の収益性の高さが見られる(な お、2010年についても、売上高が全社の 1.5%であるのに対し、EBITDAは5.1%、 同3.4倍であった)。

2.

RWE

(1)RWEの上流事業への取り組み   RWEは、1 9 9

0年までRheinisch-Westfälisches Elektrizitätswerk AGと称 したドイツの大手エネルギー企業であ る。2000年にVEWと合併した後、ドイツ で2位のユーティリティー企業となって いる。2011年の電力販売量は2,946億kWh (E.ONの約1/4)、ガス販売量は2 8 4億m3 (3,222億kWh、E.ONの約1/5)である。  RWEの上流事業への進出は、1 9 8 8年 にDeutsche Texaco AGを獲得(合併)し たことに始まる。同社は1899年に操業を 開始し、1911年よりDeutsche Erdol AG (ドイツ石油:DEA)として事業を行っ てきた化学・石油企業であるが、合併後、 RWE Deaと社名変更した。1990年の組 織改正以降、RWE Deaは、RWE AGの 化学・石油部門として上流開発を進めて きており、1998年には、DEMINEX社の 掘削オペレーション・生産業務が分割さ れた際、ノルウェー、エジプトでの元 DEMINEXのオペレーションの多くを保 有することとなった。  2 0 0 1年、RWEは四つのコアビジネス (電力、ガス、水道、廃棄物処理)に集中 することへの一環として、ドイツにおけ る石油精製と販売事業に関しShellと合弁 企業を設立、翌2002年7月にはShellに合 弁企業の株式を売却し、RWE Deaは、 RWEにおける石油・ガスのE&Pと、地 下ガス貯蔵オペレーションに特化した企 業となった。また、2002年、RWE Deaは、 英領北海のガス貯層にアクセスするた め、英国のガス生産企業Highland Energy を獲得し、社名をRWE Dea UK Ltd.とし、 英領北海での活動を本格化させた。  RWE Deaの2011年の天然ガス生産量 は26億7,000万m3(1,630万boe)、原油生 産量は1,580万バレル(1,580万boe)、合計 3,2 1 0万boeである。また、総生産量の 5 0%以上はドイツ国内で生産したもの で、RWE Deaはドイツ最大の原油・天 然ガス生産者である。 (2)RWEの上流戦略  RWEは1 8 0以上のライセンスを保有 し、ライセンスの半数近くを自らオペ レーションする等、積極的な上流活動を 展開し、以下の戦略を掲げている。  ・ 現状の高いレベルでの生産を維持す るため、RWE Deaの国内生産や国 図5 E.ONの売上高(2011年) 図6 E.ONのEBITDA(2011年)

出所:E.ON Annual Report 2011

Upstream 1,517 (1.3%) UpstreamUpstream以外 売上高計:112,954 売上高計:112,954 百万ユーロ 百万ユーロ Upstream Upstream Upstream以外 百万ユーロ 百万ユーロ 753 (8.1%) EBITDA:9,293 EBITDA:9,293

(6)

際子会社による生産向上を目指す。  ・ 2016年までに、原油・ガスの生産量 を、約7,0 0 0万boeまで増加させる (2010年の約2倍)。  ・ 上流事業に関する主要なプロジェク ト地域を、英領北海、ノルウェー洋 上(北海、ノルウェー海、バレンツ 海)、北アフリカとする。  また、RWEは、ヨーロッパ第5位の電 力・ガス企業として、激しい価格変動や 市場構造の変化、気候変動の防止や政策 決定者により増す規制等に対応するた め、以下の三つの戦略のほか、上流部門 が関連する目標も掲げている。 (3) 2 0 1 1年末時点でのE&P実績 (取り組み状況)  2011年現在、RWEの子会社RWE Dea は、英国、ノルウェー、中央ヨーロッパ(ド イツ、デンマーク、ポーランド)、北ア フリカ(アルジェリア、エジプト、リビア) 等を主要ターゲットとして探鉱・開発を 行っている。RWEの上流事業への関与 状況を表4、表5、表6、図7にまとめる。  2011年末現在、英国、ノルウェー、ド イツ、デンマーク、エジプト、アルジェ リア、リビアで原油・天然ガスの生産を 行っており(図9、デンマーク、リビア は原油のみ)、特に英国、ドイツ、エジ プト、リビアではオペレーターを務めて いる。また、探鉱活動については、より 多くの国々で活動し、数多くオペレー ターを務めている。RWEのオペレー ター志向は強いと思われる。  また、特記すべきは、LNG権益を保 有していることである。ノルウェーの Snohvitプロジェクトに参画し、油ガス 田の権益を保有するとともに、液化事業 にも参加し、2.8 1%の権益を保有してい る。また、エジプトではガス田の権益を 保有し、今後、自らオペレーターとして ガスの生産を行う予定である。具体的な 時期は決定していないが、Egyptian LNG のトレイン 3の計画もあり、RWEも参画 する計画がある。  一方、LNG受入 基地については、 オランダのGate基 地に220万トン/年 のキャパシティー を保有しており、 LNG調達、もしく はトレーディング環境も整えつつある。 (4) 上流事業活動:天然ガス・原油の 生産量  天然ガス・原油の合計生産量は、ここ 数年は安定しているものの、減少傾向に ある。これは、原油生産量の落ち込みが 要因であることが分かる。RWEもE.ON と同様、2002年に石油化学部門を売却し て以降、生産の重点を天然ガスにシフト してきている(図8)。 (5) 天 然 ガ ス ・ 原 油 の 生 産 量 と 天 然 ガス販売量  天然ガス販売量は、2002~2003年にか けて、欧州各国の天然ガス企業の買収や 出資を通じ飛躍的に増加したが、その後 は300億m3程度で安定している(図10)。  天然ガス生産量がその販売量に占める 割合は、2 0 1 1年9.8%で、ユーティリ ティー企業としては高い割合と思われる

RWEの戦略 上流部門(RWE Dea)関連事項

-RWE is becoming more sustainable-より持続可能となる -

-RWE is becoming more international-より国際的となる

・ ヨーロッパだけでなく、北アフリカにおいて も天然ガス・原油を生産する。

・ オペレーション領域(地域)を拡大する (カスピ海地域を例示)

-RWE is becoming more robust-より強靭となる ・ 年間の原油・ガス生産量を約7,000万boe(2010年の約2倍)にする

表3 RWEの戦略と関連する上流事業目標

表4 RWEの上流事業への関与状況(2011年末時点)

出所:RWE Dea Annual Report 2011

対象国

Production & Development

(生産・開発) Exploration(探鉱)

Operator Partner Operator Partner

英国 ○ ○ ○ ○ ノルウェー - ○ ○ ○ アイルランド - - ○ - ドイツ(自国) ○ ○ ○ ○ デンマーク - ○(原油のみ) - ○ ポーランド - - ○ - エジプト ○ ○ ○ ○ リビア ○(原油のみ) - ○ - アルジェリア - ○ - - モーリタニア - - - ○ トリニダード・トバゴ - - - ○ トルクメニスタン - - ○ -

(7)

が、E.ONと同様、トレーディング事業 の原資としてよりもユーティリティー企 業としての原料調達の要素が大きいと思 われる。一方で、LNG事業にも取り組 み、ノルウェーのSnohvitプロジェクト の権益を保有しているほか、トリニダー ド・トバゴや赤道ギニアで今後、ガスの 探鉱開発事業に関わっていく姿勢から、 原料多様化だけでなく、LNGトレー ディング事業にも重きを置こうとする姿 勢も見られる。 (6) RWEにおける上流部門(RWE Dea) の貢献度  2 0 1 1年のRWEの売上高とEBITDAを 図11、図12に示す。  総売上高に占める上流事業の比率は 3.8%だが、EBITDAは10.9%と約2.9倍で ある。現在原油価格が高いという状況も あるが、上流事業の収益の高さが見られ る。また、2002年から2011年までの傾向 を図13に示す。  RWEにおける上流事業(RWE Dea)の 企業貢献度は、EBITDAでは常に売上 対象国 E&P実績 全般 ・180以上のライセンスを保有・半数近くで自らオペレーターを務める 表5 RWEの2011年末時点でのE&P実績 対象国 E&P実績 英国 ・二つのプロジェクト(Breagh、Clipper South)を推進

ノルウェー ・2坑井を掘削・ APA2011 bidding Roundに入札し、七つのライセンスを授与、うち二つ

でオペレーターとなった ドイツ(自国) ・探鉱活動を継続 エジプト ・ Disouq(Nile Delta/陸上鉱区)の開発についてEGASとPSAを締結 2013年春生産開始予定 ・活発な探鉱作業を実施 リビア ・内戦の影響で遅延 アルジェリア ・ Raggane North(陸上鉱区)の6坑の開発井掘削が2011年に承認 2016年生産開始予定。12年の生産期間に8 Mcf/dを計画 モーリタニア ・探鉱活動を実施 トリニダード・トバゴ ・ トリニダード・トバゴ政府と浅海プロジェクトに対するPSAに署名、 ライセンスエリアの3D地震探査を実施(2012年1月完了) トルクメニスタン ・探鉱作業を開始 アゼルバイジャン ・ 国営石油企業SOCARとHOAを締結し、カスピ海のNakhichevan構造のEPSAに対する交渉を行い、パートナーとなる調整を開始 表6 RWEの2011年のE&P実績

出所:RWE Dea Annual Report 2011

図7 RWEの生産・探鉱地域

出所:RWE Dea Annual Report 2011

(8)

高の2倍から3倍であることから、収益性 が高いことが分かる。また、純利益(NET INCOME)ではばらつきがある(2009年、 2010年のように、総売上高に占める上流 事業の比率を下回ることもある)が、概おおむ ねEBITDA以上に高収益性であること が分かる。

3.

イ ン プ リ ケ ー シ ョ ン :

ドイツの2大ユーティリ

ティー企業(E.ON/RWE)

に共通する上流戦略

①上流事業への進出  ・ ドイツの2大ユーティリティー企業 (E.ON/RWE)は、1)原料調達先の 多様化、2)エネルギーセキュリ ティーの確保、の必要性・重要性か ら 、 上 流 事 業 に 進 出 し て い る (E.ON:2003 年 、 R W E : 1 9 9 0年)。こ れは、自ら上 流事業に進出 し、権益を保 有 す る こ と で、生産物と して原料そのものを確保することを 目的としたものである。  ・ また、近年、長期契約からの天然ガ ス調達価格が高いことを両社とも挙 げており、GazpromやStatoil等天然 ガス生産・供給者との価格交渉を活 発に行っている(E.ONとRWEは、 GazpromとArbitrationを実施中)。 このような状況から、上流事業への 進出と生産物の確保は、価格低減の 面からも重要となっている。 ②上流事業でのオペレーターとしての関与  ・ 日本のユーティリティー企業(電力・ 都市ガス企業)と異なり、上流事業 でオペレーターとして活動している ことが特徴的である。これは、オペ レーターとしてのメリットを最大限 享受するとともに、一定量の生産物 を安価で競争力のある原料として確 保するため、と考えられる。 0 10 20 30 40 50 60 20 02 20 03 20 04 20 05 20 06 20 07 20 08 20 09 20 10 20 11 生 産 量 天然ガス生産量 原油生産量 天然ガス・原油生産量合計 百万 boe 年 その他 英国 ノルウェー ドイツ 億 m3/ 年 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 生 産 量 20 02 20 03 20 04 20 05 20 06 20 07 20 08 20 09 20 10 20 11 年 図8 RWEの天然ガス・原油生産量(2002~2011年)

出所:RWE Dea Annual Reportを基に筆者作成

図9 RWEの国別天然ガス生産量(2002~2011年) 図10 RWEの天然ガス販売量と生産量(2002~2011年) 年 0 50 100 150 200 250 300 350 400 20 02 20 03 20 04 20 05 20 06 20 07 20 08 20 09 20 10 20 11 億 m3 販 売 量 天然ガス販売量 天然ガス生産量

出所:RWE Dea Annual Reportを基に筆者作成

(9)

 ・ 自らが新たにE&P技術を取得する ことは難しく、また長期間を必要と するため、上流事業でオペレーター となるために両社とも核となる上流 企業(探鉱・開発企業)の買収を行い、 自らがオペレーターとして事業活動 ができる体制を構築している。 ③上流事業の重点戦略地域  ・ E.ON、RWEの探鉱・開発・生産の 重点戦略地域には類似性がある。   ○ E.ON:英領北海、ノルウェー領 北海、ロシア、北アフリカ(アル ジェリア)   ○ RWE:英領北海、ノルウェー洋 上(北海、ノルウェー海、バレン ツ海)、中央ヨーロッパ、北アフ リカ  ・これには、以下の要因が考えられる。   a. 政治的、経済的に比較的安定し ていて、進出しやすい。   b. パイプライン等を経由し、自ら の市場に直結しており、生産物 を直接自市場に持ち込むことが できる(北海、中央ヨーロッパ、 ロシア、北アフリカ)。   c. LNGへの可能性を追求し、LNG 生産権益につながるガス田にア クセスしている(E.ON:エジプ ト・アルジェリア、RWE:ノル ウェー、エジプト、アルジェリア、 トリニダード・トバゴ)。また、 下流事業者(ユーティリティー企 業)としての立場を生かし、LNG 受け入れ・再輸出基地の使用権 の獲得も図っている。このこと により、LNGの輸入者としてだ けでなく、LNGトレーダーとな る可能性も追求している。   d. 両社とも、これから国際的な展 開をする動きも見られる(RWE: 更なる国際化を目標とし、トリ ニダード・トバゴやトルクメニ ス タ ン で の 活 動 も 開 始 し て い る)。 Upstream Upstream Upstream以外 百万ユーロ 百万ユーロ EBITDA:8,460 EBITDA:8,460 922 (10.9%) 図12 RWEのEBITDA(2011年) Upstream Upstream Upstream以外 百万ユーロ 百万ユーロ 売上高計:51,686 売上高計:51,686 1,943 (3.8%) 図11 RWEの売上高(2011年)

出所:RWE Annual Report 2011

年 0 10 20 30 40 50 60 20 02 20 03 20 04 20 05 20 06 20 07 20 08 20 09 20 10 20 11 割 合 % 売上高 EBITDA 純利益 図13 RWEの上流事業実割合(2002~2011年)

出所:RWE Annual Report 2011

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<注・解説> * : 石油換算バレル ④天然ガスに重点を置いた探鉱・生産活 動の実施  ・ E.ON、RWE両社とも、発電・電力 供給事業/天然ガス供給事業をコア 事業とし、天然ガスに重点を置いた 探鉱・生産活動を実施している。 ⑤下流事業者としての原料調達のポート フォリオの一部としての上流事業  ・ 両社とも、上流事業への進出を重要 と考えており、専門の部門を設立し、 事業を実施。  ・ 2011年の天然ガス生産量は、E.ON:75 億6,000万m3、RWE:26億7,000万m3 天然ガス販売量に対する生産量は、 E.ONが約5%、RWEが約1 0%であ り、取り扱い数量としては限定的で あることから、上流事業はトレー ディングのための原資というより は、原料調達のポートフォリオの一 部として位置付けられている、と考 えられる。 (大貫 憲二) 

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IEA、EIA を始めとする国内外の機関・企業から得られた世界 中の様々なデータ(LNG、GTL 等を含む)を取り纏め、最新 の情報に更新しております。非在来ガス(シェールガス・CBM) についての有意な情報も記載しました。 ※書店等では販売しておりません。なお、数に限りがあります  ので売切れ次第販売を終了いたします。 独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構 (JOGMEC) 石油調査部 E-mail:[email protected]     TEL:03-6758-8024 担当者:鈴木 美穂、小林 理絵 ・世界と日本のエネルギー全般の需給動向 ・世界の天然ガスの埋蔵量や消費量、貿易量の推移、価格動向。 非在来型ガス、GTL プロジェクト ・日本における LNG 輸入量、天然ガスの県別・用途別生産量、日本の主要ガスパイプライン、LPG の生産・輸入量 ・世界の LNG の需給動向や世界の LNG プロジェクトの契約概要、液化・受入基地概要 ・世界の LNG ビジネスの上中下流に関わる主要 40 社の企業動向天然ガス関係単位・熱量換算等 お問合せ先 ご購入方法 著書の内容 下記の URL にアクセスし、「ご購入はこちらから」ボタンより購入申込みのページへ入り、申込みフォームを記入・送 信してください。ご利用のサーバーセキュリティ等により購入申込みページが表示されない場合は、大変お手数ですが、 下記のお問合せ先までご連絡ください。 270 ページ/ A4 サイズ(予定) 別途、振込手数料と送料(着払い) がかかります。

http://oilgas-info.jogmec.go.jp/books/tengas-book.html

※価格は、機構の予算情勢等から増額となりました。ご理解のほど、お願い申し上げます。 (注)本商品は国内のみの販売とさせていただきます。 価格: 5,250 円(税込) お申し込みは PC および スマートフォンにのみ対応

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